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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100293
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】連結器具
(51)【国際特許分類】
   B42F 1/02 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
B42F1/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004175
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】523002655
【氏名又は名称】岡信 孝治
(72)【発明者】
【氏名】岡信 孝治
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017BA02
(57)【要約】
【課題】連結対象の複数の物品を重ねることなく連結可能であり、連結を解除する際に物品を傷めることを低減可能な連結器具を提供すること。
【解決手段】第1物品に取り付けられ、第2物品を取り付けることが可能な連結器具1であって、第1物品に取り付けられる第1ダブルクリップ部10と、第2物品に取り付けられる第2ダブルクリップ部20と、第1ダブルクリップ部10と第2ダブルクリップ部20とを結合する結合部30と、を備え、第1ダブルクリップ部10と第2ダブルクリップ部20とは、初期状態において、互いの底面が対向するように配置され、結合部30は、一端側が第1ダブルクリップ部10の底面に接続され、他端側が第2ダブルクリップ部20の底面に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1物品に取り付けられ、第2物品を取り付けることが可能な連結器具であって、
前記第1物品に取り付けられる第1ダブルクリップ部と、
前記第2物品に取り付けられる第2ダブルクリップ部と、
前記第1ダブルクリップ部と前記第2ダブルクリップ部とを結合する結合部と、を備え、
前記第1ダブルクリップ部と前記第2ダブルクリップ部とは、初期状態において、互いの底面が対向するように配置され、
前記結合部は、一端側が前記第1ダブルクリップ部の底面に接続され、他端側が前記第2ダブルクリップ部の底面に接続されていることを特徴とする連結器具。
【請求項2】
前記結合部の中心軸は、前記第1ダブルクリップ部の底面の中心及び前記第2ダブルクリップ部の底面の中心を通ることを特徴とする請求項1に記載の連結器具。
【請求項3】
前記結合部は、前記第1ダブルクリップ部の底面の中心を通りかつ前記底面の幅方向に延びる仮想線上の複数箇所と、前記第2ダブルクリップ部の底面の中心を通りかつ前記底面の幅方向に延びる仮想線上の複数箇所と、に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の連結器具。
【請求項4】
前記結合部は、変形自在な部材からなることを特徴とする請求項1に記載の連結器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1物品に取り付けられ、第2物品を取り付けることが可能な連結器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙を連結するための連結器具としては、カードリングがよく知られている。カードリングは、一対のC字形の細い金属部材からなり、一対の金属部材の一端部を互いに回動自在に連結し、一対の金属部材の他端部同士を係合させることでリング状になる器具である。そして、例えば、2枚の用紙に小孔を穿け、その2枚の用紙の小孔に、他端部同士が離間した状態にあるカードリングの片方の他端部を挿入し、カードリングの他端部同士を係合させることで2枚の用紙を連結することができる。
【0003】
また、従来、特許文献1には、建築分野で使用され、鉄筋に対する物体の固定構造に特化されているダブルクリップについて開示されている。具体的には、止水板を挟持する一方のダブルクリップと、支持杆に取り付ける他方のダブルクリップと、両ダブルクリップを連結する連結杆とからなる止水板吊り下げ具であって、両方のダブルクリップは、開閉レバーを備え、開閉レバーと連結杆とを操作することによって開かれることについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5848430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したカードリングを使用して用紙を連結する場合、用紙に小孔を穿ける手間が必要となる。また、小孔を穿けることによって印刷内容の一部が欠けてしまうおそれがある。
