(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100386
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
B65D47/20 220
B65D47/20 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004352
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592019213
【氏名又は名称】学校法人昭和大学
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】荒木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡部 泰幸
(72)【発明者】
【氏名】福地本 晴美
(72)【発明者】
【氏名】肥田 典子
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB05
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB02
3E084GA01
3E084GB01
3E084JA07
3E084JA08
3E084JA10
3E084KB01
3E084LA17
3E084LA21
3E084LB02
3E084LB05
3E084LC01
3E084LD01
3E084LE11
(57)【要約】
【課題】正確な計量を簡便に行え、構成の簡素化を図ることも容易な計量装置を提供すること。
【解決手段】圧搾操作による容器本体3の弾性変形に伴いノズル5から液状の内容物を注出可能な容器1と、前記内容物を収容可能なカップ2とを具備し、前記ノズル5の先端が前記カップ2の開口側からその内側底面に接近するように前記容器1を移動させたときに、前記ノズル5の先端が前記カップ2の内側底面に到達するまでの間に、前記容器1又は前記カップ2の何れか一方に設けた当接部6が他方に設けた被当接部Sに当接し、前記被当接部Sに対する前記当接部6の押し当てに伴い、前記被当接部Sに設けた傾斜によって前記当接部6は所定位置にガイドされ、前記カップ2の内側底面から前記ノズル5の先端までの距離が一定に維持されるように構成してある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧搾操作による容器本体の弾性変形に伴いノズルから液状の内容物を注出可能な容器と、
前記内容物を収容可能なカップとを具備し、
前記ノズルの先端が前記カップの開口側から内側底面に接近するように前記容器を移動させたときに、前記ノズルの先端が前記カップの内側底面に到達するまでの間に、前記容器又は前記カップの何れか一方に設けた当接部が他方に設けた被当接部に当接し、前記被当接部に対する前記当接部の押し当てに伴い、前記被当接部に設けた傾斜によって前記当接部は所定位置にガイドされ、前記カップの内側底面から前記ノズルの先端までの距離が一定に維持されるように構成してある計量装置。
【請求項2】
前記被当接部は相互に異なる高さ位置に複数設けられている請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
複数の前記被当接部が前記カップの内周面に沿って階段状に設けられ、前記カップの外周面において前記被当接部に対応する位置に、維持される前記カップの内側底面から前記ノズルの先端までの距離に対応する前記内容物の収容量を表示してある請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記容器本体の開口を閉塞する蓋体は、その先端面から突出する前記ノズルと一組の柱とを有し、
前記一組の柱は前記ノズルよりも短く、該柱の先端面は前記当接部を構成し、
前記ノズルと前記一対の柱とは補強壁によって連結してあり、前記補強壁の先端面において前記ノズルに連なる部分に段差を設けてある請求項1~3の何れか一項に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液状の薬品(水薬、うがい薬等)、調味料、洗剤等の液体の計量に用いて好適な計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に入った液体を所定量使用する場合、目盛入りの計量カップを用いて計量することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の方法では、正確に計量するには、計量カップを平らなところに置き、計量カップに注入した液体の液面に目の高さを合わせる必要があるが、大抵の場合、そのためには中腰にならなければならず負担が掛かる。