(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100384
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】自律神経判定システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61B5/16 110
A61B5/16 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004346
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】野々村 琢人
(72)【発明者】
【氏名】島田 紗樹
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP01
4C038PP05
4C038PS00
4C038PS03
4C038PS07
(57)【要約】
【課題】睡眠状態に応じて自律神経を判定できる自律神経判定システムを提供する。
【解決手段】自律神経判定システム1は、使用者の呼吸を示す情報である呼吸情報、使用者の体動を示す情報である体動情報、及び使用者の脳波を示す情報である脳波情報の少なくとも1つと、使用者の心拍を示す情報である心拍情報と、を取得するセンサ部11と、心拍情報から使用者の自律神経の状態を示す情報である自律神経情報を取得する自律神経取得部12と、呼吸情報、体動情報、心拍情報、及び脳波情報の少なくとも1つから使用者の睡眠状態を取得する睡眠状態取得部13と、自律神経情報及び睡眠状態の双方から使用者の自律神経を判定する自律神経判定部15と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
就床時刻から起床時刻までの使用者の自律神経を判定する自律神経判定システムであって、
前記使用者の呼吸を示す情報である呼吸情報、前記使用者の体動を示す情報である体動情報、及び前記使用者の脳波を示す情報である脳波情報の少なくとも1つと、前記使用者の心拍を示す情報である心拍情報と、を取得するセンサ部と、
前記心拍情報から前記使用者の自律神経の状態を示す情報である自律神経情報を取得する自律神経取得部と、
前記呼吸情報、前記体動情報、前記心拍情報、及び前記脳波情報の少なくとも1つから前記使用者の睡眠状態を取得する睡眠状態取得部と、
前記自律神経情報及び前記睡眠状態の双方から前記使用者の前記自律神経を判定する自律神経判定部と、を備える、
自律神経判定システム。
【請求項2】
前記就床時刻から前記起床時刻までの間において、前記体動情報から前記使用者の前記体動が生じていない検出対象時間帯を判定する時間帯判定部をさらに備え、
前記自律神経判定部は、前記検出対象時間帯における前記使用者の前記自律神経を判定する、
請求項1に記載の自律神経判定システム。
【請求項3】
前記自律神経判定部の判定結果を用いて前記使用者の周囲の環境を構成する機器の動作を制御する機器制御部をさらに備える、
請求項1又は2に記載の自律神経判定システム。
【請求項4】
前記自律神経判定部の判定結果を用いて前記使用者の生活を支援する情報である支援情報を取得する支援情報取得部と、
前記支援情報を表示する表示部と、をさらに備える、
請求項1又は2に記載の自律神経判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律神経判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-543号公報には、ユーザの手首に装着されるウェアラブル機器が開示されている。このウェアラブル機器は、生体情報としての脈拍数を算出する脈拍センサを備える。当該脈拍センサによって検出された脈波信号に基づいて、自律神経の活動状態が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、睡眠時における自律神経の判定に際しては、覚醒時における自律神経の判定基準と同様の基準を用いることが必ずしも適切でない場合がある。例えば、覚醒時においては、交感神経と副交感神経のバランスがよいことが望ましい。一方で、睡眠時においては、理想的な自律神経の状態は、睡眠状態に応じて異なる場合がある。よって、睡眠状態に応じて自律神経を判定できることが望ましい。
【0005】
本開示は、睡眠状態に応じて自律神経を判定できる自律神経判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る自律神経判定システムは、(1)就床時刻から起床時刻までの使用者の自律神経を判定する自律神経判定システムである。自律神経判定システムは、使用者の呼吸を示す情報である呼吸情報、使用者の体動を示す情報である体動情報、及び使用者の脳波を示す情報である脳波情報の少なくとも1つと、使用者の心拍を示す情報である心拍情報と、を取得するセンサ部と、心拍情報から使用者の自律神経の状態を示す情報である自律神経情報を取得する自律神経取得部と、呼吸情報、体動情報、心拍情報、及び脳波情報の少なくとも1つから使用者の睡眠状態を取得する睡眠状態取得部と、自律神経情報及び睡眠状態の双方から使用者の自律神経を判定する自律神経判定部と、を備える。
【0007】
本開示に係る自律神経判定システムは、呼吸情報、体動情報、心拍情報、及び脳波情報の少なくとも1つから使用者の睡眠状態を取得する。この自律神経判定システムは、自律神経取得部によって取得された自律神経情報、及び睡眠状態取得部によって取得された睡眠状態の双方から使用者の自律神経を判定する。例えば、入眠時には交感神経よりも副交感神経が優位であり、起床時には副交感神経よりも交感神経が優位であることが望ましい。自律神経判定システムでは、使用者の眠りが深いか浅いか、又は熟睡できているか否か等を示す睡眠状態を加味して自律神経を判定することができる。例えば、レム睡眠時にはノンレム睡眠時と比較して自律神経が乱れやすい傾向にある。使用者の睡眠状態を取得することで、使用者がレム睡眠時であるか否かを判定できるので、使用者がレム睡眠の状態であるか否かを加味した上で自律神経を評価できる。従って、使用者の睡眠状態に応じて自律神経を判定できる。
【0008】
(2)上記(1)において、自律神経判定システムは、就床時刻から起床時刻までの間において、体動情報から使用者の体動が生じていない検出対象時間帯を判定する時間帯判定部をさらに備えてもよい。自律神経判定部は、検出対象時間帯における使用者の自律神経を判定してもよい。例えば、覚醒時とは異なり、睡眠時においては、寝返りを打つことが普通であるため身体を動かさない状態を維持することができない。使用者の体動が生じている時間帯における自律神経を判定した場合、体動によって、取得する自律神経情報の精度が低下することがあるので、自律神経の判定精度が低下しうる。よって、使用者の体動が生じていない検出対象時間帯における自律神経を判定することで、判定精度の低下を抑制できる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)において、自律神経判定システムは、自律神経判定部の判定結果を用いて使用者の周囲の環境を構成する機器の動作を制御する機器制御部をさらに備えてもよい。この場合、使用者の自律神経の状態に応じて、例えば、使用者の周囲に配置されたエアコン等の機器の動作を制御できる。よって、判定された自律神経の状態に応じて使用者の睡眠環境を快適にすることができる。