【0006】
また、用紙を連結する場合、カードリング以外にダブルクリップや粘着テープを使用することも可能である。
【0007】
ダブルクリップを使用する場合、2枚の用紙の端部を一部重ね、その重ねた部分をダブルクリップによって挟むことにより2枚の用紙を連結することが可能になる。しかし、重なった部分に印刷されたり書かれたりした内容がそのままでは見えにくくなる。そこで、特許文献1に記載されたダブルクリップを文房具の分野に応用して、2枚の用紙の端部を重ねることなく2枚の用紙を連結することが可能になる。
しかし、特許文献1に記載されたダブルクリップを応用して、2枚の用紙を連結した場合、連結杆の長尺方向に対してその両側のダブルクリップにおけるグリップ部分が向く方向が異なる。このため、2枚の用紙を鉛直方向に上下に並べた場合に、用紙におけるダブルクリップによって挟持された部分に折り目が付くおそれがある。
【0008】
また、粘着テープを使用する場合、粘着度の弱い粘着テープであれば容易に剥がれてしまうおそれがあり、粘着度の強い粘着テープであれば連結を解除する際に用紙に傷が付きやすく、しかも時間が掛かるおそれがある。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決し、連結対象の複数の物品を重ねることなく連結可能であり、物品を傷めることを低減可能な連結器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下のような連結器具を提供する。
【0011】
(1)第1物品(例えば、1枚目の用紙)に取り付けられ、第2物品(例えば、2枚目の用紙)を取り付けることが可能な連結器具(例えば、連結器具1)であって、
前記第1物品に取り付けられる第1ダブルクリップ部(例えば、第1ダブルクリップ部10)と、
前記第2物品に取り付けられる第2ダブルクリップ部(例えば、第2ダブルクリップ部20)と、
前記第1ダブルクリップ部と前記第2ダブルクリップ部とを結合する結合部(例えば、結合部30)と、を備え、
前記第1ダブルクリップ部と前記第2ダブルクリップ部とは、初期状態において、互いの底面(例えば、底板部11a、21aの外面)が対向するように配置され、
前記結合部は、一端側が前記第1ダブルクリップ部の底面に接続され、他端側が前記第2ダブルクリップ部の底面に接続されていることを特徴とする連結器具。
【0012】
(1)によれば、結合部の一端側が第1ダブルクリップ部の底面に接続され、他端側が第2ダブルクリップ部の底面に接続されているため、第1ダブルクリップ部の挟持部位と第2ダブルクリップ部の挟持部位とが互いに反対方向を向くとともに、第1ダブルクリップ部の挟持部位の方向と第2ダブルクリップ部の挟持部位の方向とを平行に近づけることができる。このため、第1ダブルクリップ部又は第2ダブルクリップ部の挟持部位において物品に対して斜め方向に働く力を小さくすることができる。これにより、連結対象の複数の物品を重ねることなく連結可能であり、連結している間又は連結を解除する際に物品を傷めることを低減可能な連結器具を提供することができる。
【0013】
(2)(1)において、前記結合部の中心軸は、前記第1ダブルクリップ部の底面の中心及び前記第2ダブルクリップ部の底面の中心を通ることを特徴とする連結器具。
【0014】
(2)によれば、第1ダブルクリップ部及び第2ダブルクリップ部の重心を結合部の中心軸上に位置付けることができる。このため、第1ダブルクリップ部を第1物品に取り付け、第2ダブルクリップ部を第2物品に取り付けて、第1物品及び第2物品を鉛直方向に並べた場合に、第1ダブルクリップ部及び第2ダブルクリップ部の重心位置に、結合部の中心軸を配置できる。これにより、第1ダブルクリップ部に対して、第2ダブルクリップ部が斜めに傾いてしまうことを防止できるので、第1ダブルクリップ部又は第2ダブルクリップ部の挟持部位において、物品に対して斜め方向に働く力を小さくすることができる。よって、連結対象の複数の物品を重ねることなく連結可能であり、連結している間又は連結を解除する際に物品を傷める可能性を低減可能な連結器具を提供することができる。
【0015】
