(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100307
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/10 20060101AFI20240719BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G08B17/10 H
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004211
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】榎元 将大
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085AA03
5C085AA11
5C085FA11
5C085FA13
5G405AB01
5G405AB02
5G405AB05
5G405CA52
5G405CA53
5G405FA06
5G405FA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】感知器ベースに対して感知器本体の着脱を行う作業において、作業負荷の軽減および作業時間の短縮化を図る火災感知器を提供する。
【解決手段】火災監視現場に固定設置される感知器ベース10と、感知器ベースに対して着脱自在に結合される感知器本体とを有する火災感知器であって、感知器ベースは、ベース側磁石11と、ベース側内側接点12と、ベース側外側接点13とを有する。感知器本体は、ベース側磁石との間に作用する磁気吸着力によって感知器ベースに対して感知器本体を着脱自在に結合させる本体側磁石と、感知器ベースに感知器本体が結合された結合状態においてベース側内側接点と接触する本体側内側接点と、結合状態においてベース側外側接点と接触する本体側外側接点と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災監視現場に固定設置される感知器ベースと、
前記感知器ベースに対して着脱自在に結合される感知器本体と
を有する火災感知器であって、
前記感知器ベースは、
ベース側磁石と、
ベース側内側接点と、
ベース側外側接点と
を有し、
前記感知器本体は、
前記ベース側磁石との間に作用する磁気吸着力によって前記感知器ベースに対して前記感知器本体を着脱自在に結合させる本体側磁石と、
前記感知器ベースに前記感知器本体が結合された結合状態において前記ベース側内側接点と接触する本体側内側接点と、
前記結合状態において前記ベース側外側接点と接触する本体側外側接点と
を有する
火災感知器。
【請求項2】
前記本体側内側接点は、円周形状の第1パターンとして配置され、
前記本体側外側接点は、前記第1パターンよりも外側において円周形状の第2パターンとして配置され、
前記ベース側内側接点は、前記結合状態において前記第1パターンと接触し、
前記ベース側外側接点は、前記結合状態において前記第2パターンと接触する
請求項1に記載の火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、感知器ベースと感知器本体とを有する火災感知器に関し、特に、感知器ベースに対して感知器本体を着脱する際の作業性を改善する火災感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
煙感知器、炎感知器、熱感知器などの火災感知器は、火災監視現場の天井などに設置され、煙、炎、熱を検知し、火災を感知する。このような火災感知器は、天井などに設けた感知器ベースに感知器本体を取り付けることにより設置されている。
【0003】
火災感知器は、点検あるいは交換の際には、感知器本体を感知器ベースから取り外したり、再び取り付けたりすることができる構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に係る火災感知器では、感知器ベースに一対の嵌合端子が設けられ、感知器本体に一対の嵌合金具が設けられている。感知器本体は、感知器ベースに嵌め入れて、一対の嵌合端子に一対の嵌合金具が入り込むように回転させることで、感知器ベースに対して機械的かつ電気的に固定される。また、感知器本体を固定時とは逆向きにまわすことで、感知器ベースから感知器本体を取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1に係る火災感知器の構造においては、感知器ベースに設けられた一対の嵌合端子と、感知器本体に設けられた一対の嵌合金具とをそれぞれ嵌合させる必要がある。しかしながら、このような構造では、一対のうち一方の嵌合端子と嵌合金具のみが引っ掛かり、感知器本体と感知器ベースとが完全に嵌合していない「片刃」状態が生じ得る。
【0007】
この「片刃」状態は、作業者の手の感覚、目視によるチェック、あるいは火災受信機と火災感知器との電気的な接続不良によって発見されていた。
【0008】
また、火災感知器は、ロビー、エントランスなどの天井が高い場所に設置される場合もある。このように、高所に取り付けられた火災感知器から感知器本体を手動で取り外す際には、作業者は、着脱器を支持棒の一端に取り付け、支持棒の他端を持ち、着脱器の先端部にある溝を、感知器本体に設けられているスリットと嵌合させてホールド状態とした後に、支持棒を回転させていた。
【0009】
