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特開2024-10037ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010037
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20240116BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240116BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240116BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
C07K16/46
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180386
(22)【出願日】2023-10-19
(62)【分割の表示】P 2022128911の分割
【原出願日】2018-04-13
(31)【優先権主張番号】62/485,246
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518126074
【氏名又は名称】シワ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(72)【発明者】
【氏名】グルバー ルイス エス.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】治療用のヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体を提供する。
【解決手段】終末糖化産物修飾タンパク質又はペプチドに細胞上で結合するヒト化モノクローナル抗体は、重鎖及び軽鎖を含む。抗体は、カルボキシメチルリシン修飾タンパク質又はペプチドと結合する。組成物は、終末糖化産物修飾タンパク質又はペプチドに細胞上で結合するヒト化モノクローナル抗体、及び薬学的に許容される担体を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体であって、
重鎖及び軽鎖を含み、
前記重鎖が、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号5からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列との、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記軽鎖が、配列番号12、配列番号13、配列番号14及び配列番号15からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列との、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記抗体がカルボキシメチルリシン修飾タンパク質又はペプチドに結合する、前記ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体。
【請求項2】
重鎖が、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号5からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含み、
軽鎖が、配列番号12、配列番号13、配列番号14及び配列番号15からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体。
【請求項3】
重鎖可変領域が配列番号4を含み、
軽鎖可変領域が配列番号13を含む、
請求項1に記載のヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体。
【請求項4】
ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体であって、
重鎖可変領域を有する重鎖、及び
軽鎖可変領域を有する軽鎖
を含み、
前記重鎖可変領域が、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列との、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記軽鎖可変領域が、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列との、少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記抗体がカルボキシメチルリシン修飾タンパク質又はペプチドに結合する、前記ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体。
【請求項5】
重鎖可変領域が、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含み、
軽鎖可変領域が、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む、
請求項4に記載のヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体。
【請求項6】
重鎖可変領域が配列番号7を含み、
軽鎖可変領域が配列番号18を含む、
請求項4に記載のヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体。
【請求項7】
CML-オボアルブミンに結合する、請求項1~6のいずれかに記載のヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載のヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体、及び
薬学的に許容される担体
を含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景技術]
終末糖化産物(AGE、advanced glycation end-product;AGE修飾タンパク質、又は最終糖化産物とも呼ばれる)は、糖とタンパク質側鎖との非酵素反応から生じる(AndoK, et al.,Membrane Proteins of Human Erythrocytes Are Modified by AdvancedGlycationEnd Products During Aging in the Circulation, Biochemical andBiophysical
Research Communications, Vol. 258, 123, 125 (1999))。このプロセスは、還元糖と
アミノ基との可逆反応から開始してシッフ塩基を形成し、次いでこれは、共有結合したアマドリ転位産物を形成する。形成されると、アマドリ産物は、さらなる転位を受けてAGEを産生する。
【0002】
AGE修飾タンパク質に細胞上で結合する抗体は、当技術分野において公知である。例としては、Bucalaによる米国特許第5,702,704号明細書及びAl-Abedet al.によ
る米国特許第6,380,165号明細書に記載されている抗体が挙げられる。非ヒト抗AGE抗体もまた市販されている。例えば、R&D Systems, Inc.社(Minneapolis, MN)は、キーホールリンペットヘモシアニンと共役したカルボキシメチルリシンに対して産生するマウス抗AGE抗体を販売している。市販の抗体は、研究又は診断用にデザインされており、動物又はヒトにおけるインビボでの使用に適さない物質を含み得る。このような抗体は、治療抗体ではなく、ヒト対象への投与を意図していない。
【0003】
AGE及びAGE修飾細胞は、糖尿病合併症、炎症、網膜症、腎症、脳卒中、内皮細胞機能障害、及び神経変性障害を含む、いくつかの病態と関連している(Bierhaus A, “AGEs and their interaction withAGE-receptors in vascular diseaseand diabetesmellitus. I. The AGE concept,” CardiovascRes,Vol. 37(3), 586-600 (1998))。AG
Eと種々の病態、疾患及び障害との間の関連性は、AGEを治療標的として同定することに繋がる。AGE修飾細胞を標的化し除去するための療法は、超音波の適用、及びAGEに結合するヒト化抗体を含む、抗体の投与を含む(例えば、国際公開第2009/143411号パンフレット、米国特許出願公開第2013/0243785号明細書及び米国特許出願公開第2016/0215043号明細書を参照)。抗体をベースとした免疫療法は、抗原を発現しない細胞を温存しながら、抗体が結合する抗原を発現する細胞を特異的に標的化し殺傷する、その能力のために特に望ましい。
【0004】
抗体は、2つの重鎖及び2つの軽鎖で構成されるY字型のタンパク質である。Y字型の2つの腕部は、抗体の抗原結合断片(Fab、fragment antigen-binding)領域を形成し、一方、Y字型の底部又は尾部は、抗体の結晶化可能断片(Fc、fragment crystallizable)領域を形成する。抗原結合は、抗原結合断片領域の末端部分(Y字型の腕部の先端
)のパラトープと呼ばれる位置で生じ、これは、一組の相補性決定領域(CDR、complementaritydetermining region又は超可変領域としても知られる)である。相補性決定領
