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特開2024-100407搬送システム、装置、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100407
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】搬送システム、装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20240719BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G06Q10/08
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004392
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】315014671
【氏名又は名称】東京ロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 颯太
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健太
(72)【発明者】
【氏名】松尾 雄希
【テーマコード(参考)】
3F022
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022LL07
3F022MM11
3F022NN42
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ピッキングステーション方式の搬送システムで動作する搬送ロボットにおける物体の搬送作業効率を向上させる搬送システムを提供する。
【解決手段】倉庫等で用いられる搬送システムは、保管棚90-1~90-5に所定の保管位置を有する物体を保管棚から取得して一時保管棚80へと搬送するタスクを含む搬送タスクリストを管理する搬送タスクリスト管理部と、一時保管棚に保管された物体を取得して保管棚へと搬送するタスクを複数含む返却タスクリストを管理する返却タスクリスト管理部と、搬送タスクリストに基づいて、保管位置の属する領域である搬送元領域が同一となる物体に対して搬送タスクを実行するよう搬送ロボット50-1~50-Nへと指令を行う搬送指令部と、返却タスクリストに基づいて、保管位置の属する領域である返却領域が同一となる物体に対して返却タスクを実行するよう搬送ロボットへと指令を行う返却指令部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管棚に所定の保管位置を有する1又は複数の物体を前記保管棚から取得して一時保管棚へと搬送するタスクである搬送タスクを1又は複数含む搬送タスクリストを管理する、搬送タスクリスト管理部と、
前記一時保管棚に保管された1又は複数の前記物体を前記一時保管棚から取得して前記保管棚へと搬送するタスクである返却タスクを1又は複数含む返却タスクリストを管理する、返却タスクリスト管理部と、
前記搬送タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である搬送元領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記搬送タスクを実行するよう搬送ロボットへと指令を行う、搬送指令部と、
前記返却タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である返却領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、返却指令部と、を備える、搬送システム。
【請求項2】
前記搬送指令部は、さらに、
前記搬送ロボットの実行する前記返却タスクに係る前記返却領域、又は、前記返却タスクの実行完了後の前記搬送ロボットの位置に基づいて、前記搬送タスクリストから前記搬送タスクを選択する、搬送タスク選択部をさらに備え、
前記搬送指令部は、選択された前記搬送タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記搬送タスク選択部は、前記搬送ロボットの実行する前記返却タスクに係る前記返却領域から一定範囲内、又は、前記返却タスクの実行完了後の前記搬送ロボットの位置から一定範囲内に前記搬送元領域を有する前記搬送タスクを選択する、請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記搬送指令部は、さらに、
前記搬送ロボットの実行する前記返却タスクに係る前記返却領域から一定範囲内、又は、前記返却タスクの実行完了後の前記搬送ロボットの位置から一定範囲内に前記搬送元領域が存在しない場合、前記搬送タスクに代えて前記返却タスクを選択する返却タスク選択部をさらに備え、
前記返却指令部は、選択された前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、請求項2に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記搬送指令部は、さらに、
前記搬送ロボットの実行する前記返却タスクに係る前記返却領域から一定範囲内、又は、前記返却タスクの実行完了後の前記搬送ロボットの位置から一定範囲内に前記搬送元領域が存在しない場合、前記搬送タスクに代えて待機処理を実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、待機指令部を備える、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記搬送タスク選択部は、前記搬送ロボットの実行する前記返却タスクに係る前記返却領域から一定範囲内、又は、前記返却タスクの実行完了後の前記搬送ロボットの位置から一定範囲内に前記搬送元領域を有する前記搬送タスクのうち、搬送する物体数が最も大きくなる前記搬送タスクを選択する、請求項2に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記搬送タスク選択部は、前記返却領域から前記搬送元領域までの移動時間が最小となる前記搬送タスクを選択する、請求項2に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記搬送タスク選択部は、搬送する物体数が最も大きい前記搬送タスクのうち、前記返却領域又は前記返却タスクの実行完了後の前記搬送ロボットの位置からの距離が最小となる前記搬送元領域を有する前記搬送タスクを選択する、請求項2に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記搬送タスク選択部は、前記返却領域に前記搬送元領域を有する前記搬送タスクが存在する場合には、当該搬送タスクを選択する、請求項2に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記搬送ロボットは前記物体を格納する格納部を複数備える、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項11】
前記返却指令部は、さらに、
前記返却領域と同一の領域に前記搬送元領域を有する前記搬送タスクが存在するよう前記返却タスクを選択する、返却タスク選択部を備え、
前記返却指令部は、選択された前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項12】
前記返却指令部は、さらに、
前記返却領域から一定範囲内に前記搬送元領域を有する前記返却タスクが存在するよう前記返却タスクを選択する、返却タスク選択部を備え、
前記返却指令部は、選択された前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項13】
前記返却指令部は、さらに、
前記返却領域から又は前記返却タスク完了後の前記搬送ロボットの位置から各前記搬送元領域までの距離情報と、各前記搬送タスクにより搬送される前記物体数に基づいて、前記返却タスクを選択する、返却タスク選択部を備え、
前記返却指令部は、選択された前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項14】
前記返却指令部は、さらに、
前記返却領域と同一の領域に前記搬送元領域を有する前記搬送タスクが存在する場合に当該搬送タスクを選択する、タスク選択部と、
前記返却タスクと選択された前記搬送タスクに基づいて、前記保管棚への前記物体の返却と取得の両方を行う合成タスクを生成する、合成タスク生成部と、を備え、
前記返却指令部は、前記合成タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項15】
前記合成タスクにおける前記物体の返却と取得の順序は、前記物体の前記保管棚における前記保管位置を一連に配置して生成される配列に対して、所定の順序決定処理を行うことにより決定される、請求項14に記載の搬送システム。
【請求項16】
前記順序決定処理は、前記物体を返却するか又は前記物体を取得するかに応じて前記配列に対して記号を付与し、前記記号の並びに応じて順序を付与する処理である、請求項15に記載の搬送システム。
【請求項17】
前記返却タスクは、同一の領域内に保管位置を有する前記物体のうち、前記一時保管棚において互いに隣り合うよう配置された前記物体を取得するものである、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項18】
前記返却タスクは、同一の領域内に保管位置を有する前記物体のうち、前記一時保管棚において互いに所定距離内に配置された物体を取得するものである、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項19】
前記返却タスクは、同一の前記搬送タスクにより搬送されてきた前記物体を取得するものである、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項20】
前記搬送タスクは、搬送した複数の前記物体を前記一時保管棚において互いに隣り合うように配置するものである、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項21】
前記搬送タスクは、搬送した複数の前記物体を前記一時保管棚において互いに所定距離内となるよう配置するものである、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項22】
前記搬送タスクは、前記一時保管棚のうち前記搬送元領域からの距離が最小となる位置に前記物体を搬送する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項23】
