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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100391
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】放射性薬剤投与装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 36/06 20060101AFI20240719BHJP
   A61M 36/08 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61M36/06
A61M36/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004359
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】594118958
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサル技研
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山内 博彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅之
(57)【要約】
【課題】放射性薬剤を生体に対してより精度よく投与することが可能な放射性薬剤投与装置を提供する。
【解決手段】放射性薬剤投与装置100は、放射性薬剤を貯留している貯留容器から放射性薬剤を分取して生体に投与する投与機構と、放射性薬剤の放射能強度を検出する放射線検出器800と、投与機構の動作制御を行う制御部80と、を備え、投与機構は、シリンジ(第2シリンジ42)を含み、放射線検出器800は、シリンジの周囲に設けられて該シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度を検出し、制御部80は、放射線検出器800により検出される放射能強度に基づいて、放射性薬剤を貯留容器からシリンジの内部に吸引する吸引動作と、シリンジの内部の放射性薬剤を生体に投与する投与動作と、を投与機構に実行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性薬剤を貯留している貯留容器から放射性薬剤を分取して生体に投与する投与機構と、
放射性薬剤の放射能強度を検出する放射線検出器と、
前記投与機構の動作制御を行う制御部と、を備え、
前記投与機構は、シリンジを含み、
前記放射線検出器は、前記シリンジの周囲に設けられて該シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度を検出し、
前記制御部は、前記放射線検出器により検出される放射能強度に基づいて、放射性薬剤を前記貯留容器から前記シリンジの内部に吸引する吸引動作と、前記シリンジの内部の放射性薬剤を前記生体に投与する投与動作と、を前記投与機構に実行させる放射性薬剤投与装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記放射線検出器により検出される放射能強度に基づいて、前記シリンジの内部の放射能量が予め設定された値になるまで、前記投与機構に前記吸引動作を継続させる請求項1に記載の放射性薬剤投与装置。
【請求項3】
前記放射線検出器は、前記投与動作中の前記シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度を検出し、
前記制御部は、前記放射線検出器により検出される放射能強度に基づいて、前記シリンジの内部の放射能量が予め設定された値になるまで、前記投与機構に前記投与動作を継続させる請求項1に記載の放射性薬剤投与装置。
【請求項4】
前記吸引動作が完了したタイミングの前記シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度と、前記投与動作が完了したタイミングの前記シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度と、に基づいて、前記生体に投与された放射性薬剤の放射能量を演算する演算部を備える請求項1に記載の放射性薬剤投与装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記投与動作の完了後、前記シリンジの内部に放射性薬剤が残留している場合、
前記シリンジの内部に残留している放射性薬剤を前記貯留容器に吐出する処理を行う請求項1から4のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
【請求項6】
前記シリンジの側周の少なくとも一部分を覆う第1遮蔽板と、
前記第1遮蔽板において前記シリンジ側とは反対側を向く面に沿って配置されている第2遮蔽板と、を備え、
前記第1遮蔽板の肉厚は、前記第2遮蔽板の肉厚よりも薄く、
前記第1遮蔽板には、該第1遮蔽板を通過する放射線の入射角を制限するコリメート部が形成されており、
前記放射線検出器は、前記第1遮蔽板と前記第2遮蔽板との間に配置されており、
前記シリンジの内部の放射性薬剤が放射する放射線は、前記コリメート部によってコリメートされて前記放射線検出器に入射する請求項1から4のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
【請求項7】
前記貯留容器と前記シリンジとが流路を介して相互に連通している連通状態と、前記流路が閉塞され前記貯留容器と前記シリンジとが相互に連通しておらず他の流路が開放されている非連通状態と、に選択的に切り替え可能な切替機構と、を更に備え、
前記シリンジは、内部に貯液部を有するシリンジ本体と前記シリンジ本体に摺動可能に挿入されているプランジャとを有し、
前記投与機構は、前記プランジャを前記シリンジ本体から引き抜く動作と、前記プランジャを前記シリンジ本体に対して押し込む動作と、を行うシリンジ駆動機構を含み、
前記制御部は、前記放射線検出器が前記シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度を検出するまで、
前記連通状態で前記プランジャを前記シリンジ本体から引き抜き前記流路内の流体を前記シリンジ内に吸引する処理と、
前記非連通状態で前記プランジャを前記シリンジ本体に対して押し込み前記シリンジ内の流体を前記他の流路に排出する処理と、
をこの順に繰り返し行い、
前記放射線検出器が前記シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度を検出したら、
前記制御部は、
前記非連通状態で、前記プランジャを前記シリンジ本体に対して押し込み前記シリンジ内の流体を前記流路の外部に排出する処理を行い、その後に前記連通状態に切り替えて前記吸引動作を開始する請求項1から4のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性薬剤投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PET診断に使用される放射性核種で標識された半減期の短い放射性薬剤を生体に投与するに際し、従事者の被ばく低減や投与精度の向上のために、生体への投与量(指定投与量)を原液から自動で分取し、投与放射能量を計測して生体に投与するタイプの放射性薬剤投与装置が用いられる場合がある。
【0003】
そのような放射性薬剤投与装置は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1の放射性薬剤投与装置は、放射性薬剤を貯留している貯留容器から放射性薬剤を分取して生体に投与する投与機構(同文献には、分注投与装置と記載)と、投与機構の動作制御を行う制御部(同文献には、演算制御部と記載)と、放射性薬剤の放射能強度を検出する放射線検出器(同文献には、定量センサと記載)と、を備え、投与機構は、シリンジを含み、放射線検出器は、シリンジの周囲に設けられて該シリンジの内部の放射性薬剤の放射能量を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-000202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、制御部は、放射性薬剤の収容時刻や薬液情報等に基づいて投与すべき放射性薬剤の液量を決定し、決定された液量の放射性薬液を分取するために必要なシリンジの駆動量を算出し、算出した駆動量に基づいて投与機構の動作制御を行う。しかしながら、一般に投与機構による各回の機械的動作の再現性は完全ではなく所定の誤差を伴うため、シリンジへの放射性薬剤の取り出し及びシリンジからの放射性薬剤の吐出が意図通りに行われるとはかぎらない。分注動作の完了後にシリンジ内に取り出された放射性薬剤の放射能量を放射線検出器で検出するとしても、実際に投与される放射性薬剤の放射能量が、必ずしも所望の投与量と同等の値とならない可能性がある。よって、特許文献1に記載の放射性薬剤投与装置は、放射性薬剤を生体に対してより精度よく投与する観点から、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、放射性薬剤を生体に対してより精度よく投与することが可能な放射性薬剤投与装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、放射性薬剤を貯留している貯留容器から放射性薬剤を分取して生体に投与する投与機構と、
放射性薬剤の放射能強度を検出する放射線検出器と、
前記投与機構の動作制御を行う制御部と、を備え、
前記投与機構は、シリンジを含み、
前記放射線検出器は、前記シリンジの周囲に設けられて該シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度を検出し、
前記制御部は、前記放射線検出器により検出される放射能強度に基づいて、放射性薬剤を前記貯留容器から前記シリンジの内部に吸引する吸引動作と、前記シリンジの内部の放射性薬剤を前記生体に投与する投与動作と、を前記投与機構に実行させる放射性薬剤投与装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御部は、放射線検出器によって検出されるシリンジ内の放射性薬剤の放射能強度に基づいて吸引動作と投与動作とを投与機構に実行させるため、放射性薬剤を生体に対してより精度よく投与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る放射性薬剤投与装置の模式図である。
