(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100304
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240719BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G03G15/08 347
G03G15/08 322
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004205
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿田 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】大久保 貴弘
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA12
2H077AA14
2H077AB02
2H077AB13
2H077AB14
2H077AC02
2H077AD06
2H077DA15
2H077DA34
2H077DA83
2H270LA24
2H270LA87
2H270MA18
2H270MB27
2H270MB33
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】各色のトナーホッパーのトナーを適当な充填状態に保つことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、入力画像データに基づいて複数の色のトナーによる画像を形成する。画像形成装置は、予め定められたサンプリング周期ごとにトナーホッパー913内のトナーの有無を検知するための検知部920と、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給するための制御部100とを備える。制御部100は、検知部920の無し検知が連続する無し検知連続回数が閾値Th1を超えた場合に、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給し、かつ、検知部920の有り検知が連続する有り検知連続回数が閾値Th2を超えた場合に、トナーホッパー913へのトナーの補給を停止する。制御部100は、入力画像データにおける各色の画像濃度に応じて、色ごとに閾値Th1,Th2を設定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データに基づいて複数の色のトナーによる画像を形成する画像形成装置であって、
対応する色のトナーを収容するトナーボトルと、
前記トナーボトルから補給されるトナーを一時的に蓄えるトナーホッパーと、
前記トナーホッパーからトナーの補給を受ける現像部と、
予め定められたサンプリング周期ごとに前記トナーホッパー内のトナーの有無を検知するための検知部と、
前記トナーボトルから前記トナーホッパーにトナーを補給するための制御部とを備え、
前記制御部は、前記検知部の無し検知が連続する無し検知連続回数が第1の閾値を超えた場合に、前記トナーボトルから前記トナーホッパーにトナーを補給し、かつ、
前記検知部の有り検知が連続する有り検知連続回数が第2の閾値を超えた場合に、前記トナーボトルから前記トナーホッパーへのトナーの補給を停止するように構成され、
前記制御部は、前記入力画像データにおける各色の画像濃度に応じて、色ごとに前記第1の閾値および前記第2の閾値を設定する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、対応する色の画像濃度が高くなるに従って、当該色の前記第1の閾値を低下させるとともに、前記第2の閾値を増加させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部はさらに、前記画像形成装置の周囲の環境を示す環境情報に基づいて、各色の前記第1の閾値および前記第2の閾値を調整する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記環境情報に基づいて、対応する色のトナーの流動性が高い場合には、当該トナーの流動性が低い場合よりも、前記第1の閾値を低下させるとともに、前記第2の閾値を増加させる、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部はさらに、前記複数の色のトナーによる画像が形成される用紙の特性を示す用紙情報に基づいて、各色の前記第1の閾値および前記第2の閾値を調整する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記用紙情報に基づいて、対応する色のトナー付着量が多い場合には、当該トナー付着量が低い場合よりも、前記第1の閾値を低下させるとともに、前記第2の閾値を増加させる、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像部から前記複数の色のトナーの供給を受けてトナー像が形成される感光体と、
前記感光体から前記トナー像が一次転写される中間転写体とをさらに備え、
前記制御部はさらに、一次転写効率を示す情報に基づいて、各色の前記第1の閾値および前記第2の閾値を調整する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、対応する色の前記一次転写効率が低くなるに従って、当該色の前記第1の閾値を低下させるとともに、前記第2の閾値を増加させる、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、対応する色の前記トナーボトル内のトナー残量が少なくなるにつれて当該色の前記第1の閾値を低下させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記無し検知連続回数が前記第1の閾値よりも大きい第3の閾値を超えた場合には、前記トナーボトルの交換を促すための報知を行う、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記トナーボトルが新たなトナーボトルに交換された場合には、前記第1の閾値および前記第2の閾値を初期化する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
入力画像データに基づいて複数の色のトナーによる画像を形成する画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置は、
対応する色のトナーを収容するトナーボトルと、
前記トナーボトルから補給されるトナーを一時的に蓄えるトナーホッパーと、
前記トナーホッパーからトナーの補給を受ける現像部とを含み、
前記入力画像データにおける各色の画像濃度に応じて、色ごとに第1の閾値および第2の閾値を設定するステップと、
予め定められたサンプリング周期ごとに前記トナーホッパー内のトナーの有無を検知するステップと、
無し検知が連続する無し検知連続回数が第1の閾値を超えた場合に、前記トナーボトルから前記トナーホッパーにトナーを補給するステップと、
有り検知が連続する有り検知連続回数が第2の閾値を超えた場合に、前記トナーボトルから前記トナーホッパーへのトナーの補給を停止するステップとを含む、制御方法。
【請求項13】
入力画像データに基づいて複数の色のトナーによる画像を形成する画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置は、
対応する色のトナーを収容するトナーボトルと、
前記トナーボトルから補給されるトナーを一時的に蓄えるトナーホッパーと、
前記トナーホッパーからトナーの補給を受ける現像部とを含み、
コンピュータに、
前記入力画像データにおける各色の画像濃度に応じて、色ごとに第1の閾値および第2の閾値を設定するステップと、
予め定められたサンプリング周期ごとに前記トナーホッパー内のトナーの有無を検知するステップと、
無し検知が連続する無し検知連続回数が第1の閾値を超えた場合に、前記トナーボトルから前記トナーホッパーにトナーを補給するステップと、
有り検知が連続する有り検知連続回数が第2の閾値を超えた場合に、前記トナーボトルから前記トナーホッパーへのトナーの補給を停止するステップとを備える処理を実行させるための、画像形成装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置の制御に関し、特に、電子写真方式の画像形成装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では現像剤としてトナーが用いられる。従来、画像形成装置では、トナーを収容するトナーボトルからトナーホッパー(トナー貯留部)で一旦トナーの補給を受け、トナーホッパーから現像部へトナーの補給量を制御することによって、現像部へのトナーの安定供給を実現している。
【0003】
特開2016-177008号公報(特許文献1)には、各色のトナー貯留部に対して、トナー貯留部内のトナー残量を検出するトナー残量センサーを設けた画像形成装置が開示されている。トナー残量センサーは、トナー残量に応じたパルス信号を出力する。画像形成装置は、パルス信号を色ごとにカウントし、カウントされるパルス数が予め定められた設定パルス数に達するまでに要するカウント期間を、色ごとのトナー残量としてサンプリングする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の画像形成装置では、トナーホッパー内のトナー残量が予め定められた閾値を下回ったことに応じて、トナーボトルからトナーホッパーにトナーが補給される。その一方で、トナーの流動性が色ごとに異なる場合には、トナーの流動性に依存してトナーボトルからのトナー補給量にばらつきが生じる場合がある。そのため、各色のトナーホッパーをトナーを満たした状態に保つためには、色ごとに閾値を設定することが求められる。
【0006】
また、トナーホッパー内では常時、現像部へのトナー補給とトナーボトルからのトナー補給とが繰り返されるが、画像形成に消費されるトナーの量は対応する色の画像濃度に応じて変動するため、画像濃度に依存して、現像装置から要求されるトナー補給量も変動する。したがって、トナーホッパーをトナーを満たした状態に保つためには、トナーホッパー内のトナー残量の動的な変化に追従してトナーを補給する必要がある。
【0007】
本開示の目的は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、ある局面における目的は、各色のトナーホッパーのトナーを適当な充填状態に保つことが可能な画像形成装置を提供することである。他の局面における目的は、各色のトナーホッパーのトナーを適当な充填状態に保つことが可能な制御方法を提供することである。さらに他の局面における目的は、各色のトナーホッパーのトナーを適当な充填状態に保つことが可能な制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある局面に従うと、入力画像データに基づいて複数の色のトナーによる画像を形成する画像形成装置が提供される。画像形成装置は、対応する色のトナーを収容するトナーボトルと、トナーボトルから補給されるトナーを一時的に蓄えるトナーホッパーと、トナーホッパーからトナーの補給を受ける現像部と、予め定められたサンプリング周期ごとにトナーホッパー内のトナーの有無を検知するための検知部と、トナーボトルからトナーホッパーにトナーを補給するための制御部とを備える。制御部は、検知部の無し検知が連続する無し検知連続回数が第1の閾値を超えた場合に、トナーボトルからトナーホッパーにトナーを補給し、かつ、検知部の有り検知が連続する有り検知連続回数が第2の閾値を超えた場合に、トナーボトルからトナーホッパーへのトナーの補給を停止するように構成される。制御部は、入力画像データにおける各色の画像濃度に応じて、色ごとに第1の閾値および第2の閾値を設定する。
