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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100285
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】遮断器システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/18 20060101AFI20240719BHJP
   H01H 33/59 20060101ALI20240719BHJP
   H02H 3/16 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H02J3/18 121
H01H33/59 Z
H02H3/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004162
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】濱▲崎▼ 晃旗
【テーマコード(参考)】
5G004
5G028
5G066
【Fターム(参考)】
5G004AA03
5G004AB01
5G004BA01
5G004BA03
5G004DA03
5G004DC11
5G004EA02
5G028FB01
5G066AC01
(57)【要約】
【課題】系統連系において、低コストで事故時に適切に電流を遮断する遮断器システムを実現する。
【解決手段】遮断器システム(11)は、リアクトル(51~53)を備え、リアクトル(51,52)に対して並列に、かつ互いに直列に接続された抵抗(7)およびスイッチング素子(8)を有する短絡回路(6)を複数の相間にさらに備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアクトルが設置された電力系統における遮断器システムであって、
前記リアクトルに対して並列に、かつ互いに直列に接続された抵抗素子およびスイッチング素子を有する短絡回路を複数の相間にさらに備える、遮断器システム。
【請求項2】
前記電力系統は、3相電力系統である、請求項1に記載の遮断器システム。
【請求項3】
事故検出装置および制御部、をさらに備え、
前記制御部は、前記事故検出装置が事故を検出した場合に、前記スイッチング素子を閉にする信号を前記スイッチング素子に与える、請求項1に記載の遮断器システム。
【請求項4】
前記短絡回路よりも上位系に遮断器をさらに備える請求項1に記載の遮断器システム。
【請求項5】
前記スイッチング素子を閉にする信号を与えるより前に、前記遮断器に対し、前記遮断器を開にする信号を与える制御部をさらに備えた、請求項4に記載の遮断器システム。
【請求項6】
前記リアクトルはデルタ型に結線されている、請求項1に記載の遮断器システム。
【請求項7】
前記リアクトルはスター型に結線されている、請求項1に記載の遮断器システム。
【請求項8】
前記抵抗素子のインピーダンスは、前記短絡回路よりも上位系のインピーダンスに対して小さい、請求項1から7のいずれか1項に記載の遮断器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮断器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
系統連系による電力の売買が一般化してきている。系統連系した電力系統において、短絡事故または地絡事故などの事故が発生した際に、故障範囲を制限するために、速やかに故障範囲を遮断する必要がある。
【0003】
系統連系では、系統連系における電圧変動を緩和するために、分路リアクトルを用いることが一般的である。分路リアクトルを備えた電力系統において事故が発生すると、送電ケーブルの充電電流に対し、分路リアクトルによる電流を合成した電流が遮断器に流れることになる。その結果、遮断器には、直流電流が印加されることになり、電流がゼロクロスしない零点推移現象が発生し、遮断器を開の状態にしても、電流を遮断することができなくなる。
【0004】
これに対し、特許文献1には、分路リアクトルに印加される電流をゼロクロスさせるために、分路リアクトルに対し直列にコンデンサを接続して、電力系統に流れる電流を共振させることで、電流をゼロクロスさせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平5-22458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来技術は事故時に発生する交流振動によってコンデンサの端子間電圧が大きくなる挙動をするため、コンデンサの耐電圧を大きくする必要があり、高いコストが掛かる。
