(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100393
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ヘアピン
(51)【国際特許分類】
A45D 8/14 20060101AFI20240719BHJP
A45D 8/08 20060101ALI20240719BHJP
A45D 8/10 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A45D8/14 Z
A45D8/08
A45D8/10
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004368
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】591195695
【氏名又は名称】株式会社ニシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100101351
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】西田 康弘
(57)【要約】
【課題】挟持部が山部を有するヘアピンであっても髪に装着された状態において髪に対してずれるのを抑制できる、ヘアピンを提供する。
【解決手段】ヘアピン10は、第1挟持部12と、ヘアピン10の後端で第1挟持部12に弾性的に接続される第2挟持部14とを備える。第2挟持部14は、連なる複数の山部16を含む。各山部16は、ヘアピン10の先端側の第1傾斜部18と、ヘアピン10の後端側の第2傾斜部20とを有する。第2傾斜部20は、第1傾斜部18より長い。第1傾斜部18と第1挟持部12とがなす第1鋭角aよりも、第2傾斜部20と第1挟持部12とがなす第2鋭角bの方が小さい。ヘアピン10はさらに、山部16のうち少なくとも第1傾斜部18の内面に設けられる凹凸面22を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
髪留めに用いられるヘアピンであって、
第1挟持部と、
当該ヘアピンの先端側の第1傾斜部および当該ヘアピンの後端側の第2傾斜部を有する山部を含みかつ当該ヘアピンの後端で前記第1挟持部に弾性的に接続される第2挟持部と、
前記山部のうち少なくとも前記第1傾斜部の内面に設けられる凹凸面とを備える、ヘアピン。
【請求項2】
前記第2傾斜部は前記第1傾斜部より長く、
前記第1傾斜部と前記第1挟持部とがなす第1鋭角よりも前記第2傾斜部と前記第1挟持部とがなす第2鋭角の方が小さい、請求項1に記載のヘアピン。
【請求項3】
前記凹凸面は、前記第2傾斜部の内面に設けられない、請求項2に記載のヘアピン。
【請求項4】
前記第2挟持部は、連なる複数の前記山部を含む、請求項1から3のいずれかに記載のヘアピン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はヘアピンに関し、より特定的には髪留めに用いられるヘアピンに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術の一例として、特許文献1においてずれないヘアピンが提案されている。このヘアピンは、ヘアピンの内側面に、つまり髪をはさむ面に、みぞ又は盛りあがりをつけ、その内側面を凹凸状にして、髪にとめた位置からずれないようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、所謂アメリカピンなど、挟持部が山部を有するヘアピンにおいて、どの箇所を凹凸状にするのが好ましいのかという点については具体的に記載されておらず、このようなヘアピンにおいて、ヘアピンを髪に留めた位置からずれるのを抑制できるか明らかではない。
【0005】
それゆえにこの発明の主たる目的は、挟持部が山部を有するヘアピンであっても髪に装着された状態において髪に対してずれるのを抑制できる、ヘアピンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、髪留めに用いられるヘアピンであって、第1挟持部と、当該ヘアピンの先端側の第1傾斜部および当該ヘアピンの後端側の第2傾斜部を有する山部を含みかつ当該ヘアピンの後端で第1挟持部に弾性的に接続される第2挟持部と、山部のうち少なくとも第1傾斜部の内面に設けられる凹凸面とを備える、ヘアピンが提供される。
【0007】
この発明では、ヘアピンを髪に取り付けた状態において、ヘアピンの第1挟持部と第1傾斜部と第2傾斜部とによって囲まれた領域内にある髪が、ヘアピンの先端側(出口側)に移動しようとしても、第1傾斜部の内面に設けられている凹凸面に引っ掛かる。したがって、髪の移動を抑制でき、ヘアピンが髪に対してずれるのを抑制できる。