図2】第1実施形態における第2シリンジ及びその周辺構造を示す縦断面である。
図3】第1実施形態における第2シリンジ及びその周辺構造を示す横断面である。
図4】第1実施形態に係る放射性薬剤投与装置のブロック構成を示す図である。
図5】第2実施形態に係る放射性薬剤投与装置の模式図である。
図6】第2実施形態に係る放射性薬剤投与装置のブロック構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0011】
図1及び図4に示すように、本実施形態に係る放射性薬剤投与装置100は、放射性薬剤を貯留している貯留容器(第2バイアル瓶58)から放射性薬剤を分取して生体に投与する投与機構と、放射性薬剤の放射能強度を検出する放射線検出器800と、投与機構の動作制御を行う制御部80と、を備えている。
投与機構は、シリンジ(第2シリンジ42)を含み、放射線検出器800は、シリンジの周囲に設けられて該シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度を検出する。
制御部80は、放射線検出器800により検出される放射能強度に基づいて、放射性薬剤を貯留容器からシリンジの内部に吸引する吸引動作と、シリンジの内部の放射性薬剤を生体に投与する投与動作と、を投与機構に実行させる。
【0012】
本実施形態によれば、放射性薬剤投与装置100は放射線検出器800を備えており、制御部80は、放射線検出器により検出されるシリンジ内の放射性薬剤の放射能強度に基づいて、吸引動作と投与動作とをそれぞれ行う。このため、仮に投与機構の機械的動作に誤差が生じたとしても、所望する放射性強度に調整された放射性薬剤を生体に対してより精度よく投与することが可能となる。
【0013】
以下、放射性薬剤投与装置100について、より詳細に説明する。以下の説明において、図3における紙面の下側を前方又は前面側、その反対側(図3における紙面の上側)を後方又は背面側と称することがある。また、図1図2における紙面の上側を上(上方)と称し、図1図2における紙面の下側を下(下方)と称することがある。また、図1図2及び図3における紙面の左側を左(左方)と称し、図1図2及び図3における紙面の右側を右(右方)と称することがある。
【0014】
本実施形態の場合、放射性薬剤投与装置100は、放射性薬剤を貯留している第1容器から放射性薬剤を第2容器に移送する移送機構(詳細後述)を備えている。このため、例えば、複数の第1容器に貯留された放射性薬剤を1つの第2容器にまとめることができる。そして、第2容器に移送した放射性薬剤の少なくとも一部分が投与機構によって生体(被験者)に投与される。本実施形態の場合、第1バイアル瓶51が第1容器であり、第2バイアル瓶58が、第2容器であるとともに上述の貯留容器である。
第1バイアル瓶51は、例えば、放射線遮蔽性の容器である第1遮蔽容器50(図1等参照)の内部に収容される。より詳細には、第1遮蔽容器50は、放射線を遮蔽する遮蔽体を有し、遮蔽体の内部に第1バイアル瓶51を収容するようになっている。
同様に、第2バイアル瓶58は、例えば、放射線遮蔽性の容器である第2遮蔽容器57(図1参照)の内部に収容される。より詳細には、第2遮蔽容器57は、放射線を遮蔽する遮蔽体を有し、遮蔽体の内部に第2バイアル瓶58を収容するようになっている。
【0015】
放射性薬剤投与装置100は、流路の切り替えを行う切替機構を備えている。切替機構は、複数の三方活栓30及びこれらを個別に駆動する三方活栓駆動機構で構成されている。本実施形態の場合、三方活栓30の数は5であり、右側から、第1三方活栓31、第2三方活栓32、第3三方活栓33、第4三方活栓34及び第5三方活栓35の順に配置されている。
三方活栓駆動機構は、複数の三方活栓30を個別に回転させて各三方活栓30による流路の切り替えを行う。図4に示すように、三方活栓駆動機構は、第1三方活栓31を回転駆動させる第1三方活栓駆動モータ131と、第2三方活栓32を回転駆動させる第2三方活栓駆動モータ132と、第3三方活栓33を回転駆動させる第3三方活栓駆動モータ133と、第4三方活栓34を回転駆動させる第4三方活栓駆動モータ134と、第5三方活栓35を回転駆動させる第5三方活栓駆動モータ135と、を備えている。
【0016】
放射性薬剤投与装置100は、更に、第1三方活栓31の上側に接続されているベントフィルタ23と、第2三方活栓32の上側に接続されている第1シリンジ41と、チューブ66を介して第5三方活栓35の上側に接続されている第2シリンジ42と、を備えている。第1シリンジ41及び第2シリンジ42の各々の軸方向は上下方向と一致している。
第1シリンジ41は、内部に貯液部を有する第1シリンジ本体41aと、第1シリンジ本体41aに摺動可能に挿入されている第1プランジャ41bと、を有する。同様に、第2シリンジ42は、内部に貯液部を有する第2シリンジ本体42aと、第2シリンジ本体42aに摺動可能に挿入されている第2プランジャ42bと、を有する。
なお、第2シリンジ42は、第1シリンジ41よりも小容量である。例えば、第1シリンジ41は20mLシリンジであり、第2シリンジ42は10mLシリンジである。
【0017】
移送機構は、第1プランジャ41bを第1シリンジ本体41aから引き抜く動作と、第1プランジャ41bを第1シリンジ本体41aに対して押し込む動作と、を行う第1シリンジ駆動機構を含む。同様に、投与機構は、第2プランジャ42bを第2シリンジ本体42aから引き抜く動作と、第2プランジャ42bを第2シリンジ本体42aに対して押し込む動作と、を行う第2シリンジ駆動機構を含む。
図4に示すように、第1シリンジ駆動機構は、第1プランジャ41bを引き抜く方向(後退方向)又押し込む方向(前進方向)に移動させる第1シリンジ駆動モータ141を備えている。第2シリンジ駆動機構は、第2プランジャ42bを引き抜く方向(後退方向)又押し込む方向(前進方向)に移動させる第2シリンジ駆動モータ142を備えている。
【0018】
第1シリンジ41は、生理食塩水貯留バッグ22から生理食塩水を移送したり、チューブ63(図1参照)を介して放射性薬剤を第1バイアル瓶51から第2バイアル瓶58に移送したりする際に用いられる。
より詳細には、第1プランジャ41bを第1シリンジ本体41aから引き抜く後退動作を行うことにより、第1シリンジ41が負圧となり、第2三方活栓32、第3三方活栓33、第4三方活栓34、チューブ65及び第1針60を介して、第2バイアル瓶58内の空気が吸引される。これにより、第1バイアル瓶51内の放射性薬剤は、第3針52、チューブ63及び第2針59を介して、第2バイアル瓶58に移送される。この際、後述する第1針駆動機構61により、第1針60の下端の針先を第2バイアル瓶58内に移送される放射性薬剤の液面よりも高位に位置するように移動させておく。一方、後述する第2針駆動機構62により、第2針59の下端の針先を第2バイアル瓶58の底面の近傍まで移動させておく。
更に、ベントフィルタ23から第1三方活栓31、チューブ64及び第4針53を介して第1バイアル瓶51に空気が導入されることによって、第1バイアル瓶51が負圧となることが抑制される。
【0019】
第2シリンジ42は、放射性薬剤投与用のシリンジである。第2バイアル瓶58内の放射性薬剤を第2シリンジ42によって分取し、第2シリンジ42から放射性薬剤を生体に投与することができるようになっている。
より詳細には、第1針60が下降駆動されてその下端の針先が第2バイアル瓶58の底面の近傍に配置されている状態、且つ、第2針59が上昇駆動されてその下端の針先が第2バイアル瓶58内の放射性薬剤の液面よりも高位に配置されている状態で、第2プランジャ42bを第2シリンジ本体42aから引き抜く後退動作を行う。これにより、第1針60、チューブ65、第4三方活栓34、第5三方活栓35及びチューブ66を介して、第2バイアル瓶58から第2シリンジ42内に放射性薬剤を吸引する吸引動作が行われる。ついで、セーフタッチプラグ27の開口部を消毒後(例えばエタノールを塗布後)、投与針付チューブ(不図示)を接続する。その後、第1シリンジ41からセーフタッチプラグ27側に向けて生理食塩水を押し出して投与ラインを生理食塩水で満たした状態で、第2プランジャ42bを第2シリンジ本体42aに押し込む前進動作を行う。これにより、第2シリンジ42から、第5三方活栓35、チューブ68、エアベントフィルタ25、チューブ69、セーフタッチプラグ27及び投与針付チューブを介して、生体へ放射性薬剤を投与する投与動作が行われる。
【0020】
なお、放射性薬剤投与装置100は、第1シリンジ41及び第1シリンジ駆動機構の代わりに、ポンプ等を備えていてもよい。同様に、第2シリンジ42及び第2シリンジ駆動機構の代わりに、ポンプ等を備えていてもよい。
【0021】
ここで、図2及び図3に示すように、放射性薬剤投与装置100は、例えば、シリンジ(第2シリンジ42)の側周の少なくとも一部分を覆う第1遮蔽板821と、第1遮蔽板821においてシリンジ側とは反対側を向く面(外面824b)に沿って配置されている第2遮蔽板831と、を備えている。第1遮蔽板821及び第2遮蔽板831の各々は、例えば、タングステンや鉛等の放射線を遮蔽する材料によって、その全体が一体形成されている。
なお、図2図3に示すB-B線に沿った断面図であり、図3図2に示すA-A線に沿った断面図である。
【0022】
図2に示すように、放射性薬剤投与装置100は、例えば、第1遮蔽板821として、左右一対の第1遮蔽板822、823、すなわち左側に配置されている第1遮蔽板822と、右側に配置されている第1遮蔽板823と、を備えている。
左右一対の第1遮蔽板822、823の各々は、例えば、その板面が左右方向を向いた平板状に形成されている。左側の第1遮蔽板822の内面824aと右側の第1遮蔽板823の内面824aとは互いに平行に対向しており、左側の第1遮蔽板822の外面824bと右側の第1遮蔽板823の外面824bとは互いに反対方向を向いている。左右方向において、第2シリンジ42を間に挟むようにして、左側の第1遮蔽板822と右側の第1遮蔽板823とは互いに左右対称に配置されている。すなわち、左右方向において、第2シリンジ42は、左側の第1遮蔽板822と右側の第1遮蔽板823との間に配置されている。
