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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100323
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】調湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/06 20060101AFI20240719BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20240719BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20240719BHJP
   F25B 15/00 20060101ALI20240719BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20240719BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F24F3/06
F24F3/14
F24F11/65
F25B15/00 Z
F25B49/02 510A
B01D53/26 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004239
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆英
(72)【発明者】
【氏名】渥美 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 元巳
(72)【発明者】
【氏名】市野 義裕
【テーマコード(参考)】
3L053
3L093
3L260
4D052
【Fターム(参考)】
3L053BB02
3L053BB04
3L053BC03
3L053BC05
3L093GG02
3L260AB01
3L260AB12
3L260AB14
3L260BA05
3L260BA06
3L260CA12
3L260CA13
3L260FA02
3L260FB64
4D052AA08
4D052CF00
4D052DA08
4D052GA01
4D052GB00
4D052HA12
4D052HA14
4D052HB01
(57)【要約】
【課題】複数の運転モードからより適切な運転モードを早期に選択することが可能な調湿装置を提供する。
【解決手段】調湿装置1は、調湿器11と、再生器21と、ヒートポンプHPと、制御装置40と、調湿器11における気液接触前の空気の温度及び湿度状態を検出するためのセンサ51,52とを備えると共に、暖房運転について複数の運転モードを有している。制御装置40は、センサ51,52により検出される気液接触前の空気の温度及び湿度状態より、暖房HP運転モード、HP水供給運転モード、及び追加熱源加湿モードから実行する運転モードを判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気と吸湿性液体との気液接触により調湿空間を加湿する調湿器と、
前記調湿器の加湿によって濃縮された吸湿性液体を再生する再生器と、
前記調湿器に供給される吸湿性液体を加熱すると共に、前記再生器に供給される吸湿性液体を冷却するためのヒートポンプと、
前記調湿器側の吸湿性液体に対して給水を行うために制御される給水弁と、
前記調湿器側と前記再生器側との吸湿性液体の循環、前記ヒートポンプの動作、及び前記給水弁の開閉を制御する制御手段と、を備え、
前記ヒートポンプによって前記調湿器側の加熱と前記再生器側の冷却を行いながら吸湿性液体を前記調湿器側と前記再生器側とで循環させて吸湿性液体を再生させながら加湿を行う第1運転モードと、前記給水弁を開けて前記調湿器側の吸湿性液体に給水を行い、前記調湿器側における吸湿性液体を前記ヒートポンプによって加熱しつつ、前記調湿器側で循環させて前記調湿空間を加湿させる第2運転モードと、前記給水弁を開けて前記調湿器側の吸湿性液体に給水を行い、前記調湿器側における吸湿性液体を加熱可能な追加熱源によって加熱しつつ、前記調湿器側で循環させて前記調湿空間を加湿させる第3運転モードと、を実行する調湿装置であって、
前記調湿器における気液接触前の空気の温度及び湿度状態を検出するための検出手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記検出手段により検出される前記気液接触前の空気の温度及び湿度状態より、前記第1運転モード、前記第2運転モード、及び前記第3運転モードから実行する運転モードを判断する
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出手段により検出される前記気液接触前の空気の温度と湿度状態より算出される絶対湿度が、前記第1運転モードで運転する基準を満たさないと判断した場合は、前記第2運転モードを実行すべきと判断し、前記気液接触前の空気の温度と湿度状態より算出されるエンタルピー又は温度が、前記第2運転モードで運転する基準を満たさないと判断した場合、前記第3運転モードを実行すべきと判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の調湿装置
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1運転モードを実行している状態から前記第2運転モードを実行する状態に移行させる場合、前記再生器側から前記調湿器側に吸湿性液体が流入することを阻止し、且つ前記調湿器側の吸湿性液体を前記調湿器側の外部に送出し、当該送出後に前記給水弁を開けて前記調湿器側の吸湿性液体に給水を行う前処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の調湿装置
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2運転モードを実行する場合、前記再生器側の吸湿性液体を流通させるためのポンプを停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の調湿装置。
【請求項5】
前記制御手段は、当該送出後に吸湿性液体に給水を行いつつ、給水中に前記第2運転モードを実行する
ことを特徴とする請求項3に記載の調湿装置。
【請求項6】
前記制御手段は、当該送出後に吸湿性液体に給水を行い、給水完了後に前記第2運転モードを実行する
