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特開2024-100329ジョイント電線及びジョイント電線の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100329
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ジョイント電線及びジョイント電線の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/72 20060101AFI20240719BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20240719BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20240719BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01R4/72
H01R43/00 A
H02G15/08
H02G1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004262
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】安原 弘一郎
(72)【発明者】
【氏名】栗谷川 勝
【テーマコード(参考)】
5E051
5G355
5G375
【Fターム(参考)】
5E051AA05
5E051AA07
5G355AA03
5G355BA11
5G355BA15
5G355CA15
5G355CA17
5G375AA02
5G375BB43
5G375BB71
5G375CA12
5G375CB08
5G375DB33
(57)【要約】
【課題】ワイヤハーネスの組立作業において、電線の接合部に対する熱収縮チューブの位置合わせを容易に行うことができるジョイント電線及びジョイント電線の製造方法を提供する。
【解決手段】ジョイント電線1は、第1電線2が、第1絶縁被覆部12上において、当該第1絶縁被覆部12の第1露出導体端部11側の端末12bから軸線方向Xに沿って離間した位置に設けられる第1目印13を有し、第2電線3が、第2絶縁被覆部22上において、当該第2絶縁被覆部22の第2露出導体端部21側の端末22bから軸線方向Xに沿って離間した位置に設けられる第2目印23を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延在する第1導体部、及び、前記第1導体部の前記軸線方向の一方の端部に設けられた第1露出導体端部を露出させた状態で前記第1導体部を覆う第1絶縁被覆部を有する少なくとも1つの第1電線と、
前記軸線方向に延在する第2導体部、及び、前記第2導体部の前記軸線方向の他方の端部に設けられた第2露出導体端部を露出させた状態で前記第2導体部を覆う第2絶縁被覆部を有する少なくとも1つの第2電線と、
前記第1露出導体端部と前記第2露出導体端部とが接合された接合部と、
前記第1絶縁被覆部の前記第1露出導体端部側の端末、前記接合部、及び、前記第2絶縁被覆部の前記第2露出導体端部側の端末を一体的に覆う絶縁性の熱収縮チューブと、を備え、
前記第1電線は、
前記第1絶縁被覆部上において、当該第1絶縁被覆部の前記第1露出導体端部側の前記端末から前記軸線方向に沿って離間した位置に設けられる第1目印を有し、
前記第2電線は、
前記第2絶縁被覆部上において、当該第2絶縁被覆部の前記第2露出導体端部側の前記端末から前記軸線方向に沿って離間した位置に設けられる第2目印を有する、
ことを特徴とするジョイント電線。
【請求項2】
前記第1目印及び前記第2目印は、それぞれ、前記熱収縮チューブが前記第1絶縁被覆部の前記第1露出導体端部側の前記端末、前記接合部、及び、前記第2絶縁被覆部の前記第2露出導体端部側の前記端末を一体的に覆う被覆状態において、前記熱収縮チューブから露出した位置に設けられる、
請求項1に記載のジョイント電線。
【請求項3】
軸線方向に延在する第1導体部、及び、前記第1導体部の前記軸線方向の一方の端部に設けられた第1露出導体端部を露出させた状態で前記第1導体部を覆う第1絶縁被覆部を有する少なくとも1つの第1電線の前記第1絶縁被覆部上において、当該第1絶縁被覆部の前記第1露出導体端部側の端末から前記軸線方向に沿って離間した位置に第1目印を付与し、前記軸線方向に延在する第2導体部、及び、前記第2導体部の前記軸線方向の他方の端部に設けられた第2露出導体端部を露出させた状態で前記第2導体部を覆う第2絶縁被覆部を有する少なくとも1つの第2電線の前記第2絶縁被覆部上において、当該第2絶縁被覆部の前記第2露出導体端部側の端末から前記軸線方向に沿って離間した位置に第2目印を付与するマーキング工程と、