保管棚に所定の保管位置を有する1又は複数の物体を前記保管棚から取得して一時保管棚へと搬送するタスクである搬送タスクを1又は複数含む搬送タスクリストを管理する、搬送タスクリスト管理部と、
前記一時保管棚に保管された1又は複数の前記物体を前記一時保管棚から取得して前記保管棚へと搬送するタスクである返却タスクを1又は複数含む返却タスクリストを管理する、返却タスクリスト管理部と、
前記搬送タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である搬送元領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記搬送タスクを実行するよう搬送ロボットへと指令を行う、搬送指令部と、
前記返却タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である返却領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、返却指令部と、を備える、搬送装置。
【請求項24】
保管棚に所定の保管位置を有する1又は複数の物体を前記保管棚から取得して一時保管棚へと搬送するタスクである搬送タスクを1又は複数含む搬送タスクリストを管理する、搬送タスクリスト管理ステップと、
前記一時保管棚に保管された1又は複数の前記物体を前記一時保管棚から取得して前記保管棚へと搬送するタスクである返却タスクを1又は複数含む返却タスクリストを管理する、返却タスクリスト管理ステップと、
前記搬送タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である搬送元領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記搬送タスクを実行するよう搬送ロボットへと指令を行う、搬送指令ステップと、
前記返却タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である返却領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、返却指令ステップと、を備える、搬送方法。
【請求項25】
保管棚に所定の保管位置を有する1又は複数の物体を前記保管棚から取得して一時保管棚へと搬送するタスクである搬送タスクを1又は複数含む搬送タスクリストを管理する、搬送タスクリスト管理ステップと、
前記一時保管棚に保管された1又は複数の前記物体を前記一時保管棚から取得して前記保管棚へと搬送するタスクである返却タスクを1又は複数含む返却タスクリストを管理する、返却タスクリスト管理ステップと、
前記搬送タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である搬送元領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記搬送タスクを実行するよう搬送ロボットへと指令を行う、搬送指令ステップと、
前記返却タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である返却領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、返却指令ステップと、を備える、搬送プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物体の搬送システム、特に、倉庫等で用いられる搬送システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、労働人口の減少、Eコマースの拡大等に伴い、倉庫内に保管された様々な商品を出荷する作業の自動化が進められている。
【0003】
ところで、この種の作業の効率性を高めるため、倉庫内における商品等の物体の搬送システムにおいて、所謂、ピッキングステーション方式、特に、ケース搬送型GTP方式が採用されることがある。
【0004】
ピッキングステーション方式とは、搬送ロボットが、様々な商品等が格納された保管棚からオーダー情報等に応じて所望のケース又は棚そのものを取り出し、ピッキングステーション、すなわち、作業者がコンテナへの商品の仕分け作業等を行う場所へと搬送する方式を言う。また、商品を作業者のもとへと搬送する方式はGTP(Goods-To-Person)方式と呼ばれ、GTP方式には、搬送ロボットがケースを搬送するケース搬送型GTP方式と、棚を搬送する棚搬送型GTP方式がある。
【0005】
搬送システムの例として、特許文献1には、協調的に動作する複数の搬送ロボットを用いて対象物を取得して搬送するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0103921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従前のピッキングステーション方式、特に、ケース搬送型GTPを採用した搬送システムにおける物体の搬送効率は十分に検討されていなかった。例えば、特許文献1に記載の搬送システムにおいては、作業負担を各ロボットに分割して割り当てる技術が開示されているものの、そもそもの商品の保管位置等に関する考慮がなされておらず、搬送効率は十分ではなかった。
【0008】
本発明は上述の技術的背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、ピッキングステーション方式の搬送システムで動作する搬送ロボットにおける物体の搬送作業効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の技術的課題は、以下の構成を有する搬送システム、装置、方法及びプログラム等により解決することができる。
【0010】
すなわち、本発明に係る搬送システムは、保管棚に所定の保管位置を有する1又は複数の物体を前記保管棚から取得して一時保管棚へと搬送するタスクである搬送タスクを1又は複数含む搬送タスクリストを管理する、搬送タスクリスト管理部と、前記一時保管棚に保管された1又は複数の前記物体を前記一時保管棚から取得して前記保管棚へと搬送するタスクである返却タスクを1又は複数含む返却タスクリストを管理する、返却タスクリスト管理部と、前記搬送タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である搬送元領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記搬送タスクを実行するよう搬送ロボットへと指令を行う、搬送指令部と、前記返却タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である返却領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、返却指令部と、を備えている。
【0011】
このような構成によれば、保管棚から一時保管棚へと物体を搬送する搬送タスクにおいては、同一の領域内の保管棚に保管された物体が搬送され、一方、一時保管棚から保管棚へと物体を搬送する返却タスクにおいては、同一の領域内に保管されるべき物体が搬送される。そのため、搬送作業の効率化を図ることができる。
【0012】
前記搬送指令部は、さらに、前記搬送ロボットの実行する前記返却タスクに係る前記返却領域、又は、前記返却タスクの実行完了後の前記搬送ロボットの位置に基づいて、前記搬送タスクリストから前記搬送タスクを選択する、搬送タスク選択部をさらに備え、前記搬送指令部は、選択された前記搬送タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、ものであってもよい。
【0013】
このような構成によれば、保管棚への物体の返却からその後の搬送タスクの実行までの搬送ロボットの移動距離を短縮することができ、さらに作業の効率化を図ることができる。
【0014】
前記搬送タスク選択部は、前記搬送ロボットの実行する前記返却タスクに係る前記返却領域から一定範囲内、又は、前記返却タスクの実行完了後の前記搬送ロボットの位置から一定範囲内に前記搬送元領域を有する前記搬送タスクを選択する、ものであってもよい。
【0015】
このような構成によれば、返却タスクから搬送タスクへと移行する際の移動距離を制約して作業効率を向上させることができる。
【0016】
前記搬送指令部は、さらに、前記搬送ロボットの実行する前記返却タスクに係る前記返却領域から一定範囲内、又は、前記返却タスクの実行完了後の前記搬送ロボットの位置から一定範囲内に前記搬送元領域が存在しない場合、前記搬送タスクに代えて前記返却タスクを選択する返却タスク選択部をさらに備え、前記返却指令部は、選択された前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、ものであってもよい。
【0017】
このような構成によれば、搬送ロボットが待機状態となって活用されない状態となることを防止することができる。
【0018】
前記搬送指令部は、さらに、前記搬送ロボットの実行する前記返却タスクに係る前記返却領域から一定範囲内、又は、前記返却タスクの実行完了後の前記搬送ロボットの位置から一定範囲内に前記搬送元領域が存在しない場合、前記搬送タスクに代えて待機処理を実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、待機指令部を備える、ものであってもよい。
【0019】
このような構成によれば、搬送ロボットの近傍に搬送元領域が存在しない場合に一旦待機状態としておき、その後に、近傍に搬送元領域を有する搬送タスクが生成された場合に、搬送ロボットへとタスクを割り当てることができる。これにより、搬送ロボットの移動時間を短縮することができる。
【0020】
前記搬送タスク選択部は、前記搬送ロボットの実行する前記返却タスクに係る前記返却領域から一定範囲内、又は、前記返却タスクの実行完了後の前記搬送ロボットの位置から一定範囲内に前記搬送元領域を有する前記搬送タスクのうち、搬送する物体数が最も大きくなる前記搬送タスクを選択する、ものであってもよい。
【0021】
このような構成によれば、搬送する物体数を最大化する搬送タスクを選択することができ、作業効率を向上させることができる。
【0022】
前記搬送タスク選択部は、前記返却領域から前記搬送元領域までの移動時間が最小となる前記搬送タスクを選択する、ものであってもよい。
【0023】
このような構成によれば、返却タスクから搬送タスクまでの移行時間を最小化することができる。
【0024】
前記搬送タスク選択部は、搬送する物体数が最も大きい前記搬送タスクのうち、前記返却領域又は前記返却タスクの実行完了後の前記搬送ロボットの位置からの距離が最小となる前記搬送元領域を有する前記搬送タスクを選択する、ものであってもよい。