域は、種々の抗体間で異なり、所与の抗原への結合特異性を所与の抗体に付与する。抗体の結晶化可能断片領域は、抗原結合の結果を判定し、例えば、補体カスケードを引き起こすか、又は抗体依存性細胞媒介細胞毒性作用(ADCC、antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity)を開始することにより免疫系と相互作用し得る。
【0005】
治療用モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術を使用してマウスにおいて最初に作製された。マウス及び他の非修飾の非ヒト抗体をヒト対象へ投与することに伴う顕著な問題は、ヒト免疫系が非ヒト抗体を攻撃するリスクである。マウス抗体を受ける多くのヒト患者は、ヒト抗マウス抗体応答(HAMA応答、human anti-mouse antibody response)
と呼ばれるアレルギー反応を生じる。HAMA応答は、発疹のように軽度であるか、又は腎不全のように重篤であり得る。加えて、ヒト免疫系は、マウス抗体を中和することが多く、その半減期を減少させ、対象となる抗原を標的化するその能力を損なう。
【0006】
非ヒト抗体は、非ヒト及びヒト抗体成分の組合せを含むように抗体を改変することによって、ヒトに対して低免疫原性に作製することができる。非ヒト抗体は、所望の標的抗原に対する特異性により選択される。キメラ抗体は、非ヒト抗体の可変領域をヒト定常領域と組み合わせることにより作製することができる。キメラ抗体は、約70%がヒトであり、非修飾の非ヒト抗体よりも低免疫原性である。ヒト化抗体は、ヒト抗体の相補性決定領域(CDR)を非ヒト抗体の相補性決定領域と置換することにより作製することができる。ヒト化抗体は、約95%がヒトであり、より多量のヒト抗体成分を含むため、キメラ抗体よりも低免疫原性である。ヒト化は、周知の科学技術であり(例えば、米国特許第5,693,762号明細書を参照)、カスタム抗体ヒト化サービスが市販されるまでに進歩している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,702,704号明細書
【特許文献2】米国特許第6,380,165号明細書
【特許文献3】国際公開第2009/143411号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2013/0243785号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2016/0215043号明細書
【特許文献6】米国特許第5,693,762号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Ando K, et al., Membrane Proteins of HumanErythrocytes Are Modified by Advanced Glycation EndProducts During Aging inthe Circulation, Biochemicaland Biophysical Research Communications, Vol. 258,123, 125 (1999)
【非特許文献2】Bierhaus A, “AGEs andtheir interaction withAGE-receptors in vasculardisease and diabetes mellitus. I. The AGE concept,”Cardiovasc Res,Vol. 37(3), 586-600 (1998)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本発明は、重鎖及び軽鎖を含む、ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体である。重鎖は、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号5からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列との、少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。軽鎖は、配列番号12、配列番号13、配列番号14及び配列番号15からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列との、少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。抗体は、カルボキシメチルリシン修飾タンパク質又はペプチドと結合する。
【0010】
第2の態様では、本発明は、重鎖可変領域を有する重鎖、及び軽鎖可変領域を有する軽鎖を含む、ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体である。重鎖可変領域は、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列との、少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。軽鎖可変領域は、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20からなる群
から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列との、少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。抗体は、カルボキシメチルリシン修飾タンパク質又はペプチドと結合する。
【0011】
第3の態様では、本発明は、重鎖及び軽鎖を含む、ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体である。重鎖は、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号5からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。軽鎖は、配列番号12、配列番号13、配列番号14及び配列番号15からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。抗体は、カルボキシメチルリシン修飾タンパク質又はペプチドと結合する。
【0012】
第4の態様では、本発明は、重鎖可変領域を有する重鎖、及び軽鎖可変領域を有する軽鎖を含む、ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体である。重鎖可変領域は、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。軽鎖可変領域は、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。抗体は、カルボキシメチルリシン修飾タンパク質又はペプチドと結合する。
【0013】
第5の態様では、本発明は、ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体、及び薬学的に許容される担体を含む組成物である。
【0014】
第6の態様では、本発明は、ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体を含む組成物を対象に投与するステップを含む、AGE又はAGE修飾細胞と関連する病態、疾患又は障害と診断されたヒト対象を治療する方法である。抗体は、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号5からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列との、少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む。抗体は、配列番号12、配列番号13、配列番号14及び配列番号15からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列との、少なくとも90%の配列同一性、好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0015】
定義
用語「ペプチド」は、アミノ酸2~50個からなる分子を意味する。
【0016】
用語「タンパク質」は、50個を超えるアミノ酸からなる分子を意味する。
【0017】
用語「終末糖化産物」、「AGE」、「AGE修飾タンパク質又はペプチド」、「最終糖化産物」及び「AGE抗原」は、糖とタンパク質側鎖との反応の結果として形成され、さらに転位し不可逆的架橋結合を形成する、修飾されたタンパク質又はペプチドを指す。このプロセスは、還元糖とアミノ基と間の可逆反応から開始してシッフ塩基を形成し、次いでこれは、共有結合したアマドリ転位産物を形成する。形成されると、アマドリ産物は、さらなる転位を受けてAGEを産生する。AGE修飾タンパク質、及びAGE修飾タンパク質に対する抗体は、Bucalaによる米国特許第5,702,704号明細書及びAl-Abed et al.による米国特許第6,380,165号明細書に記載されている。AGEを形成するのに必要な転化を受けていない糖化タンパク質又はペプチド、例えば、糖化アルブミンにおいて見出されるN-デオキシフルクトシルリシンは、AGEではない。AGEは、AGE修飾(AGEエピトープ又はAGE部分とも呼ばれる)、例えば、2-(2-フロ
イル)-4(5)-(2-フラニル)-1H-イミダゾール(「FFI」);5-ヒドロキシメチル-1-アルキルピロール-2-カルバルデヒド(「ピラリン(Pyrraline)」
