(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100288
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】回転駆動システム
(51)【国際特許分類】
F16H 7/20 20060101AFI20240719BHJP
F16H 7/02 20060101ALI20240719BHJP
F16H 7/12 20060101ALI20240719BHJP
B02B 3/04 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F16H7/20
F16H7/02 Z
F16H7/12 A
B02B3/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004167
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(72)【発明者】
【氏名】頼岡 誠治
(72)【発明者】
【氏名】山岡 翔太郎
【テーマコード(参考)】
3J049
4D043
【Fターム(参考)】
3J049AA01
3J049AB01
3J049BB05
3J049BB17
3J049BB22
3J049BC04
3J049BC10
3J049BD10
3J049BE03
3J049BE04
3J049BE08
3J049BG04
3J049CA07
4D043AA02
4D043DA01
4D043DG06
(57)【要約】
【課題】蛇行制御プーリの動作が不安定になるのを抑制可能な回転駆動システムを提供する。
【解決手段】回転駆動システム1は、第1平ベルトB1により回転駆動される第1状態と、第2平ベルトB2により回転駆動される第2状態との切り替え可能に構成されている。また、回転駆動システム1は、ボス部29、プーリ部31及びベアリング31が枢軸C2周りを揺動することを規制する規制部材26を備えている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駆動源により回転駆動される第1駆動プーリと、第2駆動源により回転駆動される第2駆動プーリと、前記第1駆動プーリと第1従動プーリとに巻き掛けられた無端状の平ベルトと、前記第2駆動プーリと第2従動プーリとに巻き掛けられた無端状の他の平ベルトと、枢軸周りを揺動可能かつ前記平ベルトが巻き掛けられたプーリ本体を有する蛇行制御プーリと、を備え、前記平ベルトにより前記第1従動プーリが回転駆動される第1状態と、前記他の平ベルトにより前記第2従動プーリが回転駆動される第2状態とを切り替え可能に構成された回転駆動システムであって、
前記プーリ本体が前記枢軸周りを揺動することを規制する規制部材を備えていることを特徴とする回転駆動システム。
【請求項2】
請求項1に記載の回転駆動システムにおいて、
前記平ベルトの周回移動方向の下流側において前記蛇行制御プーリの次に隣接されるとともに、前記平ベルトの張設状態を調整可能なテンションプーリを備え、
前記切り替えの際には、前記テンションプーリの位置が変更されることを特徴とする回転駆動システム。
【請求項3】
請求項1に記載の回転駆動システムにおいて、
前記プーリ本体は、前記平ベルトが巻き掛けられるとともに、プーリ軸によって、回転軸周りを回転自在かつ前記枢軸周りに揺動自在に支持されたプーリ部と、前記プーリ部と前記プーリ軸との径方向間に配設されるとともに、前記枢軸周りを前記プーリ部と一体に揺動するよう構成されたボス部と、を備え、
前記規制部材には、前記ボス部における前記プーリ軸の延び方向一側の端面及び前記プーリ軸の延び方向他側の端面の少なくとも一方に設けられた被接触面部と接触可能な接触面部が備えられていることを特徴する回転駆動システム。
【請求項4】
請求項3に記載の回転駆動システムにおいて、
前記規制部材は、弾性変形可能であり、かつ、前記接触面部が前記ボス部の前記被接触面部と接触するように付勢されていることを特徴とする回転駆動システム。
【請求項5】
請求項3に記載の回転駆動システムにおいて、
前記ボス部は、前記プーリ軸と相対回転不能に構成されていることを特徴とする回転駆動システム。
【請求項6】
請求項3に記載の回転駆動システムにおいて、
前記規制部材は、前記プーリ本体に沿ってU字状に延びる板状で構成され、
前記規制部材は、前記プーリ本体よりも前記プーリ軸の延び方向一側の部位が被固定部に固定されるとともに、前記プーリ本体よりも前記プーリ軸の延び方向他側の部位には前記接触面部が設けられ、
前記接触面部には、第1嵌合部が設けられ、
前記プーリ軸の先端部分には、第2嵌合部が設けられ、
前記第2嵌合部は、前記枢軸が前記平ベルトに対して所定の傾斜角で傾倒している姿勢において前記第1嵌合部と嵌合するように構成されていることを特徴とする回転駆動システム。
【請求項7】
請求項6に記載の回転駆動システムにおいて、
前記規制部材における前記プーリ軸の延び方向他側の部位には、センサ取付部が設けられ、
前記センサ取付部には、振動センサが取り付けられていることを特徴とする回転駆動システム。
【請求項8】
請求項6に記載の回転駆動システムにおいて、
前記規制部材は、前記プーリ部の外周面における前記平ベルトが巻き掛けられた部位とは周方向にずれた部位の外周側の位置に配設されていることを特徴とする回転駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、平ベルトによって従動プーリを回転駆動する回転駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駆動プーリと従動プーリとに巻き掛けられた平ベルトの蛇行制御が可能な蛇行制御プーリが知られている。例えば、特許文献1で開示されている蛇行制御プーリは、当該蛇行制御プーリに設けられたプーリ本体が枢軸周りを揺動することで、該プーリ本体に巻き掛けられた平ベルトの蛇行を制御するようになっている。
