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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100318
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】荷電粒子加速器用の多極電磁石
(51)【国際特許分類】
   H05H 7/04 20060101AFI20240719BHJP
   H05H 13/04 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H05H7/04
H05H13/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004228
(22)【出願日】2023-01-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年2月7日を初回として複数回にわたって国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構に販売
(71)【出願人】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148840
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100191673
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 久典
(72)【発明者】
【氏名】尾形 敢一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀人
(72)【発明者】
【氏名】横山 淳也
【テーマコード(参考)】
2G085
【Fターム(参考)】
2G085AA13
2G085BA09
2G085BA14
2G085BA15
2G085BC04
2G085BC05
2G085BC06
2G085BE05
2G085EA07
(57)【要約】
【課題】中心点の位置を容易に測定可能な新たな構造を有する多極電磁石を提供すること。
【解決手段】多極電磁石20は、所定数の磁極部30を備えている。磁極部30は、互いに同じ形状を有している。磁極部30の夫々は、ヨークから多極電磁石20の中心点24に近づくように中心軸38に沿って延びている。磁極部30の夫々は、コイルが巻回された被巻回部と、コイルから露出した露出部34とを有している。露出部34の夫々は、中心点24に近づくにつれて先細る先細り部42を有している。先細り部42の夫々には、2つの凹部44が形成されている。磁極部30の夫々において、2つの凹部44は、中心軸38を挟んでいる。凹部44の夫々には、直線部46が設けられている。直線部46の夫々は、中心軸38と平行に延びている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子加速器用の多極電磁石であって、
前記多極電磁石は、所定数の磁極部と、前記磁極部に夫々対応する前記所定数のコイルと、ヨークとを備えており、
前記磁極部は、互いに同じ形状を有しており、
前記磁極部の夫々は、前記ヨークから前記多極電磁石の中心点に近づくように中心軸に沿って延びており、
前記磁極部の夫々は、被巻回部と、露出部とを有しており、
前記被巻回部の夫々には、対応する前記コイルが巻回されており、
前記露出部の夫々は、前記被巻回部よりも前記中心点に近い位置にあり、
前記露出部の夫々は、前記コイルから露出しており、且つ、先細り部を有しており、
前記先細り部の夫々は、前記中心点に近づくにつれて先細っており、
前記先細り部の夫々には、2つの凹部が形成されており、
前記磁極部の夫々において、2つの前記凹部は、前記中心軸を挟んでおり、
前記凹部の夫々には、直線部が設けられており、
前記直線部の夫々は、前記中心軸と平行に延びている
多極電磁石。
【請求項2】
請求項1記載の多極電磁石であって、
前記多極電磁石は、互いに直交する水平方向及び垂直方向によって規定される垂直平面に沿って配置されており、
前記露出部の夫々は、2つの付加的直線部を有しており、
前記磁極部の夫々において、2つの前記付加的直線部は、前記中心軸を挟んでおり、
前記付加的直線部の夫々は、前記中心軸と交差する方向に沿って延びており、
前記磁極部は、磁極対を含んでおり、
前記磁極対は、前記垂直平面において互いに隣り合う2つの前記磁極部からなり、
前記磁極対において、一方の前記磁極部の前記付加的直線部のうちの1つ、及び、他方の前記磁極部の前記付加的直線部のうちの1つは、前記水平方向又は前記垂直方向に沿って互いに並行に延びている
多極電磁石。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の多極電磁石であって、
前記磁極部の夫々は、2つの角部を有しており、