【0007】
本発明の一態様は、系統連系において、低コストで事故時に適切に電流を遮断する遮断器システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る遮断器システムは、リアクトルが設置された電力系統における遮断器システムであって、前記リアクトルに対して並列に、かつ互いに直列に接続された抵抗素子およびスイッチング素子を有する短絡回路を複数の相間にさらに備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、系統連系において、低コストで事故時に適切に電流を遮断する遮断器システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る電力系統の要部の構成を示す回路図である。
図2】事故発生時における系統連系側の動作を示すフローチャートである。
図3】通常時の遮断器システムの状態を示す回路図である。
図4】事故発生後におけるS5の時点での遮断器システムの状態を示す回路図である。
図5】変形例に係る電力系統の要部の構成を示す回路図である。
図6】実施形態2に係る電力系統の要部の構成を示す回路図である。
図7】連系点遮断器に流れる電流を示す図である。
図8】遮断器システムの分路リアクトル用遮断器を流れる電流を示す図である。
図9】別の遮断器システムの分路リアクトル用遮断器を流れる電流を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
(回路構成)
図1は、実施形態に係る電力系統100の要部の構成を示す回路図である。図1において、単線接続図で記載されている範囲は、連系母線側の電力系統であり、複線接続図で記載されている範囲は、系統連系側の電力系統である。
【0013】
連系母線側には、3相電源1が備わっている。3相電源1は、3相の電源であり、第1相Rと、第2相Sと、第3相Tと、を含んでいる。系統連系側には、連系点遮断器4と、遮断器システム11と、送電ケーブル12と、送電ケーブル12の進相無効電力の補償用として分路リアクトル5と、が備わっている。遮断器システム11は、3相電源1による3相電力系統に対する遮断器を用いたシステムである。遮断器システム11は、分路リアクトル5に並列に設置された複数の短絡回路6と、分路リアクトル用遮断器9と、事故検出装置10と、制御部13と、を備える。
【0014】
分路リアクトル5は、分路リアクトルであり、デルタ型に接続されたリアクトル51~53を含んだ装置である。リアクトル51は、第1相Rおよび第2相Sの間に設けられたリアクトルである。リアクトル52は、第1相Rおよび第3相Tの間に設けられたリアクトルである。リアクトル53は、第2相Sおよび第3相Tの間に設けられたリアクトルである。つまり、分路リアクトル5は、3相電源1による3相電力系統における各相間を接続するリアクトル51~53によって構成されている。
【0015】
短絡回路6は、リアクトル51およびリアクトル52に対して並列に接続されている。短絡回路6は、互いに直列に接続された抵抗7(抵抗素子)とスイッチング素子8とを含む。つまり、系統連系側には、(少なくとも1つのリアクトルである)リアクトル51および52のそれぞれに対して並列に、かつ互いに直列に接続された抵抗7およびスイッチング素子8を有する短絡回路6を複数の相間に備える。
【0016】
連系点遮断器4は、3相電源1を送電ケーブル12から切り離す遮断器である。分路リアクトル用遮断器9は、分路リアクトル5および短絡回路6を送電ケーブル12から切り離す遮断器である。
【0017】
事故検出装置10は、各相の電圧および電流を監視し、短絡事故または地絡事故(以降、事故と省略する)が発生しているか否かを判定する。事故検出装置10は、判定した結果を制御部13に出力する。制御部13は、入力された事故の有無を示す判定結果を受けて、遮断器システム11の各部を制御する。
【0018】
(事故発生時の動作)
図1において、3相電源1から連系点遮断器4との間(事故発生箇所2)にて事故が発生した場合を考える。この場合、故障範囲を制限するために、系統連系側は自発的に連系点遮断器4を遮断しようとする。
【0019】
図2は、事故発生時における系統連系側の動作を示すフローチャートである。なお、正常時において、連系点遮断器4および分路リアクトル用遮断器9は閉状態であり、スイッチング素子8は開状態である。
【0020】