(3)(1)において、前記結合部は、前記第1ダブルクリップ部の底面の中心を通りかつ前記底面に沿って延びる仮想線上の複数箇所と、前記第2ダブルクリップ部の底面の中心を通りかつ前記底面の幅方向に延びる仮想線上の複数箇所と、に接続されていることを特徴とする連結器具。
【0016】
(3)によれば、第1ダブルクリップ部の底面と第2ダブルクリップ部の底面とにおいて複数箇所で接続されているため、第1ダブルクリップ部と第2ダブルクリップ部との結合を強固なものにすることができる。また、接続箇所が第1ダブルクリップ部及び第2ダブルクリップ部の底面の中心を通りかつ底面の幅方向に延びる仮想線上の複数箇所であるため、第1ダブルクリップ部及び第2ダブルクリップ部の重心を複数の結合部が配列された仮想線上に位置付けることができる。これにより、第1ダブルクリップ部に対して、第2ダブルクリップ部が斜めに傾いてしまうことを防止できるので、第1ダブルクリップ部又は第2ダブルクリップ部の挟持部位において、物品に対して斜め方向に働く力を小さくすることができる。よって、連結対象の複数の物品を重ねることなく連結可能であり、連結している間又は連結を解除する際に物品を傷める可能性を低減可能な連結器具を提供することができる。
【0017】
(4)(1)において、前記結合部は、変形自在な部材からなることを特徴とする連結器具。
【0018】
(4)によれば、連結器具を使用しないときにコンパクトにすることが可能になる。また、第1ダブルクリップ部に第1物品を取り付けた状態で、第2ダブルクリップ部に第2物品を取り付ける場合、結合部を変形させて第2ダブルクリップ部を操作しやすい位置に配置できるので、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、連結対象の複数の物品を重ねることなく連結可能であり、連結を解除する際に物品を傷めることを低減可能な連結器具を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態における連結器具1の外観を示す説明図である。
図2】本発明の第2の実施形態における連結器具1の外観を示す説明図である。
図3】本発明の第3の実施形態における連結器具1の外観を示す説明図である。
図4】本発明の第4の実施形態における連結器具1の外観を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態における連結器具1の外観を示す説明図であり、図1(a)は側面図、図1(b)は本発明の第1の実施形態における連結器具1に係る第1ダブルクリップ部10を底板部11aの外面側から視認した図である。
【0023】
連結器具1は、第1ダブルクリップ部10と、第2ダブルクリップ部20と、結合部30と、を備えている。
【0024】
第1ダブルクリップ部10は、クリップ本体11と、一対のレバー部材12と、を備える。
【0025】
クリップ本体11は、底板部11aと、一対の側板部11b、11bと、軸受け部11cと、反り部11dと、接合部11eとを備えている。
【0026】
クリップ本体11は、1枚の略矩形の金属板に曲げ加工して側面視した場合に略二等辺三角形に形成される。すなわち、クリップ本体11において、底板部11aが略二等辺三角形の底辺に該当し、一対の側板部11b、11bが、略二等辺三角形の底辺から延びる2辺に該当する。なお、図1においては片方の側板部11bのみ示しているが、この側板部11bの対向位置にもう片方の側板部11bが存在する。
【0027】
軸受け部11c及び反り部11dは、側板部11bの先端部に曲げ加工によって形成された部分であり、軸受け部11cは、側板部11bの先端部の幅方向両側部に円筒状に形成され、反り部11dは、側板部11bの先端部の中央部に円弧状に形成されている。一対の側板部11b、11bの先端部における一対の軸受け部11c、11c及び反り部11d同士は、初期状態において互いに当接している。
【0028】
底板部11aには、図1(b)に示すように、板面の中心に接合部11eが形成されている。
【0029】
レバー部材12は、金属製の線状材料を曲げ加工して形成される。レバー部材12は、線状材料を二つ折りし、曲げ部分を略円形形状に形成してなる摘み部12aを有し、更に、その両端部に外方向に折り曲げられてなる回動軸12bを有する。レバー部材12は、一対の回動軸12b、12bの間隔を狭くする方向に弾性変形可能である。摘み部12aから延びる2本の線状部分に力を加えてレバー部材12を弾性変形させ、回動軸12b、12bの間隔を狭くした状態で、回動軸12b、12bの先端を軸受け部11c、11cの内側の開口に対向させる。そして、レバー部材12の弾性変形を解除することにより、回動軸12b、12bが軸受け部11c、11cに挿入される。これにより、レバー部材12が側板部11bの先端部に回動自在に連結されることにより、第1ダブルクリップ部10が構成される。