逆に、感知器本体を感知器ベースに手動で取り付ける際には、作業者は、着脱器を支持棒の一端に取り付け、着脱器に感知器本体をセットし、支持棒の他端を持ち、感知器本体に設けられた一対の嵌合金具を、感知器ベースに設けられた一対の嵌合端子に嵌合させるように、支持棒を捻じり回転させていた。
【0010】
作業者から火災感知器までの距離が長くなり、支持棒が長尺になるほど、支持棒の位置合せ作業が難しくなり、感知器ベースに対する感知器本体の着脱を行う際の作業者の作業負荷が増加するとともに、作業時間の増加も招いていた。また、感知器ヘッドの着脱は、点検作業に限らず、設置時にも必要となる作業であり、作業効率の改善が望まれる。
【0011】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、感知器ベースに対して感知器本体の着脱を行う作業において、作業負荷の軽減および作業時間の短縮化を図ることのできる火災感知器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示に係る防災機器は、火災監視現場に固定設置される感知器ベースと、感知器ベースに対して着脱自在に結合される感知器本体とを有する火災感知器であって、感知器ベースは、ベース側磁石と、ベース側内側接点と、ベース側外側接点とを有し、感知器本体は、ベース側磁石との間に作用する磁気吸着力によって感知器ベースに対して感知器本体を着脱自在に結合させる本体側磁石と、感知器ベースに感知器本体が結合された結合状態においてベース側内側接点と接触する本体側内側接点と、結合状態においてベース側外側接点と接触する本体側外側接点とを有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、感知器ベースに対して感知器本体の着脱を行う作業において、作業負荷の軽減および作業時間の短縮化を図ることのできる火災感知器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る火災感知器を示した概略図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係る感知器ベースの具体的な構造を示した説明図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る感知器本体の具体的な構造を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の火災感知器の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る火災感知器は、ベース側磁石と感知器側磁石との間に作用する磁気吸着力によって感知器ベースに対して感知器本体を着脱させ、磁石方式により機械的かつ電気的な結合を行うことを技術的特徴としており、着脱を行う際の作業負荷の軽減および作業時間の短縮化を図ることができる顕著な効果を実現できる。
【0016】
実施の形態1.
本開示に係る火災感知器は、火災監視現場において火災を検出するために使用されるものであり、煙感知器、炎感知器、熱感知器などが含まれる。すなわち、本開示に係る火災感知器は、火災監視現場に固定設置される感知器ベースと、感知器ベースに対して着脱自在に結合される感知器本体とを備えた感知器を意味している。
【0017】
図1は、本開示の実施の形態1に係る火災感知器を示した概略図である。本実施の形態1に係る火災感知器1は、感知器ベース10と感知器本体20とを備えて構成されている。感知器ベース10は、火災監視現場の設置面、例えば天井板、壁面などに対してネジ止めにより固定設置される。
【0018】
一方、感知器本体20は、感知器ベース10に対して着脱自在に結合される。
図1では、感知器ベース10に対して感知器本体20が結合された状態を示している。感知器本体20には、火災を検出するための構成が備えられており、
図1に示したような結合された状態となることで、感知器ベース10と感知器本体20とが、電気的かつ機械的に接続されることとなる。
【0019】
図2は、本開示の実施の形態1に係る感知器ベース10の具体的な構造を示した説明図である。
図2(A)は、感知器ベース10の縦方向断面図に相当し、
図2(B)は、感知器ベース10を斜め下方から見た斜視図に相当する。
【0020】
感知器ベース10は、ベース側磁石11と、ベース側内側接点12と、ベース側外側接点13とを備えて構成されている。ベース側磁石11は、磁気吸着力によって感知器ベース10と感知器本体20とを結合させるために、感知器ベース10側に設けられている磁石である。
図2では、ベース側磁石11が、円周形状のパターンとして、感知器ベース10の、感知器本体20との結合面の中央部に配置されている場合を例示している。
【0021】
ベース側内側接点12およびベース側外側接点13は、感知器ベース10と感知器本体20とが磁気吸着力によって機械的に結合された状態において、感知器ベース10と感知器本体20とを電気的に接続するために、感知器ベース10側に設けられている接点である。
【0022】
図2では、ベース側内側接点12が、感知器ベース10の、感知器本体20との結合面において、ベース側外側接点13よりも径方向内側に配置されている場合を例示している。さらに、
図2では、ベース側内側接点12およびベース側外側接点13がそれぞれ一対の接点として形成されている場合を例示している。
【0023】
図2では図示を省略しているが、ベース側内側接点12およびベース側外側接点13は、例えば、火災受信機と接続されている。従って、感知器ベース10と感知器本体20とが、電気的かつ機械的に接続された状態において、感知器本体20による検出結果の信号が、火災受信機に送られることとなる。