事故検出装置10は、各相の電圧および電流を監視し、事故が発生しているか否かを判定し、その判定結果を制御部13に出力する。制御部13は、判定結果に基づいて、事故が発生しているか否かを判断する(S1)。事故が発生していない場合(S1においてNo)、処理をS1に戻す。
【0021】
事故が発生している場合(S1においてYes)、制御部13は、分路リアクトル用遮断器9を開にする信号を出力する(S2)。さらに、制御部13は、スイッチング素子8を閉にする信号を出力する(S3)。
【0022】
制御部13は、連系点遮断器4を開にする信号を出力する(S4)。制御部13は、事故検出装置10によって事故が発生したことを検出されてから例えば30ms程経過した時点で、連系点遮断器4を開にする信号を出力する。ここで、30msは事故検出装置10が検出した大電流が突入電流ではないことを確認するために要する時間の一例である。S2、S3、およびS4の処理は同時でも前後してもよい。また、S2の処理は行わなくてもよい。
【0023】
なお、連系点遮断器4は、接点間が十分に開くまでに時間を要する。また、十分な電流が流れている場合では、接点間が開いていても、アークによって電流が流れることになる。そのため、電流を0に十分に近づけ、アークを消弧する必要がある。なお、分路リアクトル用遮断器9に関しても同様のことがいえる。また、連系点遮断器4および分路リアクトル用遮断器9は、それぞれ制御部13によって制御されなくてもよく、流れる電流が許容値を超した際に自発的に遮断する保護器であってもよい。
【0024】
制御部13は、分路リアクトル用遮断器9に流れる電流が0近傍または所定値以下になるまで待機する(S5)。分路リアクトル用遮断器9の接点間が十分に開くことによって、遮断器システム11の母線から遮断が完了する(S6)。また、同様に連系点遮断器4においても、接点間が十分に開き、流れる電流が十分に小さくなることによって、遮断が完了する。
【0025】
(事故発生時のメカニズム)
図3は、通常時の遮断器システム11の状態を示す回路図である。図4は、事故発生後におけるS5の時点での遮断器システム11の状態を示す回路図である。なお、図3および図4では、回路の一部に関しては、矢印にて流れている電流を図示している。
【0026】
図3のように事故が発生していない通常時(例えば、S1の時点)では、分路リアクトル5には分路リアクトル5のリアクタンスに応じた電流が流れている。該電流は、送電ケーブル12を介して、連系点遮断器4まで流れ込む。
【0027】
対して図4のようにS5の時点では、スイッチング素子8が閉の状態になることによって、分路リアクトル5に流れていた電流は、短絡回路6にも流れるようになる(転流)。短絡回路6に流れた電流は、抵抗7によって熱エネルギーとして消費されていく。
【0028】
また、分路リアクトル用遮断器9を開にする信号が入力されている状態ではあるが、開の状態になっていない、または開の状態になっていても電流が十分に小さくなっていないために、分路リアクトル用遮断器9を流れる電流をすぐには遮断することができない。そのため、抵抗7のインピーダンスと送電ケーブル12(および送電ケーブル12よりもさらに上位の配線)のインピーダンスとの関係によって、通常時よりは電流の値が減少するものの分路リアクトル用遮断器9には電流が流れることになる。
【0029】
また、連系点遮断器4も同様に開にする信号が入力されている状態ではあるが、開の状態になっていない、または開の状態になっていても電流が十分に小さくなっていないために、連系点遮断器4を流れる電流をすぐには遮断することができない。そのため、連系点遮断器4には、分路リアクトル用遮断器9から流れ込んだ電流に加え、送電ケーブル12に流れていた電流も流れることになる。
【0030】
ここで、短絡回路6に転流させるためには、抵抗7のインピーダンスが、短絡回路6よりも上位系のインピーダンス、つまり少なくとも送電ケーブル12を含む上位系のインピーダンスよりも小さい。これは、スイッチング素子8が閉の状態になった際に、リアクトル51、52、および53に流れる電流を、上位系に流すのではなく、抵抗7に分流し転流させるためである。転流されたエネルギーは、抵抗7で熱エネルギーに変換されて消費されることで、分路リアクトル用遮断器9および連系点遮断器4を流れる電流を低減し、連系点遮断器4および分路リアクトル用遮断器9をアークレスで遮断することができるようになる。そのため、抵抗7のインピーダンスは、所定の時間で連系点遮断器4および分路リアクトル用遮断器9を流れる電流を、遮断可能な電流値まで減衰できる(抵抗7に転流させる)程度に小さいインピーダンスに設定することが必要である。
【0031】
(小括)
