(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100441
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】画像処理システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20240719BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240719BHJP
H04N 1/21 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H04N1/387 200
H04N1/00 L
H04N1/21
H04N1/387 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004439
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田所 茂
【テーマコード(参考)】
5C062
5C076
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC09
5C062AC22
5C062AC24
5C062AF13
5C076AA02
5C076AA19
5C076BA06
(57)【要約】
【課題】システム側で取得したい証憑が複数あった場合、すべての証憑を得るためにスキャンを複数回実施したうえで更に複数回のトリミング処理を必要としている。複数回のスキャンと切り出し処理を証憑入手の度に実施するのは煩雑である。
【解決手段】表裏両面の読取画像を一度に取得可能な画像読取手段41と、取得した画像から矩形形状を抽出する抽出手段と、抽出手段が抽出した結果に基づいて特定領域を認識する認識手段と、認識手段を用いて認識した領域を切り出す切り出し手段と、切り出し手段によって得られた結果に基づき、画像読取手段41によって一度に取得した画像を複数の画像データに分けて出力する画像出力手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏両面の読取画像を一度に取得可能な画像読取手段と、
取得した画像から矩形形状を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出した結果に基づいて特定領域を認識する認識手段と、
前記認識手段を用いて認識した領域を切り出す切り出し手段と、
前記切り出し手段によって得られた結果に基づき、前記画像読取手段によって一度に取得した画像を複数の画像データに分けて出力する画像出力手段と
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記画像出力手段によって出力される前記画像データに対し、後段のシステムの要求に応じて定められた規則に従ったファイル名を付加するファイル名命名手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記画像出力手段により前記画像データとして複数に分けて出力するかどうかをユーザーが切り替え可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記切り出し手段によって切り出された複数の領域を一枚の画像に合成する画像合成手段を有し、
前記前記合成手段によって得られた画像と前記画像出力手段によって出力される画像データとの両方を同じ保存先に出力することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取って得た画像データを処理する画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、画像読取部を備え、帳票や原稿の画像読取を行い、読み取った画像を用いて情報処理を行う画像処理システムが提案されている。特に近年の金融機関において、手形や小切手の画像データを証憑とした取引システムが提案されている。
【0003】
例えば、小切手と本人認証書類を合成して一つのファイルとしてやり取りすることで不正利用を防ぐ技術として特許文献1に示す技術が提案されていた。
【0004】
