(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100380
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】収納ボックス、および、車両
(51)【国際特許分類】
B62J 9/30 20200101AFI20240719BHJP
E05B 83/00 20140101ALI20240719BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240719BHJP
B62J 9/23 20200101ALI20240719BHJP
B62J 9/27 20200101ALI20240719BHJP
【FI】
B62J9/30
E05B83/00 H
E05B49/00 J
B62J9/23
B62J9/27
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004340
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中林 俊一
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250DD02
2E250FF36
2E250HH07
2E250JJ42
(57)【要約】
【課題】アクチュエータを用いてボックス本体部とボックス蓋部との開閉を規制するスマートロック機構を、収納ボックスにコンパクトに配置する。
【解決手段】収納ボックスは、車体に取り付け可能なボックス本体部と、ボックス本体部に開閉可能に支持されたボックス蓋部と、を備える収納ボックスにおいて、ボックス本体部とボックス蓋部との解錠の規制および解錠の規制の解除を切り替え可能なスマートロック機構を備え、スマートロック機構は、ボックス蓋部の解錠を規制する規制構造体と、規制構造体を動作させるアクチュエータと、を有し、スマートロック機構は、平面視において、ボックス本体部の外周壁部の内側で、前後方向における一方向側に位置している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付け可能なボックス本体部(60)と、前記ボックス本体部(60)に開閉可能に支持されたボックス蓋部(51)と、を備える収納ボックス(40)において、
前記ボックス本体部(60)と前記ボックス蓋部(51)との解錠の規制および解錠の規制の解除を切り替え可能なスマートロック機構(70c)を備え、
前記スマートロック機構(70c)は、前記ボックス蓋部(51)の解錠を規制する規制構造体(70b)と、前記規制構造体(70b)を動作させるアクチュエータ(71)と、を有し、
前記スマートロック機構(70c)は、平面視において、前記ボックス本体部(60)の外周壁部(65)の内側で、前後方向における一方向側に位置している、
収納ボックス。
【請求項2】
前記規制構造体(70b)は、前記ボックス蓋部(51)の解錠を規制する規制位置(P1)と解錠の規制を解除する非規制位置(P2)との間を移動可能に支持された規制部材(75)と、前記アクチュエータ(71)に連動し前記規制部材(75)に前記アクチュエータ(71)の動作を伝達する伝達部材(73)と、を有し、
前記規制部材(75)と前記伝達部材(73)とは、鉛直方向に平行な同一平面に沿って設けられ、平面視で互いに重なる、
請求項1に記載の収納ボックス。
【請求項3】
前記アクチュエータ(71)を収容するケース(45)を有し、
前記ボックス本体部(60)は、ベース部材(41)を介して、前記車体に取り付けられ、
前記ケース(45)は、前記ベース部材(41)が前記車体に取り付けられた状態において、前記ベース部材(41)に対して着脱可能である、
請求項1に記載の収納ボックス。
【請求項4】
前記ボックス本体部(60)と前記ボックス蓋部(51)との施錠および解錠を切り替える操作部(77)を有し、
前記操作部(77)と前記規制部材(75)とは、平面視で重なる、
請求項2に記載の収納ボックス。
【請求項5】
前記規制部材(75)は、回転軸部(74)を軸として前記規制位置(P1)と前記非規制位置(P2)との間を回動可能に支持され、前記規制位置(P1)に移動して前記操作部(77)の動作を規制することにより前記ボックス蓋部(51)の解錠を規制する、
請求項4に記載の収納ボックス。
【請求項6】
前記ボックス本体部(60)は、前記外周壁部(65)の下端に設けられた底面(63)を備え、
前記規制部材(75)は、前記非規制位置(P2)にあるときに前記底面(63)よりも下方に突出し、
前記規制位置(P1)は、前記非規制位置(P2)よりも上方であり、
前記ボックス本体部(60)は、前記非規制位置(P2)にあるときの前記規制部材(75)よりも下方まで延びる凸壁部(70a2)を有する、
請求項5に記載の収納ボックス。
【請求項7】
前記伝達部材(73)は、前記回転軸部(74)に沿って延びる第2回転軸部(72)を軸に回動可能であり、
前記回転軸部(74)と、前記第2回転軸部(72)とは、平面視で重なる、
請求項5に記載の収納ボックス。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の収納ボックス(40)を備える、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納ボックス、および、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ベース部材内に配置されるアクチュエータの動作によって施錠および解錠される、鞍乗り型車両用の収納ボックスユニットを開示する。この収納ボックスユニットは、アクチュエータによって進退するロッドと、ロッドに接続されたスライド部材とを有し、スライド部材に形成された突起により従動レバーが揺動することにで、解錠される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の収納ボックスユニットでは、ベース部材内において、上述のアクチュエータ、ロッド、スライド部材、および、スライド部材に形成される突起などの多数の構造物が前後方向に亘って配置される。このため、アクチュエータによる施錠のための構造をコンパクトに配置できないという課題があった。
