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特開2024-100408ボルトおよびボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100408
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】ボルトおよびボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 35/00 20060101AFI20240719BHJP
   F16B 25/04 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F16B35/00 R
F16B25/04 B
F16B35/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004393
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】長澤 範明
(57)【要約】
【課題】メンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルトの紛失を回避する。
【解決手段】ボルト24の頭部42から突出した雄ねじ44が、頭部42側に接続された雄ねじ本体部48と、雄ねじ本体部48から離された雄ねじ先端部50とを有し、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とはボールジョイント機構52で連結され、ボールジョイント機構52が、互いに一体回転可能で、かつ、互いに揺動可能に結合されそれぞれ雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とに設けられた第1継手部54と第2継手部56とを備えている。また、ボールジョイント機構52は、雄ねじ44の軸方向における雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50との間の距離を可変とする可変機構64を含んで構成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作可能な頭部と、前記頭部から突出し雄ねじが設けられた軸部とを備えるボルトであって、
前記雄ねじは、前記頭部側に接続された雄ねじ本体部と、前記雄ねじ本体部から離された雄ねじ先端部とを有し、
前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とはボールジョイント機構で連結されている、
ことを特徴とするボルト。
【請求項2】
前記ボールジョイント機構は、前記雄ねじの軸方向における前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部との間の距離を可変とする可変機構を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のボルト。
【請求項3】
前記ボールジョイント機構は、互いに一体回転可能で、かつ、互いに揺動可能に結合されそれぞれ前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とに設けられた第1継手部と第2継手部とを備え、
前記第1継手部と前記第2継手部は、前記雄ねじの軸方向に長孔状に形成された連結孔と、前記連結孔に挿入され前記連結孔内で傾動可能な連結ピンとを介して結合されている、
ことを特徴とする請求項1記載のボルト。
【請求項4】
前記ボールジョイント機構は、互いに一体回転可能で、かつ、互いに揺動可能に結合されそれぞれ前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とに設けられた第1継手部と第2継手部とを備え、
前記第1継手部と前記第2継手部は、前記雄ねじの軸方向に長孔状に形成された連結孔と、前記連結孔に挿入され前記連結孔内で傾動可能で前記連結孔の長手方向に移動可能な連結ピンとを介して結合され、
前記可変機構は、前記連結孔と前記連結ピンとを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項2記載のボルト。
【請求項5】
前記雄ねじ先端部の雄ねじは、前記雄ねじ本体部の雄ねじと同一のピッチで、かつ前記雄ねじ本体部の雄ねじより外径と谷径とが小さい寸法で形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のボルト。
【請求項6】
取り付け面上に載置された被取り付け部材に押さえ部材を載せ、前記押さえ部材に挿通させたボルトの雄ねじを前記取り付け面の雌ねじに螺合させ、前記ボルトにより前記押さえ部材を前記被取り付け部材に押し付けて前記被取り付け部材を前記取り付け面に取り付けるボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造であって、
前記ボルトは、回転操作可能な頭部と、前記頭部から突出し前記雄ねじが設けられた軸部とを備え、
前記雄ねじは、前記頭部側に接続された雄ねじ本体部と、前記雄ねじ本体部から離された雄ねじ先端部とを有し、
