(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100381
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】カウンタウェイト支持構造
(51)【国際特許分類】
E02F 9/18 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
E02F9/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004341
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】竹田 一基
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015FA03
(57)【要約】
【課題】取付具が破損した場合のカウンタウェイトの脱落を防ぐことを目的とする。
【解決手段】カウンタウェイト支持構造5は、建設機械の旋回フレームに設けられた支持部61と、取付具を用いて支持部61に取り付けられたカウンタウェイト32と、を備え、カウンタウェイト32は、支持部61側に突出した係合部74を備え、支持部61は、係合部74が係合する被係合部64を備える。被係合部64は、凹部64Uを備え、係合部74の少なくとも一部分が凹部64Uに係合する。カウンタウェイト支持構造5は、係合部74を被係合部64に固定する固定部材66を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の車体に設けられた支持部と、
取付具を用いて前記支持部に取り付けられたカウンタウェイトと、を備え、
前記カウンタウェイトは、前記支持部側に突出した係合部を備え、
前記支持部は、前記係合部が係合する被係合部を備えることを特徴とするカウンタウェイト支持構造。
【請求項2】
前記被係合部は、凹部を備え、
前記係合部の少なくとも一部分が前記凹部に係合することを特徴とする請求項1に記載のカウンタウェイト支持構造。
【請求項3】
前記係合部を前記被係合部に固定する固定部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のカウンタウェイト支持構造。
【請求項4】
前記固定部材を前記被係合部に締結する締結部材を備えることを特徴とする請求項3に記載のカウンタウェイト支持構造。
【請求項5】
前記カウンタウェイトは、前記取付具が挿入される貫通孔を備え、
前記支持部は、前記取付具が締結される締結孔を備えることを特徴とする請求項1に記載のカウンタウェイト支持構造。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記係合部が突出する方向に沿って貫通していることを特徴とする請求項5に記載のカウンタウェイト支持構造。
【請求項7】
前記貫通孔及び前記締結孔は、水平方向の位置が互いに異なる2箇所に設けられ、
前記係合部及び前記被係合部は、前記2箇所の間の位置に設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載のカウンタウェイト支持構造。
【請求項8】
前記貫通孔及び前記締結孔は、前記2箇所に加えて、前記係合部及び前記被係合部の上方又は下方に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のカウンタウェイト支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のカウンタウェイトを支持する支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ショベルやクレーン等の建設機械は重心から離れた位置に荷重がかかるため、カウンタウェイトを備えて重心の偏りを抑制している。一般に、カウンタウェイトは、車体の後部にボルト等の取付具を用いて取り付けられる。例えば、特許文献1に記載された建設機械は、旋回フレームの後部にカウンタウェイト支持部が設けられ、ボルトを用いてカウンタウェイト支持部にカウンタウェイトを取り付けるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された構成では、取付具が破損した場合にカウンタウェイトが脱落するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、取付具が破損した場合のカウンタウェイトの脱落を防ぐことのできるカウンタウェイト支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るカウンタウェイト支持構造は、建設機械の車体に設けられた支持部と、取付具を用いて前記支持部に取り付けられたカウンタウェイトと、を備え、前記カウンタウェイトは、前記支持部側に突出した係合部を備え、前記支持部は、前記係合部が係合する被係合部を備える。
