IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電源システム 図1
  • 特開-電源システム 図2
  • 特開-電源システム 図3
  • 特開-電源システム 図4
  • 特開-電源システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100435
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240719BHJP
   G01S 7/282 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H02J1/00 309Q
G01S7/282
H02J1/00 306K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004432
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】安保 豊和
(72)【発明者】
【氏名】須藤 富士雄
(72)【発明者】
【氏名】岡田 行史
【テーマコード(参考)】
5G165
5J070
【Fターム(参考)】
5G165BB04
5G165BB09
5G165DA01
5G165EA04
5G165HA07
5G165HA20
5G165JA07
5G165JA09
5G165KA08
5G165LA01
5G165LA02
5J070AB01
(57)【要約】
【課題】複数の電源ユニットを効果的に制御することができる電源システムを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、電源システムは、複数の電源ユニットと、供給装置と、コントローラと、を備える。複数の電源ユニットは、負荷に電力を供給する。供給装置は、前記負荷に供給する負荷電流値を示す負荷デューティ情報を送信する。コントローラは、前記負荷デューティ情報に基づいて、前記電源ユニットの電流上限値を算出し、前記電流上限値を示す電源ユニットデューティ情報を前記複数の電源ユニットに送信する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給する複数の電源ユニットと、
前記負荷に供給する負荷電流値を示す負荷デューティ情報を送信する供給装置と、
前記負荷デューティ情報に基づいて、前記電源ユニットの電流上限値を算出し、
前記電流上限値を示す電源ユニットデューティ情報を前記複数の電源ユニットに送信する、
コントローラと、
を備える電源システム。
【請求項2】
前記コントローラは、故障が許容される前記電源ユニットの個数にさらに基づいて前記電流上限値を算出する、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記負荷電流値を、前記複数の電源ユニットの個数から故障が許容される前記電源ユニットの個数を減算した値で除算して、前記電流上限値を算出する、
請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記電源ユニットの温度上昇に関する熱評価値にさらに基づいて、前記電流上限値を算出する、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項5】
前記電源ユニットは、前記電源ユニットの温度を測定する温度センサを備え、
前記コントローラは、前記温度センサによって測定された前記温度にさらに基づいて、前記電流上限値を算出する、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記温度が高ほど低い前記電流上限値を算出する、
請求項5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記電源ユニットは、
前記負荷に電圧を出力する電源と、
前記電圧を測定する電圧センサと、
前記電圧センサによって測定された前記電圧に基づいて前記電源を制御するプロセッサと、
を備える、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の電源システム。
【請求項8】
前記負荷は、アンテナから構成される、
請求項1に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
負荷に対して複数の電源ユニットから電力を供給するシステムが提供されている。そのようなシステムは、各電源ユニットを協調して動作させるため、各電源ユニットが出力する電力量及び電力を出力するタイミングなどを制御する必要がある。