【0009】
好ましくは、制御部は、対応する色の画像濃度が高くなるに従って、当該色の第1の閾値を低下させるとともに、第2の閾値を増加させる。
【0010】
好ましくは、制御部はさらに、画像形成装置の周囲の環境を示す環境情報に基づいて、各色の第1の閾値および第2の閾値を調整する。
【0011】
好ましくは、制御部は、環境情報に基づいて、対応する色のトナーの流動性が高い場合には、当該トナーの流動性が低い場合よりも、第1の閾値を低下させるとともに、第2の閾値を増加させる。
【0012】
好ましくは、制御部はさらに、複数の色のトナーによる画像が形成される用紙の特性を示す用紙情報に基づいて、各色の第1の閾値および第2の閾値を調整する。
【0013】
好ましくは、制御部は、用紙情報に基づいて、対応する色のトナー付着量が多い場合には、当該トナー付着量が低い場合よりも、第1の閾値を低下させるとともに、第2の閾値を増加させる。
【0014】
好ましくは、画像形成装置は、現像部から複数の色のトナーの供給を受けてトナー像が形成される感光体と、感光体からトナー像が一次転写される中間転写体とをさらに備える。制御部はさらに、一次転写効率を示す情報に基づいて、各色の第1の閾値および第2の閾値を調整する。
【0015】
好ましくは、制御部は、対応する色の一次転写効率が低くなるに従って、当該色の第1の閾値を低下させるとともに、第2の閾値を増加させる。
【0016】
好ましくは、制御部は、対応する色のトナーボトル内のトナー残量が少なくなるにつれて当該色の第1の閾値を低下させる。
【0017】
好ましくは、制御部は、無し検知連続回数が第1の閾値よりも大きい第3の閾値を超えた場合には、トナーボトルの交換を促すための報知を行う。
【0018】
好ましくは、制御部は、トナーボトルが新たなトナーボトルに交換された場合には、第1の閾値および第2の閾値を初期化する。
【0019】
他の局面に従うと、入力画像データに基づいて複数の色のトナーによる画像を形成する画像形成装置の制御方法が提供される。画像形成装置は、対応する色のトナーを収容するトナーボトルと、トナーボトルから補給されるトナーを一時的に蓄えるトナーホッパーと、トナーホッパーからトナーの補給を受ける現像部とを含む。制御方法は、入力画像データにおける各色の画像濃度に応じて、色ごとに第1の閾値および第2の閾値を設定するステップと、予め定められたサンプリング周期ごとにトナーホッパー内のトナーの有無を検知するステップと、無し検知が連続する無し検知連続回数が第1の閾値を超えた場合に、トナーボトルからトナーホッパーにトナーを補給するステップと、有り検知が連続する有り検知連続回数が第2の閾値を超えた場合に、トナーボトルからトナーホッパーへのトナーの補給を停止するステップとを含む。
【0020】
さらに他の局面に従うと、入力画像データに基づいて複数の色のトナーによる画像を形成する画像形成装置の制御プログラムが提供される。画像形成装置は、対応する色のトナーを収容するトナーボトルと、トナーボトルから補給されるトナーを一時的に蓄えるトナーホッパーと、トナーホッパーからトナーの補給を受ける現像部とを含む。制御プログラムは、コンピュータに、入力画像データにおける各色の画像濃度に応じて、色ごとに第1の閾値および第2の閾値を設定するステップと、予め定められたサンプリング周期ごとにトナーホッパー内のトナーの有無を検知するステップと、無し検知が連続する無し検知連続回数が第1の閾値を超えた場合に、トナーボトルからトナーホッパーにトナーを補給するステップと、有り検知が連続する有り検知連続回数が第2の閾値を超えた場合に、トナーボトルからトナーホッパーへのトナーの補給を停止するステップとを備える処理を実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、各色のトナーホッパーのトナーを適当な充填状態に保つことができるため、現像装置にトナーを安定的に補給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1に従う画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】実施の形態1に従う画像形成装置の主要な機能的構成を示すブロック図である。
【
図4】トナー補給部の動作を説明するための図である。
【
図5】実施の形態1に従う画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に従う画像形成装置が実行する処理の一部を表すフローチャートである。
【
図7】設定部が実行する処理を表すフローチャートである。
【
図8】閾値と各色の画像濃度との関係を模式的に表す図である。
【
図9】実施の形態2に従う画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図10】補正係数k1を算出するためのマップの一例を示す図である。
【
図11】設定部が実行する処理を表すフローチャートである。
【
図12】実施の形態3に従う画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図13】補正係数k2を算出するためのマップの一例を示す図である。
【
図14】設定部が実行する処理を表すフローチャートである。
【
図15】実施の形態4に従う画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図16】補正係数k3を算出するためのマップの一例を示す図である。
【
図17】設定部が実行する処理を表すフローチャートである。
【
図18】実施の形態5に従う画像形成装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図19】設定部が実行する処理を表すフローチャートである。
【
図20】実施の形態5に従う画像形成装置が実行する処理の一部を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本開示に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0024】
[実施の形態1]
<画像形成装置1の構成>
図1は、実施の形態1に従う画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、
図1に示した画像形成装置1の主要な機能的構成を示すブロック図である。実施の形態1に従う画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー画像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー画像を重ね合わせた後、用紙に二次転写することにより、画像を形成する。
【0025】
画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー画像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0026】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、記憶部70、通信部80、トナー補給部90、および制御部100を備える。
【0027】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)104、RAM(Random Access Memory)106を含む。CPU102は、ROM104から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM106に展開し、展開したプログラムと協働して
図2に示す画像形成装置1の各ブロックの動作を統括的に制御する。このとき、記憶部70に格納されている各種データが参照される。
【0028】
制御部100は、通信部80を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成させる。通信部80は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0029】
記憶部70は、例えば不揮発性メモリまたはハードディスクドライブで構成される。記憶部70は、本実施の形態に従う制御プログラム等を格納する。
【0030】
制御プログラムは、単体のプログラムとしてでなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラムの趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラムによって提供される機能の一部または全部は、線用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラムの処理の一部を実行するいわゆるクラウドサービスのような形態で画像形成装置1が構成されてもよい。
【0031】
画像読取部10は、図示しない走査装置を含んで構成される。走査装置は、図示しないガラス板に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサーの受光面に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、走査装置による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0032】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う。例えば、画像処理部30は、制御部100により制御され、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理、および圧縮処理等を施す。画像処理が施されたR(赤)、G(緑)およびB(青)の各色の画像データは、YMCKの各色の画像データに変換される。これらの処理が施された入力画像データは、画像形成部40に送られる。
【0033】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y,41M,41C,41Kと、中間転写ユニット42とを含んで構成される。
【0034】
Y成分用の画像形成ユニット41Y、M成分用の画像形成ユニット41M、C成分用の画像形成ユニット41C、およびK成分用の画像形成ユニット41Kは、同様の構成を有している。図示および説明の便宜上、共通する構成要素が同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY,M,C,Kを添えて示すこととする。
図1では、Y成分の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M,41C,41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0035】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415を含む。
【0036】
感光体ドラム413は、ドラム径が数十mm程度のアルミニウム製の導電性円筒体の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