本発明は上述した事情を鑑みてなされたものであり、アクチュエータを用いてボックス本体部とボックス蓋部との開閉を規制するスマートロック機構を、収納ボックスにコンパクトに配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
収納ボックスは、車体に取り付け可能なボックス本体部と、前記ボックス本体部に開閉可能に支持されたボックス蓋部と、を備える収納ボックスにおいて、前記ボックス本体部と前記ボックス蓋部との解錠の規制および解錠の規制の解除を切り替え可能なスマートロック機構を備え、前記スマートロック機構は、前記ボックス蓋部の解錠を規制する規制構造体と、前記規制構造体を動作させるアクチュエータと、を有し、前記スマートロック機構は、平面視において、前記ボックス本体部の外周壁部の内側で、前後方向における一方向側に位置している。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、アクチュエータを用いてボックス本体部とボックス蓋部との開閉を規制するスマートロック機構を、収納ボックスにコンパクトに配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】実施の形態におけるボックス本体部の斜視図。
【
図5】実施の形態におけるベース部材およびケースの分解斜視図。
【
図6】アクチュエータに通電されていないときにおける
図4のVI-VI断面視図。
【
図7】アクチュエータに通電されているときにおける
図4のVI-VI断面視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
本実の施形態において、鞍乗り型車両10は、ID(Identification)認証を行うスマートユニット30を備えている。スマートユニット30は、シート17の下方に取り付けられており、コントローラ31と、通信装置33と、電源装置35と、を有している。なお、スマートユニット30は、シート17の下方ではなく、鞍乗り型車両10のレッグシールドに設けられていてもよい。
【0016】
コントローラ31は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサ、および、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリを有する。コントローラ31は、メモリから読みだしたプログラムを実行することにより、鞍乗り型車両10の各部を制御する。通信装置33は、所定の通信規格の無線通信回路を有しており、コントローラ31の制御に従って外部の通信端末Pと通信接続する装置である。本実施の形態において、通信端末Pはスマートキーであり、通信端末Pと通信装置33とが所定の距離よりも近付くと通信接続しコントローラ31によりID認証が実行される。すなわち、コントローラ31は、通信端末Pが記憶するキー側IDコードと、コントローラ31が記憶するコントローラ側IDコードと、が対応するか否かを判別する。コントローラ31がキー側IDコードとコントローラ側IDコードとが対応すると判別する場合に、ID認証が成功し、コントローラ31は種々の動作を実行する。電源装置35は、コントローラ31の制御に従って鞍乗り型車両10が搭載するバッテリーの電力を各部に供給する装置である。
【0017】
鞍乗り型車両10は、スマートユニット30から後方に向けて延びる配線39を有している。配線39は、電源装置35からの電力を送電する電源線や、コントローラ31から出力される制御信号を伝達する信号線を有している。配線39は、鞍乗り型車両10の後部において、シート17よりも後方に延びるリアグリップ17aに取り付けられた収納ボックス40に対して接続される。
【0018】
図2は、収納ボックス40の斜視図であり、右後方から見た収納ボックス40を示す。収納ボックス40は、鞍乗り型車両10に対して取り付けられる収納用の箱体である。収納ボックス40は、リアフレーム20に取り付けられるベース部材41と、ベース部材41の上に取り付けられる収納ボックス本体50と、ベース部材41の下に取り付けられるケース45と、を有する。ベース部材41は、略水平な板状の金属製部材である。ベース部材41は、リアグリップ17aを介して、リアフレーム20のシートフレーム20aの後端部に取り付けられる。収納ボックス本体50は、上方に開口して内部に物品を収容可能なボックス本体部60と、ボックス本体部60に開閉可能に支持されたボックス蓋部51と、を有する。
【0019】
図3は、ボックス本体部60の斜視図である。
図4は、収納ボックス40の底面図である。
図5は、ベース部材41およびケース45の分解斜視図であり、右上方から視たベース部材41およびケース45を示す。なお、
図3においては、容器本体61を破線で示している。ボックス本体部60は、上方に開口した凹状の容器本体61と、容器本体61の後端に取り付けられたロック機構70と、を有している。
【0020】