【0003】
従来、システムは、電源ユニットの数が増加すると、各電源ユニットの制御が困難になるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-215294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するため、複数の電源ユニットを効果的に制御することができる電源システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、電源システムは、複数の電源ユニットと、供給装置と、コントローラと、を備える。複数の電源ユニットは、負荷に電力を供給する。供給装置は、前記負荷に供給する負荷電流値を示す負荷デューティ情報を送信する。コントローラは、前記負荷デューティ情報に基づいて、前記電源ユニットの電流上限値を算出し、前記電流上限値を示す電源ユニットデューティ情報を前記複数の電源ユニットに送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る電源システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る電源システムの動作例を示すシーケンス図である。
図3図3は、第2の実施形態に係る電源システムの構成例を示すブロック図である。
図4図4は、第3の実施形態に係る電源システムの構成例を示すブロック図である。
図5図5は、第3の実施形態に係る電源システムの動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
実施形態に係る電源システムは、レーダのアンテナなどの負荷に対して電力を供給する。電源システムは、複数の電源ユニットから構成される。電源システムは、複数の電源ユニットから同時に負荷に対して電力を供給する。
【0009】
図1は、実施形態に係る電源システム1の構成例を示す。図1が示すように、電源システム1は、コントローラ2、デューティ供給装置3、負荷4、及び、電源ユニット10(101-10n)などを備える。
【0010】
コントローラ2は、デューティ供給装置3及び電源ユニット10と接続する。また、電源ユニット10は、負荷4に接続する。
【0011】
なお、電源システム1は、図1が示すような構成の他に必要に応じた構成をさらに具備したり、電源システム1から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0012】
負荷4は、電力を消費する装置である。負荷4は、各電源ユニット101-10nからの電力によって動作する。たとえば、負荷4は、数百kWから数MWの電力を消費する。たとえば、負荷4は、レーダの電波を送信するアンテナから構成される。また、負荷4が消費する電力は、時間の経過に応じて変化するものであってもよい。また、負荷4は、複数の装置から構成されるものであってもよい。
【0013】
デューティ供給装置3は、負荷4が消費する電力を示す負荷デューティ情報をコントローラ2に供給する。負荷デューティ情報は、負荷4に供給される電流値(負荷電流値)を示す。たとえば、負荷デューティ情報は、所定のタイミングにおいて負荷4が消費する最大の電流値を負荷電流値として示す。また、デューティ供給装置3は、時間の経過に応じて、異なる負荷電流値を示す負荷デューティ情報を供給するものであってもよい。
【0014】
たとえば、デューティ供給装置3は、負荷4の仕様などに基づく負荷デューティ情報を予め格納する。また、デューティ供給装置3は、負荷デューティ情報を時系列で格納するものであってもよい。
【0015】
電源ユニット101-10nは、コントローラ2からの制御に従って負荷4に電力を供給する。
電源ユニット101-10nは、同様の構成であるため、ここでは、電源ユニット101を例に説明する。
【0016】
電源ユニット101は、電源111、ダイオード131、電圧センサ141及び電流センサ161などを備える。電源111は、制御部121などを備える。
電源111は、ダイオード131のアノードに接続する。また、ダイオード131のカソードは、電流センサ161に接続する。また、電流センサ161は、負荷4に接続する。また、電圧センサ141は、ダイオード131のカソード及び制御部121に接続する。
【0017】
なお、電源ユニット101は、図1が示すような構成の他に必要に応じた構成をさらに具備したり、電源ユニット101から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0018】
電源111は、制御部121の制御に従ってダイオード131を介して電力を負荷4に供給する。電源111は、制御部121の制御に従って所定の電圧を出力する。