左側の第1遮蔽板822は、第2シリンジ42の左方を覆っており、右側の第1遮蔽板823は、第2シリンジ42の右方を覆っている。より詳細には、左右一対の第1遮蔽板822、823の各々の上下寸法は、第2シリンジ42の上下寸法よりも大きい。左右一対の第1遮蔽板822、823の各々の上端の高さ位置は、第2シリンジ42の上端(第2プランジャ42bの上端)の位置よりも高く、当該左右一対の第1遮蔽板822、823の各々の下端の高さ位置は、第2シリンジ42の下端(第2シリンジ本体42aの下端)の位置よりも低い。すなわち、上下方向において、第2シリンジ42の全長が、左右一対の第1遮蔽板822、823どうしの間に収まっている。
【0023】
図2に示すように、放射性薬剤投与装置100は、例えば、第2遮蔽板831として、左右一対の第2遮蔽板832、833、すなわち左側に配置されている第2遮蔽板832と、右側に配置されている第2遮蔽板833と、を備えている。
左右一対の第2遮蔽板832、833の各々は、例えば、左右方向に沿った断面において、U字形状を横倒しにした形状となっている。
より詳細には、左右一対の第2遮蔽板832、833の各々は、上下方向に延在している主部835と、主部835の両端部からそれぞれ第2シリンジ42側に突出している上下一対の外脚部836と、を備えている。
本実施形態の場合、左右一対の第2遮蔽板832、833の各々の主部835及び上側の外脚部836は、それぞれ左右対称に形成されている。一方、左右一対の第2遮蔽板832、833の各々の下側の外脚部836の先端部は、互いに係合する凹凸形状となっている。
図2、3に示すように、主部835は、例えば、その板面が左右方向を向いた平板状に形成されている。左側の主部835の内面834aと右側の主部835の内面834aとは互いに平行に対向しており、左側の主部835の外面834bと右側の主部835の外面834bとは互いに反対方向を向いている。
上下一対の外脚部836の各々は、例えば、その板面が上下方向を向いた平板状に形成されている。
【0024】
図2及び図3に示すように、左右方向において、第2シリンジ42は、例えば、左右一対の第1遮蔽板822、823を間に介して、左側の第2遮蔽板832と右側の第2遮蔽板833との間に配置されている。
より詳細には、左側の主部835の内面834aは、左側の第1遮蔽板822の外面824bに対して平行に対向して配置されており、右側の主部835の内面834aは、右側の第1遮蔽板823の外面824bに対して平行に対向して配置されている。すなわち、左側の第2遮蔽板832は、左側の第1遮蔽板822の外面824bに沿って配置されており、右側の第2遮蔽板833は、右側の第1遮蔽板823の外面824bに沿って配置されている。そして、第2シリンジ42は、左右方向において、左側の第1遮蔽板822の内面824aと、右側の第1遮蔽板823の内面824aと、の間に配置されている。
また、本実施形態の場合、第1遮蔽板821の肉厚は、第2遮蔽板831の肉厚よりも薄い。より詳細には、左右一対の第1遮蔽板822、823の各々の肉厚(厚み方向における寸法)は、左右一対の第2遮蔽板832、833の各々の主部835の肉厚(厚み方向における寸法)よりも薄い。
【0025】
ここで、図2及び図3に示すように、本実施形態の場合、左右一対の第1遮蔽板822、823と、対応する第2遮蔽板832、833と、によって空隙837a、837bが形成されている。空隙837a、837b内には、それぞれ放射線検出器800の複数の検出器810(詳細後述)が配置されている。
より詳細には、上下方向において、第1遮蔽板822、823は、対応する第2遮蔽板832、833の上下一対の外脚部836どうしの間に収まっている。
更に詳細には、第1遮蔽板822の上端面は、第2遮蔽板832の上側の外脚部836の下面に対して面接触しており、第1遮蔽板822の下端面は、第2遮蔽板832の下側の外脚部836の上面に対して面接触している。また、左右方向において、第1遮蔽板822の内面824aは、第2遮蔽板832の主部835の内面834aと離間して配置されている。そして、第1遮蔽板822の内面824aと、第2遮蔽板832の主部835の内面834aと、第2遮蔽板832の上側の外脚部836の下面の一部分と、第2遮蔽板832の下側の外脚部836の上面の一部分と、によって空隙837aが構成されている。
第1遮蔽板823と第2遮蔽板833とにおいても同様に、第1遮蔽板823の内面824aと、第2遮蔽板833の主部835の内面834aと、第2遮蔽板833の上側の外脚部836の下面の一部分と、第2遮蔽板833の下側の外脚部836の上面の一部分と、によって空隙837bが構成されている。
【0026】
図3に示すように、放射性薬剤投与装置100は、第1遮蔽板821及び第2遮蔽板831に加えて、第2シリンジ42の前面側を覆う遮蔽カバー840を備えている。第1遮蔽板821、第2遮蔽板831及び遮蔽カバー840によって、第2シリンジ42の前方及び左右両側方を覆うことが可能である。
遮蔽カバー840の少なくとも一部分は、例えば、タングステンや鉛等の放射線を遮蔽する材料によって構成されている。
【0027】
放射性薬剤投与装置100は、図示しない懸架柱を備えており、この懸架柱に生理食塩水貯留バッグ22を吊り下げ可能となっている。第3三方活栓33は、チューブ67を介して、懸架柱に吊り下げられた生理食塩水貯留バッグ22と接続される。
【0028】
第4針53は、チューブ64を介して、第1三方活栓31の右側に接続される。
第4三方活栓34は、チューブ65を介して、第1針60と接続される。より詳細には、第4三方活栓34には、チューブ65及び第1針60を介して第2バイアル瓶58が接続される。
エアベントフィルタ25は、チューブ68を介して、第5三方活栓35の左側に接続される。
エアベントフィルタ25は、チューブ69を介して、セーフタッチプラグ27に接続される。
【0029】
上述のように、第1遮蔽容器50は、放射線遮蔽性の容器であり、第1バイアル瓶51を収容する。第1バイアル瓶51に対して、第3針52及び第4針53を穿刺可能となっている。
第2遮蔽容器57は、放射線遮蔽性の容器であり、第2バイアル瓶58を収容する。第2バイアル瓶58に対して、第1針60及び第2針59を穿刺可能となっている。
放射性薬剤投与装置100は、第2バイアル瓶58に対して第1針60を穿刺し、更に第1針60を昇降駆動するための第1針駆動機構61と、第2バイアル瓶58に対して第2針59を穿刺し、更に第2針59を昇降駆動するための第2針駆動機構62と、を備えている。
図4に示すように、第1針駆動機構61は、第1針60を上昇又は下降させる第1針駆動モータ161を備えており、第2針駆動機構62は、第2針59を上昇又は下降させる第2針駆動モータ162を備えている。
第1針駆動機構61による第1針60の昇降動作と、第2針駆動機構62による第2針59の昇降動作は、互いに独立して行うことができるようになっている。
【0030】
第3針52は、チューブ63を介して第2針59と接続される。すなわち、第1バイアル瓶51と第2バイアル瓶58とは、チューブ63を介して接続される。
【0031】
図2に示すように、放射線検出器800は、例えば、それぞれ第2シリンジ42の第2シリンジ本体42aの周囲に配置されている複数の検出器810を備えている。本実施形態の場合、放射線検出器800は、上述の第1遮蔽板821と第2遮蔽板832との間に配置されている。より詳細には、放射線検出器800は、左側の第1遮蔽板822と第2遮蔽板832とによって形成されている空隙837a内に収容されている複数の第1検出器811と、右側の第1遮蔽板823と第2遮蔽板833とによって形成されている空隙837b内に収容されている複数の第2検出器816と、を備えている。
放射線検出器800が備えている第1検出器811の数と、放射線検出器800が備えている第2検出器816の数と、は互いに等しく、一例として、8つである。ただし、本発明において、放射線検出器800が備えている第1検出器811の数及び第2検出器816の数は特に限定されず、適宜設定することができる。
検出器810としては、特に限定されないが、例えば、プラスチック型シンチレーション検出器、NaI(Tl)シンチレーション検出器、半導体型検出器等を用いることができる。
【0032】
各第1検出器811からの出力信号は、例えば図示しない加算器により合算されて後述する制御部80に入力され、各第2検出器816からの出力信号は、例えば加算器により合算されて制御部80に入力され、制御部80では、これらすべての出力信号を合算し、放射能強度の計測値(カウント値)として扱う。
なお、放射性薬剤投与装置100は加算器を備えていなくてもよく、この場合、複数の検出器810からの出力信号は直に制御部80に入力され、制御部80にて合算されて、放射能強度の計測値として扱われる。
【0033】
図2及び図3に示すように、空隙837a内において、複数の第1検出器811は、上下方向においてそれぞれ等間隔で配置されている。左右方向において、複数の第1検出器811は、左側の第1遮蔽板822の外面824bと、左側の第2遮蔽板832の内面834aと、の間に配置されている。また、上下方向において、複数の第1検出器811は、第1遮蔽板822の上側の外脚部836の下面と、第1遮蔽板822の下側の外脚部836の上面と、の間に配置されている。
同様に、空隙837b内において、複数の第2検出器816は、上下方向においてそれぞれ等間隔で配置されている。左右方向において、複数の第2検出器816は、右側の第1遮蔽板823の外面824bと、右側の第2遮蔽板833の内面834aと、の間に配置されている。また、上下方向において、複数の第2検出器816は、第1遮蔽板823の上側の外脚部836の下面と、第1遮蔽板823の下側の外脚部836の上面と、の間に配置されている。
各第1検出器811と各第2検出器816とは、互いに対応する位置に配置されている。
また、複数の第1検出器811のうち、最も上側の第1検出器811は、第2シリンジ本体42aの上端と同等又は当該上端よりも高い位置に配置されており、最も下側の第1検出器811は、第2シリンジ本体42aの下端と同等又は当該下端よりも低い位置に配置されている。