【0003】
また、2つの駆動系統を有する回転駆動システムが知られている。例えば、特許文献2で開示されている回転駆動システムでは、第1駆動プーリ及び第1従動プーリに巻き掛けられた平ベルトと、第2駆動プーリ及び第2従動プーリに巻き掛けられた他の平ベルトとを備え、平ベルトにより第1従動プーリが回転駆動される第1状態と、他の平ベルトにより第2従動プーリが回転駆動される第2状態とに切り替え可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6608231号公報
【特許文献2】特許第7074220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、他の平ベルトにより第2従動プーリが回転駆動される第2状態から平ベルトにより第1従動プーリが回転駆動される第1状態に切り替えが行われたときに、平ベルトが巻き掛けられた蛇行制御プーリの動作が不安定となり、例えば、プーリ本体が枢軸周りを必要以上に左右に揺動するハンチングが発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蛇行制御プーリの動作が不安定になるのを抑制可能な回転駆動システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、蛇行制御プーリのプーリ本体の揺動を規制可能な規制部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、第1駆動源により回転駆動される第1駆動プーリと、第2駆動源により回転駆動される第2駆動プーリと、前記第1駆動プーリと第1従動プーリとに巻き掛けられた無端状の平ベルトと、前記第2駆動プーリと第2従動プーリとに巻き掛けられた無端状の他の平ベルトと、枢軸周りを揺動可能かつ前記平ベルトが巻き掛けられたプーリ本体を有する蛇行制御プーリと、を備え、前記平ベルトにより前記第1従動プーリが回転駆動される第1状態と、前記他の平ベルトにより前記第2従動プーリが回転駆動される第2状態とを切り替え可能に構成された回転駆動システムを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明では、前記プーリ本体が前記枢軸周りを揺動することを規制する規制部材を備えていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、前記平ベルトの周回移動方向の下流側において前記蛇行制御プーリの次に隣接されるとともに、前記平ベルトの張設状態を調整可能なテンションプーリを備え、前記切り替えの際には、前記テンションプーリの位置が変更されることを特徴とする。
【0011】
第3の発明では、第1の発明において、前記プーリ本体は、前記平ベルトが巻き掛けられるとともに、プーリ軸によって、回転軸周りを回転自在かつ前記枢軸周りに揺動自在に支持されたプーリ部と、前記プーリ部と前記プーリ軸との径方向間に配設されるとともに、前記枢軸周りを前記プーリ部と一体に揺動するよう構成されたボス部と、を備え、前記規制部材には、前記ボス部における前記プーリ軸の延び方向一側の端面及び前記プーリ軸の延び方向他側の端面の少なくとも一方に設けられた被接触面部と接触可能な接触面部が備えられていることを特徴する。
【0012】
第4の発明では、第3の発明において、前記規制部材は、弾性変形可能であり、かつ、前記接触面部が前記ボス部の前記被接触面部と接触するように付勢されていることを特徴とする。
【0013】
第5の発明では、第3の発明において、前記ボス部は、前記プーリ軸と相対回転不能に構成されていることを特徴とする。
【0014】
第6の発明では、第3の発明において、前記規制部材は、前記プーリ本体に沿ってU字状に延びる板状で構成され、前記規制部材は、前記プーリ本体よりも前記プーリ軸の延び方向一側の部位が被固定部に固定されるとともに、前記プーリ本体よりも前記プーリ軸の延び方向他側の部位には前記接触面部が設けられ、前記接触面部には、第1嵌合部が設けられ、前記プーリ軸の先端部分には、第2嵌合部が設けられ、前記第2嵌合部は、前記枢軸が前記平ベルトに対して所定の傾斜角で傾倒している姿勢において前記第1嵌合部と嵌合するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
第7の発明では、第6の発明において、前記規制部材における前記プーリ軸の延び方向他側の部位には、センサ取付部が設けられ、前記センサ取付部には、振動センサが取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
第8の発明では、第6の発明において、前記規制部材は、前記プーリ部の外周面における前記平ベルトが巻き掛けられた部位とは周方向にずれた部位の外周側の位置に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明では、規制部材によってプーリ本体が枢軸周りに揺動することが規制されるようになる。これにより、例えば、第2従動プーリが他の平ベルトにより回転駆動される第2状態から第1従動プーリが平ベルトにより回転駆動される第1状態に切り替えが行われたときに蛇行制御プーリの動作が不安定となり、例えば、プーリ本体が枢軸周りを必要以上に左右に揺動するハンチングが発生するのを抑制することが可能となる。
【0018】
第2の発明では、例えば、上記第2状態から上記第1状態に切り替えられた際に、平ベルトの張設状態を調整すべく、テンションプーリの位置が変更されると、平ベルトのプーリ本体への巻き掛け角が変わり、該プーリ本体が枢軸周りを揺動し易くなった場合であっても、規制部材によりプーリ本体の揺動が規制されるようになるので、上記巻き掛け角の変更により蛇行制御プーリの動作が不安定になるのを抑制することが可能となる。
