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  • 特開-意匠性カードおよび転写箔 図1
  • 特開-意匠性カードおよび転写箔 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100433
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】意匠性カードおよび転写箔
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/373 20140101AFI20240719BHJP
【FI】
B42D25/373
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004429
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】竹下 元気
(72)【発明者】
【氏名】太田 拓男
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005HA06
2C005HA26
2C005HB09
2C005JA02
2C005KA02
2C005KA06
2C005KA09
2C005KA15
(57)【要約】
【課題】オーバープリントが施された意匠性カードにおいて、オーバープリントと磁気テープとの密着性に優れ、磁気テープを効果的に隠蔽することが可能で、かつ磁気テープの記録や読取りに支障がない金属転写層を有する意匠性カードを提供する。
【解決手段】カード基材の、磁気記録層が設けられた表面上に、黒色接着層、絶縁性の金属蒸着層、離型保護層、印刷層、保護層が順次積層されて形成されたカードであり、前記黒色接着層は、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を主成分とし、その厚みが1.0μm以上2.5μm以下であり、前記離型保護層、前記金属蒸着層、前記黒色接着層を合わせた厚みが6.0μm以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード基材の、磁気記録層が設けられた表面上に、黒色接着層、絶縁性の金属蒸着層、離型保護層、印刷層、保護層が順次積層されて形成されたカードであり、
前記黒色接着層は、黒色着色剤を含み、バインダー樹脂として塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を使用し、その厚みが1.0μm以上2.5μm以下であり、
前記離型保護層、前記金属蒸着層、前記黒色接着層を合わせた厚みが6.0μm以下であることを特徴とする意匠性カード。
【請求項2】
前記金属蒸着層が、海島状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の意匠性カード。
【請求項3】
カード基材上に転写される転写箔であって、
ベースフィルム上に、金属転写層として、剥離保護層、金属蒸着層、黒色接着層が順次積層され、
前記黒色接着層は、黒色着色剤を含み、バインダー樹脂として塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を使用し、その厚みが1.0μm以上2.5μm以下であり、
前記離型保護層、前記金属蒸着層、前記黒色接着層を合わせた厚みが6.0μm以下であり、
全光透過率が10%以下であることを特徴とする転写箔。
【請求項4】
前記金属蒸着層が、海島状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の転写箔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッシュカード、クレジットカード、各種IDカ-ド、会員カード等の各種カードに用いられる磁気カードに関し、特に優れた意匠性を有するカード、およびそのカードの製造のために適用される転写箔に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キャッシュカードやクレジットカード、IDカード等の各種分野において、磁気カードやICカードなどが、幅広く使われてきた。
【0003】
その用途の拡大に伴い、単なる記録媒体としての機能だけではなく、カード自体に対しても高い意匠性が求められるようになってきている。なかでも、表面が金属光沢を有する様に構成したカードは、独特のメタリックな色調と光輝感を有するため好まれており、様々なものが提案され、また実用化されている。
【0004】
例えば特許文献1には、金属光沢層を備えた磁気隠蔽カードが開示され、カード最表面の金属蒸着層面側に磁気テープを有しながら、金属薄膜が、海・島構造になっていて絶縁性であるため、磁気ヘッドへの放電等の静電気障害を生じることがない、としている。また、磁気テープの背面のコアシートに黒色の印刷がされているか、黒色に着色されているコアシートを使用するので、磁気テープの濃色の磁気材料のコントラストを低減して、磁気テープの色を適切に隠蔽することができ、しかも読み取り性能を低下させない、としている。また通常の磁気カードように、文字エンボスも可能である、としている。
【0005】