【0025】
このような構成によれば、搬送する物体数を最大化する搬送タスクを選択することができ、作業効率を向上させることができる。
【0026】
前記搬送タスク選択部は、前記返却領域に前記搬送元領域を有する前記搬送タスクが存在する場合には、当該搬送タスクを選択する、ものであってもよい。
【0027】
このような構成によれば、返却タスクから搬送タスクまでの移行時間を最小化することができる。
【0028】
前記搬送ロボットは前記物体を格納する格納部を複数備える、ものであってもよい。
【0029】
このような構成によれば、一度のタスク実行により複数の物体を搬送することができ、作業効率を向上させることができる。
【0030】
前記返却指令部は、さらに、前記返却領域と同一の領域に前記搬送元領域を有する前記搬送タスクが存在するよう前記返却タスクを選択する、返却タスク選択部を備え、前記返却指令部は、選択された前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、ものであってもよい。
【0031】
このような構成によれば、返却領域に搬送タスクが存在することを保証することができ、搬送作業の効率化を図ることができる。
【0032】
前記返却指令部は、さらに、前記返却領域から一定範囲内に前記搬送元領域を有する前記返却タスクが存在するよう前記返却タスクを選択する、返却タスク選択部を備え、前記返却指令部は、選択された前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、ものであってもよい。
【0033】
このような構成によれば、返却領域から一定の範囲内に搬送タスクが存在することを保証することができ、搬送作業の効率化を図ることができる。
【0034】
前記返却指令部は、さらに、前記返却領域から又は前記返却タスク完了後の前記搬送ロボットの位置から各前記搬送元領域までの距離情報と、各前記搬送タスクにより搬送される前記物体数に基づいて、前記返却タスクを選択する、返却タスク選択部を備え、前記返却指令部は、選択された前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、ものであってもよい。
【0035】
このような構成によれば、返却領域等からの距離が近く、かつ、搬送物体数の多くなる搬送タスクへとつながる返却タスクを選択的に実行することができるので、搬送作業の効率化を図ることができる。
【0036】
前記返却指令部は、さらに、前記返却領域と同一の領域に前記搬送元領域を有する前記搬送タスクが存在する場合に当該搬送タスクを選択する、タスク選択部と、前記返却タスクと選択された前記搬送タスクに基づいて、前記保管棚への前記物体の返却と取得の両方を行う合成タスクを生成する、合成タスク生成部と、を備え、前記返却指令部は、前記合成タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、ものであってもよい。
【0037】
このような構成によれば、返却領域に次の搬送タスクが存在するよう返却タスクを選択し、物体の返却と取得を並行して実行することができる。そのため、搬送作業の効率化を図ることができる。
【0038】
前記合成タスクにおける前記物体の返却と取得の順序は、前記物体の前記保管棚における前記保管位置を一連に配置して生成される配列に対して、所定の順序決定処理を行うことにより決定される、ものであってもよい。
【0039】
このような構成によれば、適切な順序で物体の返却と取得を行うことができる。
【0040】
前記順序決定処理は、前記物体を返却するか又は前記物体を取得するかに応じて前記配列に対して記号を付与し、前記記号の並びに応じて順序を付与する処理であってもよい。
【0041】
このような構成によれば、所定の法則に則った適切な順序で物体の返却と取得を行うことができる。
【0042】
前記返却タスクは、同一の領域内に保管位置を有する前記物体のうち、前記一時保管棚において互いに隣り合うよう配置された前記物体を取得するものであってもよい。
【0043】
このような構成によれば、返却タスクにおいて物体の取得に要する時間を最小化することができる。
【0044】
前記返却タスクは、同一の領域内に保管位置を有する前記物体のうち、前記一時保管棚において互いに所定距離内に配置された物体を取得するものであってもよい。
【0045】
このような構成によれば、返却タスクにおける物体の取得、その後の搬送に要する時間を小さくすることができる。
【0046】
前記返却タスクは、同一の前記搬送タスクにより搬送されてきた前記物体を取得するものであってもよい。
【0047】
このような構成によれば、取得対象となる物体を簡便に特定することができる。
【0048】
前記搬送タスクは、搬送した複数の前記物体を前記一時保管棚において互いに隣り合うように配置するものであってもよい。
【0049】
このような構成によれば、搬送した物体の一時保管棚への配置に要する時間を最小化することができる。
【0050】
前記搬送タスクは、搬送した複数の前記物体を前記一時保管棚において互いに所定距離内となるよう配置するものであってもよい。
【0051】
このような構成によれば、搬送した物体の一時保管棚への配置に要する時間を低減することができる。
【0052】
前記搬送タスクは、前記一時保管棚のうち前記搬送元領域からの距離が最小となる位置に前記物体を搬送する、ものであってもよい。
【0053】
このような構成によれば、搬送タスクにおける搬送距離を小さくすることができる。
【0054】
別の側面から見た本発明は、装置である。すなわち、本発明に係る搬送装置は、保管棚に所定の保管位置を有する1又は複数の物体を前記保管棚から取得して一時保管棚へと搬送するタスクである搬送タスクを1又は複数含む搬送タスクリストを管理する、搬送タスクリスト管理部と、前記一時保管棚に保管された1又は複数の前記物体を前記一時保管棚から取得して前記保管棚へと搬送するタスクである返却タスクを1又は複数含む返却タスクリストを管理する、返却タスクリスト管理部と、前記搬送タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である搬送元領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記搬送タスクを実行するよう搬送ロボットへと指令を行う、搬送指令部と、前記返却タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である返却領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、返却指令部と、を備えている。
【0055】
別の側面から見た本発明は、方法である。すなわち、本発明に係る搬送方法は、保管棚に所定の保管位置を有する1又は複数の物体を前記保管棚から取得して一時保管棚へと搬送するタスクである搬送タスクを1又は複数含む搬送タスクリストを管理する、搬送タスクリスト管理ステップと、前記一時保管棚に保管された1又は複数の前記物体を前記一時保管棚から取得して前記保管棚へと搬送するタスクである返却タスクを1又は複数含む返却タスクリストを管理する、返却タスクリスト管理ステップと、前記搬送タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である搬送元領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記搬送タスクを実行するよう搬送ロボットへと指令を行う、搬送指令ステップと、前記返却タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である返却領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、返却指令ステップと、を備えている。
【0056】
別の側面から見た本発明は、コンピュータプログラムである。すなわち、本発明に係る搬送プログラムは、保管棚に所定の保管位置を有する1又は複数の物体を前記保管棚から取得して一時保管棚へと搬送するタスクである搬送タスクを1又は複数含む搬送タスクリストを管理する、搬送タスクリスト管理ステップと、前記一時保管棚に保管された1又は複数の前記物体を前記一時保管棚から取得して前記保管棚へと搬送するタスクである返却タスクを1又は複数含む返却タスクリストを管理する、返却タスクリスト管理ステップと、前記搬送タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である搬送元領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記搬送タスクを実行するよう搬送ロボットへと指令を行う、搬送指令ステップと、前記返却タスクリストに基づいて、前記保管位置の属する領域である返却領域が同一となる1又は複数の前記物体に対して前記返却タスクを実行するよう前記搬送ロボットへと指令を行う、返却指令ステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、ピッキングステーション方式の搬送システムで動作する搬送ロボットにおける物体の搬送作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、搬送システムの全体構成図である。
図2図2は、搬送ロボットの外観斜視図である。
図3図3は、搬送ロボットに用いて棚上に載置された物体を取り出す場合の動作例に関する説明図である。
図4図4は、倉庫内を平面視した説明図である。
図5図5は、作業者の行う作業イメージを示す説明図である。
図6図6は、オーダー情報に基づく搬送タスクリストの更新処理に関するフローチャートである。
図7図7は、搬送タスクを指令するロボット管理サーバの動作に関するフローチャートである。
図8図8は、オーダー情報から搬送タスクを生成するまでの一連の処理に関する概念図である。
図9図9は、搬送タスクを実行する搬送ロボットの動作に関するゼネラルフローチャートである。
図10図10は、保管棚からの物体の取り出し処理の詳細フローチャートである。
図11図11は、空きロケーションへの格納処理の詳細フローチャートである。
図12図12は、返却タスクを指令するロボット管理サーバの動作に関するゼネラルフローチャートである。
図13図13は、一時保管棚のステータス情報から返却タスクを生成するまでの一連の処理に関する概念図である。
図14図14は、返却タスクを実行する搬送ロボットの動作に関するゼネラルフローチャートである。
図15図15は、一時保管棚からの物体の取り出し処理の詳細フローチャートである。
図16図16は、保管棚への返却処理の詳細フローチャートである。
図17図17は、ロボット管理サーバの動作に関するフローチャートである(変形例)。