【0030】
このように構成された第1ダブルクリップ部10は、レバー部材12、12を回動させることで、側板部11b、11bにレバー部材12、12を当接させた状態と、一対のレバー部材12、12同士を当接させた状態とのいずれかの状態にすることができる。側板部11b、11bにレバー部材12、12を当接させた状態とすることにより、初期状態にあるクリップ本体11の一対の側板部11b、11bの先端部を開く操作を行うことができる。
【0031】
第1ダブルクリップ部10は、側板部11b、11bの先端部のライン状の当接部位と底板部11aの中心点とを含む仮想平面に対して線対称である。また、第1ダブルクリップ部10は、図1(b)に示すように、底板部11aの外面を正面視した場合に、接合部11eの中心に対して点対称である。このため、第1ダブルクリップ部10の重心は、底板部11aの外面の中心と、側板部11b、11bの先端部の当接部位(以下、第1ダブルクリップ部10の挟持部位と称する)の中央と、を結ぶ仮想線上に位置する。以下、この仮想線を第1ダブルクリップ部10の中心線と称する。
【0032】
第2ダブルクリップ部20は、第1ダブルクリップ部10と同一の部材である。
【0033】
具体的に、第2ダブルクリップ部20は、クリップ本体21と、一対のレバー部材22とを備えており、これらの部材は第1ダブルクリップ部10におけるクリップ本体11及び一対のレバー部材12と同一の構成である。
【0034】
クリップ本体21は、底板部21aと、一対の側板部21b、21bと、軸受け部21cと、反り部21dと、接合部21eとを備えており、これらの部材は、クリップ本体11における底板部11aと、一対の側板部11b、11bと、軸受け部11cと、反り部11dと、接合部11eと同一の構成である。
【0035】
レバー部材22は、摘み部22aと、回動軸22bとを備えており、これらの部材は、レバー部材12における摘み部12aと、回動軸12bと同一の構成である。
【0036】
なお、第2ダブルクリップ部20の重心は、第1ダブルクリップ部10の重心と同様に、底板部21aの外面の中心と、側板部21b、21bの先端部の当接部位(以下、第2ダブルクリップ部20の挟持部位と称する)の中央と、を結ぶ仮想線上に位置する。以下、この仮想線を第2ダブルクリップ部20の中心線と称する。
【0037】
結合部30は、第1ダブルクリップ部10と第2ダブルクリップ部20とを結合する。結合部30は、所定方向に延びる部材(例えば、棒部材、バネ部材、チェーン部材等)で形成されている。結合部30は、任意に素材(例えば、金属、樹脂、木等)で形成することができる。
【0038】
結合部30の中心軸は、第1ダブルクリップ部10の底板部11aの中心(接合部11e)及び第2ダブルクリップ部20の底板部21aの中心(接合部21e)を通る。
【0039】
結合部30は、底板部11aの外面と底板部21aの外面とを対向させ、第1ダブルクリップ部10の中心線と第2ダブルクリップ部20の中心線を同一線上に配置した状態で、一端部を第1ダブルクリップ部10の接合部11eに結合し、他端部を第2ダブルクリップ部20の接合部21eに結合する。これにより、連結器具1が組み立てられる。このため、第1ダブルクリップ部10と第2ダブルクリップ部20とは互いに180°反対方向を向いている。
【0040】
このように構成された連結器具1において、第1ダブルクリップ部10の中心線と、結合部30の中心軸と、第2ダブルクリップ部20の中心線と、が一致する。このため、結合部30の中心軸上に、第1ダブルクリップ部10及び第2ダブルクリップ部20の重心が位置付けられる。また、第1ダブルクリップ部10及び第2ダブルクリップ部20の挟持部位は、結合部30の中心軸に沿った方向を向いている。また、連結器具1は、第1ダブルクリップ部10の挟持部位と、第2ダブルクリップ部20の挟持部位と、結合部30の中心軸とを含む仮想平面に対して線対称である。
【0041】
なお、結合部30と第1ダブルクリップ部10及び第2ダブルクリップ部20との結合方法は、例えば、接着や溶接でもよいし、接合部11eに孔を形成し、この孔に結合部30の端部を挿入し、ナット等の固定部材で固定してもよい。
【0042】
