(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100460
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20240719BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H02G3/16
B60R16/02 610A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004475
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】横山 椋一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 昌子
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361BA02
5G361BB01
5G361BC01
(57)【要約】
【課題】ボルト保持部の着脱方向から見た投影面積を低減して、スペース効率の向上を図った電気接続箱を提供する。
【解決手段】部品保持部2は、電子部品を着脱自在に保持する。ボルト保持部4は、複数のボルト31を保持する。部品保持部2とボルト保持部4とは、電子部品の部品保持部2への着脱方向である上下方向と交差する前後方向に沿って並べて配置される。複数のボルト31は、ボルト保持部4から左右方向に突出するように保持される。ボルト保持部4は、複数のボルト31を上下方向に沿って並べて保持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を着脱自在に保持する部品保持部と、
複数のボルトと、
複数の前記ボルトを保持するボルト保持部と、を備え、
前記部品保持部と前記ボルト保持部とは、前記電子部品の前記部品保持部への着脱方向と交差する並び方向に沿って並べて配置された
電気接続箱であって、
複数の前記ボルトは、前記ボルト保持部から前記着脱方向と交差する突出方向に突出するように保持され、
前記ボルト保持部は、複数の前記ボルトを前記着脱方向に沿って並べて保持する、
電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱において、
複数の前記ボルトの前記突出方向は、前記着脱方向及び前記並び方向の双方と交差する、
電気接続箱。
【請求項3】
請求項2に記載の電気接続箱において、
前記電子部品に接続されるバスバと、
電線と、
前記電線の端末に取り付けられた端子と、を備え、
前記端子は、
前記ボルトにより前記バスバに接続されるボルト接続部と、
前記ボルト接続部に連なり、前記ボルト保持部の前記並び方向の前記部品保持部から離れた側の外面に対向して配置された連結部と、
前記連結部の前記着脱方向に連なり、前記電線に接続される電線接続部と、を有する
電気接続箱。
【請求項4】
請求項3に記載の電気接続箱において、
前記ボルト接続部は、前記並び方向の前記部品保持部側の端部に前記ボルトが挿入される切り欠きが設けられた、
電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述した電気接続箱として、特許文献1に記載されたものが提案されている。特許文献1の電気接続箱には、ヒューズなどの電子部品を収容するブロックハウジング(部品保持部)と、ボルトブロック(ボルト)と、ボルトブロックを保持するFLボルトブロック着脱部(ボルト保持部)と、が収容されている。
【0003】
従来の電気接続箱では、ブロックハウジングへのヒューズの着脱方向と、ボルトブロックのボルトの突出方向と、が同じに設けられている。このため、複数のボルトブロックを収容する場合、ボルトブロックを着脱方向と交差する方向に並べる必要がある。このため、FLボルトブロック着脱部の着脱方向から見た投影面積が大きくなり、スペース効率が悪い、という課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ボルト保持部の着脱方向から見た投影面積を低減して、スペース効率の向上を図った電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、下記を特徴としている。
電子部品を着脱自在に保持する部品保持部と、
複数のボルトと、
複数の前記ボルトを保持するボルト保持部と、を備え、
前記部品保持部と前記ボルト保持部とは、前記電子部品の前記部品保持部への着脱方向と交差する並び方向に沿って並べて配置された
電気接続箱であって、