前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とはボールジョイント機構で連結されている、
ことを特徴とするボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトおよびボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建設機械では、油圧ポンプに接続されたコントロールバルブが設けられ、このコントロールバルブからホース配管を介して走行用油圧モータや旋回用油圧モータ、各種の作業用油圧アクチュエータに油圧が供給されている(特許文献1、特許文献2)。
ホース配管の端部には、流路が貫通されホースの端部が結合されるフランジヘッドが設けられている。このフランジヘッドの先端には環板部が設けられ、環板部には流路の開口が位置している。
また、コントロールバルブには、ホース配管の端部を取り付けるための取り付け面が設けられ、取り付け面には内部の流路に接続する複数の流路の開口が位置し、当該開口の周囲には雌ねじが形成されている。
そして、ホース配管の端部を取り付け面に取り付けるに際してクランプ金具が用いられている。
クランプ金具は、それぞれボルト挿通孔が貫通形成された一対のクランプから構成されており、この一対のクランプをフランジヘッドの両側に配置し、ボルト挿通孔に挿通されたボルトの雄ねじを取り付け面の雌ねじに螺合させることでボルトの締付力によりフランジヘッドを取り付け面に圧接して取り付け、フランジヘッドの流路と取り付け面の流路を連通させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-215006号公報
【特許文献2】特開2002-188175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、メンテナンス時にクランプ金具とボルトによって取り付けられているホース配管の端部を交換する場合、ボルト挿通孔に挿通され雌ねじに螺合されている全てのボルトを反時計回りに回転させて一旦抜き出した後、クランプ金具を取り外し、ホース配管の端部を取り外し交換していた。
このため、ホース配管の交換などのメンテナンス作業に時間がかかるとともに、機器内にボルトを脱落させ紛失させてしまうという懸念があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、メンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルトの紛失を回避する上で有利なボルトおよびボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するため本発明の一実施の形態は、回転操作可能な頭部と、前記頭部から突出し雄ねじが設けられた軸部とを備えるボルトであって、前記雄ねじは、前記頭部側に接続された雄ねじ本体部と、前記雄ねじ本体部から離された雄ねじ先端部とを有し、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とはボールジョイント機構で連結されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記ボールジョイント機構は、前記雄ねじの軸方向における前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部との間の距離を可変とする可変機構を含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記ボールジョイント機構は、互いに一体回転可能で、かつ、互いに揺動可能に結合されそれぞれ前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とに設けられた第1継手部と第2継手部とを備え、前記第1継手部と前記第2継手部は、前記雄ねじの軸方向に長孔状に形成された連結孔と、前記連結孔に挿入され前記連結孔内で傾動可能な連結ピンとを介して結合されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記ボールジョイント機構は、互いに一体回転可能で、かつ、互いに揺動可能に結合されそれぞれ前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とに設けられた第1継手部と第2継手部とを備え、前記第1継手部と前記第2継手部は、前記雄ねじの軸方向に長孔状に形成された連結孔と、前記連結孔に挿入され前記連結孔内で傾動可能で前記連結孔の長手方向に移動可能な連結ピンとを介して結合され、前記可変機構は、前記連結孔と前記連結ピンとを含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記雄ねじ先端部の雄ねじは、前記雄ねじ本体部の雄ねじと同一のピッチで、かつ前記雄ねじ本体部の雄ねじより外径と谷径とが小さい寸法で形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、取り付け面上に載置された被取り付け部材に押さえ部材を載せ、前記押さえ部材に挿通させたボルトの雄ねじを前記取り