(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100459
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】画像形成装置、後処理推奨時期の出力方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240719BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240719BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240719BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 386
B41J29/38 206
G03G15/00 431
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004474
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】高田 伸洋
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2C061AQ06
2C061CK04
2C061CK06
2C061HJ07
2C061HK07
2C061HK10
2C061HK19
2H072AA09
2H072AA16
2H072AA22
2H072AA30
2H072AB28
2H072GA08
2H072HB01
2H072HB05
2H270KA57
2H270LA24
2H270LA28
2H270LA29
2H270LA70
2H270LC04
2H270LC07
2H270LD08
2H270LD14
2H270MH09
2H270PA40
2H270PA41
2H270QB01
2H270QB11
2H270QB21
2H270RC10
2H270RC11
2H270RC13
2H270RC14
2H270RC18
2H270ZC03
3F048AA01
3F048AB01
3F048AC01
3F048BA06
3F048BA11
3F048BB02
3F048BB05
3F048BC03
3F048CA02
3F048CA03
3F048DA06
(57)【要約】
【課題】画像形成後の用紙に後処理が実施される場合、ユーザーが後処理の推奨実施時期を知ることができる画像形成装置、後処理推奨時期の出力方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像形成条件に基づいて画像形成後の用紙に後処理が行われることを判定する判定手段31、用紙の物性値を検知する検知手段10、画像形成装置1の周辺の環境情報を取得する環境情報取得手段20、判定手段31により後処理が行われることが判定された場合、検知手段10により検知された検知結果と環境情報取得手段20により取得された環境情報とに基づいて、画像形成後の用紙に対する後処理を実施する推奨時期を特定する特定手段31と、特定手段31による特定結果を出力する出力手段51、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成条件に基づいて画像形成後の用紙に後処理が行われることを判定する判定手段と、
前記用紙の物性値を検知する検知手段と、
画像形成装置の周辺の環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記判定手段により後処理が行われることが判定された場合、前記検知手段により検知された検知結果と環境情報取得手段により取得された環境情報とに基づいて、画像形成後の用紙に対する後処理を実施する推奨時期を特定する特定手段と、
前記特定手段による特定結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記検知結果と環境情報とに基づいて、画像形成後の経過時間と用紙に生じる変形との関係を予測し、予測結果に基づいて前記推奨時期を特定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記特定手段は、検知結果と環境情報とに基づいて、画像形成後の経過時間と用紙に生じる静電気との関係を予測し、予測結果に基づいて前記推奨時期を特定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記特定手段は、画像形成装置の用紙出力部に付帯した残り用紙の感知機能の情報により、特定結果の出力の有無を判断する請求項1~3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成条件に基づいて画像形成後の用紙に後処理が行われることを判定する判定ステップと、
前記用紙の物性値を検知する検知ステップと、
画像形成装置の周辺の環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記判定ステップにより後処理が行われることが判定された場合、前記検知ステップにより検知された検知結果と環境情報取得ステップにより取得された環境情報とに基づいて、画像形成後の用紙に対する後処理を実施する推奨時期を特定する特定ステップと、
前記特定ステップによる特定結果を出力する出力ステップと、
を画像形成装置が実行することを特徴とする後処理推奨時期の出力方法。