前記磁極部の夫々において、2つの前記角部は、前記中心軸を挟んでおり、
前記角部の夫々は、前記露出部の先端から前記中心点に近づくように突出している
多極電磁石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子加速器用の多極電磁石に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、このタイプの多極電磁石が開示されている。
【0003】
多極電磁石を荷電粒子加速器に取り付ける際、多極電磁石の中心点を、荷電粒子の設計された軌道に対して正確に位置合わせする必要がある。特許文献1の多極電磁石は、回転可能に支持されている。また、特許文献1の多極電磁石の外周には、多極電磁石の極に夫々対応したターゲットが設けられている。多極電磁石を回転させつつ位置読み取り装置によってターゲットの位置を測定することで、多極電磁石の中心点の位置を測定できる。測定結果に基づいて中心点の位置を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-180999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
荷電粒子加速器用の多極電磁石について、より簡易な方法で中心点の位置を測定したいという要望がある。特に、スキュー4極電磁石のように磁極部が延びる中心軸が水平方向や垂直方向と一致する場合でも中心点の位置を容易に測定できることが好ましい。
【0006】
そこで、本発明は、中心点の位置を容易に測定可能な新たな構造を有する多極電磁石を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の多極電磁石として、
荷電粒子加速器用の多極電磁石であって、
前記多極電磁石は、所定数の磁極部と、前記磁極部に夫々対応する前記所定数のコイルと、ヨークとを備えており、
前記磁極部は、互いに同じ形状を有しており、
前記磁極部の夫々は、前記ヨークから前記多極電磁石の中心点に近づくように中心軸に沿って延びており、
前記磁極部の夫々は、被巻回部と、露出部とを有しており、
前記被巻回部の夫々には、対応する前記コイルが巻回されており、
前記露出部の夫々は、前記被巻回部よりも前記中心点に近い位置にあり、
前記露出部の夫々は、前記コイルから露出しており、且つ、先細り部を有しており、
前記先細り部の夫々は、前記中心点に近づくにつれて先細っており、
前記先細り部の夫々には、2つの凹部が形成されており、
前記磁極部の夫々において、2つの前記凹部は、前記中心軸を挟んでおり、
前記凹部の夫々には、直線部が設けられており、
前記直線部の夫々は、前記中心軸と平行に延びている
多極電磁石を提供する。
【0008】
本発明は、第2の多極電磁石として、第1の多極電磁石であって、
前記多極電磁石は、互いに直交する水平方向及び垂直方向によって規定される垂直平面に沿って配置されており、
前記露出部の夫々は、2つの付加的直線部を有しており、
前記磁極部の夫々において、2つの前記付加的直線部は、前記中心軸を挟んでおり、
前記付加的直線部の夫々は、前記中心軸と交差する方向に沿って延びており、
前記磁極部は、磁極対を含んでおり、
前記磁極対は、前記垂直平面において互いに隣り合う2つの前記磁極部からなり、
前記磁極対において、一方の前記磁極部の前記付加的直線部のうちの1つ、及び、他方の前記磁極部の前記付加的直線部のうちの1つは、前記水平方向又は前記垂直方向に沿って互いに並行に延びている
多極電磁石を提供する。
【0009】
本発明は、第3の多極電磁石として、第1又は第2の多極電磁石であって、
前記磁極部の夫々は、2つの角部を有しており、
前記磁極部の夫々において、2つの前記角部は、前記中心軸を挟んでおり、
前記角部の夫々は、前記露出部の先端から前記中心点に近づくように突出している
多極電磁石を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、磁極部の夫々に、中心軸を挟み且つ中心軸と平行に延びる2つの直線部が設けられている。この2つの直線部の中間位置を測定することで、中心軸の位置を測定できる。例えば、多極電磁石としてスキュー4極電磁石を荷電粒子加速器に取り付ける場合、2つの磁極部が水平方向に対向し、他の2つの磁極部が垂直方向に対向するように配置される。このとき、水平方向に対向する2つの磁極部の2つの中心軸の垂直方向における中間位置を測定することで、多極電磁石の中心点の垂直方向における位置を測定できる。加えて、垂直方向に対向する2つの磁極部の2つの中心軸の水平方向における中間位置を測定することで、多極電磁石の中心点の水平方向における位置を測定できる。
【0011】
上述のように、本発明によれば、磁極部の2つの直線部を使用して、スキュー4極電磁石の中心点を測定できる。測定した中心点を荷電粒子の設計された軌道に対して位置合わせすることで、スキュー4極電磁石を正確に配置できる。以上の説明から理解されるように、本発明によれば、スキュー4極電磁石のように磁極部が延びる中心軸が水平方向や垂直方向と一致する場合でも中心点の位置を容易に測定可能な新たな構造を有する多極電磁石を提供できる。