しかしながら、手形は、おもて面、裏面(裏書)、付箋、補箋などの各部分に対応した証憑画像データが必要となっており、人が手作業でスキャンし直したり、切り出し処理を行ったりすることで各部分に対応した画像データを取得していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、システム側で、1つの証憑に対し複数の画像が必要な場合に、必要な画像に応じてスキャンをし直し、必要な画像の数に応じた回数のスキャンを繰り返す必要があった。更に得られた複数の手形スキャン画像を人が見て判断して切り出し処理とファイル名への番号付与処理を行っていたため、煩雑であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記を鑑み、本発明の画像読取システムは、表裏両面を一度に取得可能な画像読取装置において、取得した画像から矩形形状の抽出とその大きさで特定領域を認識する認識手段と、前記認識手段を用いて認識した領域を切り出す切り出し手段と、前記切り出し手段によって得られた結果に基づき、一度に取得した画像を複数に分けて画像出力する画像出力手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1回のスキャンで複数の必要な画像を生成し、少ないスキャン回数で必要十分な画像を取得することが出来、システムの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に関わる画像読取装置の斜視図を示す。
【
図2】本発明の実施形態に関わる情報処理装置と画像読取装置の接続を示す。
【
図3】本発明の実施形態に関わる画像読取装置の断面図を示す。
【
図4】本発明の実施形態に関わる画像読取装置のブロック図を示す。
【
図5】本発明の実施形態に関わる情報処理装置のブロック図を示す。
【
図6】本発明の実施形態に関わる情報処理装置の画像切り出し処理フローチャートを示す。
【
図7】本発明の実施形態に関わる情報処理装置のおもて面矩形認識処理フローチャートを示す。
【
図8】本発明の実施形態に関わる情報処理装置の裏面矩形認識処理フローチャートを示す。
【
図9】本発明の実施形態に関わる標準的な手形の表裏出力画像を示す。
【
図10】本発明の実施形態に関わる付箋と補箋が付いている手形の表裏出力画像を示す。
【
図11】本発明の実施形態に関わる付箋と補箋が付いている手形を展開後の自動サイズ検出後の表裏スキャン画像を示す。
【
図12】本発明の実施形態に関わる付箋と補箋が付いている手形の表裏矩形認識結果画像を示す。
【
図13】本発明の実施形態に関わる付箋と補箋が付いている手形のおもて面、裏面の出力結果画像を示す。
【
図14】本発明の実施形態に関わる付箋と補箋が付いている手形の付箋、補箋の出力結果画像を示す。
【
図15】本発明の実施形態に関わる付箋と補箋が付いている手形の展開後の自動サイズ検出前の表裏スキャン画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例)
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、一般的な画像読取装置1の斜視図を示す。
図1の画像読取装置1には、原稿を載置するための原稿載置部4、そして原稿を搬送する為の搬送路14が設けられている。また、画像読取装置1は、原稿を排紙する原稿排紙部13を有している。
【0011】
図2は、画像読取装置1が情報処理装置2と通信ケーブル3を介して接続されていることを示した図である。
【0012】
図3は、画像読取装置1の構成を示す図である。画像読取装置1には、原稿を搬送路14に一枚ずつ給送する為の搬送ローラー5と分離ローラー6を有している。また、画像読取装置1には、搬送された原稿の画像を読み取る為のタイミングを算出する為に、原稿の有無を検出する為のレジストセンサー9が搬送路14内に設けられている。更に、画像読取装置1は、原稿の表面の画像を読み取る為の表用画像読取部10と原稿の裏面の画像を読み取る為の裏用画像読取部11を有している。
【0013】
ここで、
図4を参照し、本実施形態の画像読取システムの機能を示す構成要素について説明する。
図4は、本発明における画像読取装置1の機能ブロック図である。
【0014】
図4に示すように、本実施形態の画像読取装置1は、情報を伝達するシステムバス40に対し、ADF(Auto Document Feeder)スキャナ部となる画像読取部41と、この画像読取部41等を制御するCPU(Central Processing Unit)からなる制御部42と、実際のスキャン動作を指示する処理方法を格納する不揮発性記録媒体43と、読み取った画像データや各種のデータやプログラムなどを一時的に蓄積するRAM(Random Access Memory)44がそれぞれ接続されている。