【0007】
前記被係合部は、凹部を備え、前記係合部の少なくとも一部分が前記凹部に係合していてもよい。
【0008】
前記カウンタウェイト支持構造は、前記係合部を前記被係合部に固定する固定部材を備えていてもよい。
【0009】
前記カウンタウェイト支持構造は、前記固定部材を前記被係合部に締結する締結部材を備えていてもよい。
【0010】
前記カウンタウェイトは、棒状の前記取付具が挿入される貫通孔を備え、前記支持部は、前記取付具が締結される締結孔を備えていてもよい。
【0011】
前記貫通孔は、前記係合部が突出する方向に沿って貫通していてもよい。
【0012】
前記貫通孔及び前記締結孔は、水平方向の位置が互いに異なる2箇所に設けられ、前記係合部及び前記被係合部は、前記2箇所の間の位置に設けられていてもよい。
【0013】
前記貫通孔及び前記締結孔は、前記2箇所に加えて、前記係合部及び前記被係合部の上方又は下方に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、取付具が破損した場合のカウンタウェイトの脱落を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る建設機械の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る建設機械のボンネットが開けられた様子を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るカウンタウェイト支持構造を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るカウンタウェイトを示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るカウンタウェイトを示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るカウンタウェイトを示す正面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るカウンタウェイトを示す背面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る支持部を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るカウンタウェイト支持構造の主要部を示す斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態の第1変形例に係るカウンタウェイト支持構造の主要部を示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態の第2変形例に係るカウンタウェイト支持構造の主要部を示す斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態の第3変形例に係るカウンタウェイト支持構造の主要部を示す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態の第4変形例に係るカウンタウェイト支持構造の主要部を示す斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態の第5変形例に係るカウンタウェイト支持構造の主要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るカウンタウェイト支持構造5について説明する。
【0017】
最初に、建設機械1の全体の構成について説明する。
図1は、建設機械1の外観を示す斜視図である。建設機械1は、建設現場、解体現場、鉱山等で用いられ、作業者の操作に応じて作業を行う。本実施形態における建設機械1は、土砂の掘削作業などを行う油圧ショベルである。建設機械1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4とを備え、下部走行体2の上方に上部旋回体3が設けられ、上部旋回体3の前部に作業機4が設けられている。
【0018】
下部走行体2は、左右一対のクローラ21と、トラックフレーム22と、ブレード24と、を備えている。一対のクローラ21は、上部旋回体3に設けられたエンジン31から動力を伝達され、建設機械1の走行等を行う。トラックフレーム22は、一対のクローラ21の間に設けられ、上部旋回体3を旋回可能に支持する。ブレード24は、整地作業等に用いられる。
【0019】
上部旋回体3は、エンジン31と、カウンタウェイト32と、キャビン33と、を備えている。キャビン33の内部には、作業者が着座するための運転席や、各種情報を表示するための表示装置や、作業者が操作するための操作装置等が設けられている(図示省略)。
【0020】