【0012】
また、本発明によれば、磁極部の夫々に、中心軸を挟み且つ中心軸と交差する方向に延びる2つの付加的直線部を設けることで、6極電磁石等の様々な多極電磁石の中心点の位置を容易に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態による荷電粒子加速器を模式的に示す平面図である。荷電粒子の軌道を破線で描画している。
図2図1の荷電粒子加速器の多極電磁石のうちの1つを示す前面図である。隠れた磁極部の輪郭及び多極電磁石の中心点の位置を破線で描画している。
図3図2の多極電磁石の磁性部材のうちの1つを示す前面図である。コイル及びコイル位置決め部材の輪郭を1点鎖線で描画している。磁極部の中心線を2点鎖線で描画している。磁極部の一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。コイル位置決め部材を固定するために磁極部に形成した孔を描画していない。
図4図2の多極電磁石の磁極部の露出部を示す前面図である。磁極部の中心線、多極電磁石の中心点の位置および多極電磁石の中心領域の位置を破線で描画している。
図5図4の露出部の変形例を示す前面図である。
図6図2の多極電磁石の変形例を示す前面図である。隠れた磁極部の輪郭及び多極電磁石の中心点の位置を破線で描画している。
図7図6の多極電磁石の磁性部材のうちの1つを示す前面図である。コイル及びコイル位置決め部材の輪郭を1点鎖線で描画している。磁極部の中心線を2点鎖線で描画している。磁極部の一部(破線で囲んだ部分)を拡大して描画している。コイル位置決め部材を固定するために磁極部に形成した孔を描画していない。
図8図6の多極電磁石の磁極部の露出部を示す前面図である。磁極部の中心線、多極電磁石の中心点の位置および多極電磁石の中心領域の位置を破線で描画している。
図9図8の露出部の一部を示す前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、本発明の実施の形態による多極電磁石20は、荷電粒子加速器10用の多極電磁石である。図示した荷電粒子加速器10は、電子や陽子等の荷電粒子を円形の軌道18に沿って周回させつつ光速に近い速度まで加速する。詳しくは、荷電粒子は、入射部12から荷電粒子加速器10に入射される。入射された荷電粒子は、軌道18に沿って加速された後に、取り出し部14から外部に取り出される。取り出された荷電粒子は、医学などの様々な分野における研究に使用される。
【0015】
図示した荷電粒子加速器10は、8つの多極電磁石20を備えている。但し、図1は模式的な図に過ぎず、実際の荷電粒子加速器10は、より多数の様々な多極電磁石を備えている。例えば、実際の荷電粒子加速器10は、軌道18に沿って配置された多数の基本単位を備えている。例えば、基本単位の夫々は、荷電粒子の方向を曲げるための複数の偏向電磁石と、荷電粒子を集束するための複数の4極電磁石と、集束した粒子の収差を補正するための複数の6極電磁石とを備えている。
【0016】
多極電磁石20は、軌道18に沿って配置されている。軌道18は、垂直方向と直交する水平面に沿って延びている。本実施の形態の垂直方向は、上下方向(Z方向)であり重力方向である。本実施の形態において、「上方」は+Z方向であり、「下方」は-Z方向である。本実施の形態の水平面は、XY平面である。
【0017】
図1図2と併せて参照すると、多極電磁石20の夫々は、軌道18と直交する垂直平面と平行に配置されている。本実施の形態の垂直平面は、互いに直交する水平方向及び垂直方向によって規定される平面である。本実施の形態の水平方向は、軌道18と直交し且つ水平面と平行な方向である。多極電磁石20の夫々は、台80の上に置かれており、台80に固定されている。多極電磁石20の夫々は、使用時に、荷電粒子を軌道18に沿って加速するための磁場を生成する。即ち、多極電磁石20によって、軌道18に沿って周回する荷電粒子を収束するための磁場が生成される。多極電磁石20の夫々は、発生する磁場の中心(即ち、中心点24)が設計された軌道18と一致するように配置されている。
【0018】
図2を参照すると、本実施の形態の多極電磁石20は、スキュー4極電磁石であり、磁性材料からなる4つの磁性部材22と、非磁性材料からなる頭部28と、4つのコイル50と、非磁性材料からなる4つのコイル位置決め部材70とを備えている。頭部28には、金属製の2つの鋼球29が取り付けられている。コイル50は、磁性部材22に夫々対応して設けられている。コイル位置決め部材70は、磁性部材22に夫々対応して設けられている。
【0019】