【0010】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、自律神経判定システムは、自律神経判定部の判定結果を用いて使用者の生活を支援する情報である支援情報を取得する支援情報取得部と、支援情報を表示する表示部と、をさらに備えてもよい。この場合、判定された使用者の自律神経の状態に応じた支援情報を表示することによって、使用者の生活を支援することができる。例えば、判定された自律神経の状態に応じた食事の内容を提案できる。よって、使用者の自律神経の判定結果を用いて使用者の生活を一層快適にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、睡眠状態に応じて自律神経を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る自律神経判定システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2(a)は、センサ部が取り付けられるクッション体を示す斜視図である。
図2(b)は、
図2(a)に示されたクッション体を構成する芯材を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、自律神経判定システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、サーバに保存された支援データベースの一例を示す表である。
【
図5】
図5(a)は、入眠時における自律神経の判定結果の表示の一例を示す図である。
図5(b)は、起床時における自律神経の判定結果の表示の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、自律神経の判定結果の表示の別例を示す図である。
【
図7】
図7は、サーバに保存された自律神経データベースの一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る自律神経判定システムの実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0014】
本開示に係る自律神経判定システムは、就床時刻から起床時刻までの使用者の自律神経を判定する。自律神経判定システムは、例えば、個人用又は家庭用として用いられてもよいし、試験研究用として研究所等で用いられるものであってもよい。また、自律神経判定システムは、治療用として病院等で用いられるものであってもよい。「使用者」は、自律神経判定システムにより自律神経を判定される対象となる者を言う。使用者は、例えば、自律神経の乱れ等による健康リスクを抱える者、病院等で睡眠治療を受ける者、又は自己の自律神経の判定を希望する者である。
【0015】
「自律神経」とは、心臓、若しくは胃等の臓器の働き、又は血液循環等の不随意な機能をコントロールしている神経を言う。ここで言う「不随意的」とは、例えば、自らの思いのままにならないこと、又は、自らの意思の通りにならないことを示す。自律神経は、交感神経と副交感神経からなる。交感神経及び副交感神経は、互いにバランスを取りながら調整されている。交感神経及び副交感神経のバランスは、以下では単に「自律神経のバランス」と称することがある。「自律神経のバランスがよい」とは、本実施形態では、覚醒時においては交感神経と副交感神経とが拮抗的にはたらく状態を示し、入眠時においては副交感神経が交感神経よりも優位である状態を示している。
【0016】
交感神経は、興奮したとき、緊張したとき、又はストレスを受けたとき等にはたらく。交感神経がはたらくことで、心拍がはやくなる、呼吸が浅く且つはやくなる、血管が収縮する、又は血圧が上昇する等の反応が身体に表れる。副交感神経は、リラックスしたとき等にはたらく。副交感神経がはたらくことで、心拍が遅くなる、呼吸が深く且つ遅くなる、血管が拡張する、血圧が低下する、又は免疫機能が上昇する等の反応が身体に表れる。このような自律神経反応は、人物の意思で意図的にコントロールできないため、情動、感情、疲労、及びストレス等の客観的指標として用いられる。
【0017】
図1は、一実施形態に係る自律神経判定システムを示すブロック図である。自律神経判定システム1は、例えば、コンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、腕時計、又はウェアラブル端末等の情報端末からアクセス可能とされている。自律神経判定システム1は、例えば、自律神経判定システム1の外部のサーバ101と通信可能に接続されている。自律神経判定システム1は、例えば、センサ部11と、自律神経判定アプリケーション20とを備える。
【0018】
自律神経判定アプリケーション20は、例えば、情報端末において実行されるアプリケーションプログラムである。自律神経判定アプリケーション20は、情報端末にダウンロードされるアプリケーションであって情報端末において実行されるアプリケーションであってもよいし、サーバ101において実行されてもよい。自律神経判定アプリケーション20はサーバ101からダウンロードされるものであってもよい。以下では、自律神経判定アプリケーション20が情報端末にダウンロードされたアプリケーションであって、自律神経判定アプリケーション20の機能が当該情報端末において実行される例について説明する。
【0019】
「情報端末」は、例えば、携帯端末である。「携帯端末」は、例えば、スマートフォンを含む携帯電話、タブレット又はノートパソコン等、携帯可能な情報端末を示している。「情報端末」は、携帯端末以外の端末であってもよく、例えば、デスクトップのパソコンであってもよい。「情報端末」は、一例として、オペレーティングシステム及びソフトウェア(アプリケーション)等を実行するプロセッサ(例えばCPU)と、ROM及びRAMによって構成される主記憶部と、フラッシュメモリ等によって構成される補助記憶部と、無線通信モジュール等によって構成される通信制御部と、入力装置と、ディスプレイ等の出力装置とを備える。但し、「情報端末」の構成は、上記に限定されず適宜変更可能である。
【0020】
自律神経判定アプリケーション20の各機能は、プロセッサ又は主記憶部に所定のソフトウェアを読み込ませて当該ソフトウェアを実行することによって実現される。プロセッサは、当該ソフトウェアに従って、前述した通信制御部、入力装置又は出力装置を動作させ、主記憶部又は補助記憶部におけるデータの読み出し及び書き込みを行う。自律神経判定アプリケーション20の機能の実行に必要なデータ又はデータベースは主記憶部又は補助記憶部に格納される。
【0021】
「情報端末」の各機能要素は、プロセッサ又は記憶部(例えば前述した主記憶部又は補助記憶部)に所定のソフトウェアを読み込ませて当該ソフトウェアを実行することによって実現される。プロセッサは、当該ソフトウェアに従って、前述した通信制御部、入力装置又は出力装置を動作させ、記憶部におけるデータの読み出し及び書き出しを行う。「情報端末」の処理に用いられるデータ又はデータベースは記憶部に格納される。
【0022】
