(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100335
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電気接続箱およびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20240719BHJP
H02G 3/14 20060101ALI20240719BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
B60R16/02 610A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004268
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 一輝
(72)【発明者】
【氏名】秋山 直也
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361AA06
5G361AC01
5G361AC04
5G361BA03
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減することができる電気接続箱を提供することを目的とする。
【解決手段】電気接続箱1は、ロアカバー11およびアッパカバー12によって構成されるハウジング10と、導電性を有するバスバ20と、バスバ20と電気的に接続される第1リレー30および第2リレー40と、を備え、ロアカバー11は、積層方向Xの一方側にバスバ20が配置されるバスバ配置部11cと、積層方向Xの一方側に第1リレー30が搭載される第1リレー搭載部11dと、を有し、アッパカバー12は、バスバ配置部11cに配置されたバスバ20の積層方向Xの一方側を覆うと共に積層方向Xの一方側に第2リレー40が搭載されかつタブ端子部42がバスバ20に向けて貫通する開口部12eが設けられた第2リレー搭載部12dと、第1リレー搭載部11dに搭載された第1リレー30およびボルト25を覆うカバー部12cと、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に沿って積層されるロアカバーおよびアッパカバーによって構成されるハウジングと、
前記ハウジングに組付けられ、導電性を有するバスバと、
前記バスバに対してボルトを介して締結されると共に、当該バスバと電気的に接続される第1リレーと、
本体から突出し前記バスバと電気的に接続されるタブ端子部を有した第2リレーと、
を備え、
前記ロアカバーは、前記積層方向の一方側に前記バスバが配置されるバスバ配置部と、前記積層方向の一方側に前記第1リレーが搭載される第1リレー搭載部と、を有し、
前記アッパカバーは、前記バスバ配置部に配置された前記バスバの前記積層方向の一方側を覆うと共に前記積層方向の一方側に前記第2リレーが搭載されかつ前記タブ端子部が前記バスバに向けて貫通する開口部が設けられた第2リレー搭載部と、前記第1リレー搭載部に搭載された前記第1リレーおよび前記ボルトを覆うカバー部と、を有する、
電気接続箱。
【請求項2】
前記ロアカバーおよび前記アッパカバーには、それぞれに固定部材が締結される複数の締結部が設けられ、
前記複数の締結部は、前記ロアカバーにおいて前記第1リレーを囲むように配置される共に、前記アッパカバーにおいて前記第2リレーを囲むように配置される、
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記ロアカバーにおける前記複数の締結部のうちいずれか一つと、前記アッパカバーにおける前記複数の締結部のうちいずれか一つとは、前記固定部材よって共締めされる、
請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
導電性を有する配索材と、
前記配索材と電気的に接続される電気接続箱と、を備え、
前記電気接続箱は、
積層方向に沿って積層されるロアカバーおよびアッパカバーによって構成されるハウジングと、
前記ハウジングに組付けられ、導電性を有するバスバと、
前記バスバに対してボルトを介して締結されると共に、当該バスバと電気的に接続される第1リレーと、
本体から突出し前記バスバと電気的に接続されるタブ端子部を有した第2リレーと、
を備え、
前記ロアカバーは、前記積層方向の一方側に前記バスバが配置されるバスバ配置部と、前記積層方向の一方側に前記第1リレーが搭載される第1リレー搭載部と、を有し、