容器本体61は、樹脂製の部材である。容器本体61は、平坦な底面63と、底面63を取り囲む外周壁部65と、外周壁部65の前端に形成された蓋連結部67と、を有する。底面63は、略水平な面であり、収納ボックス本体50がベース部材41に取り付けられたとき、ベース部材41の上面41aに対して接した状態となる。底面63は、外周壁部65の下端に設けられている。外周壁部65は、底面63から上方側が外側に位置するように傾斜した壁面であり、上方に向けて湾曲している。このため、外周壁部65のうち外側の端部である外周端65aは、外周壁部65の上端でもある。
【0021】
蓋連結部67は、外周端65aの前端から前方に向けて突出して形成される。蓋連結部67には、左右方向に沿った軸を有するヒンジを介してボックス蓋部51(
図2参照)の前端が連結される。ボックス蓋部51は、ヒンジを中心に回動することにより、ボックス本体部60を開閉する。
【0022】
また、外周壁部65の後部には、前側(内側)に向けて窪んだ凹部69が形成されている。凹部69の窪みには、ロック機構70が配置される。ロック機構70は、ボックス蓋部51とボックス本体部60との施錠と解錠、および、収納ボックス本体50とベース部材41との固定のための機構である。ロック機構70と容器本体61とは、容器本体61の内側から固定部材によって固定される。固定部材は、例えば、ねじであり、容器本体61とロック機構70とは、ねじの締結により固定される。
図4に示すように、ロック機構70は凹部69に配置されるため、ロック機構70の全体は、外周壁部65よりも内側に位置している。すなわち、ロック機構70の全体は、平面視において外周壁部65の外周端65aの内側に位置している。ロック機構70についての詳細は、後述する。
【0023】
図4に示すように、容器本体61の底面63には、左右一対の脚部63cと、左右一対の脚部63cの間に設けられた左右一対の後フック部63aと、左右一対の後フック部63aの前方に設けられた左右一対の前フック部63bと、が形成される。
【0024】
脚部63cは、底面63の後部から下方に向けて突出しており、収納ボックス本体50をベース部材41に取り付けずに地面などに載置したときに接地する。
【0025】
後フック部63aは、底面63の後部に形成され、下方に突出して前方に向けて曲がる鉤状の突起である。後フック部63aは、ベース部材41のボックス固定孔42aに挿入されて、ベース部材41の下面41bに対して前方に向けて引っ掛かる。ボックス固定孔42aは、ベース部材41を上下に貫通する長方形の孔であり、左右に2つ並べて形成される。
【0026】
前フック部63bは、容器本体61において、底面63の前端から下方に突出して後方に向けて曲がる鉤状に形成された部分である。前フック部63bは、ベース部材41に対して後方に向けて引っ掛けられる。また、前フック部63bは、収納ボックス本体50をベース部材41に取り付けずに地面などに載置したときに接地する。
【0027】
ここで、ベース部材41には、ロック機構70のキャッチ部材89が引っ掛けられている。キャッチ部材89は後方に向けて曲がる係止部89aを有する鉤状の部材である。キャッチ部材89は、ベース部材41を上下に貫通する長方形の孔であるボックス固定孔42bに挿入されて、ベース部材41の下面41bに対して後方に向けて引っ掛かる。
【0028】
このように、収納ボックス本体50は、容器本体61の底面63に形成された後フック部63a、前フック部63b、および、ロック機構70のキャッチ部材89により、ベース部材41を介して鞍乗り型車両10に取り付けられる。
【0029】
また、
図4および
図5に示すように、ベース部材41の下面41bには、下方に向けて凹んだケース45が取り付けられる。
図4に示すように、ケース45は、底面視で、収納ボックス本体50の外縁の内側に配置されている。すなわち、ケース45は、平面視において、ボックス本体部60のうち、容器本体61の外周壁部65の外周端65aよりも内側に配置される。このように、本実施の形態においては、ケース45およびロック機構70を外周壁部65の内側に配置することにより、収納ボックス40が水平方向に大型化することを抑制している。また、ケース45およびロック機構70は、平面視で、外周壁部65の内側において後方側(一方向側)に配置されている。このため、ケース45およびロック機構70の各部品がコンパクトに配置される。
【0030】
図5に示すように、ベース部材41とケース45とは、ベース部材41に形成されたケース固定孔44を介して、ケース45に形成された締結穴47に挿入される締結具44aによって上方から締結される。締結具44aは、例えばねじやボルトである。締結具44aは、ベース部材41とケース45とを上方から締結するため、締結具44aを取り外すためには、締結具44aに対してベース部材41の上面41aの側から工具を使用する必要がある。このため、収納ボックス本体50がベース部材41の上面41aの上から取り外された状態においてのみ、ベース部材41に対してケース45を着脱することができる。また、ケース45はベース部材41の下方において、鞍乗り型車両10および収納ボックス40の外側に露出している。このため、ベース部材41が鞍乗り型車両10に取り付けられた状態のまま、ベース部材41に対してケース45を着脱可能である。
【0031】
図6は、
図4のVI-VI断面視図であり、アクチュエータ71に通電されていない状態におけるケース45の内部およびロック機構70の構成を示す。
図7は、
図6と同様の断面における断面視図であり、アクチュエータ71に通電されている状態におけるケース45の内部およびロック機構70の構成を示す。
【0032】
図5から