【0008】
好ましくは、第2傾斜部は第1傾斜部より長く、第1傾斜部と第1挟持部とがなす第1鋭角よりも第2傾斜部と第1挟持部とがなす第2鋭角の方が小さい。この場合、第2傾斜部と第1挟持部とがなす第2鋭角は、第1傾斜部と第1挟持部とがなす第1鋭角より小さく、第2傾斜部と第1挟持部との間隔は緩やかに変化する。したがって、ヘアピンを髪に装着するとき、第2傾斜部は髪をヘアピンの後端側(奥側)に案内するガイドとして機能し、第1挟持部と第2挟持部との間に髪を挿入し易くなる。また、第1挟持部に対して鋭角をなす第2傾斜部は第1傾斜部より長いので、第1挟持部と第2挟持部との間に髪を挿入後、第1挟持部と第2挟持部とによって髪が挟まれるとき、第1挟持部と第1傾斜部と第2傾斜部とよって囲まれた領域内の多くの髪は、第2傾斜部によって、第2傾斜部側(ヘアピンの奥側)から第1傾斜部側(ヘアピンの先端側)へやや押し戻され、第1傾斜部側の髪が、第1傾斜部の内面に設けられた凹凸面に引っ掛かる。これにより、ヘアピンを髪に装着した状態において、ヘアピンが髪に対してずれるのを効果的に抑制できる。
【0009】
また好ましくは、凹凸面は、第2傾斜部の内面に設けられない。この場合、ヘアピンを髪に装着するとき、第2傾斜部は髪をヘアピンの後端側(奥側)により円滑に案内でき、髪にヘアピンをさらに装着し易くなる。
【0010】
さらに好ましくは、第2挟持部は、連なる複数の山部を含む。この発明は、第2挟持部において複数の山部が連なるように形成される、所謂アメリカピンに好適に用いられる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、挟持部が山部を有するヘアピンであっても髪に装着された状態において髪に対してずれるのを抑制できる、ヘアピンが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の一実施形態に係るヘアピンを示す正面図である。
【
図3】(a)はヘアピンの内面を示す展開図であり、(b)は凹凸面を示す部分斜視図である。
【
図4】ヘアピンを髪に装着した状態を説明するための図解図である。
【
図5】ヘアピンを髪に装着するときを説明するための図解図である。
【
図7】凹凸面の変形例を示す図解図であり、(a)は十字状の凹凸面を示し、(b)はローレット加工された凹凸面を示し、(c)はシボ加工された凹凸面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1を参照して、この発明の一実施形態に係るヘアピン10は、頭髪を束ねたり整えたりする際の髪留めに用いられるアメリカピンであり、たとえばバネ鋼などの弾力性のある線材を折り曲げたものである。ヘアピン10は、第1挟持部12と、第2挟持部14とを含む。
【0015】
第1挟持部12は、全体が緩やかに凸状に湾曲した形状を有する。
【0016】
第2挟持部14は、ヘアピン10の後端で第1挟持部12に弾性的に接続される。第1挟持部12と第2挟持部14とは、それぞれの後端で接続され、典型的には、ヘアピン10の不使用状態において互いに押し合うように接触する。第2挟持部14は、連なる複数(この実施形態では4個)の山部16を含み、波打ち状に形成された部分を有する。
【0017】
各山部16は、ヘアピン10の先端側の第1傾斜部18と、ヘアピン10の後端側の第2傾斜部20とを有する。
図2を参照して、第2傾斜部20は第1傾斜部18より長く、第1傾斜部18と第1挟持部12とがなす第1鋭角aよりも、第2傾斜部20と第1挟持部12とがなす第2鋭角bの方が小さい。
【0018】
図3(a)および(b)をも参照して、山部16の第1傾斜部18の内面には、溝状の凹凸面22が設けられる。凹凸面22は、第1傾斜部18の内面に複数の斜めの溝を加工して形成される。凹凸面22は平らな面よりも、摩擦力が大きくなる。第2傾斜部20の内面には、凹凸面22は設けられない。したがって、第2挟持部14の内面、すなわち第1挟持部12に対向する面には、間隔をあけて複数(この実施形態では4個)の凹凸面22が形成される。
【0019】
このようなヘアピン10を使用する際には、たとえば、手で弾性に抗して第1挟持部12および第2挟持部14の先端を開き、その状態でヘアピン10を髪に対して前進させることによって、第1挟持部12と第2挟持部14との間に髪が挿入される。その後、手をヘアピン10から離すことで、第1挟持部12および第2挟持部14の弾性によって、第1挟持部12と第2挟持部14との間に髪が挟まれ、髪を束ねることができる。このようにして、ヘアピン10を髪に装着できる。ここで、第2挟持部14は連なる複数の山部16を有するので、髪の束は、第1挟持部12と第2挟持部14との間隔が狭い箇所において強く締め付けられ、横ずれし難くなる。
