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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100305
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/66 20060101AFI20240719BHJP
   F01P 11/10 20060101ALI20240719BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F04D29/66 N
F04D29/66 P
F01P11/10 C
B60H1/32 615
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004207
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 智也
(72)【発明者】
【氏名】高村 徹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 大夢
(72)【発明者】
【氏名】奥田 清美
(72)【発明者】
【氏名】南川 将孝
【テーマコード(参考)】
3H130
3L211
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB07
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC15
3H130BA17A
3H130CA02
3H130CA28
3H130EA07A
3H130EA07C
3H130EB02A
3L211BA14
3L211DA25
(57)【要約】
【課題】ファンシュラウドの共鳴を抑制する。
【解決手段】熱交換器を通過する気流を発生させる冷却ファン14と、冷却ファン14を支持すると共に冷却ファン14にて発生した気流が通過するファンシュラウド12とを備える送風装置10である。ファンシュラウド12は、正面視で外形が矩形状であり、熱交換器を通過する気流が導入される空気導入部20と、正面視で外形が円形状であり、冷却ファン14を取り囲んで気流が導出されるリング部24と、空気導入部20からリング部24への空気流路を形成する導風部22とを含む。正面視で空気導入部20の中心SCに対して、リング部24の中心MCは、空気導入部20の外形の1つの内角に向かった側にずれて位置しており、空気導入部20の中心SCに対して、リング部24の中心MCがずれている側とは反対側の導風部22の表面に突出壁36が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を通過する気流を発生させる冷却ファンと、
前記冷却ファンを支持すると共に前記冷却ファンにて発生した気流が通過するファンシュラウドと、を備える送風装置であって、
前記ファンシュラウドは、
正面視で外形が矩形状であり、前記熱交換器を通過する気流が導入される空気導入部と、
正面視で外形が円形状であり、前記冷却ファンを取り囲んで気流が導出されるリング部と、
前記空気導入部から前記リング部への空気流路を形成する導風部と、を含み、
正面視で前記空気導入部の中心に対して、前記リング部の中心は、前記空気導入部の外形の1つの内角に向かった側にずれて位置しており、
前記空気導入部の中心に対して、前記リング部の中心がずれている側とは反対側の前記導風部の表面に突出壁が設けられている、
ことを特徴とする送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ファンの外周を囲むように配されるファンシュラウドを備える送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱交換器を通過する気流を発生させる冷却ファン(軸流ファン)と、熱交換器と対向して配置されて、冷却ファンを支持すると共に冷却ファンにて発生した気流が通過するファンシュラウドを備える送風装置が知られている。
【0003】
ファンシュラウドは、熱交換器を通過する気流が導入される空気導入部と、冷却ファンを取り囲んで気流が導出される円筒状のリング部と、空気導入部からリング部への空気流路を形成する導風部を含んでいる。
【0004】
特許文献1には、ファンシュラウドの外側に吸音材を取り付けることで、冷却ファン周りの騒音レベルを低減する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-97682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
冷却ファンのモータ駆動及び冷却ファンの回転に起因して、ファンシュラウドが共鳴してしまうことがある。
【0007】
本発明の目的は、ファンシュラウドの共鳴が抑制された送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る送風装置は、熱交換器を通過する気流を発生させる冷却ファンと、前記冷却ファンを支持すると共に前記冷却ファンにて発生した気流が通過するファンシュラウドと、を備える送風装置であって、前記ファンシュラウドは、正面視で外形が矩形状であり、前記熱交換器を通過する気流が導入される空気導入部と、正面視で外形が円形状であり、前記冷却ファンを取り囲んで気流が導出されるリング部と、前記空気導入部から前記リング部への空気流路を形成する導風部と、を含み、正面視で前記空気導入部の中心に対して、前記リング部の中心は、前記空気導入部の外形の1つの内角に向かった側にずれて位置しており、前記空気導入部の中心に対して、前記リング部の中心がずれている側とは反対側の前記導風部の表面に突出壁が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ファンシュラウドの共鳴を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】送風装置10の正面図であり、吹き出しにより突出部材34の斜視図を示す。
