IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ライズの特許一覧

特開2024-100298根固め又は護床の施工に使用する残存型枠
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100298
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】根固め又は護床の施工に使用する残存型枠
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/00 20060101AFI20240719BHJP
   E02B 3/04 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
E02B3/00
E02B3/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004183
(22)【出願日】2023-01-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】502268896
【氏名又は名称】株式会社ライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100205512
【弁理士】
【氏名又は名称】出雲 暖子
(72)【発明者】
【氏名】依田 光宏
(72)【発明者】
【氏名】中濃 耕司
【テーマコード(参考)】
2D118
【Fターム(参考)】
2D118AA05
2D118AA10
2D118AA28
2D118BA03
2D118BA05
2D118CA02
2D118CA07
2D118FB22
(57)【要約】
【課題】本発明は、施工期間が短縮でき、コストが抑えられ、工事を行う現場で組み立てることができるなど施工が容易な根固め又は護床の施工に使用する残存型枠及び前記残存型枠を用いた根固め又は護床の施工方法を提供する。
【解決手段】 本発明の根固め又は護床の施工に使用する残存型枠1は、複数のコンクリート充填部2と、コンクリート非充填部3、とを備える。前記コンクリート充填部2は、向かい合う一対の第一側壁21と、向かい合う一対の第二側壁23とで囲まれる。隣り合うコンクリート充填部2は連結される。前記第一側壁21及び前記第二側壁23は、棒状体4と前記棒状体4に固定された板状体6を備える。前記コンクリート非充填部3は、少なくとも、前記第一側壁21又は前記第二側壁23の上端の高さから、前記第一側壁21又は前記第二側壁23の下端の高さまで、連続した空間35を備える。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンクリート充填部と、コンクリート非充填部、とを備える残存型枠であって、
前記コンクリート充填部は、向かい合う一対の第一側壁と、向かい合う一対の第二側壁と、で囲まれ、
隣り合うコンクリート充填部は連結され、
前記第一側壁及び前記第二側壁は、棒状体と前記棒状体に固定された板状体とを備え、
前記コンクリート非充填部は、少なくとも、前記第一側壁又は前記第二側壁の上端の高さから、前記第一側壁又は前記第二側壁の下端の高さまで、連続した空間を備える、
根固め又は護床の施工に使用する残存型枠
【請求項2】
前記コンクリート非充填部は、コンクリート充填部の略中央部に備える、
請求項1に記載の残存型枠。
【請求項3】
前記コンクリート非充填部は、隣り合うコンクリート充填部とコンクリート充填部との間に備える、
請求項1に記載の残存型枠。
【請求項4】
前記棒状体は、複数の貫通孔を有する板状の固定部と、前記固定部の長手方向の両端を同方向に屈曲させる脚部と、を備え、
前記棒状体の脚部は複数の透孔を備える
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の残存型枠。
【請求項5】
前記板状体は、平割材である、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の残存型枠。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の残存型枠を用いる根固め又は護床の施工方法であって、