そこで、この負担を避けるために、例えば計量カップを平らなところに置かずに手に持ったまま計量すると、計量カップが水平にならずに誤差が発生し易い。しかも、中腰になる負担を厭わずに計量を行う場合であっても、容器から計量カップに注入した液体の液位が所定の目盛線の位置にあるか否かを目視しながらその注入量を調整する必要があるこの計量作業の性質上、液体の過不足が生じ易く、計量について万全の正確さを期そうとするとかなりの労力が掛かることは避けられない。また、特に、この計量作業を行う者の視力が疲労や病気等によって低下している場合、なおさら計量に手間や労力が掛かったり誤差が発生したりし易くなる。
【0005】
そこで、容器の弾性圧搾により容器内の液体がその上方にある定量カップにまで上昇するようにし、このようにして定量カップ内に至った液体は所定量のみがその場に残留し、余剰の液体は容器内に流下する、所謂オーバーフロー型の計量装置が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。しかし、この種の計量装置は総じて構造が複雑であり、製造コストが高く、かつ、洗浄し難い傾向にある。
【0006】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、正確な計量を簡便に行え、構成の簡素化を図ることも容易な計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る計量装置は、圧搾操作による容器本体の弾性変形に伴いノズルから液状の内容物を注出可能な容器と、前記内容物を収容可能なカップとを具備し、前記ノズルの先端が前記カップの開口側から内側底面に接近するように前記容器を移動させたときに、前記ノズルの先端が前記カップの内側底面に到達するまでの間に、前記容器又は前記カップの何れか一方に設けた当接部が他方に設けた被当接部に当接し、前記被当接部に対する前記当接部の押し当てに伴い、前記被当接部に設けた傾斜によって前記当接部は所定位置にガイドされ、前記カップの内側底面から前記ノズルの先端までの距離が一定に維持されるように構成してある(請求項1)。
【0008】
上記計量装置において、前記被当接部は相互に異なる高さ位置に複数設けられていてもよく(請求項2)、複数の前記被当接部が前記カップの内周面に沿って階段状に設けられ、前記カップの外周面において前記被当接部に対応する位置に、維持される前記カップの内側底面から前記ノズルの先端までの距離に対応する前記内容物の収容量を表示してあってもよい(請求項3)。
【0009】
上記計量装置において、前記容器本体の開口を閉塞する蓋体は、その先端面から突出する前記ノズルと一対の柱とを有し、前記一対の柱は前記ノズルよりも短く、該柱の先端面は前記当接部を構成し、前記ノズルと前記一対の柱とは補強壁によって連結してあり、前記補強壁の先端面において前記ノズルに連なる部分に段差を設けてあってもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0010】
本願発明では、正確な計量を簡便に行え、構成の簡素化を図ることも容易な計量装置が得られる。
【0011】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の計量装置では、例えば平らなところに置いたカップに対してノズルの先端が下を向くように保持した容器をその上方から近づける際、当接部を被当接部に押し当てると、被当接部に設けた傾斜によって当接部は所定位置にガイドされ、前記カップの内側底面から前記ノズルの先端までの距離が一定に維持される。この状態で容器本体を圧搾操作して、ノズルからカップ内に液状の内容物を注入し、必要に応じてこの圧搾操作を繰り返すことにより、カップ内の内容物の液位がノズルの先端までくれば、カップ内に所定量(この量を所望の量とするには、所定位置にガイドされたときにおける当接部及び被当接部の位置関係を適宜設定するだけでよい)の内容物が収容されたことになり、計量が完了する。内容物をカップ内に注入し過ぎた場合も、圧搾操作によって弾性変形している容器本体への圧搾力の付加を解除すれば、容器本体は弾性復元しようとし、これに伴い、容器本体内は減圧状態となるので、ノズル先端よりも上側にある内容物はノズルから容器本体内に吸引され、カップ内には所定量の内容物のみが残留することになる。このように、本発明の計量装置では、正確な計量を極めて簡便に行える。
【0012】