しかし特許文献1に記載の磁気隠蔽カードでは、磁気ストライプを隠蔽するオーバープリントが施されたカードの場合、磁気ストライプの隠蔽性が不十分であるため、金属転写層上の印刷デザインによっては磁気ストライプの跡が見えてしまう可能性がある。また、磁気テープと金属転写層の密着が強くないため、磁気ヘッドで磁気ストライプ部が擦られるため、読取りを繰り返すうちに金属転写箔の密着性が低下し、剥離する可能性があるという問題があった。
【0006】
そして上記の隠蔽性および密着性の改善方法として、磁気ストライプの上に隠蔽層を印刷し、その上に金属転写層を設ける方法があるが(特許文献2)、磁気ストライプから磁気ヘッドまでの厚みが厚くなってしまうため磁気出力が弱くなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6036105号公報
【特許文献2】特開2013-252652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、オーバープリントが施された意匠性カードにおいて、オーバープリントと磁気テープとの密着性に優れ、磁気テープを効果的に隠蔽することが可能で、かつ磁気テープの記録や読取りに支障がない金属転写層を有する意匠性カードを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、
表面に磁気記録層が設けられたカード基材の、該表面上に、黒色接着層、絶縁性の金属蒸着層、離型保護層、印刷層、保護層が順次積層されて形成されたカードであり、
前記黒色接着層は、黒色着色剤を含み、バインダー樹脂として塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を使用し、その厚みが1.0μm以上2.5μm以下であり、
前記離型保護層、前記金属蒸着層、前記黒色接着層を合わせた厚みが6.0μm以下であることを特徴とする意匠性カードである。
【0010】
上記意匠性カードにおいて、
前記金属蒸着層が、海島状に形成されていて良い。
【0011】
また本発明の別側面は、
表面に磁気記録層が設けられたカード基材上に転写される転写箔であって、
ベースフィルム上に、金属転写層として、剥離保護層、金属蒸着層、黒色接着層が順次積層され、
前記黒色接着層は、黒色着色剤を含み、バインダー樹脂として塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を使用し、その厚みが1.0μm以上2.5μm以下であり、
前記離型保護層、前記金属蒸着層、前記黒色接着層を合わせた厚みが6.0μm以下であり、
全光透過率が10%以下であることを特徴とする転写箔である。
【0012】
上記転写箔において、
前記金属蒸着層が、海島状に形成されていて良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表面が美麗な金属光沢を有し、磁気テープとの密着性に優れ、かつ磁気テープを効果的に隠蔽することが可能な金属転写層が形成された意匠性に優れたオーバープリントが施された意匠性カード、およびその製造に使用される転写箔が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の転写箔の一例の断面模式図である。
図2】本発明の意匠性カードの一例の断面模式図である。
図3図2の線分A-A´の部位での断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下に示す実施形態では、発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
【0016】
<転写箔>
図1は、本発明の転写箔の一例の断面模式図である。ベースフィルム上に、ベースフィルムからの離型性を付与すると共に転写後には表面の保護層となる離型保護層、絶縁性の金属蒸着層および黒色を呈する黒色接着層を順次積層した金属転写層が形成された金属転写箔である。ここで、黒色接着層のバインダー樹脂の主成分として、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を使用している。またその厚みは1.0μm以上2.5μm以下である。そして、転写箔の全光透過率が10%以下である。
【0017】
黒色接着層の主成分を塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体とすることで、カード製造時のラミネート温度である150℃以下でも、磁気ストライプと良好な密着性を得ることがで
きる。また接着層を黒色にすることで、磁気ストライプと周囲の白色のコアシートとのコントラストを和らげることができると共に、金属転写層自体に隠蔽性を持たせることができるため、磁気ストライプの跡を効果的に隠蔽することが可能となる。
【0018】
また、黒色接着層の厚みを1.0μm以上2.5μm以下にすることで、十分な密着性と隠蔽性を持たせつつ、全体の総厚を薄くすることが可能となる。1.0μm未満だと密着性と隠蔽性が不十分であり、2.5μm以上だと総厚が厚くなってしまうため、カードに転写した際の磁気出力への影響が大きくなってしまう。
【0019】
また離型保護層、絶縁性の金属蒸着層および黒色接着層を合わせた金属転写層の厚みは6μm以下である。これにより、カード基材に転写した際に、カード基材表面に形成された磁気ストライプへの磁気記録に支障がないものとすることができる。