【請求項6】
前記特定ステップでは、前記検知結果と環境情報とに基づいて、画像形成後の経過時間と用紙に生じる変形との関係を予測し、予測結果に基づいて前記推奨時期を特定する請求項5に記載の後処理推奨時期の出力方法。
【請求項7】
前記特定ステップでは、検知結果と環境情報とに基づいて、画像形成後の経過時間と用紙に生じる静電気との関係を予測し、予測結果に基づいて前記推奨時期を特定する請求項5に記載の後処理推奨時期の出力方法。
【請求項8】
前記特定ステップでは、画像形成装置の用紙出力部に付帯した残り用紙の感知機能の情報により、特定結果の出力の有無を判断する請求項5~7の何れかに記載の後処理推奨時期の出力方法。
【請求項9】
画像形成条件に基づいて画像形成後の用紙に後処理が行われることを判定する判定ステップと、
前記用紙の物性値を検知する検知ステップと、
画像形成装置の周辺の環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記判定ステップにより後処理が行われることが判定された場合、前記検知ステップにより検知された検知結果と環境情報取得ステップにより取得された環境情報とに基づいて、画像形成後の用紙に対する後処理を実施する推奨時期を特定する特定ステップと、
前記特定ステップによる特定結果を出力する出力ステップと、
を画像形成装置のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
前記特定ステップでは、前記検知結果と環境情報とに基づいて、画像形成後の経過時間と用紙に生じる変形との関係を予測し、予測結果に基づいて前記推奨時期を特定する処理を前記コンピュータに実行させる請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記特定ステップでは、検知結果と環境情報とに基づいて、画像形成後の経過時間と用紙に生じる静電気との関係を予測し、予測結果に基づいて前記推奨時期を特定する処理を前記コンピュータに実行させる請求項9に記載のプログラム。
【請求項12】
前記特定ステップでは、画像形成装置の用紙出力部に付帯した残り用紙の感知機能の情報により、特定結果の出力の有無を判断する処理を前記コンピュータに実行させる請求項9~11の何れかに記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置で画像を形成された用紙に、ステープル処理や裁断処理等の後処理を施す場合に、後処理の推奨時期を出力する画像形成装置、後処理推奨時期の出力方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に使用される用紙は湿度等の環境条件に影響を受けやすく、高湿度の環境条件では
図6(A)に示されるような波うち状の、低湿度では同図(B)に示されるようなタイトエッジと称されるおちょこ状の、いわゆる「紙くせ」の現象が起きやすい。
図6において符号100は用紙を示す。
【0003】
このような「紙くせ」が起きてしまうと、ステープル処理や裁断処理などの印刷後処理が必要な場合に、後処理が正しく行えないといった悪影響が考えられる。
【0004】
用紙にとって好ましくない環境条件下で、印刷後の用紙が長時間放置されると、その後の後処理の出来が悪くなり、最終的な生成物の品質が悪くなることが予想される。
【0005】
このため、品質が悪くなる前に後処理が実施されるのが望ましく、環境条件に応じて後処理を実施する推奨時期を知らせてくれる画像形成装置があると便利である。
【0006】
特許文献1には、手動で用紙の計測を行って後処理装置に供する際に、計測のタイミングを適切に通知することを可能にするために、用紙に画像形成を行う画像形成部と、用紙を搬送する搬送経路と、用紙を機外に排出する排出部と、操作表示部と、出力設定に基づいて出力制御を行う制御部とを備え、制御部は、手動で測定された用紙の測定情報に基づいた後処理に対応して、用紙の出力後、前記測定を行うに至るまでの経過時間に関する基準時間を設定し、少なくとも手動による用紙の測定情報に基づいた後処理を行う際に、前記基準時間に応じて計測タイミングに関する通知を行う画像形成システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、用紙の最適な計測タイミングを通知するものであり、ユーザーが後処理を実施する推奨時期を通知することはできない。
【0009】
この発明はこのような技術的背景に鑑みてなされたものであって、画像形成後の用紙に後処理が実施される場合に、ユーザーが後処理の推奨実施時期を知ることができる画像形成装置、後処理推奨時期の出力方法及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は以下の手段によって達成される。
(1)画像形成条件に基づいて画像形成後の用紙に後処理が行われることを判定する判定手段と、
前記用紙の物性値を検知する検知手段と、
画像形成装置の周辺の環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記判定手段により後処理が行われることが判定された場合、前記検知手段により検知された検知結果と環境情報取得手段により取得された環境情報とに基づいて、画像形成後の用紙に対する後処理を実施する推奨時期を特定する特定手段と、