自律神経判定アプリケーション20は、複数のコンピュータによって構成される分散処理システムであってもよいし、クライアントサーバシステム、又はクラウドシステムであってもよい。本実施形態に係る自律神経判定アプリケーション20は、例えば、メインモジュール、データ取得モジュール、判定モジュール、及び出力モジュールを含む。データ取得モジュール、判定モジュール、及び出力モジュールが実行されることによって自律神経判定アプリケーション20の各機能要素が機能する。自律神経判定アプリケーション20は、一例として、CD-ROM、DVD-ROM、又は半導体メモリ等の有形の記憶媒体に固定的に記録された上で提供されるものであってもよい。また、自律神経判定アプリケーション20は、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されるものであってもよい。
【0023】
センサ部11は、使用者の身体の情報を取得する。センサ部11は、呼吸情報、体動情報、心拍情報、及び脳波情報の少なくとも1つを取得する。本実施形態では、センサ部11は、呼吸情報、体動情報、及び心拍情報を取得する。呼吸情報は、使用者の呼吸を示す情報である。体動情報は、使用者の体動を示す情報である。心拍情報は、使用者の心拍を示す情報である。脳波情報は、使用者の脳波を示す情報である。センサ部11が取得する情報の内容は、例えば、適宜変更可能である。センサ部11は、例えば、血圧を示す情報を取得してもよい。
【0024】
図2(a)は、センサ部11が取り付けられるクッション体10を示す斜視図である。
図2(b)は、
図2(a)に示されたクッション体10を構成する芯材2を示す斜視図である。
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示されるように、センサ部11は、例えば、クッション体10に着脱可能なセンサシートである。センサ部11は、クッション体10に横たわる使用者のバイタルデータを取得する。一例として、センサ部11は心電図を取得してもよい。前述した呼吸情報、体動情報、及び心拍情報は、例えば、上記のバイタルデータに含まれる。
【0025】
例えば、センサ部11は糸状センサが刺繍されたシート状生地を有し、クッション体10に対する当該シート状生地の位置は変更可能とされている。センサ部11の糸状センサは、例えば、当該シート状生地において2次元的に広がるように刺繍によって固定されている。当該糸状センサは、一例として、圧電センサである。この場合、センサ部11の圧電センサが付与された使用者の身体の荷重から当該荷重に応じた電気信号を生成し、センサ部11は当該電気信号を前述した呼吸情報、体動情報及び心拍情報として取得する。呼吸情報、体動情報及び心拍情報として取得される電気信号を以下では「信号」と称することがある。
【0026】
センサ部11は、例えば、上記の糸状センサ(一例として圧電センサ)と、糸状センサにより生成された電気信号としての呼吸情報、体動情報、及び心拍情報をセンサ部11の外部に出力する通信部とを有する。上記では、センサ部11が圧電センサを有する例について説明した。しかし、センサ部11のセンサの種類は、圧電センサに限られず、特に限定されない。例えば、センサ部11は、加速度センサを含んでいてもよい。
【0027】
呼吸情報は、使用者の呼吸に伴う体動を示す信号を含む。「呼吸に伴う体動」とは、呼吸に伴う身体の動きを示している。センサ部11は、使用者の呼吸に伴う体動を検出する。センサ部11は、当該呼吸に伴う体動を示す信号をセンサ部11の外部に出力する。心拍情報は、使用者の心拍に伴う体動を示す信号を含む。「心拍に伴う体動」とは、心拍に伴う身体の動きを示している。センサ部11は、使用者の心拍に伴う体動を検出する。センサ部11は、当該心拍に伴う体動を示す信号をセンサ部11の外部に出力する。体動情報は、使用者の呼吸及び心拍に伴わない体動を示す信号を含む。「呼吸及び心拍に伴わない体動」とは、呼吸及び心拍とは関係がない身体の動き、例えば、寝返りによる身体の移動を示している。センサ部11は、使用者の呼吸及び心拍に伴わない体動を検出する。センサ部11は、呼吸及び心拍に伴わない体動を示す信号をセンサ部11の外部に出力する。
【0028】
例えば、センサ部11は、使用者の身体に載せられるクッション体10に取り付けられて用いられる。クッション体10は、平面視において長方形状を呈する。クッション体10は、長手方向D1、及び長手方向D1と直交する短手方向D2に延在する。クッション体10は、長手方向D1及び短手方向D2の双方に直交する厚さ方向D3に厚みを有する。
【0029】
クッション体10の長手方向D1の長さは、例えば、120cm以上且つ210cm以下(一例として195cm)である。クッション体10の短手方向D2の長さは、例えば、70cm以上且つ180cm以下(一例として97cm)である。クッション体10の厚さ方向D3の長さは、例えば、3cm以上且つ40cm以下(一例として9cm)である。
【0030】
本実施形態では、クッション体10は、マットレスである。クッション体10の使用者は、自らの身体をクッション体10の上に載せる。このとき、横たわった使用者の身体が延びる方向(すなわち、使用者の頭部と脚部とを結ぶ方向)は、例えば、クッション体10の長手方向D1と一致する。
【0031】
図2(b)に示されるように、クッション体10は、後述する側地3の内部に収容される芯材2を有する。本実施形態では、芯材2は、平面視において長方形状を呈する。芯材2は、例えば、内容物と、当該内容物を収容する袋体とを有する。内容物は、例えば、ウレタンフォーム、ポリエステルである。袋体の材料は、例えば、綿、ポリエステルである。
【0032】
芯材2は、直方体形状を呈する。芯材2は、使用者の身体が載せられる上面21と、上面21とは反対側を向く下面22とを有する。上面21は、厚さ方向D3の一方側(
図2(b)における上側)を向く面である。下面22は、厚さ方向D3の他方側(
図2(b)における下側)を向く面である。また、芯材2は、上面21と下面22とを繋ぐ複数の側面23を有する。
【0033】
図2(a)に示されるように、クッション体10は、側地3を有する。本実施形態では、側地3は、袋状であり、平面視において長方形状を呈する。側地3は、例えば、芯材2の上面21を覆う表地31と、芯材2の下面22を覆う裏地32と、表地31及び裏地32を互いに繋ぐ開閉部材33とを有する。開閉部材33は、側地3における芯材2の側面23に対応する位置に設けられている。厚さ方向D3から見た場合において、開閉部材33は、芯材2の側面23の外側に位置する。側地3は、芯材2から着脱可能とされている。「芯材から着脱可能」とは、芯材に対して側地を捲り上げること、及び、側地を捲って芯材の少なくとも一部を露出させることを含んでいる。
【0034】
開閉部材33は、一例として、いわゆるダブルスライダである。すなわち、開閉部材33は、2つのスライド部材34と、スライド部材34のスライドによって表地31及び裏地32を開閉する開閉部35とを有してもよい。
【0035】
この場合、一方のスライド部材34を開閉部35に沿って一方向(
図2(a)における時計回りの方向)にスライドさせると共に、他方のスライド部材34を開閉部35に沿って他方向(
図2(a)における反時計回りの方向)にスライドさせることで、表地31及び裏地32を開くことができる。
【0036】
また、一方のスライド部材34を開閉部35に沿って他方向にスライドさせると共に、他方のスライド部材34を開閉部35に沿って一方向にスライドさせることで、表地31及び裏地32を閉じることができる。開閉部材33は、いわゆるシングルスライダであってもよい。この場合、開閉部材33は、1つのスライド部材34と、開閉部35とを有する。
【0037】