図18図18は、搬送ロボットと領域との関係に関する概念図である(変形例)。
図19図19は、保管棚の間に設けられた通路へと進入し、物体の返却と取得を並行して行おうとする搬送ロボットの概念図である(変形例)。
図20図20は、往路における物体の返却又は取得の順序の付与方法を示す説明図である(変形例)。
図21図21は、復路における物体の返却又は取得の順序の付与方法を示す説明図である(変形例)。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0060】
(1.第1の実施形態)
第1の実施形態として、本発明を、倉庫管理システムサーバ10、ロボット管理サーバ20、一時保管棚管理サーバ30、及び搬送ロボット50を備えた搬送システム100に対して適用した例について説明する。なお、本発明の適用対象は、倉庫管理用の搬送システムに限定されず、他の種々の搬送システムに適用することが可能である。
【0061】
(1.1 システムの構成)
図1は、本実施形態に係る搬送システム100の全体構成図である。同図から明らかな通り、本実施形態に係る搬送システム100は、倉庫管理システムサーバ10、ロボット管理サーバ20、一時保管棚管理サーバ30、及び複数の搬送ロボット50(50-1、50-2、・・・、50-N)を備え、それらは互いにネットワークを介して接続され情報の授受が可能に構成されている。
【0062】
倉庫管理システムサーバ10は、所謂、WMS(Warehouse Management System)に係る情報を管理するサーバである。倉庫管理システムサーバ10は、商品オーダーに関する情報等を受領し又は生成する。また、物体の保管棚90における保管位置とその保管位置が属する領域との関係性を示すテーブル等を記憶しており、オーダーされた商品に係る物体が倉庫内のどの位置及びどの領域にあるかを判定することができる。倉庫管理システムサーバ1は、少なくとも、ロボット管理サーバ20との間で情報の授受を行う。
【0063】
なお、本実施形態においては、倉庫管理システムサーバ1が、物体の保管棚90における保管位置とその保管位置が属する領域との関係性を示すテーブル等の情報を記憶する構成について説明するものの、本発明はそのような構成に限定されない。従って、例えば、ロボット管理サーバ20等の他の装置がそのような情報を記憶してもよいし、必要に応じて外部装置に対してリクエストする構成としてもよい。
【0064】
ロボット管理サーバ20は、倉庫管理システムサーバ10、一時保管棚管理サーバ30、複数の搬送ロボット50と接続され、搬送ロボット50や搬送ロボット50に割り当てられるタスク等の管理を行う。また、ロボット管理サーバ20は、搬送ロボット50の現在位置情報を搬送ロボットから直接に又は間接に取得すると共に、搬送ロボット50へのタスク割り当てステータス情報等の管理を行う。
【0065】
なお、本実施形態においては、ロボット管理サーバ20は、搬送ロボット50から提供される通知に基づいてタスクの割り当てステータス情報等を更新するものの、本発明はそのような構成に限定されない。従って、搬送ロボット50を監視し情報取得を行う他の装置等から情報を取得してもよい。
【0066】
一時保管棚管理サーバ30は、一時保管棚80のステータス情報、すなわち、一時保管棚80上の一時保管位置に配置されている物体又は空きロケーションに関する情報、及び、物体への作業ステータス情報等を管理する。また、一時保管棚管理サーバ30は、一時保管棚80上の一時保管位置に関する予約管理等を行う。なお、作業ステータス情報は、物体への作業が完了したときに作業者から提供されるものであってもよい。一時保管棚管理サーバ30は、ロボット管理サーバ20及び搬送ロボット50との間で情報の授受を行う。
【0067】
なお、本実施形態においては、一時保管棚管理サーバ30は、搬送ロボット50から提供される通知に基づいて一時保管棚ステータス情報等を更新するものの、本発明はそのような構成に限定されない。従って、一時保管棚80にセンサ等を設けて直接情報取得を行ってもよいし、又は一時保管棚80を監視し情報取得を行う他の装置等から情報を取得してもよい。
【0068】
搬送ロボット50は、ロボット管理サーバ20との間で情報の授受を行い、ロボット管理サーバ20から割り当てられるタスクを実行する。
【0069】
図2は、本実施形態に係る搬送ロボット50の外観斜視図である。本実施形態において、搬送ロボット50は、少なくとも移動機能、物体のマニピュレーション機能、及び物体の搬送機能を有するモバイルマニピュレータである。本実施形態において、物体のマニピュレーションには、物体の棚からの取り出し、物体の格納スロット55への格納、物体の格納スロットからの取り出し、物体の棚への載置等が含まれる。
【0070】
後述の通り、本実施形態において、搬送ロボット50は、保管棚と一時保管棚との間で物体の搬送作業を行う。より具体的には、搬送ロボット50は、一方の棚から物体を取り出し、搬送し、他方の棚へと格納する作業を行う。
【0071】
同図から明らかな通り、搬送ロボット50は、略直方体形状の全体形状を有し、前面には、左右一対のカメラ(不図示)、LiDARセンサ57、及び3つの格納スロット55(55-1、55-2、55-3)を有し、右側面には、1つのロボットアーム52を備えている。また、搬送ロボット50の底面には、図示しない全方位移動機構が備えられている。この移動機構によりモバイルマニピュレータは自在な向きで移動することができる。本実施形態では、全方位移動機構として、オムニホイールを採用している。
【0072】
なお、本実施形態においては、全方位への移動機構としてオムニホイールを採用するものの、本発明はこのような構成に限定されない。従って、メカナムホイール等、全方位移動を可能とする他の構成を採用してもよい。また、移動機構は、全方位移動機構に限定されない。従って、差動二輪等の移動方位が限定された他の移動機構を採用してもよい。また、車輪である必要はなく、脚部を用いるものであってもよい。さらに、床面上を移動する必要はなく、ドローン等の飛行体として構成してもよい。
【0073】
搬送ロボット50は、カメラ、LiDARセンサ57等を備えている。これにより、倉庫内の環境地図、推定現在位置等に基づいて目的地まで自律走行することができる。
【0074】
図2において、各格納スロット55には、直方体形状の物体60が格納されている。すなわち、本実施形態に係る搬送ロボット50は最大で3つの物体を積載可能に構成されている。なお、本実施形態においては、搬送対象物体の大きさから、3つの物体の搬送を最大として説明するものの、本発明は、そのような構成に限定されない。例えば、物体が格納スロット55の大きさに比べて十分小さい場合には最大積載個数を4つ以上としてもよい。
【0075】
ロボットアーム52は、5つの駆動関節部(A-J1~A-J5)を備えたアームである。より詳細には、ロボットアーム52は、搬送ロボット50の右側面に回動可能に取り付けられたL字形状の第1リンク521、第1リンク521の先端に回動可能に取り付けられた棒状の第2リンク522、第2リンク522の先端に回動可能に取り付けられ屈曲した形状を有する第3リンク523、第3リンク523の先端近傍に回動可能に取り付けられるスライドテーブル部53を有している。
【0076】
第1リンク521の付け根、第1リンク521と第2リンク522の間、第2リンク522と第3リンク523の間には、それぞれ左右方向に延び床面に平行な軸回りに回動させる第1~第3の3つの駆動関節部(A-J1~A-J3)が備えられている。また、第3リンク523とスライドテーブル部53との間には、第4の駆動関節部(A-J4)が備えられている。同図の例にあっては、第4の駆動関節部(A-J4)は、スライドテーブル部53を第3リンク523に対して垂直な軸回りに回動させる。スライドテーブル部53は、物体を吸引してスライドテーブル部53の大面積面に対して平行にスライドする吸引部54を備えており、第5の駆動関節部(A-J5)を構成している。
【0077】
搬送ロボット50は、このようなロボットアーム52を備えていることにより、棚上のあらゆる位置の物体にもリーチングすることができる。
【0078】
なお、本実施形態においては、搬送ロボット50は、ロボットアーム52を備えるものとしたが、本発明はそのような構成に限定されない。従って、物体の取り出し、搬送及び載置等が出来れば他の機構を備えたロボットであってもよい。
【0079】
図3は、搬送ロボット50に用いて棚上に載置された物体60を取り出す場合の動作例に関する説明図である。同図(A)は、搬送ロボット50による物体の取り出し動作の第1の例である。同図から明らかな通り、搬送ロボット50は、ロボットアーム52を用いて、床面付近の低い位置の棚上の物体60-3に対してリーチングすることができる。
【0080】
より詳細には、まず、搬送ロボット50は、ロボットアーム52の手先位置を床面近付の目標物体60-3の正面付近に配置する。このとき、スライドテーブル部53は、取り出し対象となる物体60-3の底面に対して平行に配置される。次に、搬送ロボット50は、吸引部54をスライドさせて物体60-3を吸引する。最後に、搬送ロボット50は、吸引部54を、物体60-3との一体性を保持したまま、物体60-3を引き出す方向にスライドさせる。これにより、物体60-3をスライドテーブル部53上に載置することができる。なお、スライドテーブル部53上に載置された物体60-3は、その後、格納スロット55-3に載置され搬送される。
【0081】
同図(B)は、搬送ロボット50による物体の取り出し動作の第2の例である。同図から明らかな通り、搬送ロボット50は、ロボットアーム52を用いて、搬送ロボット50の本体高さより高い位置にある棚上の物体60-3に対してリーチングすることができる。
【0082】
より詳細には、まず、搬送ロボット50は、ロボットアーム52の手先位置を棚の最上段にある目標物体60-3の正面付近に配置する。このとき、スライドテーブル部53は、取り出し対象となる物体60-3の底面に対して平行に配置される。次に、搬送ロボット50は、吸引部54をスライドさせて物体60-3を吸引する。最後に、搬送ロボット50は、吸引部54を、物体60-3との一体性を保持したまま、物体60-3を引き出す方向にスライドさせる。これにより、物体60-3をスライドテーブル部53上に載置することができる。なお、スライドテーブル部53上に載置された物体60-3は、その後、格納スロット55-3に格納されて搬送される。
【0083】
なお、倉庫管理システムサーバ10、ロボット管理サーバ20、一時保管棚管理サーバ30は、それぞれ、例えば、PC等の情報処理装置で構成される。各装置は、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリ等を含みプログラムやデータ等を記憶する記憶部と、CPU、GPU等の演算装置から成りプログラムの実行処理等を行う制御部と、外部装置との間で通信を行う通信ユニットと、キーボード、マウス等からの入力信号を受け付ける入力部と、ディスプレイ等への出力を行う表示部と、スピーカ等への出力を行う音声出力部等を備えている。