前記第1電線と前記第2電線とを前記軸線方向に対向して配置し、前記第1露出導体端部と、前記第2露出導体端部とを接合して接合部を形成する接合工程と、
絶縁性の熱収縮チューブを前記第1目印と前記第2目印との間に配置し、前記第1絶縁被覆部の前記第1露出導体端部側の前記端末、前記接合部、及び、前記第2絶縁被覆部の前記第2露出導体端部側の前記端末を当該熱収縮チューブによって一体的に覆う配置工程と、
前記熱収縮チューブを加熱して収縮させる収縮工程と、を含む
ジョイント電線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイント電線及びジョイント電線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2本の電線を端末同士で接合する方法として、例えば、電線の芯線(導体)に通電してジュール熱を利用するもの、スリーブや端子により芯線の端末を一括して加締めるものがある。このような芯線同士の接合部は、外部に露出しており、また、曲げや引っ張りなどの外部応力に弱いことから、例えば熱収縮チューブ等の保護部材により覆われて保護される(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
電線の接合部を熱収縮チューブで覆う作業では、例えば、組立作業者が、接合部に対して熱収縮チューブを配置する必要がある。そこで、組立作業者が外部からチューブ越しに接合部の位置を目視確認するために、熱収縮チューブが透明であることが望まれる(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
一方、芯線接続部と相手側接続部とを前後方向に繋ぐ繋部に対して、熱収縮チューブを初期位置に位置決めするための初期位置目印を設けたものがある(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-129589号公報
【特許文献2】特開2012-169123号公報
【特許文献3】特開2013-159754号公報
【特許文献4】特開2015-49956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、透明性のある熱収縮チューブは、一般的に難燃性を有していないことから、ワイヤハーネスにおいて難燃性が求められる部分に使用する場合、難燃処理を施されたものを使用する必要がある。しかしながら、透明性のある熱収縮チューブに対して難燃処理を施すと当該チューブの透明性が低下することから、接合部に対する熱収縮チューブの位置合わせが容易ではないという課題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に対してなされたものであり、ワイヤハーネスの組立作業において、電線の接合部に対する熱収縮チューブの位置合わせを容易に行うことができるジョイント電線及びジョイント電線の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るジョイント電線は、軸線方向に延在する第1導体部、及び、前記第1導体部の前記軸線方向の一方の端部に設けられた第1露出導体端部を露出させた状態で前記第1導体部を覆う第1絶縁被覆部を有する少なくとも1つの第1電線と、前記軸線方向に延在する第2導体部、及び、前記第2導体部の前記軸線方向の他方の端部に設けられた第2露出導体端部を露出させた状態で前記第2導体部を覆う第2絶縁被覆部を有する少なくとも1つの第2電線と、前記第1露出導体端部と前記第2露出導体端部とが接合された接合部と、前記第1絶縁被覆部の前記第1露出導体端部側の端末、前記接合部、及び、前記第2絶縁被覆部の前記第2露出導体端部側の端末を一体的に覆う絶縁性の熱収縮チューブと、を備え、前記第1電線は、前記第1絶縁被覆部上において、当該第1絶縁被覆部の前記第1露出導体端部側の前記端末から前記軸線方向に沿って離間した位置に設けられる第1目印を有し、前記第2電線は、前記第2絶縁被覆部上において、当該第2絶縁被覆部の前記第2露出導体端部側の前記端末から前記軸線方向に沿って離間した位置に設けられる第2目印を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るジョイント電線及びジョイント電線の製造方法によれば、ワイヤハーネスの組立作業において、電線の接合部に対する熱収縮チューブの位置合わせを容易に行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るジョイント電線の概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るジョイント電線を構成する電線の端部を模式的に表した図である。