ことを特徴とする請求項3に記載の調湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塩化リチウム等の吸湿性液体を用いて室内空間等の調湿を行う調湿装置が知られている(例えば特許文献1参照)。調湿装置は、室内側の調湿器と室外側の再生器とを有しており、調湿器に対して吸湿性液体を供給して除湿冷房又は加湿暖房を行う。吸湿性液体は、低濃度であるときに温度上昇すると水分を放出し易くなり、高濃度であるときに温度低下すると水分を吸収し易くなる性質を有している。調湿装置は、この性質を利用して、除湿時には高濃度の吸湿性液体を調湿器に供給して冷却すると共に、加湿時には低濃度の吸湿性液体を調湿器に供給して加熱する。これにより、調湿装置は、除湿冷房又は加湿暖房を行う。
【0003】
加えて特許文献1に記載の調湿装置は、加湿暖房時に吸湿性液体に対して給水することが可能となっており、吸湿性液体に対して給水する給水ありの加湿暖房モードと、吸湿性液体に対して給水しない給水なしの加湿暖房モードとを実行可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4368212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載の調湿装置は、加湿暖房に関し複数の運転モードを実行可能となっているが、複数の運転モードのうちどの運転モードを実行するかについては詳細な検討がされていない。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複数の運転モードからより適切な運転モードを早期に選択することが可能な調湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る調湿装置は、空気と吸湿性液体との気液接触により調湿空間を加湿する調湿器と、前記調湿器の加湿によって濃縮された吸湿性液体を再生する再生器と、前記調湿器に供給される吸湿性液体を加熱すると共に、前記再生器に供給される吸湿性液体を冷却するためのヒートポンプと、前記調湿器側の吸湿性液体に対して給水を行うために制御される給水弁と、前記調湿器側と前記再生器側との吸湿性液体の循環、前記ヒートポンプの動作、及び前記給水弁の開閉を制御する制御手段と、を備え、前記ヒートポンプによって前記調湿器側の加熱と前記再生器側の冷却を行いながら吸湿性液体を前記調湿器側と前記再生器側とで循環させて吸湿性液体を再生させながら加湿を行う第1運転モードと、前記給水弁を開けて前記調湿器側の吸湿性液体に給水を行い、前記調湿器側における吸湿性液体を前記ヒートポンプによって加熱しつつ、前記調湿器側で循環させて前記調湿空間を加湿させる第2運転モードと、前記給水弁を開けて前記調湿器側の吸湿性液体に給水を行い、前記調湿器側における吸湿性液体を加熱可能な追加熱源によって加熱しつつ、前記調湿器側で循環させて前記調湿空間を加湿させる第3運転モードと、を実行する調湿装置であって、前記調湿器における気液接触前の空気の温度及び湿度状態を検出するための検出手段と、をさらに備え、前記制御手段は、前記検出手段により検出される前記気液接触前の空気の温度及び湿度状態より、前記第1運転モード、前記第2運転モード、及び前記第3運転モードから実行する運転モードを判断する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の運転モードからより適切な運転モードを早期に選択することが可能な調湿装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る調湿装置を示す構成図である。
図2図1に示したヒートポンプの内部等を示す構成図である。
図3】冷房運転モードを示す構成図である。
図4】暖房HP運転モードを示す構成図である。
図5】HP水供給運転モードを示す構成図である。
図6】追加加熱運転モードを示す構成図である。
図7】HP水供給運転モードの実行前の動作状態を示す図である。
図8】本実施形態に係る調湿装置の暖房時における制御方法を示すフローチャートである。
図9】暖房時におけるモード遷移の様子を空気線図上で説明する第1の概念図である。
図10】暖房時におけるモード遷移の様子を空気線図上で説明する第2の概念図である。
図11】変形例に係る調湿装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る調湿装置を示す構成図である。図1に示すように、調湿装置1は、調湿側装置(調湿器側)10と、再生側装置(再生器側)20と、熱交換器HEと、熱源システム30と、制御装置(制御手段)40とを備えている。この調湿装置1では、塩化リチウム、塩化カルシウム及びイオン液体等の吸湿性液体が調湿側装置10と再生側装置20とで循環する構成となっている。調湿装置1は、これらの循環過程で吸湿性液体の濃度調整を行い、調湿器11を介して室内側に除湿冷房や加湿暖房の効果をもたらす構成となっている。以下、詳細に説明する。
【0012】
調湿側装置10は、室内(調湿空間の一例)に空調効果をもたらすための機能部であって、調湿器11と、送風機12と、第1タンク13と、レベルセンサLS1,LS2と、第1ポンプP1と、各種流路L1~L4と、各種弁V1~V4とを備えている。
【0013】
調湿器11は、空気と吸湿性液体との気液接触により室内に空調効果をもたらすものであって、調湿分配装置11aと、調湿熱交換器11bとを備えている。調湿分配装置11aは、調湿熱交換器11bよりも上方に設けられ、吸湿性液体を調湿熱交換器11bに対して滴下するものである。この調湿分配装置11aは、吸湿性液体を一時貯留する容器を備えている。容器は底壁に複数の小孔が形成されている。調湿分配装置11aは、複数の小孔を介して吸湿性液体を自由落下させることで、調湿熱交換器11bに対して吸湿性液体を滴下する。調湿熱交換器11bは、例えば波型屈曲形状とされた複数のフィン等の吸湿性液体と空気との接触及び冷温水との熱交換を促進させる部材と、熱源システム30から供給される冷温水が流れる流路とによって構成されており、吸湿性液体が接触流下すると共に送風機12によって外気に曝されるものである。
【0014】