前記第一側壁及び前記第二側壁を組み立てる側壁組立工程と、
前記第一側壁と前記第二側壁とを連結して前記コンクリート充填部を組立てるコンクリート充填部組立工程と、
前記コンクリ―ト非充填部を設けるコンクリート非充填部設置工程と、
前記コンクリート充填部にコンクリートを充填するコンクリート充填工程と、
を備える、根固め又は護床の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート製の根固め又は護床の施工に使用する残存型枠及び前記残存型枠を用いた根固め又は護床の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、河川、海岸等での洗堀防止、浸食防止等のためにコンクリートブロックを敷き並べる根固めや護床の施工が行われている。河川等の状況によっては、設置場所で型枠を組みながらコンクリートを打設し、型枠を外すという工法が行われている。
【0003】
しかしながら、型枠を外す作業は労力がかかり、施工期間が長くなるという問題点がある。一方、残存型枠の場合、残存型枠のコストがかかるという問題点がある。
【0004】
残存型枠を用いたコンクリートブロックとして、特許文献1は、枠付きコンクリートブロックを容易に作成しうる井桁枠と前記井桁枠を使用した護床工法が開示されているが、井桁枠は工事を行う現場ではない場所で組み立てて、現場まで搬送し、クレーン等で釣り上げて施工場所に敷き並べなくてはならず、コストがかかり、施工期間が長くなり、施工が難しいという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-173396号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、施工期間が短縮でき、コストが抑えられ、工事を行う現場で組み立てることができるなど施工が容易な根固め又は護床の施工に使用する残存型枠及び前記残存型枠を用いた根固め又は護床の施工方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は次の内容のものである。
【0008】
根固め又は護床の施工に使用する残存型枠は、
複数のコンクリート充填部と、コンクリート非充填部、とを備え、
前記コンクリート充填部は、向かい合う一対の第一側壁と、向かい合う一対の第二側壁とで囲まれ、
隣り合う前記コンクリート充填部は連結され、
前記第一側壁及び前記第二側壁は、棒状体と前記棒状体に固定された板状体とを備え、
前記コンクリート非充填部は、少なくとも、前記第一側壁又は前記第二側壁の上端の高さから、前記第一側壁又は前記第二側壁の下端の高さまで、連続した空間を備える。
【0009】
前記コンクリート非充填部は、コンクリート充填部の略中央部に備える。
【0010】
前記コンクリート非充填部は、隣り合うコンクリート充填部とコンクリート充填部との間に備えてもよい。
【0011】
前記棒状体は、複数の貫通孔を有する板状の固定部と、前記固定部の長手方向の両端を同方向に屈曲させる脚部と、を備え、
前記棒状体の脚部は複数の透孔を備える。
【0012】
前記板状体は、平割材である。
【0013】
前記残存型枠を用いる根固め又は護床の施工方法は、
前記第一側壁及び前記第二側壁を組み立てる側壁組立工程と、
前記第一側壁と前記第二側壁とを連結して前記コンクリート充填部を組立てるコンクリート充填部組立工程と、
前記コンクリ―ト非充填部を設けるコンクリート非充填部設置工程と、
前記コンクリート充填部にコンクリートを充填するコンクリート充填工程と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明の根固め又は護床の施工に使用する残存型枠は、工事を行う現場で組み立てることができ、コストが抑えられる。前記残存型枠を用いた根固め又は護床の施工方法は、施工期間が短縮でき、容易に施工できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の残存型枠の第一の例を示す平面図である。
図2】本発明の残存型枠の第一の例を示す正面図である。
図3】本発明の残存型枠の第一の例を示す底面図である。
図4】本発明の残存型枠の第一の例を示す左側面図である。
図5】本発明の残存型枠の第一の例を示す部分拡大平面図である。