【0020】
また、黒色転写箔の全光透過率が10%以下であることで、磁気ストライプの隠蔽性が良好な転写箔が得られる。
【0021】
<カード>
図2は、本発明の意匠性カード(以下、単に「カード」とも称する)の一例の断面模式図である。単層または複層のコアシートとオーバーシートからなるカード基材の、磁気記録層である磁気ストライプが設けられた表面に、上記の金属転写箔から転写して金属転写層を形成し、更に印刷層、保護層を積層したカードであり、オーバープリントカードの態様である。このとき、離型保護層、金属蒸着層、黒色接着層からなる金属転写層の厚みは6.0μm以下である。
【0022】
磁気ストライプ上に上記金属転写箔から転写した金属転写層を設けることで、磁気ストライプと金属転写層を十分に密着させることができるとともに、カード表面から見た際に磁気ストライプの跡を隠蔽することが可能となる。また金属転写層の厚みを6μm以下とすることで、図3に示す様に、金属転写層上に印刷層、保護層を形成した上から磁気ヘッドを磁気ストライプ上でスライドさせたとき、磁気ヘッドによる磁気ストライプへの書き込みや読み取りを支障なく行える。
【0023】
<金属転写層の密着性の評価方法>
前記のカードに対する密着性の評価として、下記の基準を満足することで、繰り返し磁気ヘッドで擦られても金属転写層が十分な密着性を有するものとすることができる。すなわち密着性の評価は、「JIS X6305-2 5.4 磁気ストライプの耐摩耗性」に記載の方法で行うことができ、磁気ストライプ上で金属ダミーヘッドを4000回往復させたのち、「JIS K5600-5-6付着性(クロスカット法)」に記載の方法にて、磁気ストライプ上でクロスカット試験を実施し、磁気ストライプ上のクロスカット部において、マス目内部の剥離がなければ、問題ないものとすることができる。
【0024】
続いて、各部材の構成について詳細に説明する。
【0025】
<コアシート>
コアシートとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂や、環境を配慮したポリ乳酸などの樹脂シートが挙げられる。
【0026】
また、オーバーシートとしては、ポリエステル樹脂やポリ塩化ビニル樹脂を用いることができ、特に厚さ10μm以下のフィルムが好ましい。
【0027】
また、これを構成するオーバーシートに仮接着した後、オーバーシートとコアシートとを所定の順序で重ねて一体化することにより、三層構造の前記カード基材を製造すると同時に、前記磁気ストライプで構成された磁気記録層をオーバーシート表面に埋め込むことができる。
【0028】
<ベースフィルム>
転写箔のベースフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムや、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート、ポリイミドフィルムを用いることができる。
【0029】
<離型保護層>
離型保護層としては、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、繊維素系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂などを用いることができる。また、必要に応じてワックス等を使用することができる。また、剥離層の厚さとしては1μm~3μmの範囲であることが好ましい。
【0030】
<金属蒸着層>
金属または金属化合物の薄膜である金属蒸着層としては、スズ、コバルト、ニッケル、インジウム、金、銀などの金属またはこれらの混合物や化合物を用いることができるが、これに限定されず、金属光沢を得るために一般に使用される金属から選択して使用できる。金属または金属化合物の薄膜は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。また金属蒸着層と称しているが、蒸着以外の方法、例えばメッキ法により形成することもできる。
【0031】
金属蒸着層を絶縁性にする方法としては、海島状に蒸着する方法や、金属を蒸着後に部分的に除去することにより海島状に形成する方法、ハーフ蒸着と言われる膜厚が数nm~数十nm程度の半透過性薄膜にする方法が挙げられる。金属蒸着層の一形態として、一定方向に並んだ線上の凹凸形状を形成したヘアライン調とすることも可能である。その場合、凹凸の深さを0.5~5μm、線幅を0.5~200μmとし、凹凸がない平坦部について上記の表面粗さ条件を満たすようにすることで、鏡面反射性を有しつつヘアライン調に仕上げることができる。
【0032】
金属蒸着層の厚みは10nmから100nmの範囲であることが好ましい。10nm未満であると金属光沢の効果がなくなり、100nmを超えると蒸着層の形成に時間がかかる上に、膜厚のむらが大きくなる、金属蒸着層が海島状にならず導通してしまう、等の危険がでてくる。
【0033】
<黒色接着層>
接着層を黒色にする黒色着色剤には種々の顔料を使用することができるが、カーボンブラックを使用することが好ましい。バインダー樹脂としては、主として塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂を使用するが、その他にウレタン樹脂、メラミン樹脂、繊維素系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、ブチラール樹脂等を加えても良い。また必要に応じて添加剤等を加えることもできる。