付け面の雌ねじに螺合させ、前記ボルトにより前記押さえ部材を前記被取り付け部材に押し付けて前記被取り付け部材を前記取り付け面に取り付けるボルトを用いた被取り付け部材の取り付け構造であって、前記ボルトは、回転操作可能な頭部と、前記頭部から突出し前記雄ねじが設けられた軸部とを備え、前記雄ねじは、前記頭部側に接続された雄ねじ本体部と、前記雄ねじ本体部から離された雄ねじ先端部とを有し、前記雄ねじ本体部と前記雄ねじ先端部とはボールジョイント機構で連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、ボルトの頭部から突出した雄ねじが、頭部側に接続された雄ねじ本体部と、雄ねじ本体部から離された雄ねじ先端部とを有し、雄ねじ本体部と雄ねじ先端部とはボールジョイント機構で連結されている。
従って、雄ねじ先端部のみが所定の部材の雌ねじに螺合している状態にすれば、雄ねじ本体部を所望の方向に折曲させることができるため、ボルトにより取り付けている部品の交換などのメンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルトの紛失を回避する上で有利となる。
例えば、取り付け面上に載置された被取り付け部材に押さえ部材を載せ、押さえ部材に挿通させたボルトの雄ねじを取り付け面の雌ねじに螺合させ、ボルトにより押さえ部材を被取り付け部材に押し付けて被取り付け部材を取り付け面に取り付けている場合、ボルトを反時計回りに回転させて緩め、雄ねじ先端部のみが雌ねじに螺合している状態にすれば、押さえ部材を雄ねじ本体部で保持した状態で雄ねじ本体部を所望の方向に折曲させることができるため、ボルトを全て抜き出さなくても被取り付け部材の交換が可能となり、メンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルトの紛失を回避する上で有利となる。
また、ボールジョイント機構を、雄ねじの軸方向における雄ねじ本体部と雄ねじ先端部との間の距離を可変とする可変機構を含んで構成すれば、雄ねじ先端部および雄ねじ本体部を雌ねじに円滑に螺合させる上で有利となる。
また、ボールジョイント機構が、互いに一体回転可能で、かつ、互いに揺動可能に結合されそれぞれ雄ねじ本体部と雄ねじ先端部とに設けられた第1継手部と第2継手部とを備え、第1継手部と第2継手部は、雄ねじの軸方向に長孔状に形成された連結孔と、連結孔に挿入され連結孔内で傾動可能な連結ピンとを介して結合された構成とすれば、折曲可能な雄ねじを簡易な構成で製造する上で有利となる。
また、可変機構を、雄ねじの軸方向に長孔状に形成された連結孔と、連結孔に挿入され連結孔内で傾動可能で連結孔の長手方向に移動可能な連結ピンとを含んで構成すれば、折曲可能で、雌ねじに円滑に螺合できる雄ねじを簡易な構成で製造する上で有利となる。
また、雄ねじ先端部の雄ねじを、雄ねじ本体部の雄ねじと同一のピッチで、かつ雄ねじ本体部の雄ねじより外径と谷径とが小さい寸法で形成する構成とすれば、ボルトの締め付けによるトルクが雄ねじ先端部およびボールジョイント機構にかかることを抑制する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】フランジヘッドが取り付け面に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図2】取り付け面にボルトおよびクランプ金具を介してフランジヘッドを取り付ける状態を示す分解斜視図である。
図3】雄ねじ本体部を折曲させた状態を示す斜視図である。
図4】ボルトが取り付け面の雌ねじに螺合している状態を示す断面図である。
図5】(A)は第1の実施の形態のボルトを分解した正面図あり、(B)は側面図である。
図6】(A)は図5(A)のボルトを結合したA-A断面図あり、(B)は図5(B)のボルトを結合したB-B断面図である。
図7】長孔状の連結孔の説明図である。
図8】(A)は雄ねじ本体部と雄ねじ先端部の結合部分を示す図であり、(B)は(A)の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図1図8を参照して説明する。
本実施の形態では、建設機械に搭載され油圧ポンプに接続されたコントロールバルブに設けられた取り付け座12に、ホース14の端部を取り付ける例を挙げて説明する。
図1、2に示すように、ホース14の端部はフランジヘッド16に結合されることでホース配管の端部を構成しており、ホース14が結合されたフランジヘッド16は、クランプ金具20およびボルト22、24により取り付け座12の取り付け面1202に取り付けられる。
【0009】
まず、被取り付け部材としてのフランジヘッド16について説明する。
フランジヘッド16には、ホース14の内部に連通する流路(不図示)が貫通形成されている。
図1、2に示すように、フランジヘッド16の外周部の長手方向の一部は、ホース14の端部が被せられるニップル部(不図示)と、ニップル部の半径方向外側に設けられ半径方向内側に加締められることでホース14の端部をニップル部に固定するソケット26とを有するホース結合部28として形成され、フランジヘッド16の長手方向の残りの部分の先端に環板部30が形成されている。