図6】本発明の残存型枠の第一の例を示す部分拡大正面図である。
図7】本発明の残存型枠の第一の例を示す部分拡大底面図である。
図8】本発明の残存型枠の第一の例を示す部分拡大左側面図である。
図9】本発明の残存型枠の第一の例を示す平面図のA-A断面図である。
図10】本発明の残存型枠の第一の例を示す平面図のB-B断面図である。
図11】本発明の残存型枠の第二の例を示す平面図である。
図12】本発明の残存型枠の第二の例を示す正面図である。
図13】本発明の残存型枠の第二の例を示す底面図である。
図14】本発明の残存型枠の第二の例を示す左側面図である。
図15】本発明の残存型枠の第二の例を示す部分拡大平面図である。
図16】本発明の残存型枠の第二の例を示す部分拡大正面図である。
図17】本発明の残存型枠の第二の例を示す部分拡大底面図である。
図18】本発明の残存型枠の第二の例を示す部分拡大左側面図である。
図19】本発明の残存型枠の第二の例を示すC-C断面図である。
図20】本発明の残存型枠の第二の例の別の例を示す部分左側面図である。
図21】本発明の残存型枠の第二の例の別の例を示す左側面の部分断面図である。
図22】本発明の残存型枠に使用する棒状体の一例を示す部分正面図である。
図23】本発明の残存型枠に使用する棒状体の一例を示す部分平面図である。
図24】本発明の残存型枠に使用する棒状体の一例を示す部分左側面図である。
図25】本発明の残存型枠に使用する棒状体の一例を示すD-D断面図である。
図26】本発明の残存型枠を使用して施工した根固めの完成概略図(平面図)である。
図27】本発明の別の例の残存型枠を使用して施工した根固めの完成概略図(平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の例について図を参照しながら説明する。尚、本発明は、以下の形態の例に限定されるものではない。
【0017】
本発明の根固め又は護床の施工に使用する残存型枠1は、複数のコンクリート充填部2と、コンクリート非充填部3、とを備える。前記コンクリート充填部2は、向かい合う一対の第一側壁21と、向かい合う一対の第二側壁23とで囲まれる。隣り合うコンクリート充填部2は連結される。前記第一側壁21及び前記第二側壁23は、棒状体4と前記棒状体4に固定された板状体6とを備える。前記コンクリート非充填部3は、少なくとも、前記第一側壁21又は前記第二側壁23の上端25の高さから、前記第一側壁21又は前記第二側壁23の下端27の高さまで、連続した空間35を備える(図1~4、11~14)。
【0018】
第一側壁21及び第二側壁23は、棒状体4と前記棒状体4に固定された板状体6を備える。
【0019】
板状体6は特に限定はなく、残存型枠に使用するものであれば良い。一例として、板状体6は、平割材61とする。平割材61使用する場合は、長軸方向が接するように並べ、平割材61の長軸方向と直交するように棒状体4を備えさせて固定する。複数の棒状体4を備えさせてもよい(図5~10、15~21)。
【0020】
一例として、前記棒状体4は、複数の貫通孔411を有する板状の固定部41と、前記固定部41の長手方向の両端を同方向に屈曲させる脚部43と、を備える。脚部43の端部433を板状体6に当接させ、固定手段5を用いて棒状体4と板状体6とを固定する。一例として、棒状体4の固定部41の貫通孔411の全て又は一部をバーリング穴とすることにより、固定手段5としてボルト51を用いて、簡単に固定することができる。固定部41に設ける貫通孔411を複数にすることにより、棒状体4と板状体6とを固定するためにボルト51を使う位置を所望の位置にすることができる(図9、10、19、21~25)。
【0021】
棒状体4の脚部43は複数の透孔431を備える。棒状体4は、根固め又は護床を施工する際に、打設するコンクリート内に残存するものである。脚部43に複数の透孔431を備えさせることにより、バイブレーター等を用いて固まる前のコンクリートに振動を与えた際に、コンクリートが脚部43の透孔431から棒状体4の固定部41と脚部43とで囲まれた部分に入る。棒状体4の固定部41と脚部43とで囲まれた部分にも、コンクリートを十分に充填させることができ、根固め又は護床に十分な強度や耐久性を持たせることができる。
【0022】