図3図3は、2本の電線の端部を接合する状態の一例を模式的に表した図である。
図4図4は、実施形態に係るジョイント電線を模式的に表した図である。
図5図5は、実施形態に係るジョイント電線の製造方法を表すフローチャート図である。
図6図6は、複数本の電線の端部を接合する状態の一例を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記実施形態により本発明が限定されるものではない。すなわち、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれ、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0012】
[実施形態]
まず、本実施形態のジョイント電線1について図1図4を参照して説明する。本実施形態のジョイント電線1は、電線同士を接合したものであり、車両に使用されるワイヤハーネス等に適用されるものである。ここで、ワイヤハーネスは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線を束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の電線を各装置に接続するようにしたものである。
【0013】
本実施形態のジョイント電線1は、図1に示すように、第1電線2と、第2電線3と、接合部4と、熱収縮チューブ5とを備える。
【0014】
なお、以下の説明において、図示のX方向を「軸線方向X」という。軸線方向Xは、図示の第1電線2、第2電線3の軸線O(図1等参照)に沿う方向、第1電線2、第2電線3が延在する延在方向等に相当する。本実施形態のジョイント電線1において、軸線方向Xの第2電線3側を第1軸線方向X1とし、第1電線2側を第2軸線方向X2とする。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
【0015】
第1電線2及び第2電線3は、例えばワイヤハーネス等に組み込まれた上で車両に配索され、各装置を電気的に接続するものである。本実施形態における第1電線2及び第2電線3は、同一種類(例えば線径や特性等が同一または略同一)のものを前提として説明するがこれに限定されるものではない。
【0016】
第1電線2は、図2に示すように、軸線方向Xに延在する第1導体部10と、第1導体部10の軸線方向Xの一方の端部に設けられた第1露出導体端部11を露出させた状態で第1導体部10を覆う絶縁性の第1絶縁被覆部12とを含んで構成される。第1電線2は、軸線方向Xに沿って線状に延在し、軸線方向Xに対してほぼ同じ径で延びるように形成される。第1電線2は、第1導体部10の断面形状(軸線方向Xと交差する方向の断面形状)が略円形状、第1絶縁被覆部12の断面形状が略円環形状となっており、全体として略円形状の断面形状となっている。第1電線2は、図2に示すように、第1絶縁被覆部12の軸線方向Xの一方の端部に設けられた第1絶縁被覆端部12aが剥ぎ取られており、第1露出導体端部11が第1絶縁被覆部12から露出している。
【0017】
第2電線3は、図2に示すように、軸線方向Xに延在する第2導体部20と、第2導体部20の軸線方向Xの一方の端部に設けられた第2露出導体端部21を露出させた状態で第2導体部20を覆う絶縁性の第2絶縁被覆部22とを含んで構成される。第2電線3は、軸線方向Xに沿って線状に延在し、軸線方向Xに対してほぼ同じ径で延びるように形成される。第2電線3は、第2導体部20の断面形状(軸線方向Xと交差する方向の断面形状)が略円形状、第2絶縁被覆部22の断面形状が略円環形状となっており、全体として略円形状の断面形状となっている。第2電線3は、図2に示すように、第2絶縁被覆部22の他方の端部に設けられた第2絶縁被覆端部22aが剥ぎ取られており、第2露出導体端部21が第2絶縁被覆部22から露出している。
【0018】
第1導体部10及び第2導体部20は、導電性を有する金属製の素線Wを複数束ねた芯線である。本実施形態の第1導体部10及び第2導体部20は、導電性の金属、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の素線Wを複数束ねた芯線であるが、当該複数の素線Wを撚り合わせた撚り芯線であってもよい。本実施形態の第1導体部10及び第2導体部20は、図2に示すように、線径が同一であるものとして説明するが、これに限定されるものではない。本実施形態の第1露出導体端部11及び第2露出導体端部21は、図2に示すように、軸線方向Xの長さが同一であるものとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0019】
