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  • 特開-遠心圧縮機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100453
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20240719BHJP
   F04D 27/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F04D29/58 P
F04D27/00 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004467
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潤也
(72)【発明者】
【氏名】森 英文
【テーマコード(参考)】
3H021
3H130
【Fターム(参考)】
3H021BA13
3H021BA22
3H021CA06
3H021DA14
3H021EA05
3H021EA15
3H130AA13
3H130AB27
3H130AB47
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB69
3H130AC03
3H130BA33H
3H130BA33J
3H130BA66H
3H130BA66J
3H130BA77H
3H130BA77J
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DF03Z
3H130DG03Z
3H130DG09Z
(57)【要約】
【課題】遠心圧縮機の運転効率を向上させつつも、モータを効率良く冷却すること。
【解決手段】調整弁80は、モータ20の温度の上昇に合わせて通路開度を大きくさせる。したがって、モータ20において生じる発熱量が少なく、モータ20の冷却の必要性が無い場合であっても、第2インペラ62によって圧縮された空気の一部がモータ室18へ過剰に導入されてしまうといった問題が回避される。そして、モータ20において生じる発熱量が多く、モータ20の冷却の必要性が有る場合に、第2インペラ62によって圧縮された空気の一部によってモータ20が効率良く冷却される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックに供給される空気を圧縮するインペラと、
前記インペラを回転させるモータと、
前記モータを収容するモータ室を有するハウジングと、
前記インペラの回転によって圧縮された空気の一部をモータ室内へ導入する導入通路と、
前記モータ室内の空気が排出される排出通路と、を備え、
前記導入通路から前記モータ室内へ導入される空気によって、前記モータが冷却される遠心圧縮機であって、
前記導入通路又は前記排出通路の少なくとも一方には、通路開度を変更する調整弁が設けられており、
前記調整弁は、前記モータの温度の上昇に合わせて前記通路開度を大きくさせることを特徴とする遠心圧縮機。
【請求項2】
前記調整弁に電気的に接続され、且つ、前記モータの温度を検出する温度センサに電気的に接続される制御部を備え、
前記制御部は、前記温度センサにより検出される温度の上昇に合わせて前記調整弁の前記通路開度を大きくさせるように制御することを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記排出通路は、前記燃料電池スタックから排出される空気が流れるスタック排出通路に接続されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する遠心圧縮機は、インペラと、モータと、ハウジングと、を備えている。インペラは、燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する。モータは、インペラを回転させる。ハウジングは、モータ室を有している。モータ室は、モータを収容する。
【0003】
ところで、このような遠心圧縮機においては、遠心圧縮機の耐久性の向上を図るために、モータを冷却することが望まれている。そこで、インペラの回転によって圧縮された空気の一部をモータ室内へ導入することが考えられている。このように、インペラの回転によって圧縮された空気の一部がモータ室内へ導入されることにより、モータが空気によって冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-187444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遠心圧縮機が、例えば、低負荷状態で運転しているときでは、モータにおいて生じる発熱量が少ない。このように、モータにおいて生じる発熱量が少なく、モータの冷却の必要性が無い場合であっても、インペラによって圧縮された空気の一部がモータ室へ過剰に導入されてしまう場合がある。