コンクリート充填部2は、向かい合う一対の第一側壁21と、向かい合う一対の第二側壁23とで囲まれている。コンクリート充填部2は、根固め又は護床を施工する際にコンクリートを打設する部分であるから、コンクリ―トがコンクリート充填部2から外部に流出しないように第一側壁21と第二側壁23とは当接させる。好ましくは、第一側壁21と第二側壁23とは固定させる(図1、5、11、15)。
【0023】
一例として、向い合う第一側壁21又は第二側壁23の間には支持部材7を備えさせる。支持部材7は、向かい合う第一側壁21同士、又は、向かい合う第二側壁23同士を固定するものである。支持部材7は、第一側壁21又は第二側壁23の高さ、幅、面積、固定状態等によって、適切な数を備えさせればよい。図1~21は、水平方向に2本、鉛直方向に2本の支持部材7を備えさせた例を示す。
【0024】
支持部材7は、特に限定はなく、一例として、鉄筋やセパボルトを用いる。第一側壁21及び第二側壁23に貫通孔411を備える棒状体4を用いることにより、向かい合う第一側壁21同士、又は、向かい合う第二側壁23同士は、棒状体4の貫通孔411を利用して、セパボルトを用いて鉄筋を固定する。
【0025】
一例として、複数のコンクリート充填部2は、連結手段8により連結する。コンクリート充填部2を相互に連結する手段に限定はないが、一例として、第一側壁21及び第二側壁23に貫通孔81を設け、貫通孔81に連結手段8として鉄筋などを挿通するなどすればよい。
【0026】
コンクリート非充填部3は、根固め又は護床が完成した後に、下方からの水圧を逃がし、根固め又は護床が河床などから浮き上がるのを防止するためのものである。そのため、少なくとも、前記第一側壁21又は前記第二側壁23の上端25の高さから、前記第一側壁21又は前記第二側壁23の下端27の高さまで、連続した空間35を備える必要がある。
【0027】
コンクリート充填部2及びコンクリート非充填部3について、第一の例を説明する(図1~10)。
【0028】
第一の例のコンクリート充填部2Aは、隣り合うコンクリ―ト充填部2Aの第一側壁21及び第二側壁2を、共通する1枚とする。第一側壁21及び第二側壁23として共通する1枚を用いることにより、より施工の手間を削減することができる。
【0029】
第一の例のコンクリート充填部2Aにおいて、支持部材7は、向かい合う第一側壁21同士、又は、向かい合う第二側壁23同士を固定するために必要な箇所に備えさせれば良い。例えば、図1に示すように、コンクリート充填部2A-1、2A-3、2A-7、2A-9について、向かい合う第一側壁21同士、及び、向かい合う第二側壁23同士を固定するように支持部材7を備えさせた場合、コンクリート充填部2A-2、2A-8は、向かい合う第一側壁21同士のみに支持部材7を備えさせればよい。コンクリート充填部2A-4、2A-6は、向かい合う第二側壁23同士のみに支持部材7を備えさせればよく、コンクリート充填部2A-5は、支持部材7を備えさせなくてもよい。
【0030】
第一の例のコンクリート非充填部3Aは、コンクリート充填部2Aの水平方向の略中央部に備える。コンクリート非充填部3Aは、例えば、筒状体37をコンクリート充填部2Aの略中央部に直立させるなどする。筒状体37は、特に限定はなく、一例として、土木工事に一般的に用いられるボイドを使えばよい。(図1、3、5、7、9)。
【0031】
筒状体37の上端373の高さは、第一側壁21又は前記第二側壁23の上端25の高さ以上になるようにする。筒状体37の下端375の高さは、第一側壁21又は前記第二側壁23の下端27の高さと同じ又は下端27より低くする。残存型枠1を用いて根固め又は護床を施工する際、コンクリート充填部2Aに充填するコンクリートが、コンクリート非充填部3Aに流入するのを防止するためである(図2、4、6、8、9、10)。
【0032】
(第二の例)
コンクリート充填部2及びコンクリート非充填部3について、第二の例を説明する(図11~21)
【0033】
第二の例のコンクリート充填部2Bは、向かい合う一対の第一側壁21bと、向かい合う一対の第二側壁23bとで囲まれた平面視が矩形の筒状体とし、コンクリート充填部2Bを複数、備えさせる。各コンクリート充填部2Bには、それぞれ支持部材7を備えさせる。各コンクリート充填部2Bは、好ましくは、それぞれ自立するものとする。それぞれの各コンクリート充填部2Bは、連結手段8により、連結される。