また、フランジヘッド16は、環板部30から突設され環板部30より径の小さい第1小径部32を備え、さらに、第1小径部32から突設され第1小径部32より径の小さい第2小径部34を備えている。
ホース結合部28と環板部30とは、第1小径部32と第2小径部34を介して連結されている。
環板部30と第1小径部32とは共に外周が円形の輪郭に形成されているが、環板部30と第1小径部32の外周の輪郭は、多角形などの輪郭で形成されていてもよく円形の輪郭に限定されない。
【0010】
環板部30は、フランジヘッド16を構成し、取り付け面1202上に載置されるものであって、下面3002と、上面3004と、外周面3006とを有している。
下面3002は、環板部30の厚さ方向の一方の面をなし、平坦面で形成され、下面3002の中心に流路の開口(不図示)が位置し、Oリング(不図示)が装着されている。
上面3004は、環板部30の厚さ方向の他方の面をなし、環状の平坦面で形成され、上面3004の内周部から第1小径部32が突設している。
外周面3006は、下面3002の外周と上面3004の外周を接続する円筒面で形成されている。
【0011】
図2に示すように、取り付け座12には流路36が設けられており、取り付け面1202は平坦な面で形成され、流路36の開口3602が位置している。
取り付け面1202の開口3602の周囲には、取り付け面1202に直交する4つの雌ねじ38が設けられている。
【0012】
次に、押さえ部材としてのクランプ金具20について説明する。
図1、2に示すように、クランプ金具20は、フランジヘッド16を構成する環板部30の両側に配置され、それぞれボルト挿通孔4002が貫通形成された一対のクランプ40により構成されている。
一対のクランプ40は、同じ形状のクランプを対象に配置している。
一対のクランプ40はそれぞれ、環板部30の外周面3006に沿って延在し、その延在方向の両端にボルト挿通孔4002が設けられ、環板部30の外周面3006に対向する内周面4004と、環板部30の上面3004に当接可能な当接面4006と、第1小径部32の外周面3202に対向する内周面4008とを備えて構成されている。
また、一対のクランプ40は、その延在方向と直交する方向の厚さを有しており、厚さ方向の一方の面である下面4010は、単一の平坦面で形成されている。
【0013】
すなわち、図2に示すように、一対のクランプ40は、延在方向に沿って半円弧状に延在しており、下面4010の内側の端部から鉛直方向上方に向けて内周面4004が延在し、内周面4004の上端から内側に向けて水平方向に当接面4006が延在し、当接面4006の端部から鉛直方向上方に向けて内周面4008が延在して設けられている。
また、一対のクランプ40の厚さ方向の他方の面である上面は、その延在方向の両端に座面4012が設けられている。
座面4012は、ボルト挿通孔4002の周囲に設けられており、ボルト挿通孔4002の軸心と直交する平坦面で形成され、ボルト22、24の頭部2202、42の下面が当接可能となっている。
【0014】
次に、ボルト22、24について説明する。
図2に示すように、本実施の形態では、一方のクランプ40Aには2つのボルト22が用いられ、他方のクランプ40Bには2つのボルト24が用いられている。
ボルト22は、図2に示すように、市販されている金属製の六角穴付きボルトであって、回転操作可能な頭部2202と、頭部2202から突出し雄ねじ22Aが設けられた軸部2204とを備えており、頭部2202の軸部2204から離れた上面に六角の穴が形成されている。
【0015】
ボルト24は、図5図8に示すように、金属製の六角穴付きボルトであって、回転操作可能な頭部42と、頭部42から突出し雄ねじ44が設けられた軸部46とを備えている。
頭部42は、円柱状に形成され、図6に示すように、軸部46から離れた上面に六角の穴4202が形成され、六角レンチにより回転操作が可能となっている。
軸部46の雄ねじ44は、頭部42側に接続された雄ねじ本体部48と、雄ねじ本体部48から離された雄ねじ先端部50とを有して構成され、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とは、ボールジョイント機構52で連結されている。
ここで、「ボールジョイント機構」とは、互いに一体回転可能で2つの部材の接合する角度が変化できる継手のことをいう。
【0016】
本実施の形態のボールジョイント機構52は、互いに一体回転可能で、かつ、互いに揺動可能に結合されそれぞれ雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とに設けられた第1継手部54と第2継手部56とを備えている。
第1継手部54と第2継手部56は、雄ねじ44の軸方向に長孔状に形成された第2継手部56の連結孔5602と、連結孔5602に挿入され連結孔5602内で傾動可能で連結孔5602の長手方向に移動可能な連結ピン58とを介して結合されている。
図5に示すように、雄ねじ本体部48は、雄ねじ44Aと第1継手部54とを備え、雄ねじ先端部50は、雄ねじ44Bと第2継手部56とを備えて構成されており、図8に示すように、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aと雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bとは同一のピッチPで形成されている。