);非蛍光性モデルAGEである1-アルキル-2-ホルミル-3,4-ジグリコシルピロール(「AFGP」);カルボキシメチルリシン;カルボキシエチルリシン;及びペントシジンの存在により同定することができる。別のAGEであるALIは、米国特許第6,380,165号明細書に記載されている。
【0018】
用語「終末糖化産物抗体」、「AGE修飾タンパク質に細胞上で結合する抗体」、「抗AGE抗体」又は「AGE抗体」は、AGE修飾タンパク質又はペプチドに結合する抗体を意味し、ここで、AGEにより修飾されたタンパク質又はペプチドは、通常、細胞表面上に結合して見出されるタンパク質又はペプチドである。「終末糖化産物抗体」、「AGE修飾タンパク質に細胞上で結合する抗体」、「抗AGE抗体」又は「AGE抗体」は、AGE修飾タンパク質又はペプチドとAGE修飾されていない同一のタンパク質又はペプチドの両方に同一の特異性及び選択性で結合する抗体又は他のタンパク質を含まない(即ち、AGE修飾の存在により、結合が増大しない)。アルブミンは、通常、細胞表面上に結合して見出されるタンパク質ではないため、AGE修飾アルブミンは細胞上のAGE修飾タンパク質ではない。「終末糖化産物抗体」、「AGE修飾タンパク質に細胞上で結合する抗体」、「抗AGE抗体」又は「AGE抗体」は、細胞の除去、破壊、又は死滅を生じる抗体のみを含む。また、例えば、毒素、薬物、又は他の化学物質若しくは粒子と共役した抗体を含む。
【0019】
用語「ヒト化抗体」は、ヒト抗体の相補性決定領域(CDR)を非ヒト抗体のCDRと置換しており、抗体可変領域アミノ酸配列が、他の種よりもヒトに近い、遺伝子改変抗体を意味する。
【0020】
用語「変異体」は、1つ又は2つ以上のヌクレオチド、タンパク質又はアミノ酸残基が、欠失、置換又は付加されている、特異的に同定された配列と異なるヌクレオチド、タンパク質又はアミノ酸配列を意味する。変異体は、天然発生の対立遺伝子変異体、又は非天然発生の変異体であり得る。同定された配列の変異体は、同定された配列の機能特性のいくつか又はすべてを保持し得る。
【0021】
用語「パーセント(%)配列同一性」は、必要に応じて、配列をアラインメントしギャップを導入して、最大パーセントの配列同一性を達成した後の、参照ポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である、候補配列のアミノ酸残基の割合として定義し、いかなる保存的置換をも配列同一性の一部として考慮しない。パーセントアミノ酸配列同一性を判定するためのアラインメントは、公的に入手可能なコンピュータソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR社)ソフトウェアを使用して種々の方法で達成することができる。好ましくは、%配列同一性の値は、配列比較コンピュータプログラムであるALIGN-2を使用して生成する。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech, Inc.社(South San Francisco, CA)から公的に入手可能であるか、又は米国著作権局(the U.S. Copyright Office)のユーザ文書に保管されており、米国著作権登録番号
TXU510087に登録されているソースコードからコンパイルすることが可能である。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステム上で
の使用のためにコンパイルすべきである。すべての配列比較パラメータは、ALIGN-2プロ
グラムにより設定し、変更しない。
【0022】
アミノ酸配列比較にALIGN-2を利用する場合では、所与のアミノ酸配列Aの所与のアミ
ノ酸配列Bに対する%配列同一性(或いは、所与のアミノ酸配列Bに対する特定の%アミノ酸配列同一性を有する、又は含む、所与のアミノ酸配列Aとしても表現することができる)は、以下のように算出される:100×分数X/Y(式中、Xは、配列アラインメン
トプログラムALIGN-2により、A及びBのプログラムアラインメントの完全な一致として
点数化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、Bのアミノ酸残基の総数である)。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性に等しくない。他に詳細に述べない限り、本明細書において使用する、すべての%アミノ酸配列同一性の値は、ALIGN-2コンピ
ュータプログラムを使用して得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】市販のマウス抗AGE抗体の抗体結合を表すグラフである。
図2】トランスフェクトしたマウスモノクローナル抗AGE抗体のクロマトグラムである。
図3】トランスフェクトしたマウスモノクローナル抗AGE抗体のゲル電気泳動図である。
図4】酵素結合免疫吸着アッセイにおけるトランスフェクトしたマウスモノクローナル抗AGE抗体のCML-OVAへの結合を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、AGE修飾タンパク質又はペプチドに細胞上で結合する新規のヒト化モノクローナル抗体である。詳細には、抗AGE抗体は、カルボキシメチルリシン修飾タンパク質又はペプチドに細胞上で結合する。抗体は、ヒト対象へのインビボでの投与に適しており、好ましくは、ヒトに対して実質的に非免疫原性である。抗体は、毒素、又は細胞死を誘導するための他の物質と共役していてもよい。抗体はまた、薬学的に許容される担体とともに組成物に含まれ得る。抗体は、同等の市販の非ヒト抗AGE抗体と比較して優れた抗原結合特性を有すると考えられる。
【0025】
ヒト化モノクローナル終末糖化産物抗体は、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号5からなる群から選択されるタンパク質配列を有する重鎖、及び配列番号12、配列番号13、配列番号14及び配列番号15からなる群から選択されるタンパク質配列を有する軽鎖を含む。ヒト化した重鎖の可変ドメインは、配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10からなる群から選択されるタンパク質配列を有し得る。ヒト化した軽鎖の可変ドメインは、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20からなる群から選択されるタンパク質配列を有し得る。
【0026】
抗AGE抗体は、カルボキシメチルリシンAGE修飾を有するタンパク質又はペプチドに結合する。カルボキシメチルリシン(N(イプシロン)-(カルボキシメチル)リシン、N(6)-カルボキシメチルリシン、2-アミノ-6-(カルボキシメチルアミノ)ヘキサン酸及びCMLとしても知られる)は、酸化ストレス及び化学的糖化の結果としてタンパク質又はペプチド及び脂質において見出される。カルボキシメチルリシン修飾タンパク質又はペプチドは、多様な細胞上に発現する受容体のRAGEにより認識される。カルボキシメチルリシンは、十分に研究されており、カルボキシメチルリシン関連製剤が、市販されている。例えば、Cell Biolabs, Inc.社は、CML-BSA抗原、CMLポリクローナル抗体、CML免疫ブロットキット、及びCML競合ELISAキットを販売している(www.cellbiolabs.com/cml-assays)。CMLオボアルブミン(CML-OVA)は、抗体結合の検証に好ましい対照である。
【0027】
抗AGE抗体は、抗体-抗原複合体からの解離速度、即ちk(kback又はオフレートとも呼ばれる)が低く、好ましくは、最大で6×10-3、5×10-3、1×10-3、8×10-4、5×10-4、1×10-4、8×10-5、5×10-5又は1×10-5(秒-1)である。好ましくは、抗AGE抗体の結合特性は、図1に示す、R&D Systems, Inc.社(Minneapolis, MN;カタログ番号MAB3247)から入手可能なマ
ウスのカルボキシメチルリシンモノクローナル抗体(クローン318003)よりも優れている。
【0028】
ヒト化抗体の結合は、例えば、濃度依存的結合ELISA又は細胞をベースとした結合アッセイにより評価することができる。好ましくは、ヒト化抗AGE抗体の結合は、非ヒト抗AGE抗体の結合と等価であるか、又は非ヒト抗AGE抗体の結合よりも優れている。
【0029】
抗AGE抗体は、抗体依存性細胞媒介細胞毒性作用(ADCC)によりAGE修飾細胞を破壊し得る。ADCCは、細胞により媒介される免疫防御機構であり、免疫系のエフェクター細胞が、膜表面の抗原が特異的抗体により結合した標的細胞を活発に溶解する。ADCCは、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好中球又は好酸球により媒介され得る。エフェクター細胞は、結合する抗体のFc部位に結合する。NK細胞、例えば、NK92細胞(NantKwest社、CulverCity, CAから入手可能な細胞株)を、抗AGE
抗体の投与とともに又は後続して投与すると、補体の活性を増強させ、これにより抗AGE抗体の細胞殺傷作用を増強することができる。抗AGE抗体はまた、補体依存性細胞毒性作用(CDC、complement-dependent cytotoxicity)によりAGE修飾細胞を破壊し
得る。CDCでは、免疫系の補体カスケードは、抗体が標的抗原に結合することにより引き起こされる。
【0030】