【0034】
第二の例の別の例として、第一側壁21bと第二側壁23bの少なくとも一方は、鉛直方向の略中央部から下方に向けて幅が狭くなるようにしてもよい。(図20、21)
【0035】
第二の例のコンクリート非充填部3Bは、筒状体のコンクリート充填部2Bと隣接する筒状体のコンクリート充填部2Bとのに備える。一例として、隣り合うコンクリート充填部2Bは間隔を開けて配設して空間35を設けることにより、コンクリート非充填部3Bを備えさせる(図11~14)。
【0036】
次に本発明の残存型枠1を用いる根固め又は護床の施工方法について説明する。
【0037】
残存型枠1を用いる根固め又は護床の施工方法は、
前記第一側壁21及び前記第二側壁23を組み立てる側壁組立工程と、
前記第一側壁21と前記第二側壁23とを連結して前記コンクリート充填部2を組立てるコンクリート充填部組立工程と、
前記コンクリ―ト非充填部3を設けるコンクリート非充填部設置工程と、
前記コンクリート充填部2にコンクリートを充填するコンクリート充填工程と、
を備える。
【0038】
側壁組立工程は、所望の大きさの板状体6に、固定手段5を用いて棒状体4を固定し、第一側壁21及び第二側壁23を組み立てる工程である。一例として、板状体6として平割材61を用いる場合、所望の大きさに切断した平割材6を、平割材6の長軸方向が接するようにして並べる。次に、棒状体4を平割材61の長軸方向と直交するように配設し、棒状体4と平割材61とを固定手段5を用いて固定する。一例として、棒状体4の脚部43の端部433が平割材61に接するように配置し、棒状体4の固定部41に設けた貫通孔411から全ての平割材にボルト51を備えさせるようにすることにより、棒状体4と平割材61を固定して、第一側壁21及び第二側壁23を組立てる。この工程は、残存型枠1を設置する現場で組み立てることができる、コストが抑えられる。平割材61を使用することにより、更に、容易に施工でき、コストは押さえられる。
【0039】
コンクリート充填部組立工程は、第一側壁21と第二側壁23とを固定して、複数のコンクリート充填部2を組立てる工程である。第一側壁21と第二側壁23とを連結する方法に限定はなく、施工現場の状況等により、所望の方法を選択することができる。第一側壁21及び第二側壁23の板状体6として平割材61を用いることにより、第一側壁21と第二側壁23とは、平割材61同士を釘などで容易に接合でき、容易に施工できる。
【0040】
残存型枠1の第一の例を施工する場合における、コンクリート充填部組立工程について説明する。一例として、まず、所望の位置で、平面視が矩形の筒状体のコンクリート充填部2A-1、2A-3、2A-7、2A-9を組み立て、コンクリート充填部2Aに支持部材7を配設する。次に、コンクリート充填部2A-1と2A-3とを第二側壁23aで固定し、コンクリート充填部2A-1と2A-7とを第一側壁21aで固定し、コンクリート充填部2A-3と2A-9とを第二側壁23aで固定し、コンクリート充填部2A-3と2A-9とを第一側壁21aで固定する。コンクリート充填部2A-2、2A-4、2A-6、2A-8には、それぞれ必要な場所に支持部材7を配設する(図1)。
【0041】
残存型枠1の第一の例を施工する場合、コンクリート充填部組立工程の別の例としては、所望の位置に延伸させた第一側壁21aを、複数、配設する。向い合う第一側壁21aと第一側壁21aとの間に、複数の第二側壁23aを、所望の間隔で配設して固定することにより、コンクリート充填部2Aを組立てる。この場合も、各コンクリート充填部2Aには、必要な場所に支持部材7を配設する。
【0042】
残存型枠1の第二の例を施工する場合における、コンクリート充填部組立工程について説明する。一例として、向かい合う一対の第一側壁21bの両端と、一対の第二側壁23bの両端とを接合し、平面視が矩形の筒状体を組立て、その後、支持部材7を配設する。この作業を繰り返すことにより、複数のコンクリート充填部2Bを組立てる(図11)。
【0043】
コンクリート非充填部設置工程は、根固め又は護床を施工する箇所にコンクリ―ト充填部2を設置しコンクリ―ト非充填部3を設ける工程である。残存型枠1の第一の例を施工する場合は、コンクリート充填部2Aの略中央部に筒状体37を設置する。一例として、筒状体37は、コンクリート打設施工の際に通常用いられるボイドを用いる(図1)。