【0017】
第1継手部54は、頭部42から離れた雄ねじ本体部48の雄ねじ44の軸方向の端部から突出して設けられ第2継手部56のボール部62が収容可能で端部が開放された円筒状のソケット部であって、先端部よりに連結孔5402が形成されている。
連結孔5402は、連結ピン58が挿入可能な円形状に形成されている。
第2継手部56は、雄ねじ先端部50の雄ねじ44の軸方向の端部から突出して設けられた円柱状の支持部60と、支持部60の先端に設けられた球面状のボール部62とで構成されており、ボール部62には連結孔5602が形成されている。
連結孔5602は、連結ピン58が挿入可能であって、雄ねじ44の軸方向に長孔状に形成されている。
連結ピン58は、円柱状に形成されており、第2継手部56のボール部62が第1継手部54に収容された状態で、第1継手部54と第2継手部56の連結孔5402、5602にわたって圧入される。
連結孔5602は、連結ピン58が連結孔5602の内周に当たる範囲内において、ボール部62が360度の範囲のいずれの方向にも揺動可能となるような形状で形成されている。
したがって、連結孔5602は、少なくとも、連結ピン58の揺動時に連結ピン58と干渉する部分を座ぐった座ぐり形状で形成されていればよく、詳細には、連結孔5602の両端の開口部をそれぞれ座ぐり、連結孔5602の延在方向の中心部を連結ピン58の外径とほぼ同じ内径の孔となるように座ぐりで連通させて形成されていればよい。
本実施の形態では、連結孔5602は、上記の座ぐり形状の範囲を全て包含する長孔で形成されており、連結孔5602の内周部に座ぐり形状は残存しておらず、連結孔5602の幅は、連結ピン58の直径よりも大きい寸法で形成され、さらに、連結孔5602は、連結ピン58の直径よりも大きい寸法で延在する長孔で形成されている。
なお、長孔が座ぐり形状の範囲の一部を包含し、長孔の内周部に座ぐり形状の残りの部分が残存していてもよい。
【0018】
また、ボールジョイント機構52は、雄ねじ44の軸方向における雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50との間の距離を可変とする可変機構64を含んで構成されている、
可変機構64は、第2継手部56の連結孔5602と、連結ピン58とを含んで構成されている。
【0019】
第2継手部56の連結孔5602は、図7に示すように、先端部側の半円弧状の内周部5602Aと、雄ねじ44B側の半円弧状の内周部5602Bと、内周部5602Aの端部と内周部5602Bの端部とを接続する直線状の一対の内周部5602Cとから構成されている。
内周部5602Aと内周部5602Bは連結ピン58が当接可能に設けられ、内周部5602Cの軸方向の距離Lは、雄ねじ44のピッチPの少なくとも1つ分の距離で形成されている。つまり、連結孔5602の長さは、連結孔5602内で連結ピン58が雄ねじ44のピッチPの少なくとも一つ分の距離を移動できる寸法で形成されている。
これは、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aと雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bとは同一のピッチPで形成されているものの、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とはボールジョイント機構52を介して連結されているため、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aの山と谷の仮想延長線上から雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bの山と谷とがずれることが考えられる。
そのような場合に、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50との間の距離を調整し、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aの山と谷の仮想延長線上に雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bの山と谷とが重なるようにしたものである。
すなわち、本実施の形態では、取り付け面1202の雌ねじ38に、まず、雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bが螺合し、次に雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aが螺合するので、連結孔5602内で連結ピン58が移動することで、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aが取り付け面1202の雌ねじ38に円滑に螺合できるようにしたものである。
なお、本実施の形態の距離Lは、ピッチPの少なくとも一つ分の距離で形成されているが、ボール部56における雄ねじ44の軸方向の長さに余裕があれば、ピッチP一つ分以上の長さで形成してもよい。
【0020】
