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  • 特開-アンモニアバーナを備える工業炉 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100401
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】アンモニアバーナを備える工業炉
(51)【国際特許分類】
   F27D 19/00 20060101AFI20240719BHJP
   F23C 99/00 20060101ALI20240719BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20240719BHJP
   F23N 5/18 20060101ALI20240719BHJP
   F23N 3/02 20060101ALI20240719BHJP
   F23M 5/00 20060101ALI20240719BHJP
   F23J 13/02 20060101ALI20240719BHJP
   F23L 9/04 20060101ALI20240719BHJP
   F27D 21/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F27D19/00 D
F23C99/00 323
F23N5/00 D
F23N5/00 J
F23N5/00 K
F23N5/18 L
F23N3/02
F23M5/00 D
F23J13/02
F23L9/04
F27D21/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004381
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】河本 祐作
(72)【発明者】
【氏名】田口 脩平
(72)【発明者】
【氏名】仲井 和成
(72)【発明者】
【氏名】大倉 莉奈
(72)【発明者】
【氏名】尾松 大輔
【テーマコード(参考)】
3K003
3K023
3K065
3K070
4K056
【Fターム(参考)】
3K003EA08
3K003FA03
3K003FA09
3K003FB04
3K003FC04
3K003GA03
3K003JA06
3K003JA07
3K003JA08
3K003JA10
3K003KA03
3K003KB02
3K003LA03
3K003LA09
3K003MA04
3K003NA02
3K023KA07
3K023KC03
3K023KD02
3K065TA01
3K065TC03
3K065TD05
3K065TE02
3K065TG06
3K065TH02
3K065TN02
3K065TN04
3K070BA04
4K056AA05
4K056AA08
4K056AA09
4K056AA12
(57)【要約】
【課題】アンモニアバーナを備える正圧運転可能な工業炉を提供する。
【解決手段】アンモニアを燃料として用いるアンモニアバーナを備える工業炉10であって、アンモニアを空気比1未満で燃焼させるバーナを有するアンモニア燃焼装置2と、アンモニア燃焼装置2からの熱風を受け入れるダクト3と、ダクト3からの熱風を受け入れ、燃焼させる炉体4と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを燃料として用いるアンモニアバーナを備える工業炉であって、
アンモニアを空気比1未満で燃焼させるバーナを有するアンモニア燃焼装置と、
前記アンモニア燃焼装置からの熱風を受け入れるダクトと、
前記ダクトからの熱風を受け入れ、燃焼させる炉体と、を備える工業炉。
【請求項2】
前記ダクトはその外面が断熱材で覆われている、請求項1記載の工業炉。
【請求項3】
前記炉体には、空気を炉内に供給する供給管が設けられている、請求項1記載の工業炉。
【請求項4】
前記ダクトには、前記ダクト内の水素濃度を測定するセンサが設けられ、
前記センサの検出結果を用いて、前記供給管への空気供給量を調整する、請求項3記載の工業炉。
【請求項5】
前記炉体には、炉内の内圧を測定する圧力計が設けられており、
前記工業炉の制御部は、前記圧力計の検出結果を用いて、前記ダクトからの熱風導入量を調整し、炉内の圧力を正圧とする、請求項1記載の工業炉。