前記特定手段による特定結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(2)前記特定手段は、前記検知結果と環境情報とに基づいて、画像形成後の経過時間と用紙に生じる変形との関係を予測し、予測結果に基づいて前記推奨時期を特定する前項1に記載の画像形成装置。
(3)前記特定手段は、検知結果と環境情報とに基づいて、画像形成後の経過時間と用紙に生じる静電気との関係を予測し、予測結果に基づいて前記推奨時期を特定する前項1に記載の画像形成装置。
(4)前記特定手段は、画像形成装置の用紙出力部に付帯した残り用紙の感知機能の情報により、特定結果の出力の有無を判断する前項1~3の何れかに記載の画像形成装置。
(5)画像形成条件に基づいて画像形成後の用紙に後処理が行われることを判定する判定ステップと、
前記用紙の物性値を検知する検知ステップと、
画像形成装置の周辺の環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記判定ステップにより後処理が行われることが判定された場合、前記検知ステップにより検知された検知結果と環境情報取得ステップにより取得された環境情報とに基づいて、画像形成後の用紙に対する後処理を実施する推奨時期を特定する特定ステップと、
前記特定ステップによる特定結果を出力する出力ステップと、
を画像形成装置が実行することを特徴とする後処理推奨時期の出力方法。
(6)前記特定ステップでは、前記検知結果と環境情報とに基づいて、画像形成後の経過時間と用紙に生じる変形との関係を予測し、予測結果に基づいて前記推奨時期を特定する前項5に記載の後処理推奨時期の出力方法。
(7)前記特定ステップでは、検知結果と環境情報とに基づいて、画像形成後の経過時間と用紙に生じる静電気との関係を予測し、予測結果に基づいて前記推奨時期を特定する前項5に記載の後処理推奨時期の出力方法。
(8)前記特定ステップでは、画像形成装置の用紙出力部に付帯した残り用紙の感知機能の情報により、特定結果の出力の有無を判断する前項5~7の何れかに記載の後処理推奨時期の出力方法。
(9)画像形成条件に基づいて画像形成後の用紙に後処理が行われることを判定する判定ステップと、
前記用紙の物性値を検知する検知ステップと、
画像形成装置の周辺の環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記判定ステップにより後処理が行われることが判定された場合、前記検知ステップにより検知された検知結果と環境情報取得ステップにより取得された環境情報とに基づいて、画像形成後の用紙に対する後処理を実施する推奨時期を特定する特定ステップと、
前記特定ステップによる特定結果を出力する出力ステップと、
を画像形成装置のコンピュータに実行させるためのプログラム。
(10)前記特定ステップでは、前記検知結果と環境情報とに基づいて、画像形成後の経過時間と用紙に生じる変形との関係を予測し、予測結果に基づいて前記推奨時期を特定する処理を前記コンピュータに実行させる前項9に記載のプログラム。
(11)前記特定ステップでは、検知結果と環境情報とに基づいて、画像形成後の経過時間と用紙に生じる静電気との関係を予測し、予測結果に基づいて前記推奨時期を特定する処理を前記コンピュータに実行させる前項9に記載のプログラム。
(12)前記特定ステップでは、画像形成装置の用紙出力部に付帯した残り用紙の感知機能の情報により、特定結果の出力の有無を判断する処理を前記コンピュータに実行させる前項9~11の何れかに記載のプログラム。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る画像形成装置及び後処理推奨時期の出力方法によれば、画像形成条件に基づいて画像形成後の用紙に後処理が行われることが判定される。また、用紙の物性値が検知され、画像形成周辺の環境情報が取得される。そして、後処理が行われることが判定された場合、検知された検知結果と取得された環境情報とに基づいて、画像形成後の用紙に対する後処理を実施する推奨時期が特定され、出力される。
【0012】
このため、ユーザーは後処理を実施する推奨時期を知ることができるから、印刷後の用紙が長時間放置されて、その後の後処理の出来が悪くなり、最終的な生成物の品質が悪くなる、といった不具合の発生を回避でき、適正な後処理を実施することができる。
【0013】
また、この発明に係るプログラムによれば、画像形成条件に基づいて画像形成後の用紙に後処理が行われることを判定する判定ステップと、用紙の物性値を検知する検知ステップと、画像形成装置の周辺の環境情報を取得する環境情報取得ステップと、判定ステップにより後処理が行われることが判定された場合、検知ステップにより検知された検知結果と環境情報取得ステップにより取得された環境情報とに基づいて、画像形成後の用紙に対する後処理を実施する推奨時期を特定する特定ステップと、特定ステップによる特定結果を出力する出力ステップと、を画像形成装置のコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略正面図である。
【
図2】