【0019】
制御部121(プロセッサ)は、コントローラ2からの制御に従って電源111を制御する。制御部121は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。制御部121は、内部メモリなどが予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0020】
たとえば、制御部121は、CPU(Central Processing Unit)である。なお、制御部121は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウエアにより実現されてもよい。
制御部121の機能については後述する。
【0021】
電圧センサ141は、電源111が出力する電圧を検知する。電圧センサ141は、検知された電圧を示す信号を制御部121に供給する。たとえば、電圧センサ141は、抵抗などから構成される。
【0022】
電流センサ161は、電源111が出力する電流を検知する。電流センサ161は、検知された電流を示す信号を制御部121に供給する。
【0023】
同様に、電源ユニット10nは、電源11n、ダイオード13n、電圧センサ14n及び電流センサ16nなどを備える。電源11nは、制御部12nなどを備える。電源11n、制御部12n、ダイオード13n、電圧センサ14n及び電流センサ16nは、電源111、制御部121、ダイオード131、電圧センサ141及び電流センサ16nとそれぞれ同様である。
【0024】
コントローラ2は、デューティ供給装置3からの負荷デューティ情報に基づいて電源ユニット101-10nを制御する。コントローラ2は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。コントローラ2は、内部メモリなどが予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0025】
たとえば、コントローラ2は、CPUから構成される。なお、コントローラ2は、LSI、ASIC)又はFPGA等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0026】
また、コントローラ2は、デューティ供給装置3に接続するインターフェース及び電源ユニット10に接続するインターフェースなどを備えるものであってもよい。
【0027】
次に、コントローラ2が実現する機能について説明する。コントローラ2が実現する機能は、内部メモリなどに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0028】
まず、コントローラ2は、負荷デューティ情報を取得する機能を有する。
たとえば、コントローラ2は、所定のタイミングで負荷デューティ情報を供給するリクエストをデューティ供給装置3に送信する。コントローラ2は、当該リクエストに対するレスポンスとして負荷デューティ情報をデューティ供給装置3から取得する。
【0029】
また、コントローラ2は、デューティ供給装置3からプッシュ通知で負荷デューティ情報を取得するものであってもよい。たとえば、デューティ供給装置3は、所定のタイミング又は負荷デューティ情報が変化したタイミングで負荷デューティ情報をコントローラ2に送信する。
【0030】
また、コントローラ2は、負荷デューティ情報に基づいて、電流の上限を示す電源ユニットデューティ情報を各電源ユニット10に送信する機能を有する。
【0031】
負荷デューティ情報を取得すると、コントローラ2は、負荷デューティ情報に基づいて、電源ユニット10が出力する電流の上限値(電流上限値)を示す電源ユニットデューティ情報を生成する。
【0032】
たとえば、コントローラ2は、以下の式に従って、電流上限値を計算する。
【0033】
I=Imax/(n-m) (1)
ここで、Iは、電流上限値を示す。また、Imaxは、負荷電流値を示す。また、nは、電源ユニット10の個数を示し、mは、故障が許容される電源ユニット10の個数を示す。
【0034】
即ち、コントローラ2は、負荷電流値を、電源ユニット10の個数から故障が許容される電源ユニット10の個数を減算した値で除算して、電流上限値を算出する。
【0035】
コントローラ2は、上記の式(1)に従って電流上限値を計算する。電流上限値を計算すると、コントローラ2は、算出された電流上限値を示す電源ユニットデューティ情報を生成する。
【0036】
電源ユニットデューティ情報を生成すると、コントローラ2は、生成された電源ユニットデューティ情報を各電源ユニット10に送信する。
【0037】