同様に、複数の第2検出器816のうち、最も上側の第2検出器816は、第2シリンジ本体42aの上端と同等又は当該上端よりも高い位置に配置されており、最も下側の第2検出器816は、第2シリンジ本体42aの下端と同等又は当該下端よりも低い位置に配置されている。
このような構成によれば、第2シリンジ本体42a内の放射性薬剤の放射能強度をより精度よく計測することができる。
【0034】
ここで、本実施形態の場合、左右一対の第1遮蔽板822、823の各々には、当該第1遮蔽板822、823を通過する放射線の入射角を制限するコリメート部(不図示)が形成されている。
そして、第2シリンジ42の内部の放射性薬剤が放射する放射線の一部は、左側の第1遮蔽板822のコリメート部によってコリメートされて複数の第1検出器811に入射する。同様に、第2シリンジ42の内部の放射性薬剤が放射する放射線の一部は、右側の第1遮蔽板823のコリメート部によってコリメートされて複数の第2検出器816に入射する。
コリメート部は、一例として、第1遮蔽板822、823に形成された複数の貫通孔(不図示)である。複数の貫通孔の各々は、第1遮蔽板822、823を厚み方向(左右方向)に貫通している。各貫通孔の直径は第1遮蔽板822、823の肉厚よりも小さい。各第1検出器811は、第1遮蔽板822に形成されている各貫通孔の延長線上に配置されている。同様に、各第2検出器816は、第1遮蔽板823に形成されている各貫通孔の延長線上に配置されている。
これにより、第2シリンジ42の内部の放射性薬剤が放射する放射線の進行方向が、貫通孔の軸方向と平行な方向にコリメートされる。したがって、第2シリンジ42の内部の放射性薬剤が放射する放射線が、互いに平行に集束しつつ放射線検出器800に入射するようにできる。これにより、放射線検出器800の計測(カウント)精度を向上させることができる。
【0035】
このように、本実施形態の場合、放射性薬剤投与装置100は、シリンジ(第2シリンジ42)の側周の少なくとも一部分を覆う第1遮蔽板821と、第1遮蔽板821においてシリンジ側とは反対側を向く面(外面824b)に沿って配置されている第2遮蔽板831と、を備えている。
第1遮蔽板821の肉厚は、第2遮蔽板831の肉厚よりも薄く、第1遮蔽板821には、該第1遮蔽板821を通過する放射線の入射角を制限するコリメート部が形成されている。複数の検出器810は、第1遮蔽板821と第2遮蔽板831との間に配置されており、シリンジの内部の放射性薬剤が放射する放射線は、コリメート部によってコリメートされて複数の検出器810に入射する。
このような構成によれば、複数の検出器810の計測(カウント)精度を向上させることができる。また、複数の検出器810を通過した放射線を、第2遮蔽板831によって良好に遮蔽することができる。
【0036】
本実施形態の場合、制御部80は、放射線検出器800により検出される放射能強度に基づいて、吸引動作によって第2シリンジ42の内部に吸引された放射性薬剤の放射能量を演算する演算部81としての機能を担う。
演算部81は、放射線検出器800により計測された放射能強度の測定値を、第2シリンジ42内の放射性薬剤の放射能量に換算する。かかる換算は、記憶部90に予め記憶されている換算式に基づいて公知の方法で行うことができる。
同様に、制御部80は、放射線検出器800により検出される放射能強度に基づいて、投与動作後に第2シリンジ42の内部に残留している放射性薬剤の放射能量を演算する。
【0037】
ここで、放射線検出器800は、吸引動作中の第2シリンジ42の内部放射性薬剤の放射能強度を検出し、制御部80は、放射線検出器800により検出される放射能強度に基づいて、シリンジ(第2シリンジ42)の内部の放射能量が予め設定された値になるまで、投与機構に吸引動作を継続させるように設定されていてもよい。
このようにすることによって、より正確に、所望の放射能量の放射性薬剤をシリンジ(第2シリンジ42)内に吸引することができる。
より詳細には、演算部81は、吸引動作中の第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能強度に基づいて、第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能量をリアルタイムで演算することができる。これにより、制御部80は、第2シリンジ42内の放射性薬剤の放射能量を測定しながら吸引動作を行うことができる。
そして、制御部80は、演算部81により算出される放射能量が予め設定された値(分取閾値)になるまで吸引動作を継続させ、当該放射能量が分取閾値に達したタイミングで吸引動作を停止させる。
第2シリンジ42内に吸引する放射性薬剤の放射能量の分取閾値は、例えば、操作部110(詳細後述)に入力された被験者の情報から決定される。ただし、例えば、オペレータが、所望の放射能量の値を操作部110に対して指定してもよい。
また、制御部80は、例えば、リアルタイムで演算される放射能量が分取閾値に近づいたら、第2プランジャ42bを引き抜く後退動作を減速するように設定されていてもよい。より詳細には、リアルタイムで演算される放射能量が分取閾値よりも小さい別の閾値(減速閾値)に達したら、制御部80は第2プランジャ42bを引き抜く後退動作を減速する。これにより、減速閾値までは第2プランジャ42bを高速で駆動させることができるため吸引動作を短時間で実行することができる。
【0038】
また、放射線検出器800は、投与動作中の第2シリンジ42の内部放射性薬剤の放射能強度を検出し、制御部80は、放射線検出器800により検出される放射能強度に基づいて、シリンジ(第2シリンジ42)の内部の放射能量が予め設定された値になるまで、投与機構に投与動作を継続させるように設定されていてもよい。
このようにすることによって、第2シリンジ42の内部に吸引した放射性薬剤のうち、所望の量を当該第2シリンジ42から生体へ投与することができる。
より詳細には、演算部81は、投与動作中の第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能強度に基づいて、第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能量をリアルタイムで演算することができる。これにより、制御部80は、第2シリンジ42内の放射性薬剤の放射能量を測定しながら投与動作の制御を行うことができる。
そして、制御部80は、演算部81により算出される放射能量が予め設定された値(投与閾値)になるまで投与動作を継続させ、当該放射能量が投与閾値に達したタイミングで投与動作を停止させる。
なお、ここで設定される放射能量の投与閾値として、例えば、投与動作開始前の第2シリンジ42の放射性薬剤の放射能量から、生体に投与する放射能量を減算した値が用いられる。これにより、所望の量を当該第2シリンジ42から生体へ投与することができる。
また、生体に投与する放射能量は、例えば、操作部110に入力された被験者の情報から決定される。ただし、例えば、オペレータが所望の放射能量の値を操作部110に対して指定してもよい。
また、制御部80は、例えば、リアルタイムで演算される放射能量が投与閾値に近づいたら、第2プランジャ42bを押し込む前進動作を減速するように設定されていてもよい。より詳細には、リアルタイムで演算される放射能量が投与閾値よりも大きい別の閾値(減速閾値)に達したら、制御部80は第2プランジャ42bを押し込む前進動作を減速する。これにより、減速閾値までは第2プランジャ42bを高速で駆動させることができるため投与動作を短時間で実行することができる。
【0039】
なお、本発明において、制御部80は、放射線検出器800により検出される放射能強度に基づいて、第2シリンジ42の内部の放射能量が予め設定された値になるまで、投与機構に吸引動作を継続させる一方で、投与動作の際には、例えば第2プランジャ42bの駆動量が予め設定された値に達したタイミング(例えば可動範囲の最大まで第2プランジャ42bを押し込んだタイミング)で投与動作を停止させるように設定されていてもよい。すなわち、制御部80は、例えば、予め設定された値の放射能量の放射性薬剤を第2シリンジ42内に吸引し、吸引した放射性薬剤の全量を生体に投与するように設定されていてもよい。この場合、投与動作の際には制御部80はリアルタイムで放射能強度を演算する必要がなく、例えば第2プランジャ42bを高速で駆動しても問題ないため、当該投与動作を短時間で行うことができる。
同様に、本発明において、制御部80は、放射線検出器800により検出される放射能強度に基づいて、第2シリンジ42の内部の放射能量が予め設定された値になるまで、投与機構に投与動作を継続させる。一方、吸引動作の際には、例えば第2プランジャ42bの駆動量が予め設定された値に達したタイミング(例えば可動範囲の最大まで第2プランジャ42bを引き抜いたタイミングなど、所望の投与量を超える十分な量の放射性薬剤が第2シリンジ42に分取されたタイミング)で吸引動作を停止させるように設定されていてもよい。すなわち、制御部80は、例えば、所望の投与量を超える十分な量の放射性薬剤を第2シリンジ42内に吸引し、吸引した放射性薬剤のうち所望の放射能量分だけ放射性薬剤を生体に投与するように設定されていてもよい。この場合、吸引動作の際には制御部80はリアルタイムで放射能強度を演算する必要がなく、例えば第2プランジャ42bを高速で駆動しても問題ないため、当該吸引動作を短時間で行うことができる。
また、本発明において、制御部80は、放射線検出器800により検出される放射能強度に基づいて、第2シリンジ42の内部の放射能量が予め設定された値になるまで、投与機構に吸引動作を継続させるとともに、投与動作においても、第2シリンジ42の内部の放射能量が予め設定された値になるまで、投与機構に当該投与動作を継続させるように設定されていてもよい。すなわち、制御部80は、例えば、予め設定された値の放射能量の放射性薬剤を第2シリンジ42内に吸引し、更に、吸引した放射性薬剤のうち予め設定された値の放射能量分だけ放射性薬剤を生体に投与するように設定されていてもよい。
【0040】
更には、本実施形態の場合、演算部81は、吸引動作が完了したタイミングのシリンジ(第2シリンジ42)の内部の放射性薬剤の放射能強度と、投与動作が完了したタイミングのシリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度と、に基づいて、生体に投与された放射性薬剤の放射能量を演算する。
