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特開2024-100421安全帯支持具、および安全帯支持具の設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100421
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】安全帯支持具、および安全帯支持具の設置方法
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20240719BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A62B35/00 J
E04G21/32 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004414
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000157197
【氏名又は名称】丸井産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松島 光秀
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA05
2E184KA11
2E184LA03
(57)【要約】
【課題】躯体の外観を損ねることなく、安全帯支持具によって安全帯を支持できるようにする。
【解決手段】ハーフプレキャストコンクリート板101を用いた天井壁に設置される安全帯支持具200は、2枚のハーフプレキャストコンクリート板101の間に形成される目地101a上に配置される、雌ねじ211c形成されたインサート部材210と、目地101aを通してインサート部材210に螺合するボルト221と、環状保持部を有し、ボルト221によってハーフプレキャストコンクリート板101の下面側に取り付けられる支持部材230とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーフプレキャストコンクリート板を用いた天井壁に設置される安全帯支持具であって、
2枚のハーフプレキャストコンクリート板の間に形成される目地上に配置される、雌ねじが形成されたインサート部材と、
上記目地を通して上記インサート部材に螺合するボルトと、
環状保持部を有し、上記ボルトによって上記ハーフプレキャストコンクリート板の下面側に取り付けられる支持部材と、
を備えたことを特徴とする安全帯支持具。
【請求項2】
請求項1の安全帯支持具であって、
上記インサート部材は、上記雌ねじが形成された芯部材と、上記芯部材の少なくとも一部を覆うとともに、上記ハーフプレキャストコンクリート板における上記目地付近の上面に当接するフランジ部が形成された樹脂部材とを有することを特徴とする安全帯支持具。
【請求項3】
請求項2の安全帯支持具であって、
上記樹脂部材によって、上記目地に挿入され、目地側壁に当接して、上記ボルトの回転による供回りを抑制する挿入部が形成されていることを特徴とする安全帯支持具。
【請求項4】
請求項1の安全帯支持具であって、
上記支持部材は、それぞれ上記環状保持部を形成する穴を有する保持体と、上記保持体に対してL字形に折り曲げられて上記ハーフプレキャストコンクリート板の下面に当接する当接部とを有する2枚の板部材が、間に上記ボルトが挿通されるボルト孔を形成するように張り合わされて構成されていることを特徴とする安全帯支持具。
【請求項5】
請求項4の安全帯支持具であって、
上記支持部材の当接部における上記ハーフプレキャストコンクリート板との当接面に樹脂層が設けられていることを特徴とする安全帯支持具。
【請求項6】
ハーフプレキャストコンクリート板を用いた天井壁に安全帯支持具を設置する安全帯支持具の設置方法であって、
2枚のハーフプレキャストコンクリート板の間に形成される目地上に、雌ねじが形成されたインサート部材を配置する工程と、
環状保持部を有する支持部材を、上記目地を通して上記インサート部材に螺合するボルトによって上記ハーフプレキャストコンクリート板の下面側に仮固定する工程と、
上記ハーフプレキャストコンクリート板上に現場打ちコンクリートを打設する工程と、
上記支持部材を本固定する工程と、
を有することを特徴とする安全帯支持具の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場などにおいて、作業者の落下防止等のために安全帯を支持する安全帯支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の安全帯支持具としては、例えば環状保持部を有する命綱受け金具をコンクリート躯体の打ち込みインサートにねじ込んで取り付けられるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3-46355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような打ち込みインサートを天井面の躯体に埋設する場合、天井面等の躯体に跡が残り、躯体の外観を損ねがちであった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、躯体の外観を損ねることなく、安全帯支持具によって安全帯を支持できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
本発明は、
ハーフプレキャストコンクリート板を用いた天井壁に設置される安全帯支持具であって、
2枚のハーフプレキャストコンクリート板の間に形成される目地上に配置される、雌ねじが形成されたインサート部材と、
上記目地を通して上記インサート部材に螺合するボルトと、
環状保持部を有し、上記ボルトによって上記ハーフプレキャストコンクリート板の下面側に取り付けられる支持部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
これにより、天井壁の目地を利用して、目地上に配置されたインサート部材とボルトにより支持部材が取り付けられるので、躯体の外観を損ねることなく、安全帯支持具によって安全帯を支持することが容易にできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、躯体の外観を損ねることなく、安全帯支持具によって安全帯を支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】安全帯支持具が取り付けられるバルコニーの例を示す正面図である。