なお、コントローラ2は、負荷デューティ情報を新たに取得した場合(負荷デューティ情報が更新された場合)、上記の通り、電源ユニットデューティ情報を各電源ユニット10に再度送信する。
【0038】
次に、電源ユニット10が実現する機能について説明する。各電源ユニット101-10nが実現する機能は同様であるため、ここでは代表して電源ユニット101が実現する機能について説明する。電源ユニット101が実現する機能は、制御部121が内部メモリなどに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0039】
まず、制御部121は、電源ユニットデューティ情報に基づいて電流の上限値を設定する機能を有する。
【0040】
制御部121は、電源ユニットデューティ情報をコントローラ2から取得する。電源ユニットデューティ情報を取得すると、制御部121は、電源111が出力する電流の上限値として、電源ユニットデューティ情報が示す電流上限値を設定する。
【0041】
制御部121は、電源111が負荷4に対して出力する電流が電流上限値に達するかを判定する。制御部121は、電源111が出力する電流が電流上限値に達すると、電源111の電圧を低下させるなどの動作を行うことで電源111が出力する電流を低下させる。
【0042】
また、制御部121は、電源111が負荷4に対して出力する電圧を所定の値(基準電圧値)に維持する機能を有する。
即ち、制御部121は、電源111が出力する電圧が基準電圧値に維持されるように、電圧センサ141によって測定された電圧をフィードバックする。
【0043】
制御部121は、電圧センサ141を用いて電源111が負荷4に対して出力する電圧を測定する。電圧を測定すると、制御部121は、測定された電圧と基準電圧値とを比較する。
【0044】
測定された電圧が基準電圧値よりも高い場合、制御部121は、電源111が出力する電圧を低下させる。
【0045】
また、測定された電圧が基準電圧値よりも低い場合、制御部121は、電源111が出力する電圧を増加させる。たとえば、他の電源ユニット10のいくつかが故障して停止した場合、負荷4に供給される電流は、低下する。その結果、負荷4に印加される電圧が低下し、電圧センサ141が測定する電圧が基準電圧値よりも低下する。この場合、制御部121は、電源111が出力する電圧を増加させることで、負荷4に供給される電流を維持する。
【0046】
制御部121は、所定の間隔で、電圧センサ141を用いて電圧を測定する。電圧を測定すると、制御部121は、上記の通り、電圧センサ141によって測定された電圧をフィードバックする。
【0047】
なお、制御部121は、上記の通り、電源111が出力する電流が電流上限値を超えないように電源111が出力する電圧を制御する。
たとえば、制御部121は、電流センサ161を用いて、電源111が出力する電圧を測定する。制御部121は、電源111が出力する電圧が基準電圧値より小さい場合であっても、測定された電流が電流上限値に達していると電源111が出力する電圧を増加させない。
【0048】
次に、電源システム1の動作例について説明する。
図2は、電源システム1の動作例について説明するためのシーケンス図である。
【0049】
まず、デューティ供給装置3は、負荷デューティ情報をコントローラ2に送信する(S11)。
コントローラ2は、負荷デューティ情報をデューティ供給装置3から取得する。負荷デューティ情報を取得すると、コントローラ2は、負荷デューティ情報に基づいて、電源ユニット10の電流上限値を算出する(S12)
電源ユニット10の電流上限値を算出すると、コントローラ2は、電流上限値を示す電源ユニットデューティ情報を電源ユニット101に送信する(S13)。ここでは、コントローラ2が電源ユニットデューティ情報を電源ユニット102、103、…、10n-1に送信するステップについては、説明を省略する。コントローラ2は、電源ユニットデューティ情報を電源ユニット10nに送信する(S14)。
【0050】
電源ユニット101の制御部121は、電源ユニットデューティ情報をコントローラ2から取得する。電源ユニットデューティ情報を取得すると、制御部121は、電圧センサ141を用いて、電源111が負荷4に対して出力する電圧を測定する(S15)。
【0051】
電圧を測定すると、制御部121は、測定された電圧をフィードバックして、電源111が負荷4に対して出力する電圧を基準電圧値に維持する(S16)。
制御部121は、所定の間隔で、S15及びS16を繰り返す。
【0052】
また、電源ユニット102、103、…10n-1は、S15及びS16と同様に動作するため説明を省略する。
【0053】