前記アッパカバーは、前記バスバ配置部に配置された前記バスバの前記積層方向の一方側を覆うと共に前記積層方向の一方側に前記第2リレーが搭載されかつ前記タブ端子部が前記バスバに向けて貫通する開口部が設けられた第2リレー搭載部と、前記第1リレー搭載部に搭載された前記第1リレーおよび前記ボルトを覆うカバー部と、を有する、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱およびワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気接続箱に関する技術として、例えば、特許文献1には、リレー等の複数の電子部品が実装されるベースプレートと、ベースプレートの下面側を覆うロアカバーと、ベースプレートの上面側を覆うアッパカバーと、によって構成されるハウジングを備えた電気接続箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載の電気接続箱では、例えば、部品点数の削減の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、部品点数を削減することができる電気接続箱およびワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、積層方向に沿って積層されるロアカバーおよびアッパカバーによって構成されるハウジングと、前記ハウジングに組付けられ、導電性を有するバスバと、前記バスバに対してボルトを介して締結されると共に、当該バスバと電気的に接続される第1リレーと、本体から突出し前記バスバと電気的に接続されるタブ端子部を有した第2リレーと、を備え、前記ロアカバーは、前記積層方向の一方側に前記バスバが配置されるバスバ配置部と、前記積層方向の一方側に前記第1リレーが搭載される第1リレー搭載部と、を有し、前記アッパカバーは、前記バスバ配置部に配置された前記バスバの前記積層方向の一方側を覆うと共に前記積層方向の一方側に前記第2リレーが搭載されかつ前記タブ端子部が前記バスバに向けて貫通する開口部が設けられた第2リレー搭載部と、前記第1リレー搭載部に搭載された前記第1リレーおよび前記ボルトを覆うカバー部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電気接続箱およびワイヤハーネスは、ロアカバーには、積層方向の一方側にバスバが配置されるバスバ配置部と、積層方向の一方側に第1リレーが搭載される第1リレー搭載部と、が設けられ、アッパカバーには、バスバ配置部に配置されたバスバの積層方向の一方側を覆うと共に積層方向の一方側に第2リレーが搭載されかつタブ端子部がバスバに向けて貫通する開口部が設けられた第2リレー搭載部と、第1リレー搭載部に搭載された第1リレーおよびボルトを覆うカバー部と、が設けられる。この構成により、電気接続箱およびワイヤハーネスは、ハウジングに、バスバや、第1リレー、および第2リレー等の電子部品を取り付けるための構成をロアカバーとアッパカバーとに振り分けて構成することができる。この結果、電気接続箱およびワイヤハーネスは、部品点数を削減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るワイヤハーネスに適用される電気接続箱の例示的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電気接続箱の例示的な分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電気接続箱の例示的な分解斜視図であって、第1リレーおよび第2リレーが取り外された状態の図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るアッパカバーにおける積層方向の一方側の例示的な平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るアッパカバーにおける積層方向の他方側の例示的な平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るロアカバーにおける積層方向の一方側の例示的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るワイヤハーネスWHに適用される電気接続箱1の斜視図である。
図1に示される本実施形態の電気接続箱1は、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスWHに組み込まれるものである。ここで、ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で当該複数の配索材Wを各装置に接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWHは、例えば、導電性を有した複数の配索材Wと、複数の配索材Wと電気的に接続される電気接続箱1と、を備えている。