【0037】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0038】
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色の画像に対応するレーザー光を照射する。レーザー光の照射を受けて感光体ドラム413の電荷発生層で発生した正電荷が電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。これにより、感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色の静電潜像が形成される。
【0039】
現像装置412は、各色の現像剤(例えばトナーと磁性キャリアーとからなる二成分現像剤)を収容する。現像装置412は、感光体ドラム413の表面に各色のトナーを付着させることにより、静電潜像を可視化してトナー像を形成する。具体的には、現像装置412が有する現像ローラーは、回転しながら現像剤を担持し、現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム413に供給することによって、感光体ドラム413の表面にトナー画像を形成する。現像装置412は「現像部」の一実施例に対応する。
【0040】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0041】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、および二次転写ローラー424を含む。
【0042】
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423の少なくとも1つは駆動ローラーであり、その他は従動ローラーである。駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。中間転写ベルト421は「中間転写体」の一実施例に対応する。
【0043】
一次転写ローラー422は、各色の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー画像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0044】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423aのベルト走行方向下流側に配置されるローラー423bに対向して、中間転写ベルト421の外周面に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がローラー423bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙へトナー画像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0045】
一次転写ニップを中間転写ベルトが通過する際、感光体ドラム413上のトナー画像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー画像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0046】
その後、用紙が二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー画像が用紙に二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙の裏側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー画像が用紙に静電的に転写される。トナー画像が転写された用紙は定着部60に向けて搬送される。
【0047】
定着部60は、トナー画像が二次転写されて搬送されてきた用紙を定着ニップで加熱および加圧することにより、用紙にトナー画像を定着させる。
【0048】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、および搬送経路部53を含む。給紙部51を構成する給紙トレイユニットには、予め設定された種類毎に用紙が収容される。搬送経路部53は複数の反動ローラー対を有する。給紙トレイユニットに収容されている用紙は、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40において、画像形成された用紙は、排紙部52により機外に排紙される。
【0049】
トナー補給部90は、Y,M,C,Kの4色のトナーをそれぞれ収容する4つのトナーボトル911Y,911M,911C,911Kを有しており、現像装置412Y,412M,412C,412Kの各々に対応する色のトナーを補給する。
図1の断面図では、トナー補給部90は画像形成部40の背面(紙面奥方向)に配置されている。トナー補給部90については詳細を後述する。
【0050】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付きの液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)を含み、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等を表示する。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを有しており、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
【0051】
(トナー補給部90)
次に、トナー補給部90の構成および動作について詳細に説明する。
【0052】
図3は、トナー補給部90の構成を示す図である。
図3に示すように、トナー補給部90は、Y成分のトナーを現像装置412Yに補給するためのトナー補給ユニット91Y、M成分のトナーを現像装置412Mに補給するためのトナー補給ユニット91M、C成分のトナーを現像装置412Cに補給するためのトナー補給ユニット91C、およびK成分のトナーを現像装置412Kに補給するためのトナー補給ユニット91Kを含む。
【0053】
トナー補給ユニット91Y,91M,91C,91Kは同様の構成を有する。説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれ区別する場合には符号にY,M,C,Kを添えて示すこととする。
図3では、C成分用のトナー補給ユニット91Cについては、トナー補給ユニット91Cを側面から見たときの模式的な透過図が示されている。
【0054】
トナー補給ユニット91は、トナーボトル911、トナー搬送部912、トナーホッパー913、およびトナー搬送部914を含んで構成される。
【0055】
トナーボトル911は、対応する色のトナーを収容する。トナーボトル911は、トナー補給ユニット91の本体部に対して着脱可能に設けられる。なお、トナー補給ユニット91の本体部は、画像形成装置1と一体として構成される。
【0056】
トナーボトル911は、有底円筒状のボトル部911aと、キャップ911bとを有する。ボトル部911aは、その中心軸線がほぼ水平になるようにトナー補給ユニット91の本体部に載置される。ボトル部911aは、その内周面に中心軸線に関して螺旋状をなして径方向内側に突出するスパイラル部を有する。
【0057】
キャップ911bは、ボトル部911aの開口部を覆うようにボトル部911aに取り付けられる。キャップ911bの周面には、トナー排出口が設けられる。さらに、キャップ911bのトナー排出口に対応する箇所には、本体部へのトナーボトル911の装着時にのみトナー排出口を開放するシャッターが設けられる。シャッターは、本体部へのトナーボトル911の未装着時にトナー排出口を閉鎖するように構成されている。
【0058】
本体部へのトナーボトル911の装着時、ボトル部911aの閉塞部には回転軸の一方端が係合される。回転軸の軸線と閉塞部の中心軸線とは一致している。回転軸の他方端には図示しないモーターが連結される。回転軸の他方端とモーターとの間には、図示しないクラッチが配置される。クラッチが係合状態とされると、モーターの動力を受けて回転軸が回転するとともに、ボトル部911aがその軸線回りに回転する。ボトル部911aが回転すると、ボトル部911aの内部のトナーがスパイラル部の作用によりボトル部911aの開口部に向かって移動し、トナー排出口を通じてトナーボトル911の外部に排出される。クラッチが解放状態とされると、モーターから動力を受けないため、回転軸およびボトル部911aの回転が停止する。よって、トナーはボトル部911aの内部を移動せず、トナー排出口から排出されない。
【0059】
トナー搬送部912は、その一方端がトナー排出口の下方に位置し、他方端がトナーホッパー913まで延びている。トナー搬送部912は、例えば筒状のトナー搬送路912aと、トナー搬送路912aの内部に配置される搬送スクリュー912bとを有する。搬送スクリュー912bはその一方端が図示しないクラッチを介してモーターに連結される。トナーボトル911の外部に排出されたトナーは、トナー排出口からトナー搬送路912aに落下する。クラッチが係合状態とされると、トナー搬送部912は、モーターから動力を受けて搬送スクリュー912bを回転させ、トナーをトナーホッパー913まで搬送する。
【0060】
図3の例では、トナー搬送部912およびトナーホッパー913の各々は、トナーが搬送方向に登るように傾斜した姿勢で配置されている。ただし、トナー搬送部912およびトナーホッパー913の姿勢はこれに限定されるものではない。
【0061】
トナーホッパー913は、トナーボトル911からトナー搬送部912を経由して搬送されたトナーを一時的に収容する。トナーホッパーは、対応する現像装置412にトナーを補給する。具体的には、トナーホッパー913は、有底筒状を有しており、その側面に設けられた開口部913aを通じてトナー搬送部912からトナーの補給を受ける。トナーホッパー913の内部には攪拌スクリュー913bが配置される。攪拌スクリュー913bは、その一方端が図示しないモーターに連結されており、モーターの動力を受けて回転することにより、トナーホッパー913内のトナーを攪拌しつつ搬送する。トナーホッパー913の下流端には、トナー排出口が設けられる。
【0062】
トナー搬送部914は、トナーホッパー913のトナー排出口の下方に配置される。トナー搬送部914は、その一方端がトナーホッパー913のトナー排出口の下方に位置し、他方端が現像装置412まで延びている。
図3の例では、トナー搬送部914は、紙面に対して垂直な方向に延びるように設けられている。トナー搬送部914は、例えば筒状のトナー搬送路と、トナー搬送路の内部に配置される補給スクリューとを有する。補給スクリューはその一方端がモーターに連結されており、モーターから動力を受けて回転することにより、トナーホッパー913から排出されたトナーを搬送し、現像装置412に補給する。
【0063】
現像装置412は、ハウジング412aと、現像ローラー412bと、供給スクリュー412cと、攪拌スクリュー412dとを有する。現像ローラー412b、供給スクリュー412c、および攪拌スクリュー412dの各々は円筒状であり、その軸方向は、紙面垂直方向に延びている。当該軸方向は、感光体ドラム413の回転軸方向に平行である。現像ローラー412bの外周面と感光体ドラム413の外周面とは、所定の現像ギャップを形成するように配置されている。現像ローラー412b、供給スクリュー412cおよび攪拌スクリュー412dは図示しないモーターからの動力を受けて回転する。
【0064】
