(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100404
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】学習用地図
(51)【国際特許分類】
G09B 29/08 20060101AFI20240719BHJP
G09B 1/38 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G09B29/08
G09B1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004386
(22)【出願日】2023-01-16
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】505050382
【氏名又は名称】東京カートグラフィック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】弁理士法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 和善
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032HA16
2C032HC27
2C032HC38
(57)【要約】
【課題】この発明は、地図上の特定の地域がどのような特性を持った地域であるのかを、ゲーム感覚で学習できるようにすることを課題とするものである。
【解決手段】この発明の学習用地図は、同一の地図に対応する、情報シートAと情報シートの上に重ねられる地図タイルBとで構成する。前記情報シートAは、地図を複数の地域に分割し、分割された地域毎の情報4が表示されたものとし、前記地図タイルBは、地図を、前記情報シートAと同一の複数の地域に分割されたものとする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の地図に対応する、情報シートと情報シートの上に重ねられる複数の地図タイルとで構成され、
前記情報シートは、地図を複数の地域に分割し、分割された地域毎の情報が表示されたものとし、
前記地図タイルは、地図を、前記情報シートと同一の複数の地域に分割されたものとした、
学習用地図。
【請求項2】
情報シートと地図タイルとは磁着可能とした、請求項1に記載の学習用地図。
【請求項3】
情報シートには、地図が表示された、請求項1又は2に記載の学習用地図。
【請求項4】
情報シート及び地図タイルは、方眼で複数の地域に分割された、請求項1ないし3の何れかに記載の学習用地図。
【請求項5】
情報シートに表示される情報は、点数化されたハザード情報とした、請求項1ないし4の何れかに記載の学習用地図。
【請求項6】
画面に表示される地図データと、地図データに対応する情報データとを備え、
前記地図データは複数の地域に分割され、
前記情報データには、前記地図データの分割された地域毎の情報が記録され、
前記地図データの一の地域を指示すると、前記情報データに記録された、前記指示された地域の情報が画面に表示されるようにした、学習用地図。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地域情報を学習することのできる、学習用地図に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地域情報を学習することのできる学習用地図としては、例えば実用新案登録第3168891号の技術が提案されている。この技術は、地図上に地域の情報をブラックライトの照射により発色、発光する蛍光塗料で印刷しておくものである。
また、地図を複数の地域に分割して地域の情報を表示するものは、デジタル地図の分野で多数提案されているが、学習効果に結びつけるものはない。
【特許文献1】実用新案登録第3168891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、地図上の特定の地域がどのような特性を持った地域であるのかを、ゲーム感覚で学習できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の学習用地図は、同一の地図に対応する、情報シートと情報シートの上に重ねられる地図タイルとで構成する。前記情報シートは、地図を複数の地域に分割し、分割された地域毎の情報が表示されたものとし、前記地図タイルは、地図を、前記情報シートと同一の複数の地域に分割されたものとする。
地域の分割の態様は、実施例に示す方眼に限られるものではなく、県や市などの行政区画による分割や、標高による分割など、使用目的に応じて適宜選択する。
なお、同一の地図とは、表示する範囲、縮尺が同じであることを意味し、表現方法が異なるものも含まれる。例えば、地図タイルには土地の高低が示された地図を使用し、情報シートには土地の高低は示されない地図を用いることも、同一の地図に含まれる。
【0005】
この発明における地図は、縮尺を問わない。世界地図でも、特定の町の地図でもよい。そして、情報シートと地図タイルとは、同一の地図を使用して、齟齬なく重ね合わせることができるようにする。
情報シートと地図タイルとは磁着可能とすることが好ましい。
【0006】
情報シートには、分割された地域毎の情報が表示されていればよい。地図を表示することが好ましいが、必ずしも地図を表示する必要はなく、分割された地域の境界を表示しなくともよい。分割の方法は、方眼による画一的な分割の他、行政区画による分割や国ごとの分割など、自由に選択する。