【0011】
配索材Wは、例えば、複数の線状の金属素線を撚り合わせた導体部(芯線)と、当該導体部の外側を覆う絶縁性の被覆部と、を含んで構成される。電気接続箱1は、例えば、コネクタ13、14(
図4参照)や、バスバ20および第1リレー30(
図2参照)、第2リレー40等の複数の電子部品を集約して内部に収容するためのハウジング10を有している。電気接続箱1は、例えば、車両に設けられた負荷部に組み付けられ、負荷部に流れる電流を通電または遮断可能である。電気接続箱1は、リレーボックスや、ジャンクションボックス等とも称される。なお、電気接続箱1は、この他、さらに、ヒューズや、制御ユニット等を含んで構成されてもよい。また、ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、プロテクタや、グロメット、固定具等を含んで構成されてもよい。
【0012】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、および第3方向のうち、第1方向を「積層方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「奥行方向Z」という。ここでは、積層方向Xと幅方向Yと奥行方向Zとは、相互に略直交する。積層方向Xは、典型的には、電気接続箱1におけるハウジング10のロアカバー11とアッパカバー12との積層方向(上下方向)、電気接続箱1に接続される配索材Wの延在方向、電気接続箱1のコネクタ13、14と配索材Wのコネクタとの挿抜方向、後述する第2リレー搭載部12dに対する第2リレー40の組付方向(装着方向)等に相当する。幅方向Yおよび奥行方向Zは、積層方向Xと交差する交差方向に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、配索材Wが電気接続箱1に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0013】
図2は、電気接続箱1の分解斜視図である。
図2に示されるように、ハウジング10は、例えば、絶縁性の樹脂材料等によって形成されるロアカバー11およびアッパカバー12を有している。アッパカバー12は、ロアカバー11に対して積層方向Xの一方側(上側)に積層された状態で組付けられる。この構成により、ハウジング10は、ロアカバー11およびアッパカバー12が組み合わされて全体として中空箱状に形成される。ハウジング10は、ロアカバー11およびアッパカバー12によって区画される内部の空間部がバスバ20等の電子部品が収容される収容空間部として機能する。
【0014】
具体的には、ロアカバー11は、積層方向Xの一方側(上側)が開放された有底筒状(トレイ状)に形成され、積層方向Xの一方側にバスバ20が配置されるバスバ配置部11cと、第1リレー30が搭載される第1リレー搭載部11dと、が設けられている。一方、アッパカバー12は、積層方向Xの他方側(下側)が開放された有底筒状(トレイ状)に形成され、積層方向Xの一方側に第2リレー40が搭載される第2リレー搭載部12dと、第1リレー30を覆うカバー部12cと、が設けられている。
【0015】
そして、第2リレー搭載部12dには、第2リレー40のタブ端子部42(
図3参照)がバスバ20に向けて貫通する開口部12eが設けられ、カバー部12cは、第1リレー30の端子部32とバスバ20とを締結するボルト25を一体に覆っている。この構成により、ハウジング10の内部には、上述した収容空間部としてのバスバ配置部11cおよび第1リレー搭載部11dが形成され、バスバ20や、第1リレー30の端子部32およびボルト25、第2リレー40のタブ端子部42等の活電部(導体部)がハウジング10の外部に露出することが抑制されている。
【0016】
ロアカバー11は、例えば、下壁部11aと、下壁部11aの周縁部から積層方向Xの一方側に突出した周壁部11bと、を有している。下壁部11aおよび周壁部11bは、ハウジング10の内部空間部としての上述したバスバ配置部11cおよび第1リレー搭載部11dを区画するための構造体である。バスバ配置部11cは、バスバ20が配置される空間部であり、第1リレー搭載部11dは、第1リレー30が搭載される空間部である。本実施形態では、バスバ配置部11cは、ロアカバー11における幅方向Yの中央部よりも幅方向Yの一方側(右側)に設けられ、第1リレー搭載部11dは、ロアカバー11における幅方向Yの中央部よりも幅方向Yの他方側(左側)に設けられている。
【0017】
また、第1リレー搭載部11dには、下壁部11aから積層方向Xの一方側に突出した立壁部11fが設けられている。立壁部11fは、周壁部11bの内側に設けられており、第1リレー30の本体31に沿った略矩形状に形成されている。本実施形態では、ロアカバー11において、第1リレー搭載部11dは、下壁部11aおよび立壁部11fによって囲まれており、バスバ配置部11cは、下壁部11aおよび周壁部11bによって囲まれている。
