(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100345
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】色調整印刷制御装置、印刷システム、色調整印刷制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/62 20060101AFI20240719BHJP
H04N 1/407 20060101ALI20240719BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240719BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H04N1/62
H04N1/407 780
B41J29/393 101
G06F3/12 353
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004287
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 博之
【テーマコード(参考)】
2C061
5C077
5C079
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061KK18
5C077LL19
5C077MM27
5C077MP08
5C077PP33
5C077PP36
5C077PP37
5C077PQ08
5C077PQ23
5C077TT02
5C079HB03
5C079HB08
5C079LA02
5C079LA31
5C079LB01
5C079MA05
5C079MA10
5C079MA17
5C079MA20
5C079NA13
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】チャート上に配置される複数のパッチの中から、特色の色味に最も近いパッチを選択する作業における効率化を図る。
【解決手段】色調整印刷制御装置は、印刷見本の特色に対して、印刷装置における各色成分を変化させた複数のパッチを含むチャートの印刷用データを作成し(ステップS6,S8,S10,S12,S13)、印刷装置にチャートを印刷させ(ステップS14)、印刷されたチャートに含まれる複数のパッチの中から、特色の色味に最も近いパッチの選択を受け付け(ステップS15)、特色と、選択されたパッチに対応する各色成分の値と、を対応付けて保存する(ステップS16)。色調整印刷制御装置は、特色に対応する各色成分の初期値に基づいて、調整対象の色成分を決定し、当該調整対象の色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させた複数のパッチを、規定のルールでチャート上に配置する(ステップS6,S8,S10,S12)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷見本の特色に対して、印刷装置における各色成分を変化させた複数のパッチを含むチャートの印刷用データを作成する作成手段と、
前記印刷用データに基づいて、前記印刷装置にチャートを印刷させる印刷制御手段と、
前記印刷されたチャートに含まれる前記複数のパッチの中から、前記特色の色味に最も近いパッチの選択を受け付ける受付手段と、
前記特色と、前記選択されたパッチに対応する各色成分の値と、を対応付けて保存する色調整手段と、
を備える色調整印刷制御装置であって、
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値に基づいて、調整対象の色成分を決定し、当該調整対象の色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させた前記複数のパッチを、規定のルールで前記チャート上に配置する色調整印刷制御装置。
【請求項2】
前記印刷装置における各色成分は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックである請求項1に記載の色調整印刷制御装置。
【請求項3】
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち1つが0%、かつ、ブラックが0%の場合、シアン、マゼンタ及びイエローのうち0%以外の2つの色成分を、前記調整対象の色成分として決定する請求項2に記載の色調整印刷制御装置。
【請求項4】
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち1つが0%、かつ、ブラックが0%の場合、前記2つの色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させることで、前記複数のパッチの色を決定し、前記2つの色成分のうち一方の変化量が一方向に沿って変化し、他方の変化量が前記一方向と直交する方向に沿って変化するように、前記複数のパッチを配置する請求項3に記載の色調整印刷制御装置。
【請求項5】
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち1つが0%、かつ、ブラックが0%の場合、前記2つの色成分の変化量を2種類のステップ幅で変化させることで、前記複数のパッチの色を決定し、前記2つの色成分の変化量を大きいステップ幅で変化させたパッチを一方向に沿って配置し、前記2つの色成分の変化量を小さいステップ幅で変化させたパッチを前記一方向と直交する方向に沿って配置する請求項3に記載の色調整印刷制御装置。
【請求項6】
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち2つが0%、かつ、ブラックが0%の場合、シアン、マゼンタ及びイエローのうち0%以外の1つの色成分を、前記調整対象の色成分として決定する請求項2に記載の色調整印刷制御装置。
【請求項7】
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち2つが0%、かつ、ブラックが0%の場合、前記1つの色成分の変化量を2種類のステップ幅で変化させることで、前記複数のパッチの色を決定し、前記1つの色成分の変化量を大きいステップ幅で変化させたパッチを一方向に沿って配置し、前記1つの色成分の変化量を小さいステップ幅で変化させたパッチを前記一方向と直交する方向に沿って配置する請求項6に記載の色調整印刷制御装置。
【請求項8】
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち2つが0%、かつ、ブラックが0%の場合、シアン、マゼンタ及びイエローのうち0%の色成分のいずれかの指定を受け付け、シアン、マゼンタ及びイエローのうち0%以外の1つの色成分及び前記指定された色成分を、前記調整対象の色成分として決定する請求項2に記載の色調整印刷制御装置。
【請求項9】
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち1つが100%、かつ、ブラックが0%以外の場合、シアン、マゼンタ及びイエローのうち100%以外の2つの色成分及びブラックを、前記調整対象の色成分として決定する請求項2に記載の色調整印刷制御装置。
【請求項10】
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち1つが100%、かつ、ブラックが0%以外の場合、まずブラックの色成分を固定して、前記2つの色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させた各パッチを、前記2つの色成分のうち一方の変化量が一方向に沿って変化し、他方の変化量が前記一方向と直交する方向に沿って変化するように並べた第1のパッチ群を配置し、次にブラックの色成分を規定のステップ幅で変化させ、当該ブラックの色成分を固定して、前記第1のパッチ群と同様の第2のパッチ群を配置する処理を繰り返すことで、複数のパッチ群を前記チャート上に配置する請求項9に記載の色調整印刷制御装置。
【請求項11】
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち2つが100%、かつ、ブラックが0%以外の場合、シアン、マゼンタ及びイエローのうち100%以外の1つの色成分及びブラックを、前記調整対象の色成分として決定する請求項2に記載の色調整印刷制御装置。
【請求項12】
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち2つが100%、かつ、ブラックが0%以外の場合、まずブラックの色成分を固定して、前記1つの色成分の変化量を2種類のステップ幅で変化させた各パッチを、前記1つの色成分の変化量が一方向に沿って大きいステップ幅で変化し、前記1つの色成分の変化量が前記一方向と直交する方向に沿って小さいステップ幅で変化するように並べた第1のパッチ群を配置し、次にブラックの色成分を規定のステップ幅で変化させ、当該ブラックの色成分を固定して、前記第1のパッチ群と同様の第2のパッチ群を配置する処理を繰り返すことで、複数のパッチ群を前記チャート上に配置する請求項11に記載の色調整印刷制御装置。
【請求項13】
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ、イエロー又はブラックの色成分が0%に近い所定の値以下の場合、当該所定の値以下の色成分を0%として扱う請求項2に記載の色調整印刷制御装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の色調整印刷制御装置と、