抗AGE抗体は、AGE修飾細胞の破壊を生じる物質と共役していてもよい。このような物質の例としては、毒素、細胞毒性物質、磁性ナノ粒子及び磁性スピン渦ディスク(magnetic spin-vortex disc)が挙げられる。
【0031】
抗AGE抗体と共役する孔形成毒素(PFT)(Aroian R. et al., “Pore-Forming Toxins andCellular Non-Immune Defenses (CNIDs),” Current Opinionin Microbiology,
10:57-61 (2007))のような毒素を患者に注射して、AGE修飾細胞を選択的に標的化して除去し得る。抗AGE抗体は、AGE修飾細胞を認識して結合する。次いで、毒素は、細胞表面で孔形成を生じ、この後、浸透圧溶解により細胞が除去される。
【0032】
抗AGE抗体と共役する磁性ナノ粒子を患者に注射して、AGE修飾細胞を標的化して除去することができる。磁場を印加することにより磁性ナノ粒子を加熱して、AGE修飾細胞を選択的に除去することができる。
【0033】
或いは、血管を遮断し得る自己凝集を避けるため磁場を印加する場合にのみ磁化される磁性スピン渦ディスクは、磁場を印加すると回転し始め、標的細胞の膜破壊を生じる。抗AGE抗体と共役する磁性スピン渦ディスクは、他の細胞を除去することなく、AGE修飾細胞型を特異的に標的化する。
【0034】
ヒト化モノクローナル抗AGE抗体又はその変異体は、その翻訳後修飾を含む、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5のアミノ酸配列に対する少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する重鎖を含み得る。少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する重鎖は、参照配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含み得るが、その配列を含む抗AGE抗体は、AGEに結合する能力を保持する。置換、挿入、又は欠失は、配列のいかなる部分においても生じ得る。
【0035】
ヒト化モノクローナル抗AGE抗体又はその変異体は、その翻訳後修飾を含む、配列番号7、配列番号8、配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列に対する少なくとも90
%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含み得る。少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する可変領域は、参照配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含み得るが、その配列を含む抗AGE抗体は、AGEに結合する能力を保持する。置換、挿入、又は欠失は、配列のいかなる部分においても生じ得る。
【0036】
ヒト化モノクローナル抗AGE抗体又はその変異体は、その翻訳後修飾を含む、配列番号12、配列番号13、配列番号14又は配列番号15のアミノ酸配列に対する少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する軽鎖を含み得る。少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する軽鎖は、参照配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含み得るが、その配列を含む抗AGE抗体は、AGEに結合する能力を保持する。置換、挿入、又は欠失は、配列のいかなる部分においても生じ得る。
【0037】
ヒト化モノクローナル抗AGE抗体又はその変異体は、その翻訳後修飾を含む、配列番号17、配列番号18、配列番号19又は配列番号20のアミノ酸配列に対する少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含み得る。少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する可変領域は、参照配列と比較して、置換(例えば、保存的置換)、挿入、又は欠失を含み得るが、その配列を含む抗AGE抗体は、AGEに結合する能力を保持する。置換、挿入、又は欠失は、配列のいかなる部分においても生じ得る。
【0038】
抗体断片は、全抗体の代わりに使用し得る。好ましくは、断片は、配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号5からなる群から選択されるタンパク質配列を有する重鎖、並びに配列番号12、配列番号13、配列番号14及び配列番号15からなる群から選択されるタンパク質配列を有する軽鎖で構成される抗体に由来する。抗体は、酵素分解によって、より小さな断片に分解される。パパイン分解により、重鎖間ジスルフィド架橋のN末端側が切断されてFab断片が生成される。Fab断片は、軽鎖と、重鎖の2つのN末端ドメイン(Fd断片としても知られる)のうちの1つとを含む。ペプシン分解により、重鎖間ジスルフィド架橋のC末端側が切断されてF(ab’)断片が生成される。F(ab’)断片は、軽鎖と、ジスルフィド架橋により結合する2つのN末端ドメインとの両方を含む。ペプシン分解により、Fv(可変断片、fragment variable)及びFc(
結晶化可能断片)断片がまた形成され得る。Fv断片は、2つのN末端可変ドメインを含む。Fc断片は、免疫グロブリン受容体と細胞上で、及び補体カスケードの開始要素と相互作用するドメインを含む。ペプシンにより、重鎖の第3の定常ドメイン(C3)の前で免疫グロブリンGがまた切断されて、大きな断片F(abc)及び小さな断片pFc’が生成され得る。或いは、抗体断片は、組換えにより作製することができる。
【0039】
ヒト化抗体配列は、公知の抗体配列と比較して、その有効性を予測することができる。例えば、ヒト化抗体配列は、肉眼及び/又はコンピュータモデリングにより解析して、抗原結合を最も保持する可能性のある配列を同定することができる。ヒト化抗体配列はまた、免疫原性応答の可能性を増加させることがわかっている配列の存在についてスクリーニングすることができる。例えば、MHCクラスII分子の溝においてペプチド配列が提示されることにより、CD8T細胞の活性化及び免疫原性応答が生じる。この応答を減少させるために、T細胞を活性化し得る「T細胞エピトープ」を組み込まないように抗体をデザインして、MHCクラスII分子への結合親和性を減少させることができる。ヒトフレームワーク又はCDR内の残基を、等価なヒト生殖細胞系列に変異させて(生殖細胞系列化
(germlining)として知られるプロセス)潜在的MHC-IIエピトープを除去することができる。
【0040】
抗AGE抗体は、マウスモノクローナル抗AGE抗体をヒト化することにより得ることができる。マウスモノクローナル抗AGE抗体は、配列番号1に示す重鎖タンパク質配列(可変ドメインのタンパク質配列は配列番号6に示す)及び配列番号11に示す軽鎖タンパク質配列(可変ドメインのタンパク質配列は配列番号16に示す)を有する。抗体は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO、Chinese Hamster Ovary)細胞において組換えに
より作製することができる。ヒト化モノクローナル抗体は、合成後に精製することができる。例えば、抗体は、MabSelect SuReProteinA培地(GE Healthcare社)を使用して精
製することができる。
【0041】
ヒト化モノクローナル抗AGE抗体は、薬学的に許容される担体とともに組成物中に含むことができる。「薬学的に許容される担体」は、薬剤投与に適合する、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤等を含む。このような担体又は希釈剤の好ましい例としては、水、食塩水、リンゲル液及びブドウ糖溶液が挙げられる。補足の活性化合物をまた組成物に組み込むことができる。非経口投与に使用する溶液及び懸濁液は、注射用水、食塩溶液、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒のような無菌希釈剤、ベンジルアルコール又はメチルパラベンのような抗菌剤、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤、酢酸、クエン酸又はリン酸のような緩衝液、塩化ナトリウム又はブドウ糖のような浸透圧調整剤を含むことができる。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムのような、酸又は塩基により調整することができる。非経口製剤は、ガラス又はプラスチック製の、アンプル、使い捨て注射器又は多回投与バイアルに封入することができる。
【0042】
注射に適切な医薬組成物は、無菌注射用溶液又は分散液の即時調製のための無菌水溶液又は分散液を含む。注射に適切な抗体の医薬組成物に種々の賦形剤を含むことができる。静脈内投与では、適切な担体は、生理食塩水、静菌水、CREMOPHOR EL(登録商標)(BASF社、Parsippany, NJ)又はリン酸緩衝食塩水(PBS、phosphatebuffered saline)を