図7に示すように、ケース45の内部には、アクチュエータ71と、伝達部材73と、が収容されている。アクチュエータ71は電動のアクチュエータであり、コイルを格納したコイル部71aと、コイル部71aによって前後方向に移動可能に保持される可動鉄芯71bと、を有している。可動鉄芯71bは、コイル部71aから後方に向けて飛び出している。アクチュエータ71は、スマートユニット30から延びる配線39(
図1参照)と接続されており、電源装置35からの電力の供給の有無によって可動鉄芯71bを前後方向に進退させる。本実施形態において、アクチュエータ71は、いわゆるプルソレノイドであり、コイル部71aに電力が供給されている間は可動鉄芯71bを前方に向けて引いた状態で保持し、コイル部71aに電力が供給されていない間は可動鉄芯71bを後方に押した状態で保持する。本実施の形態においては、スマートユニット30によるID認証が成功した場合にはアクチュエータ71に電力が供給され、ID認証が成功していない場合にはアクチュエータ71に電力が供給されない。
【0033】
伝達部材73は、左右方向に延びる第2回転軸部72に対して取り付けられた板状部材であり、第2回転軸部72を軸に回動可能である。伝達部材73は、左右方向に垂直な平面に沿った姿勢、すなわち、板厚の方向を左右方向とした姿勢で、第2回転軸部72に取り付けられる。なお、第2回転軸部72は、ケース45に対して取り付けられている。
【0034】
伝達部材73には、上方に面する伝達面73aと、軸受部73bと、進退部73cとが形成されている。軸受部73bは、第2回転軸部72と嵌合する孔が形成された部分であり、伝達部材73における回動の中心部となる。進退部73cは、アクチュエータ71の可動鉄芯71bに対して連結され、可動鉄芯71bとともに前後に進退する。
図6および
図7に示すように、第2回転軸部72は可動鉄芯71bの進行方向の延長線上よりも上方に設けられるため、伝達部材73は可動鉄芯71bの進退によって回動する。すなわち、伝達部材73は、アクチュエータ71に連動する。
【0035】
伝達面73aは、第2回転軸部72の周方向に対して交わる端面であり、伝達部材73の回動によって上下に揺動する。ケース45がベース部材41に取り付けられた状態では、伝達面73aは、伝達用孔43に対し、平面視で重なる位置に配置される。伝達用孔43は、ベース部材41の後部を上下に貫通する長方形の孔である。
【0036】
図6および
図7に示すように、ケース45の上方には、ベース部材41を間に挟んでロック機構70が配置されている。ロック機構70は、種々の部品を支持するロック機構本体70aと、ロック機構本体70aに支持される規制部材75と、ロック機構本体70aを前後に貫通する操作部77と、を有する。ロック機構本体70aは、容器本体61の凹部69に対して締結される部材であり、樹脂によって構成されている。
【0037】
規制部材75は、回転軸部74を軸として回動可能な樹脂製の板状部材である。規制部材75は、左右方向に垂直な平面に沿った姿勢、すなわち、板厚の方向を左右方向とした姿勢で、回転軸部74に取り付けられる。回転軸部74は、ロック機構本体70aに対して固定される棒状の部材であり、左右方向に延びている。
【0038】
規制部材75には、平板状のストッパー部75aと、軸受部75bと、突起75cと、が形成されている。軸受部75bは、回転軸部74と嵌合する孔を有しており、規制部材75における回動の中心部となる。規制部材75の軸受部75bは、伝達部材73の軸受部73bの上方に配置される。本実施の形態において、軸受部75bは伝達部材73の軸受部73bと平面視で重なり、回転軸部74と第2回転軸部72とは平面視で重なる。このため、規制部材75および伝達部材73の回動による移動範囲が平面視で重なり易く、規制部材75および伝達部材73をコンパクトに配置し易い。
【0039】
ストッパー部75aは、軸受部75bから後方に延びる平板状の部分であり、規制部材75の回動によって上下に揺動する。突起75cは、ストッパー部75aの右側の面から右側に突出する形状に形成され、ねじりばね76が掛けられている。ねじりばね76は、回転軸部74に取り付けられており、突起75cに対して下方に向けた付勢力を作用させる。これにより、規制部材75は
図6および
図7において反時計方向に向けて付勢され、ストッパー部75aは下方に向けて付勢される。
【0040】
図6および
図7に示すように、規制部材75の下端75a1は、ロック機構本体70aの下端に形成された開口70a1、および、ベース部材41の伝達用孔43を介して、上述した伝達部材73と上下に接している。すなわち、伝達部材73および規制部材75は、伝達面73aと下端75a1とが平面視で重なる位置に配置されている。また、伝達部材73および規制部材75はそれぞれが板状部材であり、板厚方向が左右方向となる姿勢で配置されている。このため、伝達部材73および規制部材75は、左右方向に垂直で鉛直方向に平行な同一平面に沿って配置されている。
【0041】
電源装置35からアクチュエータ71に対して電力が供給されていない場合、
図6のように、可動鉄芯71bはコイル部71aから後方に向けて押し出された状態であり、伝達部材73の伝達面73aは、上方に向けて揺動した位置にある。このため、伝達面73aに接触する規制部材75のストッパー部75aは、上方に向けて揺動した状態で保持される。
【0042】
また、電源装置35からアクチュエータ71に対して電力が供給されている場合、
図7のように、可動鉄芯71bはコイル部71a側に向け前方に引き込まれた状態であり、伝達部材73の伝達面73aは、下方に向けて揺動した位置にある。このため、ねじりばね76によって下方に付勢される規制部材75のストッパー部75aは、下方に向けて揺動した状態で保持される。このように、規制部材75は、伝達部材73から伝達されるアクチュエータ71の動作によって、上下に移動する。