このような構成によれば、投与動作の前後の第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能強度の変化に基づいて、生体に投与された放射性薬剤の放射能量を演算することができる。よって、例えば投与動作後の第2シリンジ42の内部に放射性薬剤が残留(吸着)していたとしても、この残留した放射性薬剤の放射能量を加味して、実際に投与された放射性薬剤の放射能量を精度よく演算することができる。また、第2シリンジ42の内部に残留した放射性薬剤の放射能量をより正確に把握することができるので、次の吸引動作においても所望の放射性薬剤の放射能量を精度よく吸引することができる。
より詳細には、制御部80は、吸引動作の完了後、当該吸引動作が完了したタイミングの第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能強度に基づいて、吸引動作が完了したタイミングの第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能量を演算する。演算して得られた放射能量の値は記憶部90に記録保持しておく。
続いて、制御部80は、投与動作の完了後、当該投与動作が完了したタイミングの第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能強度に基づいて、投与動作が完了したタイミングの第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能量を演算する。演算して得られた放射能量の値は記憶部90に記録保持しておく。
そして、吸引動作が完了したタイミングの第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能量から、投与動作が完了したタイミングの第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能量を減算することによって、生体に投与された放射性薬剤の放射能量を演算することができる。
なお、ここでいう「吸引動作が完了したタイミング」とは、第2シリンジ42の第2プランジャ42bを引き抜く後退動作が停止したタイミングを意味している。引き抜く後退動作が停止するタイミングは、上述のように放射線検出器800により検出される放射能強度に基づいて、第2シリンジ42内の放射性薬剤の放射能量が予め設定された値となったタイミングでもよいし、第2プランジャ42bの駆動量が予め設定された値に達したタイミングであってもよい。
同様に、ここでいう「投与動作が完了したタイミング」とは、第2シリンジ42の第2プランジャ42bを押し込む前進動作が停止したタイミングを意味している。押し込む前進動作が停止するタイミングは、上述のように放射線検出器800により検出される放射能強度に基づいて、第2シリンジ42内の放射性薬剤の放射能量が予め設定された値となったタイミングでもよいし、第2プランジャ42bの駆動量が予め設定された値に達したタイミングであってもよい。
【0041】
なお、本実施形態の場合、上述のように制御部80は、第2シリンジ42内の放射性薬剤の放射能量を測定しながら吸引動作を行い、所望の放射能量の放射性薬剤を吸引(分取)することができる。そして、所望の放射能量の放射性薬剤を分取した場合、制御部80は、必ずしも投与動作前後の第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能強度の変化に基づいて、生体に投与された放射性薬剤の放射能量を演算しなくてもよい。
ただし、演算部81により算出される放射能量が分取閾値に達したタイミングで吸引動作を停止させたとしても、第2シリンジ駆動機構による第2プランジャ42bの動作にはバラツキがある(完全に再現性があるわけではない)ため、やや多めに放射性薬剤を吸引(分取)してしまうこともある。また、所望の放射能量の放射性薬剤を第2シリンジ42内に吸引できたとしても、投与動作で第2シリンジ42から放射性薬剤の全量が吐出されるとはかぎらない(第2シリンジ本体42aの内面に吸着して残留する量は変動する)。したがって、上述のように放射能量が分取閾値に達したタイミングで吸引動作を停止させた場合であっても、投与動作前後の第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能強度の変化に基づいて、生体に投与された放射性薬剤の放射能量を演算することが好ましい。これにより、生体に投与された放射性薬剤の放射能量をより正確に把握することができる。
なお、投与動作前後の第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能強度の変化に基づいて算出された放射能量が所望の投与量よりも少なかった場合、制御部80は、更に投与が必要な放射能量を演算し、当該放射能量分の放射性薬剤を第2シリンジ42に吸引し、生体に投与するように設定されていてもよい。
【0042】
放射性薬剤投与装置100は、更に、当該放射性薬剤投与装置100の各種の構成要素を収容する筐体10を備えている。例えば、放射性薬剤投与装置100の上述した構成のうち、セーフタッチプラグ27以外については、筐体10内に配置されている。
【0043】
放射性薬剤投与装置100は、更に、オペレータによる操作を受け付ける操作部110を備えている。一例として、操作部110はタッチパネルである。上述のように、操作部110に対して被験者の情報が入力され、この情報に基づいて投与する放射性薬剤の放射能量が決定される。なお、第2シリンジ42内に吸引する放射性薬剤の放射能量、及び、第2シリンジ42から排出する放射性薬剤の放射能量を、それぞれ操作部110に対して指定してもよい。
制御部80は、第2シリンジ42内の放射性薬剤の放射能量の演算を行う他、放射性薬剤投与装置100の各構成要素の動作制御も行う。すなわち、制御部80は、第1シリンジ駆動モータ141及び第2シリンジ駆動モータ142を個別に動作させることによって、第1シリンジ41及び第2シリンジ42を個別に動作させる。また、制御部80は、第1三方活栓駆動モータ131、第2三方活栓駆動モータ132、第3三方活栓駆動モータ133、第4三方活栓駆動モータ134及び第5三方活栓駆動モータ135を個別に動作させることによって、各三方活栓30を個別に回転駆動させて、流路の切り換えを行う。更に、制御部80は、第1針駆動モータ161及び第2針駆動モータ162を個別に動作させることによって、第1針60及び第2針59を個別に昇降させる。
【0044】
次に、放射性薬剤投与装置100の動作を説明する。
先ず、放射性薬剤投与装置100に消耗品を取り付ける。すなわち、複数の三方活栓30、第1シリンジ41、第2シリンジ42、生理食塩水貯留バッグ22、チューブ63~69、ベントフィルタ23、エアベントフィルタ25、セーフタッチプラグ27を取り付ける。また、セーフタッチプラグ27の開口部を消毒後(例えばエタノールを塗布後)、当該開口部に投与針付チューブを接続し、投与針付チューブの投与針(不図示)の先端を廃棄ボトル320内に垂らして(挿入して)おく。
更に、第1遮蔽容器50に収容された第1バイアル瓶51と、第2遮蔽容器57に収容された第2バイアル瓶58と、を設置し、第1バイアル瓶51には第3針52及び第4針53を穿刺し、第2バイアル瓶58には第1針60及び第2針59を穿刺する。このとき、制御部80により、第1針60が上昇駆動されて、第2バイアル瓶58内に移送される放射性薬剤の液面よりも第1針60の針先が高位に位置するように配置され、第2針59が下降駆動されて、その下端の針先が第2バイアル瓶58の底面近傍に位置するように配置される。また、手動によって、第3針52をその下端の針先が第1バイアル瓶51の底面近傍に位置するように配置し、第4針53をその下端の針先が第1バイアル瓶51内の放射性薬剤の液面よりも高位に位置するように配置する。
【0045】
次に、第1シリンジ駆動機構により第1シリンジ41の第1プランジャ41bを引き抜くことによって、第1バイアル瓶51の放射性薬剤を、チューブ63を介して第2バイアル瓶58へと移送する。
そして、第1シリンジ41が負圧となることにより、第2三方活栓32、第3三方活栓33、第4三方活栓34、チューブ65及び第1針60を介して、第2バイアル瓶58内の空気が吸引される。これにより、第1バイアル瓶51内の放射性薬剤は、第3針52、チューブ63及び第2針59を介して、第2バイアル瓶58に移送される。また、第1バイアル瓶51内にはベントフィルタ23、チューブ64及び第4針53を通じて外部の空気が供給される。
【0046】
ここで、第1バイアル瓶51から第2バイアル瓶58に一度に移送される放射性薬剤は、通常、放射性薬剤の全量であるが、第1バイアル瓶51に貯留されている放射性薬剤の一部分であってもよい。
【0047】
生体(被験者)に放射性薬剤を投与する前に、予め、操作部110に対する操作によって、被験者の情報を入力しておく。この情報から、投与量が決まる。
次に、第1針60を下降させてその先端を第2バイアル瓶58の底面近傍に配置した状態で、第2シリンジ駆動機構により第2シリンジ42の第2プランジャ42bを引き抜く。これにより、放射性薬剤(例えば、0.5mL)を第2バイアル瓶58からチューブ65、第4三方活栓34及び第5三方活栓35を通じて第2シリンジ42に吸引する吸引動作を行う。
なお、放射性薬剤の放射能濃度が高く、所望の放射能量の当該放射性薬剤が少量となる場合(例えば、0.5mL未満の場合)は、事前に生理食塩水貯留バッグ22から生理食塩水を第2バイアル瓶58(又は第1バイアル瓶51)に移送し、当該第2バイアル瓶58(又は第1バイアル瓶51)内の放射性薬剤を十分に希釈し増量しておいてもよい。このようにすることによって、所望の放射能量の放射性薬剤を第2シリンジ42内に精度よく吸引することが容易となる。
【0048】
このとき、放射線検出器800によって、吸引動作中の第2シリンジ42の内部放射性薬剤の放射能強度が検出され、上記のように演算部81は放射能量をリアルタイムで演算する。これにより、制御部80は、第2シリンジ42内の放射性薬剤の放射能量を測定しながら投与機構(第2シリンジ駆動機構)の動作制御を行うことができる。
そして、制御部80は、例えば、第2シリンジ42内の放射性薬剤の放射能量が予め設定された値に達したら、吸引動作を停止させる。