【0015】
さらに、このようなシステムバス40には、画像読取部41に解像度などの各種読取条件などを情報処理装置2から受信したり、読み込まれた画像データ等を情報処理装置2に送信する機能を有する外部通信インターフェース45が接続されたりしている。本実施形態では外部通信インターフェース45はUSB(Universal Serial Bus)となっている。
【0016】
<ブロック図の説明>
ここで、
図5を参照し、本実施形態の画像処理システムの機能を示す構成要素について説明する。
図5は、本発明における情報処理装置2の機能ブロック図である。
【0017】
図5に示すように、本実施形態の情報処理装置2は、情報を伝達するシステムバス50に対し、GUI(Graphical User Interface)を表示する情報表示手段51と、GUI(Graphical User Interface)を用いた操作を受け付ける情報入力部56と情報表示手段51等を制御するCPU(Central Processing Unit)からなる制御部52と、画像読取装置1に対してスキャン動作を指示する処理方法や情報表示手段51に表示する処理方法や読取設定情報等の各種データを格納する不揮発性記録媒体53と、受け取った画像データや各種のデータやプログラムなどを一時的に蓄積するRAM(Random Access Memory) 54がそれぞれ接続されている。なお、情報処理装置2における各部の動作や画像読取装置1との間での通信に関する制御は、制御部52によって不揮発性記録媒体53に保存されたアプリケーションプログラムなどをRAM54などに展開して実行することによりなされる。
【0018】
さらに、このようなシステムバス50には、情報表示手段51によってユーザーから入力された画像読取設定などを送信したり、画像読取装置1で読み取った画像データ等を受信したりする機能を有する外部通信インターフェース55やネットワークインターフェース57が接続されている。本実施形態では外部通信インターフェース55はUSBとし、ネットワークインターフェース57はイーサーネットとする。
【0019】
情報処理装置2上で起動しているプログラムは、情報入力部56を通じて送られてくるユーザーからの指示に基づき、画像読取開始の指示をする。画像読取開始指示は画像読取装置1に対して外部通信インターフェース55、通信ケーブル3を通じて読取開始指示を送出する。画像読取装置1は外部通信インターフェース45を通じて受け取った読取開始の指示を受けて、原稿の搬送を開始する。
【0020】
画像読取装置1は、情報処理装置2上で起動しているプログラムから画像読取の指示を受けると、原稿載置部4に載置された原稿を分離ローラー6で一枚ずつ分離しながら搬送ローラー5により搬送路14の下流へ給送を行う。
【0021】
画像読取装置1は、レジストセンサー9によって原稿の先端が通過したのを検出すると、レジストセンサー9と表用画像読取部10との距離をL_1、原稿90の搬送速度をvとしたとき、L_1/v時間経過後に原稿90が表用画像読取部10に到達するので、不図示のタイマーを用いて時間の測定を行い、原稿90の先端がレジストセンサー9上を通過した時間からL_1/v経過後に表画像の読み取りを行う。
【0022】
なお、レジストセンサー9の位置に並設して不図示の超音波重送検知センサー(超音波発生器と受信器の組み合わせ)があるものとし、超音波重送検知センサーを用いて紙が1枚か2枚以上かを判別する。判別結果は重送検知結果として記録される。超音波重送検知とは、超音波発生器からある位相、強度の超音波を発生させ、紙を挟んだ対向面に受信器を配置し、受信器が位相のずれ、強度の減少を検出して紙が一枚かそれ以上かを判別する技術のことである。
【0023】
また、画像読取装置1は、レジストセンサー9と裏用画像読取部11との距離をL_2、原稿90の搬送速度をvとすると、L_2/v時間経過後に原稿90が裏用画像読取部11に到達するので、不図示のタイマーを用いて時間の測定を行い、原稿90の先端がレジストセンサー9上を通過した時間からL_2/v経過後に裏画像の読み取りを行う。
【0024】
なお、表用画像読取部10と裏用画像読取部11との搬送方向に対する上下流の位置については、