図2】ファンシュラウド12の導風部22の各領域RU,LU,RB,LBにハッチングを付した図である。
図3】送風装置10の背面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、ここに記載される実施形態に限定されるものではない。全ての図面において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。以下の説明において、特段の断りがない限り、前後左右上下等の方向および向きを表す語句は、車両に関する方向および向きを表す。各図において、矢印FRの向きが前方、矢印UPの向きが上方、矢印RHの向きが右方を表す。
【0012】
図1は、車両に搭載された送風装置10の正面図であり、吹き出しにより突出部材34の斜視図を示す。図2は、ファンシュラウド12の導風部22を、リング部24の中心MCを通る仮想線64H,64Vで区切って、各領域RU,LU,RB,LBにハッチングを付した図である。図3は、送風装置10の背面側斜視図である。
【0013】
本実施形態の送風装置10は、車両に搭載されている。送風装置10は、車両に搭載された熱交換器80(図3参照)に車室外空気を供給する装置として適用される。熱交換器80は、例えば、車両のエンジンの冷却水を車室外空気と熱交換させることで冷却するラジエータである。また、熱交換器80は、例えば、車両の空調装置のコンデンサ、電動車両の駆動モータに電力を供給するインバータの冷却水を冷却するインバータ冷却用ラジエータ等であってもよい。
【0014】
送風装置10は、図3に示すように、熱交換器80に対して後方側に配置される。具体的には、送風装置10は、熱交換器80を通過した空気が後方へ吹き出されるように、熱交換器80の空気流れ方向の下流側に設けられる。送風装置10は、冷却ファン14と、ファンシュラウド12と、冷却ファン14を回転駆動する電動モータ16を備える。
【0015】
冷却ファン14は、熱交換器80の空気流れ方向の下流側に配置され、熱交換器80を通過する気流を発生させる軸流ファンである。冷却ファン14は、電動モータ16の回転軸に連結されており、電動モータ16の駆動により回転する。冷却ファン14は、電動モータ16の回転軸と一体に回転するように連結されたボス部50と、冷却ファン14の軸心に対して放射状に延びる複数のブレード52を含む。複数のブレード52は、ボス部50から放射状に延びている。複数のブレード52は、ボス部50の周囲に所定の間隔をあけて配置されている。ボス部50と複数のブレード52は、例えばポリプロピレン等の樹脂からなり、一体成形物として構成されている。なお、冷却ファン14の構成は、適宜変更することができ、限定されない。
【0016】
ファンシュラウド12は、熱交換器80を通過した空気を冷却ファン14に導くダクトとして機能する。ファンシュラウド12には、冷却ファン14が収容されている。ファンシュラウド12の内部は、冷却ファン14にて発生した気流が通過する。ファンシュラウド12は、外周に不図示の締結部を含み、その締結部を用いてボルト等により熱交換器80に固定される。ファンシュラウド12は、例えばポリプロピレン等の樹脂で構成されている。
【0017】
図1に示すように、ファンシュラウド12は、空気導入部20、リング部24(空気導出部とも言う)、及び導風部22を含む。ファンシュラウド12には、空気流れ方向の上流側から順に、空気導入部20、導風部22、リング部24が配設されている。
【0018】
空気導入部20は、熱交換器80を通過する気流が導入される部分である。空気導入部20は、熱交換器80に隣接して配置される。空気導入部20は、熱交換器80を通過した空気が流入するように、熱交換器80に対向する部分が開口している。空気導入部20は、熱交換器80の外周形状に対応する形状を有しており、正面視で外形が矩形状となっている。
【0019】
リング部24(空気導出部)は、空気導入部20から導入された気流を後方側に導出させる部分である。リング部24は、その内部に冷却ファン14が配置されている。リング部24は、空気導入部20から導入された気流が流出するように開口している。リング部24は、冷却ファン14の外側を囲む形状を有しており、正面視で外形が円形状となっている。リング部24は、その内部で冷却ファン14が回転可能なように、冷却ファン14のブレード52の先端との間に所定の隙間が生ずる大きさに形成されている。
【0020】
リング部24は、図3に示すように、後方側に突出する円筒状部分を有する。なお、図3には、冷却ファン14が、リング部24の円筒状部分よりも若干前方にあるように描かれているが、冷却ファン14は、リング部24の円筒状部分の内側に収まるように、より後方に位置してよい。
【0021】