送風機12は、調湿器11の下流側に配置されたものである。送風機12は、調湿器11に外気を送り込み吸湿性液体と気液接触させ、外気を除湿又は加湿したうえで、室内に給気するものである。第1タンク13は、吸湿性液体を蓄える貯留部であって、調湿器11での気液接触を経て濃度変化した吸湿性液体を貯留するものである。レベルセンサLS1,LS2は、第1タンク13の液面レベルを検出するものである。第1レベルセンサLS1は、第1タンク13の下部側に設けられ、第1タンク13の液面レベルが所定の低位レベル以上であるときにオンし、所定の低位レベル未満となったときにオフするものである。第2レベルセンサLS2は、第1タンク13の上部側に設けられ、第1タンク13の液面レベルが所定の高位レベル以上であるときにオンし、所定の高位レベル未満となったときにオフするものである。
【0015】
第1流路L1は、一端が第1タンク13の下部に接続され、他端が熱交換器HEに接続された流路である。この第1流路L1は、第1タンク13の吸湿性液体を熱交換器HEに送るものである。
【0016】
第2流路L2は、一端が熱交換器HEに接続され、他端が調湿分配装置11aに接続された流路である。この第2流路L2は、熱交換器HEにて熱交換された吸湿性液体を調湿分配装置11aに送るものである。
【0017】
第3流路L3は、一端が第1流路L1上の接続点Aに接続され、他端が第2流路L2上の接続点Bに接続された流路である。この第3流路L3は、第1タンク13の吸湿性液体を熱交換器HEに送り込むことなくバイパスする(調湿側装置10内で循環させる)ものである。
【0018】
第4流路L4は、一端が補給水管(不図示)等に接続され、他端が第1タンク13につながっている。第4流路L4は、補給水管等からの水を取り込み、第1タンク13に供給するものである。
【0019】
第1弁V1は、第1流路L1のうち接続点Aから熱交換器HEまでの間に部位に設けられ、吸湿性液体の流通を許可すべく開状態となったり吸湿性液体の流通を禁止すべく閉状態となるものである。
【0020】
第2弁V2は、第2流路L2のうち熱交換器HEから接続点Bまでの間に部位に設けられている。第3弁V3は、第3流路L3上に設けられている。これら弁V2,V3は、第1弁V1と同様に、開閉することで吸湿性液体の流通を制御するものである。第4弁(給水弁)V4は、第4流路L4に設けられ、第1タンク13の吸湿性液体に対して給水を行うために制御される弁である。第1ポンプP1は、第1流路L1のうち接続点Aよりも上流側に設けられ、吸湿性液体を流通させる動力源となるものである。
【0021】
再生側装置20は、調湿器11の気液接触を経て濃度変化した吸湿性液体を再生するための機能部であって、再生器21と、送風機22と、第2タンク23と、第2ポンプ(ポンプ)P2と、各種流路L5,L6とを備えている。
【0022】
再生器21は、調湿器11での除湿又は加湿によって濃度変化した吸湿性液体と外気との気液接触によって濃度を再生するものであって、再生分配装置21aと、再生熱交換器21bとを備えている。再生分配装置21aは、再生熱交換器21bよりも上方に設けられ、吸湿性液体を再生熱交換器21bに対して滴下するものである。この再生分配装置21aについても調湿分配装置11aと同様の構成であって、吸湿性液体を一時貯留する容器を備えている。容器は底壁に複数の小孔が形成されている。再生分配装置21aは、複数の小孔を介して吸湿性液体を自由落下させることで、再生熱交換器21bに対して吸湿性液体を滴下する。再生熱交換器21bは、調湿熱交換器11bと同様に複数のフィン等の吸湿性液体と空気との接触及び冷温水との熱交換を促進させる部材と、熱源システム30から供給される冷温水が流れる流路とによって構成されており、吸湿性液体が接触流下すると共に送風機22により外気に曝されるものである。
【0023】
送風機22は、再生器21の下流側に配置されたものである。送風機22は、再生器21に外気を導入して吸湿性液体と気液接触させ、吸湿性液体から外気に余分な水分を放出させ、又は不足する水分を外気から吸湿性液体に吸収させたうえで排気することで、吸湿性液体を再生させるものである。第2タンク23は、吸湿性液体を蓄える貯留部であって、再生器21の気液接触を経て濃度再生した吸湿性液体を貯留する。
【0024】
第5流路L5は、一端が第2タンク23の下部に接続され、他端が熱交換器HEに接続された流路である。この第5流路L5は、第2タンク23の吸湿性液体を熱交換器HEに送るものである。
【0025】
第6流路L6は、一端が熱交換器HEに接続され、他端が再生分配装置21aに接続された流路である。この第6流路L6は、熱交換器HEにて熱交換された吸湿性液体を再生分配装置21aに送るものである。
【0026】
熱交換器HEは、吸湿性液体の熱交換を行うものである。熱交換器HEは、第1流路L1と第6流路L6とを接続する第1ルートR1と、第5流路L5と第2流路L2とを接続する第2ルートR2とを備えている。この熱交換器HEは、第1ルートR1を流れる吸湿性液体と、第2ルートR2を流れる吸湿性液体との熱交換を行う。
【0027】
熱源システム30は、調湿器11及び再生器21に供給される吸湿性液体を加熱したり冷却したりするものである。この熱源システム30は、ヒートポンプHPと、各種流路L7~L14と、各種弁FV1,FV2と、各種ポンプP3,P4と、追加熱源AHとを備えている。
【0028】
ヒートポンプHPは、冷媒(例えばフロン)の圧縮による温度上昇と膨張による温度低下とを利用して冷却効果と加熱効果とを得るものである。このヒートポンプHPは、除湿冷房時に調湿器11に対して冷水を供給し、加熱暖房時に調湿器11に対して温水を供給する。なお、ヒートポンプHPは、再生器21に対して上記とは逆に、除湿冷房時に温水を供給し、加熱暖房時に冷水を供給等する。
【0029】
第7流路L7は、一端がヒートポンプHPに接続され、他端が第1四方弁FV1に接続されている。この第7流路L7は、ヒートポンプHPにて冷却された冷水を第1四方弁FV1に供給する。
【0030】
第8流路L8は、一端が第1四方弁FV1に接続され、他端が調湿熱交換器11bに接続されている。第9流路L9は、一端が調湿熱交換器11bに接続され、他端が第2四方弁FV2に接続されている。第10流路L10は、一端が第2四方弁FV2に接続され、他端がヒートポンプHPに接続されている。
【0031】
第11流路L11は、一端がヒートポンプHPに接続され、他端が第1四方弁FV1に接続されている。この第11流路L11は、ヒートポンプHPにて加熱された温水を第1四方弁FV1に供給する。
【0032】
第12流路L12は、一端が第1四方弁FV1に接続され、他端が再生熱交換器21bに接続されている。第13流路L13は、一端が再生熱交換器21bに接続され、他端が第2四方弁FV2に接続されている。第14流路L14は、一端が第2四方弁FV2に接続され、他端がヒートポンプHPに接続されている。
【0033】