ハウジング412aは、現像剤(トナーとキャリアとを含む二成分現像剤)を収容する。ハウジング412aは、供給スクリュー412cを収容する供給室と、攪拌スクリュー412dを収容する攪拌室とを有する。供給スクリュー412cは供給室内において、現像剤を攪拌しながら搬送する。供給スクリュー412cは現像ローラー412bの軸方向の全長に亘って現像ローラー412bに接近して配置されており、現像ローラー412bの外周面全域にわたって現像剤に含まれるトナーを供給することができる。
【0065】
補給室の上方にはトナー搬送部914が配置されており、上方から攪拌スクリュー412dにトナーが補給される。補給されたトナーは現像剤に合流される。攪拌スクリュー412dは、現像剤が攪拌室内に充填された状態で回転することにより、攪拌室内において、現像剤を供給スクリュー412cとは逆方向に向かって攪拌しながら搬送する。
【0066】
現像ローラー412bは、供給スクリュー412cの位置する側とは反対側の部分が、供給室の、感光体ドラム413に対向する位置に設けられた開口部から外に出ている。現像ローラー412bは、表面に現像剤を担持しつつ回転する。
【0067】
現像剤は、画像形成を行うことによりトナーを消費する。このため、印刷ジョブの実行中、トナー補給部90は、所定の条件を満たした場合には、現像装置412にトナーを補給する制御を行う。ある局面において、現像装置412には、トナー濃度を検出するためのセンサーが設けられている。現像装置412内のトナー濃度が所定値よりも低くなった場合には、予め定められたトナー濃度となるように、制御部100は、トナーホッパー913の攪拌スクリュー913bおよびトナー搬送部914の補給スクリューを回転させて現像装置412にトナーを補給する。
【0068】
図4は、トナー補給部90の動作を説明するための図である。
図4には、トナーボトル911から現像装置412へトナーが搬送される様子が矢印Bで模式的に示されている。
【0069】
図4に示すように、トナー補給部90は、モーター915と、トナーボトル911のボトル部911aおよびトナー搬送部912内の搬送スクリュー912bを回転させるための駆動部916と、トナーホッパー913内の攪拌スクリュー913bを回転させるための駆動部917と、クラッチ918とをさらに含む。
【0070】
駆動部916は、トナーボトル911のボトル部911aの閉塞部およびトナー搬送部912の搬送スクリュー912bとモーターとを連結する回転軸916aを含む。クラッチ918は、モーター915と回転軸916aとの間に配置される。駆動部916は、制御部100によって制御され、クラッチ918の係合および解放を制御する。
【0071】
駆動部916がクラッチ918を係合状態とすることにより、モーター915からの動力を受けてトナーボトル911のボトル部911aおよび搬送スクリュー912bが回転する。これにより、トナーボトル911のトナー排出口からトナーが排出される。この排出されたトナーはトナー搬送部912を経由してトナーホッパー913に補給される。
【0072】
一方、駆動部916がクラッチ918を解放状態とすることにより、ボトル部911aおよび搬送スクリュー912bの回転が停止するため、トナーホッパー913へのトナーの補給が停止される。
【0073】
駆動部917は、モーター915の動力をトナーホッパー913内の攪拌スクリュー913bおよび搬送部914内の補給スクリューに伝達可能に構成される。モーター915の動力を受けて攪拌スクリュー913bが回転することにより、トナーホッパー913内のトナーが攪拌しながらトナー搬送部914に搬送される。トナー搬送部914は、モーター915の動力を利用して補給スクリューを回転させることにより、トナーを現像装置412に補給する。
【0074】
トナー補給部90は、トナーホッパー913内におけるトナーの有無を検知するための検知部920をさらに有する。検知部920によるトナーの有無の検知方法は任意である。例えば、検知部920は、圧力センサー等を利用してメカ的にトナーの有無を検知してもよいし、トナー有無検知プログラム等を利用してソフト的にトナーの有無を検知してもよい。
【0075】
ある局面において、検知部920は、トナーホッパー913内に配置された圧力センサーを利用してトナーホッパー913内におけるトナーの有無を検知する。具体的には、検知部920は、圧力センサーに含まれる圧電素子を所定の周波数で振動させる。振動している圧電素子にトナーが接触すると、圧電素子の振動が弱められて、振動周波数が変化する。検知部920は、予め定められたサンプリング周期ごとに、圧力センサーの振動周波数を検出し、その検出結果に基づいてトナーホッパー913内のトナーの有無を検知する。例えば、検知部920は、圧力センサーの振動周波数が第1の値を超える場合に、トナー無しを検知する。検知部920は、圧力センサーの振動周波数が第1の値よりも低い第2の値を下回る場合に、トナー有りを検知する。
【0076】
印刷ジョブの実行中、トナーホッパー913内のトナーの攪拌状態に応じて圧力センサーの圧電素子とトナーとの接触状態が変化するため、センサー出力が動的に変化する。そのため、検知部920は、サンプリング周期ごとにセンサー出力に基づいてトナーの有無を検知するとともに、無し検知が連続する回数(以下、「無し検知連続回数」とも称する)、および、有り検知が連続する回数(以下、「有り検知連続回数」とも称する)をカウントするように構成される。
【0077】
制御部100は、検知部920における無し検知連続回数に基づいて、トナーホッパー913内で連続的なトナー不足が生じているか否かを判定する。制御部100はまた、検知部920における有り検知連続回数に基づいて、トナーホッパー913内にトナーが充填されているか否かを判定する。制御部100は、これらの判定結果に応じて駆動部916を制御することにより、トナーボトル911からトナーホッパー913へのトナーの補給を制御する。
【0078】
<画像形成装置1の機能構成>
次に、実施の形態1に従う画像形成装置1におけるトナーの補給制御を説明する。
図5は、実施の形態1に従う画像形成装置1の機能構成の一例を示す図である。
【0079】
図5に示すように、制御部100は、機能構成として、検知部920と、補給制御部110と、設定部112とを含む。検知部920、補給制御部110および設定部112は、色ごとに設けられる。
【0080】
制御部100は、トナーホッパー913用の閾値Th1,Th2を格納する。閾値Th1は、トナーホッパー913内のトナーが不足しているか否かを判定するための閾値である。閾値Th2は、トナーホッパー913内にトナーが充填されているか否かを判定するための閾値である。閾値Th1,Th2は、制御部100のキャッシュ等の記憶領域に格納されていてもよいし、記憶部70に格納されていてもよい。
【0081】
検知部920は、印刷ジョブの実行中、サンプリング周期ごとに、トナーホッパー913内のトナーの有無を検知する。検知部920はさらに、各サンプリング周期におけるトナー有無の検知結果を基に、無し検知連続回数および有り検知連続回数をカウントする。なお、検知部920は、今回のサンプリング周期においてトナー有りと検知された場合には、有り検知連続回数を+1増加(インクリメント)するとともに、無し検知連続回数を0に初期化する。検知部920はさらに、トナーホッパー913へのトナーの補給が停止された場合には、有り検知連続回数を0に初期化する。検知部920は、無し検知連続回数および有り検知連続回数のカウント値を補給制御部110に出力する。
【0082】
補給制御部110は、サンプリング周期ごとに、検知部920からの無し検知連続回数と閾値Th1とを比較する。無し検知連続回数が閾値Th1を超えた場合には、補給制御部110は、トナーホッパー913内のトナーが不足していると判定する。この場合、補給制御部110は、駆動部916を動作させることにより、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する。具体的には、無し検知連続回数が閾値Th1を超えると、補給制御部110は、トナー補給指令を生成して駆動部916に出力する。駆動部916は、補給制御部110からのトナー補給指令に応答して、クラッチ918を解放状態から係合状態に遷移させる。係合状態のクラッチ918を経由してモーター915の動力を受けてトナーボトル911および搬送スクリュー912bが回転することにより、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーが補給される。閾値Th1は「第1の閾値」の一実施例に対応する。
【0083】
補給制御部110は、サンプリング周期ごとに、検知部920からの有り検知回数と閾値Th2とを比較する。有り検知連続回数が閾値Th2を超えた場合には、補給制御部110は、トナーホッパー913内にトナーが充填されていると判定する。この場合、トナーボトル911からトナーホッパー913へのトナーの補給を停止するように駆動部916を制御する。具体的には、有り検知連続回数が閾値Th2を超えると、補給制御部110は、駆動部916へのトナー補給指令の出力を停止する。駆動部916は、補給制御部110からのトナー補給指令が停止されたことに応答して、クラッチ918を係合状態から解放状態に遷移させる。トナーボトル911および搬送スクリュー912bの回転が停止することにより、トナーボトル911からトナーホッパー913へのトナーの補給が停止される。閾値Th2は「第2の閾値」の一実施例に対応する。
【0084】
設定部112は、閾値Th1,Th2を設定する。具体的には、設定部112は、印刷ジョブが実行される前に、当該印刷ジョブに用いられる入力画像データを画像処理部30から取得する。入力画像データには、YMCKの各色の画像データが含まれている。設定部112は、各色の画像データに基づいて、色ごとに閾値Th1,Th2を設定する。閾値Th1,Th2の設定方法については後に詳述する。
【0085】
<画像形成装置1の制御構造>
図6を参照して、画像形成装置1の制御構造について説明する。
図6は、画像形成装置1が実行する処理の一部を表すフローチャートである。
図6の処理は、印刷ジョブの実行中、サンプリング周期ごとに制御部100がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0086】
ステップS01において、検知部920は、トナーホッパー913内のトナーの有無を検知する。検知部920は、例えばトナーホッパー913内に配置された圧力センサーである。
【0087】
ステップS02において、検知部920は、ステップS01にてトナー無しが検知されたか否かを判定する。トナー無しが検知された場合(S02のYES判定時)には、検知部920は、ステップS03において、無し検知連続回数のカウント値を+1増加(インクリメント)する。
【0088】
ステップS04において、補給制御部110は、無し検知連続回数が閾値Th1を超えているか否かを判定する。無し検知連続回数が閾値Th1を超えていると判定された場合(S04のYES判定時)、補給制御部110は、トナーホッパー913内に連続的なトナー不足が生じていると判定する。この場合、補給制御部110は、ステップS05に進み、駆動部916を制御することにより、トナーボトル911からトナーホッパー913に予め定められた量のトナーを補給する。
【0089】
一方、無し検知連続回数が閾値Th1以下である場合(S04のNO判定時)には、補給制御部110は、トナーホッパー913内にトナー不足が生じていないと判定する。したがって、補給制御部110は、ステップS05の処理をスキップして制御をステップS01に戻す。
【0090】