しかも、本発明の計量装置では、容器、カップに設ける当接部、被当接部に複雑な構造を持たせる必要は無いので、構成の簡素化を図ることも容易であり、ひいては、製造コストの低減や洗浄性の向上を図ることも可能である。
【0013】
請求項2に係る発明の計量装置では、被当接部を相互に異なる高さ位置に複数設けてあり、当接部を押し当てる被当接部を変えることにより、前記カップの内側底面から前記ノズルの先端までの距離を複数に変更可能となり、つまりは計量容量を可変とすることができる。請求項3に係る発明の計量装置では、階段状に設けた被当接部と、カップに設けた内容物の収容量の表示とを利用して、直感的で簡便化された計量操作の実現が可能となる。
【0014】
請求項4に係る発明の計量装置では、当接部を構成する柱を補強壁によって支持することにより、柱が曲がったり倒れたりし難くなり、ひいては柱によって構成される当接部を用いた計量の正確性が担保され、この効果は、補強壁の先端面に設けた段差によって補強壁自体の強度向上を図ることにより、一層高まることになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)及び(B)は本発明の一実施の形態に係る計量装置の斜視図であり、(A)では計量装置の容器とカップとが離間し、(B)では接近している。(C)は(B)の状態の計量装置の一部を切断して示す正面図、(D)は前記容器の蓋体を示す斜視図、(E)は前記カップを示す斜視図である。
【
図2】(A)は前記計量装置の容器にオーバーキャップを装着した状態を示す斜視図((A)中の拡大図ではオーバーキャップを透明にしてある)、(B)はオーバーキャップを外しカップを用いて計量するときの計量装置を示す斜視図、(C)は計量装置の要部の説明図である。
【
図3】(A)は前記カップの内側面の展開図、(B)~(F)はそれぞれ異なる被当接部に当接部を当接させた状態の計量装置の要部の説明図である。
【
図4】(A)及び(B)は前記計量装置の比較例の斜視図及び説明図(当接部と被当接部との関係を示す展開図)、(C)は前記計量装置の説明図(当接部と被当接部との関係を示す展開図)である。
【
図5】(A)は本発明の変形例に係る計量装置のカップを示す斜視図、(B)及び(C)は該計量装置の蓋体を示す斜視図及び正面図、(D)は該計量装置を示す斜視図である。
【
図6】(A)~(C)は前記計量装置の他の変形例の説明図である。
【
図7】(A)及び(B)は前記計量装置のさらに他の変形例の説明図である。
【
図8】(A)~(D)はそれぞれ前記計量装置の別の変形例の説明図(当接部と被当接部との関係を示す展開図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施の形態について以下に説明する。
【0017】
図1(A)~(C)に示す計量装置は、容器1内に収容した液体(液状の内容物)Aをカップ2に注入する際に、同時にその液体Aの計量作業をも行えるようにしたものである。
【0018】
図1(A)に示すように、容器1は、容器本体3と、この容器本体3の開口(図示していない)を閉塞する蓋体4とを具備する。
【0019】
容器本体3は、圧搾力を付加する圧搾操作によりその体積が減少するように弾性変形し、圧搾力の付加を解除すると弾性復元する(元の形状に戻る)スクイズボトルであり、可撓性材料によって構成してある。
【0020】
蓋体4は、その先端面から先端側(軸方向外側)に突出するノズル5と一対(二本一組)の柱6とを有する(
図1(D)も参照)。ノズル5は、圧搾操作による容器本体3の弾性変形に伴い容器本体3内の液体Aを外部に注出可能に構成してある。一対の柱6は、ノズル5を挟む位置においてノズル5と略平行に延びる薄板状を呈し、ノズル5よりも短い。また、ノズル5と一対の柱6とは、薄板状の補強壁7によって連結してある。なお、図示例では、柱6及び補強壁7はいずれも薄板状をしているが、補強壁7はノズル5と柱6とを繋ぐ方向に長く、これと直交する平面視方向の幅が小さくなっているのに対し、柱6はノズル5に対して近接離隔する平面視方向の幅が小さく、これと直交する平面視方向に長く延びている。
【0021】
一方、カップ2は、
図1(A)及び(C)に示すように、略円筒状の外壁8と、この外壁8の内周面上部から内方に向かって延びる天壁9と、この天壁9の内側端から下方に向かって延びる略筒状の内壁10と、この内壁10の下端を塞ぐように延びる平面視略円形の底壁11とを有する(
図1(E)も参照)。
【0022】
図3(A)に示すように(
図1(E)も参照)、天壁9は外壁8の周方向に(