すると、遠心圧縮機においては、空気の無駄な圧縮が増えることになるため、遠心圧縮機の運転効率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する遠心圧縮機は、燃料電池スタックに供給される空気を圧縮するインペラと、前記インペラを回転させるモータと、前記モータを収容するモータ室を有するハウジングと、前記インペラの回転によって圧縮された空気の一部をモータ室内へ導入する導入通路と、前記モータ室内の空気が排出される排出通路と、を備え、前記導入通路から前記モータ室内へ導入される空気によって、前記モータが冷却される遠心圧縮機であって、前記導入通路又は前記排出通路の少なくとも一方には、通路開度を変更する調整弁が設けられており、前記調整弁は、前記モータの温度の上昇に合わせて前記通路開度を大きくさせる。
【0007】
これによれば、調整弁は、モータの温度の上昇に合わせて通路開度を大きくさせる。したがって、モータにおいて生じる発熱量が少なく、モータの冷却の必要性が無い場合であっても、インペラによって圧縮された空気の一部がモータ室へ過剰に導入されてしまうといった問題を回避することができる。そして、モータにおいて生じる発熱量が多く、モータの冷却の必要性が有る場合に、インペラによって圧縮された空気の一部によってモータを効率良く冷却することができる。以上により、遠心圧縮機の運転効率を向上させつつも、モータを効率良く冷却することができる。
【0008】
上記遠心圧縮機において、前記調整弁に電気的に接続され、且つ、前記モータの温度を検出する温度センサに電気的に接続される制御部を備え、前記制御部は、前記温度センサにより検出される温度の上昇に合わせて前記調整弁の前記通路開度を大きくさせるように制御するとよい。
【0009】
これによれば、モータの温度を温度センサにより直接検出し、その検出結果に基づいて、制御部が、温度センサにより検出される温度の上昇に合わせて調整弁の通路開度を大きくさせるように制御するため、モータの温度調整を適時に行うことができる。よって、モータを効率良く冷却することができる。
【0010】
上記遠心圧縮機において、前記排出通路は、前記燃料電池スタックから排出される空気が流れるスタック排出通路に接続されているとよい。
これによれば、モータ室内の空気が排出通路を介してスタック排出通路へ排出される。したがって、モータ室内の空気が排出通路から大気へ直接排出されることが無いため、モータ室内から排出通路へ排出された空気が、遠心圧縮機の周囲の部品に悪影響を及ぼしてしまうことを回避することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、遠心圧縮機の運転効率を向上させつつも、モータを効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における遠心圧縮機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、遠心圧縮機を具体化した一実施形態を図1にしたがって説明する。本実施形態の遠心圧縮機は、燃料電池車に搭載されている。遠心圧縮機は、空気を圧縮する。
<遠心圧縮機10の基本構成>
図1に示すように、遠心圧縮機10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、金属材料製である。ハウジング11は、例えば、アルミニウム製である。ハウジング11は、モータハウジング12、第1コンプレッサハウジング13、第2コンプレッサハウジング14、第1プレート15、第2プレート16、及び第3プレート17を有している。
【0014】
モータハウジング12は、端壁12aと、周壁12bと、を有している。端壁12aは、板状である。周壁12bは、端壁12aの外周部から筒状に延びている。第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口側の端部に連結されている。第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口を閉塞している。そして、モータハウジング12及び第1プレート15によってモータ室18が区画されている。したがって、ハウジング11は、モータ室18を有している。
【0015】
第2プレート16は、モータハウジング12の端壁12aの外面に連結されている。第2プレート16は、第2プレート16の厚み方向がモータハウジング12の端壁12aの厚み方向に一致した状態で、モータハウジング12の端壁12aに取り付けられている。
【0016】
遠心圧縮機10は、モータ20を備えている。モータ20は、モータ室18に収容されている。したがって、モータ室18は、モータ20を収容する。モータハウジング12は、モータ20を取り囲んでいる。
【0017】
遠心圧縮機10は、第1軸受保持部21を備えている。第1軸受保持部21は、第1プレート15の中央部からモータ室18内に突出している。したがって、第1プレート15は、第1軸受保持部21を有している。第1軸受保持部21は、円筒状である。