【請求項6】
前記ダクトは、円筒形状を有しており、前記ダクトの内径は、前記アンモニア燃焼装置の内側断面の上下方向長さ及び前記炉体の内側断面の上下方向長さより小さくなっている、請求項1~5のいずれか1つに記載の工業炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアを燃料として用いるアンモニアバーナを備える工業炉に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナによる火炎を利用する熱風発生装置を用いた工業炉としては、特許文献1及び2に示されるような炉が挙げられる。ここで、工業炉では、炉壁の隙間から外気が炉内に侵入して炉内の温度が低下したり、炉内の温度分布が変化したりしないように、炉内の圧力は、若干の正圧(大気圧以上)に保たれていることが一般的である。
【0003】
また、上記とは別に、近年の脱炭素の要請から、アンモニアを燃料として用いるアンモニアバーナとして、特許文献3に示されるようなバーナが開発されている。そして、アンモニアを高温に加熱して水素と窒素に分解し、燃えにくいアンモニアをその水素成分によって燃えやすくする技術が、特許文献4に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭53-46349号公報
【特許文献2】特開2019-130507号公報
【特許文献3】特開2022-12927号公報
【特許文献4】特許第7076930号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アンモニアバーナを使用する場合、アンモニアの窒素成分によって排気にNOxが含まれやすいという課題がある。しかし、現在では、空気比を1未満としてアンモニアを燃焼させることによって、NOxの発生が低減されることが分かってきている。しかし、空気比を1未満としてアンモニアを燃焼させると、アンモニアの未燃分が排気に含まれることになり、炉内を正圧にした上述のような工業炉に適用する場合、アンモニアが外部に漏れて悪臭を放ち、生活環境が低下するという課題が生ずることになる。したがって、アンモニアバーナと正圧運転の工業炉とを組み合わせることは、困難となっていた。
【0006】
そこで、本発明では、アンモニアバーナを備える正圧運転可能な工業炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、アンモニアを燃料として用いるアンモニアバーナを備える工業炉であって、
アンモニアを空気比1未満で燃焼させるバーナを有するアンモニア燃焼装置と、
前記アンモニア燃焼装置からの熱風を受け入れるダクトと、
前記ダクトからの熱風を受け入れ、燃焼させる炉体と、を備える。
【0008】
前記構成によれば、空気比1未満でアンモニアを燃焼させることによってNOxの発生を低減しながら、排気に含まれる未燃分のアンモニアをダクト内で分解させるので、炉体内にはアンモニアが含まれず、炉体内を正圧にする炉とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、アンモニアバーナを備える正圧運転可能な工業炉を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る工業炉の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る工業炉10の概念図である。図1に示されるように、工業炉10は、アンモニアを燃料として用いるアンモニアバーナ20を有するアンモニア燃焼装置2と、アンモニア燃焼装置2からの熱風を受け入れるダクト3と、ダクト3からの熱風を受け入れ、燃焼させる炉体4と、を備えている。工業炉10はさらに、工業炉10の作動を制御する制御部11を備えている。
【0012】
工業炉10とは、材料を目的の温度で溶解、加熱、熱処理するための装置を総称したものであり、材料を加熱することで、その材料が持つ物理的性質や化学的性質、機械的性質などを変化させ、目的に合った製品の加工などを行う炉を意味している。工業炉10には、材料や自動車・機械部品等を熱処理する熱処理炉、鉄鋼材料等を加熱するための加熱炉、アルミニウム材料等を溶解する溶解炉等、それぞれの用途や目的別に数多くの種類の炉が含まれる。
【0013】