図3のように裏用画像読取部11を上流側にしても良く、どちらが上流側でも構わない。原稿の後端がレジストセンサー9を通過したことを検出すると、L_2/v経過後に画像一枚分の読取が終了したと判断し、読取を終了する。
【0025】
表用画像読取部10と裏用画像読取部11は
図4における画像読取部41に相当するため、随時画像データはシステムバス40を通じてRAM44に蓄積されている。そして、情報処理装置2上で動作しているプログラムは、画像読取装置1が1枚分の読み取りが完了しているかを監視している。情報処理装置2上で動作しているプログラムは、1枚分の画像読取が完了していることを検知したら、画像転送の開始を画像読取装置1に指示する。画像読取装置1には、多少斜めに搬送された原稿も一定量のマージンを付けてスキャンすることで取得画像の欠損を防ぐ機能があるものとする。そのため、本実施例における画像読取装置1が取得する1枚分の画像というのは原稿の先端と後端からある一定のマージンを付けた画像になるものとする。このように、画像読取部41においては、一度の原稿搬送により原稿の表裏両面の画像を一度に取得可能となっている。
【0026】
<約束手形特有の状況について>
ここで、本実施例における搬送原稿の一例である約束手形について説明する。約束手形は、特段多くの取引先を経由せず、支払いも日程通りに払い出されると、
図9に示す通り、付箋、補箋が付けられない。約束手形のおもて面1101、約束手形の裏面1102の画像のように振り出し側が発行した時と同じ矩形サイズで受け取れれば、払い出し銀行も振り出し銀行も問題無く電子交換所で処理することが出来る。しかし、多くの取引先に引き回された約束手形には
図10(b)の裏面画像2002にある通り経由された取引先を記載した補箋が裏面に対してはみ出すように取り付けられる。また、振り出し元が不渡りを出してしまった場合、約束手形には
図10(a)のおもて面画像2001にあるように付箋が取り付けられてしまうことがある。このように約束手形には取引状況、支払い状況に応じて新しく付箋、補箋といった紙が追加される。そして、交換所で正しく取り扱うためには最終状態を正しく記録する必要がある。手形の電子交換所では約束手形のおもて面画像、裏面画像以外に補箋、付箋画像、入金証明画像などを独立して保存して送信する必要があった。なお、以下の説明において、付箋、補箋と称した場合には、この約束手形に付与される付箋、補箋を示すものとする。
【0027】
本実施例でこれ以降説明の対象としている原稿は
図10に示したおもて面画像2001、裏面画像2002のような付箋、補箋付きの約束手形とするが、それは一例であり、付箋や補箋あるいはそれに類するものが貼り付けられた原稿であれば本発明を適用可能である。
【0028】
付箋は、
図10(a)に示すよう手形の上部にステープラー等で結合されていることが多いので、結合部分で付箋を上に折り返した形状で搬送すると約束手形のおもて面画像がすべて画像として取得できる。補箋は糊付けされているので、スキャンする際は分解も折り返しも行わない。付箋を手形の上部に折り返した形状とは、
図11(a)に示したおもて面画像1201と裏面画像1202のような状態であり、この状態のまま、画像読取装置1で搬送されるものとする。よって、本実施例における画像読取装置1が取得する1枚分の画像というのは
図15(a)のおもて面画像2101と裏面画像2102のように原稿の先端と後端からある一定のマージンを付けた画像になっている。なお、上に折り返した場合に、折り返した部分が若干傾くことがあるが、その場合でも後述する矩形領域認識処理をそのまま適用可能であるし、傾きを補正してから適用してもよい。
【0029】
おもて面画像、裏画像の読取を終えた画像読取装置1は、RAM44に蓄積された画像をシステムバス40と外部通信インターフェース45と通信ケーブル3を介して画像データと画像処理情報を情報処理装置2へ転送するとともに、原稿90を原稿排紙部13へ排紙する。
【0030】
画像読取装置1は得られた画像を通信ケーブル3を介して情報処理装置2に送出し、情報処理装置2内で動作しているプログラムが画像データを受信する。
【0031】
情報処理装置2内で動作しているプログラムの動作について説明する。情報処理装置2内で動作しているプログラムは画像読取装置1から通信ケーブル3を介して画像データと画像処理情報が情報処理装置2へ転送されてきたところから処理が始まる。
【0032】