【0018】
アッパカバー12は、例えば、上壁部12aと、上壁部12aの周縁部から積層方向Xの他方側に突出した周壁部12bと、を有している。上壁部12aおよび周壁部12bは、ロアカバー11と共にハウジング10の内部空間部としての上述したバスバ配置部11cおよび第1リレー搭載部11dを区画するための構造体である。また、アッパカバー12には、上壁部12aから積層方向Xの一方側に突出した立壁部12fが設けられている。立壁部12fは、ハウジング10の外部空間部としての上述した第2リレー搭載部12dを区画するための構造体である。第2リレー搭載部12dは、第2リレー40が搭載される空間部である。立壁部12fは、周壁部12bの内側に設けられており、第2リレー40の本体41に沿った略矩形状に形成されている。本実施形態では、アッパカバー12において、第2リレー搭載部12dは、上壁部12aおよび立壁部12fによって囲まれている。
【0019】
また、アッパカバー12には、上壁部12aから積層方向Xの一方側に突出したカバー部12cが設けられている。カバー部12cは、上述したロアカバー11の立壁部11fと共に第1リレー搭載部11dを区画するための構造体である。カバー部12cは、第1リレー30の本体31に沿った略矩形状に形成されている。本実施形態では、カバー部12cは、アッパカバー12における幅方向Yの中央部よりも幅方向Yの他方側(左側)に設けられ、第2リレー搭載部12dは、アッパカバー12における幅方向Yの中央部よりも幅方向Yの一方側(右側)に設けられている。カバー部12cは、第1リレー30の本体31の側面および上面を覆っている。
【0020】
図3は、電気接続箱1の分解斜視図であって、第1リレー30および第2リレー40が取り外された状態の図である。
図3に示されるように、第1リレー30および第2リレー40は、例えば、電磁作用により機械的に接点を開閉させるメカニカルリレーである。本実施形態では、例えば、第1リレー搭載部11dに一つの第1リレー30が設けられると共に、第2リレー搭載部12dに二つの第2リレー40が設けられている。そして、ここでは、例えば、第1リレー30と第2リレー40とがバスバ20を介して直列に接続される。第1リレー30および第2リレー40は、例えば、上述したコネクタ13と接続される配索材Wを介して車両に設けられた負荷部と電源とに接続され、これら負荷部と電源との間の電源線(配索材W)を開閉可能である。
【0021】
第1リレー30は、例えば、端子部32や、不図示の可動接点および固定接点、コイル等を含んで構成される本体31を有している。端子部32は、例えば、本体31の側面に設けられており、ボルト25を介してバスバ20と電気的かつ機械的に接続される。すなわち、第1リレー30は、ロアカバー11の第1リレー搭載部11dに搭載された状態で端子部32がボルト25を介してバスバ20に接続される。可動接点および固定接点は、コイルと共に本体31の内側に収容されており、端子部32と電気的に接続されている。コイルは、可動接点と対向して配置されており、上述したコネクタ13とは別のコネクタ14(
図4参照)の一方と接続される配索材Wから供給される電力によって可動接点を可動させ、可動接点と固定接点とが接触した通電状態と、可動接点と固定接点とが非接触の遮断状態とを切り替えることが可能である。具体的には、可動接点は、通電により磁化したコイルによって固定接点側に移動し、当該固定接点と接触する。一方、可動接点は、コイルの磁化が解消された場合、バネ等の復帰力により固定接点とは反対側に移動し、当該固定接点と非接触となる。
【0022】
第2リレー40は、例えば、不図示の可動接点および固定接点、コイル等を含んで構成される本体41と、本体41から突出したタブ端子部42と、を有している。タブ端子部42は、例えば、本体41から積層方向Xの他方側(下側)に突出して設けられており、メスメス型のいわゆるFF端子21を介してバスバ20と電気的かつ機械的に接続される。すなわち、第2リレー40は、アッパカバー12の第2リレー搭載部12dに搭載された状態でタブ端子部42が開口部12eを貫通し、FF端子21を介してバスバ20に接続される。可動接点および固定接点は、コイルと共に本体41の内側に収容されており、タブ端子部42と電気的に接続されている。コイルは、第1リレー30のコイルと同様に、上述したコネクタ13とは別のコネクタ14(
図4参照)の他方と接続される配索材Wから供給される電力によって可動接点を可動させ、可動接点と固定接点とが接触した通電状態と、可動接点と固定接点とが非接触の遮断状態とを切り替えることが可能である。