なお、本実施形態の場合、制御部80は、実際に測定されている放射能量と、投与予定時刻の放射能量と、を表示部92に表示させる。
【0049】
次に、第1シリンジ41に生理食塩水を吸引する。
投与予定時刻が到来すると、表示部92に表示されている放射能量(時間経過に伴い減衰した放射能量)に問題が無いことをオペレータが確認した後、被験者への投与を開始する。投与の際には、先ず、第1シリンジ41に吸引した生理食塩水のうち、第2三方活栓32、第3三方活栓33、第4三方活栓34、第5三方活栓35、チューブ68、エアベントフィルタ25、チューブ69、セーフタッチプラグ27及び投与針付チューブの各々のデッドスペース(内容積)の合計値に相当する量の若干過量をこれらの流路(第2三方活栓32~投与針付チューブ)内に導入する。導入された生理食塩水は、投与針を介して廃棄ボトル320内に排出される。
その後、投与針を被験者に刺し、第2シリンジ駆動機構により第2シリンジ42の第2プランジャ42bを押し込むことによって、第2シリンジ42の放射性薬剤(例えば、0.5mL)をチューブ66、第5三方活栓35、チューブ68、エアベントフィルタ25、チューブ69、セーフタッチプラグ27及び投与針付チューブを介して被験者側に流す投与動作を行う。ついで、第1シリンジ駆動機構により第1シリンジ41内の残余生理食塩水を、第2三方活栓32、第3三方活栓33、第4三方活栓34、第5三方活栓35、チューブ68、エアベントフィルタ25、チューブ69、セーフタッチプラグ27及び投与針付チューブを介して被験者に投与する。これにより、第5三方活栓35、チューブ68、エアベントフィルタ25、チューブ69、セーフタッチプラグ27及び投与針付チューブと生体との間の流路内に残留した放射性薬剤を生理食塩水によってすすぎ落しながら、被験者に投与することができる。こうして、被験者への放射性薬剤の投与が完了する。
なお、流路内の空気は、エアベントフィルタ25を通過する際に除去できるため、被験者には実質的に空気を含まない放射性薬剤を投与することができる。
【0050】
このとき、吸引動作中と同様に、放射線検出器800によって、投与動作中の第2シリンジ42の内部放射性薬剤の放射能強度が検出され、上記のように演算部81は放射能量をリアルタイムで演算する。これにより、制御部80は、投与動作中の第2シリンジ42内の放射性薬剤の放射能量を演算しながら投与機構(第2シリンジ駆動機構)の動作制御を行うことができる。
そして、制御部80は、例えば、第2シリンジ42内の放射性薬剤の放射能量が予め設定された値となったら、投与動作を停止させる。
更に、制御部80は、吸引動作が完了したタイミングの第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能量から、投与動作が完了したタイミングの第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能量を減算することによって、生体に投与された放射性薬剤の放射能量を演算する。なお、本実施形態の場合、上述のように投与動作の完了後、第5三方活栓35と生体との間の流路を生理食塩水によって洗浄し放射性薬剤と生理食塩水との混合液を被験者に投与する。よって、吸引動作が完了したタイミングの第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能量から、投与動作が完了したタイミングの第2シリンジ42の内部の放射性薬剤の放射能量を減算することによって、生体に投与された放射性薬剤の放射能量をより正確に把握することができる。なお、流路に非特異的吸着される(又は流路内に残留する)放射性薬剤の量を予め把握しておき、この相当量を演算部81に過量分として入力してもよい。
【0051】
〔第2実施形態〕
次に、図5及び図6を用いて第2実施形態を説明する。
本実施形態に係る放射性薬剤投与装置100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る放射性薬剤投与装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る放射性薬剤投与装置100と同様に構成されている。
【0052】
本実施形態の場合、放射性薬剤は、生体に対して間接的に投与される。より詳細には、第2シリンジ42内に吸引された放射性薬剤は、飲用容器330(図5参照)内に注入される。そして、被験者が飲用容器330内に注入された放射性薬剤を経口摂取することによって、放射性薬剤は投与される。
【0053】
本実施形態の場合、切替機構は、複数の三方活栓30の代わりに、複数の切替弁220を備えている。本実施形態の場合、切替弁220の数は4であり、上側から、第1切替弁221、第2切替弁222、第3切替弁223及び第4切替弁224の順に配置されている。
切替機構は、複数の切替弁220を個別に回転させて各切替弁220による流路の切り換えを行わせる切替弁駆動機構を備えている。図6に示すように、切替弁駆動機構は、第1切替弁221を回転駆動させる第1切換弁駆動モータ171と、第2切替弁222を回転駆動させる第2切替弁駆動モータ172と、第3切替弁223を回転駆動させる第3切替弁駆動モータ173と、第4切替弁224を回転駆動させる第4切替弁駆動モータ174と、を備えている。
第1切替弁221及び第4切替弁224はそれぞれ、一の流路と、他の複数の流路から任意で選択された一つと、を連通させる切替弁である。第1切替弁221及び第4切替弁224としては、特に限定されないが、一例として、1-4方ロータリーバルブを用いることができる。
また、第2切替弁222及び第3切替弁223はそれぞれ、3つ以上(本実施形態では4つ)の流路のうちのいずれか2つを互いに連通させる切替弁である。第2切替弁222及び第3切替弁223としては、特に限定されないが、一例として、4方スイッチングバルブを用いることができる。この切替弁は、周回状に配置された4つの流路のうち、隣接する2つの流路のペアを互いに連通させる。互いに連通する2つの流路のペアは2組構成され、切替弁を回転させることで、連通する流路のペアを切り替えることが可能である。
【0054】
図5に示すように、本実施形態の場合、放射性薬剤投与装置100は、第1針駆動機構61及び第2針駆動機構62に加えて、第1バイアル瓶51に対して第3針52を穿刺し、更に第3針52を昇降駆動するための第3針駆動機構75と、第1バイアル瓶51に対して第4針53を穿刺し、更に第4針53を昇降駆動するための第4針駆動機構76と、を更に備えている。
第3針駆動機構75は、第3針52を上昇又は下降させる第3針駆動モータ163を備えており、第4針駆動機構76は、第4針53を上昇又は下降させる第4針駆動モータ164を備えている(図6参照)。
第3針駆動機構75による第3針52の昇降動作と、第4針駆動機構76による第4針53の昇降動作は、互いに独立して行うことができるようになっている。
【0055】
本実施形態の場合、ベントフィルタ23は、第1切替弁221の右側に接続されている。また、第1切替弁221の左側は、チューブ417を介して飲料水貯留ボトル341と接続され、第1切替弁221の下側は、チューブ418を介して洗浄液貯留ボトル342と接続される。
【0056】
本実施形態の場合、制御部80は、第1切替弁221を回転させることによって、チューブ416、417を介して飲料水貯留ボトル341と連通している状態と、チューブ416、418を介して洗浄液貯留ボトル342と連通している状態と、チューブ416を介してベントフィルタ23と連通している状態と、の3つの状態に選択的に切り替え可能である。
同様に、制御部80は、第4切替弁224を回転させることによって、第4切替弁224がチューブ419、420及び第6針331を介して飲用容器330と連通している状態と、チューブ419、421及び第5針321を介して廃棄ボトル320と連通している状態と、の2つの状態に選択的に切り替え可能である。なお、第4切替弁224が更に別の廃棄ボトルと接続される場合、この2つの状態と、別のチューブを介して別の廃棄ボトルと連通している状態と、の3つの状態に選択的に切り替え可能である。
また、制御部80は、第2切替弁222を回転させることによって、チューブ414、416及び第4針53を介して第1バイアル瓶51と連通しているとともに、チューブ413、415を介して第1シリンジ41と第3切替弁223とが相互に連通している状態と、チューブ413、414を介して第3切替弁223と第1バイアル瓶51とが相互に連通しているとともに、チューブ415、416を介して第1シリンジ41と第1切替弁221とが相互に連通している状態と、の2つの状態に選択的に切り替え可能である。
同様に、制御部80は、第3切替弁223を回転させることによって、チューブ412、413を介して第2切替弁222と第1針60を介して第2バイアル瓶58とが相互に連通しているとともに、チューブ411、419を介して第2シリンジ42と第4切替弁224とが相互に連通している状態と、チューブ411、412を介して第2バイアル瓶58と第2シリンジ42とが相互に連通しているとともに、チューブ413、419を介して第2切替弁222と第4切替弁224とが相互に連通している状態と、2つの状態に選択的に切り替え可能である。これにより、切替機構は、貯留容器(第2バイアル瓶58)とシリンジ(第2シリンジ42)とが流路(チューブ411、412の内腔、第3切替弁223の内部)を介して相互に連通している連通状態と、流路が閉塞され貯留容器とシリンジとが相互に連通しておらず他の流路(チューブ411、419の内腔、第3切替弁223の内部)が開放されている非連通状態と、に選択的に切り替え可能である。
【0057】
本実施形態の場合、貯留容器(第2バイアル瓶58)内の放射性薬剤は、第1針60、チューブ412、第3切替弁223及びチューブ411を介して、第2シリンジ42の内部に吸引される。
また、本実施形態の場合、第2シリンジ42の内部の放射性薬剤は、チューブ411、第3切替弁223、チューブ419、第4切替弁224、チューブ420を介して飲用容器330内に注入される。より詳細には、チューブ420には第6針331が接続されており、チューブ420を通過した放射性薬剤は第6針331を介して飲用容器330内に注入される。そして、被験者が飲用容器330内に注入された放射性薬剤を経口摂取することによって、放射性薬剤は投与される。
なお、本実施形態の場合、第2シリンジ42は、第1シリンジ41と同容量である。例えば、第1シリンジ41及び第2シリンジ42は、それぞれ5mLシリンジである。