情報処理装置2上で動作するプログラムが画像読取装置1から外部通信インターフェース55の一例であるUSBを介して送られてきた画像データを受信する。
【0033】
画像読取装置1で実施可能な画像処理は、画像読取装置1内で実施している。画像読取装置1内で実施していない画像処理はすべて情報処理装置2内で動作しているプログラムで行うものとなる。情報処理装置2内で動作しているプログラムは行うべき画像処理がすべて終わったら、最終出力画像を後段の処理システムへネットワークインターフェース57のイーサーネットを通じて送信する。
【0034】
ここで、情報処理装置2内で動作しているプログラムの処理の一部である画像切り出し処理について
図6のフローチャートに基づいて説明する。画像切り出し処理は画像読取装置1から通信ケーブル3を通じて表裏の画像データがそれぞれ1面分送られたときに開始する。本実施形態においては、
図15にあるように付箋、補箋だけでなく、付箋に隠れてしまっているおもて面の約束手形画像が見えるように上述したように展開した状態で原稿を搬送するものとする。
【0035】
S801では、前述の通り、
図15のようなおもて面画像2101と裏面画像2102を画像読取装置1から受け取る。
【0036】
S802では、
図15の画像から原稿の外形辺と外形頂点を検出し、その外形辺と外形頂点をすべて含む最大長方形(矩形)サイズに切り出して角度を補正して画像データとしてRAM54へ出力する。本実施形態においては、原稿と背景板の隙間に出来る影を検出して外形辺と外形頂点を検出するものとする。また、画像データの出力結果は
図11で示したおもて面画像1201、裏面画像1202となるものとする。
【0037】
S803では、S802で出力された画像データのうちおもて面画像1201を用いて、
図7のフローチャートで後述するおもて面矩形認識処理を実施する。
【0038】
S804では、S802で出力された画像データのうち裏面画像1202を用いて、
図8のフローチャートで後述する裏面矩形認識処理を実施する。
【0039】
S805では、S803のおもて面矩形認識処理の結果、おもて面画像として登録された画像データを、出力するファイル形式で保存する。本実施形態においては
図13(a)に示した補箋の裏面を除いた約束手形のおもて面画像1401となる。
【0040】
S806では、S804の裏面矩形認識処理の結果、裏面画像として登録された画像データを、出力するファイル形式で保存する。本実施形態においては
図13(b)に示した補箋を除いた約束手形の裏面画像1402となる。
【0041】
S807では、S803のおもて面矩形認識処理の結果、付箋ありというフラグがONになっているかどうかを判定する。
【0042】
付箋ありというフラグがONの場合は、S808へ進む。
【0043】
付箋ありというフラグがOFFの場合は、S809へ進む。
【0044】
S808では、S804の裏面矩形認識処理の結果、付箋画像として登録された画像データを、出力するファイル形式で保存する。本実施形態においては
図14(a)に示した付箋のおもて面画像1501となる。
【0045】
S809では、S804の裏面矩形認識処理の結果、補箋ありというフラグがONになっているかどうかを判定する。
【0046】
補箋ありというフラグがONの場合は、S810へ進む。
【0047】
補箋ありというフラグがOFFの場合は、そのまま本画像切り出し処理を終了する
【0048】
S810では、S804の裏面矩形認識処理の結果、補箋画像として登録された画像データを出力するファイル形式で保存し、画像切り出し処理を終了する。本実施形態においては
図14(b)に示した補箋付き約束手形の裏面画像1502となる。
【0049】
このように、S805、S806、S808、S810において画像が保存されており、すなわち、制御部42あるいは制御部52が、一度の画像読取によって取得した画像から、一部の画像を切り出して複数の画像データを出力する画像出力手段として機能している。
【0050】
続いて、
図7のフローチャートを用いてS803のおもて面矩形認識処理について説明を行う。
【0051】
S901では、
図11(a)で示したおもて面画像1201を用いて外形検出処理を行う。本実施形態における検出方法は、S802の処理で外形辺と外形頂点の検出に用いた影の検出処理を用いて行う。検出結果は
図12(a)に示す矩形領域1(1301)と矩形領域2(1302)を合わせた画像をおもて面外形画像とする。