【0023】
バスバ20は、例えば、第1リレー30と第2リレー40とを直列に接続するための導電部材である。本実施形態では、バスバ配置部11cには、互いに間隔をあけて複数のバスバ20が設けられている。複数のバスバ20は、例えば、コネクタ13、14と第1リレー30や、第1リレー30と第2リレー40、第2リレー40と第2リレー40、第2リレー40とコネクタ13、14等を電気的に接続している。また、バスバ20には、上述したFF端子21が設けられている。FF端子21は、バスバ20のオス型の端子部や、第2リレー40のオス型のタブ端子部42と接続可能な二つのメス型のソケット(端子部)を有したメスメス型の端子金具である。FF端子21は、例えば、第1リレー30と第2リレー40とを接続するバスバ20や、第2リレー40と第2リレー40とを接続するバスバ20、第2リレー40とコネクタ13、14とを接続するバスバ20等に設けられている。
【0024】
図4は、アッパカバー12における積層方向Xの一方側(上側)の平面図であり、
図5は、アッパカバー12における積層方向Xの他方側(下側)の平面図である。
図4、5に示されるように、アッパカバー12には、複数の締結部15が設けられている。複数の締結部15は、それぞれに固定部材16(
図1参照)が締結される部分である。本実施形態では、複数の締結部15は、第1締結部15Aと、第2締結部15Bと、を含んで構成され、これら第1締結部15Aおよび第2締結部15Bを含む複数の締結部15が第2リレー40を囲むように配置されている。
【0025】
具体的には、第2締結部15Bは、締結部15のうちアッパカバー12(電気接続箱1)と車両側の取付部とを固定するための固定部材16が締結される部分である。固定部材16は、例えば、ボルト16a(
図1参照)等である。本実施形態では、第2締結部15Bは、アッパカバー12の奥行方向Zの一端部における幅方向Yの一端部の第1隅部に設けられている。第2締結部15Bは、例えば、アッパカバー12の周壁部12bから幅方向Yの一方側に突出して設けられている。
【0026】
一方、第1締結部15Aは、締結部15のうちアッパカバー12とロアカバー11とを共締めするための固定部材16が締結される部分である。固定部材16は、例えば、ボルト16aおよびナット16b(
図1参照)等である。本実施形態では、第1締結部15Aは、アッパカバー12の奥行方向Zの一端部における幅方向Yの他端部の第2隅部と、アッパカバー12の奥行方向Zの他端部における幅方向Yの略中央部と、の二箇所に設けられている。この構成により、本実施形態では、アッパカバー12には、三つの締結部15が第2リレー40の周囲を囲むように略三角形状に配置されている。
【0027】
また、第1締結部15Aおよび第2締結部15Bには、それぞれカラー部材17が設けられている。カラー部材17は、第1締結部15Aおよび第2締結部15Bの貫通孔15aに沿った円筒状(リング状)に形成され、当該貫通孔15aの内周面に嵌合されている。カラー部材17は、例えば、樹脂製の第1締結部15Aおよび第2締結部15Bと金属製の固定部材16との干渉を抑制したり、第1締結部15Aおよび第2締結部15Bと固定部材16との接続部分の強度を補強したりする機能を有している。
【0028】
図6は、ロアカバー11における積層方向Xの一方側(上側)の平面図である。
図6に示されるように、ロアカバー11には、アッパカバー12と同様に、複数の締結部15が設けられている。複数の締結部15は、それぞれに固定部材16(
図1参照)が締結される部分である。本実施形態では、複数の締結部15は、第1締結部15Aと、第2締結部15Cと、を含んで構成され、これら第1締結部15Aおよび第2締結部15Cを含む複数の締結部15が第1リレー30を囲むように配置されている。
【0029】
具体的には、第2締結部15Cは、締結部15のうちロアカバー11(電気接続箱1)と車両側の取付部とを固定するための固定部材16が締結される部分である。固定部材16は、例えば、ボルト16a(
図1参照)等である。本実施形態では、第2締結部15Cは、ロアカバー11の奥行方向Zの他端部における幅方向Yの他端部の第3隅部に設けられている。言い換えると、第2締結部15Cは、アッパカバー12の第2締結部15B(
図4参照)に対して対角線上に位置されている。第2締結部15Cは、例えば、ロアカバー11の周壁部11bから奥行方向Zの他方側に突出して設けられている。
【0030】
一方、第1締結部15Aは、締結部15のうちロアカバー11とアッパカバー12とを共締めするための固定部材16が締結される部分である。固定部材16は、例えば、ボルト16aおよびナット16b(