前記印刷装置と、
前記印刷装置により前記チャートが印刷された印刷媒体に対し、前記チャート上の互いに直交する2方向に沿って配置されたパッチ同士の間に、折り目を付ける折り目加工ユニットと、
を備える印刷システム。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の色調整印刷制御装置と、
前記印刷装置と、
前記印刷装置により前記チャートが印刷された印刷媒体に対し、前記チャート上の互いに直交する2方向に沿って配置されたパッチ同士の間に、ミシン目を付けるミシン目加工ユニットと、
を備える印刷システム。
【請求項16】
印刷見本の特色に対して、印刷装置における各色成分を変化させた複数のパッチを含むチャートの印刷用データを作成する作成工程と、
前記印刷用データに基づいて、前記印刷装置にチャートを印刷させる印刷制御工程と、
前記印刷されたチャートに含まれる前記複数のパッチの中から、前記特色の色味に最も近いパッチの選択を受け付ける受付工程と、
前記特色と、前記選択されたパッチに対応する各色成分の値と、を対応付けて保存する色調整工程と、
を含む色調整印刷制御方法であって、
前記作成工程では、前記特色に対応する各色成分の初期値に基づいて、調整対象の色成分を決定し、当該調整対象の色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させた前記複数のパッチを、規定のルールで前記チャート上に配置する色調整印刷制御方法。
【請求項17】
コンピューターを、
印刷見本の特色に対して、印刷装置における各色成分を変化させた複数のパッチを含むチャートの印刷用データを作成する作成手段、
前記印刷用データに基づいて、前記印刷装置にチャートを印刷させる印刷制御手段、
前記印刷されたチャートに含まれる前記複数のパッチの中から、前記特色の色味に最も近いパッチの選択を受け付ける受付手段、
前記特色と、前記選択されたパッチに対応する各色成分の値と、を対応付けて保存する色調整手段、
として機能させるためのプログラムであって、
前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値に基づいて、調整対象の色成分を決定し、当該調整対象の色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させた前記複数のパッチを、規定のルールで前記チャート上に配置するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色調整印刷制御装置、印刷システム、色調整印刷制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特色を含む原稿を印刷する場合、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の色を混合して、その特色に近い色を疑似的に再現しなければならない。この時、見本の色に近い複数のパッチを配置したチャートを印刷し、印刷されたパッチと見本の色とを比べることによって、印刷されたパッチの中から最も近い色のパッチを選択する方法がある。
【0003】
この方法では、CMYKの各色成分の値を変化させて、複数のパッチを作成することになる。パッチの色を構成する色成分の数は「4」であるが、チャートは平面であるため、4つの色成分の変化量をそれぞれ変えた複数のパッチを、2次元上に配置しなければならない。そのため、チャートの中から、特色に最も近い色のパッチを選択するには、熟練の作業が必要になる。
【0004】
図17に、従来の特色の色調整(色合わせ)に用いるカラーパッチの配置例を示す。
まず、基準となるCMYKの値(初期値)に対して、CとMとをそれぞれ-5%、0%、+5%変化させた3×3の9個のパッチからなるパッチ群110を、チャートの中央に配置する。パッチ群110では、Y及びKの値は、初期値のまま変化させない。
パッチ群110の左上の領域に、C及びMの値はパッチ群110と同じまま、Yを初期値から+5%変化させ、Kを初期値から-5%変化させた9個のパッチからなるパッチ群111を配置する。
パッチ群110の上の領域に、C、M及びKの値はパッチ群110と同じまま、Yを初期値から+5%変化させた9個のパッチからなるパッチ群112を配置する。
パッチ群110の右上の領域に、C及びMの値はパッチ群110と同じまま、Yを初期値から+5%変化させ、Kを初期値から+5%変化させた9個のパッチからなるパッチ群113を配置する。
パッチ群110の左の領域に、C、M及びYの値はパッチ群110と同じまま、Kを初期値から-5%変化させた9個のパッチからなるパッチ群114を配置する。
パッチ群110の右の領域に、C、M及びYの値はパッチ群110と同じまま、Kを初期値から+5%変化させた9個のパッチからなるパッチ群115を配置する。
パッチ群110の左下の領域に、C及びMの値はパッチ群110と同じまま、Yを初期値から-5%変化させ、Kを初期値から-5%変化させた9個のパッチからなるパッチ群116を配置する。
パッチ群110の下の領域に、C、M及びKの値はパッチ群110と同じまま、Yを初期値から-5%変化させた9個のパッチからなるパッチ群117を配置する。
パッチ群110の右下の領域に、C及びMの値はパッチ群110と同じまま、Yを初期値から-5%変化させ、Kを初期値から+5%変化させた9個のパッチからなるパッチ群118を配置する。
【0005】
図17では、4つの色成分(CMYK)をそれぞれ変化させた複数のパッチが、平面上に配置されている。
図17では、Y又はKの値を変えたパッチは、異なるパッチ群に点在しているので、色の変化の方向が分かりにくい。そのため、チャート内の各パッチと目的の色(見本の色)との比較が難しく、手間がかかってしまう。
【0006】
また、印刷見本の特色に近い色のパッチを選択する場合、まず、CMYKの変化量の幅(ステップ幅)を大きく設定して、複数のパッチを配置したチャートを印刷し、特色に最も近い色のパッチを選択する。そして、さらに、選択されたパッチの色を基準として、CMYKの変化量の幅をより小さく設定して、複数のパッチを配置したチャートを再印刷し、特色に最も近い色のパッチを選択する。このように、何度かチャートを再印刷して、色調整の精度を上げていくことになり、作業が煩雑になる。
【0007】
また、指定色(見本の色)が印刷装置の印刷可能色域内か否かに応じて、カラーパッチの個数又は色間隔を決定する画像処理装置が提案されている(特許文献1参照)。この技術によれば、指定色が印刷可能色域外の場合は、印刷可能色域内の場合に比べて、カラーパッチの個数を多くしたり、色間隔を広くしたりすることで、広範囲から最も好ましい色のパッチを選択可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特色には、常にCMYKの全ての色成分が含まれているわけではない。例えば、CMYKのうち2つの色成分のみを含んだ特色も、一定程度存在する。この場合、特色を構成する色成分以外の0%の色成分に関しては、値を振って色を確認する必要がない。そのため、
図17に示した方法でパッチを配置すると、変化しない色成分が存在し、結果的に同じ色成分のパッチがチャート内に複数存在することになる。したがって、作業が効率的でなく、見本に近い色のパッチを選択する際に混乱を招く可能性があった。
【0010】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、チャート上に配置される複数のパッチの中から、特色の色味に最も近いパッチを選択する作業における効率化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、印刷見本の特色に対して、印刷装置における各色成分を変化させた複数のパッチを含むチャートの印刷用データを作成する作成手段と、前記印刷用データに基づいて、前記印刷装置にチャートを印刷させる印刷制御手段と、前記印刷されたチャートに含まれる前記複数のパッチの中から、前記特色の色味に最も近いパッチの選択を受け付ける受付手段と、前記特色と、前記選択されたパッチに対応する各色成分の値と、を対応付けて保存する色調整手段と、を備える色調整印刷制御装置であって、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値に基づいて、調整対象の色成分を決定し、当該調整対象の色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させた前記複数のパッチを、規定のルールで前記チャート上に配置する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の色調整印刷制御装置において、前記印刷装置における各色成分は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の色調整印刷制御装置において、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち1つが0%、かつ、ブラックが0%の場合、シアン、マゼンタ及びイエローのうち0%以外の2つの色成分を、前記調整対象の色成分として決定する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の色調整印刷制御装置において、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち1つが0%、かつ、ブラックが0%の場合、前記2つの色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させることで、前記複数のパッチの色を決定し、前記2つの色成分のうち一方の変化量が一方向に沿って変化し、他方の変化量が前記一方向と直交する方向に沿って変化するように、前記複数のパッチを配置する。