【0084】
また、搬送ロボット50も同様に、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリ等を含みプログラムやデータ等を記憶する記憶部と、CPU、GPU等の演算装置から成りプログラムの実行処理等を行う制御部と、外部装置との間で通信を行う通信ユニットと、入力信号を受け付ける入力部と、ディスプレイ等への出力を行う表示部と、スピーカ等への出力を行う音声出力部等を備えている。
【0085】
(1.2 システムの動作)
(システムの概要)
まず、本実施形態において、倉庫内で動作する搬送システム100の概要について説明する。
【0086】
図4は、倉庫内を平面視した説明図である。本発明に係る搬送システム100は、所謂ケース搬送型GTP方式の搬送システムである。倉庫内には、複数の保管棚90が配置される領域と、1又は複数の一時保管棚80が配置される領域があり、作業者は一時保管棚80の近傍にて一時保管棚から物体(例えば、ケース)を取り出して、ケース内の商品の仕分け等の作業を行う。搬送ロボット50は、タスクとしてこれらの棚の間において1又は複数の物体(A~Z、A2~D2)の搬送又は返却を行う。
【0087】
より詳細には、同図の例にあっては、保管棚90が配置される領域には、第1~第5の保管棚90(90-1~90-5)が互いに長辺を平行に配置され、保管棚90の間には直線的な通路が形成されている。
【0088】
保管棚90上には、仮想的に保管位置(又は保管区画)が設定されている。例えば、第1の保管棚90-1には、1-1~1-6までの6つの保管位置が設定されている。同図の例にあっては、各保管位置(1-1~1-6、2-1~2-6、3-1~3-6、4-1~4-6、5-1~5-6)には、それぞれ物体(A~Z、A2~D2)が載置されて保管されている。物体は、例えば、ケースであり、各ケース内には、例えば、1又は複数の商品が格納されている。
【0089】
保管棚90の配置された領域には、搬送システム100の設計者又はユーザにより仮想的に複数の領域(領域1~3)が設定されている。仮想的な領域は、少なくとも1つの物体を含むように設定され、保管棚90の間に形成される通路又は保管棚90と壁等の障害物との間に形成される領域等の周辺領域の一部又は全体を含むように設定される。例えば、同図の例にあっては、領域1には、それぞれ物体が載置された2つの保管棚90-1、90-2と通路等の周辺領域が含まれ、領域2には、それぞれ物体が載置された2つの保管棚90-3、90-4と通路等の周辺領域が含まれ、領域3には、物体が載置された1つの保管棚90-5と通路等の周辺領域が含まれる。
【0090】
一時保管棚80には、仮想的に一時保管位置(又は一時保管区画)(a~j)が設定されており、これらの一時保管位置にそれぞれ搬送された物体が載置される。作業者は、この載置された物体を取り出して商品の仕分け作業等を行い、再度、物体を一時保管棚の元の位置へと返却する。
【0091】
図5は、作業者70の行う作業イメージを示す説明図である。同図の例にあっては、一時保管棚80の各一時保管位置に物体60が載置されている。なお、一時保管位置は、一時保管棚80の棚板上に設定され、一時保管位置には、一時保管棚80の前面(すなわち、作業者70がアクセスする側)及び背面(すなわち、搬送ロボット50がアクセスする側)のいずれの方向からもアクセス可能に構成されている。
【0092】
作業者70の近傍には作業台が配置され、各作業台上には、仕分けコンテナ71が複数配置されている。作業者70は、オーダー情報に応じて、一時保管棚80から物体60であるケースを取り出し、取り出したケースから商品を取り出し、仕分けコンテナ71へと移し、物体60を再度一時保管棚80へと返却する。作業者70は、仕分けが完了した仕分けコンテナ71をベルトコンベア75へと載置する。
【0093】
なお、このとき、物体60に関する作業の完了は、所定の手段を用いて、倉庫管理システムサーバ10、ロボット管理サーバ20、一時保管棚管理サーバ30等へと通知される。この通知を受けて、一時保管棚管理サーバ30は、当該物体60に関する作業ステータス情報を作業完了状態(又は返却待ち状態)へと更新する。所定の手段は、作業者による所定の装置への入力であってもよいし、何らかの認識手段を用いるものであってもよい。
【0094】
なお、本実施形態においては、物体格納又は保管の手段として棚を採用するものの、他の物体格納手段又は物体保管手段を用いてもよい。従って、例えば、テーブル、台又は箱等の物体を保持可能な他の手段であってもよい。また、領域だけを設定し、当該領域内に台や棚等を何ら設けない構成としてもよい。
【0095】
また、本実施形態においては、物体を一時的に保管することを想定するため便宜的に一時保管棚80と称呼するもののこのような名称に限定されない。従って、一時保管棚80を単に格納棚等のように称呼してもよい。
【0096】
(保管棚から一時保管棚への物体搬送動作)
次に、搬送ロボット50が、保管棚90から物体を取り出し、一時保管棚80へと搬送する動作について説明する。
【0097】
図6は、オーダー情報に基づく搬送タスクリストの更新処理に関するフローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、ロボット管理サーバ20は、倉庫管理システムサーバ10に対して商品のオーダー情報をリクエストする処理を行う(S10)。このリクエスト処理の後、ロボット管理サーバ20は、倉庫管理システムサーバ10からオーダー情報を受信するまで待機状態となる(S11NO)。
【0098】
倉庫管理システムサーバ10は、このリクエストを受領すると、オーダー情報をロボット管理サーバ20へと送信する。オーダー情報は、オーダーの識別情報、各識別情報に関連付けられる物体、及び物体の保管位置の情報を含む。
【0099】
ロボット管理サーバ20は、オーダー情報を受信すると(S11YES)、搬送タスクリストの生成処理とグループ化処理を行う(S12)。
【0100】
搬送タスクリストの生成処理とは、オーダー情報に基づいて、搬送対象となる物体をその保管棚90上の保管位置の属する領域毎に分類する処理である。また、グループ化処理とは、搬送タスクリストに含まれる物体保管位置の属する領域(搬送元領域)が同一な単位搬送タスクを搬送ロボット50の最大積載個数に基づいてグループ化して搬送ロボット50へと割り当てる搬送タスクとする処理である。
【0101】
図8は、オーダー情報から搬送タスクを生成するまでの一連の処理に関する概念図である。同図の例にあっては、ロボット管理サーバ20は、倉庫管理システムサーバ10からオーダー情報として、2つのオーダー情報を受領する(S10、S11)。
【0102】
各オーダーには、識別子として「オーダー1」、「オーダー2」が付与されており、「オーダー1」には、4つの搬送対象物体(A、G、V、J)に関する情報とその保管棚90上の保管位置情報(1-1、2-1、4-4、2-4)、「オーダー2」には、3つの搬送対象物体(Y,E,Q)に関する情報とその保管棚90上の保管位置情報(5-1、1-5、3-5)が関連付けられている。
【0103】
その後、ロボット管理サーバ20は、オーダー情報に基づいて、搬送タスクリストを生成する(S12)。ここで、領域1には保管位置として1-1~1-6、2-1~2-6が含まれ、領域2には、3-1~3-6、4-1~4-6が含まれ、領域3には5-1~5-6が含まれる。そのため、領域1に関連付けられる搬送対象物体リストとして、A(1-1)、G(2-1)、E(1-5)、J(2-4)が特定され、領域2に関連付けられる搬送対象物体リストとして、V(4-4)、Q(3-5)が特定され、領域3に関連付けられる搬送対象物体リストとしてY(5-1)が特定される。
【0104】
搬送タスクリストの生成処理の後、ロボット管理サーバ20は、グループ化処理を行う(S12)。本実施形態に係る搬送ロボット50の物体の最大積載個数は3個なので、搬送元領域が同一な単位タスクを3個ずつグループ化して、搬送ロボット50へと割り当てる搬送タスクとする。すなわち、領域1に関しては、「タスク1」として3つの物体「A、G、E」を搬送対象とし、「タスク2」として1つの物体「J」を搬送対象とする。領域2に関しては、「タスク3」として2つの物体「V、Q」を搬送対象とし、領域3に関しては「タスク4」として1つの物体「Y」を搬送対象とする。
【0105】
図6に戻り、グループ化処理が完了すると、ロボット管理サーバ20は、搬送タスクリストに関するデータに他のプロセスがアクセス中であるか否かを判定する処理を行う(S13)。アクセス中である場合、所定の待機処理を行う(S13YES)。
【0106】
一方、他のプロセスがアクセス中でない場合(S13NO)、ロボット管理サーバ20は、オーダー情報に基づく搬送タスクを搬送タスクリストへと追加して搬送タスクリストを更新する処理を行う(S15)。この更新処理の後、再び一連の処理が繰り返される(S10~S15)。
【0107】
図7は、搬送タスクを指令するロボット管理サーバの動作に関するフローチャートである。処理が開始すると、ロボット管理サーバ20は、搬送タスクリストに関するデータに他のプロセスがアクセス中であるか否かを判定する(S20)。他のプロセスがアクセス中である場合(S20YES)、所定の待機処理を行う。
【0108】
一方、他のプロセスがアクセス中でない場合(S20NO)、搬送タスクリストを参照し、グループ化された搬送タスクのうちの1つを選択する処理を行う(S21)。その後、ロボット管理サーバ20は、選択した搬送タスクを搬送タスクリストから削除して搬送タスクリストを更新する処理を行う(S22)。
【0109】
搬送タスクリストの更新処理の後、ロボット管理サーバ20は、一時保管棚管理サーバ30へと一時保管棚80の空き状況に関する空きロケーション情報のリクエスト処理を行う(S23)。このリクエスト処理の後、ロボット管理サーバ20は、空きロケーション情報を受信するまで待機状態となる(S25NО)。
【0110】
一時保管棚管理サーバ30は、一時保管棚80の各一時保管位置に存在する物体、及び、一時保管棚80の空きロケーション情報を管理している。一時保管棚管理サーバ30は、ロボット管理サーバ20から空きロケーション情報のリクエストを受領すると、ロボット管理サーバ20に対して、予約可能な空きロケーション情報を送信する。
【0111】
一時保管棚管理サーバ30から空きロケーション情報を受信すると(S25YES)、ロボット管理サーバ20は、選択した搬送タスクに係る物体の個数分だけ一時保管棚80上の一時保管位置を選択し、一時保管棚管理サーバ30に対して、予約リクエストを送信する処理を行う(S26)。