作業機4は、作業者の操作に応じて土砂の掘削作業、破砕作業、排土作業等の各種作業を行う。作業機4は、上部旋回体3に設けられ、ブーム41と、アーム42と、アタッチメント43と、を備えている。本実施形態では、アタッチメント43として、掘削作業用のバケットが設けられているが、ブレーカ、オーガ等が設けられていてもよい。建設機械1は、ブーム41、アーム42、アタッチメント43をそれぞれ駆動する油圧アクチュエータ41A、42A、43Aを備えている。建設機械1は、エンジン31が発生した動力により駆動される油圧ポンプ(図示省略)によって作動油をタンク(図示省略)から油圧アクチュエータ41A、42A、43Aへ供給し、油圧ポンプによって加圧されるとともにコントロールバルブ(図示省略)によって方向や流量が規制された作動油を動力伝達媒体として油圧アクチュエータ41A、42A、43Aを駆動する。
【0021】
ブーム41は、上部旋回体3の右前部に設けられており、上部旋回体3に対して旋回可能である。アーム42は、ブーム41の先端に取り付けられ、水平軸を支点として揺動可能である。アタッチメント43は、アーム42の先端に設けられ、水平軸を支点として揺動可能である。
【0022】
次に、カウンタウェイト32とカウンタウェイト支持構造5の構成について説明する(
図1乃至 参照)。
図2は、建設機械1のボンネット36が開けられた様子を示す斜視図である。
図3は、カウンタウェイト支持構造5を示す斜視図である。
図4、5は、カウンタウェイト32を示す斜視図である。
図6は、カウンタウェイト32を示す正面図である。
図7は、カウンタウェイト32を示す背面図である。
図8は、支持部61を示す斜視図である。
図9は、カウンタウェイト支持構造5の主要部を示す斜視図である。
【0023】
カウンタウェイト支持構造5は、建設機械1の旋回フレーム50(車体の一例)に設けられた支持部61と、取付具63を用いて支持部61に取り付けられたカウンタウェイト32と、を備え、カウンタウェイト32は、支持部61側に突出した係合部74を備え、支持部61は、係合部74が係合する被係合部64を備える。
【0024】
[旋回フレーム]
建設機械1は、旋回フレーム50(車体の一例)を備える(
図3参照)。旋回フレーム50は、底板部51と、ブラケット52と、補強部53と、を備える。
【0025】
底板部51は、全体として概ね円形の板状の部材である。底板部51の前部は、左右方向に沿って直線状に形成されている。底板部51は、スイベルジョイント(図示省略)を介して旋回可能にトラックフレーム22に支持され、油圧モータ(図示省略)によって旋回駆動される。
【0026】
ブラケット52は、底板部51の前部の中央よりも若干右寄りに設けられ、前方に突出している。ブラケット52は、旋回可能なスイングポスト(図示省略)を介してブーム41を支持する。補強部53は、ブラケット52の後方に設けられた左右方向に対向する1対の直立した壁状の部材である。補強部53は、ブラケット52の後端部と、底板部51の上面と、に接合されている。補強部53は、底板部51の剛性を高めるとともに、底板部51とブラケット52との結合部の剛性を高める。
【0027】
[支持部]
支持部61(
図3、8参照)は、左右方向を長手方向とする直立した壁状の部材である。支持部61は、左右の補強部53の後端部と、底板部51の上面と、に接合されている。支持部61の左右方向の長さは、カウンタウェイト32の左右方向の長さよりも短い。支持部61は、締結孔62と、被係合部64と、を備える。
【0028】
締結孔62は、棒状の取付具63が締結される孔である。締結孔62は、前後方向に貫通している。取付具63は、主にボルトが用いられるが、リベット等が用いられてもよい。締結孔62は、支持部61の左右両端部と、支持部61の左右方向の中央付近の合計3箇所に設けられている。左右の締結孔62は、中央の締結孔62よりも上方に形成されている。
【0029】
被係合部64は、支持部61の上縁部の左右方向の中央付近に設けられている。被係合部64は、上方に開口した凹部64Uを備える。凹部64Uの左右には、上下方向にねじ孔64Hが設けられている。被係合部64と中央の締結孔62の左右方向の位置は一致していてもよいが、
図8に示されるように若干異なっていてもよい。
【0030】
[固定部材、締結部材]
固定部材66は、左右方向を長手方向とする矩形の板状の部材である。固定部材66は、被係合部64の左右のねじ孔64Hに対応する孔66Hを備える。固定部材66は、ボルト等の締結部材67を用いてねじ孔64Hに締結される。
【0031】
[カウンタウェイト]
カウンタウェイト32は、底板部51の円弧状の後縁部に沿って配置されている(
図3参照)。カウンタウェイト32の前面は、支持部61の後面と対向している。カウンタウェイト32(
図4乃至7参照)は、本体部71と、吊り部72と、貫通孔73と、係合部74と、突出部75と、を備える。
【0032】
[本体部]