【0043】
図8は、ロック機構70の斜視図であり、前方から見たロック機構70を示す。
図6から
図8に示すように、操作部77は、樹脂製の操作部本体77aと、操作部本体77aに取り付けられたロックプレート77bと、を有する。操作部77は、規制部材75に対して平面視で重なる位置にあり、コンパクトに設置されている。操作部本体77aは、ロック機構本体70aを前後に貫通するように配置された円柱形状の部材であり、後端にはノブ77a1が形成されている。操作部本体77aは、ロック機構本体70aに対して前後方向を軸に回動可能に取り付けられており、使用者がノブ77a1を摘まんで捻ることによって回動する。
【0044】
ロックプレート77bは、操作部本体77aとともに回動する金属製の板状部材であり、曲げ形成された面である接触部77b1を有する。接触部77b1は、前後方向に平行であり、操作部本体77aの回転軸の周方向に対して垂直に延びる。
図8において、ロックプレート77bは前方から見て反時計方向に最大まで回動した施錠位置PLに位置している。
【0045】
図6に示すように、アクチュエータ71に電力が供給されておらず、ストッパー部75aが上方に保持されているとき、ストッパー部75aはロックプレート77bの接触部77b1に対して干渉する。具体的には、ストッパー部75aは、ロックプレート77bが施錠位置PLにあるときに、左方向から右方向に移動する接触部77b1に対して接触し、操作部77の回動を規制する。これにより、ノブ77a1は前方から見て時計方向に回動できなくなる。このように、ロックプレート77bの移動範囲にあるときの規制部材75の位置を、以下では規制位置P1と呼称する。
【0046】
また、
図7に示すように、アクチュエータ71に電力が供給され、ストッパー部75aが下方に保持されているとき、ストッパー部75aはロックプレート77bの移動範囲の外にある。このため、ストッパー部75aはロックプレート77bに干渉せず、使用者はノブ77a1を前方から見て時計方向に回動させることができる。ロックプレート77bは、前方から見て時計方向に最大まで回動することにより、
図8に仮想線で示す解錠位置PUに移動する。このように、ロックプレート77bの移動範囲の外にあるときの規制部材75の位置を、以下では非規制位置P2と呼称する。非規制位置P2は、規制位置P1よりも下方である。
【0047】
なお、非規制位置P2は、規制部材75の位置のうち、ストッパー部75aがロックプレート77bの移動範囲に重ならない位置をすべて含む。このため、
図6に仮想線で示すように、規制部材75が下方に向けて最大まで揺動していない場合も、ストッパー部75aがロックプレート77bの移動範囲に重ならないときには、規制部材75は非規制位置P2にある。同様に、規制位置P1は、規制部材75の位置のうち、ストッパー部75aがロックプレート77bの移動範囲に重なる位置をすべて含む。
【0048】
また、本実施の形態においては、
図6および
図7に示すように、ロック機構本体70aの開口70a1の周囲には、下方に突出して伝達用孔43に挿入される凸壁部70a2が形成されている。凸壁部70a2は、収納ボックス本体50とベース部材41との位置決めに利用される他、収納ボックス本体50を単体で平坦な地面等に載置した場合、接地する脚となる。さらに、凸壁部70a2は、非規制位置P2のうちで最も上方にあるときの規制部材75の下端75a1の位置よりも下方まで延びている(例えば、
図7の仮想線参照)。このため、凸壁部70a2が収納ボックス本体50の脚として平坦な地面に接地した場合であっても、規制部材75は地面によって規制位置P1まで押し上げられることが無い。従って、収納ボックス本体50の単体を平坦な地面等に載置して用いる場合においても、ロックプレート77bの回動は規制されず、操作部77を操作することができる。
【0049】
アクチュエータ71の動作によってロックプレート77bの回動を規制する伝達部材73と規制部材75とを合わせて、規制構造体70bと呼称する。また、ロックプレート77bの回動を規制するために用いられるアクチュエータ71および規制構造体70bを合わせて、以下ではスマートロック機構70cと呼称する。また、上述のように、スマートロック機構70cの各部が設けられるロック機構70およびケース45は、平面視において、ボックス本体部60のうち、容器本体61の外周壁部65の外周端65aよりも内側に配置される(
図3、
図4参照)。また、
図6および
図7に示すように、スマートロック機構70cは、外周壁部65と略面一な面であるロック機構本体70aの後面70a3よりも前方側に位置している。このため、スマートロック機構70cは、外周壁部65の内側、すなわち、スマートロック機構70cは、平面視において、ボックス本体部60のうち、容器本体61の外周壁部65の外周端65aよりも内側に配置される。
【0050】
図9は、左前方から見たロック機構70の斜視図である。
図10は、
図4におけるX―X断面図である。なお、
図9においては、ロック機構本体70aおよびスマートロック機構70cの記載を省略している。
図9および
図10に示すように、ロック機構70には、開閉レバー81と、着脱レバー85と、が配置されている。
【0051】
開閉レバー81は、ボックス蓋部51とボックス本体部60とを開閉する際に操作されるレバーであり、上端には鉤状の係止部81aが形成されている。また、開閉レバー81の下端には、使用者が掴むための持ち手81bが形成されている。開閉レバー81は、係止部81aがボックス蓋部51に形成された鉤状の蓋側係止部55に掛かることにより、ボックス本体部60とボックス蓋部51を留める。
【0052】