ステップS02に戻って、トナー無しが検知されない場合(S02のNO判定時)には、検知部920は、ステップS06に進み、トナー有りが検知されたか否かを判定する。トナー有りが検知されない場合(S06のNO判定時)には、検知部920は、ステップS12において、無し検知連続回数を0に初期化するとともに、ステップS13において、有り検知連続回数を0に初期化し、制御をステップS01に戻す。
【0091】
一方、トナー有りが検知された場合(S06のYES判定時)には、検知部920は、ステップS07において、無し検知連続回数を0に初期化する。続いて、検知部は、ステップS08において、有り検知連続回数のカウント値を+1増加(インクリメント)する。
【0092】
ステップS09において、補給制御部110は、有り検知連続回数が閾値Th2を超えているか否かを判定する。有り検知連続回数が閾値Th2以下である場合(S09のNO判定時)には、補給制御部110は、ステップS05に進み、駆動部916を制御することにより、トナーボトル911からトナーホッパー913に予め定められた量のトナーを供給する。
【0093】
ステップS09において有り検知連続回数が閾値Th2を超えていると判定された場合(S09のYES判定時)には、補給制御部110は、トナーホッパー913内にトナーが充填されていると判断する。この場合、ステップS10において、補給制御部110は、駆動部916を制御することにより、トナーボトル911からトナーホッパー913へのトナーの補給を停止する。
【0094】
ステップS11において、トナーボトル911からトナーホッパー913へのトナーの補給が停止されたことに応じて、検知部920は、有り検知連続回数のカウント値を0に初期化する。
【0095】
(閾値Th1,Th2の設定)
上述したように、トナー補給部90では、色ごとに、所定のサンプリング周期で無し検知連続回数および有り検知連続回数がカウントされ、無し検知連続回数が閾値Th1を超えたことに応じて、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーが補給される。そして、トナーの補給に応じて有り検知連続回数が閾値Th2を超えたことに応じて、トナーの補給が停止される。このトナー補給制御に用いられる閾値Th1,Th2は、設定部112によって、印刷ジョブに用いられる入力画像データに基づいて設定される。
【0096】
次に、
図7および
図8を参照して、閾値Th1,Th2の設定方法について説明する。
図7は、設定部112が実行する処理を表すフローチャートである。
図7の処理は、画像形成装置1において用紙への画像形成が開始される前に実行される。一例として、操作部22に対して印刷ジョブを開始する指示が入力された場合には、印刷ジョブが開始される前に
図7の処理が実行される。
【0097】
ステップS20において、設定部112は、画像処理部30から、印刷ジョブに用いられる入力画像データを取得する。入力画像データは、画像読み取り部10または通信部80が取得した入力画像データに対して所定の画像処理が施されたものであり、YMCKの各色の画像データを含んでいる。
【0098】
ステップS21において、設定部112は、各色の画像データから、各色の画像濃度を検出する。ある局面では、画像濃度は0から255までの階調で表される。例えば、最小階調0が階調0%で表され、最大階調255が階調100%で表される。設定部112は、YMCKの各色の階調を検出する。
【0099】
ステップS22において、設定部112は、色ごとに、対応する色の画像濃度に応じて閾値Th1を設定する。さらにステップS23において、設定部112は、色ごとに、対応する色の画像濃度に応じて閾値Th2を設定する。
図8は、閾値Th1,Th2と各色の画像濃度との関係を模式的に表す図である。
図8の横軸は各色の画像濃度を示し、縦軸は閾値Th1,Th2(単位は回数)を示している。
【0100】
図8に示すように、閾値Th1は、画像濃度が高くなるに従って低くなるように設定される。閾値Th2は、画像濃度が高くなるに従って高くなるように設定される。これによると、画像濃度が高い場合には、画像濃度が低い場合に比べて、閾値Th1が低くなる一方で、閾値Th2が高くなる。
【0101】
閾値Th1を低くすることで、無し検知連続回数が0から閾値Th1に達するまでの時間が短くなるため、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する頻度を増やすことができる。また、閾値Th2を高くすることで、有り検知連続回数が0から閾値Th2に達するまでの時間が長くなるため、トナーホッパー913にトナーを補給する時間、すなわち、トナー補給量を増やすことができる。
【0102】
反対に、閾値Th1を高くすることで、無し検知連続回数が0から閾値Th1に達するまでの時間が長くなるため、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する頻度を減らすことができる。また、閾値Th2を低くすることで、有り検知連続回数が0から閾値Th2に達するまでの時間が短くなるため、トナーホッパー913にトナーを補給する時間、すなわち、トナー補給量を減らすことができる。
【0103】
入力画像データにおいて、ある色の画像データの画像濃度が高い場合には、画像形成に当該色のトナーが多く消費されるため、トナーホッパー913から現像装置412へのトナー補給量も多くなる。上記のように、高い画像濃度に応じて閾値Th1を低くするとともに、閾値Th2を高くすることによって、トナーの消費量に合わせてトナーホッパー913へのトナーの補給頻度および補給量を増やすことができる。したがって、印刷ジョブの実行中にトナーホッパー913内でトナーが枯渇することを防ぐことができる。
【0104】
対照的に、入力画像データにおいて、ある色の画像データの画像濃度が低い場合には、当該色のトナーの消費量が少ないため、トナーホッパー913から現像装置412へのトナー補給量も少なくなる。上記のように、低い画像濃度に応じて閾値Th1を高くするとともに、閾値Th2を低くすることによって、トナーの消費量に合わせてトナーの補給頻度および補給量を減らすことができる。これによると、トナー消費量に対してトナーホッパー913へのトナー補給量が過剰となることによって、トナーホッパー913内にトナーの充填量が増加することを防ぐことができる。トナーホッパー913内のトナーの充填量が増加すると、トナーホッパー913内の圧力が上昇してトナーが軟凝集を起こす可能性がある。軟凝集したトナーが現像装置412に補給されることで画像不良を起こすことが懸念される。本実施の形態では、トナーホッパー913内のトナーの充填量の増加を防ぐことができるため、このような画像不良の発生を抑制することができる。
【0105】
なお、
図8の例では、画像濃度が高くなるに従って閾値Th1,Th2が線形的に変化しているが、画像濃度が高くなるに従って閾値Th1,Th2が指数関数的または段階的(階段状)に変化してもよい。
【0106】
また、
図8に示した画像濃度と閾値Th1,Th2との関係は、色ごとに個別に設定することができる。これは、色ごとにトナーの流動性が異なるためである。各色のトナーの流動性を考慮して、画像濃度と閾値Th1,Th2との関係を設定することで、各色のトナーホッパー913内のトナーを適当な充填状態に保つことができる。設定部112は、設定した閾値Th1,Th2を補給制御部110に与える。
【0107】
図7に戻って、ステップS24において、制御部100は、印刷ジョブを開始する。S24では、制御部100は、画像形成部40を制御することにより、画像形成処理を開始する。
【0108】
印刷ジョブが開始されると、ステップS25において、補給制御部110は、
図6に示したトナー補給制御を実行する。S25では、補給制御部110は、S22,S23で設定された閾値Th1,Th2を用いて、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する。
【0109】
<実施の形態1の効果>
以上説明したように、実施の形態1に従う画像形成装置1では、入力画像データにおけるYMCKの各色の画像濃度に応じて、色ごとに、トナーホッパー913へのトナー補給を制御するための閾値Th1,Th2が設定される。このようにすると、各色のトナー補給ユニット91において、トナーホッパー913から現像装置412に補給されるトナーの量に合わせて、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給することができる。したがって、印刷ジョブの実行中に、何れかの色のトナーホッパー913内のトナーが枯渇する事態、または、何れかの色のトナーホッパー913内にトナーが過剰に充填されてトナーが軟凝集する事態を未然に防ぐことができる。これにより、各色のトナーホッパー913内のトナーを適当な充填状態に保つことができるため、トナーホッパー913から現像装置412に安定的にトナーを補給することが可能となる。
【0110】
[実施の形態2]
実施の形態1では、入力画像データにおけるYMCKの各色の画像濃度に応じて、各色のトナーの補給制御に用いる閾値Th1,Th2を設定する構成について説明した。
【0111】
実施の形態2では、各色の画像濃度に加えて、画像形成装置1の周囲の環境を示す環境情報に応じて閾値Th1,Th2を設定する構成について説明する。
【0112】
<画像形成装置1の機能構成>
図9は、実施の形態2に従う画像形成装置1の機能構成の一例を示す図である。
図9に示すように、実施の形態2に従う画像形成装置1は、実施の形態1に従う画像形成装置1とは制御部100の構成が異なる。
図9に示す制御部100は、
図5に示した制御部100に検知部930を追加したものである。検知部930以外の構成については
図5で説明した通りであるので、それらの構成については説明を繰り返さない。
【0113】
検知部930は、画像形成装置1の周囲の環境を示す環境情報を取得する。環境情報としては、例えば、画像形成装置1の周囲の温度の情報および湿度の情報が挙げられる。温度は、画像形成装置1に備えられた温度センサーによって測定される。湿度は、画像形成装置1に備えられた湿度センサーによって測定される。検知部930は、温度センサーおよび湿度センサーの測定結果を設定部112に与える。
【0114】
設定部112は、入力画像データと検知部930から与えられる環境情報(温度および/または湿度の情報等)とを利用して、各色の閾値Th1,Th2を設定する。
【0115】
画像形成装置1の周囲の環境(温度および/または湿度等)に応じて、トナーの流動性が変化する場合がある。例えば、低湿の状態では、高湿の状態に比べて、トナーの流動性が高くなる場合がある。トナーの流動性が高くなるに従って、1回の補給動作においてトナーホッパー913から現像装置412に補給されるトナーの量が増える傾向がある。そのため、低湿の状態では、高湿の状態に比べて、印刷ジョブ中のトナーホッパー913内のトナーの消費速度が速くなるため、トナーホッパー913へのトナーの補給頻度を増やすことが好ましい。
【0116】
一方、トナーの流動性が高くなるに従って、1回の補給動作においてトナーボトル911からトナーホッパー913に補給されるトナーの量が増える傾向がある。そのため、低湿の状態では、高湿の状態に比べて、トナーホッパー913内のトナーの量の増加速度が速くなるため、トナーボトル911へのトナーの補給時間を短くすることが好ましい。
【0117】
そこで、設定部112は、入力画像データに基づいて各色の閾値Th1,Th2を設定すると、設定した閾値Th1,Th2を、検知部930から与えられる湿度の情報を利用して調整する。
【0118】