【0018】
第3プレート17は、第1プレート15におけるモータハウジング12とは反対側の端面に連結されている。第3プレート17は、第3プレート17の厚み方向が第1プレート15の厚み方向に一致した状態で、第1プレート15に取り付けられている。第3プレート17は、第1挿通孔23を有している。第1挿通孔23は、第3プレート17の中央部に形成されている。第1挿通孔23の軸線は、第1軸受保持部21の軸線と一致している。第1挿通孔23は、第1軸受保持部21の内側に連通している。
【0019】
遠心圧縮機10は、第2軸受保持部25を備えている。第2軸受保持部25は、モータハウジング12の端壁12aの中央部からモータ室18内に突出している。したがって、モータハウジング12は、第2軸受保持部25を有している。第2軸受保持部25は、円筒状である。
【0020】
第2プレート16には、第2挿通孔26が形成されている。第2挿通孔26は、第2プレート16の中央部を貫通している。第2挿通孔26は、第2軸受保持部25の内側に連通している。第2挿通孔26の軸線は、第2軸受保持部25の軸線に一致している。
【0021】
第1コンプレッサハウジング13は、空気が吸入される円孔状の第1吸入口35を有する筒状である。第1コンプレッサハウジング13は、第1吸入口35の軸線が、第1挿通孔23の軸線と一致した状態で第3プレート17における第1プレート15とは反対側の端面に連結されている。第1吸入口35は、第1コンプレッサハウジング13における第3プレート17とは反対側の端面に開口している。第1吸入口35には、図示しないエアクリーナによって清浄化された空気が流れる。
【0022】
遠心圧縮機10は、第1インペラ室36、第1吐出室37、及び第1ディフューザ流路38を備えている。第1インペラ室36、第1吐出室37、及び第1ディフューザ流路38は、第1コンプレッサハウジング13と第3プレート17との間に形成されている。第1インペラ室36は、第1吸入口35に連通している。第1吐出室37は、第1インペラ室36の周囲で第1吸入口35の軸心周りに延びている。第1ディフューザ流路38は、第1インペラ室36と第1吐出室37とを連通している。第1インペラ室36は、第1挿通孔23に連通している。
【0023】
遠心圧縮機10は、第1吐出通路39を有している。第1吐出通路39は、第1コンプレッサハウジング13に形成されている。第1吐出通路39の第1端は、第1吐出室37に連通している。第1吐出通路39の第2端は、第1コンプレッサハウジング13の外周面に開口している。
【0024】
第2コンプレッサハウジング14は、空気が吸入される円孔状の第2吸入口40を有する筒状である。第2コンプレッサハウジング14は、第2吸入口40の軸線が、第2挿通孔26の軸線と一致した状態で第2プレート16におけるモータハウジング12の端壁12aとは反対側の端面に連結されている。第2吸入口40は、第2コンプレッサハウジング14における第2プレート16とは反対側の端面に開口している。
【0025】
遠心圧縮機10は、第2インペラ室41、第2吐出室42、及び第2ディフューザ流路43を備えている。第2インペラ室41、第2吐出室42、及び第2ディフューザ流路43は、第2コンプレッサハウジング14と第2プレート16との間に形成されている。第2インペラ室41は、第2吸入口40に連通している。第2吐出室42は、第2インペラ室41の周囲で第2吸入口40の軸心周りに延びている。第2ディフューザ流路43は、第2インペラ室41と第2吐出室42とを連通している。第2インペラ室41は、第2挿通孔26に連通している。
【0026】
遠心圧縮機10は、第2吐出通路44を有している。第2吐出通路44は、第2コンプレッサハウジング14に形成されている。第2吐出通路44の第1端は、第2吐出室42に連通している。第2吐出通路44の第2端は、第2コンプレッサハウジング14の外周面に開口している。
【0027】
第2吐出通路44には、供給配管45が接続されている。供給配管45は、燃料電池スタック46に接続されている。供給配管45の第1端は、第2吐出通路44に接続されている。供給配管45の第2端は、燃料電池スタック46に接続されている。
【0028】
なお、燃料電池スタック46には、スタック排出通路46aが接続されている。スタック排出通路46aは、例えば、配管である。スタック排出通路46aには、燃料電池スタック46から排出される空気が流れる。そして、スタック排出通路46aは、燃料電池スタック46から排出される空気を大気へ排出する。
【0029】
遠心圧縮機10は、接続配管47を備えている。接続配管47の第1端は、第1吐出通路39に連通している。接続配管47の第2端は、第2吸入口40に連通している。接続配管47内には、第1吐出室37から第1吐出通路39に吐出された空気が流れる。そして、接続配管47内を通過した空気は、第2吸入口40を介して第2インペラ室41に吸入される。