本体部71は、前後方向から見て全体として概ね台形に形成された板状の部位である。本体部71の後面は、左右方向の中央部が後方に膨らんだ曲面を構成している。本体部71の後面の下縁部71Rrは、底板部51の後縁部に沿って湾曲している。本体部71の左右1対の側縁部71Sは、互いの下端部間の距離よりも上端部間の距離が小さくなるように傾斜している。換言すれば、本体部71の左右1対の側縁部71Sは、左右方向の中央側に傾斜している。本体部71の上縁部71Uは、後面の下縁部71Rrと同じ方向に湾曲している。また、上縁部71Uは、正面から見て、左右両端部よりも中央部が低いV字形に形成されている。本体部71の前面の下縁部71Frは、概ね上縁部71Uの幅の範囲にわたって直線状に形成されている。
【0033】
[吊り部]
吊り部72は、本体部71の前面から支持部61側に突出している。吊り部72は、本体部71の重心の上方に設けられている。吊り部72は、左右方向を厚み方向とする板状の部位であり、左右方向に貫通した孔を有する。吊り部72には、クレーンのフック(図示省略)が掛けられる。
【0034】
[係合部]
係合部74は、本体部71の前面から支持部61側に突出している。係合部74は、本体部71の左右方向及び上下方向の中央よりもやや下方に設けられている。係合部74は、直方体状の部位であり、根本側よりも先端側が若干細くなるようにテーパーがつけられている。係合部74は、支持部61の被係合部64に係合する(
図9参照)。具体的には、係合部74の少なくとも一部分が、被係合部64に備えられた凹部64Uに係合する。本実施形態では、係合部74の先端部が支持部61の前面よりも若干前方に突出しているため、係合部74の先端部を除く部分が凹部64Uに係合している。固定部材66が被係合部64に締結されることで、係合部74が被係合部64に固定される。
【0035】
[貫通孔]
貫通孔73は、支持部61の3つの締結孔62に対向する3箇所に設けられている。貫通孔73は、係合部74が突出する方向に沿って貫通している。前述した棒状の取付具63(ボルト等)が貫通孔73に挿入され、支持部61の締結孔62に締結される。
【0036】
[突出部]
カウンタウェイト32は、本体部71の上縁部71Uから上方に突出した左右1対の突出部75を備える。1対の突出部75は、高さが概ね等しい柱状の部位である。1対の突出部75は、互いの下端部間の距離よりも上端部間の距離が小さくなるように傾斜している。より具体的には、1対の突出部75は、本体部71の左右の側縁部71Sの上端部から上方に突出し、側縁部71Sに沿う方向に傾斜している。
【0037】
[張出部]
カウンタウェイト32は、1対の突出部75の一方(本実施形態では、右側の突出部75)から他方側(本実施形態では、左方)へ張り出した第1張出部81を備える。また、カウンタウェイト32は、1対の突出部75の他方(本実施形態では、左側の突出部75)から一方側(本実施形態では、右方)へ張り出した第2張出部82を備える。第1張出部81と第2張出部82は形状が異なっている。例えば、本実施形態では、第1張出部81は、右側の突出部75の上下方向の中央付近から上方に設けられ、第2張出部82は、左側の突出部75の上下方向の全域に設けられている。第1張出部81と第2張出部82の形状は、ボンネット36の前方に設けられているエンジン31や補器類(図示省略)へのアクセスを妨げないように決定されている。さらに、カウンタウェイト32は、1対の突出部75の一方又は他方(本実施形態では、右側の突出部75)から外側(本実施形態では、右方)へ張り出した第3張出部83を備える。
【0038】
[ボンネット、ヒンジ]
ボンネット36は、左側の突出部75の右縁部と、本体部71の上縁部71Uと、右側の突出部75の左縁部と、で囲われる領域を覆う形状を有する。1対の突出部75の上端部には、ヒンジ取付部76が設けられている。ヒンジ取付部76には、ボンネット36を開閉可能に支持するヒンジ(図示省略)が取り付けられている。
【0039】
[サイドカバー]
1対の突出部75の少なくとも一方(本実施形態では、左側の突出部75)の上端部には、サイドカバー取付部77が設けられている。サイドカバー取付部77には、エンジン31覆う部材の1つであるサイドカバー38が取り付けられている。サイドカバー38は、左側の突出部75の左縁部と本体部71の左側の側縁部71Sとに接するように配置されている。
【0040】
以上説明した本実施形態に係るカウンタウェイト支持構造5によれば、建設機械1の旋回フレーム50(車体の一例)に設けられた支持部61と、取付具63を用いて支持部61に取り付けられたカウンタウェイト32と、を備え、カウンタウェイト32は、支持部61側に突出した係合部74を備え、支持部61は、係合部74が係合する被係合部64を備える。この構成によれば、係合部74が被係合部64に係合しているから、取付具63が破損した場合であってもカウンタウェイト32は係合部74と被係合部64を介して支持部61に支持され続ける。よって、本実施形態によれば、取付具63が破損した場合のカウンタウェイト32の脱落を防ぐことができる。