本実施の形態の多極電磁石20は、上述の部材を備えている。但し、本発明は、これに限られず、多極電磁石20が磁性部材22とコイル50とを備えている限り、多極電磁石20の構成は、様々に変形可能である。例えば、頭部28及びコイル位置決め部材70は、必要に応じて設ければよい。一方、多極電磁石20は、上述した部材に加えて、別の部材を更に備えていてもよい。例えば、多極電磁石20は、多極電磁石20をクレーン等の機器で持ち上げるための吊具を備えていてもよい。
【0020】
磁性部材22の夫々は、多数の鋼板を同じ形状に打ち抜いた後に水平面に沿った積層方向(図2においてX方向)に積層して形成されている。磁性部材22の夫々は、部分ヨーク62と、磁極部30とを有している。本実施の形態の磁性部材22の夫々において、部分ヨーク62と磁極部30とは、互いに一体に形成されている。部分ヨーク62は、互いに接合されており、これにより、一つのヨーク60が形成されている。ヨーク60は、垂直平面において閉じた八角リング形状を有している。
【0021】
以上の説明から理解されるように、多極電磁石20は、所定数の磁極部30と、磁極部30に夫々対応する所定数のコイル50と、ヨーク60とを備えている。本実施の形態の所定数は4である。本実施の形態のヨーク60は、磁極部30に夫々対応する部分ヨーク62の組立体である。本実施の形態において、磁極部30の夫々は、1つの磁性部材22の一部であり、部分ヨーク62の夫々は、対応する磁極部30が形成された磁性部材22の一部である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、所定数は、後述するように6であってもよい。磁極部30とヨーク60とは、互いに別体に形成されていてもよい。より具体的には、ヨーク60は、八角リング形状の単一の部材であってもよい。磁極部30の夫々は、単一のヨーク60に接合されていてもよい。
【0022】
コイル50の夫々は、対応する磁極部30に取り付けられている。詳しくは、本実施の形態のコイル50の夫々は、被覆導線からなり、巻回部と、2つの端部(図示せず)とを有している。巻回部の夫々は、対応する磁極部30に巻回されている。端部は、電源(図示せず)に接続されている。コイル50の夫々に電源から電力が供給されると、対応する磁極部30によって磁場が形成される。磁場は、少なくとも中心領域26(図4参照)に生成される。中心領域26は、垂直平面において実質的に円形状を有している。コイル50に電流を流したときに設計された磁場が形成される限り、コイル50の材料や巻回数等のパラメータは、特に限定されない。
【0023】
コイル位置決め部材70の夫々は、ボルトを使用して対応する磁極部30に固定されている。コイル位置決め部材70の夫々が磁極部30に固定されると、コイル50は、垂直平面においてコイル位置決め部材70とヨーク60との間に挟み込まれ、これにより、磁極部30及びヨーク60に対して相対的に移動しないように固定される。この構造により、磁極部30は、設計された磁場を設計された領域に生成する。コイル位置決め部材70の夫々は、非磁性金属等の非磁性材料からなり、磁場に影響を与えない。
【0024】
本実施の形態のコイル50の夫々は、上述のように磁極部30に取り付けられており、且つ、磁極部30に固定されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コイル50を位置決めする方法は、必要に応じて変形可能である。コイル位置決め部材70の夫々は、樹脂等の絶縁体から形成してもよい。磁極部30のうちコイル50を取り付ける部位は、コイル50の内周形状に合わせて面取りしてもよい。
【0025】
本実施の形態の多極電磁石20は、例えば、以下に説明するように組み立てられる。まず、コイル50を磁極部30に夫々取り付ける。次に、コイル位置決め部材70を磁極部30に夫々固定する。次に、部分ヨーク62を互いに接合してヨーク60を形成する。この結果、磁極部30の夫々の他の磁極部30に対する相対的な位置が固定される。
【0026】
次に、ヨーク60の上に頭部28を取り付ける。次に、頭部28に、2つの鋼球29を取り付ける。鋼球29の夫々は、実質的に真球形状を有している。図2図1と併せて参照すると、次に、上述のように組み立てられた多極電磁石20を台80の上に設置する。次に、多極電磁石20が設置された台80を荷電粒子加速器10の所定の位置に取り付ける。後述するように、台80を荷電粒子加速器10の所定の位置に取り付ける際、磁極部30が生成する磁場の中心(中心点24)が設計された軌道18に一致するように調整する。このとき、多極電磁石20は、垂直平面(図2においてYZ平面)と平行に延びている。本実施の形態によれば、上述のように台80を取り付ける。但し、上述の取り付け方法は一例に過ぎず、必要に応じて変形可能である。
【0027】