第1四方弁FV1は、接続先を変化させることで冷水や温水の流通先を制御するものである。この第1四方弁FV1は、第1状態と第2状態とで切替可能となっている。第1状態は、第7流路L7と第8流路L8とを接続させると共に第11流路L11と第12流路L12とを接続させる状態である。第2状態は、第7流路L7と第12流路L12とを接続させると共に第11流路L11と第8流路L8とを接続させる状態である。
【0034】
第2四方弁FV2は、第1四方弁FV1と同様に、接続先を変化させることで冷水や温水の流通先を制御するものである。この第2四方弁FV2についても第1状態と第2状態とで切替可能となっている。第1状態は、第9流路L9と第10流路L10とを接続させると共に第13流路L13と第14流路L14とを接続させる状態である。第2状態は、第9流路L9と第14流路L14とを接続させると共に第13流路L13と第10流路L10とを接続させる状態である。
【0035】
第3ポンプP3は、第7流路L7に設けられ、冷水を流通させる動力源となるものである。第4ポンプP4は、第11流路L11に設けられ、温水を流通させる動力源となるものである。追加熱源AHは、廃熱源や熱源機等から熱媒を導入して第8流路L8に流れる水(後述するように温水)を更に加熱するもの、又は、ガスバーナーや電気ヒーター等、温水を直接加熱するものである。
【0036】
図2は、図1に示したヒートポンプHPの内部等を示す構成図である。図2に示すように、調湿装置1(図1参照)は、更に温度センサ51,53及び湿度センサ52,54を備えている。第1温度センサ(検出手段)51は、調湿熱交換器11bの上流側における気液接触前の空気温度(外気の乾球温度)に応じた信号を出力するものである。第1湿度センサ(検出手段)52は、調湿熱交換器11bの上流側における気液接触前の空気の湿度(外気の相対湿度)に応じた信号を出力するものである。これら第1温度センサ51及び第1湿度センサ52は、外気の状態(例えば絶対湿度やエンタルピー)を検出するための手段となる。
【0037】
第2温度センサ53は、調湿熱交換器11bでの気液接触後に室内に供給される空気の温度(室内の乾球温度)に応じた信号を出力するものである。第2湿度センサ54は、調湿熱交換器11bでの気液接触後に室内に供給される空気の湿度(室内の相対湿度)に応じた信号を出力するものである。これら第2温度センサ53及び第2湿度センサ54は、調湿装置1から室内に供給される空気の状態(例えば絶対湿度やエンタルピー)を検出するための手段となる。
【0038】
また、ヒートポンプHPは、圧縮機HP1、凝縮器HP2、膨張弁HP3、蒸発器HP4、これらを接続する冷媒回路RC、及び温度センサ55,56を備えている。圧縮機HP1は、冷媒を圧縮して高圧化させるものである。凝縮器HP2は、圧縮高圧化した冷媒を導入して凝縮熱交換することで温水を生成するものである。膨張弁HP3は、液化した冷媒を減圧膨張させて低温化させるものである。蒸発器HP4は、膨張低温化した冷媒を導入して蒸発熱交換することで冷水を生成するものである。第3温度センサ55は、冷媒回路RCの蒸発器入口側(膨張弁HP3から蒸発器HP4の間)を流れる冷媒温度に応じた信号を出力するものである。第4温度センサ56は、冷媒回路RCの蒸発器出口側(蒸発器HP4から圧縮機HP1の間)を流れる冷媒温度に応じた信号を出力し膨張弁HP3によって冷媒の加熱度をコントロールするものである。
【0039】
再度図1を参照する。制御装置40は、調湿装置1の全体を制御する制御プログラムを記憶したものである。この制御装置40は、各弁V1~V4の開閉制御、第1~第4ポンプP1~P4の運転制御、送風機12,22の運転制御、四方弁FV1,FV2の接続先制御、及びヒートポンプHPの運転制御等を行う。制御装置40は、各センサ51~56からの信号、及び、ユーザ等によって設定される目標となる室内環境に基づいて、各部を制御する。
【0040】
次に、図3図7を参照して、本実施形態に係る調湿装置1の動作を説明する。本実施形態に係る調湿装置1は、4つの運転モードで運転可能となっている。なお、以下の図3図7において、流路L1~L3,L5,L6において太線は濃度が高い吸湿性液体が流れ、細線は濃度が低い吸湿性液体が流れ、破線は吸湿性液体が流れていないことを示している。さらに、流路L4において実線は水が流れることを示し、破線は水が流れていないことを示している。加えて、流路L7~L14において太線は温水が流れ、細線は冷水が流れ、破線は冷温水が流れていないことを示している。各弁V1~V4において黒抜きは閉状態を示し、白抜きは開状態を示している。四方弁FV1,FV2や熱交換器HEにおいても、冷水か温水か等に応じた図示状態としている。
【0041】
図3は、冷房運転モードを示す構成図である。冷房運転モードにおいて熱源システム30は、調湿器11に冷水を供給し、再生器21に温水を供給する。すなわち、制御装置40は、ヒートポンプHPを運転すると共に、第3及び第4ポンプP3,P4を運転する。さらに、制御装置40は、第1四方弁FV1を制御して、第7流路L7と第8流路L8とを接続すると共に、第11流路L11と第12流路L12とを接続する。これにより、ヒートポンプHPにて生成された冷水は、第7流路L7から第1四方弁FV1及び第8流路L8を通じて調湿器11の調湿熱交換器11bに至る。同様に、ヒートポンプHPにて生成された温水は、第11流路L11から第1四方弁FV1及び第12流路L12を通じて再生器21の再生熱交換器21bに至る。
【0042】
また、制御装置40は、第2四方弁FV2を制御して、第9流路L9と第10流路L10とを接続すると共に、第13流路L13と第14流路L14とを接続する。このため、調湿熱交換器11bを通過した冷水は、第9流路L9から第2四方弁FV2及び第10流路L10を通じてヒートポンプHPに戻る。同様に、再生熱交換器21bを通過した温水は、第13流路L13から第2四方弁FV2及び第14流路L14を通じてヒートポンプHPに戻る。
【0043】
また、制御装置40は、第1弁V1及び第2弁V2を開状態とすると共に、第3弁V3を閉状態とする。さらに、制御装置40は、第1ポンプP1及び第2ポンプP2、並びに、送風機12,22を運転させる。なお、第4弁V4は閉状態とされる。
【0044】
これにより、調湿側装置10と再生側装置20とで吸湿性液体が循環する。この循環の過程において調湿分配装置11aから調湿熱交換器11bに滴下された高濃度の吸湿性液体は、ヒートポンプHPからの冷水によって温度低下すると共に、送風機12によって送り込まれる外気から水分を奪って第1タンク13に至る。この結果、室内には、除湿且つ温度低下した空気が供給され、除湿冷房効果がもたらされる。一方、第1タンク13内には温度及び濃度が低い吸湿性液体が溜まる。第1タンク13内の温度及び濃度が低い吸湿性液体は、第1流路L1、熱交換器HE及び第6流路L6を通じて、再生分配装置21aに至り再生熱交換器21bに滴下される。