開閉レバー81には、左右方向に延びる棒状部材である軸部材82aが取り付けられている。軸部材82aには、軸部材82aを軸に回動可能な連結部材83が取り付けられている。連結部材83は、細長い部材であり、一方端83aは軸部材82aと連結され、他方端83bは、ロック機構本体70aに固定される軸部材82bと連結されている。軸部材82bは、左右方向に延びる棒状部材であり、連結部材83は、軸部材82bを軸に回動可能である。すなわち、開閉レバー81は、連結部材83に対して軸部材82aを軸に回動可能に取り付けられており、連結部材83は、ロック機構本体70aに対して軸部材82bを軸に回動可能に取り付けられている。
【0053】
ロックプレート77bが解錠位置PUに位置するときに開閉レバー81の持ち手81bが後ろ上がりに持ち上げられた場合、軸部材82a、82bを軸として連結部材83および開閉レバー81が回動する。これにより、
図10に仮想線で示すように、開閉レバー81は上方に移動し、係止部81aが蓋側係止部55から外れる。従って、ボックス本体部60とボックス蓋部51が開くようになる。
【0054】
一方で、ロックプレート77bが施錠位置PLに位置するときには、
図9に示すように、軸部材82bを軸とした連結部材83の移動範囲には、ロックプレート77bの縁77b2が位置している。さらに、本実施の形態においては、連結部材83は溝を有しており、ロックプレート77bが施錠位置PLに位置するときには、ロックプレート77bの縁77b2と溝とが嵌合する。このため、ロックプレート77bが施錠位置PLに位置するときには、軸部材82bを軸とした連結部材83の回動が規制され、開閉レバー81は動かなくなる。従って、ロックプレート77bが施錠位置PLにあるときには、ボックス本体部60とボックス蓋部51とは開かなくなる。
【0055】
換言すれば、ロックプレート77bが施錠位置PLにあるときには、ボックス本体部60とボックス蓋部51とは施錠された状態である。また、ロックプレート77bが解錠位置PUにあるときには、ボックス本体部60とボックス蓋部51とは解錠された状態である。また、上述したように、ロックプレート77bの回動を規制する上述のスマートロック機構70cは、アクチュエータ71の動作によって、ロックプレート77bの回動を規制するか否かを切り替える。従って、スマートロック機構70cは、ボックス本体部60とボックス蓋部51との解錠の規制、および、解錠の規制の解除を行う。
【0056】
特に、本実施の形態においては、アクチュエータ71はプルソレノイドであり、電力が供給されていないときには可動鉄芯71bを後方に押し出して規制部材75を規制位置P1に保持する。このため、アクチュエータ71につながる配線39が切断される等の理由によってアクチュエータ71に電力が供給されなくなった場合に、ボックス本体部60とボックス蓋部51との解錠は規制される。従って、収納ボックス40の内容物が盗難されることを防止し易い。
【0057】
着脱レバー85は、収納ボックス本体50をベース部材41に対して着脱する際に操作される部材であり、ロック機構本体70aに対して軸部材86aを軸に回動可能に取り付けられている。着脱レバー85には、軸部材86bを軸として着脱レバー85に対して回動可能な2つの連結部材87が取り付けられる。また、2つの連結部材87には、軸部材86cを軸として回動可能なキャッチ部材89が取り付けられる。軸部材86a、86b、86cは、左右方向に延びる棒状の部材である。2つの連結部材87は、略L字形状の部材であり、左右方向に並んた状態で軸部材86b、86cと繋がっている。
【0058】
ロックプレート77bが解錠位置PUに位置するときに着脱レバー85が後方側から上方に向けて持ち上げられた場合、着脱レバー85、連結部材87、キャッチ部材89がそれぞれ軸部材86a、86b、86cを軸に回動する。これにより、
図10に仮想線で示すように、キャッチ部材89は前下がりに移動し、係止部89aはボックス固定孔42bから外れる。従って、着脱レバー85の操作により、収納ボックス本体50はベース部材41からの脱着が可能となる。
【0059】
一方で、ロックプレート77bが施錠位置PLに位置するときには、
図9に示すように、軸部材86aを軸とした着脱レバー85の回動範囲には、ロックプレート77bの平面部77b3が重なっている。平面部77b3は、ロックプレート77bにおいて、前後方向に垂直な平面部分である。このため、ロックプレート77bが施錠位置PLに位置するときには、軸部材86aを軸とした着脱レバー85の回動が規制され、キャッチ部材89の係止部89aは、ボックス固定孔42bに掛かったまま外れなくなる。従って、ロックプレート77bが施錠位置PLにあるとき、収納ボックス本体50はベース部材41から取り外せなくなる。このため、収納ボックス本体50の盗難を抑制できる。
【0060】
また、上述したように、アクチュエータ71を収容するケース45をベース部材41から取り外すためには、ベース部材41の上面41aの側から締結具44a(
図5参照)を取り外す必要がある。このため、ボックス本体部60とボックス蓋部51とが施錠され、収納ボックス本体50をベース部材41から取り外せないときには、ケース45をベース部材41から取り外すことができない。これにより、アクチュエータ71に対するいたずらや盗難を抑制できる。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態において、収納ボックス40は、鞍乗り型車両10の車体に取り付け可能なボックス本体部60と、ボックス本体部60に開閉可能に支持されたボックス蓋部51と、を備える収納ボックスにおいて、ボックス本体部60とボックス蓋部51との解錠の規制および解錠の規制の解除を切り替え可能なスマートロック機構70cを備え、スマートロック機構70cは、ボックス蓋部51の解錠を規制する規制構造体70bと、規制構造体70bを動作させるアクチュエータ71と、を有し、スマートロック機構70cは、平面視において、ボックス本体部60の外周壁部65の内側で、前後方向における前方側に位置している。