図1に示した画像形成装置によって行われる、後処理の推奨実施時期の出力処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】後処理の推奨実施時期の出力処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図6】(A)(B)は用紙に生じる紙くせの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置1の概略正面図である。この画像形成装置1は、給紙トレイ2a、2aを備えた給紙部2と、画像形成部3と、定着部4と、操作パネル5等を備えた公知の構成のものであり、給紙部2から給紙された用紙に、画像形成部3で形成したトナー像を転写し、定着部4で用紙にトナー像を定着した後、排紙部61または62に排紙する。符号7は、例えば印刷物の途中等に別のページを挿入するためのページインサーターである。
【0017】
操作パネル5は、ユーザーが画像形成装置1の操作を行ったり、画像形成装置1の状態やメッセージ等を表示するものであり、テンキー等のハードキーと表示装置51を備えている。
【0018】
また画像形成装置1は、用紙物性情報検知部10と環境情報測定部20を備えている。用紙物性検知部10は、光学センサ、超音波センサ等のセンサにより、印刷された用紙のサイズ、厚さ、坪量等の用紙の物性を検知する。環境情報測定部20は、温度、湿度等の環境情報を測定する。
【0019】
さらに、画像形成装置1は制御部30を備えている。この制御部30は、画像形成装置1の全体を統括的に制御するものであり、特にこの実施形態では、用紙物性検知部10により検知された用紙の物性、環境情報測定部20により測定された環境情報を取得して、画像形成後の用紙に実施する後処理の推奨実施時期を特定し、特定結果を出力してユーザーに通知する処理を行うが、この点については後述する。
【0020】
さらには、排紙部61又は62の近傍には、排紙部61又は62に排出された用紙の有無を検出するための排紙センサ41、42が設けられている。これらの排紙センサ41、42によって、排紙部61又は62において排出用紙が検出された場合は、ユーザーが排出用紙を取り忘れていると考えられ、後処理を実施する場合は後処理の実施時期が遅くなることが予想される。
【0021】
制御部30はCPU31とROM32とRAM33等を備えている。CPU31はROM32等に格納された動作プログラムに従って動作を実行するものであり、ROM32はCPU31の動作プログラムや画像形成装置1の設定値などを記憶するメモリであり、RAM33はCPU31が動作プログラムに従って動作する際の作業領域を提供するメモリである。
【0022】
画像形成装置1により画像形成された用紙の後処理は、この実施形態では、画像形成装置1とは別の後処理装置(図示せず)によって行われる。後処理としては、用紙束のステープル処理、用紙の裁断処理、パンチ処理、折加工処理、綴じ処理等があるが、限定はされない。
【0023】
次に、
図1に示した画像形成装置1によって行われる後処理の推奨実施時期の出力処理について、
図2のフローチャートを参照して説明する。この後処理の推奨実施時期の出力処理は、画像形成装置1の制御部30のCPU31が、ROM32等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0024】
ステップS1では、ユーザーによる操作パネル5の操作によって入力され、あるいは図示しないユーザーの端末装置から入力された印刷ジョブを受け付けたのち、ステップS2では、受け付けた印刷ジョブを実行する。
【0025】
ステップS3では、用紙物性情報検知部10に、画像が形成された用紙の厚さ、サイズ、坪量等の物性情報の検知を実行させて物性情報を取得し、ステップS4では、環境情報測定部20に、温度や湿度などの環境情報を測定させて環境情報を取得する。
【0026】
次いでステップS5で、取得した用紙の物性情報と環境情報とから、紙くせが起こるまでの時間を予測する。
【0027】
次に、ステップS6で、後処理の工程が有るかどうかをジョブ情報を基に判定する。例えば後処理としてステープルを行う場合は、ユーザーによるジョブの入力時に、後処理としてステープル処理を行うことの情報を入力させる場合が多く、この場合はジョブ情報より後処理の有無を判定できる。また、ジョブ情報ではなく、印刷設定等から判定しても良い。例えば、複数ページを1枚の用紙に印刷する集約印刷や連写の設定がなされている場合は、後処理有りと判定しても良い。どのような場合に後処理有りと判定するかは、予め管理者等が設定しておけばよい。
【0028】
後処理の工程が有ると判定された場合(ステップS6でYES)、ステップS7で、実施される後処理に対する影響の大きい紙くせが起こるまでの時間を特定し、特定結果を出力してユーザーに告知する。特定結果の出力は、操作パネル5の表示部51への表示や外部の端末装置への通知等がある。この告知により、後処理に対する影響の大きい紙くせが起こるまでの時間内に後処理を実施するようにユーザーに促すことができる。
【0029】
ステップS6で、後処理の工程が有ると判定されなかった場合(ステップS6でNO)、ステップS8で、紙くせが起こるまでの時間を特定し、操作パネル5の表示部51への表示や外部の端末装置への通知等により、紙くせが起こるまでの時間を告知して、ユーザーに早めの梱包を促す。
【0030】
画像形成装置1によって行われる後処理の推奨実施時期の出力処理の他の例について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
図3のフローチャートに示した出力処理も、制御部30のCPU31が、ROM32等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0031】