含む。すべての場合において、組成物は、無菌でなくてはならず、注射器を使用して投与するために液体であるべきである。このような組成物は、製造及び保存の間、安定であるべきであり、細菌及び真菌のような微生物の混入を避けて保存されなければならない。例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、及びチメロサールのような種々の抗菌及び抗真菌剤を微生物混入に対して含有させることができる。等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、及び塩化ナトリウムを組成物に含むことができる。吸収を遅延させ得る組成物は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような物質を含む。無菌注射用溶液は、必要量の抗体及び他の任意の治療用成分を、適切な溶媒中に、必要に応じて成分の1つ又は組合せとともに組み込むことにより調製し、その後、無菌化することができる。無菌注射用溶液の調製のための無菌固体の調製方法は、真空乾燥及び凍結乾燥して固体を得ることを含む。
【0043】
吸入による投与では、抗体は、適切な噴霧剤、例えば、二酸化炭素のようなガスを含む噴霧器又は加圧容器によるエアロゾルスプレーとして送達することができる。抗体はまた、例えば、iSPERSE(商標)吸入薬物送達プラットフォーム(PULMATRIX社、Lexington, MA)を使用して乾燥粉末として吸入させることにより送達することができる。
【0044】
各タイプの抗体の適切な用量レベルは、一般に、患者体重1kgあたり約0.01~500mgである。用量レベルは、好ましくは約0.1~約250mg/kg、より好ましくは約0.5~約100mg/kgである。適切な用量レベルは、約0.01~250mg/kg、約0.05~100mg/kg、又は約0.1~50mg/kgであり得る。
この範囲内では、用量は、0.05~0.5、0.5~5又は5~50mg/kgであり得る。抗体は、1日1~4回のレジメンに基づいて、例えば、1日1回又は2回投与することができる。抗体は、典型的に、インビボでの半減期が長く、これにより、投与レジメンが1日1回、1週間に1回、2若しくは3週間毎に1回、1カ月に1回、又は60~90日毎に1回に減少し得る。
【0045】
抗AGE抗体の投与を受ける対象は、抗体がAGE修飾細胞を効果的に除去したかどうかを判定するために試験することができる。AGE修飾細胞の存在は、AGE修飾と関連するマーカー、例えば、p16INK4aを測定することにより判定することができる。抗体の投与及び後続の試験は、所望の治療結果を達成するまで反復することができる。
【0046】
単位用量剤形は、投与及び用量均一性を容易にするために作製することができる。単位用量剤形は、治療を受ける対象のための単一用量として適切な物理的に個別の単位を指し、治療有効量の1つ又は2つ以上のタイプの抗体を、必要とされる医薬担体とともに含む。好ましくは、単位用量剤形は、密封された容器に入っており、無菌化されている。
【0047】
AGE又はAGE修飾細胞と関連する病態、疾患又は障害と診断された任意のヒト対象は、本明細書に記載の方法により治療することができる。ヒト化モノクローナル抗AGE抗体により治療され得る病態、疾患又は障害の例としては、アルツハイマー病、筋委縮性側索硬化症(ALS又はルー・ゲーリック病)、慢性閉塞性肺疾患(COPD、chronic obstructive pulmonary disease)、ハンチントン舞踏病、特発性肺線維症、筋ジストロ
フィー(ベッカー型、デュシェンヌ型、肢帯型及びヤマモト型筋ジストロフィーを含む)、黄斑変性症、白内障、糖尿病性網膜症、パーキンソン病、早老症(ウェルナー症候群及びハッチンソン・ギルフォード早老症を含む)、白斑症、嚢胞性線維症、アトピー性皮膚炎、湿疹、関節炎(変形性関節症、関節リウマチ及び若年性関節リウマチを含む)、アテローム性動脈硬化症、がん及び転移性がん(例えば、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、肺がん、メラノーマ、結腸がん、腎細胞癌、前立腺がん、子宮頸がん、膀胱がん、直腸がん、食道がん、肝がん、口腔及び咽喉がん、多発性骨髄腫、卵巣がん、胃がん、膵がん並びに網膜芽細胞腫(retinal blastoma cancer)を含む)、がん治療関連障害又はがん
治療副作用、高血圧症、緑内障、骨粗鬆症、サルコペニア、悪液質、脳卒中、心筋梗塞、心房細動、移植拒絶反応、I型糖尿病、II型糖尿病、放射線被曝、HIV治療副作用、化学兵器被曝、中毒症、炎症、腎症、レビー小体認知症、プリオン病(ウシ海綿状脳症、クロイツフェルト・ヤコブ病、スクレイピー、慢性消耗性疾患、クールー病及び致死性家族性不眠症を含む)、脊椎湾曲症(lordokyphosis)、自己免疫疾患、脂肪組織の減少、乾
癬、クローン病、喘息、加齢による生理作用(しわ、染み、脱毛、皮下脂肪組織の減少、及び皮膚の菲薄化のような「外観的」作用を含む)、特発性ミオパシー(例えば、特発性炎症性ミオパシー、特発性炎症性筋炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、孤発性封入体筋炎、及び若年性筋炎を含む)、多発性硬化症、視神経脊髄炎(NMO、neuromyelitis optica;デビック病又はデビック症候群)、てんかん並びに副腎白質ジストロフィー(ALD、adrenoleukodystrophy;X連鎖副腎白質ジストロフィー、X-ALD、大脳ALD又はcALD)が挙げられる。
【0048】
特に好ましい治療群は、AGE又はAGE修飾細胞と関連する病態、疾患又は障害と診断されたが、従来の治療を受けることができない対象を含む。例えば、転移性がんは、AGE修飾細胞と関連する病態として認識されている。転移性がんを有する患者は、他の診断、健康状態又は合併症のため、手術、放射線療法又は化学療法のようながん治療を受けることができないことがある。例えば、妊娠中の女性は、胎児を害するリスクがあるため放射線療法を受けることができない。高齢の又は衰弱した患者、例えば、がん性悪液質を経験している患者は、侵襲的方法に耐えることが不可能であるリスクがあるため、手術に適切な候補であるとは言えない。免疫系不全又は慢性感染症を既に有する患者は、多くの
化学療法薬が免疫系を害するため、化学療法を受けることが可能であるとは言えない。
【0049】
抗AGE抗体は、細胞分離プロセス、例えば、磁気細胞分離において使用することができる。磁気細胞分離では、抗AGE抗体は、コーティングと呼ばれるプロセスにより磁気ビーズに結合させる。次いで、コーティングされた磁気ビーズは、AGE修飾細胞に特異的に結合させることができる。次いで、磁気ビーズ上でコーティングされた抗AGE抗体に結合したAGE修飾細胞は、印加した磁場に応答し、AGE修飾細胞が非AGE修飾細胞から分離することが可能となる。磁気細胞分離は、AGE修飾細胞を組織試料及び液体試料から単離するために使用することができる。磁気ビーズは、マイクロビーズ(0.5~500μm)又はナノ粒子(5~500nm)であり得る。磁気ビーズ上でコーティングされた抗AGE抗体はまた、イムノアッセイ及び免疫沈降法のような単離プロセスにおいて使用することができる。同様に、磁気ビーズ上でコーティングされた抗AGE抗体は、AGE修飾タンパク質又はペプチドを特異的に標的化して組織試料及び液体試料から分離するために使用することができる。
【0050】
抗AGE抗体は、細胞精製プロセス、例えば、イムノパニング(immunopanning)及び
免疫吸着法において使用することができる。精製プロセスは、所望の又は不必要な細胞の組織培養物、細胞培養物又は血液からの単離において有用である。細胞精製は、移植、例えば、骨髄移植、又は輸注、例えば、輸血において使用することができる。細胞精製は、自家幹細胞移植において、化学療法の間、転移性悪性細胞を除去し有益な幹細胞を濃縮するのに特に有用である。抗AGE抗体を使用したイムノパニング又は免疫吸着法により、AGE修飾細胞を組織培養物、細胞培養物又は血液試料から単離することができる。
【0051】
配列番号1に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
MGWTLVFLFLLSVTAGVHSQVQLLQPGAELVKPGASVKLACKASGYLFTTYWMHWLKQRPGQGLEWIGEISPTNGRAYYNARFKSEATLTVDKSSNTAYMQLSSLTSEASAVYYCARSFGNYEFAYWGQGTLVTVSVASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
である。
【0052】
配列番号2に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
MGWTLVFLFLLSVTAGVHSEVQLLESGAEAKKPGASVKLSCKASGYLFTTYWMHWVHQAPGQRLEWMGEISPTNGRAYYNARFKSRVTITVDKSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSFGNYEFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
である。
【0053】
配列番号3に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
MGWTLVFLFLLSVTAGVHSQVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYLFTTYWMHWVRQAPGQRLEWIGEISPTNGRAYYNARFKSRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSFGNYEFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