センサ部11は、例えば、袋状の側地3の内部に配置されている。より具体的には、センサ部11は、芯材2と側地3との間に配置されている。センサ部11がクッション体10に取り付けられるに際し、例えば、センサ部11は、クッション体10の短手方向D2に延びるように配置される。この場合、センサ部11は、クッション体10の側地3から見て使用者の身体とは反対側に位置する。よって、クッション体10に使用者の身体が載せられたとき、センサ部11は、使用者に対して非接触となる。センサ部11は、非接触で使用者の呼吸情報、体動情報、及び心拍情報を取得する。
【0038】
センサ部11は、例えば、長手方向D1における使用者の心臓と対応する位置に取り付けられる。センサ部11は、一例として、使用者の頭部が載せられる位置からクッション体10の長手方向D1に離隔した位置(
図2(a)における右下側の位置)までのいずれかの位置に取り付けられる。長手方向D1におけるセンサ部11の取付位置は変更可能とされている。使用者の頭部が載せられる位置からセンサ部11が取り付けられる位置までの距離は、例えば、40cm以上且つ50cm以下(一例として50cm)であってもよい。
【0039】
自律神経判定アプリケーション20は、例えば、呼吸情報、体動情報、及び心拍情報から使用者の就床時刻及び起床時刻を取得する。就床時刻とは、使用者が床についた時刻を言う。起床時刻とは、使用者が翌朝等に起床した時刻を言う。自律神経判定アプリケーション20は、例えば、センサ部11によって取得された体動情報、及びセンサ部11の加速度センサによって検知された寝具の動きから就床時刻を判定して就床時刻の取得を行ってもよい。起床時刻の取得も同様である。上記の例とは異なり、使用者が情報端末で自律神経判定アプリケーション20を操作して、使用者の操作によって就床時刻及び起床時刻の取得が行われてもよい。
【0040】
自律神経判定アプリケーション20は、例えば、自律神経取得部12と、睡眠状態取得部13と、時間帯判定部14とを有する。自律神経取得部12は、心拍情報から自律神経情報を取得する。自律神経取得部12は、自律神経情報を取得すると共に、ストレス度を算出してもよい。例えば、自律神経取得部12は、センサ部11によって取得された呼吸情報、心拍情報及び体動情報の少なくともいずれかからストレス度を算出する。
【0041】
自律神経取得部12が取得する自律神経情報は、使用者の自律神経の状態を示す情報である。自律神経取得部12は、例えば、センサ部11によって取得された心拍情報を解析することで、使用者の心拍変動(HRV:Heart Rate Variability)を取得する。自律神経取得部12は、使用者の心拍変動から自律神経情報を取得する。例えば、自律神経情報は、心拍変動に含まれる周期性成分を示す情報を含む。なお、自律神経情報を取得する方法は、上記の例に限られず、適宜変更可能である。
【0042】
睡眠状態取得部13は、使用者の睡眠状態を取得する。睡眠状態は、使用者の睡眠の深さを示す睡眠段階を含む。睡眠段階は、例えば、覚醒、レム睡眠、及びノンレム睡眠に分類される。ノンレム睡眠は、4種類の睡眠段階に分類される。睡眠状態取得部13は、センサ部11によって取得された呼吸情報、体動情報、心拍情報、及び脳波情報の少なくとも1つから睡眠状態を取得する。本実施形態では、睡眠状態取得部13は、センサ部11によって取得された呼吸情報、体動情報、及び心拍情報から睡眠状態として睡眠段階を取得する。睡眠状態取得部13は、例えば、センサ部11から出力された呼吸に伴う体動を示す信号、心拍に伴う体動を示す信号、並びに、呼吸及び心拍に伴わない体動を示す信号を用いて睡眠状態を取得する。
【0043】
時間帯判定部14は、センサ部11によって取得された体動情報から検出対象時間帯を判定する。検出対象時間帯とは、就床時刻から起床時刻までの間において、使用者の体動が生じていない時間帯を言う。「体動が生じていない時間帯」とは、例えば、仰臥位及び側臥位のいずれかが維持されている時間帯を示している。「体動が生じていない時間帯」は、就床時刻から起床時刻までの間における寝返りを打っている時間以外の時間帯であってもよい。例えば、時間帯判定部14は、センサ部11から出力された使用者の呼吸及び心拍に伴わない体動を示す信号から検出対象時間帯を判定する。
【0044】
さらに、自律神経判定アプリケーション20は、自律神経判定部15と、機器制御部16と、支援情報取得部17とを有する。自律神経判定部15は、自律神経取得部12によって取得された自律神経情報、及び睡眠状態取得部13によって取得された睡眠状態の双方から使用者の自律神経を判定する。本実施形態では、自律神経判定部15は、時間帯判定部14により判定された検出対象時間帯における使用者の自律神経を判定する。自律神経判定部15は、例えば、自律神経情報に含まれる心拍変動の周期性成分を周波数解析し、各周波数のパワースペクトルから自律神経を判定する。
【0045】
上記の周波数解析の結果として得られる自律神経のパワースペクトルは、低周波数帯(一例として0.04Hz~0.15Hz)におけるパワースペクトルの積分値であるLF(Low Frequency)成分と、高周波数帯(一例として0.15Hz~0.4Hz)におけるパワースペクトルの積分値であるHF(High Frequency)成分とに分けられる。LF成分は交感神経活動及び副交感神経活動を反映しており、HF成分は副交感神経活動を反映している。自律神経判定部15は、例えば、交感神経の優位性を示す指標として交感神経指標を用いてもよい。交感神経指標は、一例として、LF成分の値をHF成分の値で除した値である。また、自律神経判定部15は、例えば、副交感神経の優位性を示す指標として副交感神経指標を用いてもよい。副交感神経指標は、一例として、HF成分の値をLF成分及びHF成分の和で除した値である。
【0046】
自律神経判定部15は、例えば、交感神経指標から使用者のアクティブ度を算出する。アクティブ度は、副交感神経に対する交感神経の優位さを示す度合いである。自律神経判定部15は、例えば、副交感神経指標から使用者のリラックス度を算出する。リラックス度は、交感神経に対する副交感神経の優位さを示す度合いである。自律神経判定部15は、例えば、使用者のアクティブ度及びリラックス度から、使用者の自律神経の状態を分類する。自律神経の状態の分類については、後述する。
【0047】
自律神経判定部15は、例えば、使用者の睡眠状態に応じて自律神経を判定する。例えば、レム睡眠時にはノンレム睡眠時と比較して自律神経が乱れやすい傾向にある。「自律神経が乱れる」とは、一例として、心拍変動に関与する扁桃体の活動が活発になり、自律神経の恒常性が維持されなくなることを言う。自律神経判定部15は、例えば、使用者以外の人物のレム睡眠時における自律神経の状態を示す情報を予め記憶していてもよい。自律神経判定部15は、自律神経取得部12によって取得された使用者の自律神経情報と、予め記憶している自律神経の状態を示す情報とを比較して使用者の自律神経を判定してもよい。
【0048】
機器制御部16は、使用者の周囲の環境を構成する機器102の動作を制御する。機器制御部16は、自律神経判定部15の判定結果を用いて機器102の動作を制御する。機器102は、例えば、使用者の寝室に設置されたエアコン、照明器具、音楽プレーヤ、アロマディフューザ、使用者の身体に掛けられる電気毛布、又は温熱治療器である。機器制御部16は、機器102と通信可能とされている。例えば機器102がエアコンである場合、機器制御部16は、機器102の動作を制御することで使用者が居る空間の温度制御を行ってもよい。
【0049】