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の色調整印刷制御装置において、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち1つが0%、かつ、ブラックが0%の場合、前記2つの色成分の変化量を2種類のステップ幅で変化させることで、前記複数のパッチの色を決定し、前記2つの色成分の変化量を大きいステップ幅で変化させたパッチを一方向に沿って配置し、前記2つの色成分の変化量を小さいステップ幅で変化させたパッチを前記一方向と直交する方向に沿って配置する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の色調整印刷制御装置において、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち2つが0%、かつ、ブラックが0%の場合、シアン、マゼンタ及びイエローのうち0%以外の1つの色成分を、前記調整対象の色成分として決定する。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の色調整印刷制御装置において、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち2つが0%、かつ、ブラックが0%の場合、前記1つの色成分の変化量を2種類のステップ幅で変化させることで、前記複数のパッチの色を決定し、前記1つの色成分の変化量を大きいステップ幅で変化させたパッチを一方向に沿って配置し、前記1つの色成分の変化量を小さいステップ幅で変化させたパッチを前記一方向と直交する方向に沿って配置する。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項2に記載の色調整印刷制御装置において、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち2つが0%、かつ、ブラックが0%の場合、シアン、マゼンタ及びイエローのうち0%の色成分のいずれかの指定を受け付け、シアン、マゼンタ及びイエローのうち0%以外の1つの色成分及び前記指定された色成分を、前記調整対象の色成分として決定する。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項2に記載の色調整印刷制御装置において、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち1つが100%、かつ、ブラックが0%以外の場合、シアン、マゼンタ及びイエローのうち100%以外の2つの色成分及びブラックを、前記調整対象の色成分として決定する。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の色調整印刷制御装置において、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち1つが100%、かつ、ブラックが0%以外の場合、まずブラックの色成分を固定して、前記2つの色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させた各パッチを、前記2つの色成分のうち一方の変化量が一方向に沿って変化し、他方の変化量が前記一方向と直交する方向に沿って変化するように並べた第1のパッチ群を配置し、次にブラックの色成分を規定のステップ幅で変化させ、当該ブラックの色成分を固定して、前記第1のパッチ群と同様の第2のパッチ群を配置する処理を繰り返すことで、複数のパッチ群を前記チャート上に配置する。
【0021】
請求項11に記載の発明は、請求項2に記載の色調整印刷制御装置において、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち2つが100%、かつ、ブラックが0%以外の場合、シアン、マゼンタ及びイエローのうち100%以外の1つの色成分及びブラックを、前記調整対象の色成分として決定する。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の色調整印刷制御装置において、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエローのうち2つが100%、かつ、ブラックが0%以外の場合、まずブラックの色成分を固定して、前記1つの色成分の変化量を2種類のステップ幅で変化させた各パッチを、前記1つの色成分の変化量が一方向に沿って大きいステップ幅で変化し、前記1つの色成分の変化量が前記一方向と直交する方向に沿って小さいステップ幅で変化するように並べた第1のパッチ群を配置し、次にブラックの色成分を規定のステップ幅で変化させ、当該ブラックの色成分を固定して、前記第1のパッチ群と同様の第2のパッチ群を配置する処理を繰り返すことで、複数のパッチ群を前記チャート上に配置する。
【0023】
請求項13に記載の発明は、請求項2に記載の色調整印刷制御装置において、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ、イエロー又はブラックの色成分が0%に近い所定の値以下の場合、当該所定の値以下の色成分を0%として扱う。
【0024】
請求項14に記載の発明は、請求項1から13のいずれか一項に記載の色調整印刷制御装置と、前記印刷装置と、前記印刷装置により前記チャートが印刷された印刷媒体に対し、前記チャート上の互いに直交する2方向に沿って配置されたパッチ同士の間に、折り目を付ける折り目加工ユニットと、を備える印刷システムである。
【0025】
請求項15に記載の発明は、請求項1から13のいずれか一項に記載の色調整印刷制御装置と、前記印刷装置と、前記印刷装置により前記チャートが印刷された印刷媒体に対し、前記チャート上の互いに直交する2方向に沿って配置されたパッチ同士の間に、ミシン目を付けるミシン目加工ユニットと、を備える印刷システムである。
【0026】
請求項16に記載の発明は、印刷見本の特色に対して、印刷装置における各色成分を変化させた複数のパッチを含むチャートの印刷用データを作成する作成工程と、前記印刷用データに基づいて、前記印刷装置にチャートを印刷させる印刷制御工程と、前記印刷されたチャートに含まれる前記複数のパッチの中から、前記特色の色味に最も近いパッチの選択を受け付ける受付工程と、前記特色と、前記選択されたパッチに対応する各色成分の値と、を対応付けて保存する色調整工程と、を含む色調整印刷制御方法であって、前記作成工程では、前記特色に対応する各色成分の初期値に基づいて、調整対象の色成分を決定し、当該調整対象の色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させた前記複数のパッチを、規定のルールで前記チャート上に配置する。
【0027】
請求項17に記載の発明は、コンピューターを、印刷見本の特色に対して、印刷装置における各色成分を変化させた複数のパッチを含むチャートの印刷用データを作成する作成手段、前記印刷用データに基づいて、前記印刷装置にチャートを印刷させる印刷制御手段、前記印刷されたチャートに含まれる前記複数のパッチの中から、前記特色の色味に最も近いパッチの選択を受け付ける受付手段、前記特色と、前記選択されたパッチに対応する各色成分の値と、を対応付けて保存する色調整手段、として機能させるためのプログラムであって、前記作成手段は、前記特色に対応する各色成分の初期値に基づいて、調整対象の色成分を決定し、当該調整対象の色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させた前記複数のパッチを、規定のルールで前記チャート上に配置する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、チャート上に配置される複数のパッチの中から、特色の色味に最も近いパッチを選択する作業における効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施の形態に係る印刷システムのシステム構成、及び、印刷システム内の各装置の機能構成を示す図である。
【
図3】PCにより実行される色調整処理を示すフローチャートである。
【
図4】色成分丸め判定処理を示すフローチャートである。
【
図5】第1の色成分制限チャート作成処理を示すフローチャートである。
【
図6】第2の色成分制限チャート作成処理を示すフローチャートである。
【
図7】第3の色成分制限チャート作成処理を示すフローチャートである。
【
図8】第4の色成分制限チャート作成処理を示すフローチャートである。
【
図9】第1の色成分制限チャート作成処理に基づく配置例を示す図である。
【
図10】第1の色成分制限チャート作成処理に基づく別の配置例を示す図である。
【
図11】チャートを折る位置を説明するための図である。
【
図12】(a)は、チャートを縦方向に沿って折った状態で、サンプルの色と比較する様子を示す図である。(b)は、チャートを横方向に沿って折った状態で、サンプルの色と比較する様子を示す図である。