図1(E)から把握される平面視では時計方向に低くなるように)階段状に延び、そのおよそ半周の間に、最も高い段S1から最も低い段Sn(本例ではS5。なお、Snに係るnは段Sの数に応じて変わる)に向かってその高さが徐々に下がり(本例では5段階に高さが変わる)、各段S1~Snの対向する位置には同じ高さの段S1~Snが位置するように構成してある。すなわち、天壁9は複数対(本例では5対)の段S(S1~Sn)を有する。
【0023】
また、全ての段Sのうちの最も高い段S1には、その隣の最も低い段Sn(S5)側の位置に、一段高くなる隆起S1aを設けてあり、隆起S1aを除いた部分は隆起S1aに向かって低くなる傾斜面としてある。一方、最も高い段S1を除いた他の段S2~Sn(S5)は、自身の隣にあり自身よりも一段高い段Sに向かって(例えば段S2は段S1に向かって、段S5は段S4に向かって)低くなる傾斜面としてある。なお、最も低い段S5に限っては、その両隣に自身よりも高い段S(S4、S1)があるが、段S4に向かって低くなる傾斜面とし、その傾斜方向(外壁8の周方向における傾斜方向)を他の段Sと統一してある(具体的には、
図1(E)から把握される平面視において半時計回りに低くなるように傾斜させてある)。
【0024】
以下、本例の計量装置の構成のより詳細な説明も兼ねて、この計量装置を用いた計量方法について説明する。この計量方法は、下の工程(1)~(3)を実行するものである。
【0025】
(1)まず、天壁9で囲まれる開口が上を向くように(底壁11が下側にくるように)平らなところに置いたカップ2に対してノズル5の先端が下を向くように保持した容器1をその上方から近づける(
図1(A)、(B)参照)。
【0026】
(2)そして、ノズル5の先端がカップ2の内側底面に到達するまでの間に、一対の柱6の先端面(当接部の一例)を天壁9のいずれの段S(S1~Sn)の傾斜面(被当接部の一例)にも当接させることができるように構成してあり、一対の柱6の先端面を任意の一対の段Sの傾斜面に押し当てると、段Sに設けた傾斜により、一対の柱6の先端面は所定位置(その段Sにおいて最も低い位置)にガイドされ(
図4(C)参照)、ガイドされた状態で、カップ2の内側底面(底壁11の上面)からノズル5の先端までの距離が一定に維持されることになる(
図3(B)参照)。すなわち、上記ガイドを行えるように、各段Sの傾斜面の勾配を統一化してあるとともに、一対の柱6の先端面にはそれぞれ、各段Sの傾斜面に対応する傾斜(勾配)をつけてある(
図2(A)中の拡大図参照)。
【0027】
なお、上記(2)における任意の段Sへの柱6の先端面の押し当て操作をスムーズに行えるようにするために、各段Sの傾斜面を、柱6の先端面の大部分(好ましくは三分の二以上、より好ましくは全体。なお、図示例では柱6の先端面より各段Sの傾斜面を大きくしてある)を接触させることのできる寸法、形状にしておくことが好適である。特に、最も高い段S1については、隆起S1aに柱6の先端面を押し当ててしまわないように隆起S1aの幅は支障のない範囲でなるべく小さくしておくのが好ましい。
【0028】
また、上記(2)のおける段Sに設けた傾斜による柱6の先端面の所定位置へのガイドは、段Sの傾斜面に押し当てられた柱6の先端面が傾斜面に面接触しながら傾斜面における低い方向へと移動し、やがてその段Sの隣にある一段高い段S(但し一番高い段S1の場合は隆起S1a)に当接して止まることによるものであり、隣り合う段Sの高低差及び隆起S1aの隆起量(高さ)と、各段S及び隆起S1aの形状(側面形状)とは、このストッパとしての機能を十分に発揮させることを考慮して決定するのが好ましい。
【0029】
(3)この状態で容器本体3を圧搾操作して、ノズル5からカップ2内に液体Aを注入し、必要に応じてこの圧搾操作を繰り返すことにより、カップ2内の液体Aの液位がノズル5の先端までくれば、カップ2内に所定量の液体Aが収容されたことになり、計量が完了する。液体Aをカップ2内に注入し過ぎた場合も、圧搾操作によって弾性変形している容器本体3への圧搾力の付加を解除すれば、容器本体3は弾性復元しようとし、これに伴い、容器本体3内は減圧状態となるので、ノズル5先端よりも上側にある液体Aはノズル5から容器本体3内に吸引され、カップ2内には所定量の液体Aのみが残留することになる。
【0030】
ここで、上述のように、天壁9は複数対の段S1~S5によって構成してあり、上記工程(2)において、一対の柱6の先端面をどの段S1~S5の傾斜面に当接させるかにより、カップ2の内側底面(底壁11の上面)からノズル5の先端までの距離は変わり(