【0044】
残存型枠1の第二の例を施工する場合は、複数のコンクリート充填部2Bを配設するときに、隣り合うコンクリート充填部2Bの間に間隔を設けて配設することにより、コンクリート非充填部3Bを設ける。 (図11)。
【0045】
一例として、コンクリート充填部2A、2Bを所望の位置に配設した後、隣り合うコンクリート充填部2A、2Bは連結手段8を用いて連結する。連結の方法は、特に限定はなく、施工完了後に各コンクリート充填部を配設した位置から、移動することを防止できれば良い。一例として、隣り合うコンクリート充填部2A、又は2Bの第一側壁21又は第二側壁23に鉄筋を貫通させる等する(図1、11)。
【0046】
コンクリート充填工程は、コンクリート充填部2にコンクリート9を充填する工程である。コンクリートを充填する際は、コンクリート非充填部3にコンクリートが入らないように留意する。コンクリート9が固まったら、根固め又は護床の完成である。第一の例の場合、筒状体37は取り除いてもよい(図26、27)。残存型枠1は取り外す必要はなく、施工期間が短縮できる。
【符号の説明】
【0047】
1 残存型枠
2、2A、2B コンクリート充填部
21、21a、21b 第一側壁
23、23a、23b 第二側壁
25 上端
27 下端
3、3A、3B コンクリート非充填部
31 上端
33下端
35 空間
37 筒状体
373 上端
375 下端
4 棒状体
41 固定部
411 貫通孔
43 脚部
431 透孔
433 端部
5 固定手段
51 ボルト
6 板状体
61 平割材
7 支持部材
8 連結手段
81 貫通孔
9 コンクリート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
【手続補正書】
【提出日】2023-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンクリート充填部と、コンクリート非充填部、とを備える残存型枠であって、
前記コンクリート充填部は、向かい合う一対の第一側壁と、向かい合う一対の第二側壁と、で囲まれ、
隣り合うコンクリート充填部は連結され、
前記第一側壁及び前記第二側壁は、棒状体と前記棒状体に固定された板状体とを備え、
前記棒状体は、複数の貫通孔を有する板状の固定部と、前記固定部の長手方向の両端を同方向に屈曲させる脚部と、を備え、
前記棒状体の脚部は複数の透孔を備え、
前記コンクリート非充填部は、少なくとも、前記第一側壁又は前記第二側壁の上端の高さから、前記第一側壁又は前記第二側壁の下端の高さまで、連続した空間を備える、
根固め又は護床の施工に使用する残存型枠。
【請求項2】
前記コンクリート非充填部は、コンクリート充填部の略中央部に備える、
請求項1に記載の残存型枠。
【請求項3】
前記コンクリート非充填部は、隣り合うコンクリート充填部とコンクリート充填部との間に備える、
請求項1に記載の残存型枠。
【請求項4】
前記板状体は、平割材である、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の残存型枠。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の残存型枠を用いる根固め又は護床の施工方法であって、
前記第一側壁及び前記第二側壁を組み立てる側壁組立工程と、
前記第一側壁と前記第二側壁とを連結して前記コンクリート充填部を組立てるコンクリート充填部組立工程と、
前記コンクリ―ト非充填部を設けるコンクリート非充填部設置工程と、
前記コンクリート充填部にコンクリートを充填するコンクリート充填工程と、
を備える、根固め又は護床の施工方法。

【手続補正書】
【提出日】2023-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の残存型枠を用いる根固め又は護床の施工方法であって、
前記第一側壁及び前記第二側壁を組み立てる側壁組立工程と、
前記第一側壁と前記第二側壁とを連結して前記コンクリート充填部を組立てるコンクリート充填部組立工程と、
前記コンクリ―ト非充填部を設けるコンクリート非充填部設置工程と、
前記コンクリート充填部にコンクリートを充填するコンクリート充填工程と、
を備える、根固め又は護床の施工方法。