支援情報取得部17は、自律神経判定部15の判定結果を用いてサーバ101から支援情報を取得する。なお、支援情報取得部17は、サーバ101から支援情報を取得せず、自律神経判定アプリケーション20のダウンロードによって情報端末に記憶されたデータから当該データに含まれる支援情報を取得してもよい。支援情報とは、使用者の生活を支援する情報を言う。支援情報は、例えば、起床後に使用者が摂った方が望ましい食事の内容を示す情報を含む。例えば、支援情報取得部17は、自律神経判定部15の判定結果から入眠のしやすさ、起床時の眠気、疲労回復度、及び生体リズムの少なくともいずれかを判定して支援情報を取得する。支援情報取得部17は、例えば、サーバ101に保存されたデータベースに格納されたテーブルデータと、自律神経判定部15の判定結果とを用いて支援情報を取得する。支援情報の具体例、及び、支援情報を取得する具体的な方法については、後に詳述する。
【0050】
自律神経判定システム1は、表示部18を備える。表示部18は、例えば、自律神経判定アプリケーション20によって生成された情報を情報端末のディスプレイに表示する。表示部18は、例えば、情報端末の例である、ユーザが所有するコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、又はウェアラブル端末のディスプレイに当該情報を表示してもよい。ユーザは、例えば、使用者、使用者の家族を含む使用者の関係者、又は使用者の治療を行う医師である。
【0051】
表示部18は、支援情報取得部17によって取得された支援情報を表示する。表示部18は、情報端末のディスプレイに支援情報を表示する。表示部18は、例えば、入眠時のリラックス度、及び起床時のアクティブ度から、睡眠時における使用者の自律神経の状態に応じた助言を示すコメントを支援情報として表示してもよい。
【0052】
本実施形態では、表示部18は、支援情報に加えて、自律神経判定部15の判定結果を表示する。表示部18は、例えば、入眠時のリラックス度、及び起床時のアクティブ度から、使用者の自律神経の状態の評価を示す情報を表示する。表示部18は、例えば、自律神経情報及び睡眠状態から、入眠時及び起床時の自律神経のバランスを示す情報を表示してもよい。前述した助言を示すコメント、評価を示す情報、及び、自律神経のバランスを示す情報の具体例については、後に詳述する。
【0053】
センサ部11と自律神経判定アプリケーション20との間の通信、自律神経判定アプリケーション20とサーバ101との間の通信、及び、機器制御部16と機器102との間の通信は、例えば、無線LAN(Local Area Network)、又はBluetooth(登録商標)等の無線通信インタフェースにより実現されてもよい。また、これらの通信は、有線により実現されてもよい。
【0054】
続いて、本実施形態に係る自律神経判定システム1の動作の一例について説明する。
図3は、自律神経判定システム1の動作の一例を示すフローチャートである。自律神経判定システム1を動作させる前に、まず、クッション体10にセンサ部11を取り付ける。クッション体10に使用者の身体が載せられたときにセンサ部11が使用者に対して非接触となるように、センサ部11をクッション体10に取り付ける。例えば、センサ部11を芯材2及び側地3の間に配置する。次に、センサ部11が取り付けられたクッション体10に使用者の身体を横たえる。使用者の身体は、例えば、側地3の表地31に接するようにクッション体10に載せられる。
【0055】
続いて、使用者の呼吸に伴う体動、心拍に伴う体動、並びに、呼吸及び心拍に伴わない体動から、センサ部11が呼吸情報、体動情報、及び心拍情報を取得する(工程S1)。工程S1では、センサ部11が使用者の呼吸に伴う体動、心拍に伴う体動、並びに、呼吸及び心拍に伴わない体動を検出する。センサ部11は、呼吸に伴う体動を示す信号、心拍に伴う体動を示す信号、並びに、呼吸及び心拍に伴わない体動を示す信号をセンサ部11の外部に出力する。
【0056】
次に、自律神経取得部12が心拍情報から自律神経情報を取得する(工程S2)。工程S2では、例えば、自律神経取得部12が、センサ部11によって取得された心拍情報を解析することで使用者の心拍変動を取得する。工程S2では、自律神経取得部12が使用者の心拍変動から自律神経情報を取得する。自律神経情報は、例えば、心拍のR波の周波数を示す情報を含む。
【0057】
続いて、睡眠状態取得部13がセンサ部11によって取得された呼吸情報、体動情報、及び心拍情報から使用者の睡眠状態を取得する(工程S3)。例えば、睡眠状態取得部13は、センサ部11から出力された信号から睡眠状態を取得する。工程S3では、睡眠状態取得部13は、例えば、呼吸情報、体動情報、及び心拍情報から使用者の睡眠段階を取得する。
【0058】
そして、時間帯判定部14がセンサ部11によって取得された体動情報から検出対象時間帯を判定する(工程S4)。工程S4では、時間帯判定部14は、センサ部11によって取得された使用者の呼吸及び心拍に伴わない体動を示す信号から検出対象時間帯を判定する。具体例として、時間帯判定部14は、仰臥位が一定時間(一例として1分)以上継続している時間帯、及び側臥位が一定時間(一例として1分)以上継続している時間帯、を検出対象時間帯とする。
【0059】
続いて、自律神経判定部15が自律神経取得部12によって取得された自律神経情報、及び、睡眠状態取得部13によって取得された睡眠状態の双方から使用者の自律神経を判定する(工程S5)。工程S5では、自律神経判定部15が時間帯判定部14によって判定された検出対象時間帯における使用者の自律神経を判定する。自律神経判定部15は、例えば、自律神経情報に含まれる心拍変動から周波数解析を実行し、各周波数のパワースペクトルから自律神経を判定する。自律神経判定部15は、例えば、心拍変動の周波数解析により得られた交感神経指標及び副交感神経指標を算出する。
【0060】
工程S5において、自律神経判定部15は、例えば、睡眠状態取得部13によって取得された睡眠状態に応じて自律神経を判定する。自律神経判定部15は、例えば、自律神経取得部12によって取得された使用者の自律神経情報と、予め記憶されている自律神経の状態を示す情報とを比較して使用者の自律神経を判定してもよい。自律神経判定部15による自律神経の判定は、例えば、以下の手順で行われる。
【0061】
自律神経判定部15は、交感神経指標から使用者のアクティブ度を算出する。自律神経判定部15は、副交感神経指標から使用者のリラックス度を算出する。自律神経判定部15は、入眠時のリラックス度、及び起床時のアクティブ度から、使用者の自律神経の状態を複数(一例として4つ)のゾーン(例えば、理想ゾーン、疲労ゾーン、ストレスゾーン、及び体内リズム乱れゾーン)に分類する。
【0062】
例えば、自律神経判定部15は、リラックス度の高低、及びアクティブ度の高低から上記の分類を行う。「リラックス度が高い」とは、例えば、副交感神経指標が所定の閾値以上であることを示している。「リラックス度が低い」とは、例えば、副交感神経指標が所定の閾値未満であることを示している。また、「アクティブ度が高い」とは、例えば、交感神経指標が所定の閾値以上であることを示している。「アクティブ度が低い」とは、例えば、交感神経指標が所定の閾値未満であることを示している。当該所定の閾値は、適宜変更可能である。
【0063】