である。
【0054】
配列番号4に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
MGWTLVFLFLLSVTAGVHSQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYLFTTYWMHWVRQAPGQGLEWMGEISPTNGRAYYNARFKSRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSFGNYEFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
である。
【0055】
配列番号5に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
MGWTLVFLFLLSVTAGVHSQVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCEASGYLFTTYWMHWVRQAPGQGLEWMGEISPTNGRAYYNARFKSRVTITRDTSINTAYMELSRLRSDDTAVYYCARSFGNYEFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
である。
【0056】
配列番号6に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
QVQLLQPGAELVKPGASVKLACKASGYLFTTYWMHWLKQRPGQGLEWIGEISPTNGRAYYNARFKSEATLTVDKSSNTAYMQLSSLTSEASAVYYCARSFGNYEFAYWGQGTLVTVSV
である。
【0057】
配列番号7に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
EVQLLESGAEAKKPGASVKLSCKASGYLFTTYWMHWVHQAPGQRLEWMGEISPTNGRAYYNARFKSRVTITVDKSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSFGNYEFAYWGQGTLVTVSS
である。
【0058】
配列番号8に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYLFTTYWMHWVRQAPGQRLEWIGEISPTNGRAYYNARFKSRVTITRDTSASTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSFGNYEFAYWGQGTLVTVSS
である。
【0059】
配列番号9に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYLFTTYWMHWVRQAPGQGLEWMGEISPTNGRAYYNARFKSRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSFGNYEFAYWGQGTLVTVSS
である。
【0060】
配列番号10に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCEASGYLFTTYWMHWVRQAPGQGLEWMGEISPTNGRAYYNARFKSRVTITRDTSINTAYMELSRLRSDDTAVYYCARSFGNYEFAYWGQGTLVTVSS
である。
【0061】
配列番号11に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
MVSSAQFLGLLLLCFQGTRCDVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSRQSLVNSNGNTFLQWYLQKPGQSPKLLIYKVSLRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGLYFCSQSTHVPPTFGGGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
である。
【0062】
配列番号12に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
MVSSAQFLGLLLLCFQGTRCDIVMTQTPLSLPVTLGQPASISCRSRQSLVNSNGNTFLQWLQQRPGQPPRLLIYKVSLRFSGVPDRFSGSGAGTDFTLTISRVEAEDVGIYFCSQSTHVPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
である。
【0063】
配列番号13に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
MVSSAQFLGLLLLCFQGTRCDIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCRSRQSLVNSNGNTFLQWYLQKPGQSPQLLIYKVSLRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEPEDVGVYYCSQSTHVPPTFGGGTKVEVKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
である。
【0064】
配列番号14に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
MVSSAQFLGLLLLCFQGTRCDVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSRQSLVNSNGNTFLQWFQQRPGQSPRRLIYKVSLRFSGVPDRFSGSGSDTDFTLRISRVEAEDVGLYYCSQSTHVPPTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
である。
【0065】
配列番号15に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
MVSSAQFLGLLLLCFQGTRCDIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCRSRQSLVNSNGNTFLQWLLQKPGQPPQLLIYKVSLRFSGVPNRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGLYYCSQSTHVPPTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
である。
【0066】
配列番号16に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
DVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSRQSLVNSNGNTFLQWYLQKPGQSPKLLIYKVSLRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGLYFCSQSTHVPPTFGGGTKLEIK
である。
【0067】
配列番号17に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
DIVMTQTPLSLPVTLGQPASISCRSRQSLVNSNGNTFLQWLQQRPGQPPRLLIYKVSLRFSGVPDRFSGSGAGTDFTLTISRVEAEDVGIYFCSQSTHVPPTFGQGTKVEIK
である。
【0068】
配列番号18に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
DIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCRSRQSLVNSNGNTFLQWYLQKPGQSPQLLIYKVSLRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEPEDVGVYYCSQSTHVPPTFGGGTKVEVK
である。
【0069】
配列番号19に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
DVVMTQSPLSLPVTLGQPASISCRSRQSLVNSNGNTFLQWFQQRPGQSPRRLIYKVSLRFSGVPDRFSGSGSDTDFTLRISRVEAEDVGLYYCSQSTHVPPTFGQGTKLEIK
である。
【0070】
配列番号20に対応する1文字表記のアミノ酸配列は、
DIVMTQTPLSLSVTPGQPASISCRSRQSLVNSNGNTFLQWLLQKPGQPPQLLIYKVSLRFSGVPNRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGLYYCSQSTHVPPTFGGGTKVEIK
である。
[実施例]
【実施例0071】
市販の抗AGE抗体の親和性及び動態