図2を参照すると、磁極部30は、互いに同じ形状を有しており、垂直平面において90度回転対象に配置されている。詳しくは、4つの磁極部30のうちの2つは、垂直方向に沿って互いに向かい合うように配置されており、4つの磁極部30のうちの他の2つは水平方向に沿って互いに向かい合うように配置されている。磁極部30の夫々は、ヨーク60から多極電磁石20の中心点24に近づくように、仮想的な軸である中心軸38に沿って延びている。上述した構造により、磁極部30が生成する磁場の中心は、垂直平面における多極電磁石20の図形上の中心点24と実質的に一致する。従って、理論的には、多極電磁石20の中心点24の位置を正確に測定することで、磁極部30が生成する磁場の中心位置を測定できる。
【0028】
以下、本実施の形態の磁性部材22のうちの1つについて説明する。以下の説明は、磁性部材22の夫々に適用可能である。
【0029】
図3を参照すると、磁性部材22の磁極部30は、中心軸38に沿って中心点24(図2参照)に向かって延びている。磁極部30は、中心軸38について線対称な形状を有している。磁極部30は、被巻回部32と、露出部34とを有している。被巻回部32は、ヨーク60に繋がっており、ヨーク60から中心軸38に沿って中心点24に向かって延びている。被巻回部32には、対応するコイル50が巻回されている。露出部34は、被巻回部32の端に繋がっており、被巻回部32から中心軸38に沿って中心点24に向かって延びている。露出部34は、コイル50から露出している。
【0030】
本実施の形態によれば、磁極部30のうちのコイル50が巻回される部位が被巻回部32であり、コイル50が巻回されない部位が露出部34である。被巻回部32と露出部34との間には、視認可能な境界が存在しない。但し、本発明は、これに限られない。例えば、被巻回部32と露出部34との間に凸部等の視認可能な境界を設けてもよい。
【0031】
露出部34は、被巻回部32よりも中心点24(図2参照)に近い位置にある。露出部34は、先細り部42を有している。先細り部42は、中心点24に近づくにつれて垂直平面(図3においてYZ平面)において先細っている。
【0032】
本実施の形態の先細り部42は、露出部34全体と被巻回部32の一部とを含んでいる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、先細り部42は、露出部34の一部であってもよい。この場合、露出部34は、先細り部42に加えて矩形部を有していてもよい。矩形部は、被巻回部32の端に繋がっていてもよく、被巻回部32から中心軸38に沿って中心点24に向かって延びていてもよい。矩形部は、中心軸38と直交する直交方向(図3においてY方向)において一定のサイズを有していてもよい。先細り部42は、矩形部の端に繋がっていてもよく、矩形部から中心軸38に沿って中心点24に向かって延びていてもよい。
【0033】
先細り部42の夫々には、2つの凹部44が形成されている。磁極部30において、2つの凹部44は、中心軸38を挟んでおり、中心軸38について線対称に形成されている。凹部44の夫々は、垂直平面において中心軸38に向かって凹んでいる。凹部44の夫々には、直線部46が設けられている。2つの直線部46は、中心軸38を挟んでおり、中心軸38について線対称に形成されている。直線部46の夫々は、中心軸38と平行に延びている。
【0034】
以下、多極電磁石20(図4参照)の中心点24の位置を測定する方法を説明する。
【0035】
図4を参照すると、従来のスキュー4極電磁石において、磁極部には凹部44が形成されておらず、磁極部は、中心軸38と平行に延びる直線部を有していなかった。このため、スキュー4極電磁石の中心点24の位置を測定することが難しかった。一方、本実施の形態によれば、磁極部30の夫々に、中心軸38を挟み且つ中心軸38と平行に延びる2つの直線部46が設けられている。以下に説明するように、この2つの直線部46の中間位置を測定することで、中心点24の位置を測定できる。以下に説明する測定は、例えば、三次元測定機を使用して正確に実施できる。
【0036】
まず、本実施の形態のような多極電磁石20(スキュー4極電磁石)を荷電粒子加速器10(図1参照)に取り付けると、2つの磁極部30が水平方向に対向し、他の2つの磁極部30が垂直方向に対向する。この状態で、磁極部30の夫々について、2つの直線部46の中間位置を測定し、これにより、中心軸38の位置を測定する。
【0037】
このとき、製造公差がない理想的な状態においては、水平方向に対向する2つの磁極部30の2つの中心軸38の垂直方向における位置は互いに等しい。加えて、垂直方向に対向する2つの磁極部30の2つの中心軸38の水平方向における位置は、互いに等しい。従って、水平方向に対向する2つの磁極部30のうちの一方の中心軸38の垂直方向における位置を測定し、且つ、垂直方向に対向する2つの磁極部30のうちの一方の中心軸38の水平方向における位置を測定することで、多極電磁石20の中心点24の垂直平面における位置を測定できる。
【0038】