情報シートに表示する情報として、実施例ではハザード情報を示しているが、情報の種類に限定はない。例えば、日本地図を都道府県ごとに分割して、情報として各都道府県の特産品を表示したり、世界地図を国毎に分割して、情報として各国の国旗や人口、国民総生産を表示したり、自由に選択する。
なお、情報シートに表示される情報を点数化して表すと、ゲームとして楽しむことができる。
【0007】
地図タイルは、情報シートと同様の地域に分割したタイルである。ウレタンボードや厚紙で構成することが好ましく、地図タイルは情報シートに磁着できるようにすることが好ましい。
【0008】
請求項6の発明は、請求項1の発明をデジタル的に行う学習用地図である。画面に表示される地図データと、地図データに対応する情報データとを備え、前記地図データは複数の地域に分割され、前記情報データには、前記地図データの分割された地域毎の情報が記録されたものとする。前記地図データの一の地域を指示する(例えばタップする)と、情報データに記録された、先記指示された地域の情報が画面に表示されるようにする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1ないし5の学習用地図は、情報シートの上に複数の地図タイルを、所定の地図が現されるように並べて重ねて使用する。指導者は学習者に対して、情報シートに記載されている情報の種類を予め伝えておく。A4サイズ程度の大きさとして個人で利用することも、ホワイトボード程度の大きさとして、教室などで全員が共同で利用することもできる。
請求項5の学習用地図は、個人のパソコンのモニタに表示したり、教室などでの大スクリーンに表示したりして実施する。
代表的な使用方法を以下に示す。
【0010】
日本地図を都道府県ごとに分割し、情報シートに各都道府県の主要農産物を表示する。この表示は文字でも絵でもよい。この情報シートに日本地図を都道府県ごとに分割した地図タイルを重ねて学習者の前に置く。指導者は、「米の生産が多いのは何処でしょう」などと問いかけ、学習者は米の生産が多いと考える都道府県の地図タイルを開ける(取り外す)。地図タイルを取り外すと情報シートに表された情報を読み取ることができ、自分の知識を検証することができる。
【0011】
日本地図を都道府県毎に分割し、情報シートに過去200年間のマグニチュード6以上の地震の回数を表示する。この情報シートに日本地図を都道府県ごとに分割した地図タイルを重ねて学習者の前に置く。指導者は、「地震の発生回数の多いところは何処でしょう。多いと思う都道府県の地図タイルを5枚開けなさい。合計した数の多い人が勝ちです。」などと問いかけ、学習者は地震が多いと考える都道府県の地図タイルを開ける。
開けた地図タイルに対応して現れる情報シートに表示されている地震の回数を合計して、その数を仲間と競うことによって、ゲーム感覚で知識を深めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明実施例の地図及び地図タイルの分割を示す図
【
図4】同じく地図タイルの一部を開いた状態の平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施例を説明する。
【実施例0014】
以下に示す実施例は、江戸川付近の松戸市周辺におけるハザード情報をテーマとしたものである。
この実施例では、松戸市周辺、東西約15Km、南北約10Kmの範囲の地図を使用する(図には一部を示す)。この地
図1を方眼2に分割するデジタルデータを作成し、各方眼2に、地域番号3を付与する。前記方眼の大きさは、1/25000の縮尺で6cm四方になるように作成する。
前記各方眼に、洪水の危険度に関する情報4を点数化して組み込む。洪水の危険度に関するデータは、自治体が公表しているハザードマップから取得した上で、相対化して1~6点に点数化する。
【0015】
上記のように構成したデジタルデータに基づいて、地
図1,方眼の分割線2a、地域番号3,危険度に関する情報4をプリントして、情報シートAを得、情報シートAを薄い金属板5に貼り付ける。
上記のように構成したデジタルデータに基づいて、地
図1,方眼の分割線2a、地域番号3をプリントして地図シート6を得、この地図シート6をウレタンボード7に貼り付ける。次いで、地図シート6が貼り付けられたウレタンボード7を、方眼の分割線2aで切り離し、方眼2毎の地図タイルBとする。この地図タイルBの底面には磁石8を貼り付ける。
前記情報シートAの各方眼2の上に、同じ地域番号の地図タイルBを載せて、地図タイルBで地
図1を現して、この発明の学習用地図とする。情報シートAと地図タイルBとは磁着しているので、保管時、運搬時に地図タイルがばらばらになることがない。
【0016】
以下、この学習用地図を学校で教材として使用する場面での使用方法を説明する。
クラスを数人のグループに分けて、各グループで学習用地図を一組使用する。教員が、「洪水の危険な地域のタイルを5つ開けなさい。点数の多いグループが勝ちです。」と指示し、児童・生徒がグループで相談して5つのタイルを開ける。タイルを開けると情報シートAが現れ、危険度の点数を知ることができる。そして、その点数を合計する。
ゲームの要素が加わることで、児童・生徒は熟慮してタイルを開ける。
【0017】
教員は、各グループの発表に基づいて手元の学習用地図を使用してタイルを開く。各グループが開けるタイルは同じものもあり違うものもある。また、点数の高いものもあり低いものもある。そのような各グループの発表をベースにして、更に授業を進めることによって、洪水の危険性と土地の環境との関係の学習を行うことができる。
【0018】
デジタル使用においても、実施の態様は同じである。