複数の前記ボルトは、前記ボルト保持部から前記着脱方向と交差する突出方向に突出するように保持され、
前記ボルト保持部は、複数の前記ボルトを前記着脱方向に沿って並べて保持する、
電気接続箱であること。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ボルト保持部の着脱方向から見た投影面積を低減して、スペース効率の向上を図った電気接続箱を提供することができる。
【0008】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、アッパカバーを除いた状態における本発明の電気接続箱の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、ケースを除いた状態における
図1に示す電気接続箱の斜視図である。
【
図3】
図3は、ケースを除いた状態における
図1に示す電気接続箱の上面図である。
【
図4】
図4は、アッパカバー及びサイドカバーを除いた状態における
図1に示す電気接続箱の部分後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。電気接続箱1は、ヒューズやリレーなどの電子部品が搭載され、車両のエンジンルームに配置されている。
【0011】
以下、説明の便宜上、
図1~
図4に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。なお、上下方向は本発明の「着脱方向」に対応し、前後方向は本発明の「並び方向」に対応し、左右方向は本発明の「突出方向」に対応する。
【0012】
図1に示すように、電気接続箱1は、電子部品を保持する部品保持部2と、複数のボルトブロック3と、複数のボルトブロック3を保持するボルト保持部4と、これら部品保持部2及びボルト保持部4を収容するケース5と、を備えている。また、
図2に示すように、電気接続箱1は、電子部品に接続されたバスバ6と、端子7R,7Lと、端子7R,7Lが取り付けられた電線8と、を備えている。
【0013】
図1~
図3に示すように、部品保持部2は、絶縁性の合成樹脂から構成され、電子部品を収容する収容室21が複数設けられている。収容室21は、上下方向に開口が設けられた略四角筒状に設けられている。電子部品は、上側開口から収容室21内に着脱自在に保持される。即ち、上下方向が、電子部品の部品保持部2への着脱方向となる。本実施形態では、複数の収容室21は、前後方向、左右方向に並べて設けられている。
【0014】
図2に示すように、ボルトブロック3は、導電性のボルト31と、ボルト31に螺合されるナット(図示せず)と、略直方体状のブロック部32と、を有している。ブロック部32は、合成樹脂から構成され、ボルト31の頭部に取り付けられている。本実施形態では、ボルトブロック3は、2つ設けられている。
【0015】
ボルト保持部4は、ボルトブロック3のブロック部32を収容する2つの収容室41,41が設けられている。2つの収容室41,41各々は、左右方向に開口が設けられた略四角筒状に設けられている。収容室41の右側の開口からブロック部32を収容すると、ボルト31が、ボルト保持部4から右側に突出するように保持される。2つの収容室41,41は上下方向に並べて設けられ、ボルト保持部4は、複数のボルトブロック3を上下方向に沿って並べて保持する。
【0016】
ブロック部32の右側面は、収容室41の右側開口から露出している。このブロック部32の右側面に、電子部品に接続されたバスバ6が重ねられている。ボルト31は、バスバ6に設けた貫通孔または切り欠き(図示せず)を通ってバスバ6よりも右側に突出している。
【0017】
上述した部品保持部2とボルト保持部4とは前後方向に並べて配置される。本実施形態では、部品保持部2が前側に配置され、ボルト保持部4が後側に配置されている。ボルト保持部4は、部品保持部2よりも上側に突出して設けられている。部品保持部2とボルト保持部4とは樹脂により一体成形されていてもよいし、別部品に設けられていてもよい。
【0018】
図1に示すように、ケース5は、絶縁性の合成樹脂から構成されたフレーム51と、アッパカバー(図示せず)と、ロアカバー52と、サイドカバー53と、を有している。フレーム51は、前後方向に間隔を空けて対向する前壁部511及び後壁部512と、前壁部511及び後壁部512の右端同士を連結する右壁部513と、前壁部511及び後壁部512の左端同士を連結する左壁部514と、を有し、上下方向に開口が設けられた略四角筒状に設けられている。この四角筒状のフレーム51内に部品保持部2が収容されている。ボルト保持部4は、下端がフレーム51内に収容されているが、2つのボルト31がフレーム51の上端よりも上側となるように設けられている。