具体的には、設定部112は、湿度の情報に基づいて補正係数k1を算出し、算出された補正係数k1を用いて閾値Th1,Th2を調整する。
図10は、補正係数k1を算出するためのマップの一例を示す図である。
図10のマップの横軸は湿度を示し、縦軸は閾値Th1を調整するための補正係数k1および閾値Th2を調整するための補正係数k1を示す。
【0119】
図10の例では、閾値Th1調整用の補正係数k1は、湿度が低くなるに従って低くなるように設定される。閾値Th2調整用の補正係数k1は、湿度が低くなるに従って高くなるように設定される。なお、
図10の例では、湿度が低くなるに従って補正係数k1が線形的に変化しているが、湿度が低くなるに従って閾値Th1,Th2が指数関数的または段階的(階段状)に変化してもよい。また、
図10に示すマップは、色ごとに個別に設定することができる。
【0120】
設定部112は、検知部930からの湿度の情報に基づいて、
図10に示すマップを参照することにより、閾値Th1調整用の補正係数k1と、閾値Th2調整用の補正係数k1とを算出する。設定部112は、補正係数k1を閾値Th1,Th2に乗じることにより、閾値Th1,Th2を調整する。
【0121】
これによると、低湿の状態では、閾値Th1が低くなり、かつ、閾値Th2が高くなるように補正される。閾値Th1を低くすることで、無し検知連続回数が0から閾値Th1に達するまでの時間が短くなるため、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する頻度を増やすことができる。また、閾値Th2を高くすることで、有り検知連続回数が0から閾値Th2に達するまでの時間が長くなるため、トナーホッパー913にトナーを補給する時間、すなわち、トナー補給量を増やすことができる。
【0122】
反対に、高湿の状態では、閾値Th1が高くなり、かつ、閾値Th2が低くなるように補正される。閾値Th1を高くすることで、無し検知連続回数が0から閾値Th1に達するまでの時間が長くなるため、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する頻度を減らすことができる。また、閾値Th2を低くすることで、有り検知連続回数が0から閾値Th2に達するまでの時間が短くなるため、トナーホッパー913にトナーを補給する時間、すなわち、トナー補給量を減らすことができる。
【0123】
なお、湿度の情報を利用して閾値Th1,Th2を調整する構成について説明したが、温度の情報を利用して閾値Th1,Th2を調整する構成とすることも可能である。例えば、トナーの流動性の温度依存性に基づいて
図10に示したマップを作成しておくことにより、温度の情報に基づいて閾値Th1,Th2を調整することができる。これによると、画像形成装置1の周囲の温度に影響されず、トナーホッパー913内のトナー充填量を安定させることができる。
【0124】
図11は、設定部112が実行する処理を表すフローチャートである。
図11の処理は、印刷ジョブが実行される前に実行される。
図11に示すフローチャートは、
図7に示したフローチャートにステップS26,S27の処理を追加したものである。
【0125】
図7と同じステップS20~S23の処理を実行して各色の閾値Th1,Th2を設定すると、ステップS26において、設定部112は、検知部930から環境情報を取得する。
【0126】
ステップS27において、設定部112は、環境情報に基づいて、予め作成されたマップ(
図10参照)を用いて、閾値Th1調整用の補正係数k1、および閾値Th2調整用の補正係数k1を算出する。そして、設定部112は、算出された補正係数k1を用いて閾値Th1,Th2を調整する。設定部112は、調整した閾値Th1,Th2を補給制御部110に与える。
【0127】
図7と同じステップS24において、制御部100は、印刷ジョブを開始する。印刷ジョブが開始されると、
図7と同じステップS25において、補給制御部110は、
図6に示したトナー補給制御を実行する。補給制御部110は、S27で調整された閾値Th1,Th2を用いて、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する。
【0128】
<実施の形態2の効果>
実施の形態2に従う画像形成装置1によれば、入力画像データにおけるYMCKの各色の画像濃度と、画像形成装置1の周囲の環境とに応じて、色ごとに、トナーホッパー913へのトナーの補給を制御するための閾値Th1,Th2が設定される。これによると、画像形成装置1の周囲の環境に影響されず、トナーホッパー913内のトナー充填量を安定させることができる。
【0129】
[実施の形態3]
実施の形態3では、入力画像データにおけるYMCKの各色の画像濃度に加えて、印刷ジョブに用いられる用紙の特性に応じて閾値Th1,Th2を設定する構成について説明する。
【0130】
<画像形成装置1の機能構成>
図12は、実施の形態3に従う画像形成装置1の機能構成の一例を示す図である。
図12に示すように、実施の形態3に従う画像形成装置1は、実施の形態1に従う画像形成装置1とは制御部100の構成が異なる。
図12に示す制御部100は、
図5に示した制御部100に検知部940を追加したものである。検知部940以外の構成については
図5で説明した通りであるので、それらの構成については説明を繰り返さない。
【0131】
検知部940は、用紙搬送部50から画像形成部40に搬送される用紙の特性を示す用紙情報を取得する。取得される特性は、例えば、用紙の厚み、用紙の坪量、または、用紙の種類である。検知部940は、その機能として、紙厚検知部、坪量検知部、および表面性検知部を含む。
【0132】
紙厚検知部は、用紙の厚みを検知する、具体的には、紙厚検知部は、搬送用のローラー対を含む。当該ローラー対のニップ部に用紙が挟まれたとき、用紙の厚みに応じて、当該ローラー対の中の従動ローラーの軸位置が変位する。紙厚検知部は、この変位した軸の高さを測ることにより、用紙の厚みを検知する。
【0133】
坪量検知部は、一実現例では、用紙の坪量に応じた物性値を検出する透過型の光学式センサーによって実現される。光学式センサーは、用紙の搬送路の下方に配置した発光部と、上方に配置した受光部とを含む。光学式センサーは、用紙を透過する光の透過量(透過率)を測定する。坪量検知部は、例えば、透過率を用紙特性の測定結果として出力する(以下では、単に「坪量」ともいう)。
【0134】
表面性検知部は、一実現例では、筐体、発光部、コリメートレンズ、および複数の受光部を含む、光学式センサーによって実現される。表面性検知部では、発光部からコリメートレンズにより略平行にされた照射光が、用紙の基準面に対して入射角75°で照射される。複数の受光部は、正反射光、および拡散反射光を受光するように配置されている。例えば、反射角30°(拡散反射光用)、反射角60°(拡散反射光用)、75°(正反射光用)の3箇所、または60°と75°との2箇所に配置される。表面性検知部の記憶装置には、これらの受光部の信号の組み合わせを2以上の用紙の種類(コート紙、普通紙、上質紙、再生紙等)に関連付ける情報が格納されている。表面性検知部は、用紙について上記の複数の受光部の信号の組み合わせを取得すると、当該組み合わせに関連付けられた種類を、用紙の種類として検知する。
【0135】
検知部940は、用紙搬送部50から供給された用紙について特性を取得した後に、当該用紙を画像形成部40に搬送する。検知部940はさらに、取得した用紙情報を設定部112に出力する。なお、検知部940は、記憶部70に格納されている用紙情報を取得して設定部112に出力する構成としてもよい。一実現例では、用紙情報は、用紙の銘柄、サイズ(用紙幅、用紙長)、坪量(斥量)、および/または、用紙の種類を含む。
【0136】
画像形成装置1においては、用紙上の単位面積当たりのトナー重量(以下、「トナー付着量」とも称する)が同じであっても、用紙の特性が異なる場合には、その影響によって、最終的に用紙に形成される画像の濃度が異なる場合がある。例えば、表面が滑らかな用紙では画像濃度が濃くなるが、目の粗い用紙では画像濃度が薄くなる傾向がある。これは、定着部60での用紙へのトナーの浸透度合いが大きく影響を及ぼしているためである。こうした濃度低下が画像形成装置1に備えられた濃度調整機能で解決できる範囲を超えるものである場合には、トナー付着量を変化させる技術が提案されている。
【0137】
この技術によれば、用紙によって色再現性に差異が生じないように、用紙の特性に応じてトナー付着量を増やした場合には、トナーホッパー913から現像装置412に補給されるトナーの量も増加する。トナーホッパー913内のトナーの枯渇を防ぐためには、トナーホッパー913に積極的にトナーを補給する必要がある。一方、トナー付着量を減らした場合には、トナーホッパー913から現像装置412に補給されるトナーの量も減少するため、トナーホッパー913内のトナーの軟凝集を抑制するためには、トナーホッパー913へのトナーの補給を抑える必要がある。
【0138】
そこで、設定部112は、入力画像データに基づいて各色の閾値Th1,Th2を設定すると、設定した閾値Th1,Th2を、検知部940から与えられる用紙情報を利用して調整する。
【0139】
具体的には、設定部112は、用紙情報に基づいて補正係数k2を算出し、算出された補正係数k2を用いて閾値Th1,Th2を調整する。より具体的には、設定部112は、用紙の特性に応じて制御されたトナー付着量に応じて補正係数k2を算出する。
図13は、補正係数k2を算出するためのマップの一例を示す図である。
図13のマップの横軸はトナー付着量を示し、縦軸は閾値Th1を調整するための補正係数k2および閾値Th2を調整するための補正係数k2を示す。
【0140】
図13の例では、閾値Th1調整用の補正係数k2は、トナー付着量が多くなるに従って低くなるように設定される。閾値Th2調整用の補正係数k1は、トナー付着量が多くなるに従って高くなるように設定される。なお、
図13の例では、トナー付着量が多くなるに従って補正係数k1が線形的に変化しているが、トナー付着量が多くなるに従って閾値Th1,Th2が指数関数的または段階的(階段状)に変化してもよい。また、
図13に示すマップは、色ごとに個別に設定することができる。
【0141】
設定部112は、検知部930からの用紙情報に基づいてトナー付着量を推定し、
図14に示すマップを参照することにより、推定されたトナー付着量に基づいて、閾値Th1調整用の補正係数k2と、閾値Th2調整用の補正係数k2とを算出する。設定部112は、補正係数k2を閾値Th1,Th2に乗じることにより、閾値Th1,Th2を調整する。
【0142】
これによると、トナー付着量が多くなる状態では、閾値Th1が低くなり、かつ、閾値Th2が高くなるように補正される。閾値Th1を低くすることで、無し検知連続回数が0から閾値Th1に達するまでの時間が短くなるため、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する頻度を増やすことができる。また、閾値Th2を高くすることで、有り検知連続回数が0から閾値Th2に達するまでの時間が長くなるため、トナーホッパー913にトナーを補給する時間、すなわち、トナー補給量を増やすことができる。
【0143】
反対に、トナー付着量が少なくなる状態では、閾値Th1が高くなり、かつ、閾値Th2が低くなるように補正される。閾値Th1を高くすることで、無し検知連続回数が0から閾値Th1に達するまでの時間が長くなるため、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する頻度を減らすことができる。また、閾値Th2を低くすることで、有り検知連続回数が0から閾値Th2に達するまでの時間が短くなるため、トナーホッパー913にトナーを補給する時間、すなわち、トナー補給量を減らすことができる。