ファンシュラウド12は、冷却ファン14の電動モータ16を保持するモータ保持部28と、モータ保持部28から放射状に複数本延設されるモータステー30を含む。複数のモータステー30は、ファンシュラウド12のリング部24の円筒状部分に連結されている。モータ保持部28と複数のモータステー30は、例えばリング部24の円筒状部分と一体成形されている。ファンシュラウド12は、モータ保持部28と複数のモータステー30を介して、電動モータ16と冷却ファン14を支持している。
【0022】
図1に示すように、導風部22は、空気導入部20およびリング部24(空気導出部)を繋ぐと共に、空気導入部20から導入され空気をリング部24に導く空気流路を形成する部分である。導風部22は、空気導入部20からリング部24へと窄まるように空気流路を形成している。
【0023】
本実施形態では、電動モータ16の駆動及び冷却ファン14の回転に起因するファンシュラウド12の共鳴を抑制する目的で、リング部24の中心MC(電動モータ16の回転軸の中心と同じ)を、空気導入部20の中心SC(ファンシュラウド12の中心と同じ)から移動させ、導風部22の上下左右の各領域RU,LU,RB,LB(図2参照)の面積を意図的に変更している。また、リング部24の中心MCの移動で、共鳴を抑制できない領域(図2では領域RU)に突出部材34を設けている。
【0024】
具体的には、送風装置10の正面視で、空気導入部20の中心SCに対して、リング部24の中心MCは、空気導入部20の外形の1つの内角に向かった側にずれて位置している。この実施形態では、リング部24の中心MCは、図1の右下(車両における方向で左下)の内角に向かった側にずれて位置している。
【0025】
図2には、空気導入部20の上下の辺60U、60Bに平行であり中心MCを通る仮想線64Hと、空気導入部20の左右の辺60L、60Rに平行であり中心MCを通る仮想線64Vで、ファンシュラウド12の導風部22を区切って、導風部22の各領域RU,LU,RB,LBにハッチングを付した図が示されている。リング部24の中心MCが、空気導入部20の中心SC(図1参照)からずれているため、導風部22の各領域RU,LU,RB,LBの面積が異なっている。これにより、ファンシュラウド12の共鳴の条件を崩しており(共鳴の条件が成り立つことを抑制しており)、騒音の音圧を抑制することができる。
【0026】
また、送風装置10の正面視で、空気導入部20の中心SCに対して、リング部24の中心MCがずれている側とは反対側の導風部22の表面に突出部材34を設けている。この実施形態では、図1の左上(車両における方向で右上)の領域RUに、突出部材34を設けている。領域RUは、他の領域LU,RB,LBよりも面積が広い領域(最も面積が広い領域)である。導風部22の最も面積が広い領域RUに、突出部材34を設けることで、その領域の共鳴の条件を崩しており(共鳴の条件が成り立つことを抑制しており)、騒音の音圧を抑制することができる。
【0027】
図1に示すように、突出部材34は、導風部22の表面から前方に突出する突出壁36と、突出壁36の片面と導風部22の表面の間に位置する複数のリブ38を含む。突出壁36は、所定の厚みを有してリング部24の縁に沿って延びる部材であり、リング部24の縁に沿うように配置されている。突出壁36は、リング部24の縁の曲線に沿うように若干曲がって延びている。複数のリブ38は、突出壁36の倒れ込みを抑制するための部材であり、突出壁36が延びる方向に間隔をあけて配置されている。突出部材34(突出壁36とリブ38)は、ファンシュラウド12の導風部22と一体成形されている。
【0028】
以上説明した実施形態によれば、コストを抑えて、ファンシュラウド12の共鳴を抑制することができ、送風装置10から発生する騒音を抑制することができる。発明者が行った実験において、従来構成(空気導入部20の中心SCとリング部24の中心MCが同じ、かつ、突出部材34が無い構成)に比べて、以上説明した実施形態は、送風装置から発生する音(騒音)の2次ピーク周波数(共鳴の条件)での音圧レベルを低減できることが確認されている。
【0029】
なお、以上説明した実施形態では、空気導入部20の中心SCに対して、リング部24の中心MCを、空気導入部20の外形の右下(車両における方向で左下)の内角に向かった側にずらしていたが、リング部24の中心MCを、空気導入部20の外形の左上、右上、又は左下(図1における方向)に向かった側にずらしてもよい。また、それに合わせて、リング部24の中心MCをずらした側とは反対側の導風部22の表面に突出部材34を設けるとよい。
【0030】
また、突出部材34の突出壁36は、例えば、直線状に延びていてもよく、リング部24の縁から離れた位置にあってもよい。また、突出部材34(突出壁36とリブ38)は、導風部22と別体の部材であって、導風部22に取り付けられる構成であってもよい。また、突出部材34は、複数のリブ38を省いて、突出壁36のみで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 送風装置、12 ファンシュラウド、14 冷却ファン(軸流ファン)、16 電動モータ、20 空気導入部、22 導風部、24 リング部(空気導出部)、28 モータ保持部、30 モータステー、34 突出部材、36 突出壁、38 リブ、50 ボス部、52 ブレード、60U 上辺、60B 下辺、60L 左辺、60R 右辺、64H,64V 仮想線、80 熱交換器、LU 左上領域(領域)、LB 左下領域(領域)、RU 右上領域(領域)、RB 右下領域(領域)、SC 空気導入部の中心(ファンシュラウドの中心)、MC リング部の中心(モータ回転軸の中心)。
図1
図2
図3