市販のマウス抗終末糖化産物抗体の親和性及び動態を試験した。キーホールリンペットヘモシアニン(クローン318003)と共役したカルボキシメチルリシンに対して産生した抗AGE抗体を入手した(R&D Systems, Inc.社、Minneapolis, MN;カタログ番号MAB3247)。Nα,Nα-ビス(カルボキシメチル)-L-リシントリフルオロアセテート塩(Sigma-Aldrich社、St. Louis, MO)を細胞のAGE修飾タンパク質のモデル基質として使用した。非標識相互作用解析をBIACORE(商標)T200(GEHealthcare社、Pittsburgh, PA)上で、SeriesSセンサーチップCM5(GE Healthcare社、Pittsburgh, PA)を使用し、ブランクとして設定したFc1、及び試験抗体で固定したFc2を用いて行った(分子量150,000Da)。泳動緩衝液は、温度25℃のHBS-EP緩衝液(10mMのHEPES、150mMのNaCl、3mMのEDTA及び0.05%のP-20、pH7.4)であった。ソフトウェアは、BIACORE(商標)T200評価ソフトウェア、バ
ージョン2.0であった。二重対照(Fc2-1及び緩衝液のみの注射)を解析において使用し、データをラングミュア1:1結合モデルにフィッティングさせた。
【0072】
【表1】
【0073】
図1は、時間に対する抗体応答のグラフを表す。次の値は、解析により決定された:ka(1/Ms)=1.857×103、kd(1/秒)=6.781×10-3、KD(M)=3.651×10-6、Rmax(RU)=19.52及び
カイ2=0.114。フィッティングのカイ値がRmaxの10%未満であるため、適合度は
信頼できる。
【実施例0074】
マウスモノクローナル抗AGE抗体の一過性発現
マウスモノクローナル抗AGE抗体をチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞においてトランスフェクトして、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA、enzyme-linked immunosorbent assay)及び表面プラズモン共鳴(SPR、surface plasmon resonance)解析による評価のために十分な量の抗体を発現させ、精製した。抗体のアミノ酸配列をコードするDNAを合成した。このDNAを哺乳動物一過性発現プラスミドpD2610-v13(DNA2.0社)にクローニングした。
【0075】
懸濁液に適応させたCHO細胞(Thermo Fisher社、英国)2.0~3.0×10
胞/mLを、通気孔付きの500mLエルレンマイヤーフラスコ(Corning社、オランダ
)において8mMのL-グルタミン(Thermo Fisher社、英国)及び10mL/Lのヒポ
キサンチン/チミジン(Thermo Fisher社、英国)を添加したProCHO-4無血清培地(Lonza
社、ベルギー)中に135rpm、8%CO、37℃で培養した。マキシプレップの構築物をPureLink(登録商標)HiPureプラスミドフィルターマキシプレップキット(ThermoFisher社、英国)を使用して調製した。ベクターDNAをNanoDrop Lite分光光度計を使
用して定量した。
【0076】
最終密度1.0×10細胞/mLの細胞500mLに1.25μg/mLのベクターDNAを一過性にトランスフェクトし、通気孔付きの500mLエルレンマイヤーフラスコ(Corning社、オランダ)において8mMのL-グルタミン(Invitrogen社、英国)及
び10mL/Lのヒポキサンチン/チミジン(Invitrogen社、英国)を添加したProCHO-5無血清培地(Lonza社、ベルギー)中で培養した。培養物を37℃、8%CO及び13
5rpmで8日間インキュベートし、7.5%(v/v)のPower Feed A(Sartorius社
、独国)を2~3日毎に日常的に与え、その後、4000rpm、4℃で40分間の遠心分離により回収した。トランスフェクションによって抗体612mLを作製した。
【0077】
AKTAクロマトグラフィー装置(GE Healthcare社)を室温(19℃)で使用して抗体精
製を行った。遠心分離の後、洗浄緩衝液で平衡化した1mLのHiTrap Protein Aカラムを備えたAKTAシステムに、濾過した(0.22μm)細胞培養上清を適用した。ロードした後、20カラム容量の洗浄緩衝液でカラムを洗浄した。結合した抗体を10カラム容量の溶出緩衝液で段階溶出した。図2は、280nmでの抗体のクロマトグラムを表す。すべての溶出画分をpH9.0のトリス緩衝液で中和した。溶出ピークに対応する溶出画分を選択して、PBS中4℃で一晩透析した。
【0078】
ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を使用して抗体の純度を評価した。抗体は、95%超純粋であることがわかった。図3は、抗体のゲル電気泳動図を表す。還元条件下では、抗体の重鎖及び軽鎖の両方が肉眼で確認でき、予想分子量の約50及び25kDaのそれぞれにおいて観察された。非還元条件下では、単一の主バンドが観察された。いかなる追加の主バンドも存在しないことから、抗体凝集物が存在しないことを示す。
【0079】
精製した抗体濃縮物を分光光度法により評価した。NanoDrop Lite 分光光度計を用いて、A280におけるIgGの標準的基準として吸光係数205,500M-1・cm-1(又は1.0mg/mL=1.37のA280[MW=150,000Daと仮定する])を使用し、製造
者の指示に従って抗体を定量した。0.6mg/mLの濃度のトランスフェクトしたマウス抗体600mLを2.3mLまで精製して総収率1.4mgの抗体とした。
【0080】
トランスフェクトした抗体の結合をELISAにより評価した。CML-OVA/Nε-(カルボキシメチル)リシン-OVA(Circulex社、日本、カタログ番号CY-R2053)100ng/ウェルを96ウェルMaxiSorp(登録商標)プレート上のコーティング緩衝液(0.05MのNaCOを追加することによりpH9.5とした0.05MのNaHCO)中に4℃で一晩固定した。コーティング緩衝液を除去し、プレートをPBS Tween(PBS-T)(0.1%(v/v)のTween 20)で3回洗浄した。PBS中3%
(w/v)のスキムミルク1ウェルあたり200μLを各ウェルに追加し、室温で2時間撹拌した。次いで、プレートをPBS-Tで3回洗浄した。
【0081】
抗体を1,000ng/mLから0.488ng/mLまでインキュベーション緩衝液(PBS、1%(w/v)のBSA)中に希釈した。希釈した抗体1ウェルあたり100μLをプレートに3ウェルずつ追加し、室温で2時間撹拌した。
【0082】
ウェルをPBS-Tで3回洗浄した。洗浄後、インキュベーション緩衝液中1:5,000で希釈したヤギ抗マウスHRP(Fc特異的)(Bio Rad社、カタログ番号0300
-0108P)1ウェルあたり100μLをすべてのウェルに追加し、プレートを室温で1時間撹拌した。ウェルをPBS-Tで3回洗浄した。洗浄後、TMB基質100μLを各ウェルに追加し、37℃で10分間インキュベートした。1MのHClを50μL各ウェルに追加し、プレートをTecan Sunriseプレートリーダーにおいて450nmで直ちに
読み取った。図4は、CML-OVAへの抗体結合についてのELISAを表す。グラフに示す値は、3回の読み取りの平均値である。
【0083】
ELISAの結果は、トランスフェクトした抗体が、公知のAGE修飾タンパク質であるCML-OVAタンパク質を認識して結合することを示す。結果は、抗体配列が正しく、抗体が活性であることを確証する。同様の結果が、このようなマウス抗体の相補性決定領域を含むヒト化モノクローナル抗AGE抗体についても予想される。
【実施例0084】
ヒト化抗体の作製
マウス抗AGE抗体を配列決定した。重鎖のアミノ酸配列を配列番号1に示し、軽鎖のアミノ酸配列を配列番号11に示す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインのアミノ酸配列を配列番号6及び配列番号16にそれぞれ示す。
【0085】
マウス重鎖のCDR残基をIMGT及びKabat番号付けシステムを使用して同定した。マウ
ス重鎖可変領域に最も近いヒト生殖細胞系列遺伝子V領域を決定した。ヒトIgG配列のオンラインデータベースを検索し、BLAST検索アルゴリズムを使用してマウス重鎖可変ド
メインと比較し、ヒト可変ドメインの候補をBLASTの結果のトップ200から選択した。
これらは、フレームワーク相同性、キーフレームワーク残基の維持、及び標準的なループ構造の組合せに基づいて4候補にまで絞られた。
【0086】
マウス重鎖可変ドメインのCDRを4つのアクセプターフレームワーク内に移植して、4つのヒト化重鎖可変ドメイン変異体を作製した。4つのヒト化重鎖可変ドメインのアミノ酸配列を配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10に示す。ヒト化重鎖可変ドメインの相同性をマウス重鎖可変ドメインと比較した。相同性比較の結果を以下の表2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】
相同性の順に、配列番号7が、マウス重鎖可変ドメインと最も類似しており、続いて、配列番号9、配列番号8及び配列番号10が類似していた。
【0089】
マウス軽鎖のCDR残基をIMGT及びKabat番号付けシステムを使用して同定した。マウ
ス軽鎖可変領域に最も近いヒト生殖細胞系列遺伝子V領域を決定した。ヒトIgK配列のオンラインデータベースを検索し、BLAST検索アルゴリズムを使用してマウス軽鎖可変ド
メインと比較し、ヒト可変ドメインの候補をBLASTの結果のトップ200から選択した。