連結器具1を使用する際には、使用者が第1ダブルクリップ部10のレバー部材12、12を操作して、閉じた状態の一対の側板部11b、11bの先端部を開く。そして、用紙を挿入してレバー部材12、12から手を離すことによって、用紙が第1ダブルクリップ部10によって挟持される。同様に、使用者が第2ダブルクリップ部20のレバー部材22、22を操作して閉じた状態の一対の側板部21b、21bの先端部を開き、用紙を挿入してレバー部材22、22から手を離すことによって、用紙が第2ダブルクリップ部20によって挟持される。これにより、2枚の用紙が連結器具1によって連結される。そして、一方の用紙における連結器具1が取り付けられた側の反対側を持ち上げることにより、2枚の用紙が鉛直方向に並べられる。なお、2枚の用紙を、複数の連結器具1によって連結してもよいことは言うまでもない。
【0043】
このように構成された第1の実施形態によれば、第1ダブルクリップ部10及び第2ダブルクリップ部20に用紙を挟持させることによって、2枚の用紙を簡単に連結することができ、しかも、第1ダブルクリップ部10及び第2ダブルクリップ部20の操作によって側板部11b、11b或いは側板部21b、21bの先端部を開くことによって、用紙を傷付けることなく、容易に連結を解除することができる。
【0044】
また、連結器具1によって連結された2枚の用紙が鉛直方向に上下に並べられた場合に、第1ダブルクリップ部10の重心及び第2ダブルクリップ部20の重心が、結合部30の中心軸上に位置するため、結合部30の中心軸に対する第1ダブルクリップ部10の重心及び第2ダブルクリップ部20の重心のずれが低減される。これにより、第1ダブルクリップ部10の中心線或いは第2ダブルクリップ部20の中心線が大きく傾くことがなくなり、第1ダブルクリップ部10の挟持部位或いは第2ダブルクリップ部20の挟持部位が鉛直下方を向くようになる。その結果、第1ダブルクリップ部10又は第2ダブルクリップ部20の挟持部位において用紙に対して斜め方向に働く力を小さくすることができるようになり、第1ダブルクリップ部10或いは第2ダブルクリップ部20の挟持部位において用紙に折り目が付くことが低減される。
【0045】
なお、結合部30を構成する部材は、屈曲性を有していてもいなくてもよい。屈曲性を有している場合には、連結器具1を使用しないときに折り畳んでコンパクトにすることが可能になる。屈曲性を有していない場合には、連結した用紙を例えば机上の平面に置いた場合に、整列させた状態で置くことが可能になる。
【0046】
また、結合部30は、蛍光部材や、蛍光塗料を塗布した部材を用いてもよい。このように構成することで、連結器具1を使用した部位を目立たせることができる。
【0047】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態における連結器具2の外観を示す説明図であり、図2(a)は側面図、図2(b)は本発明の第2の実施形態における連結器具2に係る第1ダブルクリップ部40を底板部11aの外面側から視認した図である。なお、第2の実施形態における連結器具2における部材と同一の部材或いは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0048】
連結器具2は、第1ダブルクリップ部40と、第2ダブルクリップ部41と、結合部42と、を備えている。
【0049】
図1に示す第1の実施形態に係る第1ダブルクリップ部10において底板部11aの中心に接合部11eが形成されている。これに対し、図2に示す第2の実施形態に係る第1ダブルクリップ部40によれば、底板部11aに、図1に示す接合部11eの代わりに、底板部11aに中心を挟んで2つの接合部11fが形成されている。底板部11aの中心は2つの接合部11fの中心を結ぶ仮想線の中央に配置され、この仮想線は、底板部11aの幅方向に対して平行である。各接合部11fは、それぞれ接合部11fの中心を結ぶ仮想線と第1ダブルクリップ部10の側縁との中心を通り、仮想線と平行して延びる補助仮想線上に配置されている。
【0050】
第1ダブルクリップ部40において上記の点以外の構成は、図1に示す第1の実施形態に係る第1ダブルクリップ部10と同一である。このため、第1ダブルクリップ部40の重心は、底板部11aの中心と側板部11b、11bの先端部の当接部位(以下、第1ダブルクリップ部40の挟持部位と称する)の中央とを結ぶ仮想線上に位置する。以下、この仮想線を第1ダブルクリップ部40の中心線と称する。
【0051】