【
図13】第2の色成分制限チャート作成処理に基づく配置例を示す図である。
【
図14】第3の色成分制限チャート作成処理に基づく配置例を示す図である。
【
図15】第4の色成分制限チャート作成処理に基づく配置例を示す図である。
【
図16】変形例における色成分指定画面の例である。
【
図17】従来の特色の色調整に用いるカラーパッチの配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0031】
図1は、本実施の形態に係る印刷システム100のシステム構成、及び、印刷システム100内の各装置の機能構成を示す。印刷システム100は、色調整印刷制御装置としてのPC(Personal Computer)10と、印刷装置としてのプリンター20と、を備える。
【0032】
PC10は、プリンター20を所有している印刷会社等において、カラーマネジメントや印刷作業を行うオペレーター等により使用される。
プリンター20は、PC10から送信された印刷用データに基づいて、用紙に印刷を行う。
【0033】
PC10は、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、記憶部15等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、PC10の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、記憶部15に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0034】
操作部12は、カーソルキー、文字・数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成される。操作部12は、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部11に出力する。また、操作部12は、表示部13に積層されたタッチパネルにより構成され、表示画面に対するユーザーの入力を受け付け、タッチ操作の位置に応じた操作信号を制御部11に出力することとしてもよい。
【0035】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)等のモニターを備えて構成されており、制御部11から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0036】
通信部14は、ネットワークインターフェース等により構成され、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークを介して接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。なお、PC10とプリンター20との間は、専用のケーブルで接続されていてもよい。
【0037】
記憶部15には、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なデータ等を記憶している。例えば、記憶部15には、カラーマネジメントを行うためのカラーマネジメントアプリケーションプログラム151が記憶されている。カラーマネジメントアプリケーションプログラム151は、特色の情報の判定、チャート(印刷用データ)の作成、チャートの印刷制御、プリンター20に格納されているLUT241の更新等を行うためのプログラムである。
【0038】
制御部11は、印刷見本の特色に対して、プリンター20(印刷装置)における各色成分を変化させた複数のパッチを含むチャートの印刷用データを作成する。すなわち、制御部11は、作成手段として機能する。
制御部11は、印刷用データに基づいて、プリンター20にチャートを印刷させる。すなわち、制御部11は、印刷制御手段として機能する。
【0039】
制御部11は、印刷されたチャートに含まれる複数のパッチの中から、特色の色味に最も近いパッチの選択を受け付ける。すなわち、制御部11は、受付手段として機能する。
制御部11は、特色と、選択されたパッチに対応する各色成分の値と、を対応付けて保存する。すなわち、制御部11は、色調整手段として機能する。
【0040】
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値に基づいて、調整対象の色成分を決定し、当該調整対象の色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させた複数のパッチを、規定のルールでチャート上に配置する。
【0041】
プリンター20における各色成分は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)である。
【0042】
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ及びイエロー(以下、「CMY」と記す場合もある。)のうち1つが0%、かつ、ブラック(以下、「K」と記す場合もある。)が0%の場合、CMYのうち0%以外の2つの色成分を、調整対象の色成分として決定する。つまり、0%の色成分については、値を振って色を確認する必要がない。
【0043】
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち2つが0%、かつ、Kが0%の場合、CMYのうち0%以外の1つの色成分を、調整対象の色成分として決定する。つまり、0%の色成分については、値を振って色を確認する必要がない。
【0044】
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち1つが100%、かつ、Kが0%以外の場合、CMYのうち100%以外の2つの色成分及びKを、調整対象の色成分として決定する。つまり、100%の色成分については、値を振って色を確認する必要がない。
【0045】
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち2つが100%、かつ、Kが0%以外の場合、CMYのうち100%以外の1つの色成分及びKを、調整対象の色成分として決定する。つまり、100%の色成分については、値を振って色を確認する必要がない。
【0046】
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、シアン、マゼンタ、イエロー又はブラック(以下、「CMYK」と記す場合もある。)の色成分が0%に近い所定の値以下の場合、当該所定の値以下の色成分を0%として扱う(色成分の丸め処理)。色成分の丸め処理を実施するか否かは、ユーザーにより予め設定されており、その設定情報は記憶部15に記憶されている。
【0047】
プリンター20は、制御部21、印刷部22、通信部23、記憶部24、折り目加工ユニット25、ミシン目加工ユニット26等を備えて構成されており、各部はバスにより接続されている。
制御部21は、CPU、RAM等から構成され、プリンター20の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、記憶部24に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0048】
印刷部22は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4つの色成分(プロセスカラー)の色材(トナー、インク等)により、用紙に印刷を行う。印刷部22の印刷方式については、電子写真方式、インクジェット方式等、特に限定されない。
【0049】
通信部23は、ネットワークインターフェース等により構成され、LANやWAN等の通信ネットワークを介して接続された外部装置との間でデータの送受信を行う。
【0050】
記憶部24は、HDDや不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なデータ等を記憶している。例えば、記憶部24には、LUT241が記憶されている。LUT241は、印刷される色が特色で指定される場合に、特色をどのような色成分の組み合わせ(CMYK値)で出力するかを対応付けたルックアップテーブル(特色テーブル)である。
【0051】
折り目加工ユニット25は、印刷後の用紙に対して、用紙の搬送方向、又は、用紙の搬送方向と直交する方向に、折り目を付ける加工を施す。折り目加工指示及び折り目を付ける位置は、PC10から送信される折り目設定情報に含まれている。
【0052】
ミシン目加工ユニット26は、印刷後の用紙に対して、用紙の搬送方向、又は、用紙の搬送方向と直交する方向に、ミシン目を付ける加工を施す。ミシン目加工指示及びミシン目を付ける位置は、PC10から送信されるミシン目設定情報に含まれている。
【0053】
図2に、PC10の表示部13に表示される特色テーブル作成画面131の例を示す。特色テーブル作成画面131には、テーブル名表示領域81、Prefix表示領域82、カラー名表示領域83、特色テーブル表示領域84、調整対象色表示領域85、ステップ幅指定領域86、チャート表示領域87、チャート印刷ボタン88等が含まれる。
【0054】
テーブル名表示領域81には、特色テーブルの名称が表示される。
Prefix表示領域82には、特色テーブルに含まれる各色に対して共通に付される接頭語が表示される。
カラー名表示領域83には、特色テーブルに含まれる各色の名称(番号)が表示される。具体的には、カラー名表示領域83には、特色テーブル表示領域84で選択された色の番号が表示される。