【0020】
図4を参照して、ヘアピン10によれば、ヘアピン10を髪に取り付けた状態において、ヘアピン10の第1挟持部12と第1傾斜部18と第2傾斜部20とによって囲まれた領域内にある髪が、ヘアピン10の先端側(出口側)に移動しようとしても、第1傾斜部18の内面に設けられている凹凸面22に引っ掛かる。したがって、髪の移動を抑制でき、ヘアピン10が髪に対してずれるのを抑制できる。
【0021】
第2傾斜部20と第1挟持部12とがなす第2鋭角bは、第1傾斜部18と第1挟持部12とがなす第1鋭角aより小さく、第2傾斜部20と第1挟持部12との間隔は緩やかに変化する。したがって、
図5に示すように、ヘアピン10を髪に装着するとき、第2傾斜部20は髪をヘアピン10の後端側(奥側)に案内するガイドとして機能し、第1挟持部12と第2挟持部14との間に髪を挿入し易くなる。また、第1挟持部12に対して鋭角をなす第2傾斜部20は第1傾斜部18より長いので、第1挟持部12と第2挟持部14との間に髪を挿入後、第1挟持部12と第2挟持部14とによって髪が挟まれるとき、第1挟持部12と第1傾斜部18と第2傾斜部20とよって囲まれた領域内の多くの髪は、第2傾斜部20によって、第2傾斜部20側(ヘアピン10の奥側)から第1傾斜部18側(ヘアピン10の先端側)へやや押し戻され、第1傾斜部18側の髪が、第1傾斜部18の内面に設けられた凹凸面22に引っ掛かる。これにより、ヘアピン10を髪に装着した状態において、ヘアピン10が髪に対してずれるのを効果的に抑制できる。
【0022】
凹凸面22は、第2傾斜部20の内面に設けられないので、ヘアピン10を髪に装着するとき、第2傾斜部20は髪をヘアピン10の後端側(奥側)により円滑に案内でき、髪にヘアピン10をさらに装着し易くなる。
【0023】
この発明は、第2挟持部14において複数の山部16が連なるように形成される、所謂アメリカピンに好適に用いられる。
【0024】
なお、上述の実施形態では、凹凸面として、溝状の凹凸面22が形成されたが、これに限定されない。
図6に示すように、凹凸面として、山部16の内面から突出する凹凸面22aが形成されてもよい。また、凹凸面は、
図7(a)に示すような十字状の凹凸面22b、
図7(b)に示すようなローレット加工された凹凸面22c、または
図7(c)に示すようなシボ加工された凹凸面22dであってもよい。
【0025】
上述の実施形態では、凹凸面22は、山部16のうち、第2傾斜部20の内面には設けられず、第1傾斜部18の内面にのみ設けられたが、これに限定されない。凹凸面22は、山部16のうち少なくとも第1傾斜部18の内面に設けられればよく、第2傾斜部20の内面にも設けられてもよい。凹凸面22a~22dについても同様である。
【0026】
上述の実施形態では、4つの山部16を有するヘアピン10について説明したが、これに限定されない。この発明に係るヘアピンの山部の数は少なくとも1つ以上あればよい。
【符号の説明】
【0027】
10 ヘアピン
12 第1挟持部
14 第2挟持部
16 山部
18 第1傾斜部
20 第2傾斜部
22,22a,22b,22c,22d 凹凸面
a 第1鋭角
b 第2鋭角
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
髪留めに用いられるヘアピンであって、
第1挟持部と、
連なる複数の山部を含みかつ当該ヘアピンの後端で前記第1挟持部に弾性的に接続される第2挟持部と、
前記各山部に設けられる凹凸面とを備え、
前記各山部は、当該ヘアピンの先端側の第1傾斜部および当該ヘアピンの後端側の第2傾斜部を有し、
前記凹凸面は、前記各山部において、前記第2傾斜部の内面に設けられることなく前記第1傾斜部の内面に設けられる、ヘアピン。
【請求項2】
前記第2傾斜部は前記第1傾斜部より長く、
前記第1傾斜部と前記第1挟持部とがなす第1鋭角よりも前記第2傾斜部と前記第1挟持部とがなす第2鋭角の方が小さい、請求項1に記載のヘアピン。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
髪留めに用いられるヘアピンであって、
第1挟持部と、
連なる複数の山部を含みかつ当該ヘアピンの後端で前記第1挟持部に弾性的に接続される第2挟持部と、
前記各山部に設けられる凹凸面とを備え、
前記各山部は、前記第2挟持部における前記第1挟持部とは反対側の外側へ突出する部分であり、当該ヘアピンの先端側の第1傾斜部および当該ヘアピンの後端側の第2傾斜部を有し、
前記凹凸面は、前記各山部において、前記第2傾斜部のうち前記第1挟持部に対向する内面に設けられることなく前記第1傾斜部のうち前記第1挟持部に対向する内面に設けられる、ヘアピン。