【0019】
第3の発明では、枢軸周りをプーリ部と一体に揺動するボス部の被接触面部と規制部材の接触面部とが接触することで、プーリ部及びボス部が枢軸周りを揺動するのが規制されるようになる。これにより、上記第1状態と上記第2状態との切り替えの際に蛇行制御プーリの動作が不安定になるのを抑制することができる。
【0020】
第4の発明では、規制部材は、その接触面部がボス部の被接触面部と接触するように付勢されているので、上記切り替えが行われたときにおけるプーリ部及びボス部の揺動をより確実に抑制することが可能となる。また、平ベルトの蛇行が発生した場合は、プーリ部及びボス部が規制部材を弾性変形させつつ枢軸周りを揺動することで、平ベルトの蛇行を制御することができる。
【0021】
第5の発明では、プーリ軸とは相対回転不能、かつ、プーリ部と共に枢軸周りを揺動するボス部の第2接触面部と規制部材の第1接触面部とが接触することによって上記揺動が抑制されるようになる。
【0022】
第6の発明では、プーリ軸の第1嵌合部と規制部材の第2嵌合部とが嵌合されると、枢軸が平ベルトに対して所定の傾斜角で傾倒している姿勢、つまり、蛇行制御プーリが平ベルトの蛇行を制御可能な姿勢となる。これにより、第1嵌合部と第2嵌合部とを嵌合させるだけで、蛇行制御プーリを適切な傾斜角度にセットすることが可能となる。
【0023】
第7の発明では、プーリ部が枢軸周りを揺動することにより生じる振動が、該プーリ部とともに揺動するボス部を介して規制部材の接触面部にダイレクトに伝達されるようになる。該接触面部に伝達された振動は、センサ取り付け部に取り付けられた振動センサにも作用するようになるので、該振動センサにおいて上記プーリ部の揺動による振動を精度良く検知することが可能となる。これにより、振動センサがプーリ部の揺動による振動以外のノイズの影響を受けてしまうのを抑えることができる。
【0024】
第8の発明では、例えば、平ベルトをプーリ部から取り外す際やプーリ部に平ベルトを巻き掛ける作業の際に、規制部材が作業の邪魔になるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る回転駆動システムを備えた籾摺機であり、内部構成の一部が開示された斜視図である。
【
図5】第1蛇行制御プーリ及びその周辺構造を示す要部拡大図である。
【
図6】
図5のVI-VI線における概略断面図である。
【
図7】
図5のVII-VII線における概略断面図である。
【
図9】蛇行制御プーリの揺動が規制された状態を示す
図7相当図である。
【
図10】変形例に係る第1蛇行制御プーリを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る回転駆動システム1を備えた籾摺機10を示す。籾摺機10は、厚みを有する略矩形板状をなし、上部一側において斜め下方に延びる傾斜面10bが形成された機枠10aを備え、該機枠10aの上面には、図示しない籾を機枠10aの内部に投入するための投入口10cが形成されている。
【0028】
機枠10aの中央略一側上方寄りの位置には、
図2に示すように、第1脱ぷロールR1が配設されている。該第1脱ぷロールR1は、機枠10aの厚み方向に延びる第1支持軸r1により回転可動に軸支されている。また、第1脱ぷロールR1の他側下方の位置には、第2脱ぷロールR2が配設されている。該第2脱ぷロールR2は、機枠10aの厚み方向に延びる第2支持軸r2により回転可動に軸支されている。
【0029】
第1脱ぷロールR1と第2脱ぷロールR2とは、径が同じであるとともに、隣接配置されている。
【0030】
第2脱ぷロールR2の上方には、当該第2脱ぷロールR2に対して第1脱ぷロールR1を接触又は離間させて当該第1脱ぷロールR1及び第2脱ぷロールR2の接触圧を調整するロール圧力調整シリンダSが配設されている。
【0031】
第1脱ぷロールR1には、第1従動プーリ部2と当該第1従動プーリ部2よりも小径な第2従動プーリ部3とが回転一体に設けられている。つまり、第1従動プーリ部2と第2従動プーリ部3とは回転一体に設けられている。また、第1脱ぷロールR1には、第1支持軸r1の先端側から順に第2従動プーリ部3と第1従動プーリ部2とが取り付けられている(
図1参照)。
【0032】
第2脱ぷロールR2には、第3従動プーリ部4と当該第3従動プーリ部4よりも小径な第4従動プーリ部5とが回転一体に設けられている。つまり、第3従動プーリ部4と第4従動プーリ部5とが回転一体に設けられている。また、第2脱ぷロールR2には、第2支持軸r2の先端側から順に第3従動プーリ部4と第4従動プーリ部5とが取り付けられている(
図1参照)。
【0033】
第1脱ぷロールR1の上方の位置には、第1支持軸r1及び第2支持軸r2と同方向に延びる第1モータ回転軸6aを有する電動式の第1駆動モータ6が配設されている。該第1モータ回転軸6aには、第1駆動モータ6により回転駆動する第1駆動プーリ6bが回転一体に取り付けられている。
【0034】
一方、第2脱ぷロールR2の第1脱ぷロールR1とは反対側の斜め上方の位置には、第1支持軸r1及び第2支持軸r2と同方向に延びる第2モータ回転軸7aを有する電動式の第2駆動モータ7が配設されている。該第2モータ回転軸7aには、第2駆動モータ7により回転駆動する第2駆動プーリ7bが回転一体に取り付けられている。本実施形態では、第2駆動プーリ7bは、第1駆動プーリ6bと同じ径に設定されている。
【0035】
第1脱ぷロールR1における第2脱ぷロールR2の反対側の斜め下方の位置には、回転軸が第1支持軸r1及び第2支持軸r2と同方向に延びる第1テンションプーリ8aを備えた第1テンション変更機構8が配設されている。