【0144】
図14は、設定部112が実行する処理を表すフローチャートである。
図14の処理は、印刷ジョブが実行される前に実行される。
図14に示すフローチャートは、
図7に示したフローチャートにステップS28,S29の処理を追加したものである。
【0145】
図7と同じステップS20~S23の処理を実行して各色の閾値Th1,Th2を設定すると、ステップS28において、設定部112は、検知部930から用紙情報を取得する。
【0146】
ステップS29において、設定部112は、用紙情報に基づいて、予め作成されたマップ(
図13参照)を用いて、閾値Th1調整用の補正係数k2、および閾値Th2調整用の補正係数k2を算出する。そして、設定部112は、算出された補正係数k2を用いて閾値Th1,Th2を調整する。設定部112は、調整した閾値Th1,Th2を補給制御部110に与える。
【0147】
図7と同じステップS24において、制御部100は、印刷ジョブを開始する。印刷ジョブが開始されると、
図7と同じステップS25において、補給制御部110は、
図6に示したトナー補給制御を実行する。補給制御部110は、S27で調整された閾値Th1,Th2を用いて、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する。
【0148】
<実施の形態3の効果>
実施の形態3に従う画像形成装置1によれば、入力画像データにおけるYMCKの各色の画像濃度と、印刷ジョブに用いられる用紙の特性とに応じて、色ごとに、トナーホッパー913へのトナーの補給および補給の停止を制御するための閾値Th1,Th2が設定される。これによると、用紙の特性に影響されず、トナーホッパー913内のトナー充填量を安定させることができる。
【0149】
[実施の形態4]
実施の形態4では、入力画像データにおけるYMCKの各色の画像濃度に加えて、感光体ドラム413上のトナー画像を中間転写ベルト421に一次転写するときの効率である一次転写効率に応じて、閾値Th1,Th2を設定する構成について説明する。
【0150】
<画像形成装置1の機能構成>
図15は、実施の形態4に従う画像形成装置1の機能構成の一例を示す図である。
図15に示すように、実施の形態4に従う画像形成装置1は、実施の形態1に従う画像形成装置1とは制御部100の構成が異なる。
図15に示す制御部100は、
図5に示した制御部100に検知部950を追加したものである。検知部950以外の構成については
図5で説明した通りであるので、それらの構成については説明を繰り返さない。
【0151】
検知部950は、トナーの一次転写効率を検知する。検知部950の記憶装置には、一次転写効率テーブルが格納されている。一次転写効率は、感光体ドラム413に担持されたトナーの量と、感光体ドラム413から中間転写ベルト421に転写されたトナーの量との割合である。一次転写効率テーブルとは、感光体ドラム413に形成されるトナー像の色、感光体ドラム413の累積回転数、および環境値と、一次転写効率との関係を記載したテーブルである。一次転写効率は、低温低湿環境では低くなり、高温高湿環境では高くなる傾向にあり、感光体ドラム413の消耗度が進行するに従って低下する傾向にある。
【0152】
なお、画像形成装置1が、転写されずに感光体ドラム413の表面に残留したトナー像の濃度を検知するセンサーを備えている場合には、検知部950は、一次転写効率テーブルを用いる代わりに、中間転写ベルト421の表面に形成されたトナー像の濃度、および感光体ドラム413の表面に残留したトナー像の濃度から、一次転写効率を算出してもよい。検知部950は、トナーの一次転写効率を示す一次転写効率情報を設定部112に出力する。
【0153】
画像形成装置1においては、一次転写バイアスが同じであっても、一次転写効率が低下することによって、用紙に形成される画像の濃度も変わってくる。そこで、画像安定化制御の一例として、一次転写効率に応じて現像剤のトナー濃度を最適化する技術が提案されている。
【0154】
この技術によれば、一次転写効率の低下に応じて現像剤のトナー濃度を増やした場合には、トナーホッパー913から現像装置412に補給されるトナーの量も増加する。トナーホッパー913内のトナーの枯渇を防ぐためには、トナーホッパー913に積極的にトナーを補給する必要がある。
【0155】
そこで、設定部112は、入力画像データに基づいて各色の閾値Th1,Th2を設定すると、設定した閾値Th1,Th2を、検知部950から与えられる一次転写効率情報を利用して調整する。
【0156】
具体的には、設定部112は、一次転写効率情報に基づいて補正係数k3を算出し、算出された補正係数k3を用いて閾値Th1,Th2を調整する。
図16は、補正係数k3を算出するためのマップの一例を示す図である。
図16のマップの横軸は一次転写効率を示し、縦軸は閾値Th1を調整するための補正係数k3および閾値Th2を調整するための補正係数k3を示す。
【0157】
図16の例では、閾値Th1調整用の補正係数k3は、一次転写効率が低くなるに従って低くなるように設定される。閾値Th2調整用の補正係数k3は、一次転写効率が低くなるに従って高くなるように設定される。なお、
図16の例では、一次転写効率が低くなるに従って補正係数k3が線形的に変化しているが、一次転写効率が低くなるに従って閾値Th1,Th2が指数関数的または段階的(階段状)に変化してもよい。また、
図16に示すマップは、色ごとに個別に設定することができる。
【0158】
設定部112は、検知部950からの一次転写効率情報に基づいて、
図16に示すマップを参照することにより、閾値Th1調整用の補正係数k3と、閾値Th2調整用の補正係数k3とを算出する。設定部112は、補正係数k3を閾値Th1,Th2に乗じることにより、閾値Th1,Th2を調整する。
【0159】
これによると、一次転写効率が低下したこと応じて現像剤のトナー濃度が高くなる状態では、閾値Th1が低くなり、かつ、閾値Th2が高くなるように補正される。閾値Th1を低くすることで、無し検知連続回数が0から閾値Th1に達するまでの時間が短くなるため、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する頻度を増やすことができる。また、閾値Th2を高くすることで、有り検知連続回数が0から閾値Th2に達するまでの時間が長くなるため、トナーホッパー913トナーを補給する時間、すなわち、トナー補給量を増やすことができる。
【0160】
反対に、一次転写効率が所定値以上あるために現像剤のトナー濃度が低い状態では、閾値Th1が高くなり、かつ、閾値Th2が低くなるように補正される。閾値Th1を高くすることで、無し検知連続回数が0から閾値Th1に達するまでの時間が長くなるため、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する頻度を減らすことができる。また、閾値Th2を低くすることで、有り検知連続回数が0から閾値Th2に達するまでの時間が短くなるため、トナーホッパー913にトナーを補給する時間、すなわち、トナー補給量を減らすことができる。
【0161】
図17は、設定部112が実行する処理を表すフローチャートである。
図17の処理は、印刷ジョブが実行される前に実行される。
図17に示すフローチャートは、
図7に示したフローチャートにステップS30,S31の処理を追加したものである。
【0162】
図7と同じステップS20~S23の処理を実行して各色の閾値Th1,Th2を設定すると、ステップS28において、設定部112は、検知部930から用紙情報を取得する。
【0163】
ステップS30において、設定部112は、一次転写効率情報に基づいて、予め作成されたマップ(
図16参照)を用いて、閾値Th1調整用の補正係数k3、および閾値Th2調整用の補正係数k3を算出する。そして、設定部112は、算出された補正係数k3を用いて閾値Th1,Th2を調整する。設定部112は、調整した閾値Th1,Th2を補給制御部110に与える。
【0164】
図7と同じステップS24において、制御部100は、印刷ジョブを開始する。印刷ジョブが開始されると、
図7と同じステップS25において、補給制御部110は、
図6に示したトナー補給制御を実行する。補給制御部110は、S27で調整された閾値Th1,Th2を用いて、トナーボトル911からトナーホッパー913にトナーを補給する。
【0165】
<実施の形態4の効果>
実施の形態4に従う画像形成装置1によれば、入力画像データにおけるYMCKの各色の画像濃度と、一次転写効率情報とに応じて、色ごとに、トナーホッパー913へのトナーの補給および補給の停止を制御するための閾値Th1,Th2が設定される。これによると、トナーの一次転写効率の変化に影響されず、トナーホッパー913内のトナー充填量を安定させることができる。
【0166】
なお、閾値Th1,Th2の調整には、実施の形態2から4で示した補正係数k1,k2,k3を適宜組み合わせてもよい。これによると、環境情報、用紙情報、および一次転写効率情報の少なくとも1つに基づいて、閾値Th1,Th2を調整することができる。したがって、画像形成装置1の周囲の環境、用紙の特性、および一次転写効率に影響されず、トナーホッパー913内のトナー充填量を安定させることができる。
【0167】
[実施の形態5]
上述した実施の形態1では、印刷ジョブを開始する前に閾値Th1,Th2を設定する構成について説明した。
【0168】
実施の形態5では、印刷ジョブの実行中においても、トナーボトル911のトナー残量に応じて閾値Th1を変更する構成について説明する。
【0169】
<画像形成装置1の機能構成>
図18を参照して、実施の形態5に従う画像形成装置1の機能について説明する。
図18は、実施の形態5に従う画像形成装置1の機能構成の一例を示す図である。
【0170】
図18に示されるように、実施の形態5に従う画像形成装置1は、
図5に示した実施の形態1に従う画像形成装置1は、制御部100の機能構成が異なる。
図18に示す制御部100は、
図5に示した制御部100に検知部960を追加したものである。検知部960以外の構成については
図5で説明した通りであるので、それらの構成については説明を繰り返さない。
【0171】
検知部960は、トナーボトル911内のトナー残量を検知する。当該トナー残量の検知方法は任意である。例えば、検知部960は、センサー等を利用してメカ的にトナー残量を検出してもよいし、トナー残量検出プログラム等を利用してソフト的にトナー残量を検出してもよい。
【0172】
ある局面において、検知部960は、磁気センサー等のトナー量を検出するためのセンサーを利用してトナーボトル911内のトナー残量を検知する。他の局面において、検知部960は、入力画像内のトナー付着領域におけるドット数に応じてトナー残量を検知する。検知部960は、トナーボトル911のトナー残量を示すトナー残量情報を設定部112に出力する。
【0173】
<画像形成装置1の制御構造>
図19および
図20を参照して、実施の形態5に従う画像形成装置1の制御構造について説明する。
【0174】
図19は、設定部112が実行する処理を表すフローチャートである。
図19に示すフローチャートは、
図7に示したフローチャートにステップS32~S36の処理を追加したものである。
【0175】
図7と同じステップS20~S25の処理が実行されて印刷ジョブが開始されると、色ごとに、閾値Th1,Th2を用いてトナーボトル911からトナーホッパー913へのトナーの補給が制御される。