アンモニア燃焼装置2は、アンモニアを供給するアンモニア管21と、空気を供給する給気管22と、アンモニア管21から供給されるアンモニアと給気管22から供給される空気とを混合させ、火炎を形成するアンモニアバーナ20と、アンモニアバーナ20が取り付けられ、火炎が形成される領域を囲むアンモニア燃焼炉23と、を備えている。アンモニアバーナ20は、アンモニアを空気比1未満で燃焼させるように、アンモニア管21から供給されるアンモニアと給気管22から供給される空気の量を調整するようになっている。アンモニア管21には、アンモニア管21を開閉する開閉弁211が設けられており、給気管22には、給気管22を開閉する開閉弁221が設けられている。開閉弁211の開度及び開閉弁221の開度を調整し、アンモニア管21から供給されるアンモニアと給気管22から供給される空気の量を調整することによって、燃焼の空気比を調整する。
【0014】
ダクト3は、アンモニア燃焼炉23に接続されており、アンモニア燃焼炉23内からの熱風を受け入れるようになっている。ダクト3のアンモニア燃焼炉23への開口部31は、アンモニアバーナ20と対向する位置に設けられている。ダクト3は、直管の円筒形状を有しており、円筒形状の一方側端部に開口部31が設けられ、円筒形状の他方側端部に、ダクト3の炉体4への開口部32が設けられる。すなわち、開口部32は、開口部31と対向する位置に設けられている。
【0015】
ダクト3には、炉体4との接続部近傍に、ダクト3内の水素濃度を測定するセンサ33が設けられている。工業炉10の制御部11は、センサ33の検出結果を用いて、後述する供給管42への空気供給量を調整する。
【0016】
ダクト3内には、アンモニアと空気とを燃焼させた高温の排ガスが熱風として流れており、排ガス中の未燃分のアンモニアが自らの高温によって、水素と窒素に分解するようになっている。ダクト3内を高温環境に維持するために、ダクト3の外面は断熱材34で覆われている。ダクト3内でアンモニアを分解するために、ダクト3内の温度は1000℃以上に維持されることが好ましい。また、ダクト3の大きさは、アンモニアの滞留時間が1秒以上確保される大きさが好ましい。ダクト3は、ダクト3内のアンモニアが分解されるためのダクト3内の温度及びアンモニアの滞留時間を確保するように、その径や長さ、形状が規定されている。例えば、一般的な排ガスの流速が約10m/sであるとすると、アンモニアの滞留時間1秒以上を確保するためには、ダクト3の長さは、10m以上あることが好ましい。本実施形態では、ダクト3は直管形状を有しており、一般的にはダクト3の内径3dは、100~1000mm程度であり、アンモニア燃焼炉23の内側断面の上下方向長さ23d(例えば500~5000mm程度)より小さくなっており、さらに、炉体4の内側断面の上下方向長さ4d(例えば5000~10000mm程度)より小さくなっている。
【0017】
炉体4は、ダクト3に接続されており、ダクト3内の熱風を受け入れるようになっている。炉体4のダクト3への開口部41の近傍には、空気を供給する供給管42が設けられており、開口部41からの熱風の中の水素成分と供給管42から供給される空気とが混合して、炉体4内で火炎が形成されるようになっている。これによって、炉体4内で分解後の水素成分を燃焼させる。炉体4内には、ワークWが配置されており、この火炎による熱によって、ワークWは熱処理される。
【0018】
供給管42には、供給管42を開閉する調整弁421が設けられている。センサ33による水素濃度の検出結果によって、調整弁421の開度が調整され、水素成分を燃焼させるための供給管42への空気供給量が調整される。調整弁421は、電動弁となっている。
【0019】
炉体4には、炉体4内の圧力を測定する圧力計43が設けられており、工業炉10の制御部11は、圧力計43の検出結果を用いて、開閉弁211、221を制御し燃焼量を調整して排ガスを増減させる等の手段によって、ダクト3から炉体4内への熱風導入量を調整し、炉体4内の圧力を正圧に維持するようになっている。
【0020】
炉体4には、ダクト3への開口部41が設けられている壁面に対向する壁面に、炉内の雰囲気を排気する排気口44が設けられている。排気口44は排気筒5と排気管51を介して接続されており、炉内の雰囲気は、炉内の内圧に応じて、排気筒5から外部に放出されるようになっている。
【0021】