【0036】
第1テンション変更機構8は、先端に第1テンションプーリ8aを軸支する一方、基端が機枠10aに回動可能に軸支された第1回動フレーム8bを備えている。該第1回動フレーム8bの上方の位置には、第1ロッド部8dの伸縮動作によって第1回動フレーム8bを回動させる第1エアシリンダ8cが配設されている。
【0037】
第2脱ぷロールR2の下方の位置には、回転軸が第1支持軸r1及び第2支持軸r2と同方向に延びる第2テンションプーリ9aを備えた第2テンション変更機構9が配設されている。本実施形態では、第2テンションプーリ9aは、第1テンションプーリ8aと同じ径に設定されている。
【0038】
第2テンション変更機構9は、先端に第2テンションプーリ9aを軸支する一方、基端が機枠10aに回動可能に軸支された第2回動フレーム9bを備えている。該第2回動フレーム9bと第2駆動モータ7との間には、第2ロッド部9dの伸縮動作によって第2回動フレーム9bを回動させる第2エアシリンダ9cが配設されている(
図3参照)。
【0039】
第1駆動プーリ6bと第1テンションプーリ8aとの間には、回転軸が第1支持軸r1及び第2支持軸r2と同方向に延びる第1蛇行制御プーリ11が備えられている。
【0040】
第2駆動プーリ7bと第2テンションプーリ9aとの間には、回転軸が第1支持軸r1及び第2支持軸r2と同方向に延びる第2蛇行制御プーリ12が備えられている。
【0041】
第1駆動プーリ6b、第1蛇行制御プーリ11、第1テンションプーリ8a、第4従動プーリ部5及び第1従動プーリ部2には、無端状の第1平ベルトB1が巻き掛けられて第1駆動系統が形成されている(
図2参照)。
【0042】
第1平ベルトB1は、第1支持軸r1及び第2支持軸r2の先端側から見て、第1従動プーリ部2と第4従動プーリ部5とにS字状に順に巻き掛けられている(
図2参照)。そして、第1平ベルトB1が、第1駆動プーリ6bの回転動作により周回移動すると、第1従動プーリ部2及び第4従動プーリ部5を介して第1脱ぷロールR1及び第2脱ぷロールR2が互いに反対方向に回転するようになっている。なお、第1平ベルトB1は、第1支持軸r1及び第2支持軸r2の先端側から見て、反時計回りに周回移動するようになっている。これにより、第1駆動系統において、投入口10cから投入され、かつ、回転状態の第1脱ぷロールR1及び第2脱ぷロールR2の間隙に供給される籾を第1脱ぷロールR1及び第2脱ぷロールR2の外周面で押圧しながら通過させて籾殻を取り除くことができるようになっている。本実施形態では、第1テンションプーリ8aは、第1平ベルトB1の周回移動方向(反時計回り)の下流側において第1蛇行制御プーリ11の次に隣接されている。
【0043】
一方、第2駆動プーリ7b、第2蛇行制御プーリ12、第2テンションプーリ9a、第2従動プーリ部3及び第3従動プーリ部4には、無端状の第2平ベルトB2が巻き掛けられて第2駆動系統が形成されている(
図3参照)。
【0044】
第2平ベルトB2は、第1支持軸r1及び第2支持軸r2の先端側から見て、第2従動プーリ部3と第3従動プーリ部4とに逆S字状に順に巻き掛けられている(
図3参照)。そして、第2平ベルトB2が、第2駆動プーリ7bの回転動作により周回移動すると、第2従動プーリ部3及び第3従動プーリ部4を介して第1脱ぷロールR1及び第2脱ぷロールR2が互いに反対方向に回転するようになっている。なお、第2平ベルトB2は、第1支持軸r1及び第2支持軸r2の先端側から見て、時計回りに周回移動するようになっている。これにより、第2駆動系統においても、投入口10cから投入され、かつ、回転状態の第1脱ぷロールR1及び第2脱ぷロールR2の間隙に供給される籾を第1脱ぷロールR1及び第2脱ぷロールR2の外周面で押圧しながら通過させて籾殻を取り除くことができるようになっている。
【0045】
第1駆動系統及び第2駆動系統には、第1脱ぷロールR1及び第2脱ぷロールR2における回転駆動の駆動系統を切り替えるクラッチ機構13が設けられている。
【0046】
クラッチ機構13は、第1クラッチユニット14及び第2クラッチユニット15を備えている。
【0047】
第1クラッチユニット14は、第1支持軸r1周りを周方向に移動可能に設けられ、第1従動プーリ部2の径方向外側の位置に第1支持軸r1と同方向に延びる回転軸心を中心として回転自在な第1クラッチプーリ14aが周方向に所定の間隔をあけて一対設けられている。
【0048】
一方、第2クラッチユニット15は、第2支持軸r2周りを周方向に移動可能に設けられ、第3従動プーリ部4の径方向外側の位置に第2支持軸r2と同方向に延びる回転軸心を中心として回転自在な第2クラッチプーリ15aが周方向に所定の間隔をあけて一対設けられている。
【0049】
第1クラッチユニット14には、回転軸心が第1支持軸r1に略一致する第1スプロケット16が取り付けられ、第2クラッチユニット15には、回転軸心が第2支持軸r2に略一致する第2スプロケット17が取り付けられている。
【0050】
第1スプロケット16の下方の位置には、回転軸心が第1支持軸r1と同方向に延びる中継用ダブルスプロケット18が配設されている。一方、第2スプロケット17における第1スプロケット16の反対側の位置には、回転軸心が第2蛇行制御プーリ12の回転軸心と一致する第3スプロケット19が配設されている。
【0051】
第2エアシリンダ9cの下方の位置には、第3ロッド部20aの伸縮動作により第3スプロケット19を正逆回転させる第3エアシリンダ20が配設されている。
【0052】
第1スプロケット16と中継用ダブルスプロケット18の一方のスプロケットとには、第1チェーン21が巻き掛けられている。また、第2スプロケット17、中継用ダブルスプロケット18の他方のスプロケット、及び、第3スプロケット19には、第2チェーン22が巻き掛けられている。