図2】安全帯支持具が取り付けられるバルコニーの例を示す側面断面図である。
図3】安全帯支持具の構成を示す正面断面図である。
図4】安全帯支持具の構成を示す平面図である。
図5】安全帯支持具の構成を示す底面図である。
図6】安全帯支持具の設置工程を示す正面断面図である。
図7】安全帯支持具の設置工程を示す正面断面図である。
図8】安全帯支持具の設置工程を示す平面図である。
図9】安全帯支持具の設置工程を示す正面断面図である。
図10】安全帯支持具の設置工程を示す正面断面図である。
図11】安全帯支持具の設置工程を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
(バルコニー100の概略構成)
安全帯支持具200は、例えば図1図2に示すようなバルコニー100で建築作業する場合に、安全帯を支持して作業者の落下を防止するためなどに用いられる。上記バルコニー100は、例えば工場で製作されたハーフプレキャストコンクリート板101に現場打ちコンクリート103が打設されるとともに手摺102が取り付けられて形成される。安全帯支持具200は、天井壁となる上階のバルコニー100の下面に後述するように脱着可能に取り付けられ、親綱401のフック401aが係止されて、安全帯の支持等が行われる。
【0012】
(安全帯支持具200の構成)
安全帯支持具200は、図3図4に示すように、2枚のハーフプレキャストコンクリート板101の間に形成される目地101a上に配置されてトラス筋301等とともに現場打ちコンクリート103中に埋め込まれるインサート部材210と、これに螺合する全ねじボルトであるボルト221と、ハーフプレキャストコンクリート板101の下面側に取り付けられる支持部材230(支持金具)とを用いて構成されている。
【0013】
インサート部材210は、芯部材211(鋼製本体)と、上記芯部材211の少なくとも一部を覆う樹脂部材212(樹脂製台座)とから構成されている。芯部材211は、円筒状の胴部211aと、円板状の頭部211bとを有し、胴部211aの内部に雌ねじ211cが形成されている。樹脂部材212は、ハーフプレキャストコンクリート板101の上面に当接するフランジ部212aと、ハーフプレキャストコンクリート板101の目地101aに挿入され、目地側壁に当接して、ボルト221の回転による供回りを抑制する挿入部212bとを有している。
【0014】
支持部材230は、図3図5に示すように、図3の紙面に平行な方向の保持体231aと、上記保持体231aに対してL字形に折り曲げられた、図3の紙面に垂直、図5の紙面に平行な方向の当接部231bとを有する2枚の板部材231が対称配置され、間に半円状の屈曲部によってボルト221が挿通されるボルト孔を形成するようにリベット等により張り合わされて構成されている。上記保持体231aには、2つの穴231cが設けられることによって、フック401a等が係止される環状保持部が形成されている。上記当接部231bは、表面にPVCコーティングなどの樹脂層232が設けられ、この樹脂層232を介して、ハーフプレキャストコンクリート板101の下面に養生が図られつつ当接するようになっている。
【0015】
ボルト221(例えばW1/2×250)は、支持部材230における2枚の板部材231の間のボルト孔に挿通されるとともに、ハーフプレキャストコンクリート板101の目地101aを通して、インサート部材210に螺合するようになっている。また、ボルト221における支持部材230の下方側には、座金222、およびスプリング座金223を介して六角ナット224(例えばダブルナット)が螺合されることにより、支持部材230がハーフプレキャストコンクリート板101の下面側に取り付けられるようになっている。
【0016】
(安全帯支持具200の設置工程)
上記のような安全帯支持具200は、例えば以下のようにして設置され、用いられる。
【0017】
まず、図6に示すように、インサート部材210とボルト221を組み立て、ハーフプレキャストコンクリート板101の目地101aに落とし込んでインサート部材210の挿入部212bを嵌め込むように設置する。これによって、インサート部材210の雌ねじ211cが目地101aからずれないようにすることが容易にできる。ここで、上記インサート部材210は、樹脂部材212におけるフランジ部212aの裏面側に接着剤を塗布して接着固定したり、フランジ部212aにねじ孔を設けてビス固定したりして簡易的に固定を行うようにしてもよい。
【0018】
次に、図7に示すように、ハーフプレキャストコンクリート板101の天井面にあるボルト221の下端から、支持部材230、座金222、スプリング座金223、および2つの六角ナット224を順次挿入し、スパナやラチェット等の手動工具で仮固定する。
【0019】
次に、図8図9に示すように、目地101aにバックアップ材302を設置する。その際、インサート部材210の周囲からコンクリートノロが漏れないように注意して設置する。
【0020】
その後、図10に示すように、現場打ちコンクリート103を打設する。
【0021】
コンクリートの硬化後に、上段の六角ナット224を所定の締め付けトルクにて締め付け後、下段の六角ナット224を増し締めする。
【0022】
上記のようにして設置された支持部材230に親綱401のフック401aを係止させることによって、親綱401を設置することができる。
【0023】
上記のように、天井面の目地101aを利用してボルト221を天井面から垂下させて支持部材230を設置することにより、例えば後施工アンカーや埋設インサートとアイボルト等を使用する場合のように天井面にあとが残ってしまうことがないようにしつつ、支持部材230を容易、かつ確実に設置することができる。しかも、ボルト221はハーフプレキャストコンクリート板101上に設置したインサート部材210に螺合させて天井面から垂下させることにより、施工後に容易に抜き取ることができ、天井の美感を向上させることが容易にできる。
【符号の説明】
【0024】
100 バルコニー
101 ハーフプレキャストコンクリート板
101a 目地
102 手摺
103 現場打ちコンクリート
200 安全帯支持具
210 インサート部材
211 芯部材
211a 胴部
211b 頭部
211c 雌ねじ
212 樹脂部材
212a フランジ部
212b 挿入部
221 ボルト
222 座金
223 スプリング座金
224 六角ナット
230 支持部材
231 板部材
231a 保持体
231b 当接部
231c 穴
232 樹脂層
301 トラス筋
302 バックアップ材
401 親綱
401a フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11