【0112】
この予約リクエストを受信すると、一時保管棚管理サーバ30は、予約リクエストに応じて一時保管棚80の一時保管位置を予約する。すなわち、1つの一時保管位置に2つ以上の物体が搬送されないように一時保管位置をブロックする。
【0113】
予約処理が完了すると、ロボット管理サーバ20は、ロボットの選択処理を行う(S27)。ロボット管理サーバ20は、各搬送ロボット50の現在位置情報、現在のタスク割り当てステータス等の情報を取得している。これらの情報に基づき、ロボット管理サーバ20は、現在、搬送タスクが割り当てられていない搬送ロボット50のうちから、任意の搬送ロボット50を選択する処理を行う。
【0114】
選択処理の後、ロボット管理サーバ20は、選択した搬送ロボット50に対して所定の指令処理を行う(S28)。指令は、搬送タスク情報及び予約した空きロケーションに関する情報を含むものである。また、このとき、ロボット管理サーバ20は、指令を行った搬送ロボット50がタスク実行中であるとしてタスク割り当てステータス情報を更新する。
【0115】
この指令処理の後、搬送タスクリストに係るすべての搬送タスクを搬送ロボット50に対して指令したか否かを判定する(S29)。この判定の結果、未だすべての搬送タスクを搬送ロボット50に対して指令していない場合(S29NO)、再度一連の処理(S21~S29)を実行する。
【0116】
一方、すべての搬送タスクを搬送ロボット50に対して指令した場合(S29YES)、再度、搬送タスクリストの参照処理から一連の処理(S20~S29)を実行する。
【0117】
図9は、搬送タスクを実行する搬送ロボットの動作に関するゼネラルフローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、ロボット管理サーバ20から指令を受信するまで待機状態となる(S31NO)。
【0118】
その後、ロボット管理サーバ20から指令を受信すると(S31YES)、搬送ロボット50は、保管棚90から物体を取り出す処理を実行する(S32)。
【0119】
図10は、保管棚90からの物体の取り出し処理の詳細フローチャートである。処理が開始すると、搬送ロボット50は、指令された搬送タスクに係る搬送対象物体を取り出す順序を決定する処理を実行する(S321)。この順序は、様々な手法で決定することができる。例えば、搬送ロボット50からの距離が近い順に取り出していってもよい。或いは、所謂巡回セールスマン問題を解いて、全ての物体の取り出しに要する総距離が最小となるよう経路を計画して順序を決定してもよい。
【0120】
取り出し順の決定処理の後、搬送ロボット50は、現在位置から最初の取り出し対象となる物体の前までの移動経路の計画処理を行う(S322)。この経路計画は既存の様々な手法により実現することができる。例えば、環境地図を用いて経路計画を行ってもよい。
【0121】
この経路計画処理の後、搬送ロボット50は、目標となる物体の前へと移動する処理を行う(S323)。なお、このとき、搬送ロボット50の停止位置は事前設計しておいてもよい。
【0122】
目標となる物体の前へと移動した後、搬送ロボット50は、搬送ロボット50前面に設けられた不図示のカメラ又は不図示の手先カメラを利用して物体を認識し、ロボットアーム52を用いて物体を取り出す処理を実行する(S325)。
【0123】
物体を取り出す処理を行った後、搬送ロボット50は、格納スロット55のうちの1つを選択した後、取り出した物体を当該格納スロット55へと格納する処理を行う(S326)。また、搬送ロボット50は、物体を格納した後、選択した格納スロットにどの物体を格納したかを記憶部へと記憶する処理を行う(S326)。
【0124】
記憶処理の後、搬送ロボット50は、割り当てられた搬送タスクに係るすべての物体を保管棚90から取り出したか否かを判定する(S327)。未だすべての物体を取り出していない場合(S327NO)、目標となる物体を次の順序の物体へと変更する処理を行い(S328)、再度一連の処理(S322~S327)を実行する。
【0125】
一方、すべての物体を取り出したと判定される場合(S327YES)、処理は終了する。
【0126】
図9に戻り、物体の取り出し処理の後、搬送ロボット50は、一時保管棚80上の予約した空きロケーションへの物体の格納処理を実行する(S35)。
【0127】
図11は、空きロケーションへの格納処理の詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、搬送ロボット50は、保管棚90から取り出して格納スロット55へと格納した複数の物体の一時保管棚80の空きロケーションへの格納順を決定する処理を行う(S351)。この順序は、様々な手法で決定することができる。例えば、搬送ロボット50からの距離が近い順に格納していってもよい。
【0128】
格納順の決定処理の後、搬送ロボット50は、搬送ロボット50の現在位置から一時保管棚80の空きロケーションの前までの移動経路の計画処理を行う(S352)。この経路計画は既存の様々な手法により実現することができる。例えば、環境地図を用いて経路計画を行ってもよい。
【0129】
この経路計画処理の後、搬送ロボット50は、目標となる空きロケーションの前へと移動する処理を行う(S353)。なお、このとき、搬送ロボット50の停止位置は事前設計しておいてもよい。
【0130】
目標となる物体の前へと移動した後、搬送ロボット50は、搬送ロボット50前面に設けられた不図示のカメラ又は不図示の手先カメラを利用して空きロケーションを認識し、ロボットアーム52を用いて物体を載置することにより一時保管棚80へと物体を格納する処理を実行する(S355)。
【0131】
この格納処理の後、搬送ロボット50は、物体が格納された一時保管位置情報、格納した物体の識別情報等の情報を一時保管棚管理サーバ30へと通知する処理を行う(S356)。一時保管棚管理サーバ30は、この通知に基づき、一時保管棚80上のどの一時保管位置にどの物体が格納された状態であるかを記憶する。
【0132】
この通知処理の後、搬送ロボット50は、割り当てられた搬送タスクに係るすべての物体を一時保管棚80へと格納したか否かを判定する処理を行う(S357)。この判定処理の結果、未だすべての物体を格納していないと判定された場合、搬送ロボット50は、目標となる空きロケーションを変更する処理を行い(S328)、再度一連の処理(S352~S357)を実行する。一方、搬送して来たすべての物体を一時保管棚80へと格納したと判定した場合、処理は終了する。
【0133】
図9に戻り、空きロケーションへの格納処理の完了後、搬送ロボット50は、ロボット管理サーバ20へと割り当てられたタスクを完了したことを通知する処理を行う(S36)。この通知処理の後、再び、搬送ロボット50はロボット管理サーバ20からの指令を待機する状態となる(S31NO)。
【0134】
なお、ロボット管理サーバ20は、搬送ロボット50からタスク完了通知を受信すると、当該搬送ロボットがタスクが割り当てられていない状態へと変更されたとして、タスク割り当てステータス情報を更新する。
【0135】
このような構成によれば、保管棚90から一時保管棚80へと物体を搬送する搬送タスクにおいて、同一の領域内の保管棚90に保管された物体が搬送されることになる。そのため、搬送作業の効率化を図ることができる。
【0136】
(一時保管棚から保管棚への物体返却動作)
次に、搬送ロボット50が、一時保管棚80から物体を取り出し、保管棚90へと返却する動作について説明する。
【0137】
図12は、返却タスクを指令するロボット管理サーバ20の動作に関するゼネラルフローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、ロボット管理サーバ20は、一時保管棚管理サーバ30に対して一時保管棚80のステータス情報のリクエスト処理を行う(S41)。このリクエスト処理の後、ロボット管理サーバ20は待機状態となる(S42NO)。
【0138】
一時保管棚管理サーバ30は、一時保管棚80の一時保管位置に現在格納されている物体又は空きロケーションに関する情報と、作業ステータス情報、すなわち、格納された物体について作業者による作業が完了しており返却待ち状態にあるか否かに関する情報を記憶・管理している。一時保管棚管理サーバ30は、ロボット管理サーバ20からステータス情報に関するリクエストを受信すると、ロボット管理サーバ20に対して一時保管棚80のステータス情報、すなわち、一時保管位置と、各一時保管位置に格納されている物体、及び、その物体に関する作業ステータス(作業が完了しているか否か)に関する情報を送信する。
【0139】
待機状態にあったロボット管理サーバ20は、一時保管棚管理サーバ30からステータス情報を受信すると(S42YES)、返却タスクリストの生成処理と返却タスクのグループ化処理を行う(S43)。
【0140】
返却タスクリストの生成処理とは、一時保管棚80のステータス情報と各物体の保管位置情報に基づいて、返却先(すなわち、保管棚90における保管位置)の属する領域毎に搬送対象となる物体を分類する処理である。また、返却タスクのグループ化処理とは、返却タスクリストに含まれ、返却先となる保管棚90における保管位置の属する領域が同一な単位返却タスクを搬送ロボット50の最大積載個数に基づいてグループ化して搬送ロボット50へと割り当てる返却タスクとする処理である。
【0141】
図13は、一時保管棚80のステータス情報から返却タスクを生成するまでの一連の処理に関する概念図である。同図の例にあっては、ロボット管理サーバ20は、一時保管棚管理サーバ30から、ステータス情報として、a~jまでの各保管位置とそこに格納される物体、さらにその作業状態に関する情報を取得する(S41、S42)。なお、「a:-:-」は、aの一時保管位置には物体が存在せず、そのため作業状態に関する情報が存在しないことを表している。「b:D:完了」は、bの一時保管位置に物体Dが存在し、同物体については作業が完了している状態(すなわち、返却待ち状態)にあることを表している。「c:E:未完了」は、cの一時保管位置には物体Eが存在し、同物体については作業が未だ完了していない状態(すなわち、返却待ちではない状態)にあることを表している。
【0142】
その後、ロボット管理サーバ20は、返却タスクリストの生成処理、すなわち、作業が完了した返却待ち状態の各物体を、返却先となる保管棚90における保管位置の属する領域毎に分類する処理を行う(S43)。同図の例にあっては、領域1には、物体D(保管位置が1-1)、K(保管位置が2-5)及びF(保管位置が1-6)が分類されている。また、領域2には、物体M(保管位置が3-1)、N(保管位置が3-2)、O(保管位置が3-3)が分類されている。さらに領域3には、物体Z(保管位置5-2)が分類されている。