【0053】
第3エアシリンダ20の第3ロッド部20aの伸縮動作により第3スプロケット19が正逆回転すると、第1スプロケット16、第2スプロケット17、中継用ダブルスプロケット18、第1チェーン21及び第2チェーン22を介して、第1クラッチユニット14及び第2クラッチユニット15とがそれぞれ正転回転と逆転回転とに180度回動するようになっている。
【0054】
そして、クラッチ機構13は、
図2に示すように、第1クラッチユニット14の各第1クラッチプーリ14aが第1従動プーリ部2に第1平ベルトB1を接触させ、かつ、第2クラッチユニット15の各第2クラッチプーリ15aが第3従動プーリ部4から第2平ベルトB2を離間させる状態、つまり、第1平ベルトB1により第1従動プーリ部2及び第4従動プーリ部5を回転駆動する第1状態と、
図3に示すように、第1クラッチユニット14の各第1クラッチプーリ14aが第1従動プーリ部2から第1平ベルトB1を離間させ、かつ、第2クラッチユニット15の各第2クラッチプーリ15aが第3従動プーリ部4に第2平ベルトB2を接触させる状態、つまり、第2平ベルトB2により第2従動プーリ部3及び第3従動プーリ部4を回転駆動する第2状態と、に切り替えることができるようになっている。
【0055】
また、クラッチ機構13により、第1駆動系統と第2駆動系統との切り替え、つまり、第1状態と第2状態との切り替えが行われたときには、第1テンション変更機構8及び第2テンション変更機構9により、第1平ベルトB1の張設状態と第2平ベルトB2の張設状態とがそれぞれ調整されるようになっている。これにより、クラッチ機構13により、第1状態(
図2参照)から第2状態(
図3参照)に切り替えられると、第1テンション変更機構8の第1テンションプーリ8aが基端を中心にして回動方向一側に回動することにより、第1蛇行制御プーリ11に対する第1平ベルトB1の巻き掛け角が増加するようになる。一方、クラッチ機構13により、第2状態(
図3参照)から第1状態(
図2参照)に切り替えられると、第1テンション変更機構8の第1テンションプーリ8aが基端を中心にして回動方向他側に回動することにより、第1蛇行制御プーリ11に対する第1平ベルトB1の巻き掛け角が減少するようになる。
【0056】
一方、クラッチ機構13により、第1状態(
図2参照)から第2状態(
図3参照)に切り替えられると、第2テンション変更機構9の第2テンションプーリ9aが基端を中心にして回動方向一側に回動することにより、第2蛇行制御プーリ12に対する第2平ベルトB2の巻き掛け角が減少するようになる。一方、クラッチ機構13により、第2状態(
図3参照)から第1状態(
図2参照)に切り替えられると、第2テンション変更機構9の第2テンションプーリ9aが基端を中心にして回動方向他側に回動することにより、第2蛇行制御プーリ12に対する第2平ベルトB2の巻き掛け角が増加するようになる。
【0057】
次に、
図4~
図9を用いて第1蛇行制御プーリ11について説明する。本実施形態では、第2蛇行制御プーリ12は、第1蛇行制御プーリ11と共通の構造であるため、説明を省略する。なお、説明の便宜上、水平方向において機枠10aに近づく側を基端側、機枠10aから遠ざかる側を先端側とする。
【0058】
第1蛇行制御プーリ11は、
図4に示すように、本体ベース部23と、取り付けシャフト部24と、プーリ本体部25と、規制部材26とを備えている。
【0059】
本体ベース部23は、略L字状をなす第1本体ベース部23aと、第1本体ベース部23aに固定されているとともに、略筒状をなす第2本体ベース部23bとを備えている。第1本体ベース部23aには、厚み方向に貫通する第1貫通孔23cが第2本体ベース部23bを挟むように設けられている。そして、第1ボルト27aを第1貫通孔23cに挿通させた状態で機枠10aに設けられた図示しない孔にねじ込むことにより、
図5に示すように、本体ベース部23(第1蛇行制御プーリ11)が機枠10aに取り付けられるようになっている。
【0060】
第2本体ベース部23bには、略軸状をなす取り付けシャフト部24の基端部分が遊挿されるようになっている。また、第2本体ベース部23bには、当該第2本体ベース部23bの内部と外部とを径方向に連通させる第2貫通孔23dが設けられている。そして、第2本体ベース部23b内に取り付けシャフト部24が遊挿された状態で、第2ボルト27bを第2貫通孔23dに挿通した後、取り付けシャフト部24に向けてねじ込むことにより、取り付けシャフト部24が第2本体ベース部23bに固定されるようになっている。
【0061】
また、取り付けシャフト部24の内周領域には、その延び方向に貫通する第3貫通孔24aが設けられている。第3貫通孔24aには、取り付けシャフト部24の基端側、つまり、第2本体ベース部23b側から第3ボルト27cが挿通されるようになっている。
【0062】
該第3ボルト27cは、第3貫通孔24aに挿通した後、プーリ本体部25にねじ込まれることで、取り付けシャフト部24の先端部分にプーリ本体部25が取り付けられるようになっている。
【0063】
また、プーリ本体部25は、
図6に示すように、プーリ軸28と、ボス部29と、プーリ部30と、ベアリング31と、支持ピン32と、を備えている。特許請求の範囲における「プーリ本体」は、本実施形態における「ボス部29、プーリ部30及びベアリング31」に対応する。
【0064】
プーリ軸28は、水平方向に延び、かつ、基端部分が第3ボルト27cによって取り付けシャフト部24の先端部分に固定されている。また、プーリ軸28の外周側の位置には、略筒状をなすボス部29が配設されている。
【0065】