但し、図5を参照すると、現実には、製造公差に起因して、水平方向に対向する2つの磁極部30の2つの中心軸38の垂直方向における位置は互いに異なる。同様に、垂直方向に対向する2つの磁極部30の2つの中心軸38の水平方向における位置は互いに異なる。この場合であっても、水平方向に対向する2つの磁極部30の2つの中心軸38の垂直方向における中間位置を測定することで、多極電磁石20の中心点24の垂直方向における位置を測定できる。加えて、垂直方向に対向する2つの磁極部30の2つの中心軸38の水平方向における中間位置を測定することで、多極電磁石20の中心点24の水平方向における位置を測定できる。即ち、多極電磁石20の中心点24の垂直平面における位置を測定できる。
【0039】
上述のように、本実施の形態によれば、磁極部30の2つの直線部46を使用して、スキュー4極電磁石である多極電磁石20の中心点24の位置を測定できる。測定した中心点24を荷電粒子の設計された軌道18(図1参照)に対して位置合わせすることで、スキュー4極電磁石を正確に配置できる。以上の説明から理解されるように、本実施の形態によれば、スキュー4極電磁石やスキュー8極電磁石のように磁極部30が延びる中心軸38が水平方向や垂直方向と一致する場合でも中心点24の位置を容易に測定可能な新たな構造を有する多極電磁石20を提供できる。
【0040】
図2図1と併せて参照すると、中心点24の軌道18に対する位置合わせは、例えば、下記のように行うことができる。まず、多極電磁石20を台80の上に設置する。次に、多極電磁石20を設置した台80を荷電粒子加速器10の所定の位置に取り付ける。次に、台80に設けられている調整機構(図示せず)を使用して、中心点24が荷電粒子の軌道18と一致するように調整する。
【0041】
中心点24が他の機構や機器の背後に隠れておらず視認可能な場合、上述のように調整できる。一方、中心点24を調整する際、中心点24が他の機構や機器の背後に隠れて視認できない場合がある。その場合、多極電磁石20を設置した台80を荷電粒子加速器10の所定の位置に取り付ける前に、2つの鋼球29の位置を測定する。加えて、中心点24と鋼球29との間の位置関係を計測する。この方法によれば、中心点24が視認できない場合でも、鋼球29を使用して、中心点24が荷電粒子の軌道18と一致するように調整できる。鋼球29は、調整が終了した後に、取り外せばよい。また、中心点24が視認可能な場合であっても、2つの鋼球29を用いて中心点24の3次元座標を計測でき、これにより、多極電磁石20の位置調整を容易に且つ高精度に行える。
【0042】
上述した中心点24の調整方法は、一例に過ぎず、必要に応じて変形可能である。
【0043】
上述した本実施の形態は、既に説明した様々な変形例に加えて、更に様々に変形可能である。また、上述した本実施の形態によれば、磁極部30の数である所定数が4N(Nは自然数)であり、磁極部30が中心点24の周りに4N回転対称に配置されており、且つ、磁極部30のうちの2つが垂直方向に並び磁極部30のうちの他の2つが水平方向に並ぶ電磁石について、磁極部30の2つの直線部46(図3参照)のみを使用して、中心点24の位置を測定できる。
【0044】
但し、本発明は、上述した本実施の形態に限られない。例えば、所定数が4N+2(Nは自然数)であり、磁極部30が中心点24の周りに(4N+2)回転対称に配置されており、且つ、磁極部30のうちの2つが垂直方向または水平方向に並ぶ電磁石についても、磁極部30の2つの直線部46(図3参照)を使用して、中心点24の位置を測定できる。以下、このような電磁石の一例として6極電磁石について説明する。
【0045】
図6図2と比較すると、本変形例の多極電磁石20Aは、荷電粒子加速器10(図1参照)用の6極電磁石であり、多極電磁石20と同様に、互いに直交する水平方向(図6においてY方向)及び垂直方向(図6においてZ方向)によって規定される垂直平面(図6においてYZ平面)と平行に配置されている。
【0046】
多極電磁石20Aは、磁性材料からなる6つの磁性部材22Aと、非磁性材料からなる頭部28Aと、6つのコイル50と、非磁性材料からなる6つのコイル位置決め部材70Aとを備えている。頭部28Aには、金属製の2つの鋼球29Aが取り付けられている。コイル50は、磁性部材22Aに夫々対応して設けられている。コイル50の夫々は、多極電磁石20のコイル50と同様な構造を有しており、多極電磁石20のコイル50と同様に機能する。コイル位置決め部材70Aは、磁性部材22Aに夫々対応して設けられている。また、多極電磁石20Aには、多極電磁石20Aをクレーン等の機器で持ち上げるための2つの吊具82Aが取り付けられている。
【0047】
図6を参照すると、磁性部材22Aの夫々は、多数の鋼板を同じ形状に打ち抜いた後に水平面に沿った積層方向(図6においてX方向)に積層して形成されている。磁性部材22Aの夫々は、部分ヨーク62Aと、磁極部30Aとを有している。磁性部材22Aの夫々において、部分ヨーク62Aと磁極部30Aとは、互いに一体に形成されている。部分ヨーク62Aは、互いに接合されており、これにより、一つのヨーク60Aが形成されている。ヨーク60Aは、垂直平面において閉じた12角リング形状を有している。