【0055】
特色テーブル表示領域84には、特色テーブルに含まれる各色に対し、CMYKの色成分がどれくらいの割合で含まれているかが表示される。例えば、特色テーブル表示領域84において選択されている「DIC-108」については、(C:34.4%、M:79.0%、Y:0.0%、K:0.0%)が表示されている。
【0056】
調整対象色表示領域85には、特色テーブル表示領域84で選択された色の情報が表示される。調整対象色表示領域85に含まれるC調整領域85a、M調整領域85b、Y調整領域85c、K調整領域85dにおいて、各色を構成する色成分を手動で変更できる。
【0057】
ステップ幅指定領域86は、チャートを作成する際の色成分を変化させるステップ幅を指定するための領域である。ステップ幅は、CMYKの色成分ごとに指定可能であってもよい。また、CMYKの各色成分に対して、複数種類のステップ幅を指定可能であってもよい。ステップ幅指定領域86において指定されたステップ幅が、チャートを作成する際に使用される。
【0058】
チャート表示領域87には、作成されるチャートのイメージが表示される。
チャート印刷ボタン88は、チャートの印刷を指示するためのボタンである。
【0059】
次に、PC10における動作について説明する。
図3は、PC10により実行される色調整処理を示すフローチャートである。色調整処理は、特色(スポットカラー)の色合わせのために、特色に対応するデバイス値(CMYK値)を求める処理である。
【0060】
まず、ユーザーは、印刷見本の特色を測色計で測色する。PC10の制御部11は、通信部14を介して、測色計から特色の測色値を取得し、特色に対応するプリンター20における各色成分の初期値を取得する(ステップS1)。具体的には、制御部11は、特色の測色値(L*a*b*等)を、プリンター20の現状のプロファイル(L*a*b*-CMYKプロファイル等)を用いて、CMYK値に変換する。
【0061】
例えば、ユーザーは、
図2に示す特色テーブル作成画面131の特色テーブル表示領域84において、色調整する色(カラー名)を選択する。ユーザーが、色調整する色の印刷見本を測色計で測色すると、調整対象色表示領域85に、測色値から変換されたCMYK値が表示される。
【0062】
次に、制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値を判定する(ステップS2)。
次に、制御部11は、色成分丸め判定処理を行う(ステップS3)。
【0063】
ここで、
図4を参照して、色成分丸め判定処理について説明する。
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYKのうち、丸め判定値P以下の色成分があるか否かを判断する(ステップS21)。例えば、丸め判定値Pとして、1%が用いられる。
【0064】
CMYKのうち、丸め判定値P以下の色成分がある場合には(ステップS21;YES)、制御部11は、色成分の丸め処理を実施する設定となっているか否かを判断する(ステップS22)。この際、制御部11は、記憶部15に記憶されている色成分の丸め処理についての設定情報を参照する。
色成分の丸め処理を実施する設定となっている場合には(ステップS22;YES)、制御部11は、丸め判定値P以下の色成分を0%として扱う(ステップS23)。
【0065】
ステップS23の後、ステップS22において、色成分の丸め処理を実施する設定となっていない場合(ステップS22;NO)、又は、ステップS21において、CMYKのうち、丸め判定値P以下の色成分がない場合には(ステップS21;NO)、色成分丸め判定処理が終了する。
【0066】
図3に戻り、色成分丸め判定処理(ステップS3)の後、制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、Kが0%であるか否かを判断する(ステップS4)。
【0067】
ステップS4において、Kが0%である場合には(ステップS4;YES)、制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち1つが0%であるか否かを判断する(ステップS5)。
CMYのうち1つが0%である場合には(ステップS5;YES)、制御部11は、第1の色成分制限チャート作成処理を行う(ステップS6)。
【0068】
ここで、
図5を参照して、第1の色成分制限チャート作成処理について説明する。
制御部11は、CMYのうち0%以外の2つの色成分を、規定のステップ幅で変化させた各パッチのデバイス値(CMYK値)を算出する(ステップS31)。すなわち、制御部11は、CMYのうち0%の色成分、及び、Kの値(0%)を一定として、CMYのうち0%以外の2つの色成分を変化させる。
【0069】
次に、制御部11は、CMYのうち0%以外の2つの色成分の変化を含むチャートの印刷用データを作成する(ステップS32)。すなわち、制御部11は、ステップS31で算出されたデバイス値の各パッチを、規定のルールでチャート上に配置する。
以上で、第1の色成分制限チャート作成処理が終了する。
【0070】
図3に戻り、ステップS5において、「CMYのうち1つが0%である」という条件を満たさない場合には(ステップS5;NO)、制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち2つが0%であるか否かを判断する(ステップS7)。
CMYのうち2つが0%である場合には(ステップS7;YES)、制御部11は、第2の色成分制限チャート作成処理を行う(ステップS8)。
【0071】
ここで、
図6を参照して、第2の色成分制限チャート作成処理について説明する。
制御部11は、CMYのうち0%以外の1つの色成分を、規定のステップ幅で変化させた各パッチのデバイス値(CMYK値)を算出する(ステップS41)。すなわち、制御部11は、CMYのうち0%の2つの色成分、及び、Kの値(0%)を一定として、CMYのうち0%以外の1つの色成分を変化させる。
【0072】
次に、制御部11は、CMYのうち0%以外の1つの色成分の変化を含むチャートの印刷用データを作成する(ステップS42)。すなわち、制御部11は、ステップS41で算出されたデバイス値の各パッチを、規定のルールでチャート上に配置する。
以上で、第2の色成分制限チャート作成処理が終了する。
【0073】
図3に戻り、ステップS4において、Kが0%でない場合には(ステップS4;NO)、制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち1つが100%であるか否かを判断する(ステップS9)。
CMYのうち1つが100%である場合には(ステップS9;YES)、制御部11は、第3の色成分制限チャート作成処理を行う(ステップS10)。
【0074】
ここで、
図7を参照して、第3の色成分制限チャート作成処理について説明する。
制御部11は、nを1に設定する(ステップS51)。
次に、制御部11は、Kの値を固定する(ステップS52)。例えば、制御部11は、Kの値を規定のステップ幅で変化させることを前提として、Kの調整範囲においてKが最小値となる変化量を選択する。
【0075】
次に、制御部11は、CMYのうち100%以外の2つの色成分を、規定のステップ幅で変化させた各パッチのデバイス値(CMYK値)を算出する(ステップS53)。すなわち、制御部11は、CMYのうち100%の色成分、及び、直近のステップS52で固定されたKの値を一定として、CMYのうち100%以外の2つの色成分を変化させる。
【0076】
次に、制御部11は、CMYのうち100%以外の2つの色成分の変化を含むパッチ群を配置したチャートの印刷用データを作成する(ステップS54)。すなわち、制御部11は、直近のステップS53で算出されたデバイス値の各パッチを、規定のルールでチャート上に配置する。
【0077】
次に、制御部11は、nの値がNと一致するか否かを判断する(ステップS55)。Nは、何種類のKの値に対してパッチ群を作成するかを示す値であり、予め定められている。
nの値がNと一致しない場合には(ステップS55;NO)、制御部11は、nの値に1を加える(ステップS56)。
そして、制御部11は、Kの値を規定のステップ幅で変化させる(ステップS57)。例えば、制御部11は、直近のステップS52で固定されたKの値に、規定のステップ幅を加える。
ステップS57の後、処理はステップS52に戻り、制御部11は、ステップS52以降の処理を繰り返す。
【0078】
ステップS55において、nの値がNと一致する場合には(ステップS55;YES)、第3の色成分制限チャート作成処理が終了する。
【0079】
図3に戻り、ステップS9において、「CMYのうち1つが100%である」という条件を満たさない場合には(ステップS9;NO)、制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち2つが100%であるか否かを判断する(ステップS11)。
CMYのうち2つが100%である場合には(ステップS11;YES)、制御部11は、第4の色成分制限チャート作成処理を行う(ステップS12)。
【0080】
ここで、
図8を参照して、第4の色成分制限チャート作成処理について説明する。
制御部11は、nを1に設定する(ステップS61)。
次に、制御部11は、Kの値を固定する(ステップS62)。例えば、制御部11は、Kの値を規定のステップ幅で変化させることを前提として、Kの調整範囲においてKが最小値となる変化量を選択する。