この構成によれば、収納ボックス40の外形寸法が大きくなることを抑制しながら、スマートロック機構70cを前後方向の前方側に配置できる。このため、収納ボックス40に対してスマートロック機構70cをコンパクトに配置することができる。
【0062】
本実施の形態では、規制構造体70bは、ボックス蓋部51の解錠を規制する規制位置P1と解錠の規制を解除する非規制位置P2との間を移動可能に支持された規制部材75と、アクチュエータ71に連動し規制部材75に前記アクチュエータの動作を伝達する伝達部材73と、を有し、規制部材75と伝達部材73とは、鉛直方向に平行な同一平面に沿って設けられ、平面視で互いに重なる。
この構成によれば、規制構造体70bの伝達部材73と規制部材75とをコンパクトに配置することができる。
【0063】
本実施の形態では、収納ボックス40は、アクチュエータ71を収容するケース45を有し、ボックス本体部60は、ベース部材41を介して、鞍乗り型車両10の車体に取り付けられ、ケース45は、ベース部材41が車体に取り付けられた状態において、ベース部材41に対して着脱可能である。
この構成によれば、ベース部材41を鞍乗り型車両10の車体から取り外すことなく、アクチュエータ71を収容するケース45をベース部材41から着脱でき、アクチュエータ71のメンテナンスが容易になる。特に、本実施の形態においては、ベース部材41の上面41aの側から挿入される締結具44aを介して、下面41bに対してケース45が締結される。更に、ボックス本体部60は、アクチュエータ71の動作によって規制部材75が非規制位置P2に移動し、操作部77の動作によってロックプレート77bが解錠位置PUに位置するときにのみ、着脱レバー85の動作によってベース部材41に着脱される。このため、スマートロック機構70cによって解錠を規制することにより、ベース部材41からのケース45の取り外しも同時に規制でき、アクチュエータ71に対する盗難やいたずらを防止できる。
【0064】
本実施の形態では、収納ボックス40は、ボックス本体部60とボックス蓋部51との施錠および解錠を切り替える操作部77を有し、操作部77と規制部材75とは、平面視で重なる。
この構成によれば、操作部77をコンパクトに配置することができる。
【0065】
本実施の形態では、規制部材75は、回転軸部74を軸として規制位置P1と非規制位置P2との間を回動可能に支持され、規制位置P1に移動して操作部77の動作を規制することによりボックス蓋部51の解錠を規制する。
この構成によれば、スマートロック機構70cを簡素な構成にすることができる。
【0066】
本実施の形態では、ボックス本体部60は、外周壁部65の下端に設けられた底面63を備え、規制部材75は、非規制位置P2にあるときに底面63よりも下方に突出し、規制位置P1は、非規制位置P2よりも上方であり、ボックス本体部60は、非規制位置P2にあるときの規制部材75よりも下方まで延びる凸壁部70a2を有する。
この構成によれば、ボックス本体部60を地面などに載置したときに、地面などに押されて規制部材75が規制位置P1に移動し、ボックス本体部60とボックス蓋部51との開閉が妨げられることを防止できる。また、規制部材75を下方に配置でき、スマートロック機構70cを下方にまとめてコンパクトに配置できる。
【0067】
本実施の形態では、伝達部材73は、回転軸部74に沿って延びる第2回転軸部72を軸に回動可能であり、回転軸部74と、第2回転軸部72とは、平面視で重なる。
この構成によれば、伝達部材73の回動による移動範囲と規制部材75の回動による移動範囲とが平面視で重なりやすく、伝達部材73と規制部材75をコンパクトに配置することができる。
【0068】
本実施の形態では、鞍乗り型車両10は、上述した収納ボックス40を備える。
この構成によれば、コンパクトに配置されたスマートロック機構70cを有する収納ボックス40を備えた車両を提供できる。特に、本実施の形態では、鞍乗り型車両10が備えるスマートユニット30により、アクチュエータ71に対する電力供給や通信端末Pとの通信を行うことができ、収納ボックス40の構成を簡素化できる。
【0069】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0070】
上記実施の形態において、スマートキーである通信端末Pが通信装置33に近付くことによりスマートユニット30がID認証を行い、電源装置35からアクチュエータ71に電力が供給されると説明したが、これは一例である。例えば、通信端末Pはスマートフォンやタブレット端末であってもよい。この場合、通信端末Pは、予めインストールされたアプリケーションプログラムに従って、使用者の操作を受け付ける画面をタッチパネルに表示し、使用者の操作によって信号を通信装置33に送信する。通信装置33に送信された信号はコントローラ31に送信され、コントローラ31は、信号に従って電源装置35を動作させ、アクチュエータ71に対する電力供給を実行する。
【0071】
上記実施の形態において、スマートユニット30は鞍乗り型車両10に設けられると説明したが、これは一例である。例えば、スマートユニット30は、収納ボックス40に設けられていてもよい。また、例えば、コントローラ31、電源装置35、または、通信装置33などのスマートユニット30の一部が、収納ボックス40に設けられる構成としてもよい。この場合、スマートユニット30を有さない車両に対しても、収納ボックス40を取り付けられる。