第1絶縁被覆部12は、第1導体部10の外周側を覆って被覆するものである。第2絶縁被覆部22は、第2導体部20の外周側を覆って被覆するものである。第1絶縁被覆部12及び第2絶縁被覆部22は、例えば、絶縁性の樹脂材料(PPやPVC、架橋PE等。耐摩耗性や耐薬品性、耐熱性等に配慮して適宜選定される。)等を押出成形することによって形成される。
【0020】
第1絶縁被覆部12は、当該第1絶縁被覆部12の外周上に第1目印13を有する。第1目印13は、第1絶縁被覆部12上において、当該第1絶縁被覆部12の第1露出導体端部11側の端末12bから軸線方向Xに沿って離間した位置に設けられる。第1電線2は、第1目印13の幅方向(軸線方向X)の中央から端末12bまでの長さLを有する。
【0021】
第2絶縁被覆部22は、当該第2絶縁被覆部22の外周上に第2目印23を有する。第2目印31は、第2絶縁被覆部22上において、当該第2絶縁被覆部22の第2露出導体端部21側の端末22bから軸線方向Xに沿って離間した位置に設けられる。第2電線3は、第2目印23の幅方向(軸線方向X)の中央から端末22bまでの長さLを有する。本実施形態における第1目印13の幅方向(軸線方向X)の中央から端末12bまでの長さ、及び、第2目印23の幅方向(軸線方向X)の中央から端末22bまでの長さLは、それぞれ、図2に示すように同一としているが、これに限定されるものではない。また、図示例の長さLは、第1露出導体端部11及び第2露出導体端部21の軸線方向Xの長さより短いように記載されるが、これに限定されるものではない。
【0022】
第1目印13及び第2目印23は、それぞれ、例えば、白色系の顔料/染料/蛍光染料インク等を用いて、印刷、レーザ照射等により形成される。第1目印13及び第2目印23は、それぞれ、例えば、組立作業者が当該第1目印13及び第2目印23を目視確認し易いように、軸線方向Xに一定の幅を有し、第1絶縁被覆部12及び第2絶縁被覆部22の外周に沿って形成される。
【0023】
第1目印13及び第2目印23は、それぞれ、後述する熱収縮チューブ5が第1絶縁被覆部12の第1露出導体端部11側の端末12b、接合部4、及び、第2絶縁被覆部22の第2露出導体端部21側の端末22bを一体的に覆う被覆状態において、熱収縮チューブ5から露出した位置に設けられる。別の表現に言い換えると、第1目印13及び第2目印23は、それぞれ、熱収縮チューブ5の端末5a,5bと隣接し、該熱収縮チューブ5から露出した位置に設けられる。また、別の表現に言い換えると、第1目印13及び第2目印23は、それぞれ、熱収縮チューブ5の端末5a,5bから離間し、かつ、接合部4の位置を特定可能な位置に設けられる。さらに、別の表現に言い換えると、第1目印13及び第2目印23は、それぞれ、接合部4の位置を特定可能な程度に熱収縮チューブ5の端末5a,5b(あるいは第1絶縁被覆部12の端末12b、第2絶縁被覆部22の端末22b)から離間した位置に設けられる。本実施形態のジョイント電線1は、上記被覆状態において、第1目印13の幅方向の中央から第2目印23の幅方向の中央までの長さL1を有する。長さL1と長さLは、例えばL1>Lとするが、これに限定されるものではない。
【0024】
接合部4は、第1電線2の第1露出導体端部11と第2電線3の第2露出導体端部21とが、例えば超音波接合等により接合された部分である。本実施形態における接合部4は、第1露出導体端部11全体と第2露出導体端部21全体とが重なり合ったものではなく、それぞれの一部が軸線方向Xに沿って重なり合ったものである。接合部4は、図1図4に示すように、第1絶縁被覆部12の軸線方向Xの一方(第1軸線方向X1)の端末12bと、第2絶縁被覆部22の軸線方向Xの他方(第2軸線方向X2)の端末22bとの間に位置する。
【0025】
熱収縮チューブ5は、第1絶縁被覆部12の第1露出導体端部11側の端末12b、接合部4、及び、第2絶縁被覆部22の第2露出導体端部21側の端末22bを一体的に覆うものである。熱収縮チューブ5は、軸線方向Xに延在し、円筒状に形成される。熱収縮チューブ5は、絶縁性を有するRTFE(エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂、PE(ポリエチレン)、PP(ポリピロピレン)等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、もしくはポリウレタン等で構成される。熱収縮チューブ5は、一層式の場合、照射架橋ポリオレフィン、二槽式(外層+接着剤内層)の場合、外層が照射架橋ポリオレフィン、内層がポリアミド系熱可塑性接着剤により形成される。
【0026】