第2ダブルクリップ部41は、第1ダブルクリップ部40と同一の部材である。第2ダブルクリップ部41の底板部21aに、底板部21aの中心を挟んで2つの接合部21fが形成されている。この2つの接合部21fが第1ダブルクリップ部40の2つの接合部11fに対応する。
【0052】
結合部42は、複数(図2に示す例では2本)の棒状のコイルバネ部材42a、42aからなる。2本のコイルバネ部材42a、42aは同一の部材であり、可撓性及び伸縮性を有している。
【0053】
結合部42の中心軸は、第1ダブルクリップ部40の補助仮想線上(接合部11f)及び第2ダブルクリップ部41の補助仮想線上(接合部21f)を通る。
【0054】
結合部42は、底板部11aの外面と底板部21aの外面とを対向させ、第1ダブルクリップ部40の中心線及び補助仮想線と第2ダブルクリップ部41の中心線及び補助仮想線を同一線上に配置した状態で、一端部を第1ダブルクリップ部40の接合部11fに結合し、他端部を第2ダブルクリップ部41の接合部21fに結合する。これにより、連結器具2が組み立てられる。
【0055】
連結器具2において、第1ダブルクリップ部40と第2ダブルクリップ部41とは互いに180度反転した位置にあり、第1ダブルクリップ部40の挟持部位と第2ダブルクリップ部41の挟持部位とは互いに反対方向を向いている。連結器具2は、連結器具1と同様に第1ダブルクリップ部40を1枚目の用紙の下部に取り付け、第2ダブルクリップ部41を1枚目の用紙の上部に取り付けることによって2枚の用紙を連結する。
【0056】
このように構成された第2の実施形態によれば、第1ダブルクリップ部40と第2ダブルクリップ部41とは、第1ダブルクリップ部40及び第2ダブルクリップ部41の底板部11aの板面の中心を通りかつ板面の幅方向に延び仮想線と、2本の補助仮想線が交差する点の2箇所である。このため、第1ダブルクリップ部40及び第2ダブルクリップ部41の重心を、複数の補助仮想線上に均等に分散し、結合部42の中心軸上に位置付けることができる。これにより、図1に示す第1の実施形態の連結器具1と同様の作用効果を奏する。
【0057】
また、第1ダブルクリップ部40と第2ダブルクリップ部41とが2本のコイルバネ部材42a、42aによって結合されているため、第1ダブルクリップ部40と第2ダブルクリップ部41との結合を強固なものにすることが可能になり、用紙を安定して連結することが可能になる。また、例えば、下の用紙に対して回転方向の力が加わった場合に、用紙とともに第2ダブルクリップ部41が若干回動して元に戻るため、第2ダブルクリップ部41の挟持部位の両側部に位置する用紙の部位に折り曲げ痕が付くことを低減することができる。また、結合部42が伸縮性を有することにより、第1ダブルクリップ部40と第2ダブルクリップ部41との間をできるだけ近づけることができる。
【0058】
[第3の実施形態]
図3は、本発明の第3の実施形態における連結器具3の外観を示す説明図であり、図3(a)は側面図、図3(b)は本発明の第3の実施形態における連結器具3に係る第1ダブルクリップ部40を底板部11aの外面側から視認した図である。なお、第2の実施形態における連結器具2における部材と同一の部材或いは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0059】
連結器具3は、図2に示す第2の実施形態の連結器具2における結合部42の代わりに結合部52を備えている。
【0060】
結合部52は、複数(図2に示す例では2本)のチェーン部材52a、52aからなる。2本のチェーン部材52a、52aは同一の部材であり、変形自在である。
【0061】
このように構成された第3の実施形態によれば、図2に示す第2の実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第1ダブルクリップ部40と第2ダブルクリップ部41とが2本のチェーン部材52a、52aによって結合されているため、用紙を安定して連結することが可能になる。また、連結器具1を使用しないときに折り畳んでコンパクトにすることが可能になる。また、水平方向に延びる棒状部材に連結器具3のチェーン部材52a、52aを掛けることによって、2枚の用紙を互いに対向させて吊り下げることが可能になる。
【0062】
[第4の実施形態]
図4は、本発明の第4の実施形態における連結器具4の外観を示す説明図であり、図4(a)は側面図、図4(b)は本発明の第4の実施形態における連結器具4に係る第1ダブルクリップ部60を底板部11aの外面側から視認した図である。なお、第1の実施形態における連結器具1における部材と同一の部材或いは同一機能の部材については同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略する。