【0024】
図3は、本開示の実施の形態1に係る感知器本体20の具体的な構造を示した説明図である。
図3は、感知器本体20を斜め上方から見た斜視図に相当する。
【0025】
感知器本体20は、本体側磁石21と、本体側内側接点22と、本体側外側接点23と、確認灯24とを備えて構成されている。本体側磁石21は、ベース側磁石11との間に作用する磁気吸着力によって感知器ベース10と感知器本体20とを結合させるために、感知器本体20側に設けられている磁石である。
図3では、本体側磁石21が、円周形状のパターンとして、ベース側磁石11と、それぞれの磁石の中心軸が一致するようにして対向する位置に配置されている場合を例示している。
【0026】
本体側内側接点22および本体側外側接点23は、感知器ベース10と感知器本体20とが磁気吸着力によって機械的に結合された状態において、感知器ベース10と感知器本体20とを電気的に接続するために、感知器本体20側に設けられている接点である。
【0027】
図3では、本体側内側接点22が、本体側外側接点23よりも径方向内側に配置されている場合を例示している。さらに、
図3では、本体側内側接点22が、円周形状の第1パターンとして配置され、本体側外側接点23が、第1パターンよりも外側において円周形状の第2パターンとして配置されている場合を例示している。
【0028】
確認灯24は、火災感知器1の動作に応じて識別表示を行う表示部に相当する。
【0029】
図2および
図3に示したような構成を備えることで、感知器ベース10と感知器本体20とが磁気吸着力によって機械的に結合された状態において、ベース側内側接点12は、第1パターンを有する本体側内側接点22と接触し、ベース側外側接点13は、第2パターンを有する本体側外側接点23と接触する。
【0030】
すなわち、
図2および
図3に示したような構成を備えることで、感知器ベース10と感知器本体20とを円周方向の所望の位置で、機械的かつ電気的な結合状態とすることができる。
【0031】
さらに、一対の嵌合端子と一対の嵌合金具を嵌合させる構造を備えた従来の火災感知器では、設置する際に、感知器ベース10に設けた表示線を基に、火災監視現場における出入口側から確認灯24が視認しやすい方向で設置する必要があった。
【0032】
これに対して、本実施の形態1に係る火災感知器1は、磁石方式により機械的かつ電気的な結合を行う構造を採用している。この結果、設置時においても、感知器ベース10の設置方向に依存せずに、確認灯24を所望の位置とすることが可能となる。
【0033】
この結果、感知器ベース10に対して感知器本体20の着脱を行う作業、および火災感知器の設置作業において、作業負荷の軽減および作業時間の短縮化を実現することができる。
【0034】
なお、感知器ベース10側の接点の形状と、感知器本体20側の接点の形状を逆として、ベース側内側接点12およびベース側外側接点13を円周形状のパターンとし、本体側内側接点22および本体側外側接点23を一対の形状とすることも可能である。
【0035】
また、円周形状のパターンとして形成されたベース側磁石11および本体側磁石21を、最も外周側とし、それぞれの接点を磁石よりも内側に配置するなども可能であり、磁石と接点の配置順序は、
図2、
図3の配置に限定されるものではない。
【0036】
本実施の形態1に係る火災感知器では、一対の嵌合端子と一対の嵌合金具を嵌合させる構造の代わりに、磁石方式により機械的かつ電気的な結合を行う構造を採用している。本体側磁石21とベース側磁石11とが磁気吸着力により結合された際には、ベース側内側接点12と本体側内側接点22、およびベース側外側接点13と本体側外側接点23が、丁度接する。
【0037】
換言すると、磁石同士での結合による位置合わせが行われる。この結果、感知器本体20と感知器ベース10とが完全に嵌合していない「片刃」状態が生じてしまうおそれをなくすことができる。
【0038】
さらに、支持棒を用いた作業を行う場合にも、感知器ベース10に対して感知器本体20を容易に着脱でき、かつ、確認灯24を所望の方向に向けて結合状態をすることができる。
【0039】
以上のように、実施の形態1によれば、感知器ベースに対して感知器本体を、磁気吸着力を利用した磁石方式により着脱可能とする構成を備えている。この結果、作業者は、感知器ベースと感知器本体との着脱作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、ベース側磁石および本体側磁石を円周形状とし、かつ、感知器ベースあるいは感知器本体に設けられる接点形状を円周形状とすることで、感知器ベースと感知器本体とを円周方向の所望の位置で、機械的かつ電気的な結合状態とすることが可能となる。この結果、感知器ベースに対して感知器本体の着脱を行う作業において、作業負荷の軽減および作業時間の短縮化を図ることのできる火災感知器を実現できる。
【0041】
なお、ベース側磁石および本体側磁石の形状は、円周形状に限定されるものではない。例えば、円周上に等間隔で複数位置に磁石を配置することによっても、感知器ベースと感知器本体とを円周方向の複数位置の中の所望の位置で、機械的かつ電気的な結合状態とする構成を実現することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 火災感知器、10 感知器ベース、11 ベース側磁石、12 ベース側内側接点、13 ベース側外側接点、20 感知器本体、21 本体側磁石、22 本体側内側接点、23 本体側外側接点、24 確認灯。