【0072】
上記実施の形態において、アクチュエータ71は、電力の供給によって可動鉄芯71bを引くプルソレノイドであると説明したが、これは一例である。アクチュエータ71は、プルソレノイド以外の任意のアクチュエータであってもよく、例えば、電力の供給によって可動鉄芯71bを押し出すプッシュソレノイドであってもよい。また、アクチュエータ71は、電力の供給の有無ではなく、配線39を介して受信する制御信号に従って動作し、進退部73cを揺動させる構成としてもよい。
【0073】
上記実施の形態において、スマートロック機構70cは、収納ボックス40の後方側に位置するロック機構70に配置されていたが、これは一例である。例えば、ロック機構70およびスマートロック機構70cは、収納ボックス40の前方側に設けられ、ヒンジを介してボックス蓋部51と連結される蓋連結部67は、ボックス本体部60の後端に設けられる構成としてもよい。
【0074】
上記実施の形態において、パワーユニット12は内燃機関であると説明したが、これは一例である。例えば、パワーユニット12は電動機であり、鞍乗り型車両10は、電力によってパワーユニット12を作動させ、走行のための駆動力を得る車両であってもよい。
【0075】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0076】
(構成1)車体に取り付け可能なボックス本体部と、前記ボックス本体部に開閉可能に支持されたボックス蓋部と、を備える収納ボックスにおいて、前記ボックス本体部と前記ボックス蓋部との解錠の規制および解錠の規制の解除を切り替え可能なスマートロック機構を備え、前記スマートロック機構は、前記ボックス蓋部の解錠を規制する規制構造体と、前記規制構造体を動作させるアクチュエータと、を有し、前記スマートロック機構は、平面視において、前記ボックス本体部の外周壁部の内側で、前後方向における一方向側に位置している、収納ボックス。
この構成によれば、収納ボックスの外形寸法が大きくなることを抑制しながら、スマートロック機構を前後方向の片側に配置できる。このため、収納ボックスに対してスマートロック機構をコンパクトに配置することができる。
【0077】
(構成2)前記規制構造体は、前記ボックス蓋部の解錠を規制する規制位置と解錠の規制を解除する非規制位置との間を移動可能に支持された規制部材と、前記アクチュエータに連動し前記規制部材に前記アクチュエータの動作を伝達する伝達部材と、を有し、前記規制部材と前記伝達部材とは、鉛直方向に平行な同一平面に沿って設けられ、平面視で互いに重なる、構成1に記載の収納ボックス。
この構成によれば、規制構造体の伝達部材と規制部材とをコンパクトに配置することができる。
【0078】
(構成3)前記アクチュエータを収容するケースを有し、前記ボックス本体部は、ベース部材を介して、前記車体に取り付けられ、前記ケースは、前記ベース部材が前記車体に取り付けられた状態において、前記ベース部材に対して着脱可能である、構成1または2に記載の収納ボックス。
この構成によれば、ベース部材を車両から取り外すことなく、アクチュエータを収容するケースをベース部材から着脱できるため、アクチュエータのメンテナンスが容易になる。
【0079】
(構成4)前記ボックス本体部と前記ボックス蓋部との施錠および解錠を切り替える操作部を有し、前記操作部と前記規制部材とは、平面視で重なる、構成2に記載の収納ボックス。
この構成によれば、操作部をコンパクトに配置することができる。
【0080】
(構成5)前記規制部材は、回転軸部を軸として前記規制位置と前記非規制位置との間を回動可能に支持され、前記規制位置に移動して前記操作部の動作を規制することにより前記ボックス蓋部の解錠を規制する、構成4に記載の収納ボックス。
この構成によれば、スマートロック機構を簡素な構成とすることができる。
【0081】
(構成6)前記ボックス本体部は、前記外周壁部の下端に設けられた底面を備え、前記規制部材は、前記非規制位置にあるときに前記底面よりも下方に突出し、前記規制位置は、前記非規制位置よりも上方であり、前記ボックス本体部は、前記非規制位置にあるときの前記規制部材よりも下方まで延びる凸壁部を有する、構成2、4、または5のいずれかに記載の収納ボックス。
この構成によれば、ボックス本体部を地面などに載置したときに、地面などに押されて規制部材が規制位置に移動し、ボックス本体部とボックス蓋部との開閉が妨げられることを防止できる。また、規制部材を下方に配置でき、規制構造体を下方にまとめてコンパクトに配置できる。
【0082】
(構成7)前記伝達部材は、前記回転軸部に沿って延びる第2回転軸部を軸に回動可能であり、前記回転軸部と、前記第2回転軸部とは、平面視で重なる、構成5に記載の収納ボックス。
この構成によれば、伝達部材の回動による移動範囲と規制部材の回動による移動範囲とが平面視で重なりやすく、伝達部材と規制部材とをコンパクトに配置することができる。
【0083】
(構成8)構成1から7のいずれかに記載の収納ボックスを備える、車両。
この構成によれば、コンパクトに配置されたスマートロック機構を有する収納ボックスを備えた車両を提供できる。
【符号の説明】
【0084】
10 鞍乗り型車両(車両)
30 スマートユニット
40 収納ボックス
41 ベース部材
45 ケース
50 収納ボックス本体
51 ボックス蓋部
60 ボックス本体部
63 底面
65 外周壁部
70 ロック機構
70a2 凸壁部
70b 規制構造体
70c スマートロック機構
71 アクチュエータ
72 第2回転軸部
73 伝達部材
74 回転軸部
75 規制部材
77 操作部
P1 規制位置
P2 非規制位置