熱収縮チューブ5は、例えば、図3に示すように、上記被覆状態において、第1絶縁被覆部12の第1露出導体端部11側の端末12b、接合部4、及び、第2絶縁被覆部22の第2露出導体端部21側の端末22bを一体的に覆うために、これらに対応する軸線方向Xの長さL2を有する。長さLは、熱収縮加工される前の熱収縮チューブ5において、軸線方向Xの一方(第1軸線方向X1)の端末5bから他方(第2軸線方向X2)の端末5aまでの長さである。長さL2と長さL1は、L2≦L1とする。L2=L1の場合、第1目印13及び第2目印23それぞれが、線ではなく軸線方向Xに一定の幅を有することから、熱収縮チューブ5は、上記被覆状態で適正位置にあれば、第1目印13及び第2目印23が当該熱収縮チューブ5により隠れることがない。
【0027】
次に、上記のように構成されるジョイント電線1の製造方法を、図1図4を参照しつつ図5に基づいて説明する。以下で説明するジョイント電線1の製造方法は、作業員が種々の装置、機器、治具等を用いて手作業で行ってもよいし、種々の製造装置によって自動で行われるものであってもよい。
【0028】
本実施形態のジョイント電線1の製造方法は、例えば、図5に示すように、電線切断/皮むき工程(ステップS1)と、接合工程(ステップS2)と、配置工程(ステップS3)と、収縮工程(ステップS4)とを含むものである。
【0029】
まず、電線切断/皮むき工程において、第1電線2は、所定の長さに切断された後、第1露出導体端部11に対応する第1絶縁被覆部12が剥ぎ取られ、当該第1電線2の軸線方向Xの一方の端部に第1露出導体端部11が形成される。また、電線切断/皮むき工程において、第2電線3は、所定の長さに切断された後、第2露出導体端部21に対応する第2絶縁被覆部22が剥ぎ取られ、当該第2電線3の軸線方向Xの他方の端部に第2露出導体端部21が形成される。このような電線切断/皮むき工程において、マーキング工程(ステップS1A)として、第1電線2に対して、第1絶縁被覆部12上において、当該第1絶縁被覆部12の第1露出導体端部11側の端末12bから軸線方向Xに沿って長さL分離間した位置に第1目印13が付与(マーキング)される。同様に、マーキング工程では、第2電線3に対して、第2絶縁被覆部22上において、当該第2絶縁被覆部22の第2露出導体端部21側の端末22bから軸線方向Xに沿って長さL分離間した位置に第2目印23が付与(マーキング)される。
【0030】
次に、接合工程において、上述した電線切断/皮むき工程で加工された第1電線2及び第2電線3は、集約され軸線方向Xに対向して配置され、第1露出導体端部11と、第2露出導体端部21とが接合され、接合部4が形成される。この接合工程では、例えば、図3に示すように、ジョイント電線1用の電線配置台(不図示)上に設けられた第1基準部材51、第2基準部材53に基づいて、第1電線2及び第2電線3の位置合わせが行われる。具体的には、組立作業者は、第1基準部材51に対して第1目印13の第1目印中央50を合わせることで、第1電線2の位置合わせを行い、第2基準部材53に対して第2目印23の第2目印中央52を合わせることで、第2電線3の位置合わせを行う。接合工程では、上記第1電線2及び第2電線3の位置合わせが行われた後、第1露出導体端部11と、第2露出導体端部21とが、例えば、溶融接合(レーザ溶接、アーク溶接等)、熱圧着接合、超音波接合等の各種接合方法により接合される。
【0031】
次に、配置工程において、熱収縮チューブ5が、第1目印13と第2目印23との間に配置される。配置工程では、熱収縮チューブ5が、例えば、軸線方向Xの一方(ここでは第2軸線方向X2)から他方(ここでは第1軸線方向X1)に向けて移動させることにより、第1絶縁被覆部12の第1露出導体端部11側の端末12b、接合部4、及び、第2絶縁被覆部22の第2露出導体端部21側の端末22bを一体的に覆うように配置される。組立作業者は、ジョイント電線1を目視しながら熱収縮チューブ5を接合部4に向けて移動させ、当該熱収縮チューブ5により接合部4が隠れて目視できなくなった後、当該熱収縮チューブ5を第1目印13と第2目印23との間の略中央に配置する。このとき、組立作業者は、熱収縮チューブ5の一方の端末5bが第2目印に、他方の端末5aが第1目印13に被らないように留意する。これにより、熱収縮チューブ5は、第1目印13と第2目印23との間にあって、当該熱収縮チューブ5により第1目印13及び第2目印23の少なくとも一方が隠されることなく、配置される。なお、組立作業者は、熱収縮チューブ5を接合部4に向けて移動させた際に、当該熱収縮チューブが第1目印13及び第2目印23の少なくとも一方を隠してしまう場合、接合部4の位置や熱収縮チューブ5の寸法違い等が生じている、と判断することが可能である。
【0032】