【0030】
遠心圧縮機10は、回転軸50を備えている。回転軸50は、回転軸50の軸線とモータハウジング12の周壁12bの軸線とが一致した状態で、モータ室18内を横切っている。回転軸50の軸方向の一端である第1端は、モータ室18内から第1軸受保持部21の内側、第1挿通孔23を通過して第1インペラ室36内へ突出している。回転軸50の軸方向の他端である第2端は、モータ室18内から第2軸受保持部25の内側、第2挿通孔26を通過して第2インペラ室41内へ突出している。
【0031】
モータ20は、ロータ51と、ステータ52と、を備えている。ロータ51は、回転軸50に固定されている。ロータ51は、回転軸50に固定された円筒状のロータコア53と、ロータコア53に設けられた図示しない複数の永久磁石と、を有している。ロータ51は、回転軸50と一体に回転する。
【0032】
ステータ52は、モータハウジング12に固定されている。ステータ52は、ロータ51の外側に配置されている。ステータ52は、円筒状のステータコア54と、コイル55と、を有している。ステータコア54は、モータハウジング12の周壁12bの内周面に固定されている。コイル55は、ステータコア54に巻回されている。そして、図示しないバッテリからコイル55に電流が流れることによって、回転軸50がロータ51と一体に回転する。
【0033】
遠心圧縮機10は、第1動圧滑り軸受56及び第2動圧滑り軸受57を備えている。第1動圧滑り軸受56は円筒状である。第1動圧滑り軸受56は、第1軸受保持部21に保持されている。第1動圧滑り軸受56は、回転軸50を第1プレート15に対して回転可能に支持する。
【0034】
第2動圧滑り軸受57は円筒状である。第2動圧滑り軸受57は、第2軸受保持部25に保持されている。第2動圧滑り軸受57は、回転軸50をモータハウジング12の端壁12aに対して回転可能に支持する。したがって、第1動圧滑り軸受56及び第2動圧滑り軸受57は、回転軸50をハウジング11に対して回転可能に支持する。
【0035】
遠心圧縮機10は、第1インペラ61及び第2インペラ62を備えている。第1インペラ61は、回転軸50の第1端に連結されている。第1インペラ61は、第1インペラ室36に収容されている。したがって、第1インペラ室36は、第1インペラ61を収容する。第1インペラ61は、回転軸50と一体に回転することで第1インペラ室36に吸入された空気を圧縮する。
【0036】
第2インペラ62は、回転軸50の第2端に連結されている。第2インペラ62は、第2インペラ室41に収容されている。したがって、第2インペラ室41は、第2インペラ62を収容する。第2インペラ62は、回転軸50と一体に回転することで第2インペラ室41に吸入された空気を圧縮する。第2インペラ62は、第1インペラ61によって圧縮された後の空気を圧縮する。第1インペラ61及び第2インペラ62は、燃料電池スタック46に供給される空気を圧縮するインペラである。
【0037】
第1インペラ61及び第2インペラ62は、モータ20の駆動によって回転軸50と一体に回転する。したがって、モータ20は、第1インペラ61及び第2インペラ62を回転させる。
【0038】
遠心圧縮機10は、第1シール部材63を備えている。第1シール部材63は、第1挿通孔23と回転軸50との間に設けられている。第1シール部材63は、第1インペラ室36から第1挿通孔23及び第1軸受保持部21の内側を介してモータ室18内に向かう空気の洩れを抑制する。第1シール部材63は、例えば、シールリングである。
【0039】
遠心圧縮機10は、第2シール部材64を備えている。第2シール部材64は、第2挿通孔26と回転軸50との間に設けられている。第2シール部材64は、第2インペラ室41から第2挿通孔26及び第2軸受保持部25の内側を介してモータ室18内に向かう空気の洩れを抑制する。第2シール部材64は、例えば、シールリングである。
【0040】
第1吸入口35を介して第1インペラ室36に吸入された空気は、第1インペラ61の回転によって加速されながら、第1ディフューザ流路38に送り込まれて、第1ディフューザ流路38を通過することにより昇圧される。そして、第1ディフューザ流路38を通過した空気は、第1吐出室37に吐出される。第1吐出室37に吐出された空気は、第1吐出通路39に吐出される。第1吐出通路39に吐出された空気は、接続配管47及び第2吸入口40を介して第2インペラ室41に吸入される。第2インペラ室41に吸入された空気は、第2インペラ62の回転によって加速されながら、第2ディフューザ流路43に送り込まれて、第2ディフューザ流路43を通過することにより昇圧される。そして、第2ディフューザ流路43を通過した空気は、第2吐出室42に吐出される。第2吐出室42に吐出された空気は、第2吐出通路44に吐出される。第2吐出通路44に吐出された空気は、供給配管45を介して燃料電池スタック46に供給される。したがって、遠心圧縮機10は、燃料電池スタック46に対して空気を供給する。燃料電池スタック46に供給された空気に含まれる酸素は、燃料電池スタック46の発電に寄与する。燃料電池スタック46から排出される空気は、排出ガスとしてスタック排出通路46aを介して大気へ放出される。