【0052】
S902では、
図12(a)に示すおもて面画像1201のうちのおもて面外形画像の部分に矩形形状をなす矩形領域がいくつ含まれているかカウントする処理を行う。本実施形態において、矩形領域1(1301)と矩形領域2(1302)の2つの領域の組み合わせとして認識したものとなる。そのため、カウントは2である。
【0053】
S903では、矩形領域の数を数えたカウントが2より大きいかどうかを判定する。カウントが2より大きい場合はS904へ進み、カウントが2以下の場合はS905へ進む。
【0054】
S904では、矩形領域の数が3以上だった場合、もっとも大きい矩形領域を2つ選択し、それ以外の領域はノイズとして除去してカウントを2に更新し、S903へ戻る。
【0055】
S905では、矩形領域の数を数えたカウント結果が2であるかどうかを判定する。カウントが2の場合はS906へ進み、カウントが2以外の場合はS908へ進む。ただし、カウントが2であっても、小さな方の矩形領域のサイズが付箋のサイズに比べて著しく小さい場合はノイズとして削除した結果カウントが1となれば、S908へ進む。なお、日本における付箋のサイズは東京手形交換所規則施行細則によって縦90mm、横33mmと規定されているので、本実施形態ではこのサイズより著しく小さければノイズとして処理する。
【0056】
S906では、矩形領域が2つある場合、その矩形は付箋と補箋付き約束手形のおもて面(特定領域)であると判断し、小さな矩形を付箋、大きい矩形を補箋付き約束手形として、
図6のS807の判定で用いる付箋ありフラグをONにして記録し、S907へ進む。画像切り出し処理を開始した際の付箋ありフラグのデフォルトの値はOFFとする。なお、付箋のサイズは前述の通りに定義されているので小さな矩形のサイズがそれに類するサイズであるかをチェックするようにしても良い。
【0057】
S907では、
図11(a)のおもて面画像1201で示した通り、小さな矩形画像データは付箋の裏面画像となっている。現状は付箋の裏面画像は保存義務が無く不要なので削除して、S908へと進む。なお、現状では付箋画像はおもて面のみ記録すれば良いが、表裏画像を記録する場合は、ここで削除するのでは無く、付箋画像の裏面画像として上下反転して画像を登録しても良い。
【0058】
S908では、残った大きな矩形画像は補箋付き約束手形のおもて面画像であると判断されているので、補箋の裏面を除いた約束手形のおもて面画像1401を切り出すために、大きい矩形画像における左上基準で約束手形の指定サイズで画像切り出しを行い、S909へ進む。日本国内で流通する約束手形は縦93mm、横216mmという寸法が決まっているので、この大きさで切り出すものとする。
【0059】
S909では、切り出し後の約束手形の大きさに切り出された矩形画像を補箋の裏面を除いたおもて面画像1401として登録して本処理を終了する。
【0060】
続いて、
図8のフローチャートを用いてS804の裏面矩形認識処理について説明を行う。
【0061】
S1001では、
図11(b)で示した裏面画像1202を用いて外形検出処理を行う。本実施形態における検出方法は、S802の処理で外形辺と外形頂点の検出に用いた影の検出処理を用いて行う。検出結果は
図12(b)に示す矩形領域1(1303)と矩形領域2(1304)を合わせた裏面外形画像とする。
【0062】
S1002では、
図12(b)に示す裏面外形画像に矩形領域がいくつ含まれているかカウントする処理を行う。本実施形態において、矩形領域1(1303)と矩形領域2(1304)の2つの領域の組み合わせとして認識したものとなる。そのため、カウントは2である。
【0063】
S1003では、矩形領域の数を数えたカウントが2より大きいかどうかを判定する。カウントが2より大きい場合はS1004へ進み、カウントが2以下の場合はS1005へ進む。S905同様、カウント結果が2であり、小さな方の矩形領域のサイズが付箋のサイズに比べて著しく小さい場合はその小さな方の矩形領域をノイズとしてこのステップにて除去してもよい。
【0064】
S1004では、矩形領域の数が3以上だった場合、もっとも大きい矩形領域を2つ選択し、それ以外の領域はノイズとして除去してカウントを2に更新し、S1003へ戻る。
【0065】
S1005では、付箋ありフラグがONかどうかを判定する。この付箋ありフラグは、