図3(B)~(F)参照)、計量容量(カップ2に収容される液体Aの容量)も変わる。そして、本例での計量容量は、最も高い段S1に当接させたときに3ml、2番目に高い段S2に当接させたときに2.5ml、3番目に高い段S3に当接させたときに2ml、4番目に高い段S4に当接させたときに1.5ml、最も低い段S5に当接させたときに1mlとなるように構成してあり、外壁8の外周面における各段S1~S5に対応する位置に、各段S1~S5に対応する液体Aの収容量(維持されるカップ2の内側底面からノズル5の先端までの距離に対応する液体Aの収容量)を表示してある(
図1(A)、(B)、(E)、
図2(A)~(C)参照)。なお、このように、各段S1~S5に対応する計量容量を所望の量とするには、一対の柱6の長さ及び各段S1~S5の高さを適宜設定すればよい。
【0031】
上記のように、本例の計量装置では、正確な計量を極めて簡便に行える。
【0032】
しかも、本例の計量装置では、容器1に設ける柱6、カップ2に設ける段S1~S5等に複雑な構造を持たせる必要は無いので、構成の簡素化を図ることも容易であり、ひいては、製造コストの低減や洗浄性の向上を図ることも可能である。
【0033】
さらに、本例の計量装置では、複数対の段Sを相互に異なる高さ位置に設けてあり、一対の柱6の先端面を当接させる段Sを変えることにより、カップ2の内側底面からノズル5の先端までの距離を複数に変更可能となり、つまりは計量容量を可変とすることができる。しかも、本例の計量装置では、階段状に設けた段Sと、カップ2に設けた内容物の収容量の表示とを利用して、直感的で簡便化された計量操作の実現が可能となる。
【0034】
ここで、
図4(A)に示す比較例としての計量装置では、一対の柱6の先端面に傾斜を設けず、各段Sにも傾斜を設けていないのであり、この場合でも、
図4(B)に示すように、一対の柱6の先端面と任意の一対の段S(図示例では最も高い段S1)とを面接触させた状態にして計量を行うようにすることが可能であるが、この面接触を維持する範囲で一対の柱6を水平方向に移動させることができ、この自由度の高さは、一対の柱6が正確な計量を行える位置にあるか否かの判断をし難くする要因となり得る。
【0035】
対して、本例の計量装置では、
図4(C)に示すように、一対の柱6の先端面に傾斜を設け、各段Sにも傾斜を設けて、柱6の先端面を所定位置にガイドし、その水平方向の移動を制限するようにしてあるので、一対の柱6が正確な計量を行える位置にあるか否かの判断をし易く、つまりは計量操作の向上に資するものとなっている。
【0036】
以下、本例の計量装置のより具体的な構成の説明ないし補足説明を行う。
【0037】
図1(A)に示すように、蓋体4の外周面には雄ねじ4aを設けてあり、これに螺合する雌ねじを有するオーバーキャップ12を蓋体4に着脱自在としてある(
図2(A)及び(B)参照)。オーバーキャップ12は、蓋体4全体を覆うように装着される。なお、オーバーキャップ12又は容器本体3の少なくとも何れか一方に、透光性を持たせつつ、その外周面に計量用の目盛りを設けるようにしてもよい。
【0038】
本例では、
図1(A)に示すようにノズル5の先端が下を向くように容器1を保持した際、ノズル5から液体Aが垂れ難い構造としてある。具体的には、
図3(F)に示すように、ノズル5を、長さが例えば10~15mmの円筒部13と、この円筒部13の先端側に連なり円筒部13よりも小径かつ短い半球状の口部14とで構成し、円筒部13内の空気(水の張力で塞がれる空気)を押し出す力である重力(液圧)と容器1内の負圧の均衡がとれ、液体Aが滴下し難くしてある(
図2(C)参照)。
【0039】
ここで、円筒部13の外周面は、根元側から先端側に向けて先細となっている。また、円筒部13及び口部14の内部には、これらを軸方向(上下方向)に貫き、液体Aの通路となる貫通孔を設けてあり、円筒部13における通路の内径(例えば3~6mm)より口部14における通路の内径(例えば0.5~2.5mm)の方が小さくなるようにしてある。なお、円筒部13及び口部14内の上記各通路は、ノズル5の根元側から先端側に向かって先細となっていてもよいし、全体にわたって均一となっていてもよい。
【0040】
ノズル5は理想的には容器本体1の圧搾操作時のみに液体Aを注出する機能を有するものであればよく、ノズル5に、そうした機能を有する種々の公知の構成を採用可能である。
【0041】