工業炉10は、次のように作動するようになっている。
【0022】
まず、炉体4内に工業炉10で熱処理するワークWを配置する。
【0023】
次に、アンモニア燃焼装置2において、空気比が1未満となるよう、アンモニア管21からアンモニアが供給され、給気管22から空気が供給されて、アンモニアと空気とが混合し、アンモニアバーナ20によってアンモニアが燃焼して、アンモニア燃焼炉23内に火炎が形成される。アンモニアが燃焼すると、一酸化窒素と水蒸気が生成される。ここで、アンモニアは空気比1未満で燃焼させることによって、NOxの発生は抑制されているが、未燃分のアンモニアが残存することになる。
【0024】
アンモニアバーナ20によって形成された火炎により、アンモニア燃焼炉23内で熱風(排ガス)が発生する。アンモニア燃焼炉23内の熱風は、開口部31を通してダクト3内に送られる。
【0025】
ダクト3内では、熱風の高温によって、未燃分のアンモニアが窒素と水素に分解される。制御部11は、センサ33による分解後の水素の量の検出結果に基づき、ダクト3内の未燃分のアンモニアが水素に分解されていることを確認の上、ダクト3内の水素濃度から、当該水素が炉体4内で燃焼するよう、調整弁421の開度を調整することによって、供給管42への空気供給量を調整する。
【0026】
ダクト3内で未燃分のアンモニアが窒素と水素に分解された後、ダクト3内の熱風は、開口部41を通して炉体4内に送られる。ダクト3内の熱風には主に、窒素、水素、窒素酸化物(NOx)及び水蒸気が含まれる。
【0027】
炉体4内では、ダクト3からの熱風と供給管42からの空気とが混合し、水素が燃焼して、火炎が形成される。炉体4内に配置されたワークWは、火炎による燃焼ガスによって加熱される。制御部11は、圧力計43の検出結果に基づき、炉体4内の圧力が正圧(大気圧より大きい圧力)となるよう、ダクト3から炉体4内への熱風導入量を調整する。
【0028】
ワークWの加熱に寄与した燃焼ガスは、排気口44から排気管51を通して排気筒5から外部に放出される。なお、排気管51から放出される燃焼ガスには、窒素、窒素酸化物(NOx)、水蒸気等が含まれる。炉体4内にアンモニアが含まれていないので、炉体4内を正圧に維持しても、アンモニアが外部に放出されることはない。
【0029】
前記構成の工業炉10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0030】
(1)空気比1未満でアンモニアを燃焼させることによってNOxの発生を低減しながら、排気に含まれる未燃分のアンモニアをダクト内で分解させるので、炉体4内にはアンモニアが含まれず、炉体4内を正圧にする炉とすることができる。
【0031】
(2)ダクト3の外面が断熱材34に覆われることによって、ダクト3内の温度が高温に維持され、ダクト3内におけるアンモニアの分解を促進させることができる。
【0032】
(3)炉体4には、空気を炉内に供給する供給管42が設けられており、アンモニアの分解により生成された水素を供給管42からの空気と混合させ燃焼させることによって、アンモニアの分解により生成された水素を燃料として利用することができる。
【0033】
(4)ダクト3には、ダクト3内の水素濃度を測定するセンサ33が設けられ、センサ33の検出結果を用いて、炉内に供給する空気とアンモニアの分解により生成された水素との混合割合を調整することによって、炉内における燃焼をより効率的に生じさせることができる。
【0034】
(5)制御部11は、圧力計43の検出結果を用いて、ダクト3からの熱風導入量を調整し、炉体4内の圧力を正圧とするので、炉壁の隙間から外気が炉内に侵入して炉内の温度が低下したり、炉内の温度分布が変化したりすることを防止できる。なお、炉内にアンモニアが存在しないため、炉内を正圧とすることができる。
【0035】
(6)ダクト3の内径3dをアンモニア燃焼装置2の内側断面の上下方向長さ23d及び炉体4の内側断面の上下方向長さ4dより小さくすることによって、高温下での縮流が生じ、乱れが増加することから、さらにダクト3内でのアンモニアの分解を促進することができる。
【0036】
上記実施形態では、ダクト3は直管形状を有しているが、ダクト3内におけるアンモニアの滞留時間を確保しながら、工業炉の全体の長さを短くするために、屈曲形状を有してもよい。
【0037】