また、図8に示すように、雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bの外径D1と谷径D2は、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aの外径D3と谷径D4とより長さ2S小さい寸法で形成されている。すなわち、外径D1は外径D3より長さ2S小さく、谷径D2は谷径D4より長さ2S小さい寸法で形成されている。
そうすると、取り付け面1202の雌ねじ38にボルト24を螺合させた場合、雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bの外周面と雌ねじ38の内周面との間に、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aとの外径差および谷径差と同様に長さ2S分の隙間が形成されるため、ボルト24の締め付けによるトルクが雄ねじ先端部50およびボールジョイント機構52にかかることを抑制する上で有利となる。
【0021】
次に、図1、2を参照して、ホース14が結合されたフランジヘッド16を取り付け座12に取り付ける方法について説明する。
本実施の形態では、取り付け座12の取り付け面1202上に載置されたフランジヘッド16(被取り付け部材)にクランプ金具20(押さえ部材)を載せ、クランプ金具20に挿通させたボルト22、24の雄ねじ22A、44を取り付け面1202の雌ねじ38に螺合させ、ボルト22、24によりクランプ金具20をフランジヘッド16に押し付けてフランジヘッド16を取り付け面1202に取り付ける。
【0022】
具体的には、まず、フランジヘッド16の流路の開口(不図示)と、取り付け座12の流路36の開口3602が向かい合うように、フランジヘッド16の環板部30の下面3002を、取り付け座12の取り付け面1202に合わせ、フランジヘッド16を載置する。
次に、フランジヘッド16の環板部30に沿わせて一対のクランプ40を配置する。すなわち、図2に示すように、一対のクランプ40の内周面4004を環板部30の外周面3006に対向させ、一対のクランプ40の当接面4006を環板部30の上面3004に当接させ、一対のクランプ40の内周面4008を第1小径部32の外周面3202に対向させる。
そして、一対のクランプ40のうちの一方のクランプ40Aのボルト挿通孔4002にワッシャー66を介して2つのボルト22を挿通させ、ボルト22の雄ねじ22Aを取り付け面1202の雌ねじ38に螺合させて締結し、他方のクランプ40Bのボルト挿通孔4002にワッシャー66を介してボルト24を挿通させ、ボルト24の雄ねじ44を取り付け面1202の雌ねじ38に螺合させて締結することで、フランジヘッド16の環板部30を取り付け面1202に圧接して取り付ける。
【0023】
ここで、ボルト24の雄ねじ44の雌ねじ38への螺合について詳細に説明する。
ボルト挿通孔4002に挿通されたボルト24の頭部42を六角レンチにより回転させると、頭部42と一体形成された雄ねじ本体部48からボールジョイント機構52を介して雄ねじ先端部50に回転力が伝達される。
伝達された回転力により、雄ねじ本体部48と一体回転可能な雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bが雌ねじ38に螺合されていく。雄ねじ先端部50、ボールジョイント機構52が順に雌ねじ38の内部に収まっていくと、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aが取り付け面1202の開口3602に位置し、雌ねじ38に螺合されていく。
このとき、可変機構64により雄ねじ先端部50に対して雄ねじ本体部48は、軸方向にピッチPの少なくとも一つ分の距離が移動可能となっているため、軸方向に微調整されながら雄ねじ44Aが雌ねじ38に円滑に螺合されていき、図4に示すように、ボルト24の雄ねじ44が雌ねじ38の内部に収まる。なお、図4では、他のクランプ40Bは省略されている。
このように、ボルト24により他方のクランプ40Bを介してフランジヘッド16を取り付ける。
【0024】
次に、図3を参照してメンテナンス時のフランジヘッド16の交換方法について説明する。
メンテナンス時にフランジヘッド16を交換する場合、一方のクランプ40Aに挿通されているボルト22、および他方のクランプ40Bに挿通されているボルト24を回転操作させる。
まず、ボルト22の頭部2202を反時計回りに回転操作して、一方のクランプ金具20によるフランジヘッド16の押し付け力を弱め、解除する。
【0025】
そして、ボルト24の頭部42を反時計回りに回転操作して、ボールジョイント機構52が取り付け面1202の開口3602から突出するまでボルト24を抜き出す。
ボルト24を所定位置まで抜き出し、ボールジョイント機構52を取り付け面1202の開口3602から突出させたならば、図3に示すように、他方のクランプ40Bを頭部42の近傍まで移動させつつ軸部46に保持した状態にして、ボルト24の雄ねじ本体部48をフランジヘッド16と反対側に折曲させる。