該ボス部29と第1平ベルトB1が巻き掛けられたプーリ部30との径方向間には、ベアリング31が介設されている。これにより、プーリ部30は、ベアリング31を介して、回転軸C1周りを回転自在な状態でプーリ軸28に支持されている。
【0066】
また、プーリ軸28及びボス部29には、プーリ軸28の延び方向に直交する方向、つまり、径方向に貫通形成された第4貫通孔28a及び第5貫通孔29aがそれぞれ設けられている。
【0067】
該第4貫通孔28a及び第5貫通孔29aには、支持ピン32が挿通されている。また、プーリ軸28の外周面とボス部29の内周面との径方向間には、
図7に示すように、所定の隙間Cが形成されている。これにより、ボス部29、プーリ部30、及び、ベアリング31は、支持ピン32により、枢軸C2周りを揺動自在となっている。なお、
図7で示す例では、ボス部29、プーリ部30及びベアリング31は、支持ピン32を揺動中心にして、時計回り及び反時計回りに揺動可能となっている。
【0068】
また、ボス部29は、第4貫通孔28a及び第5貫通孔29aに支持ピン32が挿通されることで、回転軸C1周りをプーリ軸28と相対回転不能に構成されている。本実施形態では、プーリ軸28は、本体ベース部23及び取り付けシャフト部24を介して機枠10aに固定されているため、回転軸C1周りを回転不能となっている。これにより、ボス部29は、回転軸C1周りを回転不能、かつ、枢軸C2周りをプーリ部30及びベアリング31と共に揺動可能となっている。
【0069】
規制部材26は、例えば、金属製であって、かつ、板状をなしている。また、規制部材26は、プーリ部30に対して第1平ベルトB1が巻き掛けられた部位とは周方向にずれた位置(本実施形態では、プーリ部30における第1平ベルトB1が接触している部位とは約180度ずれた位置)に配設されている。これにより、プーリ本体部25に対して第1平ベルトB1を着脱する際に規制部材26が着脱作業の邪魔になるのを抑制している。
【0070】
また、規制部材26は、
図6に示すように、プーリ軸28の延び方向一側、つまり、取り付けシャフト部24側の固定部26aが第4ボルト27dにより取り付けシャフト部24の先端部分の側面に固定されている。また、規制部材26は、固定部26aにおけるプーリ軸28の延び方向他側の端部に連続して設けられ、かつ、プーリ部30に沿うようU字状に形成された規制部材本体部26bを備えている。換言すると、規制部材本体部26bは、プーリ軸28の延び方向においてプーリ部30の一側と他側とを掛け渡すように構成されている。より詳細に説明すると、規制部材本体部26bは、プーリ部30におけるプーリ軸28の延び方向の一側の位置から径方向外側に延びた後、プーリ部30の外周面との間に所定の間隔をあけた径方向位置において上記延び方向の他側に向かって延びている。その後、規制部材本体部26bは、径方向内側に向かって延び、その内周端部26cに設けられた嵌合孔26dがプーリ軸28の先端部分に設けられた嵌合突起28bと嵌合するようになっている。
【0071】
本実施形態では、嵌合穴26d及び嵌合突起28bは、略D字形状をなしている。また、略D字形状をなす嵌合穴26d及び嵌合突起28bは、プーリ軸28の延び方向他側から見て、時計回りに所定角度分だけ回転した形状となっている。これにより、規制部材26の嵌合穴26dとプーリ軸28の嵌合突起28bとを嵌合させるだけで、枢軸C2が第1平ベルトB1に対して所定の傾斜角で傾倒している姿勢で第1蛇行制御プーリ11をセットすることが可能となっている。したがって、第1平ベルトB1に対して第1蛇行制御プーリ11をセットする際に、別途、第1蛇行制御プーリ11の角度調整作業を行う必要がなくなる。また、第1蛇行制御プーリ11のセット作業を行う作業者の熟練度合にかかわらず、角度誤差等のばらつきをなくす、或いは、該ばらつきを小さくすることが可能となっている。
【0072】
また、規制部材26の内周端部26cにおけるプーリ軸28の延び方向一側の面、つまり、ボス部29における上記延び方向他側面に設けられた第2接触面部29bと対向する面には、第1接触面部26eが設けられている。さらに、規制部材26は、例えば、弾性変形可能な板バネで構成されている。これにより、規制部材26は、その第1接触面部26eがボス部29の第2接触面部29bと接触するように付勢されている。なお、本実施形態では、規制部材26の内周端部26cに設けられた第1接触面部26eが厚み方向に貫通形成されることで、嵌合穴26dが形成されている。
【0073】
ここで、
図8に示す比較例では、第1接触面部26eを有する規制部材26が備えられていないので、例えば、第2平ベルトB2により第2従動プーリ部3及び第3従動プーリ部4を回転駆動する第2状態から第1平ベルトB1により第1従動プーリ部2及び第4従動プーリ部5を回転駆動する第1状態に切り替えが行われたとき、第1平ベルトB1は蛇行していないにもかかわらず、第1平ベルトB1が巻き掛けられたプーリ部30(第1蛇行制御プーリ11)の動作が不安定となり、ボス部29、プーリ部30、及び、ベアリング31が枢軸C2周りを必要以上に左右に揺動するハンチングが発生する場合がある。上記ハンチングが発生すると、プーリ軸28の外周面とボス部29の内周面とが繰り返し干渉する、つまり、繰り返し衝突することで、第1蛇行制御プーリ11の信頼性に影響を与えてしまうおそれがある。
【0074】
ここで、上述のハンチングが発生する原因として、第2状態では非駆動状態であった第1駆動モータ6が第1状態に切り替わった際に駆動開始して第1平ベルトB1を駆動する状態に変化すること、第1駆動モータ6が駆動を開始した直後はモータ回転数が急激に上がってくる(急上昇)こと、及び、第1平ベルトB1が第1従動プーリ部2に非接触(離間している)の状態(
図3参照)から第1従動プーリ部2に接触する状態(