図1参照)等である。本実施形態では、第1締結部15Aは、ロアカバー11の奥行方向Zの一端部における幅方向Yの他端部の第2隅部と、ロアカバー11の奥行方向Zの他端部における幅方向Yの略中央部と、の二箇所に設けられている。言い換えると、第1締結部15Aは、アッパカバー12の第1締結部15A(
図4参照)に対して積層方向Xに重なる位置に設けられている。この構成により、本実施形態では、ロアカバー11には、三つの締結部15が第1リレー30の周囲を囲むように略三角形状に配置されている。
【0031】
また、第1締結部15Aおよび第2締結部15Cには、それぞれカラー部材17が設けられている。カラー部材17は、第1締結部15Aおよび第2締結部15Cの貫通孔15aに沿った円筒状(リング状)に形成され、当該貫通孔15aの内周面に嵌合されている。カラー部材17は、例えば、樹脂製の第1締結部15Aおよび第2締結部15Cと金属製の固定部材16との干渉を抑制したり、第1締結部15Aおよび第2締結部15Cと固定部材16との接続部分の強度を補強したりする機能を有している。
【0032】
なお、本実施形態では、ロアカバー11およびアッパカバー12にそれぞれ三つの締結部15が設けられた場合が例示されたが、締結部15の数はこの例には限定されず、例えば、ロアカバー11およびアッパカバー12にそれぞれ四つ以上の締結部15が設けられてもよい。また、電気接続箱1と車両側の取付部とを固定する固定部材16が締結される第2締結部15B、15Cの数や、ロアカバー11とアッパカバー12とを共締めする固定部材16が締結される第1締結部15Aの数もこの例には限定されず、種々に変更可能である。
【0033】
以上のように、本実施形態の電気接続箱1およびワイヤハーネスWHでは、積層方向Xに沿って積層されるロアカバー11およびアッパカバー12によって構成されるハウジング10と、ハウジング10に組付けられ、導電性を有するバスバ20と、バスバ20に対してボルト25を介して締結されると共に、当該バスバ20と電気的に接続される第1リレー30と、本体41から突出しバスバ20と電気的に接続されるタブ端子部42を有した第2リレー40と、を備え、ロアカバー11は、積層方向Xの一方側にバスバ20が配置されるバスバ配置部11cと、積層方向Xの一方側に第1リレー30が搭載される第1リレー搭載部11dと、を有し、アッパカバー12は、バスバ配置部11cに配置されたバスバ20の積層方向Xの一方側を覆うと共に積層方向Xの一方側に第2リレー40が搭載されかつタブ端子部42がバスバ20に向けて貫通する開口部12eが設けられた第2リレー搭載部12dと、第1リレー搭載部11dに搭載された第1リレー30およびボルト25を覆うカバー部12cと、を有する。
【0034】
この構成により、電気接続箱1およびワイヤハーネスWHは、ハウジング10に、バスバ20や、第1リレー30、および第2リレー40等の電子部品を取り付けるためのベースプレート(中間部材)を設けることなく、当該ベースプレートの機能をロアカバー11とアッパカバー12とに振り分けて構成することができる。この結果、電気接続箱1およびワイヤハーネスWHは、部品点数を削減することができ、ひいては当該電気接続箱1およびワイヤハーネスWHの製造に要する手間や費用を低減することができる。
【0035】
また、本実施形態の電気接続箱1およびワイヤハーネスWHでは、ロアカバー11およびアッパカバー12には、それぞれに固定部材16が締結される複数の締結部15が設けられ、複数の締結部15は、ロアカバー11において第1リレー30を囲むように配置されると共に、アッパカバー12において第2リレー40を囲むように配置される。この構成により、電気接続箱1およびワイヤハーネスWHは、第1リレー30および第2リレー40の周囲を囲むように配置される複数の締結部15によって第1リレー30および第2リレー40の荷重を効果的に支持することができる。
【0036】
また、本実施形態の電気接続箱1およびワイヤハーネスWHでは、ロアカバー11における複数の締結部15のうちいずれか一つと、アッパカバー12における複数の締結部15のうちいずれか一つとは、固定部材16よって共締めされる。この構成により、電気接続箱1およびワイヤハーネスWHは、複数の締結部15のうち車両等の取付部側に固定される締結部15の数を低減することができ、ひいては当該電気接続箱1およびワイヤハーネスWHの取付作業をより容易に行うことができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 電気接続箱
10 ハウジング
11 ロアカバー
11c バスバ配置部
11d 第1リレー搭載部
12 アッパカバー
12c カバー部
12d 第2リレー搭載部
12e 開口部
15 締結部
16 固定部材
20 バスバ
25 ボルト
30 第1リレー
40 第2リレー
41 本体
42 タブ端子部
W 配索材
WH ワイヤハーネス
X 積層方向