【0081】
次に、制御部11は、CMYのうち100%以外の1つの色成分を、規定のステップ幅で変化させた各パッチのデバイス値(CMYK値)を算出する(ステップS63)。すなわち、制御部11は、CMYのうち100%の2つの色成分、及び、直近のステップS62で固定されたKの値を一定として、CMYのうち100%以外の1つの色成分を変化させる。
【0082】
次に、制御部11は、CMYのうち100%以外の1つの色成分の変化を含むパッチ群を配置したチャートの印刷用データを作成する(ステップS64)。すなわち、制御部11は、直近のステップS63で算出されたデバイス値の各パッチを、規定のルールでチャート上に配置する。
【0083】
次に、制御部11は、nの値がNと一致するか否かを判断する(ステップS65)。Nは、何種類のKの値に対してパッチ群を作成するかを示す値であり、予め定められている。
nの値がNと一致しない場合には(ステップS65;NO)、制御部11は、nの値に1を加える(ステップS66)。
そして、制御部11は、Kの値を規定のステップ幅で変化させる(ステップS67)。例えば、制御部11は、直近のステップS62で固定されたKの値に、規定のステップ幅を加える。
ステップS67の後、処理はステップS62に戻り、制御部11は、ステップS62以降の処理を繰り返す。
【0084】
ステップS65において、nの値がNと一致する場合には(ステップS65;YES)、第4の色成分制限チャート作成処理が終了する。
【0085】
図3に戻り、ステップS7において、「CMYのうち2つが0%である」という条件を満たさない場合(ステップS7;NO)、又は、ステップS11において、「CMYのうち2つが100%である」という条件を満たさない場合には(ステップS11;NO)、制御部11は、調整対象の色成分を制限せずに、チャートの印刷用データを作成する(ステップS13)。すなわち、制御部11は、従来どおりの構成で、CMYK4つの色成分をそれぞれ変化させた複数のパッチをチャート内に配置する。
【0086】
ステップS6、ステップS8、ステップS10、ステップS12、又は、ステップS13の後、制御部11は、印刷用データに基づいて、プリンター20にチャートを印刷させる(ステップS14)。具体的には、制御部11は、通信部14を介して、チャートの印刷用データをプリンター20に送信する。
プリンター20の制御部21は、印刷用データに基づいて、印刷部22にチャートを印刷させる。
【0087】
また、PC10の制御部11は、チャートが印刷された用紙(印刷媒体)に対し、チャート上の互いに直交する2方向に沿って配置されたパッチ同士の間に折り目を付ける指示(折り目設定情報)を、通信部14を介して、プリンター20に送信してもよい。この場合、プリンター20の制御部21は、折り目設定情報に基づいて、折り目加工ユニット25に、パッチ同士の間に折り目を付ける加工を行わせる。折り目加工ユニット25は、チャートが印刷された用紙のパッチ同士の境界位置に対して、縦方向及び横方向に沿って、折り目を付ける。
【0088】
また、PC10の制御部11は、チャートが印刷された用紙(印刷媒体)に対し、チャート上の互いに直交する2方向に沿って配置されたパッチ同士の間にミシン目を付ける指示(ミシン目設定情報)を、通信部14を介して、プリンター20に送信してもよい。この場合、プリンター20の制御部21は、ミシン目設定情報に基づいて、ミシン目加工ユニット26に、パッチ同士の間にミシン目を付ける加工を行わせる。ミシン目加工ユニット26は、チャートが印刷された用紙のパッチ同士の境界位置に対して、縦方向及び横方向に沿って、ミシン目を付ける。
【0089】
次に、PC10の制御部11は、印刷されたチャートに含まれる複数のパッチの中から、印刷見本の特色の色味に最も近いパッチのパッチIDの選択を受け付ける(ステップS15)。ユーザーは、印刷されたチャートに含まれる複数のパッチと、印刷見本の特色と、を並べて比較する。ユーザーは、操作部12を操作して、特色の色味に最も近いパッチのパッチIDを選択する。制御部11は、選択されたパッチIDの情報を取得する。
【0090】
次に、制御部11は、特色に対するLUTを更新する(ステップS16)。具体的には、制御部11は、特色と、選択されたパッチID(パッチ)に対応する各色成分の値(選択されたパッチIDのパッチの印刷に用いられたデバイス値)と、を対応付けて、プリンター20で使用されるLUTを更新する。制御部11は、通信部14を介して、更新されたLUTをプリンター20に送信する。
プリンター20の制御部21は、通信部23を介して、更新されたLUTをPC10から取得し、取得したLUTを記憶部24に記憶させることで、LUT241を更新する。これ以降、制御部21は、特色の印刷指示を受けた場合、更新されたLUT241を用いて特色からCMYK値に変換し、このCMYK値を用いて印刷を行う。
【0091】
なお、印刷見本の特色との比較において、チャート内のいずれかのパッチが、許容される程度に近い色になるまで、色調整処理(
図3参照)を繰り返すことになる。具体的には、ステップS15で選択されたパッチIDに対応する各色成分の値を、次の色調整処理では「初期値」として、ステップS2以降の処理を繰り返す。
【0092】
[配置例1-1]
次に、第1の色成分制限チャート作成処理(
図5参照)の具体例について説明する。
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち1つが0%、かつ、Kが0%の場合、CMYのうち0%以外の2つの色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させることで、複数のパッチの色を決定する。制御部11は、CMYの0%以外の2つの色成分のうち一方の変化量が一方向に沿って変化し、他方の変化量が一方向と直交する方向に沿って変化するように、複数のパッチを配置する。
【0093】
図9に、特色に対応する各色成分の初期値が(C:60%、M:40%、Y:0%、K:0%)である場合に、作成されるチャート30上のパッチの配置例1-1を示す。なお、C及びMに対するステップ幅は「5」である。
図9に示すように、制御部11は、E行e列のパッチ(C:60%、M:40%)を基準として、縦方向に沿ってCの値をステップ幅5で変化させ、横方向に沿ってMの値をステップ幅5で変化させる。
なお、チャート30全体に対して、各パッチのYは0%、Kは0%である。
【0094】
調整対象とする色成分(変化量を振って変化させる色成分、
図9ではCとM)の数が「2」であるため、チャート30の平面上において、縦方向、横方向のそれぞれに、調整対象の色成分を1つずつ割り当てることができる。具体的には、一方の色成分を縦方向に沿って変化させ、他方の色成分を横方向に沿って変化させることができる。
【0095】
チャート30では、Cについては、縦方向に沿って色成分が変化し、Mについては、横方向に沿って色成分が変化している。そのため、チャート30をプリンター20で印刷し、印刷見本の色と比較する際、チャート30内でのC、Mそれぞれの色の変化の方向が分かりやすい。したがって、チャート30に含まれる複数のパッチの中から、印刷見本の色味に近いパッチを見つけ出す作業が容易になる。
また、0%の色成分(YとK)は変化させずに、0%以外の色成分(CとM)のみを変化させて、チャート30を構成するパッチの色を決定するため、限られたスペースに効率良くパッチを配置できる。
【0096】
[配置例1-2]
第1の色成分制限チャート作成処理(
図5参照)の別の具体例として、1枚のチャートの中に複数種類のステップ幅を持たせ、その中から印刷見本に最も近い色のパッチを選択させる方法もある。
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち1つが0%、かつ、Kが0%の場合、CMYのうち0%以外の2つの色成分の変化量を2種類のステップ幅で変化させることで、複数のパッチの色を決定する。制御部11は、CMYのうち0%以外の2つの色成分の変化量を大きいステップ幅で変化させたパッチを一方向に沿って配置し、CMYのうち0%以外の2つの色成分の変化量を小さいステップ幅で変化させたパッチを一方向と直交する方向に沿って配置する。大きいステップ幅とは、2種類のステップ幅のうち、大きい方のステップ幅である。小さいステップ幅とは、2種類のステップ幅のうち、小さい方のステップ幅である。
【0097】
図10に、特色に対応する各色成分の初期値が(C:60%、M:40%、Y:0%、K:0%)である場合に、作成されるチャート40上のパッチの配置例1-2を示す。なお、C及びMに対するステップ幅は「10」と「3」である。
図10に示すように、制御部11は、E行e列のパッチ(C:60%、M:40%)を基準として、縦方向に沿ってCの値及びMの値をステップ幅10で大まかに変化させる。具体的には、制御部11は、e列の9個のパッチにおいて、Cの値及びMの値を-10%~+10%の範囲でステップ幅10で変化させる。
また、制御部11は、e列を基準として、横方向に沿ってCの値及びMの値をステップ幅3で細かく変化させる。具体的には、制御部11は、各行(A行~I行)の9個のパッチにおいて、Cの値及びMの値を、e列を基準として-3%~+3%の範囲でステップ幅3で変化させる。
なお、チャート40全体に対して、各パッチのYは0%、Kは0%である。
【0098】
図10では、各パッチの色の違いを認識できるように、パッチ内にCの値及びMの値を数値で示しているが、実際のチャートでは、数値を印刷する必要はない。