【0041】
また、本実施形態に係るカウンタウェイト支持構造5によれば、被係合部64は、凹部64Uを備え、係合部74の少なくとも一部分が凹部64Uに係合する。この構成によれば、簡潔な構成でカウンタウェイト32の脱落を防ぐことができる。
【0042】
また、本実施形態に係るカウンタウェイト支持構造5によれば、係合部74を被係合部64に固定する固定部材66を備える。この構成によれば、係合部74が被係合部64から外れることを防ぐことができる。
【0043】
また、本実施形態に係るカウンタウェイト支持構造5によれば、固定部材66を被係合部64に締結する締結部材67を備える。この構成によれば、固定部材66を容易に取り付けることができる。
【0044】
また、本実施形態に係るカウンタウェイト支持構造5によれば、カウンタウェイト32は、取付具63が挿入される貫通孔73を備え、支持部61は、取付具63が締結される締結孔62を備える。この構成によれば、カウンタウェイト32を支持部61に容易に固定することができる。
【0045】
また、本実施形態に係るカウンタウェイト支持構造5によれば、貫通孔73は、係合部74が突出する方向に沿って貫通している。この構成によれば、係合部74が突出する方向に沿って設けられた取付具63が破損した場合のカウンタウェイト32の脱落を防ぐことができる。
【0046】
また、本実施形態に係るカウンタウェイト支持構造5によれば、貫通孔73及び締結孔62は、水平方向の位置が互いに異なる2箇所に設けられ、係合部74及び被係合部64は、前記2箇所の間の位置に設けられている。この構成によれば、カウンタウェイト32の重心に近い位置で被係合部64がカウンタウェイト32を支持するから、取付具63が破損した場合のカウンタウェイト32の安定性を高めることができる。
【0047】
また、本実施形態に係るカウンタウェイト支持構造5によれば、貫通孔73及び締結孔62は、前記2箇所に加えて、係合部74及び被係合部64の上方又は下方に設けられている。この構成によれば、取付具63の負荷を分散させることができる。
【0048】
上記実施形態は以下のように変形されてもよい。
【0049】
[第1変形例]
図10は、第1変形例に係るカウンタウェイト支持構造5の主要部を示す斜視図である。本変形例では、係合部74に上下方向に貫通した孔(図示省略)が設けられ、被係合部64の凹部64Uには、係合部74の孔に対応する位置にねじ孔(図示省略)が設けられている。固定部材66は用いられない。締結部材67が係合部74の孔に挿入され、被係合部64のねじ孔に締結される。本変形例によれば、固定部材66を用いずに係合部74を被係合部64に固定することができる。
【0050】
[第2変形例]
図11は、第2変形例に係るカウンタウェイト支持構造5の主要部を示す斜視図である。本変形例では、上記実施形態の構成に加えて、係合部74の先端部の上縁部に直立した壁状の直立部74Aが設けられている。直立部74Aは、固定部材66の前面と対向している。本変形例によれば、係合部74が被係合部64から後方に抜け落ちることを防ぐことができる。
【0051】
[第3変形例]
図12は、第3変形例に係るカウンタウェイト支持構造5の主要部を示す斜視図である。本変形例では、上記実施形態の構成に加えて、係合部74の先端部の下縁部に直立した壁状の直立部74Bが設けられている。直立部74Bは、支持部61の前面と対向している。本変形例によれば、係合部74が被係合部64から後方に抜け落ちることを防ぐことができる。
【0052】
[第4変形例]
図13は、第4変形例に係るカウンタウェイト支持構造5の主要部を示す斜視図である。本変形例では、上記実施形態よりも係合部74が前方に長く形成されており、上記実施形態よりも係合部74が支持部61の前面から長く突出している。係合部74の突出した部分には、上下方向に貫通した孔(図示省略)が設けられている。孔には、棒状部材68が挿入され、棒状部材68の上端部と下端部の少なくとも一方が係合部74から突出している。
図13には、棒状部材68の一例としてボルトとナットが示されている。ボルトの頭部が固定部材66の前面と対向しており、ナットが支持部61の前面と対向している。本変形例によれば、係合部74が被係合部64から後方に抜け落ちることを防ぐことができる。
【0053】
[第5変形例]
図14は、第5変形例に係るカウンタウェイト支持構造5の主要部を示す斜視図である。本変形例では、係合部74の前後方向から見た断面形状が逆三角形であり、被係合部64の凹部64Uの断面形状がV字形である。本変形例によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0054】
上記実施形態に係るカウンタウェイト支持構造5は、以下のように特定することができる。
【0055】
<付記1>
建設機械の車体に設けられた支持部と、
取付具を用いて前記支持部に取り付けられたカウンタウェイトと、を備え、