また、本実施形態の場合、第2バイアル瓶58は、第1バイアル瓶51よりも大容量である。例えば、第1バイアル瓶51の容量は10mLであり、第2バイアル瓶58の容量は30mLである。
【0058】
ここで、図5に示すように、放射性薬剤投与装置100は、放射性薬剤がチューブ420を通過したことを検出する通過センサ500を更に備えている。
通過センサ500は、特に限定されず、例えば、放射能強度を検出する放射線検出器であってもよいし、透過型又は反射型の光電センサであってもよい。
【0059】
次に、本実施形態に係る放射性薬剤投与装置100の動作を説明する。なお、放射性薬剤投与装置100に、複数の切替弁220、第1シリンジ41、第2シリンジ42、飲料水貯留ボトル341、洗浄液貯留ボトル342、チューブ63、411~421、ベントフィルタ23が予め取り付けられた状態から説明する。
【0060】
先ず、第1遮蔽容器50に収容された第1バイアル瓶51と、第2遮蔽容器57に収容された第2バイアル瓶58と、を設置し、第1バイアル瓶51には第3針52及び第4針53を穿刺し、第2バイアル瓶58には第1針60及び第2針59を穿刺する。このとき、第3針駆動機構75により第3針52の下端の針先が第1バイアル瓶51の底面近傍に位置するように配置される。また、第4針駆動機構76により第4針53の下端の針先が第1バイアル瓶51内の放射性薬剤の液面よりも高位に位置するように配置される。一方、第1針駆動機構61により第1針60は十分に上昇させておき、第2バイアル瓶58内に移送される放射性薬剤の液面よりも第1針60の針先が高位に位置するように配置される。第2針駆動機構62により第2針59の下端の針先が第2バイアル瓶58の底面近傍に位置するように配置される。
次に、第2シリンジ駆動機構により第2シリンジ42の第2プランジャ42bを引き抜くことによって、第1バイアル瓶51の放射性薬剤をチューブ63を介して第2バイアル瓶58へと移送する。すなわち、第2シリンジ42が負圧となることにより、チューブ411、第3切替弁223、チューブ412及び第1針60を介して、第2バイアル瓶58内の空気が吸引される。これにより、第1バイアル瓶51内の放射性薬剤は、第3針52、チューブ63及び第2針59を介して、第2バイアル瓶58に移送される。
このとき、ベントフィルタ23から第1切替弁221、チューブ416、第2切替弁222、チューブ414、及び第4針53を介して第1バイアル瓶51に空気(外気)が導入されることによって、第1バイアル瓶51が負圧となることが抑制され、放射性薬剤を引き続き吸引することができる。
また、第1バイアル瓶51の放射性薬剤を第2バイアル瓶58に移送した後、第2シリンジ42内の空気を排気する。より詳細には、第3切替弁223はチューブ411とチューブ419とが連通した状態とし、第4切替弁224はチューブ419とチューブ421ひいては第5針321を介して廃棄ボトル320とが連通した状態とし、第2シリンジ駆動機構により第2シリンジ42の第2プランジャ42bを押し込む。これにより、第2シリンジ42内の空気が廃棄ボトル320内に排気される。
なお、本発明において、第2シリンジ42の代わりに第1シリンジ41を用いて上記の移送処理を行ってもよい。この場合、第3切替弁223はチューブ413とチューブ412とが連通した状態、且つ、第2切替弁222はチューブ413とチューブ415とが連通した状態としておく。これにより、第1シリンジ41とチューブ413ひいては第1針60を介して第2バイアル瓶58とは連通した状態となる。
【0061】
次に、第1針60の先端を第2バイアル瓶58の底面近傍に配置した状態で、第2シリンジ駆動機構により第2シリンジ42の第2プランジャ42bを引き抜くことによって、所望の放射能量の放射性薬剤を第2バイアル瓶58から第2シリンジ42に吸引する吸引動作を開始する。
なお、放射性薬剤の放射能濃度が高く、所望の放射能量の当該放射性薬剤が少量となる場合(例えば、0.5mL未満の場合)は、事前に飲料水貯留ボトル341から飲料水を第2バイアル瓶58(又は第1バイアル瓶51)に移送し、当該第2バイアル瓶58(又は第1バイアル瓶51)内の放射性薬剤を十分に希釈し増量しておいてもよい。このようにすることによって、所望の放射能量の放射性薬剤を第2シリンジ42内に精度よく吸引することが容易となる。
【0062】
ここで、吸引動作を開始する前に、制御部80は、第2バイアル瓶58と第2シリンジ42との間の流路(チューブ411、412及び第3切替弁223)内の空気を当該流路から排出する処理を実行するように設定されていてもよい。
このように構成することにより、第2バイアル瓶58と第2シリンジ42との間の流路内が放射性薬剤で満たされた状態で吸引動作を開始することができる。よって、より正確な量の放射性薬剤を第2バイアル瓶58から第2シリンジ42内に吸引することができる。
より詳細には、制御部80は、第2バイアル瓶58から第2シリンジ42に放射性薬剤を吸引し、吸引した放射性薬剤を第2シリンジ42から第2バイアル瓶58に吐出する循環処理を所定回数、投与機構に繰り返し実行させる。これにより、チューブ412、第3切替弁223、チューブ411及び第2シリンジ42内の空気が排出される。この空気の排出をより確実にするため、第2シリンジ42は、第2プランジャ42bが下向きとなる(第2プランジャ42bの引き抜き方向が下方となる)ように設置されることが好ましい。なお、制御部80は、放射線検出器800が検出する循環処理毎の放射能強度に基づいて、投与機構に循環処理を繰り返し実行させる制御を終了するか否かを判定するように設定されていてもよい。
更に詳細には、制御部80は、先ず、第2シリンジ42と第2バイアル瓶58とが相互に連通している状態で、第2シリンジ42と第2バイアル瓶58との間の流路内の空気及び液体を第2シリンジ42内に吸引する処理を行う。このとき、第2切替弁222はチューブ414とチューブ416が連通した状態とし、第1切替弁221はチューブ416とベントフィルタ23とが連通した状態としておく。これにより、第2バイアル瓶58内の放射性薬剤が第1針60を通じてチューブ412に吸い出され、ベントフィルタ23から第1バイアル瓶51、チューブ63を経由して第2バイアル瓶58に外気が導入される。続いて、制御部80は、第2プランジャ42bを第2シリンジ本体42aに対して押し込み第2シリンジ42内の空気を含む流体を第2バイアル瓶58に吐出し、これらの処理を所定回数、行うことで空気の実質的に全量が除かれる。
その後、制御部80は、第2シリンジ42と第2バイアル瓶58とが相互に連通している状態に切り替えて、生体(被験者)への投与のための吸引動作を開始する。
このとき、制御部80は、第2プランジャ42bを引き抜く後退動作中に放射線検出器800が放射能強度を検出開始したら、当該後退動作を途中で即座に停止するようになっていてもよいし、そのまま所定の駆動量に達するまで当該後退動作を継続した後で停止するようになっていてもよい。更には、後退動作が完了したタイミング(予め設定された値の駆動量に達し当該後退動作が停止したタイミング)で放射線検出器800が放射能強度の測定を行い、所定の放射能強度であることを確認したら、そのまま待機する。
【0063】
続いて、投与予定時刻が到来すると、表示部92に表示されている放射能量(時間経過に伴い減衰した放射能量)に問題が無いことをオペレータが確認した後、被験者への投与を開始する。投与の際には、先ず、第2シリンジ駆動機構により第2シリンジ42の第2プランジャ42bを押し込むことによって、第2シリンジ42の放射性薬剤をチューブ411、第3切替弁223、第4切替弁224、チューブ420及び第6針331を介して飲用容器330内に注入する投与動作を行う。
更に、第1シリンジ駆動機構により第1シリンジ41の第1プランジャ41bを引き抜くことによって、飲料水貯留ボトル341の飲料水を、チューブ417、第1切替弁221、チューブ416、第2切替弁222、チューブ415を介して第1シリンジ41の内部に吸引する。続いて、第1シリンジ駆動機構により第1シリンジ41の第1プランジャ41bを押し込むことによって、第1シリンジ41の飲料水をチューブ415、第2切替弁222、チューブ413、第3切替弁223、チューブ419、第4切替弁224、チューブ420及び第6針331を介して飲用容器330内に注入する。これにより、チューブ419、第4切替弁224、チューブ420及び第6針331の流路内に残留した放射性薬剤を飲料水によってすすぎ落し、その後、放射性薬剤と飲料水との混合液を飲用容器330内に注入することができる。そして、被験者は、飲用容器330内に注入された放射性薬剤と飲料水との混合液を経口摂取する。こうして、被験者への放射性薬剤の投与が完了する。
なお、本実施形態の場合、放射性薬剤投与装置100は、上記の一連の処理を連続して実行可能である。よって、複数人の被験者へ放射性薬剤をシームレスに投与することができる。
【0064】
ここで、制御部80は、投与動作の完了後、シリンジ(第2シリンジ42)の内部に放射性薬剤が残留している場合、第2シリンジ42の内部に残留している放射性薬剤を貯留容器(第2バイアル瓶58)に吐出する処理を行うように設定されていてもよい。
このような構成によれば、投与動作完了後、第2シリンジ42内に放射性薬剤が余った場合、この余った放射性薬剤を次の被験者への投与に用いることができる。よって、廃棄する放射性薬剤の量を削減することができ、放射性薬剤を有効利用できる。
【0065】
所定の人数の被験者への放射性薬剤の投与が完了したら、制御部80は、更に、消毒性のある揮発性の洗浄液(例えば、消毒用エタノール)を貯留している洗浄液貯留ボトル342から洗浄液を投与ルートの一部分に移送する洗浄処理(消毒処理)を行う。
より詳細には、第1シリンジ駆動機構により第1シリンジ41の第1プランジャ41bを引き抜くことによって、洗浄液貯留ボトル342の洗浄液を、チューブ418、第1切替弁221、チューブ416、第2切替弁222、チューブ415を介して第1シリンジ41の内部に吸引する。続いて、第1シリンジ駆動機構により第1シリンジ41の第1プランジャ41bを押し込むことによって、第1シリンジ41の洗浄液をチューブ415、第2切替弁222、チューブ413、第3切替弁223、チューブ419、第4切替弁224、チューブ421及び第5針321を介して廃棄ボトル320内に排出する。これにより、第1シリンジ41と廃棄ボトル320との間の流路内に残留した放射性薬剤と飲料水との混合液を洗浄液によって洗浄及び消毒することができる。これにより、放射性薬剤の投与に使用される流路を清潔な状態に保つことが容易となる。なお、廃棄ボトル320の代わりに、再度設置した飲用容器330に第1シリンジ41の洗浄液を排出(廃棄)してもよい。この場合、チューブ420から第6針331までの間の流路内を洗浄液によって洗浄及び消毒することができる。