【0063】
連結器具4は、第1ダブルクリップ部60と、第2ダブルクリップ部61と、結合部62と、を備えている。
【0064】
図1に示す第1の実施形態に係る第1ダブルクリップ部10において底板部11aの中心に接合部11eが形成されている。これに対して、図4に示す第4の実施形態に係る第1ダブルクリップ部60は、図1に示す接合部11eの代わりに、筒状のチューブ部材60aを底板部11aに固定したものである。
【0065】
チューブ部材60aの両端部は、チューブ部材60aの中央部の軸方向に対して直角に同じ方向に向けられている。底板部11aの中心はチューブ部材60aの中央に配置され、チューブ部材60aの両端部は底板部11aの中心に対して等距離に位置する。また、チューブ部材60aは、底板部11aの幅方向に対して平行に延びている。
【0066】
第2ダブルクリップ部61は、第1ダブルクリップ部60と同一の部材である。なお、第2ダブルクリップ部61には、チューブ部材60aに対応するチューブ部材61aを備えている。
【0067】
結合部62は、リング状のチェーン部材によって構成されており、一部が連結及び連結解除自在である。
【0068】
そして、第1ダブルクリップ部60の底板部11aの外面と第2ダブルクリップ部61の底板部21aの外面とを対向させ、結合部62の一部の連結を解除させてその一端部を第1ダブルクリップ部60のチューブ部材60aに通し、更に、第2ダブルクリップ部61のチューブ部材61aに通して、結合部62の一端部と他端部とを連結することにより、連結器具4が組み立てられる。
【0069】
連結器具4において、第1ダブルクリップ部60と第2ダブルクリップ部61とは互いに180度反転した位置にあり、第1ダブルクリップ部60の挟持部位と第2ダブルクリップ部61の挟持部位とは互いに反対方向を向いている。連結器具4は、連結器具1と同様に第1ダブルクリップ部60を1枚目の用紙の下部に取り付け、第2ダブルクリップ部61を1枚目の用紙の上部に取り付けることによって2枚の用紙を連結する。
【0070】
このように構成された第4の実施形態によれば、図3に示す第3の実施形態と同様の作用効果を奏する。また、第1ダブルクリップ部60と第2ダブルクリップ部61とがチューブ部材60a、61a及びリング状の結合部62によって結合されているため、用紙を安定して連結することが可能になる。また、連結器具1を使用しないときに折り畳んでコンパクトにすることが可能になる。また、水平方向に延びる棒状部材に連結器具4のリング状の結合部62を掛けることによって、2枚の用紙を互いに対向させて吊り下げることが可能になる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上述した実施形態に限るものではない。例えば、また、本実施形態によれば、結合部として棒状部材や線状部材を用いているが、他にも帯状部材や板状部材や紐状部材を用いることも可能である。要は、第1ダブルクリップ部の重心と第2ダブルクリップ部の重心とが、結合部62の中心軸上に配置できるのであれば、結合方法や結合部を構成する部材は問わない。
【0072】
また、上述した本実施形態によれば、2枚の用紙を連結しているが、2枚に限るものではなく、鉛直方向に複数枚直列に連結してもよい。更には、用紙を左右にも連結して上下左右に拡大するように連結してもよい。また、上述した本実施形態によれば、用紙を連結しているが、連結対象は用紙に限るものではなく、第1ダブルクリップ部と第2ダブルクリップ部とが挟持可能な物品であれば連結可能である。更に、第1ダブルクリップ部と第2ダブルクリップ部とが同じ物品を挟持する必要はなく、違う物品であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1~4 連結器具
10、40、60 第1ダブルクリップ部
11、21 クリップ本体
11a、21a 底板部
11b、21b 側板部
11c、21c 軸受け部
11d、21d 反り部
11e、11f、21e、21f 接合部
12、22 レバー部材
12a、22a 摘み部
12b、22b 回動軸
20、41、61 第2ダブルクリップ部
30、42、52、62 結合部
42a コイルバネ部材
52a チェーン部材
60a、61a チューブ部材
図1
図2
図3
図4