【0019】
アッパカバーは、フレーム51の上側の開口を塞ぐ。ロアカバー52は、フレーム51の下側の開口を塞ぐ。本実施形態では、フレーム51の後壁部512には、サイドカバー53が取り付けられている。サイドカバー53の上端は、フレーム51の上端よりも上側に突出して設けられ、ボルト保持部4及びボルト31の後側を覆う。
図4に示すように、サイドカバー53を取り外すと、ボルト31に締結された端子7R,7L、端子7R,7Lに取り付けられた電線8、ボルト保持部4及びボルト31が露出する。
【0020】
2つの端子7R,7Lは、2つのボルト31,31に各々ボルト締結される。
図2などに示すように、端子7R,7Lは各々、ボルト接続部71R,71Lと、連結部72R,72Lと、電線接続部73R,73Lと、を有し、上から見て略L字状に設けられている(
図3参照)。ボルト接続部71R,71Lは、バスバ6に重ねられ、前側の端部に切り欠き74R,74Lが設けられている。この切り欠き74R,74Lにボルト31が挿入されている。
【0021】
連結部72R,72Lは、ボルト接続部71R,71Lの後端に連なり、ボルト保持部4の後側の外面に前後方向に対向する。上側のボルト31に接続される連結部72Lが、下側のボルト31に接続される連結部72Rよりも左右方向の幅が長く設けられている。即ち、上側のボルト31に接続される連結部72Lの左端が、下側のボルト31に接続される連結部72Rの左端よりも左側に配置される。
【0022】
電線接続部73R,73Lは、連結部72R,72Lの下側に連なり、電線8に接続される。上側のボルト31に接続される電線接続部73Lは、下側のボルト31に接続される電線接続部73Rよりも左側に配置される。電線8は、一端が電線接続部73R,73Lに接続され、電線接続部73R,73Lの下側から引き出される。
【0023】
次に、上述した端子7R,7Lのボルト締結手順について説明する。まず、ボルト31の後側から端子7R,7Lを近づけて、切り欠き74R,74Lの前端からボルト31を挿入し、ボルト接続部71R,71Lをバスバ6に重ねる。切り欠き74R,74Lの後端までボルト31を挿入すると、連結部72R,72Lとボルト保持部4の後側の外面とが前後方向に対向する。次に、ナットをボルト31に螺合させると、ブロック部32とナットとの間に、端子7R,7Lとバスバ6とが挟まる。これにより、端子7R,7Lとバスバ6とを電気的に接続することができる。
【0024】
従来のように、ボルト31を上側に突出するように保持し、複数のボルト31を左右方向に並べると、上下方向から見てボルト保持部4の左右方向の長さが長くなる。これに対して、上述した実施形態によれば、複数のボルト31は、ボルト保持部4から上下方向と交差する方向(本実施形態では左右方向)に突出するように保持され、ボルト保持部4は、2つのボルト31を上下方向に沿って並べて保持する。このため、ボルト保持部4の上下方向から見た投影面積を低減して、スペース効率の向上を図ることができる。すなわち、従来に比べて本実施形態の電気接続箱1によれば、
図3の斜線で示す空きスペースができるため、空きスペースに別の部品を搭載したり、フレーム51の形状を空きスペースがなくなるような形状にしたり、スペース効率の向上を図ることができる。本実施形態は、電気接続箱1を上下方向に十分にスペースがあり、前後方向、左右方向にスペースがない空間に設置する場合に特に有用である。
【0025】
上述した実施形態によれば、2つのボルト31,31は、ボルト保持部4から右方向に突出するように保持されている。これにより、2つのボルト31,31をボルト保持部4から後方向に突出するように保持した場合に比べて、電気接続箱1を前後方向に小型化することができる。
【0026】
上述した実施形態によれば、端子7R,7Lは、ボルト接続部71R,71Lと、ボルト保持部4の後側の外面に前後方向に対向する連結部72R,72Lと、連結部72R,72Lの下方向に連なり、電線8に接続される電線接続部73R,73Lと、を有している。これにより、ボルト31が右方向に突出していたとしても、前後方向のスペースを大きくすることなく、電線8をケース5の後側から引き出すことができる。
【0027】
上述した実施形態によれば、ボルト接続部71R,71Lは前側の端部にボルト31が挿入される切り欠き74R,74Lが設けられている。これにより、ボルト31の突出方向(右方向)にスペースがなくても、端子7R,7Lをボルト31の後側から近づけて切り欠き74R,74Lにボルト31を挿入することができる。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0029】