図2(B)に示すように、ノズル5と一対の柱6とを補強壁7によって連結し、柱6を補強壁7によって支持することにより、柱6が曲がったり倒れたりし難くなり、ひいては柱6を用いた計量の正確性が担保され、この効果は、補強壁7の先端面においてノズル5に連なる部分に段差7aを設け、補強壁7自体の強度向上を図ることにより、一層高まることになる。なお、図示例の段差7aは補強壁7の先端側に突出させて構成してあるが、これに限らず、例えば補強壁7の後端側に後退させて構成してもよい。また、補強壁7の先端面はカップ2に干渉しない範囲で傾斜させる等してあってもよい。
【0042】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0043】
上記実施の形態では、カップ2に段S1~S5を設け、計量容量を5段階に調整可能としてあるが、これに限らず、例えば段S1~S5を増減し、6段階以上または4段階以下の調整が可能となるようにしてもよい。
【0044】
上記実施の形態では、一対(二つ一組)の柱6を一対(二つ一組)の段S1~S5に押し当てるように構成してあるが、これに限らず、例えば、柱6及び段Sをそれぞれ三つ以上一組として設けるようにしてもよい。
【0045】
図5(A)~(D)に示す容器1及びカップ2を有する計量容器は、各補強壁7にリブ7bを設けている点で
図1(A)~(C)に示す計量容器と相違する。このリブ7bは、蓋体4を射出成型する際、射出成型金型に素材となる樹脂を流れ込み易くするための部位に相当し、樹脂の流れを妨げ難いようにするという観点から、補強壁7の先端面から後端に向けて真っすぐ延ばし(ノズル5と略平行に延ばし)、また、成形上、補強壁7の後端まで同じ径にする必要はないので後端ほど細くなるようにしてある。さらに、成形の際、ゲート部に樹脂残りが生じることを考慮して、その出っ張り分を加味して補強壁7の先端側に相当する部位を少し切欠いてある。こうした切欠き7cやリブ7bの存在は、補強壁7の強度向上に寄与することが期待できる。
【0046】
上記実施の形態では、カップ2の内側に各段S1~S5を設けてあるが、これに限らず、例えば
図6(A)に示すように、カップ2の外側に相互に高さの異なる複数の段S1~S5を設けるようにしてもよい。この場合も、
図6(B)及び(C)に示すように、一対の柱6を当接させる段S1~S5を変更することにより、計量容量を変えることができる(
図6(B)及び(C)では外壁8の図示を省略してある)。なお、この場合、
図3(B)等に示す補強壁7を設けると、カップ2に対するノズル5の挿入の邪魔になる場合には、補強壁7の全部又は一部を無くすようにしてもよい。
【0047】
上記実施の形態では、柱6を容器1側に、段S1~S5をカップ2側に設けてあるが、これに限らず、例えば
図7(A)及び(B)に示すように、柱6をカップ2側に、段S1~S5を容器1側に設けるようにしてもよい(
図7(B)では外壁8の図示を省略してある)。この場合、計量容量の表示をカップ2ではなく容器1側に設けるようにすることが考えられる。
【0048】
図3(A)の例では、各段Sの上面全体を傾斜面とし、最も高い段S1には隆起S1aを設けてあるが、これに限らない。例えば
図8(A)に示すように、各段Sの上面全体を、水平面の一部を凹ませ、この凹部15に所定の傾きを持つ傾斜面Tを形成した形状としてもよい。
【0049】
また、
図8(A)の例では凹部15に形成する傾斜面Tを一つのみとしてあるが、
図8(B)に示すように、凹部15に二つの傾斜面T1、T2を設け、両傾斜面T1、T2は相互に近づくほど低くなるように傾斜していてもよい。この場合、一対の柱6の先端面は、凹部15の二つの傾斜面T1、T2に沿わせることのできる形状にすればよい。
【0050】
さらに、
図8(B)の例では、各段Sに凹部15と水平な部分(凹部15にならない部分)とを設けてあるが、これに限らず、
図8(C)に示すように、各段Sの全体にわたって凹部15を設けるようにしてもよい。
【0051】
また、
図8(B)の例では、各段Sに凹部15を設けてあるが、
図8(D)に示すように、各段Sの上面全体を、水平面の一部を上側に突出させ、この凸部16に所定の傾きを持つ二つの傾斜面T3、T4を形成した形状としてもよい。具体的には、両傾斜面T3、T4を相互に近づくほど高くなるように傾斜させ、一対の柱6の先端面は、凸部16の二つの傾斜面T3、T4に沿わせることのできる形状にすることが考えられる。
【0052】
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1 容器
2 カップ
3 容器本体
4 蓋体
4a 雄ねじ
5 ノズル
6 柱
7 補強壁
7a 段差
7b リブ
7c 切欠き
8 外壁
9 天壁
10 内壁
11 底壁
12 オーバーキャップ
13 円筒部
14 口部
15 凹部
16 凸部
A 液体
S 段(S1~S5)
S1a 隆起
T 傾斜面