この出力処理では、排紙トレイ61又は62に残留している排出用紙の有無を排紙センサにより調べる。そして、排出用紙が残留していない場合はユーザーは速やかに後処理を行う可能性が高く、排出用紙が残留している場合はユーザーは排出用紙を取り忘れており、後処理も遅くなるものと考えられることから、後処理の推奨実施時期を出力してユーザーに通知する構成となっている。
【0032】
図3のフローチャートにおいて、ステップS1~ステップS6の処理は
図2のフローチャートで説明した処理と同じであるので、再度の説明は省略する。
【0033】
ステップS6で、後処理の工程が有ると判定された場合(ステップS6でYES)、ステップS10で、排紙センサ41、42により排紙トレイに残留している排出用紙の有無を調べる。排出用紙が存在すれば(ステップS10でYES)、ステップS7で、実施される後処理に対する影響の大きい紙くせが起こるまでの時間を特定し、特定結果を出力してユーザーに告知する。特定結果の出力は、操作パネル50の表示部51への表示や外部の端末装置への通知等がある。この告知により、後処理に対する影響の大きい紙くせが起こるまでの時間内に後処理を実施するようにユーザーに促すことができる。
【0034】
ステップS10で、排出用紙が存在しなければ(ステップS10でNO)、ステップS8に進み、紙くせが起こるまでの時間を特定し、操作パネル50の表示部51への表示や外部の端末装置への通知等により、紙くせが起こるまでの時間を告知して、ユーザーに早めの梱包を促す。ステップS6で、後処理の工程が有ると判定されなかった場合も(ステップS6でNO)、ステップS8に進む。
【0035】
次に、以下に具体例を説明する。
[具体例1]
高湿度の環境に置かれた用紙は、吸湿によって伸縮する。
図4は湿度と紙の伸長の関係を示すグラフである。横軸が湿度(%)、縦軸が紙の伸び(mm)であり、湿度が高いほど、紙の伸びが大きい。このため、湿度が高いと、特に厚みが薄い用紙ほど、波うちのような紙くせが起こりやすい。波うちが起きた用紙は後処理として例えば断裁を行う際、サイズの大きい用紙ほど、精度よく直線的に断裁を実施できなくなる恐れがある。
【0036】
また、
図5に、用紙の吸・脱湿速度のグラフを示す。20℃、80%湿度下に紙(アート紙)を放置したときの時間(横軸)と水分(%)(縦軸)が示されており、放置時間が長いほど紙に含まれる水分量が多くなる。
【0037】
そこで、オフラインの後処理で断裁が必要とされる情報を持つジョブの印刷完了後、環境情報測定部20で測定した作業環境が高湿度で、かつ用紙物性情報検知部10で検知した用紙サイズがA4以上の場合、紙くせが発生するまでの時間を湿度と用紙の厚み(薄さ)の両方の値を用いて予測し、その時間までに後処理を実行するように表示部51に表示した操作画面で告知を行うか、通信などで外部機器に通知を行う。
[具体例2]
低湿度の環境に置かれた用紙は、厚みが薄い用紙ほど、おちょこ(タイトエッジ)のような紙くせが起こりやすい。タイトエッジが起きた用紙は後処理であるパンチ加工やステープル処理を正しく行えなくなる恐れがある。
【0038】
そこで、オフラインの後処理でパンチ加工やステープル処理が必要とされる情報を持つジョブの印刷完了後、環境情報測定部20で測定した作業環境が低湿度で、かつ用紙物性情報検知部10で検知した用紙の厚み(薄さ)が厚紙未満の場合、タイトエッジが発生するまでの時間を湿度と用紙の厚み(薄さ)の両方の値を用いて予測し、その時間までに後処理を実行するように表示部51に表示した操作画面で告知を行うか、通信などで外部機器に通知を行う。
[具体例3]
ジョブ情報からオフラインの後処理が特に必要でないと想定されるジョブの印刷完了後、環境情報測定部20で測定した作業環境が高湿度で、かつ用紙物性情報検知部10で検知した用紙の厚み(薄さ)が薄紙など普通紙未満の場合、紙くせが発生するまでの時間を予測し、その時間までに用紙を梱包するなどの対応を促すよう、表示部51に表示した操作画面で告知を行うか通信などで外部機器に通知を行う。
[具体例4]
低温度、低湿度の環境では、用紙は厚みが薄いほど静電気を帯びやすくなる。静電気を帯びた用紙だと、後処理で綴じ処理を行う場合、部数ごとに分ける作業や紙端をそろえる作業が行いづらくなる。
【0039】
そこで、オフラインの後処理で綴じ処理が必要とされる情報を持つジョブの印刷完了後、環境情報測定部20で測定した作業環境が低湿度で、かつ用紙物性情報検知部10で検知した用紙の厚み(薄さ)が厚紙未満の場合、後処理を早めに実行するように操作画面で告知を行うか、通信などで外部機器に通知を行う。
【0040】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。
【0041】
例えば、用紙物性情報検知部10による用紙物性の検知を用紙が画像形成された後に行ったが、画像形成される前に検知しても良い。用紙種類、サイズ等の情報がユーザーによって入力される場合には、この入力情報に基づいて用紙物性が検知されても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成装置
2 給紙部
3 画像形成部
4 定着部
5 操作パネル
51 表示部(出力部)
61、62 排紙部
10 用紙物性情報検知部
20 環境情報取得部
30 制御部
31 CPU
32 ROM
33 RAM
41 42 排紙センサ