【0143】
返却タスクリストの生成処理の後、ロボット管理サーバ20は、グループ化処理を行う(S43)。本実施形態において、搬送ロボット50の物体の最大積載個数は3個であるので、ロボット管理サーバ20は、返却先となる保管棚90における保管位置の属する領域が同一な単位返却タスクを3個ずつグループ化して搬送ロボット50へと割り当てる返却タスクとする。
【0144】
図12に戻り、グループ化処理が完了すると、ロボット管理サーバ20は、グループ化された返却タスクのうちの1つを選択する処理を行う(S45)。この選択処理の後、ロボット管理サーバ20は、返却タスクリストから選択した返却タスクリストを削除して返却タスクリストを更新する処理を行う(S46)。
【0145】
更新処理の後、ロボット管理サーバ20は、搬送ロボット50の選択処理を行う(S47)。ロボット管理サーバ20は、各搬送ロボット50の現在位置情報、現在のタスク割り当てステータス等の情報を取得している。これらの情報に基づき、ロボット管理サーバ20は、現在、タスクが割り当てられていない搬送ロボット50のうちから、任意の搬送ロボット50を選択する処理を行う。
【0146】
選択処理の後、ロボット管理サーバ20は、選択した搬送ロボット50に対して所定の指令処理を行う(S48)。指令は、返却タスクに関する情報を含むものである。
【0147】
この指令処理の後、返却タスクリストに係るすべての返却タスクを搬送ロボット50に対して指令したか否かを判定する(S49)。この判定の結果、未だすべての返却タスクを搬送ロボット50に対して指令していない場合(S49NO)、再度一連の処理(S45~S49)を実行する。
【0148】
一方、すべての搬送タスクを搬送ロボット50に対して指令した場合(S49YES)、再度、一時保管棚ステータス情報の取得処理から一連の処理(S41~S49)を実行する。
【0149】
図14は、返却タスクを実行する搬送ロボット50の動作に関するゼネラルフローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、搬送ロボット50は、ロボット管理サーバ20から指令を受信するまで待機状態となる(S51NO)。
【0150】
その後、ロボット管理サーバ20から指令を受信すると(S51YES)、搬送ロボット50は、一時保管棚80から返却対象となる物体を取り出す処理を実行する(S52)。
【0151】
図15は、一時保管棚80からの物体の取り出し処理の詳細フローチャートである。処理が開始すると、搬送ロボット50は、指令された返却タスクに係る返却対象物体を取り出す順序を決定する処理を実行する(S521)。この順序は、様々な手法で決定することができる。例えば、搬送ロボット50からの距離が近い順に取り出していってもよい。或いは、所謂巡回セールスマン問題を解いて、全ての物体の取り出しに要する総距離が最小となるよう経路を計画して順序を決定してもよい。
【0152】
取り出し順の決定処理の後、搬送ロボット50は、現在位置から最初の取り出し対象となる物体の前までの移動経路の計画処理を行う(S522)。この経路計画は既存の様々な手法により実現することができる。例えば、環境地図を用いて経路計画を行ってもよい。
【0153】
この経路計画処理の後、搬送ロボット50は、目標となる物体の前へと移動する処理を行う(S323)。なお、このとき、搬送ロボット50の停止位置は事前設計しておいてもよい。
【0154】
目標となる物体の前へと移動した後、搬送ロボット50は、搬送ロボット50前面に設けられた不図示のカメラ又は不図示の手先カメラを利用して物体を認識し、ロボットアーム52を用いて物体を取り出す処理を実行する(S525)。物体を取り出す処理を行った後、搬送ロボット50は、格納スロット55のうちの1つを選択した後、取り出した物体を当該格納スロット55へと格納する処理を行う(S525)。このとき、搬送ロボット50は、物体を格納した後、選択した格納スロット55にどの物体を格納したかを記憶部へと記憶する処理を行う。
【0155】
記憶処理の後、搬送ロボット50は、一時保管棚管理サーバ30へと取り出した物体とその一時保管位置に関する情報を通知する処理を行う(S526)。これにより、一時保管棚管理サーバ30は、一時保管棚ステータス情報を更新する。
【0156】
通知処理の後、搬送ロボット50は、割り当てられた返却タスクに係るすべての物体を一時保管棚80から取り出したか否かを判定する(S527)。未だすべての物体を取り出していない場合(S527NO)、目標となる物体を次の順序の物体へと変更する処理を行い(S528)、再度一連の処理(S522~S527)を実行する。
【0157】
一方、すべての物体を取り出したと判定される場合(S527YES)、処理は終了する。
【0158】
図14に戻り、一時保管棚80からの物体の取り出し処理の後、搬送ロボット50は、保管棚90への返却処理を実行する(S55)。
【0159】
図16は、保管棚90への返却処理の詳細フローチャートである。同図から明らかな通り、処理が開始すると、搬送ロボット50は、一時保管棚80から取り出して格納スロット55へと格納した複数の物体に関して保管棚90の保管位置への格納順を決定する処理を行う(S551)。この順序は、様々な手法で決定することができる。例えば、搬送ロボット50からの距離が近い順に格納していってもよい。
【0160】
格納順の決定処理の後、搬送ロボット50は、搬送ロボット50の現在位置から最初の目標位置となる保管棚90の保管位置の前までの移動経路の計画処理を行う(S552)。この経路計画は既存の様々な手法により実現することができる。例えば、環境地図を用いて経路計画を行ってもよい。
【0161】
この経路計画処理の後、搬送ロボット50は、目標となる保管位置の前へと移動する処理を行う(S553)。なお、このとき、搬送ロボット50の停止位置は事前設計しておいてもよい。
【0162】
目標となる保管位置の前へと移動した後、搬送ロボット50は、格納スロット55から物体を取り出してスライドテーブル部53上に載せ、格納準備を行う処理を行う(S555)。
【0163】
物体の取り出し処理の後、搬送ロボット50は、搬送ロボット50前面に設けられた不図示のカメラ又は不図示の手先カメラを利用して返却位置となる保管位置を認識する処理を行う(S556)。この認識処理の後、搬送ロボット50は、ロボットアーム52を用いて物体を載置することにより保管棚90へと物体を返却する処理を実行する(S557)。
【0164】
この返却処理の後、搬送ロボット50は、割り当てられた返却タスクに係るすべての物体を保管棚90へと格納したか否かを判定する処理を行う(S558)。この判定処理の結果、未だすべての物体を格納していないと判定された場合、搬送ロボット50は、目標となる返却位置(又は保管位置)を変更する処理を行い(S559)、再度一連の処理(S552~S558)を実行する。一方、搬送して来たすべての物体を保管棚90へと格納したと判定した場合、処理は終了する。
【0165】
図14に戻り、保管棚90への返却処理の完了後、搬送ロボット50は、ロボット管理サーバ20へと割り当てられたタスクを完了したことを通知する処理を行う(S56)。この通知処理の後、再び、搬送ロボット50はロボット管理サーバ20からの指令を待機する状態となる(S51NO)。
【0166】
このような構成によれば、一時保管棚80から保管棚90へと物体を搬送する返却タスクにおいて、同一の領域内に保管されるべき物体がまとめて搬送される。そのため、搬送作業の効率化を図ることができる。
【0167】
(3.変形例)
本発明は、様々に変形して実施することができる。
【0168】
(搬送タスクの選択)
上述の実施形態において、ロボット管理サーバ20は、搬送タスクの割り当てにあたり、搬送タスクが割り当てられていない搬送ロボット50のうちから任意の搬送ロボット50を選択する処理を行ったものの(S19)、本発明はそのような構成に限定されない。従って、より効率的に搬送ロボット50に対して搬送タスクを割り当ててもよい。
【0169】
図17は、変形例に係るロボット管理サーバ20の動作に関するフローチャートである。同図から明らかな通り、本変形例において、待機状態(S61NO)にあるロボット管理サーバ20は、返却タスク完了通知(S56)を受領すると(S61YES)、搬送タスクリストに係る搬送対象となる物体の存在する領域を抽出する処理を行う(S62)。
【0170】
この領域抽出処理の後、ロボット管理サーバ20は、さらに、搬送ロボット50からの距離が所定条件を満たす領域を抽出する処理を行う(S63)。ここで、所定条件とは、例えば、搬送ロボット50からの距離が所定距離以下となることである。
【0171】
図18は、搬送ロボット50と領域との関係に関する概念図である。本変形例においては、搬送ロボット50から所定距離離れた位置にある仮想円内に入る領域を所定条件を満たす領域とする。例えば、領域1及び領域2に搬送対象となる物体が保管されているとしたとき、条件を満たす領域として、領域1と領域2が抽出されることになる。
【0172】
図17に戻り、その後、ロボット管理サーバ20は、抽出した領域の中から1つの領域、例えば、搬送ロボット50から最も近い距離にある領域を選択する(S65)。そして、選択した領域に対応する搬送タスクを返却処理を終えた直後の搬送ロボット50に対して指令する処理を行う(S66)。この指令処理の後、再び、ロボット管理サーバ20は、一連の処理を実行する(S61~S66)。
【0173】
このような構成によれば、返却タスク完了後の搬送ロボットがその現在位置の近傍の領域に係る搬送タスクを実行することができるので、搬送ロボット50の移動距離を短縮させることができる。
【0174】
なお、領域を選択する手法は他の手法であってもよく、例えば、距離の条件に加えて、搬送タスクに含まれる搬送対象となる物体の個数に基づいて、搬送タスクを選択してもよい。例えば、搬送個数が最大となる搬送タスクを選択する構成としてもよい。
【0175】
このような構成によれば、搬送する物体数を最大化する搬送タスクを選択することができ、作業効率を向上させることができる。
【0176】
なお、搬送ロボット50から一定距離以内に搬送対象となる物体が保管されていないときには、搬送ロボット50に対して搬送タスクではなく返却タスクを実行させるような構成としてもよい。
【0177】
このような構成によれば、搬送ロボット50が待機状態となって活用されない状態となることを防止することができる。
【0178】
また、搬送ロボット50から一定距離以内に搬送対象となる物体が保管されていないときには、搬送ロボット50に対して搬送タスクではなく待機処理を実行させるような構成としてもよい。
【0179】