事故発生時において、分路リアクトル5を用いているが、分路リアクトル5における端子間電圧は直流電圧であるため、共振等による過電圧を考慮する必要がない。そのため、実施形態に係る遮断器システム11では、低コストで事故時に適切に電流を遮断できる。
【0032】
また、分路リアクトル5に対して、並列に接続している短絡回路は通常時は接続されていないため、短絡回路に関するメンテナンスを容易に安全に行うことができる。したがって、遮断器システム11は、高いメンテナンス性を有する。この点は、上述した特許文献1における従来技術では、コンデンサに異常が発生した場合に、分路リアクトルおよびコンデンサをまとめて遮断する必要があり、メンテナンス性が著しく悪い欠点があったことに対し、非常に有益である。
【0033】
〔変形例〕
(事故の程度による対応)
事故検出装置10は、事故発生箇所2の電圧の低下、または電流の増加に基づき事故を検出する。事故の程度によっては、完全に短絡した短絡事故ではなかったり、完全に地絡した地絡事故ではなかったりした場合、十分に大きな抵抗を有し、電圧が生じていることになる。この場合に、連系点遮断器4では、交流電流が流れるため、電流がゼロクロスすることになる。すなわち、零点推移現象が発生しない。
【0034】
電流がゼロクロスしている状況下で、遮断器システム11を動作させると、システム内に不要な短絡箇所を作ることになり、余計な二次災害を招くことに繋がる。したがって、事故検出装置10は、電圧が所定値より低い場合、または電流が直流成分であることを検出した場合のみに事故を検出するようにしてもよい。
【0035】
(分路リアクトルの回路構成)
実施形態1および2では、分路リアクトル5がデルタ型に接続されたリアクトル51~53を含んだ装置としたが、これに限定されない。すなわち、分路リアクトルはスター型の回路構成であってもよい。
【0036】
図5は、変形例に係る電力系統102の要部の構成を示す回路図である。図5に示すように、分路リアクトル5bは、リアクトル51b~53bによって構成されている。リアクトル51b~53bはスター型に結線されている。
【0037】
第1相Rおよび第2相Sの相間を接続するようにリアクトル51bおよびリアクトル52bが接続されており、第2相Sおよび第3相Tの相間を接続するようにリアクトル52bおよびリアクトル53bが接続されており、第1相Rおよび第3相Tの相間を接続するようにリアクトル51bおよびリアクトル53bが接続されている。さらに、リアクトル51bおよびリアクトル52bに対して並列に短絡回路6が接続されており、リアクトル51bおよびリアクトル53bに対して並列に短絡回路6が接続されている。すなわち、2つのリアクトルに対して並列に、かつ互いに直列に接続された抵抗7およびスイッチング素子8を有する短絡回路6を、複数の相間に備える。
【0038】
この場合でも実施形態と同様に事故検出装置10の信号でもって、遮断器システム11bは動作し、アークレスに連系点遮断器4を開の状態にすることができる。
【0039】
(短絡回路)
実施形態では、短絡回路6は、リアクトル51および52に対して並列に接続されるとしたが、これらに限定されない。リアクトル51および53に並列に接続されてもよいし、リアクトル52および53に並列に接続されてもよい。また、リアクトル51~53全てに並列に接続されてもよい。
【0040】
(単相交流)
実施形態では、3相交流を対象としたが、単相交流であってもよい。本変形例でも、相間(配線間)を接続するリアクトルに対し、短絡回路を並列に配置することで、上位系の遮断器を遮断できるようになる。
【0041】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る遮断器システムは、リアクトルが設置された電力系統における遮断器システムであって、前記リアクトルに対して並列に、かつ互いに直列に接続された抵抗素子およびスイッチング素子を有する短絡回路を複数の相間にさらに備える。
【0042】
上記の構成によれば、短絡回路は通常時は接続されていないために、メンテナンスが容易である。
【0043】
本発明の態様2に係る遮断器システムは、上記態様1において、前記電力系統は、3相電力系統であってもよい。
【0044】
上記の構成によれば、本発明を3相の電力系統に適用してもよい。
【0045】
本発明の態様3に係る遮断器システムは、上記態様1または2において、事故検出装置および制御部、をさらに備え、前記制御部は、前記事故検出装置が事故を検出した場合に、前記スイッチング素子を閉にする信号を前記スイッチング素子に与えてもよい。
【0046】
上記の構成によれば、事故発生時において、分路リアクトルと抵抗による減衰回路となるため、分路リアクトルにおける電圧は共振することがないため、過電圧を考慮する必要がない。