【0045】
再生分配装置21aから再生熱交換器21bに滴下された低濃度の吸湿性液体は、ヒートポンプHPからの温水によって温度上昇すると共に、送風機22によって送風される外気に余分な水分を放出して第2タンク23に至る。この結果、第2タンク23内には温度及び濃度が高い吸湿性液体が溜まる。すなわち、吸湿性液体は濃度再生された状態となる。第2タンク23内の温度及び濃度が高い吸湿性液体は、第5流路L5、熱交換器HE及び第2流路L2を通じて、調湿分配装置11aに至り調湿熱交換器11bに滴下される。
【0046】
なお、上記のような吸湿性液体の循環過程において第1ルートR1と第2ルートR2とを流れる吸湿性液体には温度差があることから、熱交換されることとなる。
【0047】
図4は、暖房HP運転モードを示す構成図である。暖房HP運転モード(第1運転モード)において熱源システム30は、調湿器11に温水を供給し、再生器21に冷水を供給する。すなわち、制御装置40は、ヒートポンプHPを運転すると共に、第3及び第4ポンプP3,P4を運転する。さらに、制御装置40は、第1四方弁FV1を制御して、第7流路L7と第12流路L12とを接続すると共に、第11流路L11と第8流路L8とを接続する。これにより、ヒートポンプHPにて生成された冷水は、第7流路L7から第1四方弁FV1及び第12流路L12を通じて再生器21の再生熱交換器21bに至る。同様に、ヒートポンプHPにて生成された温水は、第11流路L11から第1四方弁FV1及び第8流路L8を通じて調湿器11の調湿熱交換器11bに至る。
【0048】
また、制御装置40は、第2四方弁FV2を制御して、第9流路L9と第14流路L14とを接続すると共に、第10流路L10と第13流路L13とを接続する。このため、調湿熱交換器11bを通過した温水は、第9流路L9から第2四方弁FV2及び第14流路L14を通じてヒートポンプHPに戻る。同様に、再生熱交換器21bを通過した冷水は、第13流路L13から第2四方弁FV2及び第10流路L10を通じてヒートポンプHPに戻る。
【0049】
また、制御装置40は、第1弁V1及び第2弁V2を開状態とすると共に、第3弁V3を閉状態とする。さらに、制御装置40は、第1ポンプP1及び第2ポンプP2、並びに、送風機12,22を運転させる。なお、第4弁V4は閉状態とされる。
【0050】
これにより、調湿側装置10と再生側装置20とで吸湿性液体が循環する。この循環の過程において調湿分配装置11aから調湿熱交換器11bに滴下された低濃度の吸湿性液体は、ヒートポンプHPからの温水によって温度上昇すると共に、送風機12によって送り込まれる外気に余分な水分を放出して第1タンク13に至る。この結果、室内には、加湿且つ温度上昇した空気が供給され、加湿暖房効果がもたらされる。一方、第1タンク13内には温度及び濃度が高い吸湿性液体が溜まる。第1タンク13内の温度及び濃度が高い吸湿性液体は、第1流路L1、熱交換器HE及び第6流路L6を通じて、再生分配装置21aに至り再生熱交換器21bに滴下される。
【0051】
再生分配装置21aから再生熱交換器21bに滴下された高濃度の吸湿性液体は、ヒートポンプHPからの冷水によって温度低下すると共に、送風機22によって送風される外気から水分を奪って第2タンク23に至る。この結果、第2タンク23内には温度及び濃度が低い吸湿性液体が溜まる。すなわち、吸湿性液体は濃度再生された状態となる。第2タンク23内の温度及び濃度が低い吸湿性液体は、第5流路L5、熱交換器HE及び第2流路L2を通じて、調湿分配装置11aに至り調湿熱交換器11bに滴下される。
【0052】
なお、上記のような吸湿性液体の循環過程において第1ルートR1と第2ルートR2とを流れる吸湿性液体には温度差があることから、熱交換されることとなる。
【0053】
図5は、HP水供給運転モードを示す構成図である。本実施形態において制御装置40は、暖房HP運転モードの加湿では充分でないと判断できる場合、より高い加湿効果を得るべく、HP水供給運転モード(第2運転モード)を実行する。
【0054】
HP水供給運転モードにおいて熱源システム30は、調湿器11に温水を供給し、再生器21に冷水を供給する。熱源システム30に関する制御は、暖房HP運転モードと同じである。
【0055】
また、制御装置40は、第1弁V1及び第2弁V2を閉状態とすると共に、第3弁V3を開状態とする。さらに、制御装置40は、第1ポンプP1及び送風機12を運転させる。また、制御装置40は、第4弁V4を開状態とし、第1タンク13に補給水を導入する。なお、制御装置40は、第2ポンプP2を停止させる。なお、制御装置40は、第4弁V4を開状態として、第1タンク13に補給水を導入する前に、第1タンク13内の吸湿性液体を第2タンク23に移送し、第1タンク13内の吸湿性液体レベルを下げてから、給水させることで、吸湿性液体の濃度を低下させる。
【0056】
これにより、吸湿性液体は、調湿側装置10と再生側装置20との間で循環することなく、調湿側装置10内で循環状態となる。調湿側装置10内の循環の過程において調湿分配装置11aから調湿熱交換器11bに滴下された低濃度の吸湿性液体は、ヒートポンプHPからの温水によって温度上昇すると共に送風機12によって送り込まれる外気に水分を放出して第1タンク13に至る。この結果、室内には、加湿且つ温度上昇した空気が供給され、加湿暖房効果がもたらされる。特に、調湿側装置10のみで循環する吸湿性液体には、第4流路L4を通じて水が補給されることで、吸湿性液体が蒸発し易い低濃度に希釈されているため、暖房HP運転モードよりも、高い加湿効果を得ることができる。また、吸湿性液体を再生器21に流さないことによって、そこでの温度低下を避けることができ、吸湿性液体の加熱に掛かるエネルギーを削減することができる。
【0057】
図6は、追加加熱運転モードを示す構成図である。本実施形態に係る調湿装置1において制御装置40は、HP水供給運転モードの加湿では充分でないと判断できる場合に、追加加熱運転モード(第3運転モード)を実行する。
【0058】