【0099】
チャート40では、C及びMについて、縦方向に沿って大きいステップ幅(例えば、10)で変化させたパッチが配置され、横方向に沿って小さいステップ幅(例えば、3)で変化させたパッチが配置されている。よって、一度のチャート40の印刷で、複数種類のステップ幅の色の差を表現できる。そのため、目的の色(印刷見本の色)に最も近いパッチを効率良く特定することができ、その結果、チャートの印刷回数を減らすことができる。
【0100】
チャート40を印刷した後、ユーザーは、チャート40に含まれる各パッチの色を、目的の色(例えば、会社のロゴマークの色)が印刷されたサンプル(印刷見本)と比較する。
まず、チャート40のe列のパッチ(ステップ幅10で変化させたパッチ)を、サンプルと比較する。その際、チャート40をd列とe列の境界、すなわち、
図11に示す破線41部分で折ることで、比較対象のパッチが、チャート40の紙を折った端に沿って並んだ状態になる。
【0101】
図12(a)に、チャート40を破線41部分で折った状態で、各パッチを、サンプル200のロゴマーク201の色と比較する様子を示す。
ユーザーは、サンプル200のロゴマーク201と、チャート40に含まれるe列の各パッチと、を並べて、ロゴマーク201の色に最も近い色を判断する。チャート40を折って、各パッチをロゴマーク201の隣に並べて比較することで、色の類似を判断しやすくなる。
【0102】
ここで、例えば、e列のパッチの中でD行の色が最もロゴマーク201の色に近いと判断した場合、今度は、チャート40のD行のパッチ(ステップ幅3で変化させたパッチ)を、サンプルと比較する。その際、チャート40をC行とD行の境界、すなわち、
図11に示す破線42部分で折ることで、比較対象のパッチが、チャート40の紙を折った端に沿って並んだ状態になる。
【0103】
図12(b)に、チャート40を破線42部分で折った状態で、各パッチを、サンプル200のロゴマーク201の色と比較する様子を示す。
ユーザーは、サンプル200のロゴマーク201と、チャート40に含まれるD行の各パッチと、を並べて、ロゴマーク201の色に最も近い色を判断する。
【0104】
チャート40においては、まず、縦方向に沿って配置された、大きいステップ幅で変化させたパッチの中から、ロゴマーク201の色に近い色を選択することができる。そして、横方向に沿って配置された、小さいステップ幅で変化させたパッチの中から、ロゴマーク201の色に最も近い色を選択することができる。
【0105】
[配置例2]
次に、第2の色成分制限チャート作成処理(
図6参照)の具体例について説明する。
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち2つが0%、かつ、Kが0%の場合、CMYのうち0%以外の1つの色成分の変化量を2種類のステップ幅で変化させることで、複数のパッチの色を決定する。制御部11は、CMYのうち0%以外の1つの色成分の変化量を大きいステップ幅で変化させたパッチを一方向に沿って配置し、CMYのうち0%以外の1つの色成分の変化量を小さいステップ幅で変化させたパッチを一方向と直交する方向に沿って配置する。
【0106】
図13に、特色に対応する各色成分の初期値が(C:0%、M:40%、Y:0%、K:0%)である場合に、作成されるチャート50上のパッチの配置例2を示す。なお、Mに対するステップ幅は「10」と「2」である。
図13に示すように、制御部11は、D行c列のパッチ(M:40%)を基準として、縦方向に沿ってMの値をステップ幅10で大まかに変化させる。具体的には、制御部11は、c列の7個のパッチにおいて、Mの値を-30%~+30%の範囲でステップ幅10で変化させる。
また、制御部11は、c列を基準として、横方向に沿ってMの値をステップ幅2で細かく変化させる。具体的には、制御部11は、各行(A行~G行)の5個のパッチにおいて、Mの値を、c列を基準として-4%~+4%の範囲でステップ幅2で変化させる。
なお、チャート50全体に対して、各パッチのCは0%、Yは0%、Kは0%である。
【0107】
図13では、各パッチの色の違いを認識できるように、パッチ内にMの値を数値で示しているが、実際のチャートでは、数値を印刷する必要はない。
【0108】
チャート50では、Mについて、縦方向に沿って大きいステップ幅(例えば、10)で変化させたパッチが配置され、横方向に沿って小さいステップ幅(例えば、2)で変化させたパッチが配置されている。よって、一度のチャート50の印刷で、複数種類のステップ幅の色の差を表現できる。そのため、印刷見本の特色に最も近いパッチを効率良く特定することができ、その結果、チャートの印刷回数を減らすことができる。
【0109】
なお、配置例2においても、配置例1-2と同様、印刷したチャート50をb列とc列の境界で折った状態で、大きいステップ幅で色成分を変化させたc列のパッチを印刷見本の色と比較して、目的の色に最も近いパッチを選択してもよい。その後、選択されたパッチを含む行の位置で横方向に折り直して、小さいステップ幅で色成分を変化させたパッチを再度印刷見本の色と比較して、目的の色に最も近いパッチを選択してもよい。
【0110】
また、配置例2に代えて、制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち2つが0%、かつ、Kが0%の場合、チャート上に、CMYのうち0%以外の1つの色成分の変化量を、1種類のステップ幅で変化させた複数のパッチを一方向に沿って配置してもよい。
【0111】
[配置例3]
次に、第3の色成分制限チャート作成処理(
図7参照)の具体例について説明する。
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち1つが100%、かつ、Kが0%以外の場合、まずKの色成分を固定して、CMYのうち100%以外の2つの色成分の変化量を規定のステップ幅で変化させた各パッチを、当該2つの色成分のうち一方の変化量が一方向に沿って変化し、他方の変化量が一方向と直交する方向に沿って変化するように並べた第1のパッチ群を配置する。次に、制御部11は、Kの色成分を規定のステップ幅で変化させ、当該Kの色成分を固定して、第1のパッチ群と同様の第2のパッチ群を配置する処理を繰り返すことで、複数のパッチ群をチャート上に配置する。
【0112】
図14に、特色に対応する各色成分の初期値が(C:70%、M:30%、Y:100%、K:20%)である場合に、作成されるチャート60上のパッチの配置例3を示す。なお、C、M及びKに対するステップ幅は「5」である。
図14に示すように、制御部11は、Y:100%、K:15%を固定し、C行c列のパッチ(C:70%、M:30%)を基準として、Cの値及びMの値をステップ幅5で変化させた第1のパッチ群61を配置する。
次に、制御部11は、Kの値を変化させ(20%)、Y:100%、K:20%を固定し、C行c列のパッチ(C:70%、M:30%)を基準として、Cの値及びMの値をステップ幅5で変化させた第2のパッチ群62を配置する。
次に、制御部11は、Kの値を変化させ(25%)、Y:100%、K:25%を固定し、C行c列のパッチ(C:70%、M:30%)を基準として、Cの値及びMの値をステップ幅5で変化させた第3のパッチ群63を配置する。
制御部11は、これを繰り返し、N個のパッチ群をチャート60上に配置する(
図14では、N=3)。
【0113】
チャート60を印刷した後、ユーザーは、チャート60に含まれる複数のパッチの中から、目的の色に最も近い色を選択する。
チャート60において、Cについては、1つのパッチ群の縦方向に沿って、色成分が変化している。また、Mについては、1つのパッチ群の横方向に沿って、色成分が変化している。また、Kについては、パッチ群をまたいで縦方向に色成分が変化している。したがって、チャート30内でのC、M、Kそれぞれの色の変化の方向が分かりやすく、目的の色との比較が容易になる。
【0114】
なお、配置例3に代えて、制御部11は、配置例1-2(
図10参照)のように、1枚のチャートの各パッチ群の中に複数種類のステップ幅を持たせ、縦方向及び横方向のそれぞれに沿って、異なるステップ幅でパッチを配置してもよい。
【0115】
[配置例4]
次に、第4の色成分制限チャート作成処理(
図8参照)の具体例について説明する。
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち2つが100%、かつ、Kが0%以外の場合、まずKの色成分を固定して、CMYのうち100%以外の1つの色成分の変化量を2種類のステップ幅で変化させた各パッチを、当該1つの色成分の変化量が一方向に沿って大きいステップ幅で変化し、当該1つの色成分の変化量が一方向と直交する方向に沿って小さいステップ幅で変化するように並べた第1のパッチ群を配置する。次に、制御部11は、Kの色成分を規定のステップ幅で変化させ、当該Kの色成分を固定して、第1のパッチ群と同様の第2のパッチ群を配置する処理を繰り返すことで、複数のパッチ群をチャート上に配置する。
【0116】
図15に、特色に対応する各色成分の初期値が(C:100%、M:40%、Y:100%、K:20%)である場合に、作成されるチャート70上のパッチの配置例4を示す。なお、Mに対するステップ幅は「10」と「2」、Kに対するステップ幅は「5」である。
図15に示すように、制御部11は、C:100%、Y:100%、K:15%を固定し、D行c列のパッチ(M:40%)を基準として、縦方向に沿ってMの値をステップ幅10で大まかに変化させ、横方向に沿ってMの値をステップ幅2で細かく変化させた第1のパッチ群71を配置する。