電源ユニット10nの制御部12nは、電源ユニットデューティ情報をコントローラ2から取得する。電源ユニットデューティ情報を取得すると、制御部12nは、電圧センサ14nを用いて、電源11nが負荷4に対して出力する電圧を測定する(S17)。
【0054】
電圧を測定すると、制御部12nは、測定された電圧をフィードバックして、電源11nが負荷4に対して出力する電圧を基準電圧値に維持する(S18)。
制御部12nは、所定の間隔で、S17及びS18を繰り返す。
【0055】
なお、電源システム1は、負荷電流値が更新されると(即ち、負荷デューティ情報が更新されると)、S11に戻るものであってもよい。
【0056】
また、デューティ供給装置3は、負荷4から負荷デューティ情報を取得するものであってもよい。
また、コントローラ2は、電源ユニット10の故障を検知するものであってもよい。この場合、コントローラ2は、稼働可能な電源ユニット10の個数に基づいて電源ユニット10の電流上限値を算出するものであってもよい。
【0057】
以上のように構成された電源システムは、負荷に供給する負荷電流値に基づいて各電源ユニットに電流上限値を設定する。また、電源システムは、各電源ユニットに基準電圧値の電圧を負荷に対して出力させる。その結果、電源システムは、電源ユニット間で協働しなくとも、複数の電源ユニットから所望の電流を負荷に供給することができる。よって、電源システムは、複数の電源ユニットを効果的に制御することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る電源システムは、各電源ユニット10の温度特性に基づいて電源ユニット10ごとに電流上限値を設定する点で第1の実施形態に係るそれと異なる。従って、その他の点については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
電源システム1の構成例は、第1の実施形態のそれと同様であるため説明を省略する。
次に、電源ユニット10の配置例について説明する。
図3は、電源ユニット10(101-10n)の配置例について説明するための図である。図3は、電源ユニット10が配置されている空間5を上方から視た図である。図3が示すように、電源ユニット10は、空間5において、複数の行を形成して配置されている。
【0059】
たとえば、電源ユニット101-106は、1つの行を形成する。また、電源ユニット107-1012は、電源ユニット101-106の下方に1つの行を形成する。また、電源ユニット1013-1018は、電源ユニット107乃至1012の下方に1つの行を形成する。
【0060】
次に、コントローラ2が実現する機能について説明する。コントローラ2が実現する機能は、内部メモリなどに格納されるプログラムを実行することで実現される。コントローラ2は、第1の実施形態に係るコントローラ2が実現する機能に加えて以下の機能を実現する。
【0061】
コントローラ2は、各電源ユニット10の熱評価値にさらに基づいて電源ユニットデューティ情報を各電源ユニット10に送信する機能を有する。
【0062】
熱評価値は、電源ユニット10の温度上昇に関連する評価値である。ここでは、熱評価値は、高いほど、温度上昇しやすいことを示す。
【0063】
たとえば、熱評価値は、空間5における熱解析によって算出される。たとえば、熱評価値は、空間5におけるファンの位置、強度、並びに個数、排気口の位置、大きさ並びに個数、空気の対流を妨げる障害物の位置、大きさ並びに個数などに基づく熱解析などによって算出される。
【0064】
図3の例では、電源ユニット10の色は、濃いほど高い熱評価値を示す。たとえば、電源ユニット101、102などの温度は、上昇しにくい。また、電源ユニット1017などの温度は、上昇しやすい。
【0065】
コントローラ2は、各電源ユニット10の熱評価値を予め格納する。
コントローラ2は、各電源ユニット10の熱評価値と負荷デューティ情報とに基づいて各電源ユニット10の電流上限値を算出する。ここでは、コントローラ2は、電源ユニット10ごとに異なる電流上限値を算出する。
【0066】
たとえば、コントローラ2は、電源ユニット10の熱評価値が高いほど当該電源ユニット10の電流上限値として低い電流上限値を算出する。また、コントローラ2は、電源ユニット10の熱評価値が低いほど当該電源ユニット10の電流上限値として高い電流上限値を算出する。
【0067】
たとえば、コントローラ2は、各電源ユニット10の熱評価値と負荷電流値とを所定の関数に代入して、各電源ユニットの電流上限値を算出する。
【0068】
各電源ユニット10の電流上限値を算出すると、コントローラ2は、電流上限値を示す各電源ユニットデューティ情報を各電源ユニット10に送信する。