上記実施形態では、ダクト3内のアンモニアの分解は、ダクト内雰囲気温度及びダクト3の形状等によって担保されているが、ダクト3内でアンモニアが分解されていることを確認するために、ダクト3の出口近傍にアンモニアセンサを設けてもよい。
【0038】
上記実施形態では、ダクト3の外面が断熱材34によって覆われることによって、ダクト3内のアンモニアの分解が促進されているが、ダクト3内を加熱するヒータがダクトに取り付けられていてもよい。また、ダクト3内にアンモニアの分解を促進するアンモニア分解触媒を配置してもよい。
【0039】
上記実施形態では、アンモニアを燃焼させた後、未燃分のアンモニアを熱風による加熱によって水素と窒素とに分解しているが、前もってアンモニアを加熱した上で燃焼させることによって、未燃分のアンモニア量を低減してもよい。
【0040】
本発明及び実施形態をまとめると、以下のとおりである。
【0041】
(1)本発明の一実施形態は、アンモニアを燃料として用いるアンモニアバーナを備える工業炉であって、
アンモニアを空気比1未満で燃焼させるバーナを有するアンモニア燃焼装置と、
前記アンモニア燃焼装置からの熱風を受け入れるダクトと、
前記ダクトからの熱風を受け入れ、燃焼させる炉体と、を備える。
【0042】
前記構成(1)によれば、空気比1未満でアンモニアを燃焼させることによってNOxの発生を低減しながら、排気に含まれる未燃分のアンモニアをダクト内で分解させるので、炉内にはアンモニアが含まれず、炉内を正圧にする炉とすることができる。
【0043】
(2)前記構成(1)において、前記ダクトはその外面が断熱材で覆われている。
【0044】
前記構成(2)によれば、ダクトの外面が断熱材に覆われることによって、ダクト内の温度が高温に維持され、ダクト内におけるアンモニアの分解を促進させることができる。
【0045】
(3)前記構成(1)又は(2)において、前記炉体には、空気を炉内に供給する供給管が設けられている。
【0046】
前記構成(3)によれば、アンモニアの分解により生成された水素を供給管からの空気と混合させ燃焼させることによって、アンモニアの分解により生成された水素を燃料として利用することができる。
【0047】
(4)前記構成(3)において、前記ダクトには、前記ダクト内の水素濃度を測定するセンサが設けられ、
前記センサの検出結果を用いて、前記供給管への空気供給量を調整する。
【0048】
前記構成(4)によれば、炉内に供給する空気とアンモニアの分解により生成された水素との混合割合を調整することによって、炉内における燃焼をより効率的に生じさせることができる。
【0049】
(5)前記構成(1)~(4)のいずれか1つにおいて、前記炉体には、炉内の内圧を測定する圧力計が設けられており、
前記工業炉の制御部は、前記圧力計の検出結果を用いて、前記ダクトからの熱風導入量を調整し、炉内の圧力を正圧とする。
【0050】
前記構成(5)によれば、炉内の内圧を正圧とすることによって、炉壁の隙間から外気が炉内に侵入して炉内の温度が低下したり、炉内の温度分布が変化したりすることを防止できる。
【0051】
(6)前記構成(1)~(5)のいずれか1つにおいて、前記ダクトは、円筒形状を有しており、前記ダクトの内径は、前記アンモニア燃焼装置の内側断面の上下方向長さ及び前記炉体の内側断面の上下方向長さより小さくなっている。
【0052】
前記構成(6)によれば、ダクトの内径をアンモニア燃焼装置の内側断面の上下方向長さ及び炉体の内側断面の上下方向長さより小さくすることによって、高温下での縮流が生じ、乱れが増加することから、さらにダクト内でのアンモニアの分解を促進することができる。
【0053】
特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明では、アンモニアバーナを備える正圧運転可能な工業炉を提供できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0055】
10 工業炉
11 制御部
2 アンモニア燃焼装置
20 アンモニアバーナ
21 アンモニア管 211 開閉弁
22 給気管 221 開閉弁
23 アンモニア燃焼炉
3 ダクト
31 開口部 32 開口部
33 センサ 34 断熱材
4 炉体
41 開口部 42 供給管 421 調整弁
43 圧力計 44 排気口
5 排気筒
51 排気管
W ワーク
図1