【0041】
遠心圧縮機10は、導入通路70を備えている。導入通路70は、分岐配管71と、導入孔72と、を有している。導入孔72は、第3プレート17に形成されている。導入孔72の第1端は、第3プレート17の外周面に開口している。導入孔72の第2端は、第1挿通孔23における第1シール部材63よりもモータ室18寄りの部分に連通している。
【0042】
分岐配管71は、供給配管45の途中から分岐されている。分岐配管71の第1端は、供給配管45に接続されている。分岐配管71の第2端は、導入孔72の第1端に接続されている。分岐配管71の途中には、インタークーラ73が設けられている。インタークーラ73は、分岐配管71内を流れる空気を冷却する。
【0043】
遠心圧縮機10は、排出通路74を備えている。排出通路74は、排出孔75と、排出配管76と、を有している。排出孔75は、第2プレート16に形成されている。排出孔75の第1端は、第2挿通孔26における第2シール部材64よりもモータ室18寄りの部分に連通している。排出孔75の第2端は、第2プレート16の外周面に開口している。
【0044】
排出配管76の第1端は、排出孔75の第2端に連通している。排出配管76の第2端は、スタック排出通路46aに接続されている。したがって、排出通路74は、スタック排出通路46aに接続されている。
【0045】
供給配管45を流れる空気の一部は、分岐配管71に流れ込む。分岐配管71を流れる空気は、インタークーラ73によって冷却される。これにより、インタークーラ73を通過した空気は、第2吐出室42に吐出された空気の温度よりも低い温度となる。そして、インタークーラ73によって冷却された空気は、導入孔72、第1挿通孔23、及び第1軸受保持部21の内側を通過してモータ室18内へ導入される。したがって、導入通路70は、第2インペラ62の回転によって圧縮された空気の一部をモータ室18内へ導入する。第1動圧滑り軸受56は、第1軸受保持部21の内側を通過する空気によって冷却される。
【0046】
モータ室18内に導入された空気は、ロータ51とステータ52との間を通過して、第2軸受保持部25の内側を流れる。モータ20は、モータ室18内に導入された空気によって冷却される。第2動圧滑り軸受57は、第2軸受保持部25の内側を通過する空気によって冷却される。そして、第2軸受保持部25の内側を通過した空気は、第2挿通孔26、排出孔75、及び排出配管76を介してスタック排出通路46aへ排出されるとともにスタック排出通路46aから外部へ排出される。したがって、排出通路74には、モータ室18内の空気が排出される。そして、導入通路70からモータ室18内へ導入される空気によって、モータ20が冷却される。
【0047】
<調整弁80>
排出孔75には、調整弁80が設けられている。したがって、排出通路74には、調整弁80が設けられている。よって、調整弁80は、排出通路74に設けられている。調整弁80は、電磁弁である。調整弁80は、排出孔75の第2端に取り付けられている。したがって、調整弁80は、排出孔75における第2プレート16の外周面に開口する開口部に取り付けられている。
【0048】
調整弁80は、排出通路74の通路開度を変更する。調整弁80は、弁開度を小さくすることにより、排出通路74の通路開度を小さくする。排出通路74の通路開度が小さくなるほど、モータ室18内の圧力は高くなっていく。モータ室18内の圧力が高くなっていくほど、導入通路70からモータ室18内へ導入される空気の流量は少なくなる。一方で、調整弁80は、弁開度を大きくすることにより、排出通路74の通路開度を大きくする。排出通路74の通路開度が大きくなるほど、モータ室18内の圧力は低くなっていく。モータ室18内の圧力が低くなっていくほど、導入通路70からモータ室18内へ導入される空気の流量は多くなる。
【0049】
遠心圧縮機10は、制御部81を備えている。制御部81は、調整弁80に電気的に接続されている。制御部81は、例えば、1つ以上の専用のハードウェア回路、及び/又は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ(制御回路)によって実現することができる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、例えば、各種処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ即ちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0050】