【0047】
本発明の態様4に係る遮断器システムは、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記短絡回路よりも上位系に遮断器をさらに備えてもよい。
【0048】
上記の構成によれば、遮断器システムを母線から切り離すことができる。これにより、リアクトルのメンテナンスを安全に行うことができる。
【0049】
本発明の態様5に係る遮断器システムは、上記態様4において、前記スイッチング素子を閉にする信号を与えるより前に、前記遮断器に対し、前記遮断器を開にする信号を与える制御部をさらに備えてもよい。
【0050】
上記の構成によれば、遮断器システムよりも上位側の回路において、事故発生時における分路リアクトルによる影響をなくすことができる。
【0051】
本発明の態様6に係る遮断器システムは、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記リアクトルはデルタ型に結線されてもよいし、スター型に結線されてもよい。
【0052】
上記の構成によれば、リアクトルをデルタ型またはスター型で結線することができる。
【0053】
本発明の態様7に係る遮断器システムは、上記態様1から6のいずれかにおいて、前記抵抗素子のインピーダンスは、前記短絡回路よりも上位系のインピーダンスに対して小さくてもよい。
【0054】
上記の構成によれば、リアクトルに流れていた電流を遮断器システム内で転流することができ、遮断器システム外に出る量を減らすことができる。そのため、容易に、遮断器システムよりも上位側の遮断器を遮断することができるようになる。
【0055】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例0056】
図6は、実施形態2に係る電力系統101の要部の構成を示す回路図である。電力系統101には、遮断器システム11に加えて、遮断器システム11aをさらに含む。遮断器システム11と遮断器システム11aとは分路リアクトル5のリアクタンスが異なる。遮断器システム11と遮断器システム11aの間は、送電ケーブル12aで接続されている。
【0057】
図7は、連系点遮断器4に流れる電流を示す図である。図8は、遮断器システム11の分路リアクトル用遮断器9を流れる電流を示す図である。図9は、遮断器システム11aの分路リアクトル用遮断器9を流れる電流を示す図である。図7~9は、シミュレーションした結果であり、グラフにおける3本の線は、第1相R、第2相S、および第3相Tをそれぞれ表す。
【0058】
図7~9に示すように、0.2sにおいて、上位系で3相短絡事故が発生している。図7~9における時刻T1は、スイッチング素子8が閉の状態になったタイミングである。図8および9では、時刻T1を境に挙動が変化しており、リアクトル51~53によって生じる直流電流が減衰するようになる。
【0059】
また、図7における時刻T2では、電流が0になっていることから、この時点でアーク無しで連系点遮断器4を開の状態にすることができることがわかる。連系点遮断器4は、大電流が突入電流ではないと判断される30ms程において、開にする信号を受け取り、物理的に接点間距離が開の状態になるまで30ms程の時間がかかる。すなわち接点間距離が開の状態になるタイミングは、約60msである。図7において、時刻T2は事故発生から約70msの時点であり、接点間距離が開の状態になった後に、電流が十分に小さくなることによって、電流を遮断できている。
【0060】
なお、図8および9では、時刻T2において、分路リアクトル用遮断器9を流れる電流を0まで低減できていないが、電流値が十分に小さいことから電流を遮断することはできる。
【0061】
また、図8図9とで電流値の振幅が異なるのは、遮断器システム11と遮断器システム11aとの分路リアクトル5のリアクタンスが異なるためである。このように、異なるリアクタンスが接続されたシステムであっても正常に機能することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 3相電源
2 事故発生箇所
4 連系点遮断器
5、5b 分路リアクトル
6 短絡回路
7 抵抗(抵抗素子)
8 スイッチング素子
9 分路リアクトル用遮断器
10 事故検出装置
11、11a、11b 遮断器システム
12、12a 送電ケーブル
13 制御部
51、52、53、51b、52b、53b リアクトル
100、101、102 電力系統
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9