【0069】
なお、コントローラ2が格納する熱評価値は、適宜更新されるものであってもよい。
【0070】
電源システム1の動作例は、第1の実施形態に係るそれと同様であるため説明を省略する。
【0071】
以上のように構成された電源システムは、温度が上昇しやすい電源ユニットに対しては低い電流上限値を設定する。その結果、電源システムは、温度が上昇しやすい電源ユニットに生じる負荷を低減することができる。よって、電源システムは、複数の電源ユニットの温度上昇を均一化することができる。したがって、電源システムは、電力効率を改善することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態に係る電源システムは、電源ユニット10の温度に基づいて電源ユニットの電流上限値を算出する点で第1の実施形態に係るそれと異なる。従って、その他の点については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0072】
図4は、実施形態に係る電源システム1’の構成例を示す。図4が示すように、電源システム1は、コントローラ2、デューティ供給装置3、負荷4、及び、電源ユニット10’(101’-10n’)などを備える。
【0073】
コントローラ2は、デューティ供給装置3及び電源ユニット10’と接続する。また、電源ユニット10’は、負荷4に接続する。
【0074】
電源ユニット101’-10n’は、同様の構成であるため、ここでは、電源ユニット101’を例に説明する。
【0075】
電源ユニット101’は、電源111、ダイオード131、電圧センサ141、温度センサ151及び電流センサ161などを備える。電源111は、制御部121などを備える。
【0076】
温度センサ151は、電源ユニット101’(電源ユニット101’の所定の部位)の温度を測定する。たとえば、温度センサ151は、電源111の温度を測定する。
【0077】
温度センサ151は、コントローラ2に接続する。温度センサ151は、測定された温度を示す信号をコントローラ2に送信する。
たとえば、温度センサ151は、サーマルダイオードなどから構成される。
【0078】
同様に、電源ユニット10n’は、電源11n、ダイオード13n、電圧センサ14n、温度センサ15n及び電流センサ16nなどを備える。電源11nは、制御部12nなどを備える。温度センサ15nは、温度センサ151と同様である。
【0079】
次に、コントローラ2が実現する機能について説明する。コントローラ2が実現する機能は、内部メモリなどに格納されるプログラムを実行することで実現される。コントローラ2は、第1の実施形態に係るコントローラ2が実現する機能に加えて以下の機能を実現する。
【0080】
まず、コントローラ2は、各電源ユニット10の温度を取得する機能を有する。
【0081】
たとえば、コントローラ2は、所定のタイミングで温度を示す信号を供給するリクエストを温度センサ151-15nに送信する。コントローラ2は、当該リクエストに対するレスポンスとして当該信号を温度センサ151-15nから取得する。
【0082】
また、コントローラ2は、温度センサ151-15nからプッシュ通知で当該信号を取得するものであってもよい。たとえば、温度センサ151-15nは、所定のタイミング又は温度が変化したタイミングで当該信号をコントローラ2に送信する。
【0083】
また、コントローラ2は、各電源ユニット10の温度にさらに基づいて電源ユニットデューティ情報を各電源ユニット10に送信する機能を有する。
【0084】
各電源ユニット10の温度を示す信号を取得すると、コントローラ2は、各電源ユニット10の温度と負荷デューティ情報とに基づいて各電源ユニット10の電流上限値を算出する。ここでは、コントローラ2は、電源ユニット10ごとに異なる電流上限値を算出する。
【0085】
たとえば、コントローラ2は、電源ユニット10の温度が高いほど低い当該電源ユニット10の電流上限値として電流上限値を算出する。また、コントローラ2は、電源ユニット10の温度が低いほど当該電源ユニット10の電流上限値として高い電流上限値を算出する。
【0086】
たとえば、コントローラ2は、各電源ユニット10の温度と負荷電流値とを所定の関数に代入して、各電源ユニットの電流上限値を算出する。
【0087】
各電源ユニット10の電流上限値を算出すると、コントローラ2は、電流上限値を示す各電源ユニットデューティ情報を各電源ユニット10に送信する。
【0088】
次に、電源システム1’の動作例について説明する。
図5は、電源システム1’の動作例について説明するためのシーケンス図である。