遠心圧縮機10は、温度センサ82を備えている。温度センサ82は、モータ20の温度を検出するように構成されている。温度センサ82は、例えば、ステータ52に取り付けられるサーミスタである。温度センサ82は、制御部81に電気的に接続されている。したがって、制御部81は、調整弁80に電気的に接続され、且つ、温度センサ82に電気的に接続されている。温度センサ82は、モータ20の温度に関する情報を制御部81に送信する。
【0051】
制御部81には、温度センサ82により検出される温度に基づいて、調整弁80の弁開度を制御する弁開度制御マップが予め記憶されている。そして、制御部81は、弁開度制御マップに基づいて、調整弁80の弁開度を制御する。
【0052】
制御部81には、温度センサ82により検出される温度が予め定められた上限温度に対して低い温度であるほど、調整弁80の弁開度を小さくするプログラムが予め記憶されている。一方で、制御部81には、温度センサ82により検出される温度が上限温度に対して低い状態から上限温度に近付くほど、調整弁80の弁開度を大きくするプログラムが予め記憶されている。なお、「上限温度」とは、モータ20において生じる発熱量が多く、モータ20の冷却の必要性が高いときと考えられるモータ20の温度である。「上限温度」は、モータ20の種類によって適宜変更される。
【0053】
このように、調整弁80は、温度センサ82により検出される温度の上昇に合わせて通路開度を大きくさせる。調整弁80は、モータ20の温度が予め定められた上限温度に対して低い温度であるほど通路開度を小さくし、且つ、モータ20の温度が上限温度に対して低い状態から上限温度に近付くほど通路開度を大きくする。また、調整弁80は、温度センサ82により検出される温度が上限温度を越えていた場合は、通路開度を最大とする。制御部81は、温度センサ82により検出される温度の上昇に合わせて調整弁80の通路開度を大きくさせるように制御する。
【0054】
[実施形態の作用]
次に、実施形態の作用について説明する。
遠心圧縮機10が、例えば、低負荷状態で運転しているときでは、モータ20において生じる発熱量が少ない。一方で、遠心圧縮機10が、例えば、高負荷状態で運転しているときでは、モータ20において生じる発熱量が多い。
【0055】
調整弁80は、モータ20の温度の上昇に合わせて通路開度を大きくさせる。その結果、モータ20の温度が予め定められた上限温度に対して低い温度であるほど、導入通路70からモータ室18内へ導入される空気の流量が少なくなる。したがって、モータ20において生じる発熱量が少なく、モータ20の冷却の必要性が無い場合であっても、第2インペラ62によって圧縮された空気の一部がモータ室18へ過剰に導入されてしまうといった問題が回避されている。
【0056】
調整弁80は、モータ20の温度が上限温度に対して低い状態から上限温度に近付くほど弁開度を大きくする。その結果、モータ20の温度が上限温度に対して低い状態から上限温度に近付くほど、導入通路70からモータ室18内へ導入される空気の流量が多くなる。したがって、モータ20において生じる発熱量が多く、モータ20の冷却の必要性が有る場合に、第2インペラ62によって圧縮された空気の一部によってモータ20が効率良く冷却される。
【0057】
[実施形態の効果]
実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)調整弁80は、モータ20の温度の上昇に合わせて通路開度を大きくさせる。これによれば、モータ20において生じる発熱量が少なく、モータ20の冷却の必要性が無い場合であっても、第2インペラ62によって圧縮された空気の一部がモータ室18へ過剰に導入されてしまうといった問題を回避することができる。そして、モータ20において生じる発熱量が多く、モータ20の冷却の必要性が有る場合に、第2インペラ62によって圧縮された空気の一部によってモータ20を効率良く冷却することができる。以上により、遠心圧縮機10の運転効率を向上させつつも、モータ20を効率良く冷却することができる。
【0058】
(2)制御部81は、温度センサ82により検出される温度の上昇に合わせて調整弁80の通路開度を大きくさせるように制御する。これによれば、モータ20の温度を温度センサ82により直接検出し、その検出結果に基づいて、制御部81が、温度センサ82により検出される温度の上昇に合わせて調整弁80の通路開度を大きくさせるように制御するため、モータ20の温度調整を適時に行うことができる。よって、モータ20を効率良く冷却することができる。
【0059】
(3)排出通路74は、燃料電池スタック46から排出される空気が流れるスタック排出通路46aに接続されている。これによれば、モータ室18内の空気が排出通路74を介してスタック排出通路46aへ排出される。したがって、モータ室18内の空気が排出通路74から大気へ直接排出されることが無いため、モータ室18内から排出通路74へ排出された空気が、遠心圧縮機10の周囲の部品に悪影響を及ぼしてしまうことを回避することができる。
【0060】