これにより、クランプ金具40によるフランジヘッド16への押さえ付けが解除されるとともに、他方のクランプ40Bが一方のクランプ40Aから離れるため、フランジヘッド16を取り付け面1202に沿ってずらしながら取り外す。
【0026】
次に、別のフランジヘッド16を取り付ける。
すなわち、フランジヘッド16を取り付け面1202の所定位置に載置したら、ボルト24の雄ねじ本体部48をフランジヘッド16側に戻し、雄ねじ先端部50と雄ねじ本体部48の軸方向を合わせる。
そして、ボルト22の頭部2202を時計回りに回転操作して、雄ねじ22Aを雌ねじ38に螺合させていき、再度、ボルト22により一方のクランプ部40Aを介してフランジヘッド16を押さえ付ける。
また、ボルト24の頭部42を時計回りに回転操作して、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aを雌ねじ38に螺合させていき、再度、ボルト24により他方のクランプ40Bを介してフランジヘッド16を押さえつけ、フランジヘッド16を取り付ける。
【0027】
このように、本実施の形態によれば、ボルト24の頭部42から突出した雄ねじ44が、頭部42側に接続された雄ねじ本体部48と、雄ねじ本体部48から離された雄ねじ先端部50とを有し、雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とはボールジョイント機構52で連結されている。
従って、雄ねじ先端部50のみが所定の部材の雌ねじ38に螺合している状態にすれば、雄ねじ本体部48を所望の方向に折曲させることができるため、ボルト24により取り付けている部品の交換などのメンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルト24の紛失を回避する上で有利となる。
本実施の形態では、取り付け面1202上に載置されたフランジヘッド16(被取り付け部材)にクランプ金具20(押さえ部材)を載せ、クランプ金具20に挿通させたボルト24の雄ねじ44を取り付け面1202の雌ねじ38に螺合させ、ボルト24によりクランプ金具20をフランジヘッド16に押し付けてフランジヘッド16を取り付け面1202に取り付けている。
したがって、ボルト24を反時計回りに回転させて緩め、雄ねじ先端部50のみが雌ねじ38に螺合している状態にすれば、クランプ金具20を雄ねじ本体部48で保持した状態で雄ねじ本体部48をフランジヘッド16と反対側に折曲させることができるため、ボルト24を全て抜き出さなくてもフランジヘッド16の交換が可能となり、メンテナンス作業にかかる時間を短縮するとともに、ボルト24の紛失を回避する上で有利となる。
また、ボールジョイント機構52を、雄ねじ44の軸方向における雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50との間の距離を可変とする可変機構64を含んで構成したため、雄ねじ先端部50および雄ねじ本体部48を雌ねじ38に円滑に螺合させる上で有利となる。
また、ボールジョイント機構52が、互いに一体回転可能で、かつ、互いに揺動可能に結合されそれぞれ雄ねじ本体部48と雄ねじ先端部50とに設けられた第1継手部54と第2継手部56とを備え、第1継手部54と第2継手部56は、雄ねじ44の軸方向に長孔状に形成された連結孔5602と、連結孔5602に挿入され連結孔5602内で傾動可能な連結ピン58とを介して結合された構成としたため、折曲可能な雄ねじ44を簡易な構成で製造する上で有利となる。
また、可変機構64を、雄ねじ44の軸方向に長孔状に形成された連結孔5602と連結孔5602に挿入され連結孔5602内で傾動可能で連結孔5602の長手方向に移動可能な連結ピン58とを含んで構成したため、折曲可能で、雌ねじ38に円滑に螺合できる雄ねじ44を簡易な構成で製造する上で有利となる。
また、雄ねじ先端部50の雄ねじ44Bを、雄ねじ本体部48の雄ねじ44Aと同一のピッチPで、かつ雄ねじ本体部48の雄ねじ44より外径D1と谷径D2とが小さい寸法で形成する構成としたため、ボルト24の締め付けによるトルクが雄ねじ先端部50およびボールジョイント機構52にかかることを抑制する上で有利となる。
【0028】
上述した実施の形態では、雄ねじ本体部48に第1継手部54を備え、雄ねじ先端部50に第2継手部56を備えて構成していたが、雄ねじ本体部48に第2継手部56を備え、雄ねじ先端部50に第1継手部54を備えた構成としてもよい。
このような構成としても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0029】
12 取り付け座
1202 取り付け面
14 ホース
16 フランジヘッド
20 クランプ金具
22、24 ボルト
26 ソケット
28 ホース結合部
30 環板部
32 第1小径部
34 第2小径部
36 流路
40(40A、40B) 一対のクランプ
4002 ボルト挿通孔
42 頭部
44雄ねじ
46 軸部
48 雄ねじ本体部
50 雄ねじ先端部
52 ボールジョイント機構
54 第1継手部
5402 連結孔
56 第2継手部
5602 連結孔
58 連結ピン
60 支軸部
62 ボール部
64 可変機構
66 ワッシャー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8