【0089】
まず、デューティ供給装置3は、負荷デューティ情報をコントローラ2に送信する(S21)。
コントローラ2は、負荷デューティ情報をデューティ供給装置3から取得する。
【0090】
ここで、電源ユニット101の温度センサ151は、電源ユニット101の温度を示す信号をコントローラ2に送信する(S22)。温度センサ152、153、…、15n-1が温度を示す信号をコントローラ2に送信するステップについては、説明を省略する。
【0091】
また、温度センサ15nは、電源ユニット10nの温度を示す信号をコントローラ2に送信する(S23)。
【0092】
コントローラ2は、温度センサ151-15nから温度を示す信号を取得する。温度を示す信号を取得すると、コントローラ2は、各電源ユニット10の温度と負荷デューティ情報とに基づいて、各電源ユニット10の電流上限値を算出する(S24)
各電源ユニット10の電流上限値を算出すると、コントローラ2は、電源ユニット101の電流上限値を示す電源ユニットデューティ情報を電源ユニット101に送信する(S25)。ここでは、コントローラ2が電源ユニットデューティ情報を電源ユニット102、103、…、10n-1に送信するステップについては、説明を省略する。コントローラ2は、電源ユニット10nの電流上限値を示す電源ユニットデューティ情報を電源ユニット10nに送信する(S26)。
【0093】
電源ユニット101の制御部121は、電源ユニットデューティ情報をコントローラ2から取得する。電源ユニットデューティ情報を取得すると、制御部121は、電圧センサ141を用いて、電源111が負荷4に対して出力する電圧を測定する(S27)。
【0094】
電圧を測定すると、制御部121は、測定された電圧をフィードバックして、電源111が負荷4に対して出力する電圧を基準電圧値に維持する(S28)。
制御部121は、所定の間隔で、S27及びS28を繰り返す。
【0095】
また、電源ユニット102、103、…10n-1は、S27及びS28と同様に動作するため説明を省略する。
【0096】
電源ユニット10nの制御部12nは、電源ユニットデューティ情報をコントローラ2から取得する。電源ユニットデューティ情報を取得すると、制御部12nは、電圧センサ14nを用いて、電源11nが負荷4に対して出力する電圧を測定する(S29)。
【0097】
電圧を測定すると、制御部12nは、測定された電圧をフィードバックして、電源11nが負荷4に対して出力する電圧を基準電圧値に維持する(S30)。
制御部12nは、所定の間隔で、S29及びS30を繰り返す。
【0098】
なお、電源システム1は、所定の間隔でS22に戻るものであってもよい。また、電源システム1’は、電源ユニット10の少なくとも1つの温度の変化量が所定の閾値を超えた場合に、S22に戻るものであってもよい。
【0099】
また、電源システム1’は、負荷電流値が更新されると(即ち、負荷デューティ情報が更新されると)、S21に戻るものであってもよい。
【0100】
以上のように構成された電源システムは、温度が高い電源ユニットに対しては低い電流上限値を設定する。その結果、電源システムは、温度が高い電源ユニットに生じる負荷を低減することができる。よって、電源システムは、複数の電源ユニットの温度を均一化することができる。したがって、電源システムは、電力効率を改善することができる。
【0101】
本実施形態に係るプログラムは、電子機器に記憶された状態で譲渡されてよいし、電子機器に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。後者の場合は、プログラムは、ネットワークを介して譲渡されてよいし、記憶媒体に記憶された状態で譲渡されてもよい。記憶媒体は、非一時的な有形の媒体である。記憶媒体は、コンピュータ可読媒体である。記憶媒体は、CD-ROM、メモリカード等のプログラムを記憶可能かつコンピュータで読取可能な媒体であればよく、その形態は問わない。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1…電源システム、1’…電源システム、2…コントローラ、3…デューティ供給装置、4…負荷、5…空間、10…電源ユニット、10’…電源ユニット、10n…電源ユニット、11n…電源、12n…制御部、13n…ダイオード、14n…電圧センサ、15n…温度センサ、16n…電流センサ、17…電源ユニット、18…電源ユニット、19…電源ユニット、101…電源ユニット、101’…電源ユニット、111…電源、121…制御部、131…ダイオード、141…電圧センサ、151…温度センサ、161…電流センサ。
図1
図2
図3
図4
図5