入眠時のリラックス度が高く、且つ、起床時のアクティブ度が高い場合、自律神経判定部15は、使用者の自律神経の状態が理想ゾーンに位置すると判定する。入眠時のリラックス度が低く、且つ、起床時のアクティブ度が高い場合、自律神経判定部15は、使用者の自律神経の状態がストレスゾーンに位置すると判定する。入眠時のリラックス度が高く、且つ、起床時のアクティブ度が低い場合、自律神経判定部15は、使用者の自律神経の状態が疲労ゾーンに位置すると判定する。入眠時のリラックス度が低く、且つ、起床時のアクティブ度が低い場合、自律神経判定部15は、使用者の自律神経の状態が体内リズム乱れゾーン(自律神経乱れゾーン)に位置すると判定する。
【0064】
次に、機器制御部16が自律神経判定部15の判定結果を用いて機器102の動作を制御する(工程S6)。工程S6では、例えば、機器制御部16が使用者の寝室に設置されたエアコンの動作を制御する。一例として、機器制御部16は、自律神経判定部15による自律神経の判定結果に応じて寝室の気温が上がるように(又は下がるように)エアコンの動作を制御してもよい。
【0065】
工程S6において、例えば、機器制御部16は寝室の明るさを調整してもよい。この場合、機器102は、例えばライト等の照明器具である。使用者が起床する予定の時刻であるにもかかわらず交感神経よりも副交感神経が優位である場合、機器制御部16は照明器具を制御して寝室を通常よりも明るくしてもよい。寝室が明るくなる結果、使用者が起床しやすくさせる効果が生じ、副交感神経よりも交感神経を優位にさせることが期待できる。
【0066】
工程S6において、例えば、機器制御部16は機器102を制御して使用者の寝床の温度を調整してもよい。この場合、機器102は、例えば使用者に掛けられる電気毛布である。前述の通り、レム睡眠時における自律神経は、ノンレム睡眠時における自律神経と比較して乱れやすい。使用者の睡眠状態が、ノンレム睡眠の状態であるにもかかわらず交感神経が副交感神経に対して優位である場合、使用者がストレスを受けている可能性がある。この場合、機器制御部16は暖房機器を制御して寝床の温度を上げてもよいし、下げてもよい。
【0067】
続いて、支援情報取得部17が自律神経判定部15の判定結果を用いて支援情報を取得する(工程S7)。例えば、支援情報取得部17は、サーバ101から支援情報を取得する。支援情報取得部17は、例えば、サーバ101に保存されたデータベースに格納されたテーブルデータと、自律神経判定部15の判定結果とを用いて支援情報を取得する。
【0068】
工程S7における動作の具体例を、
図4を参照しながら説明する。
図4は、支援データベースDB1に格納されているテーブルの一例を示す表である。支援データベースDB1は、例えば、サーバ101に保存されている。しかし、支援データベースDB1は、自律神経判定アプリケーション20が保有するデータの一部であってもよく、情報端末にダウンロードされているものであってもよい。支援データベースDB1には、支援情報取得部17によって取得される複数の支援情報が予め格納されている。
【0069】
前述したように、支援情報取得部17は、例えば、自律神経判定部15の判定結果から入眠のしやすさ、起床時の眠気、疲労回復度、及び生体リズムの少なくともいずれかを判定する。一例として、支援データベースDB1のテーブルでは、左側のカラムに、支援情報取得部17が実行する判定の内容が記載されている。支援データベースDB1のテーブルの中央のカラムには、支援情報取得部17による判定の対象が記載されている。支援データベースDB1のテーブルの右側のカラムには、支援情報取得部17により取得される支援情報の内容が記載されている。工程S7において、支援情報取得部17は支援データベースDB1を参照する。例えば、支援情報取得部17は、サーバ101と通信することで、支援データベースDB1を参照する。このとき、支援情報取得部17は、支援データベースDB1のテーブルから支援情報を取得する。
【0070】
工程S7において、支援情報取得部17は、例えば、入眠のしやすさを判定する。支援情報取得部17は、例えば、自律神経取得部12によって取得されたストレス度から入眠のしやすさを判定する。一例として、支援情報取得部17は、所定のストレス度に対する使用者の過去の入眠時におけるストレス度の割合から使用者の入眠のしやすさを判定する。所定のストレス度は、例えば、ユーザにより適宜変更可能であり、ユーザにより予め設定されてもよい。過去の入眠時におけるストレス度は、例えば、過去に算出された複数のストレス度の平均値であってもよい。「過去」とは、自律神経判定システム1を用いて使用者の自律神経を判定している時点よりも前の時点を言う。支援情報取得部17は、例えば、過去に自律神経判定部15によって取得された入眠時の自律神経のバランスを示す情報から、所定のストレス度に対する使用者の過去の入眠時におけるストレス度の割合を算出する。
【0071】
例えば、使用者の過去の入眠時における交感神経が副交感神経よりも優位である場合、支援情報取得部17は、使用者のストレス度の割合が高く、入眠しにくい状態にあると判定する。このとき、支援情報取得部17は、リラックス効果がある運動を促すコメントを支援情報として取得する。一例として、支援情報取得部17は、寝る前にストレッチをした方がよい旨が記載されたコメントを支援データベースDB1から取得する。
【0072】
工程S7において、支援情報取得部17は、例えば、起床時の眠気を判定する。支援情報取得部17は、自律神経判定部15によって取得された起床時の自律神経のバランスを示す情報から起床時の眠気を判定する。起床時において副交感神経が交感神経よりも優位である場合、支援情報取得部17は、起床時における眠気が大きいと判定する。このとき、支援情報取得部17は、起床時の眠気に応じた朝食メニューを示す情報を支援情報として取得する。一例として、支援情報取得部17は、朝食時にカフェインを摂取した方がよい旨が記載されたコメントを支援データベースDB1から取得する。
【0073】
支援情報取得部17は、例えば、疲労回復度を算出し、算出した疲労回復度を判定する。支援情報取得部17は、入眠時のトータルパワーと起床時のトータルパワーとの差から疲労回復度を判定する。トータルパワーとは、センサ部11によって取得された使用者の心電図からHRV周波数解析を実行した場合における、所定の周波数帯(一例として0.04Hz~0.4Hz)におけるパワースペクトルの積分値を言う。
【0074】
疲労度が高い場合にトータルパワーが低くなる傾向にあり、疲労度が低い場合にトータルパワーが高くなる傾向にある。入眠時のトータルパワーと起床時のトータルパワーとの差を算出することで、睡眠を通じて疲労をどの程度回復できたかを疲労回復度として算出することができる。例えば、支援情報取得部17は、算出した疲労回復度を数値として算出し、算出した疲労回復度が閾値以上であるか否かを判定する。支援情報取得部17は、疲労回復度の判定を行った結果、例えば、日中における元気が出にくい時間帯を示す情報、及び、日中における仮眠の必要性の有無を示す情報を支援情報として取得する。
【0075】
工程S7において、支援情報取得部17は、例えば、センサ部11によって取得された呼吸情報、体動情報、及び心拍情報から生体リズムを算出する。生体リズムは、例えば、時間帯に応じた眠気の度合いとして示される。支援情報取得部17は、自律神経の時系列変化からパフォーマンスを発揮し易い時間帯を判定する。このとき、支援情報取得部17は、算出した生体リズムから日中においてパフォーマンスを発揮し易い時間帯を示す情報を支援情報として取得する。一例として、支援情報取得部17は、午後よりも午前の方が高いパフォーマンスを発揮できる旨が記載されたコメントを支援データベースDB1から取得する。