このように、本実施形態の場合、揮発性の洗浄液を貯留している洗浄液貯留部から洗浄液を投与経路の少なくとも一部分(例えば、第3切替弁223と第5針321との間の流路)に移送し、洗浄処理(消毒処理)を実行可能である。
【0066】
続いて、制御部80は、洗浄処理の後に、ベントフィルタ23から第1シリンジ41と飲用容器330との間の流路に空気を導入し、揮発性の洗浄液を揮発させる乾燥処理を行う。
これにより、チューブ416、チューブ415、第2切替弁222、チューブ413、第3切替弁223、チューブ419、第4切替弁224、チューブ421及び第5針321内に残留した洗浄液を揮発させ、すみやかに乾燥させることができる。よって、放射性薬剤の投与に使用される一部の流路を清潔な状態に保つことがより容易となる。
より詳細には、制御部80は、第2切替弁222はチューブ415とチューブ416が連通した状態とし、第1切替弁221はチューブ416とベントフィルタ23とが連通した状態とする。そして、この状態で、第1シリンジ駆動機構により第1シリンジ41の第1プランジャ41bを引き抜くことによって、第1シリンジ41が負圧となり、チューブ415、第2切替弁222、第1シリンジ41内に空気が吸引される。次に、制御部80は、第2切替弁222はチューブ413とチューブ415が連通した状態とし、第1切替弁221はチューブ416とベントフィルタ23とが連通した状態とする。そして、この状態で、第1シリンジ駆動機構により第1シリンジ41の第1プランジャ41bを押し込むことによって、第1シリンジ41内の空気が、チューブ415、第2切替弁222、チューブ413、第3切替弁223、チューブ419、第4切替弁224、チューブ421及び第5針321をこの順に介してこれら流路の外部に排気され、この流路間は乾燥される。なお、第1シリンジ41内の空気を、再度設置した飲用容器330内に排気してもよい。この場合、チューブ420から第6針331までの流路内を追加で乾燥させることができる。
また、第1容器(第2バイアル瓶58)内の放射性薬剤が、所望の投与量を充足しない状態となった場合、第2バイアル瓶58を廃棄することになる。制御部80は、そのための廃液処理を行う。より詳細には、制御部80は、残留している放射性薬剤を第2シリンジ42の内部に吸引し、吸引した放射性薬剤を廃棄ボトル320に移送する廃液処理を投与機構に実行させるように設定されていてもよい。
このような構成によれば、第2バイアル瓶58内に残留した放射性薬剤を廃棄ボトル320内にまとめて廃棄することができるので、オペレータの放射線による被ばくを抑制することができる。
より詳細には、制御部80は、第2バイアル瓶58の内部に残留している放射性薬剤を第2シリンジ42の内部に吸引し、吸引した放射性薬剤を、チューブ411、第3切替弁223、チューブ419、第4切替弁224、チューブ421及び第5針321を介して廃棄ボトル320内に廃液する。
【0067】
以上、図面を参照して実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0068】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)放射性薬剤を貯留している貯留容器から放射性薬剤を分取して生体に投与する投与機構と、
放射性薬剤の放射能強度を検出する放射線検出器と、
前記投与機構の動作制御を行う制御部と、を備え、
前記投与機構は、シリンジを含み、
前記放射線検出器は、前記シリンジの周囲に設けられて該シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度を検出し、
前記制御部は、前記放射線検出器により検出される放射能強度に基づいて、放射性薬剤を前記貯留容器から前記シリンジの内部に吸引する吸引動作と、前記シリンジの内部の放射性薬剤を前記生体に投与する投与動作と、を前記投与機構に実行させる放射性薬剤投与装置。
(2)前記制御部は、前記放射線検出器により検出される放射能強度に基づいて、前記シリンジの内部の放射能量が予め設定された値になるまで、前記投与機構に前記吸引動作を継続させる(1)に記載の放射性薬剤投与装置。
(3)前記放射線検出器は、前記投与動作中の前記シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度を検出し、
前記制御部は、前記放射線検出器により検出される放射能強度に基づいて、前記シリンジの内部の放射能量が予め設定された値になるまで、前記投与機構に前記投与動作を継続させる(1)に記載の放射性薬剤投与装置。
(4)前記吸引動作が完了したタイミングの前記シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度と、前記投与動作が完了したタイミングの前記シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度と、に基づいて、前記生体に投与された放射性薬剤の放射能量を演算する演算部を備える(1)に記載の放射性薬剤投与装置。
(5)前記制御部は、前記投与動作の完了後、前記シリンジの内部に放射性薬剤が残留している場合、
前記シリンジの内部に残留している放射性薬剤を前記貯留容器に吐出する処理を行う(1)から(4)のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
(6)前記シリンジの側周の少なくとも一部分を覆う第1遮蔽板と、
前記第1遮蔽板において前記シリンジ側とは反対側を向く面に沿って配置されている第2遮蔽板と、を備え、
前記第1遮蔽板の肉厚は、前記第2遮蔽板の肉厚よりも薄く、
前記第1遮蔽板には、該第1遮蔽板を通過する放射線の入射角を制限するコリメート部が形成されており、
前記放射線検出器は、前記第1遮蔽板と前記第2遮蔽板との間に配置されており、
前記シリンジの内部の放射性薬剤が放射する放射線は、前記コリメート部によってコリメートされて前記放射線検出器に入射する(1)から(4)のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
(7)前記貯留容器と前記シリンジとが流路を介して相互に連通している連通状態と、前記流路が閉塞され前記貯留容器と前記シリンジとが相互に連通しておらず他の流路が開放されている非連通状態と、に選択的に切り替え可能な切替機構と、を更に備え、
前記シリンジは、内部に貯液部を有するシリンジ本体と前記シリンジ本体に摺動可能に挿入されているプランジャとを有し、
前記投与機構は、前記プランジャを前記シリンジ本体から引き抜く動作と、前記プランジャを前記シリンジ本体に対して押し込む動作と、を行うシリンジ駆動機構を含み、
前記制御部は、前記放射線検出器が前記シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度を検出するまで、
前記連通状態で前記プランジャを前記シリンジ本体から引き抜き前記流路内の流体を前記シリンジ内に吸引する処理と、
前記非連通状態で前記プランジャを前記シリンジ本体に対して押し込み前記シリンジ内の流体を前記他の流路に排出する処理と、
をこの順に繰り返し行い、
前記放射線検出器が前記シリンジの内部の放射性薬剤の放射能強度を検出したら、
前記制御部は、
前記非連通状態で、前記プランジャを前記シリンジ本体に対して押し込み前記シリンジ内の流体を前記流路の外部に排出する処理を行い、その後に前記連通状態に切り替えて前記吸引動作を開始する(1)から(4)のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
【符号の説明】
【0069】
10 筐体
22 生理食塩水貯留バッグ
23 ベントフィルタ
25 エアベントフィルタ
27 セーフタッチプラグ
30 三方活栓
31 第1三方活栓
32 第2三方活栓
33 第3三方活栓
34 第4三方活栓
35 第5三方活栓
41 第1シリンジ
41a 第1シリンジ本体
41b 第1プランジャ
42 第2シリンジ
42a 第2シリンジ本体
42b 第2プランジャ
50 第1遮蔽容器
51 第1バイアル瓶
52 第3針
53 第4針
57 第2遮蔽容器
58 第2バイアル瓶
59 第2針
60 第1針
61 第1針駆動機構
62 第2針駆動機構
63、64、65、66、67、68、69 チューブ
75 第3針駆動機構
76 第4針駆動機構
80 制御部
81 演算部
90 記憶部
92 表示部
100 放射性薬剤投与装置
110 操作部
131 第1三方活栓駆動モータ
132 第2三方活栓駆動モータ
133 第3三方活栓駆動モータ
134 第4三方活栓駆動モータ
135 第5三方活栓駆動モータ
141 第1シリンジ駆動モータ
142 第2シリンジ駆動モータ
161 第1針駆動モータ
162 第2針駆動モータ
163 第3針駆動モータ
164 第4針駆動モータ
100 放射性薬剤投与装置
171 第1切替弁駆動モータ
172 第2切替弁駆動モータ
173 第3切替弁駆動モータ
174 第4切替弁駆動モータ
220 複数の切替弁
221 第1切替弁
222 第2切替弁
223 第3切替弁
224 第4切替弁
320 廃棄ボトル
321 第5針
330 飲用容器
331 第6針
341 飲料水貯留ボトル
342 洗浄液貯留ボトル
411、412、413、414、415、416,417、418、419、420、421 チューブ
500 通過センサ
800 放射線検出器
810 複数の検出器
811 第1検出器
816 第2検出器
821 第1遮蔽板
822、823 一対の第1遮蔽板
824a 内面
824b 外面
831 第2遮蔽板
832、833 一対の第2遮蔽板
834a 内面
834b 外面
835 主部
836 上下一対の外脚部
837a、837b 空隙
840 遮蔽カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6