(4)調整弁80は、排出通路74に設けられている。これによれば、調整弁80の弁開度を小さくすることにより、モータ室18内の圧力を高くすることができる。モータ室18内の圧力が高くなるほど、モータ室18内での空気の密度が高くなるため、モータ室18内へ導入される空気とモータ20との熱伝達が向上する。したがって、導入通路70からモータ室18内へ導入される空気の流量が少なくても、空気によってモータ20を効率良く冷却することができる。
【0061】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0062】
○ 実施形態において、制御部81は、モータ回転数とモータトルクとによって関係付けられるマップから調整弁80を制御してもよい。制御部81には、モータ回転数とモータトルクとによって、遠心圧縮機10の負荷状態が把握可能なマップが予め記憶されている。例えば、遠心圧縮機10が高負荷状態で運転しているときでは、モータ20において生じる発熱量が多い。一方で、例えば、遠心圧縮機10が低負荷状態で運転しているときでは、モータ20において生じる発熱量が少ない。したがって、遠心圧縮機10の負荷状態は、モータ20の温度に相関がある。よって、遠心圧縮機10の負荷状態を把握するために用いられるパラメータであるモータ回転数及びモータトルクは、モータ20の温度に相関関係があるパラメータである。要は、制御部81は、モータ20の温度に相関関係があるパラメータを用いて、調整弁80を制御してもよい。
【0063】
○ 実施形態において、調整弁80は、温度センサ82により検出される温度の上昇に合わせて通路開度を段階的に大きくさせるようにしてもよい。例えば、制御部81は、温度センサ82により検出される温度が上限温度に対して低い温度である第1所定温度以下のときには、弁開度を0%にする。また、上限温度に対して低い温度であって、且つ、第1所定温度よりも高い温度を第2所定温度とする。ここで、制御部81は、温度センサ82により検出される温度が第1所定温度から第2所定温度までの範囲内のときには、弁開度を50%にする。さらには、制御部81は、温度センサ82により検出される温度が第2所定温度よりも高い温度のときには、弁開度を100%にする。このように、制御部81は、調整弁80の弁開度を段階的に制御してもよい。
【0064】
○ 実施形態において、調整弁80が、排出配管76に設けられていてもよい。要は、調整弁80は、排出通路74に設けられていればよい。
○ 実施形態において、排出通路74に調整弁80が設けられているのではなく、導入通路70に調整弁80が設けられていてもよい。この場合、調整弁80は、例えば、導入孔72の第1端に取り付けられている。したがって、調整弁80は、導入孔72における第3プレート17の外周面に開口する開口部に取り付けられている。調整弁80は、弁開度を小さくすることにより、導入孔72の通路開度を小さくする。導入孔72の通路開度が小さくなるほど、導入通路70からモータ室18内へ導入される空気の流量は少なくなる。一方で、調整弁80は、弁開度を大きくすることにより、導入孔72の通路開度を大きくする。導入孔72の通路開度が大きくなるほど、導入通路70からモータ室18内へ導入される空気の流量が多くなる。要は、導入通路70又は排出通路74の少なくとも一方に調整弁80が設けられていればよい。
【0065】
○ 実施形態において、排出通路74が、スタック排出通路46aに接続されておらず、例えば、大気へ開放されていてもよい。
○ 実施形態において、調整弁80が、電磁弁ではなく、例えば、バイメタル等を用いた機械式の切換弁であってもよい。
【0066】
○ 実施形態において、導入通路70は、第1インペラ61によって圧縮された空気の一部をモータ室18内へ導入してもよい。第1インペラ61によって圧縮された空気の温度は、第2インペラ62によって圧縮されて第2吐出室42に吐出される空気の温度よりも低い。要は、導入通路70は、第2吐出室42に吐出された空気の温度よりも低い温度の状態でモータ室18内へ空気を導入すればよい。
【0067】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、第2インペラ62を備えていない構成であってもよい。
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、第2インペラ62に代えて、タービンホイールを備えている構成であってもよい。
【0068】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、燃料電池車に搭載されていなくてもよい。要は、遠心圧縮機10は、車両に搭載されるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0069】
10…遠心圧縮機、11…ハウジング、18…モータ室、20…モータ、46…燃料電池スタック、46a…スタック排出通路、61…インペラである第1インペラ、62…インペラである第2インペラ、70…導入通路、74…排出通路、80…調整弁、81…制御部、82…温度センサ。
図1