【0076】
次に、表示部18が支援情報取得部17によって取得された支援情報を表示する(工程S8)。前述したように、表示部18は、例えば、リラックス効果がある運動を促すコメント、起床時の眠気に応じた朝食メニューを示す情報、日中の元気が出にくい時間帯を示す情報、日中における仮眠の必要性の有無を示す情報、及び、日中においてパフォーマンスを発揮し易い時間帯を示す情報の少なくともいずれかを表示する。そして、表示部18が自律神経判定部15の判定結果を表示する(工程S8)。
【0077】
工程S8における動作の具体例を、
図5~
図7を参照しながら説明する。
図5(a)は、入眠時における自律神経の判定結果の表示の一例を示す図である。
図5(b)は、起床時における自律神経の判定結果の表示の一例を示す図である。
図5(a)及び
図5(b)の例では、表示部18は、交感神経領域R1と、副交感神経領域R2と、拮抗領域R3とを表示する。
【0078】
一例として、表示部18は、交感神経領域R1、拮抗領域R3及び副交感神経領域R2がこの順で並ぶ棒状の図形に点P1を表示することによって自律神経の判定結果を表示する。具体例として、当該図形は横方向に延在しており、交感神経領域R1は拮抗領域R3の左側に位置し、副交感神経領域R2は拮抗領域R3の右側に位置する。拮抗領域R3は、交感神経領域R1及び副交感神経領域R2の間に位置する。工程S8において、表示部18は、入眠時及び起床時における自律神経の判定結果から交感神経領域R1、副交感神経領域R2、又は拮抗領域R3上に点P1を表示する。
【0079】
工程S8において、表示部18は、例えば、自律神経判定部15によって取得された入眠時及び起床時の自律神経のバランスを示す情報を表示する。点P1が交感神経領域R1上に表示されている場合、交感神経が副交感神経よりも優位であることを示している。点P1が副交感神経領域R2上に表示されている場合、副交感神経が交感神経よりも優位であることを示している。点P1が拮抗領域R3上に表示されている場合、交感神経及び副交感神経が互いに拮抗していることを示している。
【0080】
入眠時においては、副交感神経が交感神経よりも優位であり、リラックスしている状態であることが好ましい。この場合、入眠時における自律神経の判定結果では、点P1が副交感神経領域R2(
図5(a)における理想ゾーン)上に位置する。起床時においては、交感神経が副交感神経よりも優位であり、アクティブな状態であることが好ましい。この場合、起床時における自律神経の判定結果では、点P1が交感神経領域R1又は拮抗領域R3(
図5(b)における理想ゾーン)上に位置する。なお、
図5(a)及び
図5(b)において、入眠時では副交感神経領域R2が理想ゾーンであり、起床時では交感神経領域R1及び拮抗領域R3が理想ゾーンである例が示されている。しかし、入眠時では副交感神経領域R2及び拮抗領域R3が理想ゾーンであり、起床時では交感神経領域R1のみが理想ゾーンであってもよい。
【0081】
図6は、自律神経の判定結果の表示の別例を示す図である。
図6に示される縦軸は入眠時のリラックス度を示しており、横軸は起床時のアクティブ度を示している。
図6の例では、入眠時のリラックス度、及び起床時のアクティブ度から、自律神経判定部15は、使用者の自律神経の状態を理想ゾーン、疲労ゾーン、ストレスゾーン、及び体内リズム乱れゾーンのいずれかに分類する。
【0082】
工程S8において、表示部18は、例えば、睡眠時における使用者の自律神経の状態の評価を示す情報を表示する。表示部18は、入眠時のリラックス度、及び起床時のアクティブ度から
図6に示されたグラフ上に点P2を表示する。表示部18は、例えば、入眠時のリラックス度が高く、且つ、起床時のアクティブ度が高いと自律神経判定部15によって判定されたときに当該グラフの理想ゾーンの箇所に点P2を表示する。表示部18は、例えば、入眠時のリラックス度が低く、且つ、起床時のアクティブ度が高いと自律神経判定部15によって判定されたときに当該グラフのストレスゾーンの箇所に点P2を表示する。
【0083】
表示部18は、例えば、入眠時のリラックス度が高く、且つ、起床時のアクティブ度が低いと自律神経判定部15によって判定されたときに当該グラフの疲労ゾーンの箇所に点P2を表示する。表示部18は、例えば、入眠時のリラックス度が低く、且つ、起床時のアクティブ度が低いと自律神経判定部15によって判定されたときに当該グラフの体内リズム乱れゾーンに点P2を表示する。
【0084】
図7は、自律神経データベースDB2のテーブルの一例を示している。自律神経データベースDB2は、例えば、サーバ101に保存されている。しかし、自律神経データベースDB2は、自律神経判定アプリケーション20が保有するデータの一部であってもよく、情報端末にダウンロードされているものであってもよい。工程S8において、表示部18は、自律神経データベースDB2を参照する。自律神経データベースDB2には、表示部18によって表示される複数の表示内容が予め格納されている。
【0085】
工程S8において、表示部18は、例えば、睡眠時における使用者の自律神経の状態に応じた助言を示す情報を表示する。表示部18は、入眠時のリラックス度、及び起床時のアクティブ度から、睡眠時における使用者の自律神経の状態がいずれのゾーンに位置するかを示す情報を取得する。そして、表示部18は、自律神経データベースDB2を参照して、取得されたゾーンに応じた内容を表示する。
【0086】
睡眠時における使用者の自律神経の状態が理想ゾーンに位置する場合、表示部18は、入眠時において副交感神経が交感神経よりも優位であり、起床時において交感神経が副交感神経よりも優位である旨を表示する。具体例として、表示部18は、「自律神経の状態が入眠時も起床時も適した状態です。この状態のときはスムーズに眠りにつきやすく、すっきり起きやすくなります。」と表示する。
【0087】
睡眠時における使用者の自律神経の状態が疲労ゾーンに位置する場合、表示部18は、入眠時及び起床時の双方において副交感神経が交感神経よりも優位である旨を表示する。具体例として、表示部18は、「身体が眠りに適した状態になっていますが、その状態が起床時まで続いている状態です。この状態のときは起床時まで眠気が残ったり、すっきり起きられないかもしれません。朝日光を積極的に浴びることで身体をアクティブな状態にしましょう。」と表示する。
【0088】
睡眠時における使用者の自律神経の状態がストレスゾーンに位置する場合、表示部18は、入眠時及び起床時の双方において交感神経が副交感神経よりも優位であることを示す旨を表示する。具体例として、表示部18は、「起床時は身体が適した状態ですが、入眠時は眠るのに適した状態になっていません。この状態が続くと身体が休めず、疲労が溜まっていきます。入眠時のリラックスメニューを使って副交感神経を優位にしましょう。」と表示する。
【0089】
睡眠時における使用者の自律神経の状態が体内リズム乱れゾーンに位置する場合、表示部18は、入眠時において交感神経が副交感神経よりも優位であり、起床時において副交感神経が交感神経よりも優位である旨を表示する。具体例として、表示部18は、「身体の状態が入眠時も起床時も適した状態になっていません。自律神経のバランスと体内リズムが乱れていることから規則正しい生活と入眠時に副交感神経を優位にすることを心がけましょう。」と表示する。
【0090】
以上、本実施形態に係る自律神経判定システムの工程の一例について説明した。しかしながら、自律神経判定システムの工程の内容及び順序は、前述の例に限られず、適宜変更可能である。