追加加熱運転モードにおいて熱源システム30は、調湿器11に温水を供給する。この場合において制御装置40は、ヒートポンプHPの運転を行うことなく、追加熱源AHを利用して温水の加熱を行う。さらに、制御装置40は、第3ポンプP3を停止し、第4ポンプP4を運転させる。これにより、追加熱源AHによって加熱された温水は、第8流路L8、調湿熱交換器11b、第9流路L9、第14流路L14、及び第11流路L11の順に流れて、再度追加熱源AHに戻ることとなる。
【0059】
なお、吸湿性液体の循環等についてはHP水供給運転モードと同じであり、制御装置40は、第4弁V4を開状態とし第1タンク13内に水が補給されることから、高い加湿効果を得ることができる。特に、追加加熱運転モードにおいては、追加熱源AHによって一層高温の温水が調湿熱交換器11bに供給されることから、より一層高い加湿効果を得ることができる。
【0060】
以上のように本実施形態に係る調湿装置1は、加湿に関する複数の運転モードを実行可能となっている。これら複数の運転モードは、より適切なものが選択されて実行されるべきである。このような運転モードの選択にあたり、例えば室内の湿度環境に基づいて判断することが考えられる。例えば、まず暖房HP運転モードを実行し、室内の加湿が充分でないと判断された場合にHP水供給運転モードを実行することが考えられる。同様に、HP水供給運転モードを実行し、室内の加湿が充分でないと判断された場合に追加加熱運転モードを実行することが考えられる。
【0061】
しかし、本来的に追加加熱運転モードを実行すべきところ、上記制御では、暖房HP運転モードとHP水供給運転モードとが実行されてから追加加熱運転モードが実行されることとなる。よって、適切でない運転モードが選択されてから、適切な運転モードが選択され、早期に適切な運転モードを選択して実行することが困難となってしまう。
【0062】
そこで、本実施形態に係る調湿装置1は、早期に適切な運転モードを実行すべく、外気の状態に基づいて、複数の運転モードから適切な運転モードを選択するようにしている。詳細に説明すると制御装置40は、第1温度センサ51及び第1湿度センサ52を通じて検出される空気(調湿器11での気液接触前の空気)の温度及び湿度状態より、暖房HP運転モード、HP水供給運転モード、及び追加加熱運転モードから実行する運転モードを選択する。
【0063】
例えば調湿器11において気液接触される前の外気の絶対湿度が高いと仮定する。この場合、第4弁V4を開けて調湿側装置10に給水しなくとも、室内を充分に加湿できるといえる。よって、制御装置40は、暖房HP運転モードを実行すると判断する。また、HP水供給運転モードを実行する場合には、外部から水が補給されることから、外気湿度を考慮しなくともよい。一方で、HP水供給運転モードを実行する場合には、冷水が再生器21に供給されて外気と熱交換される。この熱交換によって外気熱を取り込むこととなり、調湿器11に供給する温水温度に影響を与えることとなる。よって、例えば制御装置40は、外気温度が或る程度高い場合に暖房HP運転モードを実行すると判断し、そうでない場合に追加熱源加湿モードを実行すると判断する。
【0064】
このように、本実施形態に係る調湿装置1は、調湿器11での気液接触前における空気の温度及び湿度状態より、実行する運転モードを判断することで、まずいずれかの運転モードで運転して室内状況を判断する必要がなく、適切な運転モードを早期に選択することができる。
【0065】
さらに、本実施形態に係る調湿装置1は、暖房HP運転モードを実行している状態から、HP水供給運転モードの実行に移行する場合、高い加湿効果を得るために吸湿性液体の濃度をより低くする制御を実行する。すなわち、本実施形態に係る調湿装置1は、暖房HP運転モードからHP水供給運転モードに移行させる際に図7に示す動作を実行する。
【0066】
図7は、HP水供給運転モードの実行前の動作状態を示す図である。図7に示すように、本実施形態に係る調湿装置1は、HP水供給運転モードを実行する前に、再生器21側から調湿器11側に吸湿性液体が流入することを阻止し、且つ調湿器11側の吸湿性液体を調湿器11側の外部(すなわち調湿側装置10の外部)に送出する。この際、制御装置40は、第1ポンプP1を運転させる一方、第2ポンプP2を停止させる。これにより、制御装置40は、第2タンク23内の吸湿性液体を調湿器11側(調湿側装置10)に流入させず、第1タンク13内の吸湿性液体を再生器21側(再生側装置20)の第2タンク23に送り込む。
【0067】
より詳細に説明すると制御装置40は、第1ポンプP1を運転し、第1弁V1を開状態とする。これにより、第1タンク13の吸湿性液体が第2タンク23に至るまでの経路を確保する。一方、制御装置40は、第2ポンプP2を停止し、第2弁V2を閉状態とする。これにより、第2タンク23の吸湿性液体が第1タンク13に戻ってしまうことがないようにする。なお、制御装置40は、第2弁V2を閉状態とすることなく第2ポンプP2を停止させるのみであってもよい。
【0068】
また、この時点で制御装置40は、第3弁V3を開けておらず、調湿側装置10内のみでの吸湿性液体の循環を開始していない。加えて制御装置40は、第4弁V4を開けておらず、水の補給を開始していない。
【0069】
また、制御装置40は、例えば第1ポンプP1の運転を開始した後に、レベルセンサLS1がオフするかを判断する。すなわち、制御装置40は、調湿側装置10の吸湿性液体が規定量(レベルセンサLS1がオフするまでの量)だけ再生側装置20に送り込まれたかを判断する。その後、レベルセンサLS1がオフすると、制御装置40は、第1弁V1を閉じて調湿器11側(調湿側装置10)と再生器21側(再生側装置20)との吸湿性液体の流通を完全に遮断させる。流通遮断時に又はその後、制御装置40は、第3弁V3及び第4弁V4を開ける。
【0070】
次に、制御装置40は、第2レベルセンサLS2がオンとなったかを判断する。制御装置40は、第2レベルセンサLS2がオンとなったと判断した場合、第1タンク13に充分な水が供給され第1タンク13の吸湿性液体がより低濃度となったと判断する。すなわち制御装置40は、給水完了と判断する。そして、給水完了後に、制御装置40は図5に示した運転を行う。なお、制御装置40は給水完了後に図5に示す運転を行う場合に限らず、給水中に図5に示す運転を行ってもよい。
【0071】
また、制御装置40は、第2レベルセンサLS2がオンとなったかを判断することなく、例えば所定時間の給水を行ってもよい。また、調湿装置1が第4流路L4に流量センサを備える場合、制御装置40は、流量センサからの信号に基づいて所定量の給水を行ってもよい。
【0072】
次に、本実施形態に係る調湿装置1の制御方法の詳細を説明する。図8は、本実施形態に係る調湿装置1の暖房時における制御方法を示すフローチャートである。なお、図8に示す処理は調湿装置1の電源がオフされるまで繰り返し実行される。