【0048】
以上の説明から理解されるように、多極電磁石20Aは、所定数の磁極部30Aと、磁極部30Aに夫々対応する所定数のコイル50と、ヨーク60Aとを備えている。本変形例の所定数は6である。ヨーク60Aは、磁極部30Aに夫々対応する部分ヨーク62Aの組立体である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、ヨーク60Aは、12角リング形状の単一の部材であってもよい。磁極部30Aの夫々は、ヨーク60Aに接合されていてもよい。
【0049】
コイル50の夫々は、多極電磁石20(図2参照)と同様に、対応する磁極部30Aに取り付けられており、多極電磁石20のコイル50と同様に機能する。コイル位置決め部材70Aの夫々は、多極電磁石20(図2参照)と同様に、ボルトを使用して対応する磁極部30Aに固定されている。この結果、コイル50の夫々は、磁極部30A及びヨーク60Aに対して相対的に移動しないように固定されている。コイル位置決め部材70Aを磁極部30Aに取り付けた後、部分ヨーク62Aを互いに接合してヨーク60Aを形成する。この結果、磁極部30Aの夫々の他の磁極部30Aに対する相対的な位置が固定される。
【0050】
磁極部30Aは、互いに同じ形状を有しており、垂直平面において60度回転対象に配置されている。詳しくは、6つの磁極部30Aのうちの2つは、垂直方向に沿って互いに向かい合うように配置されている。磁極部30Aの夫々は、ヨーク60Aから多極電磁石20Aの中心点24に近づくように、仮想的な軸である中心軸38に沿って延びている。上述した構造により、磁極部30Aが生成する磁場の中心は、垂直平面における多極電磁石20Aの図形上の中心点24と実質的に一致する。従って、多極電磁石20(図2参照)と同様に、多極電磁石20Aの中心点24の位置を正確に測定することで、磁極部30Aが生成する磁場の中心位置を測定できる。
【0051】
以下、本変形例の磁性部材22Aのうちの1つについて説明する。以下の説明は、磁性部材22Aの夫々に適用可能である。
【0052】
図7を参照すると、磁性部材22Aの磁極部30Aは、中心軸38に沿って中心点24(図6参照)に向かって延びている。磁極部30Aは、中心軸38について線対称な形状を有している。磁極部30Aは、被巻回部32Aと、露出部34Aとを有している。被巻回部32Aは、ヨーク60Aに繋がっており、ヨーク60Aから中心軸38に沿って中心点24に向かって延びている。被巻回部32Aには、対応するコイル50が巻回されている。露出部34Aは、被巻回部32Aの端に繋がっており、被巻回部32Aから中心軸38に沿って中心点24に向かって延びている。露出部34Aは、コイル50から露出している。
【0053】
露出部34Aは、被巻回部32Aよりも中心点24(図6参照)に近い位置にある。露出部34Aは、先細り部42Aを有している。先細り部42Aは、中心点24に近づくにつれて垂直平面(図3においてYZ平面)において先細っている。本変形例の先細り部42Aは、露出部34A全体と被巻回部32Aの大部分とを含んでいる。
【0054】
先細り部42Aの夫々には、2つの凹部44Aが形成されている。磁極部30Aにおいて、2つの凹部44Aは、中心軸38を挟んでおり、中心軸38について線対称に形成されている。凹部44Aの夫々は、垂直平面において中心軸38に向かって凹んでいる。凹部44Aの夫々には、直線部46Aが設けられている。2つの直線部46Aは、中心軸38を挟んでおり、中心軸38について線対称に形成されている。直線部46Aの夫々は、中心軸38と平行に延びている。
【0055】
以上の説明から理解されるように、本変形例の磁極部30Aは、磁極部30(図3参照)と同様な構造を有しており、磁極部30と同様に変形可能である。一方、磁極部30Aは、磁極部30に設けられていない部位を有している。より具体的には、露出部34Aは、2つの付加的直線部48Aを有している。磁極部30Aにおいて、2つの付加的直線部48Aは、中心軸38を挟んでおり、中心軸38について線対称に形成されている。付加的直線部48Aの夫々は、露出部34Aの先端近傍に位置しており、中心軸38と交差角θで交差する方向に沿って延びている。付加的直線部48Aは、中心点24(図6参照)に近づくにつれて互いに接近するように延びている。
【0056】
本変形例の交差角θは、30度である。但し、本発明は、これに限られず、交差角θは、磁極部30Aの数である所定数(N:Nは自然数)に応じて決まる。より具体的には、交差角θは、360度/2Nである。例えば、多極電磁石20Aが4極電磁石の場合、交差角θは、45度である。
【0057】