【0091】
続いて、本実施形態に係る自律神経判定システム1の作用効果について説明する。この自律神経判定システム1は、呼吸情報、体動情報、及び心拍情報から使用者の睡眠状態を取得する。この自律神経判定システム1は、自律神経取得部12によって取得された自律神経情報、及び睡眠状態取得部13によって取得された睡眠状態の双方から使用者の自律神経を判定する。例えば、入眠時には交感神経よりも副交感神経が優位であり、起床時には副交感神経よりも交感神経が優位であることが望ましい。自律神経判定システム1では、使用者の眠りが深いか浅いか、又は熟睡できているか否か等を示す睡眠状態を加味して自律神経を判定することができる。
【0092】
例えば、レム睡眠時にはノンレム睡眠時と比較して自律神経が乱れやすい傾向にある。使用者の睡眠状態を取得することで、使用者がレム睡眠時であるか否かを判定できるので、使用者がレム睡眠の状態であるか否かを加味した上で自律神経を評価できる。従って、使用者の睡眠状態に応じて自律神経を判定できる。
【0093】
例えば、使用者の起床時における自律神経は、高いストレスを受けている場合と、さほどストレスを受けていない場合とで大きく異なる傾向にある。使用者の睡眠状態を取得することで、使用者が起床時であるか否かを判定できるので、使用者が覚醒した状態であることを考慮した上で自律神経を評価することができる。以上より、使用者の睡眠状態に応じて自律神経を判定できる。
【0094】
本実施形態では、自律神経判定システム1は、就床時刻から起床時刻までの間において、体動情報から使用者の体動が生じていない検出対象時間帯を判定する時間帯判定部14をさらに備える。自律神経判定部15は、検出対象時間帯における使用者の自律神経を判定する。例えば、覚醒時とは異なり、睡眠時においては、寝返りを打つことが普通であるため身体を動かさない状態を維持することができない。使用者の体動が生じている時間帯における自律神経を判定した場合、体動によって、取得する自律神経情報の精度が低下することがあるので、自律神経の判定精度が低下しうる。よって、使用者の体動が生じていない検出対象時間帯における自律神経を判定することで、判定精度の低下を抑制できる。
【0095】
本実施形態では、自律神経判定システム1は、自律神経判定部15の判定結果を用いて使用者の周囲の環境を構成する機器102の動作を制御する機器制御部16をさらに備える。この場合、使用者の自律神経の状態に応じて、例えば、使用者の周囲に配置されたエアコン等の機器の動作を制御できる。よって、判定された自律神経の状態に応じて使用者の睡眠環境を一層快適にすることができる。
【0096】
本実施形態では、自律神経判定システム1は、自律神経判定部15の判定結果を用いて使用者の生活を支援する情報である支援情報を取得する支援情報取得部17と、支援情報を表示する表示部18と、をさらに備える。この場合、判定された使用者の自律神経の状態に応じた支援情報を表示することによって、使用者の生活を支援することができる。例えば、判定された自律神経の状態に応じた食事の内容を提案できる。よって、使用者の自律神経の判定結果を用いて使用者の生活を一層快適にすることができる。
【0097】
以上、本開示に係る自律神経判定システムの実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能である。
【0098】
前述の実施形態では、睡眠状態取得部13が睡眠状態として睡眠段階を取得する例について説明した。しかし、睡眠状態取得部13は、睡眠段階以外の情報を取得してもよい。睡眠状態取得部13は、例えば、睡眠の質を示す情報を取得してもよい。
【0099】
前述の実施形態では、表示部18が支援情報としてリラックス効果がある運動を示す情報等を表示する例について説明した。しかし、表示部18が表示する支援情報の内容は、睡眠に関する助言、食事、運動、美容、医療、介護、旅行、学習、運転、ビジネス、飲酒、又はその他の日常における様々な行為に関するものであってもよい。例えば、自律神経判定部15の判定結果から睡眠の質が不良であると判定された場合には、表示部18は、支援情報として運転を控えるべきことを示す情報を表示してもよい。
【0100】
前述の実施形態では、糸状センサが刺繍されたセンサシートであるセンサ部11について説明した。この場合、センサ部11を容易に任意の位置に移動できるという利点がある。しかし、センサ部はセンサシートでなくてもよく、センサ部の態様は特に限定されない。
【0101】
例えば、センサ部11は、脳波情報を取得する脳波計と、少なくとも心拍情報を取得するセンサシートとにより構成されていてもよい。脳波計は、例えば、簡易脳波計である。睡眠状態取得部13は、例えば、脳波計により取得された脳波情報から使用者の睡眠状態を取得する。例えば、センサ部11は、体動情報を取得する活動量計と、少なくとも心拍情報を取得するセンサシートとにより構成されていてもよい。この場合、睡眠状態取得部13は、例えば、活動量計により取得された体動情報から睡眠状態を取得する。例えば、センサ部11は、体動情報及び心拍情報を取得する測定器により構成されていてもよい。この場合、睡眠状態取得部13は、測定器により取得された体動情報及び心拍情報から睡眠状態を取得する。
【0102】
前述の実施形態では、センサ部11が就床時刻から起床時刻までの心拍情報を取得し、センサ部11により取得された心拍情報から自律神経取得部12が自律神経情報を取得する例を説明した。しかし、センサ部11は、例えば、起床時刻から就床時刻までの覚醒中の使用者の心拍情報を取得してもよい。この場合、センサ部11は、スマートウォッチ等のウェアラブル端末、又は、座布団等のクッション体に設けられたセンサであってもよい。自律神経取得部12は、例えば、センサ部11により取得された覚醒中の使用者の心拍情報から自律神経情報を取得してもよい。自律神経判定部15は、自律神経取得部12により取得された就床時刻から起床時刻までの睡眠中の自律神経情報、及び、睡眠状態取得部13により取得された睡眠状態に加え、覚醒中の自律神経情報を加味して使用者の自律神経を判定してもよい。この場合、覚醒中の使用者の自律神経の状態を考慮して睡眠中の使用者の自律神経を判定することが可能となり、自律神経のバランスが理想的であるか否かを一層精度よく判定できる。
【0103】
前述の実施形態では、センサ部が配置されるクッション体10がマットレスである例について説明した。しかし、センサ部が配置されるクッション体は、ベッドパッド、敷き寝具、又は枕であってもよく、クッション体の種類は適宜変更可能である。さらに、センサ部はクッション体以外のもの(例えばベッド)に配置されてもよく、この場合、クッション体を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0104】
1…自律神経判定システム、2…芯材、3…側地、10…クッション体、11…センサ部、12…自律神経取得部、13…睡眠状態取得部、14…時間帯判定部、15…自律神経判定部、16…機器制御部、17…支援情報取得部、18…表示部、20…自律神経判定アプリケーション、21…上面、22…下面、23…側面、31…表地、32…裏地、33…開閉部材、34…スライド部材、35…開閉部、101…サーバ、102…機器、D1…長手方向、D2…短手方向、D3…厚さ方向、DB1…支援データベース、DB2…自律神経データベース、P1,P2…点、R1…交感神経領域、R2…副交感神経領域、R3…拮抗領域。