次に、収縮工程において、熱収縮チューブ5は、第1目印13と第2目印23との間に配置され、かつ、第1露出導体端部11側の端末12b、接合部4、及び、第2露出導体端部21側の端末22bを一体的に覆った状態で、例えば、加熱ヒータ等により外部から加熱されることで当該熱収縮チューブ5が熱により収縮される。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係るジョイント電線1は、第1電線2が、第1絶縁被覆部12上において、当該第1絶縁被覆部12の第1露出導体端部11側の端末12bから軸線方向Xに沿って離間した位置に設けられる第1目印13を有し、第2電線3が、第2絶縁被覆部22上において、当該第2絶縁被覆部22の第2露出導体端部21側の端末22bから軸線方向Xに沿って離間した位置に設けられる第2目印23を有する。
【0034】
本実施形態に係るジョイント電線1は、上記構成により、第1電線2と第2電線3の接合部4に対して熱収縮チューブ5を配置する際に、第1電線2及び第2電線3それぞれに付与された第1目印13、第2目印23を基準にして熱収縮チューブ5の位置合わせをすることができる。そのため、本実施形態に係るジョイント電線1は、透明性のある熱収縮チューブを使用することなく、接合部4に対して熱収縮チューブ5を適正に配置することができる。
【0035】
また、本実施形態に係るジョイント電線1は、第1目印13及び第2目印23が、それぞれ、熱収縮チューブ5が第1露出導体端部11側の端末12b、接合部4、及び、第2露出導体端部21側の端末22bを一体的に覆う被覆状態において、熱収縮チューブ5から露出した位置に設けられる。これにより、ジョイント電線1は、ワイヤハーネスの組立作業において、第1電線2及び第2電線3の接合部4に対する熱収縮チューブ5の位置合わせを、さらに容易に行うことができる。
【0036】
また、本実施形態に係るジョイント電線1の製造方法は、第1電線2の第1絶縁被覆部12上において、第1露出導体端部11側の端末12bから軸線方向Xに沿って離間した位置に第1目印13を付与し、第2電線3の第2絶縁被覆部22上において、第2露出導体端部21側の端末22bから軸線方向Xに沿って離間した位置に第2目印23を付与するマーキング工程と、熱収縮チューブ5を第1目印13と第2目印23との間に配置する配置工程とを少なくとも有する。これにより、ジョイント電線1の製造方法は、例えば、ワイヤハーネスの組立作業において、組立作業者が、熱収縮チューブ5を第1目印13と第2目印23との間に配置することで、当該熱収縮チューブ5を、第1露出導体端部11側の端末12b、接合部4、及び、第2露出導体端部21側の端末22bを一体的に覆った状態にすることが容易となる。この結果、ジョイント電線1の製造方法は、組立作業者が、第1電線2と第2電線3の接合部4に対する熱収縮チューブ5の位置合わせを容易に行うことができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、第1電線2及び第2電線3という2本の電線同士を接合したジョイント電線1について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図6に示すジョイント電線1Aのように、一方が複数の第1電線2A,2Bで構成され、他方が第2電線3で構成されていてもよい。第1電線2Aは、第1導体部10A、第1露出導体端部11A、第1絶縁被覆部12A、及び第1目印13Aを有する。第2電線3は、第1導体部10A、第1露出導体端部11A、第1絶縁被覆部12A、及び第1目印13Aを有する。この場合、接合部4が電線の分岐部を構成する。また、ジョイント電線1Aは、電線2本と1本の接合部4を有するが、これに限定されず、複数本の電線同士の接合部を有するものであってもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、第1露出導体端部11及び第2露出導体端部21の軸線方向Xの長さが同一であるものとして説明したが、これに限定されるものではない。
【0039】
また、上記実施形態では、電線切断/皮むき工程において、第1電線2及び第2電線3それぞれに対して目印を付与するマーキング工程を実施すると説明したが、これに限定されるものではなく、電線切断/皮むき工程の後工程である接合工程において実施するものであってもよい。この場合、第1電線2及び第2電線3に対する目印の付与は、これらが集約され軸線方向Xに対向して配置された後に実施されるものとしてよい。
【符号の説明】
【0040】
1 ジョイント電線
2 第1電線
3 第2電線
4 接合部
5 熱収縮チューブ
10 第1導体部
11 第1露出導体端部
12 第1絶縁被覆部
12a 第1絶縁被覆端部
12b 端末
13 第1目印
20 第2導体部
21 第2露出導体端部
22 第2絶縁被覆部
22a 第2絶縁被覆端部
22b 端末
23 第2目印
図1
図2
図3
図4
図5
図6