【0073】
図8に示すように、暖房時において制御装置40は、第1温度センサ51及び第1湿度センサ52からの信号に基づく外気温度T1及び外気相対湿度H1から、外気絶対湿度X1及び外気エンタルピーE1を算出する(S1)。
【0074】
次に、制御装置40は、外気絶対湿度X1が閾値Xa以上であるか(暖房HP運転モードで運転する基準を満たすか)を判断する(S2)。図9は、暖房時におけるモード遷移の様子を空気線図上で説明する第1の概念図である。図9に示すように、暖房時における運転モードは、相対湿度及び乾球温度から求められる絶対湿度及びエンタルピーに基づいて決定される。本実施形態に係る制御装置40は、まず外気絶対湿度X1が閾値Xa以上であるかを判断し、外気絶対湿度X1が閾値Xa以上である場合、外気から取り込める水分量が或る程度大きいことから補給水を利用する必要がなく、暖房HP運転モードを選択する。
【0075】
再度図8を参照する。外気絶対湿度X1が閾値Xa以上である場合(S2:YES)、或る程度外気湿度が高いことから、制御装置40は、HP水供給運転モード及び追加加熱運転モードまでは実行する必要がないと判断し、暖房HP運転モードを実行する(S3)。その後図8に示す処理は終了する。
【0076】
一方、外気絶対湿度X1が閾値Xa以上でない場合(S2:NO)、制御装置40は、ステップS1にて算出した外気エンタルピーE1が閾値Ea以上であるか(HP水供給運転モードで運転する基準を満たすか)を判断する(S4)。外気エンタルピーE1が閾値Ea以上である場合(S4:YES)、制御装置40は、現在が暖房HP運転モードであるかを判断する(S5)。現在が暖房HP運転モードでない場合(S5:NO)、処理はステップS7に移行する。現在が暖房HP運転モードである場合(S5:YES)、制御装置40は、前処理を実行する(S6)。この処理において制御装置40は、図7に示すように、調湿側装置10内の吸湿性液体を再生側装置20に送り込む一方、再生側装置20内の吸湿性液体を調湿側装置10に導入しない。そして、制御装置40は、調湿側装置10の吸湿性液体を規定量だけ再生側装置20に送り込み、給水を開始する。その後、制御装置40は、HP水供給運転モードを実行する(S7)。図9に示すように、外気エンタルピーE1が或る程度高い場合、外気より取り込める熱量が或る程度確保されるといえることから追加加熱運転モードを実行する必要がなく、HP水供給運転モードが選択される。この際、制御装置40は、弁等を図7に示す状態を経て図5に示す状態にする。
【0077】
再度図8を参照する。外気エンタルピーE1が閾値Ea以上でない場合(S4:NO)、制御装置40は、追加加熱運転モードを実行する(S8)。この際、制御装置40は、弁等を図6に示す状態にする。その後、図8に示す処理は終了する。
【0078】
なお、図8に示すステップS4においては、外気エンタルピーE1が閾値Ea以上であるか否かに代えて、外気温度T1が閾値Ta以上であるか否かを判断してもよい。図10は、暖房時におけるモード遷移の様子を空気線図上で説明する第2の概念図である。図10に示すように、暖房時における運転モードは、絶対湿度及び乾球温度に基づいて決定されてもよい。すなわち、本実施形態に係る制御装置40は、まず外気絶対湿度X1が閾値Xa以上であるかを判断し(S2)、外気絶対湿度X1が閾値Xa以上でない場合(S2:NO)、制御装置40は、外気温度T1が閾値Ta以上であるかを判断してもよい(S4)。
【0079】
このようにして、本実施形態に係る調湿装置1によれば、気液接触前の空気の温度及び湿度状態に基づいて、暖房時において実行する運転モードを判断する。このため、まず特定の運転モードを実行して室内環境が適切であるか否かを判断する必要がなく、気液接触前の空気によって適切に運転することができる運転モードの選択が可能となる。従って、複数の運転モードからより適切な運転モードを早期に選択することが可能な調湿装置1を提供することができる。
【0080】
また、暖房HP運転モードの基準を満たさない場合に、HP水供給運転モードを実行すると判断し、HP水供給運転モードの基準を満たさない場合に、追加加熱運転モードを実行すると判断する。このように、省エネルギー効果が高い暖房HP運転モードについて基準を満たすかを判断し、そうでない場合に次に省エネルギー効果が高いHP水供給運転モードの基準を満たすかを判断することとなる。従って、より省エネルギー効果が高い適切な運転モードを早期に選択することが可能な調湿装置1を提供することができる。
【0081】
また、調湿装置1は、HP水供給運転モードを実行するに先立って、再生器21側から調湿器11側に吸湿性液体が流入することを阻止し、且つ、調湿器11側の吸湿性液体を再生器21側に送出する。このため、HP水供給運転モードにおいて給水が行われるときには、調湿器11側の吸湿性液体が減少していることとなる。よって、HP水供給運転モードにおいて調湿器11側で循環させられる吸湿性液体は濃度がより低い状態とされ、より水分を放出し易い状態となる。従って、一層加湿効果を高めることができる。
【0082】
また、制御装置40は、HP水供給運転モードを行う場合、再生器21側の吸湿性液体を流通させるための第2ポンプP2を停止させる。このため、加湿に寄与しない再生器21側ではポンプ動作による電力消費が抑えられることとなる。また調湿器11側の吸湿性液体を再生器21側に送らず、吸湿性液体を無駄に冷却させないことで、調湿器11側の加熱に必要なエネルギーが不要となる。従って、消費電力を抑えたうえで加湿効果を高めることができる。
【0083】
また、吸湿性液体に給水を行いつつ給水中にHP水供給運転モードを実行する場合には、給水完了まで待つことなくHP水供給運転モードが実行される。このため、加湿を止めることなく加湿を継続しながら調湿空間を加湿することができ、一時的に加湿が行われなくなる期間における乾燥を防止することができる。
【0084】
また、給水完了後にHP水供給運転モードを実行する場合には、HP水供給運転モードを実行するにあたり調湿器11側の吸湿性液体の濃度が管理し易くなる。従って、加湿効果を制御し易くすることができる。
【0085】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜実施形態同士や周知及び公知等の他の技術を組み合わせてもよい。さらに、可能な範囲で公知又は周知の技術を組み合わせてもよい。
【0086】