これらは、フレームワーク相同性、キーフレームワーク残基の維持、及び限界ループ構造の組合せに基づいて4候補にまで絞られた。
【0090】
マウス軽鎖可変ドメインのCDRを4つのアクセプターフレームワーク内に移植して、4つのヒト化軽鎖可変ドメイン変異体を作製した。4つのヒト化軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20に示す。ヒト化軽鎖可変ドメインの相同性をマウス軽鎖可変ドメインと比較した。相同性比較の結果を以下の表3に示す。
【0091】
【表3】
【0092】
相同性の順に、配列番号18が、マウス軽鎖可変ドメインと最も類似しており、続いて、配列番号20、配列番号19及び配列番号17が類似していた。
【0093】
ヒト化重鎖及び軽鎖可変ドメイン変異体を調べて、これらがヒト化されているかどうかを世界保健機関(WHO、theWorld Health Organization)のヒト化抗体の定義に従っ
て判定した。WHOは、可変領域アミノ酸配列が他の種よりもヒトに近い場合、抗体がヒト化されているとしている。配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20を、Immunogenetics Information System(登録商標)(IMGT(登録商標))DomainGapAlignツールを使用して評価した
(Ehrenmann F. et al., “IMGT/3Dstructure-DB and IMGT/DomainGapAlign: a databaseand atool for immunoglobulins or antibodies, T cell receptors, MHC, IgSF and MhcSF”, Nucleic Acids Research, Vol. 38, D301-307)。すべてのヒト化可変ドメイン
は、マウスよりもヒトに近かった。したがって、すべてのヒト化可変ドメインは、WHOのヒト化抗体の定義を満たす。
【0094】
マウス抗体の重鎖及び軽鎖可変ドメイン、並びに8つのヒト化重鎖及び軽鎖変異体配列をMHCII結合ペプチドについてスクリーニングして、ヒト化プロセスにより高親和性を有するペプチド配列が除去されたかどうかを、インシリコアルゴリズムを使用して判定した。ヒト重鎖生殖細胞系列配列IGHV1-46及びIGHV1-3並びにヒト軽鎖生殖細胞系列配列IGKV2-30及びIGKV2-29をまた解析して比較した。世界人口の99%超の典型であり、MHCクラスIIエピトープの予測に使用される標準的な対立遺
伝子のセットである、次の8つの対立遺伝子について配列をスクリーニングした:DRB1*01:01;DRB1*03:01;DRB1*04:01;DRB1*07:01;DRB1*08:02;DRB1*11:01;DRB1*13:02;DRB1*15:01。
【0095】
マウス重鎖可変ドメインは、2つの高親和性T細胞エピトープコア(IC50<50nM)を有する。ヒト生殖細胞系列配列IGHV1-46並びに配列番号7、配列番号9及び配列番号10は、1つの潜在的T細胞エピトープをそれぞれ有した。ヒト生殖細胞系列配列IGHV1-3及び配列番号8は、2つの潜在的T細胞エピトープをそれぞれ有した。ヒト生殖細胞系列配列が免疫原性である可能性が低いため、潜在的T細胞エピトープは、MHCクラスIIエピトープソフトウェアの過剰予測であり得る。潜在的T細胞エピトープは、むしろ制御性T細胞エピトープである可能性があり、これは配列に有益である。
【0096】
マウス軽鎖可変ドメイン並びに配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20は、2つの高親和性T細胞エピトープコア(IC50<50nM)及び1つの潜在的T細胞エピトープをそれぞれ有した。ヒト生殖細胞系列配列IGKV2-30は、潜在的T細胞エピトープを有しなかった。ヒト生殖細胞系列配列IGKV2-29は、2つの潜在的T細胞エピトープを有した。重鎖可変配列においてと同様に、潜在的T細胞エピトープは、MHCクラスIIエピトープソフトウェアの過剰予測であり得、むしろ有益な制御性T細胞エピトープである可能性がある。
【0097】
マウス及びヒト化抗体の翻訳後修飾を試験した。N結合型グリコシル化モチーフNXS/T(Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、可変ドメインのいずれにも存在しなかった。配列をまた、アスパラギンをアスパラギン酸へ脱アミド化する傾向があり得る、アミノ酸モチーフSNG、ENN、LNG及びLNNの存在について解析した。モチーフSNGは、すべての軽鎖のCDR1に存在した。このモチーフは潜在的に免疫原性であるが、CDRにのみ生じるため、置換は行わなかった。
【0098】
マウス重鎖及び軽鎖シグナルペプチドを同定した。このようなシグナルペプチドは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において高レベルの発現を生じ得る。重鎖シグナルペプチドは、マウス重鎖(配列番号1)及び4つのヒト化重鎖(配列番号2、配列番号3、配列番号4及び配列番号5)に含まれる。軽鎖シグナルペプチドは、マウス軽鎖(配列番号11)及び4つのヒト化軽鎖(配列番号12、配列番号13、配列番号14及び配列番号15)に含まれる。
【0099】
可変ドメイン結合部位の構造は、I-Tasserをベースとしたタンパク質構造予測ソフトウェアであるDNASTAR NovaFoldを使用してモデル化した。NovaFoldでは、I-Tasserアルゴリズムを利用し、これは、スレッディング(threading)及びab initioのフォールディング技術を組み合わせて、それまで未知の構造を有するタンパク質の正確なフル3D原子モデルを構築する。タンパク質構造の解析により、重鎖及び軽鎖可変ドメインの組合せである配列番号7-配列番号17、配列番号7-配列番号18、配列番号8-配列番号20及び配列番号9-配列番号18が、マウス重鎖及び軽鎖可変ドメインの組合せである配列番号5-配列番号16と最も近い構造を有すると考えられることが示された。概して、配列番号18に示す配列を有する軽鎖可変ドメインを含むヒト化変異体は、他の軽鎖可変ドメインを含むヒト化変異体よりも好ましい構造を有した。同様に、配列番号7に示す配列を有する重鎖可変ドメインを含むヒト化変異体は、他の重鎖可変ドメインを含むヒト化変異体よりも好ましい構造を有した。
【実施例0100】
(仮想例):将来の抗体試験
各重鎖可変ドメイン(配列番号7、配列番号8、配列番号9及び配列番号10)は、ヒトIgG1アイソタイプ定常ドメイン配列を用いてインフレームで合成する。重鎖配列全体は、コドンを最適化し(DNA2.0社、米国)、DNA配列を検証する。IgG1定常ドメイン(アロタイプG1m17,1)のアミノ酸配列を以下に示す。
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0101】
各軽鎖可変ドメイン(配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20)は、ヒトIgKアイソタイプ定常ドメイン配列を用いてインフレームで合成する。軽鎖配列全体は、コドンを最適化し(DNA2.0社、米国)、DNA配列を検証する。IgK定常ドメイン(アロタイプKm3)のアミノ酸配列を以下に示す。
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0102】
各変異鎖は、DNA配列決定解析により検証する。次いで、各ヒト化抗体の一過性トランスフェクション及び発現を行う。ある1つのキメラ抗体を発現させて陽性対照として使用し、マウス可変ドメイン及びヒトIg定常ドメインを含有させる。以下の表4に示すように、ヒト化重鎖及び軽鎖可変ドメイン並びにヒトIg定常ドメインを含む16種のヒト化変異体を発現させる。
【0103】
【表4】
【実施例0104】
(仮想例):サルコペニアの治療
高齢患者をサルコペニアと診断する。配列番号2と99%の配列同一性を有する重鎖、及び配列番号12と99%の配列同一性を有する軽鎖を有するヒト化モノクローナル抗AGE抗体を女性に投与する。抗体を5mg/kgの用量で1週間に1回、静脈内に投与する。抗体は、細胞表面に終末糖化産物、例えば、老化細胞を発現する細胞を特異的に標的化して殺傷する。抗体投与の前後に患者のp16INK4aレベルを測定することにより治療の有効性を判定する。患者は、抗体に対する免疫応答を生じない。筋肉量の増加から明らかとなるように、患者のサルコペニアは改善する。
【実施例0105】
(仮想例):変形性関節症の治療
患者を変形性関節症と診断する。薬学的に許容される担体、並びに配列番号7と98%の配列同一性を有する重鎖可変配列、及び配列番号18と98%の配列同一性を有する軽
鎖可変領域を有する、ヒト化モノクローナル抗AGE抗体を含む組成物を男性に投与する。抗体を10mg/kgの用量で1日1回、経口的に投与する。抗体は、細胞表面に終末糖化産物、例えば、老化軟骨細胞を発現する細胞を特異的に標的化して殺傷する。組成物投与の前後に患者のp16INK4aレベルを測定することにより治療の有効性を判定する。患者は、抗体を含む組成物に対する免疫応答を生じない。関節痛の減少から明らかとなるように、患者の変形性関節症は改善する。
【0106】
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図1
図2
図3
図4
【配列表】
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