上述した実施形態によれば、ボルト31,31は、ボルト保持部4から右方向に突出するように保持されていたが、これに限ったものではない。ボルト31,31は、ボルト保持部4から左方向に突出するように保持されていてもよい。また、ボルト31,31は、ボルト保持部4から後方向に突出するように保持されていてもよい。
【0030】
上述した実施形態によれば、端子7R,7Lは、連結部72R,72Lを設けることにより、上から見て略L字状に折り曲げて設けられていたが、これに限ったものではない。端子7R,7Lとしては、通常のLA端子のようにボルト31の貫通孔が設けられたボルト接続部と、電線接続部と、から設けられ、電線接続部を前側に向けてボルト締結するようにしてもよい。
【0031】
上述した実施形態によれば、端子7R,7Lのボルト接続部71R,71Lには、切り欠き74R,74Lが設けられていたが、これに限ったものではない。ボルト31の右側にスペースがあれば、ボルト接続部71R,71Lにはボルト31を貫通する貫通孔を設けてもよい。この場合、ボルト31の右側から端子7R,7Lを近づけて貫通孔にボルト31を通す。
【0032】
ここで、上述した本発明に係る電気接続箱の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
電子部品を着脱自在に保持する部品保持部(2)と、
複数のボルト(31)と、
複数の前記ボルト(31)を保持するボルト保持部(4)と、を備え、
前記部品保持部(2)と前記ボルト保持部(4)とは、前記電子部品の前記部品保持部(2)への着脱方向(上下方向)と交差する並び方向(前後方向)に沿って並べて配置された
電気接続箱(1)であって、
複数の前記ボルト(31)は、前記ボルト保持部(4)から前記着脱方向(上下方向)と交差する突出方向(左右方向)に突出するように保持され、
前記ボルト保持部(4)は、複数の前記ボルト(31)を前記着脱方向(上下方向)に沿って並べて保持する、
電気接続箱(1)。
【0033】
上記[1]の構成によれば、ボルト保持部(4)の着脱方向(上下方向)から見た投影面積を低減して、スペース効率の向上を図ることができる。
【0034】
[2]
[1]に記載の電気接続箱(1)において、
複数の前記ボルト(31)の前記突出方向(左右方向)は、前記着脱方向(上下方向)及び前記並び方向(前後方向)の双方と交差する、
電気接続箱(1)。
【0035】
上記[2]の構成によれば、並び方向(前後方向)に小型化することができる。
【0036】
[3]
[2]に記載の電気接続箱(1)において、
前記電子部品に接続されるバスバ(6)と、
電線(8)と、
前記電線(8)の端末に取り付けられた端子(7R,7L)と、を備え、
前記端子(7R,7L)は、
前記ボルト(31)により前記バスバ(6)に接続されるボルト接続部(71R,71L)と、
前記ボルト接続部(71R,71L)に連なり、前記ボルト保持部(4)の前記並び方向(前後方向)の前記部品保持部(2)から離れた側(後側)の外面に対向して配置された連結部(72R,72L)と、
前記連結部(72R,72L)の前記着脱方向(上下方向)に連なり、前記電線(8)に接続される電線接続部(73R,73L)と、を有する
電気接続箱(1)。
【0037】
上記[3]の構成によれば、ボルト(31)の突出方向(左右方向)が着脱方向(上下方向)及び並び方向(前後方向)の双方に交差していたとしても、並び方向(前後方向)のスペースを大きくすることなく、電線(8)をケースから引き出すことができる。
【0038】
[4]
[3]に記載の電気接続箱(1)において、
前記ボルト接続部(71R,71L)は、前記並び方向(前後方向)の前記部品保持部(2)側(前側)の端部に前記ボルト(31)が挿入される切り欠き(74R,74L)が設けられた、
電気接続箱(1)。
【0039】
上記[4]の構成によれば、ボルト(31)の突出方向(左右方向)にスペースがなくても、ボルト接続部(71R,71L)の並び方向(前後方向)の部品保持部(2)側(前側)の端部から切り欠き(74R,74L)内にボルト(31)を挿入することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 電気接続箱
2 部品保持部
4 ボルト保持部
6 バスバ
7R,7L 端子
71R,71L ボルト接続部
74R,74L 切り欠き
8 電線
31 ボルト