【0034】
<印刷層>
印刷層はオフセット印刷やスクリーン印刷等、公知の印刷方法で設けることができる。印刷層にはどのようなインキを使用しても良いが、下地を透かして見ることができるような隠蔽性の低いインキを使用することで、金属蒸着層の光沢感や質感を活かしつつ、任意の色に着色することが可能となる。
【0035】
<保護層>
保護層に用いる樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを用いることができる。例えば塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂やそれらの共重合体、ポリマーアロイや、ポリエステル系ポリオールにイソシアネートを添加したアクリルUV樹脂等があげられるがこの限りではない。
【0036】
以上により、磁気テープとの密着性に優れ、かつ磁気テープを隠蔽することが可能なオーバープリントが施された意匠性カード、および該意匠性カードの製造に用いられる転写箔を提供することが可能となる。
【実施例0037】
<実施例1>
厚み600μmの白色PVC基材からなるコアシートの両面に、磁気ストライプを埋め込んだ厚み100μmの透明PVC基材からなるオーバーシートを、磁気ストライプが外側に位置するように積層してカード基材を形成したのち、オーバーシートの片面に下記金属転写箔を用いて金属転写層を転写形成した。続いて金属転写層上に印刷層をオフセット印刷にて網点率100%で全面に形成したのち、アクリル樹脂からなる保護層と接着層が形成された転写箔を用いて保護層を転写形成し、実施例1のカードを得た。
【0038】
(金属転写箔)
PETのベースフィルム上に、アクリル系樹脂を主成分とする離型保護層を2μm、金属蒸着層を40nm、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体をバインダー樹脂の主成分とし、カーボンブラックにより黒色に着色した黒色接着層を1.0μmの厚みで順次積層して転写箔を作製した。金属蒸着層はスズを海島状になるように真空蒸着法で形成することで、絶縁性とした。金属転写箔の全光透過率は株式会社島津製作所製のUV-3600を使用して積分球方式で測定し、500~700nmの入射光において6~8%の範囲であった。
【0039】
<実施例2>
厚み600μmの白色PVC基材からなるコアシートの両面に、磁気ストライプを埋め込んだ厚み100μmの透明PVC基材からなるオーバーシートを、磁気ストライプが外側に位置するように積層してカード基材を形成したのち、オーバーシートの片面に下記金属転写箔を用いて金属転写層を転写形成した。続いて金属転写層上に印刷層をオフセット印刷にて網点率100%で全面に形成したのち、アクリル樹脂からなる保護層と接着層が形成された転写箔を用いて保護層を転写形成し、実施例2のカードを得た。
【0040】
(金属転写箔)
PETのベースフィルム上に、アクリル系樹脂を主成分とする離型保護層を2μm、金属蒸着層を40nm、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体をバインダー樹脂の主成分とし、カーボンブラックにより黒色に着色した黒色接着層を2.5μmの厚みで順次積層して転写箔を作製した。金属蒸着層はスズを海島状になるように真空蒸着法で形成することで、絶縁性とした。金属転写箔の全光透過率は株式会社島津製作所製のUV-3600を使用して積分球方式で測定し、500~700nmの入射光において2~3%の範囲であった。
【0041】
<比較例1>
金属転写箔の接着層に、黒色接着層の代わりにカーボンブラックを含まない透明接着層を使用した以外は、実施例1と同様の方法で作成した。
【0042】
<比較例2>
金属転写箔の黒色接着層を、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の代わりにアクリル樹脂を主成分とした以外は、実施例1と同様の方法で作成した。
【0043】
<評価>
前述の<金属転写層の密着性の評価方法>に従って評価を行った。具体的には、作製したサンプルを以下の項目につき評価した。結果を表1に示す。
(磁気ストライプ跡)
目視により磁気ストライプ跡の見え方を確認した。
◎:磁気ストライプ跡が認識できない
○:磁気ストライプ跡が注意して観察しないと認識できない
×:磁気ストライプ跡がすぐに認識できる
(密着性)
前述の<金属転写箔の密着性の評価方法>で評価した。
OK:マス目内部の剥離なし
NG:マス目内部で剥離あり
【0044】
【表1】
【0045】
実施例1、2では磁気ストライプ跡の見え方、密着性共に良好であったが、より黒色接着層が厚い実施例2の方がより磁気ストライプ跡は認識しづらかった。一方で比較例1は金属転写層に透明接着層を使用しており隠蔽性がないため、磁気ストライプ跡が一見して認識できてしまう状況であり、また比較例2では接着層に塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を使用していないため、金属ダミーヘッドで4000往復擦った時点で金属箔が一部剥離して磁気ストライプが露出している状況で、更にクロスカットをしたところマス目内部が40%程剥離してしまった。
図1
図2
図3