図7のS906で説明したものであり、すなわち、おもて面矩形領域認識処理の中で立てられたものであるが、ここでS905と同様の処理を実行して付箋ありかどうかを判定してもよい。
【0066】
S1005で付箋ありフラグがONの場合は、S1006へ進み、OFFの場合は、S1008へ進む。
【0067】
S1006では、矩形領域が2つある場合、その矩形は付箋と補箋付き約束手形の裏面であると判断し、小さな矩形を付箋、大きい矩形を補箋付き約束手形の裏面画像として、小さな矩形画像領域の切り出しを行う。
【0068】
S1007では、小さな矩形の付箋画像データを付箋画像のおもて面として登録してS1008へと進む。この場合、
図12(b)に示す矩形領域2(1304)にある通り、付箋は折り返して画像が読み取られているので、上下反転して付箋のおもて面画像1501として登録する。なお、現状のルールでは、付箋画像はおもて面のみ記録すれば良いが、表裏の一枚の画像として記録する場合は、S907で付箋画像の裏面画像として登録された画像と合成(結合)して1つの付箋画像として登録しても良い。その際、矩形の長辺同士が並ぶように合成しても良い。表裏の合成について上下に並べた画像を1枚にするのか、左右に並べた画像を1枚にするのかを設定できるようにしても良い。
【0069】
S1008では、約束手形の補箋のおもて面を除いた部分である、補箋を除いた約束手形の裏面画像1402(
図13(b)参照)を抽出するために、大きな矩形画像における右上基準で約束手形の指定サイズの画像領域のコピーを行い、S1009へ進む。日本国内で流通する約束手形は縦93mm、横216mmという寸法が決まっているので、この大きさで切り出すものとする。
【0070】
S1009では、約束手形の大きさにコピーされた矩形画像を、補箋を除いた約束手形の裏面画像1402として登録して、S1010へ進む。
【0071】
S1010では、S1008の大きな矩形画像が約束手形のサイズである短辺93mm、長辺216mmよりも明らかに大きいか否かを判定する。明らかに大きいというのは長辺が216mmより10mm以上長い場合とする。すなわち、補箋が貼付されているかどうかを判定する。
【0072】
図11(b)の矩形領域1が明らかに約束手形サイズよりも大きいと判定された場合はS1011へ進み、大きくないと判定された場合は本処理を終了する。
【0073】
S1011では、約束手形の標準寸法に比べて現在残っている矩形画像が明らかに大きいということで補箋が付いていると判断しているため、
図6のS809の判定で用いる補箋ありフラグをONにして記録し、S1012へ進む。
【0074】
S1012では、矩形領域1の画像を補箋付き約束手形の裏面画像1502として登録して、本処理を終了する。
【0075】
以上説明した一連の処理を実行し、
図6のフローチャートで示した画像切り出し処理が終了した後、それぞれ保存されたおもて面には~~01.jpg、裏面には~~02.jpg、補箋には~~03.jpg、付箋には~~04.jpgとファイル名を付ける。これらファイル名命名規則は、手形電子交換所システムなどの後段のシステムの要求に対応して命名するものとする。
【0076】
そして、本実施形態では情報処理装置2のプログラムによってネットワークインターフェース57であるイーサーネットを介して、クラウド上にある手形電子交換所にアップロードする。本実施形態では情報処理装置2が直接システムにアップロードするように記載したが、銀行内のオンプレミスに設置された独自システムへのアップロードのみを行うようにしても良い。その場合は独自システムがクラウド上にある手形電子交換所へアップロードするものとする。ファイル名と画像データが紐づいて分類分けされていればシステムの処理上は問題ない。
【0077】
以上説明した通り、システム側で取得したい証憑画像を、1.付箋が貼られていない手形のおもて面画像(補箋の裏面を除いた約束手形のおもて面画像1401)、2.おもて面と同じサイズの手形の裏面画像(補箋を除いた約束手形の裏面画像1402)、3.付箋のおもて面のみに切り出された画像(付箋のおもて面画像1501)、4.補箋のおもて面が切り出された画像(補箋付き約束手形の裏面画像1502)とし、本実施形態では展開後の約束手形の表裏画像を1度取得するだけで、おもて面、裏面、付箋、補箋を一度に自動的に切り出して保存することで上記4つの証憑画像の取得が可能となり、ユーザーの利便性が向上する。
【0078】
さらに、付箋を折り返さずにおもて面の手形画像を保存する必要がある場合には、