前記カウンタウェイトは、前記支持部側に突出した係合部を備え、
前記支持部は、前記係合部が係合する被係合部を備えることを特徴とするカウンタウェイト支持構造。
【0056】
<付記2>
前記被係合部は、凹部を備え、
前記係合部の少なくとも一部分が前記凹部に係合することを特徴とする付記1に記載のカウンタウェイト支持構造。
【0057】
<付記3>
前記係合部を前記被係合部に固定する固定部材を備えることを特徴とする付記1又は2に記載のカウンタウェイト支持構造。
【0058】
<付記4>
前記固定部材を前記被係合部に締結する締結部材を備えることを特徴とする付記3に記載のカウンタウェイト支持構造。
【0059】
<付記5>
前記カウンタウェイトは、前記取付具が挿入される貫通孔を備え、
前記支持部は、前記取付具が締結される締結孔を備えることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載のカウンタウェイト支持構造。
【0060】
<付記6>
前記貫通孔は、前記係合部が突出する方向に沿って貫通していることを特徴とする付記5に記載のカウンタウェイト支持構造。
【0061】
<付記7>
前記貫通孔及び前記締結孔は、水平方向の位置が互いに異なる2箇所に設けられ、
前記係合部及び前記被係合部は、前記2箇所の間の位置に設けられていることを特徴とする付記5又は6に記載のカウンタウェイト支持構造。
【0062】
<付記8>
前記貫通孔及び前記締結孔は、前記2箇所に加えて、前記係合部及び前記被係合部の上方又は下方に設けられていることを特徴とする付記7に記載のカウンタウェイト支持構造。
【0063】
上記実施形態に係るカウンタウェイト32は、以下のように特定することができる。
【0064】
<付記A>
本体部と、
前記本体部の上縁部から上方に突出した1対の突出部と、を備え、
前記1対の突出部は、互いの下端部間の距離よりも上端部間の距離が小さくなるように傾斜していることを特徴とするカウンタウェイト。
付記Aに係るカウンタウェイトによれば、カウンタウェイトの重心を低くすることができる。
【0065】
<付記B>
前記本体部の1対の側縁部は、互いの下端部間の距離よりも上端部間の距離が小さくなるように傾斜しており、
前記突出部の各々は、前記側縁部の各々の上端部から突出し、前記側縁部に沿う方向に傾斜していることを特徴とする付記Aに記載のカウンタウェイト。
付記Bに係るカウンタウェイトによれば、カウンタウェイトの重心を低くすることができる。また、突出部の根本の応力集中を抑制することができる。
【0066】
<付記C>
前記1対の突出部の一方から他方側へ張り出した第1張出部を備えることを特徴とする付記A又はBに記載のカウンタウェイト。
付記Cに係るカウンタウェイトによれば、カウンタウェイトの質量を増やすことができる。
【0067】
<付記D>
前記1対の突出部の他方から一方側へ張り出した第2張出部を備えることを特徴とする付記Cに記載のカウンタウェイト。
付記Dに係るカウンタウェイトによれば、カウンタウェイトの質量をさらに増やすことができる。
【0068】
<付記E>
前記第1張出部と前記第2張出部は形状が異なっていることを特徴とする付記Dに記載のカウンタウェイト。
付記Eに係るカウンタウェイトによれば、カウンタウェイトの奥側の空間へのアクセスの容易性を低下させずに、カウンタウェイトの質量を増やすことができる。
【0069】
<付記F>
1対の突出部の一方又は他方から外側へ張り出した第3張出部を備えることを特徴とする付記D又はEに記載のカウンタウェイト。
付記Fに係るカウンタウェイトによれば、カウンタウェイトの奥側の空間へのアクセスの容易性を低下させずに、カウンタウェイトの質量をさらに増やすことができる。
【0070】
<付記G>
1対の突出部の上端部には、ボンネットを開閉可能に支持するヒンジが設けられていることを特徴とする請求項A乃至Fのいずれか1つに記載のカウンタウェイト。
付記Gに係るカウンタウェイトによれば、ボンネットを支持する構成を新たに設ける必要がないから、部品数の増加を抑制することができる。
【0071】
<付記H>
1対の突出部の少なくとも一方には、サイドカバーが取り付けられていることを特徴とする付記A乃至Gのいずれか1つに記載のカウンタウェイト。
付記Hに係るカウンタウェイトによれば、サイドカバーを支持する構成を新たに設ける必要がないから、部品数の増加を抑制することができる。
【0072】
上記実施形態では、油圧ショベルに本発明を適用した例が示されたが、移動式クレーンや基礎構造物に据え付けられるクレーン等に本発明が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 建設機械
5 カウンタウェイト支持構造
50 旋回フレーム(車体)
61 支持部
62 締結孔
63 取付具
64 被係合部
64U 凹部
66 固定部材
67 締結部材
32 カウンタウェイト
73 貫通孔
74 係合部