図2参照)に切り替わる際、第1平ベルトB1の張設状態を調整すべく、第1テンションプーリ8aが回動することで、プーリ部30(第1蛇行制御プーリ11)に対する第1平ベルトB1の巻き掛け角が変化すること、などが考えられる。特に、本実施形態に係る回転駆動システム1は、第1状態と第2状態とを切り替える構成であり、該切り替えに伴って、プーリ部30(第1蛇行制御プーリ11)に対する第1平ベルトB1の巻き掛け角が変化するため、第1状態及び第2状態の両方において上記ハンチングが発生しないように第1蛇行制御プーリ11をセット、つまり、上記ハンチングが発生しないように第1平ベルトB1に対して枢軸C2の傾斜角をセットするのが困難となっている。
【0075】
これに対して、
図9に示す本実施形態では、ボス部29、プーリ部30、及び、ベアリング31が枢軸C2周りを揺動しようとすると、該揺動がボス部29と接触している規制部材26により規制されるようになる。本実施形態では、規制部材26は、第1接触面部26eがボス部29の第2接触面部29bと接触するように付勢されているので、ボス部29、プーリ部30、及び、ベアリング31が枢軸C2周りを揺動するのを規制部材26により規制されるようになる。これにより、プーリ軸28の外周面とボス部29の内周面とが干渉することによるハンチングの発生を抑制することができるので、例えば、第2状態から第1状態への切り替えが行われたときに、上記ハンチングによって、第1蛇行制御プーリ11の動作が不安定となり、その信頼性に影響を与えてしまうのを抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態では、第2状態から第1状態に切り替える例について説明したが、第1状態から第2状態に切り替えが行われたときに、規制部材26により第1蛇行制御プーリ11の動作が不安定になるのを抑制可能である。
【0077】
また、本実施形態では、第1蛇行制御プーリ11の例を用いて説明したが、該第2蛇行制御プーリ12に備えられた規制部材26(
図1参照)により、第1状態と第2状態との切り替えが行われるときに第2蛇行制御プーリ12の動作が不安定になるのを抑制可能である。
【0078】
以上より、本実施形態では、例えば、規制部材26によって、ボス部29、プーリ部30及びベアリング31が枢軸C2周りに揺動することが規制されるようになる。これにより、例えば、第2従動プーリ部3及び第3従動プーリ部4が第2平ベルトB2により回転駆動される第2状態から第1従動プーリ部2及び第4従動プーリ部5が第1平ベルトB1により回転駆動される第1状態に切り替えが行われたときに第1蛇行制御プーリ11の動作が不安定となり、例えば、ボス部29、プーリ部30及びベアリング31が枢軸周りを必要以上に左右に揺動するハンチングが発生するのを抑制することができる。
【0079】
また、例えば、上記第2状態から上記第1状態に切り替えられた際に、第1平ベルトB1の張設状態を調整すべく、第1テンションプーリ8aの位置が変更されると、第1平ベルトB1のプーリ部30への巻き掛け角が変わり、ボス部29、プーリ部30及びベアリング31が枢軸C2周りを揺動し易くなった場合であっても、規制部材26によりボス部29、プーリ部30及びベアリング31の揺動が規制されるようになるので、上記巻き掛け角の変更により第1蛇行制御プーリ11の動作が不安定になってしまうのを抑制することが可能となる。
【0080】
また、例えば、枢軸C2周りをプーリ部30と一体に揺動するボス部29の第2接触面部29bと規制部材26の第1接触面部26eとが接触することで、ボス部29、プーリ部30及びベアリング31が枢軸C2周りを揺動するのが規制されるようになる。これにより、上記第1状態と上記第2状態との切り替えの際に第1蛇行制御プーリ11の動作が不安定になるのを抑制することができる。
【0081】
また、例えば、規制部材26は、その第1接触面部26eがボス部29の第2接触面部29bと接触するように付勢されているので、上記切り替えが行われたときにおけるボス部29、プーリ部30及びベアリング31の揺動をより確実に抑制することが可能となる。また、例えば、第1平ベルトB1の蛇行が発生した場合は、ボス部29、プーリ部30及びベアリング31が規制部材26における第1接触面部26eが設けられた内周端部26cを弾性変形させつつ枢軸C2周りを揺動することで、第1平ベルトB1の蛇行を制御することができる。
【0082】
また、例えば、プーリ軸28とは相対回転不能、かつ、プーリ部30と共に枢軸C2周りを揺動するボス部29の第2接触面部29bと規制部材26の第1接触面部26eとが接触することによって上記揺動が抑制されるようになる。
【0083】
また、例えば、プーリ軸28の嵌合突起28bと規制部材26の嵌合孔26dとが嵌合されると、枢軸C2が第1平ベルトB1に対して所定の傾斜角で傾倒している姿勢、つまり、第1蛇行制御プーリ11が第1平ベルトB1の蛇行を制御可能な姿勢となる。これにより、嵌合突起28bと第2嵌合部とを嵌合させるだけで、第1蛇行制御プーリ11を適切な傾斜角度にセットすることが可能となる。
【0084】
また、例えば、第1平ベルトB1をプーリ部30から取り外す際やプーリ部30に第1平ベルトB1を巻き掛ける作業の際に、規制部材26が作業の邪魔になるのを抑制することができる。
【0085】
なお、本実施形態では備えられていなかったが、
図10に示すように、規制部材本体部26b(規制部材26)におけるプーリ軸28の延び方向他の部位にセンサ取り付け部26fを設けるとともに、該センサ取り付け部26fに振動センサ33を取り付けるようにしてもよい。このようにすることで、ボス部29、プーリ部30及びベアリング31が枢軸C2周りを揺動することにより生じる振動が、プーリ部30とともに枢軸C2周りを揺動するボス部29を介して規制部材26の第1接触面部26eにダイレクトに伝達されるようになる。該第1接触面部26eに伝達された振動は、センサ取り付け部26fに取り付けられた振動センサ33にも作用するようになるので、該振動センサ33においてボス部29、プーリ部30及びベアリング31の揺動による振動を精度良く検知することが可能となる。これにより、振動センサ33がボス部29、プーリ部30及びベアリング31の揺動による振動以外のノイズ(例えば、籾摺機10の籾摺運転における脱ぷ衝撃振動など)の影響を受けてしまうのを抑えることができる。