【0176】
印刷ジョブの実行中、ステップS32において、設定部112は、検知部960からトナーボトル911のトナー残量を示すトナー残量情報を取得する。
【0177】
ステップS33において、設定部112は、トナーボトル911のトナー残量が予め定められた閾値Th4を下回っているか否かを判定する。トナー残量が閾値Th4を下回っている場合(S33のYES判定時)には、設定部112は、トナーボトル911に対応する色の閾値Th1を低下させる。これにより、トナーボトル911のトナー残量が少ない場合には、トナーボトル911からトナーホッパー913へのトナーの補給頻度を上げることができる。一方、トナーホッパー913トナー残量が閾値Th4以上である場合(S33のNO判定時)には、設定部112は、ステップS34をスキップする。
【0178】
ステップS35において、設定部112は、トナーボトル911が交換されたか否かを判定する。例えば、トナー補給ユニット91の本体部に対してトナーボトル911が着脱された場合にS35はYES判定とされる。
【0179】
トナーボトル911が交換された場合(S35のYES判定時)には、ステップS36において、設定部112は、各色の閾値Th1,Th2を初期値に戻す。
【0180】
図20は、実施の形態5に従う画像形成装置1が実行する処理の一部を表すフローチャートである。
図20に示すフローチャートは、
図6に示したフローチャートに、ステップS14,S15を追加したものである。
【0181】
図6と同じステップS02においてトナー無しが検知された場合(S02のYES判定時)には、検知部920は、
図6と同じステップS03において、無し検知連続回数のカウント値を+1増加(インクリメント)する。
【0182】
ステップS14において、補給制御部110は、無し検知連続回数が閾値Th3を超えているか否かを判定する。閾値Th3は、閾値Th1よりも高い。閾値Th3は「第3の閾値」の一実施例に対応する。無し検知連続回数がTh3を超えていると判定された場合(S14のYES判定時)には、補給制御部110は、トナーボトル911のトナー残量が少なくなっているためにトナーボトル911からトナーホッパー913へのトナー供給量が少なくなり、トナーホッパー913内に連続的なトナー不足が生じていると判定する。この場合、補給制御部110は、ステップS15に進み、トナーボトル911の交換を促すための報知を行う。例えば、補給制御部110は、操作表示部20の表示部21に、トナーボトル911の交換を促す内容を表示する。報知は任意の方法を用いることができる。
【0183】
ステップS14において無し検知連続回数が閾値Th3を超えていない場合(S14のNO判定時)には、補給制御部110は、
図6と同じステップS04において、無し検知連続回数が閾値Th1を超えているか否かを判定する。なお、閾値Th1は、
図19の処理によって、トナーボトル911のトナー残量が閾値Th4を下回ったことに応じて下げられる。
【0184】
無し検知連続回数が閾値Th1を超えていると判定された場合(S04のYES判定時)、補給制御部110は、
図6と同じステップS05に進み、駆動部916を制御することにより、トナーボトル911からトナーホッパー913に予め定められた量のトナーを補給する。一方、無し検知連続回数が閾値Th1以下である場合(S04のNO判定時)には、補給制御部110は、ステップS05の処理をスキップして制御をステップS01に戻す。
【0185】
<実施の形態5の効果>
実施の形態5に従う画像形成装置1では、トナーボトル911内のトナー残量が少ない場合には、閾値Th1が下げられることで、トナーボトル911からトナーホッパー913へのトナーの補給頻度を上げることができる。そして、トナーの補給頻度を上げたことによっても、無し検知連続回数が閾値Th1よりも高い閾値Th3を超えた場合には、トナーボトル911が空に近い状態であると判断することができる。この場合、トナーボトル911の交換を促すための報知を行うことで、ユーザーは、トナーボトル911の交換タイミングを把握することができる。
【0186】
[付記]
上述した実施の形態および変形例は、以下のような技術思想を含む。
【0187】
[構成1]
入力画像データに基づいて複数の色のトナーによる画像を形成する画像形成装置であって、
対応する色のトナーを収容するトナーボトルと、
前記トナーボトルから補給されるトナーを一時的に蓄えるトナーホッパーと、
前記トナーホッパーからトナーの補給を受ける現像部と、
予め定められたサンプリング周期ごとに前記トナーホッパー内のトナーの有無を検知するための検知部と、
前記トナーボトルから前記トナーホッパーにトナーを補給するための制御部とを備え、
前記制御部は、前記検知部の無し検知が連続する無し検知連続回数が第1の閾値を超えた場合に、前記トナーボトルから前記トナーホッパーにトナーを補給し、かつ、
前記検知部の有り検知が連続する有り検知連続回数が第2の閾値を超えた場合に、前記トナーボトルから前記トナーホッパーへのトナーの補給を停止するように構成され、
前記制御部は、前記入力画像データにおける各色の画像濃度に応じて、色ごとに前記第1の閾値および前記第2の閾値を設定する、画像形成装置。
【0188】
[構成2]
前記制御部は、対応する色の画像濃度が高くなるに従って、当該色の前記第1の閾値を低下させるとともに、前記第2の閾値を増加させる、構成1に記載の画像形成装置。
【0189】
[構成3]
前記制御部はさらに、前記画像形成装置の周囲の環境を示す環境情報に基づいて、各色の前記第1の閾値および前記第2の閾値を調整する、構成1または2に記載の画像形成装置。
【0190】
[構成4]
前記制御部は、前記環境情報に基づいて、対応する色のトナーの流動性が高い場合には、当該トナーの流動性が低い場合よりも、前記第1の閾値を低下させるとともに、前記第2の閾値を増加させる、構成3に記載の画像形成装置。
【0191】
[構成5]
前記制御部はさらに、前記複数の色のトナーによる画像が形成される用紙の特性を示す用紙情報に基づいて、各色の前記第1の閾値および前記第2の閾値を調整する、構成1~4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0192】
[構成6]
前記制御部は、前記用紙情報に基づいて、対応する色のトナー付着量が多い場合には、当該トナー付着量が低い場合よりも、前記第1の閾値を低下させるとともに、前記第2の閾値を増加させる、構成5に記載の画像形成装置。
【0193】
[構成7]
前記現像部から前記複数の色のトナーの供給を受けてトナー像が形成される感光体と、
前記感光体から前記トナー像が一次転写される中間転写体とをさらに備え、
前記制御部はさらに、一次転写効率を示す情報に基づいて、各色の前記第1の閾値および前記第2の閾値を調整する、構成1~6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0194】
[構成8]
前記制御部は、対応する色の前記一次転写効率が低くなるに従って、当該色の前記第1の閾値を低下させるとともに、前記第2の閾値を増加させる、構成7に記載の画像形成装置。
【0195】
[構成9]
前記制御部は、対応する色の前記トナーボトル内のトナー残量が少なくなるにつれて当該色の前記第1の閾値を低下させる、構成1~8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0196】
[構成10]
前記制御部は、前記無し検知連続回数が前記第1の閾値よりも大きい第3の閾値を超えた場合には、前記トナーボトルの交換を促すための報知を行う、構成1~9のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0197】
[構成11]
前記制御部は、前記トナーボトルが新たなトナーボトルに交換された場合には、前記第1の閾値および前記第2の閾値を初期化する、構成1~10のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0198】
[構成12]
入力画像データに基づいて複数の色のトナーによる画像を形成する画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置は、
対応する色のトナーを収容するトナーボトルと、
前記トナーボトルから補給されるトナーを一時的に蓄えるトナーホッパーと、
前記トナーホッパーからトナーの補給を受ける現像部とを含み、
前記入力画像データにおける各色の画像濃度に応じて、色ごとに第1の閾値および第2の閾値を設定するステップと、
予め定められたサンプリング周期ごとに前記トナーホッパー内のトナーの有無を検知するステップと、
無し検知が連続する無し検知連続回数が第1の閾値を超えた場合に、前記トナーボトルから前記トナーホッパーにトナーを補給するステップと、
有り検知が連続する有り検知連続回数が第2の閾値を超えた場合に、前記トナーボトルから前記トナーホッパーへのトナーの補給を停止するステップとを含む、制御方法。
【0199】
[構成13]
入力画像データに基づいて複数の色のトナーによる画像を形成する画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置は、
対応する色のトナーを収容するトナーボトルと、
前記トナーボトルから補給されるトナーを一時的に蓄えるトナーホッパーと、
前記トナーホッパーからトナーの補給を受ける現像部とを含み、
コンピュータに、
前記入力画像データにおける各色の画像濃度に応じて、色ごとに第1の閾値および第2の閾値を設定するステップと、
予め定められたサンプリング周期ごとに前記トナーホッパー内のトナーの有無を検知するステップと、
無し検知が連続する無し検知連続回数が第1の閾値を超えた場合に、前記トナーボトルから前記トナーホッパーにトナーを補給するステップと、
有り検知が連続する有り検知連続回数が第2の閾値を超えた場合に、前記トナーボトルから前記トナーホッパーへのトナーの補給を停止するステップとを備える処理を実行させるための、画像形成装置の制御プログラム。
【0200】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0201】
1 画像形成装置、10 画像読み取り部、20 操作表示部、21 表示部、22 操作部、30 画像処理部、40 画像形成部、41,41Y,41M,41C,41K 画像形成ユニット、42 中間転写ユニット、50 用紙搬送部、51 給紙部、52 排紙部、53 搬送経路部、60 定着部、70 記憶部、80 通信部、90 トナー補給部、91,91Y,91M,91C,91K トナー補給ユニット、100 制御部、102 CPU、104 ROM、106 RAM、110 補給制御部、112 設定部、411 露光装置、412,412Y,412M,412C,412K 現像装置、412a ハウジング、412b 現像ローラー、412c 供給スクリュー、412d,913b 攪拌スクリュー、413 感光体ドラム、414 帯電装置、415 ドラムクリーニング装置、421 中間転写ベルト、422 一次転写ローラー、423 支持ローラー、424 二次転写ローラー、911,911Y,911M,911C,911K トナーボトル、911a ボトル部、911b キャップ、912,914 トナー搬送部、912a トナー搬送路、912b 搬送スクリュー、913,913Y,913M,913C,913K トナーホッパー、915 モーター、916,917 駆動部、916a 回転軸、918 クラッチ、920,930,940,950,960 検知部。