本変形例の磁極部30Aは、2つの角部36Aを有している。磁極部30Aにおいて、2つの角部36Aは、中心軸38を挟んでおり、中心軸38について線対称に形成されている。角部36Aの夫々は、露出部34Aの先端から中心点24(図6参照)に近づくように突出している。付加的直線部48Aの夫々は、角部36Aの水平方向外側の縁である。角部36Aを設けることで、磁場が均一に生成される範囲(均一範囲)を広げることができる。即ち、中心点24(図6参照)から均一範囲の境界までの距離を長くできる。
【0058】
以下、多極電磁石20A(図8参照)の中心点24の位置を測定する方法を説明する。
【0059】
図8を参照すると、本変形例のような多極電磁石20A(6極電磁石)を荷電粒子加速器10(図1参照)に取り付ける場合、磁極部30Aのうちの2つが垂直方向または水平方向に対向するように配置する。図示した多極電磁石20Aは、磁極部30Aのうちの2つが垂直方向に対向するように配置されている。
【0060】
本変形例によれば、垂直方向に対向する磁極部30Aの夫々に、中心軸38を挟み且つ中心軸38と平行に延びる2つの直線部46Aが設けられている。この2つの直線部46Aの中間位置を測定することで、中心軸38の位置を測定できる。また、垂直方向に対向する2つの磁極部30Aの2つの中心軸38の水平方向における中間位置を測定することで、多極電磁石20Aの中心点24の水平方向における位置を測定できる。
【0061】
更に、図9を参照すると、磁極部30Aは、2つの磁極対30Pを含んでいる。磁極対30Pの夫々は、垂直平面において互いに隣り合う2つの磁極部30Aからなる。特に本変形例の2つの磁極対30Pは、水平方向において中心点24の両側に夫々位置している。磁極対30Pの夫々において、一方の磁極部30Aの付加的直線部48Aのうちの1つ、及び、他方の磁極部30Aの付加的直線部48Aのうちの1つは、水平方向に沿って互いに並行に延びている。磁極対30Pの夫々において、上述した2つの付加的直線部48Aの垂直方向における中間位置を測定することで、仮想的な軸である中心軸38Aの位置を測定できる。更に、測定した2つの中心軸38Aの垂直方向における中間位置を測定することで、多極電磁石20Aの中心点24の垂直方向における位置を測定できる。
【0062】
以上の説明を纏めると、本変形例によれば、磁極部30Aの2つの直線部46Aを使用することに加えて、磁極部30Aの夫々に、中心軸38を挟み且つ中心軸38と交差する方向に延びる2つの付加的直線部48Aを設けることで、製造公差の有無に拘らず、6極電磁石等の様々な多極電磁石の中心点24の位置を容易に測定できる。本変形例によれば、4極電磁石や6極電磁石のように磁極部30Aが延びる中心軸38が水平方向や垂直方向と一致しない場合でも中心点24の位置を容易に測定可能な新たな構造を有する多極電磁石20Aを提供できる。
【0063】
本変形例の2つの磁極対30Pは、水平方向に並んでいる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、多極電磁石20Aがスキュー6極電磁石である場合、2つの磁極対30Pは、中心点24の上下に夫々位置する。この場合、磁極対30Pの夫々において、一方の磁極部30Aの付加的直線部48Aのうちの1つ、及び、他方の磁極部30Aの付加的直線部48Aのうちの1つは、垂直方向に沿って互いに並行に延びていればよい。即ち、磁極対30Pの夫々において、一方の磁極部30Aの付加的直線部48Aのうちの1つ、及び、他方の磁極部30Aの付加的直線部48Aのうちの1つは、水平方向又は垂直方向に沿って互いに並行に延びていればよい。
【0064】
図6図1と併せて参照すると、中心点24の軌道18に対する位置合わせは、多極電磁石20と同様に実施できる。例えば、まず、2つの鋼球29Aの位置を測定する。加えて、中心点24と鋼球29Aとの間の位置関係を計測する。次に、多極電磁石20Aを荷電粒子加速器10の台80Aの上に設置する。次に、台80Aに設けられている調整機構(図示せず)を使用して、中心点24が荷電粒子の軌道18と一致するように調整する。次に、鋼球29Aを取り外す。
【0065】
本変形例の多極電磁石20Aは、上述した構造を有しており、上述したように機能する。但し、本発明は、これに限られない。例えば、多極電磁石20Aは、多極電磁石20と同様に様々に変形可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 荷電粒子加速器
12 入射部
14 取り出し部
18 軌道
20,20A 多極電磁石
22,22A 磁性部材
24 中心点
26 中心領域
28,28A 頭部
29,29A 鋼球
30,30A 磁極部
30P 磁極対
32,32A 被巻回部
34,34A 露出部
36A 角部
38,38A 中心軸
42,42A 先細り部
44,44A 凹部
46,46A 直線部
48A 付加的直線部
50 コイル
60,60A ヨーク
62,62A 部分ヨーク
70,70A コイル位置決め部材
80,80A 台
82A 吊具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9