次に、制御部11は、Kの値を変化させ(20%)、C:100%、Y:100%、K:20%を固定し、D行c列のパッチ(M:40%)を基準として、縦方向に沿ってMの値をステップ幅10で大まかに変化させ、横方向に沿ってMの値をステップ幅2で細かく変化させた第2のパッチ群72を配置する。
次に、制御部11は、Kの値を変化させ(25%)、C:100%、Y:100%、K:25%を固定し、D行c列のパッチ(M:40%)を基準として、縦方向に沿ってMの値をステップ幅10で大まかに変化させ、横方向に沿ってMの値をステップ幅2で細かく変化させた第3のパッチ群73を配置する。
制御部11は、これを繰り返し、N個のパッチ群をチャート70上に配置する(
図15では、N=3)。
【0117】
図15では、各パッチの色の違いを認識できるように、パッチ内にMの値を数値で示しているが、実際のチャートでは、数値を印刷する必要はない。
【0118】
チャート70を印刷した後、ユーザーは、チャート70に含まれる複数のパッチの中から、目的の色に最も近い色を選択する。
チャート70において、Mについては、1つのパッチ群の縦方向、横方向に沿って、異なるステップ幅で色成分が変化している。また、Kについては、パッチ群をまたいで縦方向に色成分が変化している。したがって、色の変化の方向が分かりやすく、目的の色との比較が容易になる。
【0119】
なお、配置例4に代えて、制御部11は、CMYのうち100%以外の1つの色成分の変化量が一方向に沿って変化し、Kの変化量が一方向と直交する方向に沿って変化するように、複数のパッチを配置してもよい。
例えば、特色に対応する各色成分の初期値が(C:100%、M:40%、Y:100%、K:20%)である場合に、CとYを固定して、Mを縦方向に振り、Kを横方向に振ったパッチ配置も可能である。
【0120】
以上説明したように、本実施の形態によれば、制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値に基づいて、調整対象の色成分を決定するので、チャート上に配置される複数のパッチの中から、特色の色味に最も近いパッチを選択する作業における効率化を図ることができる。具体的には、制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値に応じて、チャート印刷時に調整対象とする色成分の数を制限するので、無駄なパッチをなくし、効率良くパッチを配置することができる。
【0121】
例えば、制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち1つが0%、かつ、Kが0%の場合、CMYのうち0%以外の2つの色成分を、調整対象の色成分として決定する。よって、制御部11は、調整対象とする色成分の数を「2」に制限し、選択対象候補となる色(パッチ)を効率良く提示できる。
【0122】
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち2つが0%、かつ、Kが0%の場合、CMYのうち0%以外の1つの色成分を、調整対象の色成分として決定する。よって、制御部11は、調整対象とする色成分の数を「1」に制限し、選択対象候補となる色(パッチ)を効率良く提示できる。
【0123】
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち1つが100%、かつ、Kが0%以外の場合、CMYのうち100%以外の2つの色成分及びKを、調整対象の色成分として決定する。よって、制御部11は、調整対象とする色成分の数を「3」に制限し、選択対象候補となる色(パッチ)を効率良く提示できる。
【0124】
制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち2つが100%、かつ、Kが0%以外の場合、CMYのうち100%以外の1つの色成分及びKを、調整対象の色成分として決定する。よって、制御部11は、調整対象とする色成分の数を「2」に制限し、選択対象候補となる色(パッチ)を効率良く提示できる。
【0125】
また、制御部11は、CMYKのうち色成分が0%に近い所定の値(丸め判定値P)以下の場合、当該所定の値以下の色成分を0%として扱うように制御することで、チャート印刷時に調整対象とする色成分の数を制限することができる。これにより、丸め判定値P以下の色成分については0%とみなして、第1~第4の色成分制限チャート作成処理を行うことができ、目的の色の選択が容易になる。
【0126】
また、折り目加工ユニット25によりチャート上のパッチ同士の間に折り目が付けられた場合、チャートが印刷された用紙を折り目の位置で折ることで、ユーザーが各パッチを印刷見本と比較する際に、印刷見本との比較が容易になる。
【0127】
また、ミシン目加工ユニット26によりチャート上のパッチ同士の間にミシン目が付けられた場合、チャートが印刷された用紙をミシン目の位置で短冊状に切り離すことで、ユーザーが各パッチを印刷見本と比較する際に、印刷見本との比較が容易になる。
【0128】
[変形例]
次に、変形例について説明する。
特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち2つが0%、かつ、Kが0%の場合に、ユーザーが色成分を変化させたい方向を指定可能としてもよい。
PC10の制御部11は、特色に対応する各色成分の初期値において、CMYのうち2つが0%、かつ、Kが0%の場合、CMYのうち0%の色成分のいずれかの指定を受け付け、CMYのうち0%以外の1つの色成分及び指定された色成分を、調整対象の色成分として決定する。
【0129】
具体的には、制御部11は、CMYのうち0%以外の1つの色成分、及び、指定された色成分(CMYのうち0%の色成分のいずれか)の変化量を規定のステップ幅で変化させることで、複数のパッチの色を決定する。制御部11は、CMYのうち0%以外の1つの色成分の変化量が一方向に沿って変化し、指定された色成分の変化量が一方向と直交する方向に沿って変化するように、複数のパッチを配置する。
【0130】
ここでは、特色に対応する各色成分の初期値において、CYKが0%、Mのみが0%以外である場合について説明する。例えば、制御部11は、
図16に示す色成分指定画面132を表示部13に表示させる。色成分指定画面132には、ラジオボタン91~93、OKボタン94、キャンセルボタン95が含まれる。
ラジオボタン91は、マゼンタ以外の他の色成分を混合しない場合に選択される。
ラジオボタン92は、シアンの色成分方向に色を振る場合に選択される。
ラジオボタン93は、イエローの色成分方向に色を振る場合に選択される。
OKボタン94は、色成分指定画面132における選択を確定させるためのボタンである。
キャンセルボタン95は、色成分指定画面132における選択をキャンセルするためのボタンである。
【0131】
制御部11は、色成分指定画面132おいて、色を変化させたい方向の指定を受け付ける。ユーザーは、色成分指定画面132において、色を変化させたい方向を指定する。例えば、ユーザーは、操作部12からの操作により、ラジオボタン92又はラジオボタン93を選択した後、OKボタン94を押下する。
【0132】
制御部11は、Mの変化量が一方向に沿って規定のステップ幅で変化し、指定された色成分(C又はY)の変化量が一方向と直交する方向に沿って規定のステップ幅で変化するように、複数のパッチを配置する。
【0133】
変形例によれば、ユーザーが指定した色成分の方向に色を振って、選択対象候補となる色(パッチ)を効率良く提示できる。
【0134】
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る印刷システムの例であり、これに限定されるものではない。システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0135】
例えば、折り目加工ユニット25は、プリンター20から独立した構成であってもよい。また、折り目加工ユニット25が、チャートが印刷された用紙(印刷媒体)をスキャナー等で読み取り、チャートに含まれる複数のパッチの境界位置を検出した上で、パッチ同士の間に折り目を付けるものであってもよい。
【0136】
同様に、ミシン目加工ユニット26についても、プリンター20から独立した構成であってもよい。また、ミシン目加工ユニット26が、チャートが印刷された用紙(印刷媒体)をスキャナー等で読み取り、チャートに含まれる複数のパッチの境界位置を検出した上で、パッチ同士の間にミシン目を付けるものであってもよい。
【0137】
各処理を実行するためのプログラムを格納するコンピューター読み取り可能な媒体としては、上記の例に限定されず、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0138】
10 PC
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 通信部
15 記憶部
20 プリンター
21 制御部
22 印刷部
23 通信部
24 記憶部
25 折り目加工ユニット
26 ミシン目加工ユニット
30 チャート
40 チャート
50 チャート
60 チャート
61 第1のパッチ群
62 第2のパッチ群
63 第3のパッチ群
70 チャート
71 第1のパッチ群
72 第2のパッチ群
73 第3のパッチ群
100 印刷システム
151 カラーマネジメントアプリケーションプログラム