このような構成によれば、搬送ロボット50の近傍に搬送元領域が存在しない場合であっても一旦待機状態としておき、その後に、近傍に搬送元領域を有する搬送タスクが生成された場合に、搬送ロボット50へとタスクを割り当てることができる。これにより、搬送ロボット50の移動時間を短縮することができる。
【0180】
さらに、上記変形例では、搬送ロボット50の現在位置からの距離を基準としたが本発明はそのような構成に限定されない。従って、返却タスクに係る物体の返却先となる保管位置又はその属する領域からの距離が所定距離以下となることを条件としてもよい。また、移動時間を基準として、領域までの移動時間が所定時間以下又は最短となることを条件としてもよい。
【0181】
加えて、上記変形例では、返却タスクと搬送タスクとの連携について説明したが、返却タスクの選択にあたり、予め返却先に搬送対象物体が存在することを、返却タスクの選択条件としてもよい。
【0182】
このような構成によれば、返却タスクから搬送タスクまでの移行時間を最小化することができる。
【0183】
(返却タスクの選択)
上述の実施形態においては、任意のグループ化された返却タスクを選択する処理(S45)について説明したが、本発明はそのような構成に限定されない。
【0184】
例えば、返却タスクを選択する際に搬送タスクリストを参照し、返却先となる保管棚90の属する領域又はその一定距離内に搬送対象となる物体(又はその搬送タスク)が存在するか否かを判定し、存在する場合に、当該返却先を有する返却タスクを選択する構成としてもよい。
【0185】
このような構成によれば、返却領域又はその一定範囲内に搬送タスクが存在することを保証することができ、搬送作業の効率化を図ることができる。
【0186】
また、返却タスクを選択する際に、さらに、領域に関連付けられた搬送タスクにより搬送される物体の個数に関する情報を参照して、搬送対象物体の個数が最大となる搬送タスクに関連付けられた領域又はそこから一定範囲内の領域が返却先となる返却タスクを選択してもよい。
【0187】
このような構成によれば、返却領域等からの距離が近く、かつ、搬送物体数の多くなる搬送タスクへとつながる返却タスクを選択的に実行することができるので、搬送作業の効率化を図ることができる。
【0188】
さらに、返却タスクを選択する際に搬送タスクリストを参照し、返却先となる保管棚90の属する領域又はその一定距離内に搬送対象となる物体(又はその搬送タスク)が存在するか否かを判定し、存在する場合に、当該返却先を有する返却タスクと当該返却先を搬送元とする搬送タスクとに基づいて、物体の返却と取得を並行して行う合成タスクを生成してもよい。このとき、合成タスクにおける物体の返却と取得の順序については様々な手法を適用することができる。
【0189】
図19は、保管棚90の間に設けられた通路へと進入し、物体の返却と取得を並行して行おうとする搬送ロボット50の概念図である。同図の例にあって、搬送ロボット50は、同図左側の保管棚90の上から1番目、2番目及び6番目の保管位置にそれぞれ物体A、物体B及び物体Dを返却する。また、搬送ロボット50は、同図右側の保管棚90の上から1番目、4番目及び5番目の保管位置にある物体を取得する。
【0190】
このような状態において、どのような順序で物体を返却、取得するかを決定する処理を実行するため、本実施形態において、ロボット管理サーバ20又は搬送ロボット50は、まず、同図右側に示されるように、通路に面する2つの保管棚90における保管位置を搬送ロボット50から見て奥の方から順に一連に配置して所定の配列を生成し、当該配列の各位置に対して、返却する物体が存在する場合には第1の記号(同図の例にあっては〇)を付与し、取得する物体が存在する場合には第1の記号と異なる第2の記号(同図の例にあっては×)を付与する。これにより、搬送ロボット50にとって通路の奥側から「〇×〇・・・××〇」という配列が生成される。
【0191】
その後、ロボット管理サーバ20又は搬送ロボット50は、往路と復路のそれぞれにおいて、配列を順に参照し、所定のルールに基づいて、物体の返却又は取得の順序を決定する。所定のルールとは、配列中に所定の記号の並びが存在するか否かを判定し、所定の記号の並びが存在する場合に、物体に対して返却又は取得の順序を付与するという処理である。
【0192】
より詳細には、本実施形態においては、往路において、先頭から順に配列を参照していき、「〇〇」の記号の並びが検出された場合には、最初の〇の位置に返却又は取得の順序を付与すると共に2番目の〇の位置に参照位置を移動させる。また、「〇×」の記号の並びが検出された場合には、〇と×のそれぞれの位置に返却又は取得の順序を付与すると共に2番目の×の次の位置に参照位置を移動させる。さらに、「×〇」の記号の並びが検出された場合には、いずれの記号の位置にも返却又は取得の順序を付与せず、2番目の〇の次の位置に参照位置を移動させる。加えて、「××」の記号の並びが検出された場合には、いずれの記号の位置にも返却又は取得の順序を付与せず、2番目の×の次の位置に参照位置を移動させる。一方、復路においては、末尾の側から順に、返却又は取得の順序が付与されていない物体に対して、同様の手法で順序を付与していく。
【0193】
図20は、往路における物体の返却又は取得の順序の付与方法を示す説明図である。同図において配列の左側は通路の入り口側に相当する。
【0194】
同図上段の図から明らかな通り、同図左側から順に配列を参照していくと、「〇×」の記号の並びが検出される。従って、ロボット管理サーバ20又は搬送ロボット50は、〇と×にそれぞれ物体の返却又は取得の順序として「1」と「2」を付与すると共に、2番目の×の次の位置に参照位置を移動させる。
【0195】
同図中段の図から明らかな通り、2番目の×の次の位置においては、「×〇」の記号の並びが検出される。従って、ロボット管理サーバ20又は搬送ロボット50は、いずれの記号の位置にも返却又は取得の順序を付与せず、2番目の〇の次の位置に参照位置を移動させる。
【0196】
同図下段の図から明らかな通り、2番目の〇の次の位置においては、「×〇」の記号の並びが検出される。従って、ロボット管理サーバ20又は搬送ロボット50は、いずれの記号の位置にも返却又は取得の順序を付与せず、2番目の〇の次の位置に参照位置を移動させる。しかし、このとき、既に参照位置が配列の最右端に到達するため、往路の処理はここで終了する。
【0197】
図21は、復路における物体の返却又は取得の順序の付与方法を示す説明図である。同図において配列の左側は通路の入り口側に相当する。
【0198】
同図上段の図から明らかな通り、同図右側から順に、返却又は取得の順序が未だ付与されていない物体を参照していくと、はじめに「〇×」の記号の並びが検出される。従って、ロボット管理サーバ20又は搬送ロボット50は、〇と×にそれぞれ往路における物体の返却又は取得の順序として「1」と「2」を付与すると共に、2番目の×の次の位置に参照位置を移動させる。
【0199】
同図中段の図から明らかな通り、2番目の×の次の位置においては、「〇×」の記号の並びが検出される。従って、ロボット管理サーバ20又は搬送ロボット50は、〇と×にそれぞれ復路における物体の返却又は取得の順序として「3」と「4」を付与すると共に、2番目の×の次の位置に参照位置を移動させる。このとき、すべての物体に対して返却又は取得の順序が付与されることから、復路の処理はここで終了する。
【0200】
同図下段の図から明らかな通り、上述の処理により、搬送ロボット50が、往路において配列の1番目と2番目の物体に対して順に返却又は取得処理を行い、一方、復路において配列の6番目、5番目、4番目、3番目の物体に対して順に返却又は取得処理を行うことが決定される。
【0201】
このような構成によれば、返却と取得動作を並行して実行することができるので、作業の効率化を図ることができる。また、搬送物体の返却と取得を可能な限り交互に行うことができる。
【0202】
上述の実施形態においては、返却タスクをグループ化するにあたって、搬送ロボット50の最大積載個数に基づいて、要素返却タスクを順にグループ化する構成としたが、本発明はそのような構成に限定されない。
【0203】
例えば、返却タスクをグループ化するにあたって、同一の領域内にある保管棚90から搬送されてきた物体のうち、一時保管棚80上の一時保管位置が隣り合う物体を選択する構成としてもよい。
【0204】
このような構成によれば、返却タスクにおける物体の取得、その後の搬送に要する時間を最小化することができる。
【0205】
また、例えば、同一の領域内にある保管棚90から搬送されてきた物体のうち、一時保管棚80上の一時保管位置が互いに所定距離内に配置されている物体を選択する構成としてもよい。
【0206】
このような構成によれば、返却タスクにおける物体の取得、その後の搬送に要する時間を小さくすることができる。
【0207】
さらに、返却タスクをグループ化するにあたって、同一の搬送タスクによって搬送されてきた物体を識別し、それらを選択する構成としてもよい。
【0208】
このような構成によれば、取得対象となる物体を簡便に特定することができる。
【0209】
(搬送タスクのための空きロケーション予約)
上述の実施形態においては、搬送タスク実行にあたって、一時保管棚80上の空きロケーションを予約し(S16)、それにより空きロケーションに物体搬送を行う構成について説明したが、本発明の構成はそのような構成に限定されない。
【0210】
例えば、空きロケーション同士が隣り合うように空きロケーションの予約を行ってもよい。
【0211】
このような構成によれば、搬送した物体の一時保管棚80への配置に要する時間を最小化することができる。
【0212】
また、例えば、空きロケーション同士が互いに一定距離内に配置されるように空きロケーションの予約を行ってもよい。
【0213】
このような構成によれば、搬送した物体の一時保管棚80への配置に要する時間を低減することができる。
【0214】
さらに、例えば、搬送タスクに係る物体の保管棚90上での保管位置の属する領域からの距離が所定距離以下、又は最小の空きロケーションを予約してもよい。
【0215】
このような構成によれば、搬送タスクにおける搬送距離を小さくすることができる。
【0216】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記の実施形態は、矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0217】
本発明は、搬送システム等を製造する産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0218】
10 倉庫管理システム(WMS)サーバ
20 ロボット管理サーバ
30 一時保管棚管理サーバ
50 搬送ロボット
70 作業者
80 一時保管棚
90 保管棚
100 搬送システム
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