【0086】
また、本実施形態では、回転駆動システム1が籾摺機10に組み込まれた例について説明したが、籾摺機以外の装置等に組み込むようにしてもよい。
【0087】
また、本実施形態では、第1駆動モータ6及び第2駆動モータ7が電動式であったが、電動式の駆動モータ以外の駆動源(例えば、油圧式の駆動モータ、内燃機関など)を用いてもよい。
【0088】
また、本実施形態では、プーリ本体部25は、本体ベース部23及び取り付けシャフト部24を介して機枠10aに間接的に固定されていたが、該機枠10aに直接的に固定するようにしてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、規制部材26の第1接触面部26eが、ボス部29の第2接触面部29bに接触するよう付勢されていたが、規制部材26の第1接触面部26eとボス部29の第2接触面部29bとの間に間隙を設け、該間隙に相当する角度をボス部29、プーリ部30及びベアリング31が枢軸C2周りを揺動した際に、第1接触面部26eと第2接触面部29bとが接触することにより、上記揺動が規制されるようにしてもよい。つまり、規制部材26を有する場合においてボス部29、プーリ部30及びベアリング31が枢軸C2周りを揺動可能な第1角度範囲が、規制部材26を備えない場合において上記ボス部29等が揺動可能な第2角度範囲よりも狭くすることが可能であれば、規制部材26の具体的な構造は限定されない。
【0090】
また、本実施形態では、規制部材26が、金属製、かつ、板状で構成されていたが、金属製以外(例えば、樹脂製、木製など)であってもよく、或いは、板状以外の形状(例えば、枠状、棒状、筒状など)であってもよい。
【0091】
また、本実施形態では、規制部材26が、プーリ部30における第1平ベルトB1が接触している部位とは約180度ずれた位置に配設されていたが、規制部材26の配設位置が第1平ベルトB1の着脱作業の邪魔となり難い位置であればよく、例えば、上記第1平ベルトB1が接触している部位とは約90度、或いは、約270度ずれた位置であってもよい。
【0092】
また、本実施形態では、規制部材26の第1接触面部26eが、ボス部29の第2接触面部29bに接触することで、ボス部29、プーリ部30及びベアリング31が枢軸C2周りの揺動を規制するように構成されていたが、規制部材26がプーリ部30やベアリング31に接触するように構成してもよく、つまり、規制部材26がボス部29、プーリ部30及びベアリング31の少なくとも1つと接触するように構成してもよい。
【0093】
また、本実施形態では、嵌合穴26d及び嵌合突起28bが、略D字形状をなしていたが、規制部材26の嵌合穴26dとプーリ軸28の嵌合突起28bとを嵌合させることで、枢軸C2が第1平ベルトB1に対して所定の傾斜角で傾倒している姿勢で第1蛇行制御プーリ11をセットすることが可能であれば、略D字形状以外の形状(例えば、コ字形状等)であってもよい。
【0094】
また、本実施形態では、嵌合穴26d及び嵌合突起28bが備えられていたが、別の角度調整方法(別の第1蛇行制御プーリ11及び第2蛇行制御プーリ12のセット方法)を用いることで、嵌合穴26d及び嵌合突起28bを無くしてもよい。
【0095】
また、本実施形態では、ボス部29の第2接触面部29bが、ボス部29におけるプーリ軸28の延び方向他側の面に設けられていたが、ボス部29におけるプーリ軸28の延び方向一側の面に設けられていてもよく、或いは、ボス部29におけるプーリ軸28の延び方向一側の面及び他側の面に設けられていてもよい。ボス部29の第2接触面部がプーリ軸28の延び方向一側の面に設けられている場合には、ボス部29におけるプーリ軸28の延び方向一側の面に設けられた第2接触面部と接触するように、規制部材26に第1接触面部を設けるようにしてもよい。この場合、規制部材26は、本実施形態では、プーリ部30に沿うU字状をなしていたが、U字状以外の形状(例えば、L字状など)であってもよい。一方、ボス部29の第2接触面部がプーリ軸28の延び方向一側の面及び他側の面に設けられている場合には、ボス部29におけるプーリ軸28の延び方向一側の面及び他側の面に設けられた第2接触面部とそれぞれ接触するように、規制部材26に第1接触面部を設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、例えば、平ベルトによって従動プーリを回転駆動する回転駆動システムに適している。
【符号の説明】
【0097】
1 回転駆動システム
2 第1従動プーリ部(第1従動プーリ)
3 第2従動プーリ部(第2従動プーリ)
4 第3従動プーリ部(第2従動プーリ)
5 第4従動プーリ部(第1従動プーリ)
6 第1駆動モータ(第1駆動源)
6b 第1駆動プーリ
7 第2駆動モータ(第2駆動源)
7b 第2駆動プーリ
8a 第1テンションプーリ(テンションプーリ)
10a 機枠(被固定部)
11 第1蛇行制御プーリ(蛇行制御プーリ)
26 規制部材
26d 嵌合穴(第1嵌合部)
26e 第1接触面部(接触面部)
28 プーリ軸
28b 嵌合突起(第2嵌合部)
29 ボス部(プーリ本体)
29b 第2接触面部(被接触面部)
30 プーリ部(プーリ本体)
31 ベアリング(プーリ本体)
B1 第1平ベルト(平ベルト)
B2 第2平ベルト(他の平ベルト)
C2 枢軸