例えば、上記実施形態においてHP水供給運転モードでは、再生側装置20内において吸湿性液体は循環することなく停止していた。しかし、これに限らず、再生側装置20内において吸湿性液体が循環していてもよい。図11は、変形例に係る調湿装置1を示す構成図である。図11に示すように、変形例に示す調湿装置1は、第5流路L5の接続点Cと第6流路L6の接続点Dとをつなぐ第15流路L15を更に備えている。接続点Cは第2ポンプP2よりも下流側となっている。
【0087】
このような変形例に係る制御装置40は、HP水供給運転モードにおいて第5弁V5を開状態とする。また、制御装置40は、第2ポンプP2及び送風機22を運転させる。これにより、変形例に示す調湿装置1は、HP水供給運転モードにおいて吸湿性液体を循環させつつ、再生熱交換器21bで気液接触させてもよい。
【0088】
さらに、図8に示すステップS2において、制御装置40は、外気絶対湿度X1が閾値Xa以上であるかを判断する処理を行っているが、この処理は現在が暖房HP運転モードであるか否か等に基づいてヒステリシス制御するようになっていてもよい。同様に、制御装置40は、図8に示すステップS4においてもヒステリシス制御するようになっていてもよい。
【0089】
また、図5及び図6に示すように、調湿器11側に給水を行う場合において給水箇所は第1タンク13に限らず、第2流路L2上や調湿分配装置11a等、調湿側装置10の他の箇所であってもよい。これによってもHP水供給運転モードの実行等が可能となるためである。もっとも本実施形態に係る調湿装置1は第1タンク13にレベルセンサLS1,LS2が設けられることから、給水量を適切化させるためにはレベルセンサLS1,LS2が設けられる箇所付近に給水することが好ましい。
【0090】
加えて、本実施形態に係る熱源システム30は、凝縮器HP2及び蒸発器HP4における熱交換後の冷温水を調湿器11や再生器21に供給しているが、これに限らず、調湿器11や再生器21には、フロン等の冷媒を直接供給するようにしてもよい。
【0091】
さらに、本実施形態において送風機12,22は、外気を取り込む構成であるが、特にこれに限らず、一部又は全部を室内から取り込む構成であってもよい。また、追加熱源AHは調湿装置1の外部熱源からの熱媒を導入するものに限らず、調湿装置1内に設けられたガスバーナーや電気ヒーターであってもよい。
【0092】
さらに、上記実施形態において制御装置40は、暖房HP運転モードからHP水供給運転モードに移行する場合にHP水供給運転モードを実行するのに先立って、レベルセンサLS1がオフするまで調湿側装置10の吸湿性液体を再生側装置20に送出している。しかし、制御装置40は、レベルセンサLS1がオフするまでに限らず、例えば数十リットル等の予め定められた量の吸湿性液体を再生側装置20に送出する等の処理を行ってもよい。
【0093】
加えて、上記実施形態において制御装置40は、HP水供給運転モードを実行するのに先立って、調湿器11側の吸湿性液体を再生器21側に送出しているが、調湿器11側の外部に送出できれば再生器21側に送出する場合に限らない。例えば本装置1が調湿器11側でも再生器21側でもない別容器を備え、調湿器11側の吸湿性液体を当該別容器に移すようにしてもよい。さらに、上記実施形態において制御装置40は、HP水供給運転モードを実行するに先立って、調湿器11側の吸湿性液体を再生器21側に送出し、送出完了後に給水を行っているが、これに限らず、送出完了直前等に給水する等、送出開始後に給水を行ってもよい。
【0094】
また、本実施形態において調湿装置1は、図8に示すステップS4において外気エンタルピーE1又は外気温度T1が基準を満たすかを判断している。しかし、これに限らず、例えば図10の破線に示すように、可能であれば、外気エンタルピーE1及び外気温度T1の双方に基づいて基準を満たすか否かを判断してもよい。この場合、まず、外気温度T1の関数として、基準となるエンタルピーEaが算出され、算出されたエンタルピーEaと外気エンタルピーE1とが比較されることとなる。
【0095】
加えて、本実施形態において調湿装置1は、追加加熱運転モードにおいて温水がヒートポンプHPを経由するようになっているが、このモードにおいてヒートポンプHPは運転しておらず、温水がヒートポンプHPを経由しなくともよい。従って、第14配管L14と第11配管L11とを接続する配管と各種弁を新たに追加して、温水がヒートポンプHPをバイパスして流れるようになっていてもよい。バイパスにより温水が凝縮器HP2に入りこむことなく圧力損失を抑えてスムーズに温水を流すことができるからである。
【0096】
さらに、本実施形態の参考例に係る調湿装置は、1)追加熱源加湿モードを備える必要がなく、暖房HP運転モードとHP水供給運転モードとの2つの運転モードのみを有する構成であってもよい。2)加湿時における運転モードの選択については、気液接触前の空気の温度と湿度状態とに基づいて行ってもよいが、気液接触後の空気の温度と湿度状態とに基づいて行ってもよい。すなわち、いずれか一方の運転モードを実行して室内の温度と湿度状態に基づいて他方の運転モードに移行させるようにしてもよい。
【0097】
このような参考例に係る調湿装置は、暖房HP運転モードからHP水供給運転モードに移行させる場合、前処理を実行する点は実施形態に係る調湿装置1と同じである。すなわち、参考例に係る調湿装置は、気液接触前の空気の温度及び湿度状態に基づいて運転モードを判断するという特徴を備えるか否かに関わらず、暖房HP運転モードからHP水供給運転モードに移行させる場合、HP水供給運転モードの実行に先立って、規定量の吸湿性液体を調湿側装置10から再生側装置20に送り込む。
【0098】
このような参考例によれば、例えば複数の運転モードからより適切な運転モードを早期に選択することができるという効果を奏するか否かに関らず、HP水供給運転モードにおいて、より高い加湿効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 :調湿装置
10 :調湿側装置(調湿器側)
11 :調湿器
20 :再生側装置(再生器側)
21 :再生器
40 :制御装置(制御手段)
51 :第1温度センサ(検出手段)
52 :第1湿度センサ(検出手段)
53 :第2温度センサ
54 :第2湿度センサ
AH :追加熱源
E1 :外気エンタルピー(エンタルピー)
HP :ヒートポンプ
P2 :第2ポンプ(ポンプ)
T1 :外気温度(温度)
V4 :弁(給水弁)
X1 :外気絶対湿度(絶対湿度)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11