図11の状態でスキャンした画像データのうち、
図11(a)の約束手形サイズに切り出されたおもて面画像(補箋の裏面を除いた約束手形のおもて面画像1401)に対し、
図11(b)から取得した付箋のおもて面画像1501を合成することで取得してもよい。具体的には、
図11(b)で取得した付箋のおもて面画像を、上下反転したうえで、
図11(a)の補箋の裏面を除いた約束手形のおもて面画像1401と左上が一致するように上に重ねればよい。
【0079】
また、入金証明の記載は補箋の右端(後端)に貼り付けられることがあるので、その領域を切り出すようにしても良い。
【0080】
また、付箋の整合性を検証するために割り印を結合して印鑑照合を行い、手形の真正性を検証するようにしても良い。更に付箋の有無から不渡り手形である可能性があることを付加情報としてシステムに通知するようにしても良い。
【0081】
また、補箋の有無を割り印の有無から特定するようにしても良い。
【0082】
また、補箋の位置を割り印位置から検出するようにしても良い。
【0083】
本実施形態においては、手形を例にして説明を行ったが、他にも表裏の画像情報が証憑として必要でありながら、付箋などによって遮られて取得できないケースやその際付箋自体の画像情報も重要である場合において本発明が適用できることは明白である。
【0084】
更に補箋のように追加で貼り付けられ、裏面の利用価値が無い場合も同様である。
【0085】
なお、以上説明した画像切り出し処理は、特定のモード(例えば、帳票切り出しモード)が選択された場合にのみ実行されるように構成されていることが好ましい。特定のモードの選択は、情報入力部56を介したユーザによる入力操作であってもよいし、読み取った画像が特定の条件を満たすことを画像読取装置1の制御部42あるいは情報処理装置2の制御部52によって判定し、それによって特定のモードが選択されるように構成してもよい。
【0086】
また、上記実施形態においては、画像読取装置1と情報処理装置2とで画像処理システムを構成する例について説明したが、画像読取装置1の筐体内に情報処理装置2を取り込んだ1つの装置として画像処理システムを構築してもよい。
【0087】
以上説明したように、本発明においては、読み取った画像に対し矩形形状である矩形領域の認識処理を実行し、その結果に含まれる矩形領域の数に応じ、予め設定された特定領域であると認識する。この処理は、上述した約束手形に限らず、予め設定されたモードに対応した特定領域を認識するものであればいずれの場合においても適用可能である。
【0088】
また、以上説明した一度に取得した画像から複数の切り出し方で切り出した画像を出力するか否かを、ユーザが任意に切り替え可能に構成されていることが好ましい。切り替え方法としては、特定のモード(例えば、約束手形モード)においてのみ上述した画像切り出し処理が実行されるように構成してもよい。
【0089】
なお、上述した画像切り出し処理によって出力される画像は、すべて同じフォルダに保存されてもよいし、特定の画像のみ別の場所に保存されるように設定されてもよい。また、上述したように、付箋のおもて面画像を付箋の裏面画像や約束手形のおもて面画像と合成した合成画像を出力する場合には、画像切り出し処理によって出力された他の画像と同じフォルダに、切り出し画像と合成画像の両方が保存されるように構成してもよい。この場合、後段のシステムに必要なファイルを一度の画像読取によって全て同じフォルダに保存することが可能となり、利便性を大きく向上させることができる。
【0090】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が適用可能であり、また、上述した各実施形態や態様を適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 画像読取装置
2 情報処理装置
41 画像読取部
42 制御部
52 制御部
1101 約束手形のおもて面
1102 約束手形の裏面
2001 おもて面画像
2002 裏面画像
1201 おもて面画像
1202 裏面画像
1301 矩形領域1
1302 矩形領域2
1303 矩形領域1
1304 矩形領域2
1401 補箋の裏面を除いた約束手形のおもて面画像
1402 補箋を除いた約束手形の裏面画像
1501 付箋のおもて面画像
1502 補箋付き約束手形の裏面画像
2101 おもて面画像
2102 裏面画像