(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100468
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】複同調フィルタ設備及び抵抗素子の選定方法
(51)【国際特許分類】
H03H 7/01 20060101AFI20240719BHJP
H02J 3/01 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H03H7/01 B
H02J3/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004486
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】香西 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】黒田 和宏
【テーマコード(参考)】
5G066
5J024
【Fターム(参考)】
5G066EA01
5J024AA01
5J024AA10
5J024BA19
5J024CA01
5J024CA03
5J024CA10
5J024DA01
5J024DA25
5J024EA08
5J024KA03
(57)【要約】
【課題】所望の周波数範囲において抵抗素子によるダンピング効果を得る。
【解決手段】高調波抑制対象である母線51の交流電圧に含まれる高調波成分を抑制する複同調フィルタ設備100であって、母線51に接続され、リアクトル素子11及びコンデンサ素子12が直列に接続されたLC直列共振回路10と、LC直列共振回路10に直列に接続され、リアクトル素子21及びコンデンサ素子22が並列に接続されたLC並列共振回路20と、LC並列共振回路20と並列に接続される抵抗素子30とを備え、抵抗素子30のインピーダンスは、LC直列共振回路10及びLC並列共振回路20による直列共振が発生する2つの共振周波数の間の周波数において、抵抗性を示す位相範囲に含まれるように設定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高調波抑制対象である母線の交流電圧に含まれる高調波成分を抑制する複同調フィルタ設備であって、
前記母線に接続され、リアクトル素子及びコンデンサ素子が直列に接続されたLC直列共振回路と、
前記LC直列共振回路に直列に接続され、リアクトル素子及びコンデンサ素子が並列に接続されたLC並列共振回路と、
前記LC並列共振回路と並列に接続される抵抗素子とを備え、
前記抵抗素子のインピーダンスは、前記LC直列共振回路及び前記LC並列共振回路による直列共振が発生する2つの共振周波数の間の周波数において、抵抗性を示す位相範囲に含まれるように設定される、複同調フィルタ設備。
【請求項2】
前記抵抗性を示す位相範囲は、-30度以上30度以下である、請求項1記載の複同調フィルタ設備。
【請求項3】
前記抵抗素子は、前記LC並列共振回路に並列に接続され、
前記抵抗素子は、前記LC並列共振回路が並列共振した場合におけるインピーダンスよりも小さいインピーダンスに設定される、請求項1記載の複同調フィルタ設備。
【請求項4】
前記LC直列共振回路と前記LC並列共振回路との間に接続された避雷器をさらに備える、請求項1記載の複同調フィルタ設備。
【請求項5】
前記LC直列共振回路のリアクトル素子が降圧変圧器である、請求項1乃至4の何れか一項に記載の複同調フィルタ設備。
【請求項6】
前記母線に接続され、前記LC直列共振回路のリアクトル素子を構成する三巻線変圧器をさらに備え、
前記LC直列共振回路のコンデンサ素子、前記LC並列共振回路、及び、前記抵抗素子が、前記三巻線変圧器の三次側に接続されている、請求項5記載の複同調フィルタ設備。
【請求項7】
電力線に接続され、リアクトル素子及びコンデンサ素子が直列に接続されたLC直列共振回路と、前記LC直列共振回路に直列に接続され、リアクトル素子及びコンデンサ素子が並列に接続されたLC並列共振回路と、前記LC並列共振回路と並列に接続される抵抗素子とを有する複同調フィルタ設備における抵抗素子の選定方法であって、
前記LC直列共振回路及び前記LC並列共振回路による直列共振が発生する2つの共振周波数において、抵抗性を示す位相範囲に含まれるように前記抵抗素子のインピーダンスを設定する、抵抗素子の選定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複同調フィルタ設備及び抵抗素子の選定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交流電圧に含まれる高調波成分を抑制するために、コンデンサn素子とリアクトルn素子とにより構成される複同調フィルタ設備が知られている。
【0003】
高調波成分を抑制するダンピング機能を備えた複同調フィルタ設備としては、例えば非特許文献1に示すように、高調波抑制対象である母線にコンデンサC1とリアクトルL1とを直列に接続して、さらにコンデンサC2及びリアクトルL2の並列回路を直列に接続する構成である(
図8参照)。この複同調フィルタでは、コンデンサC1及びリアクトルL1の直列共振特性と、コンデンサC2及びリアクトルL2の並列共振特性による直列共振により、2つの共振点を形成することで、2つの周波数にてフィルタ効果を得ることができる。
【0004】
また、共振点よりも高次の高調波成分は、リアクトルL1に並列に接続された抵抗素子R1に流入するので、抵抗素子R1によって高調波成分が低減されるダンピング効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】IEC/TR 62001-1, “7.5.1 Single tuned damped filters” “7.5.2 Double tuned damped filters” Ed. 1.0, 2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、例えば土地取得等の事情により、高調波抑制対象である母線に直接取り付けることができない場合がある。このような場合、上記の複同調フィルタ設備では、対象母線から送電線を介した電気的に離れた母線に複同調フィルタ設備を取り付けることとなる。しかしながら、送電線のインダクタンスにより、対象母線から見ると誘導性を示すことになり、抵抗素子R1によるダンピング効果を得ることが難しくなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、高調波抑制対象である母線から電気的に離れた箇所に設置する場合においても、所望の周波数範囲において抵抗素子によるダンピング効果を得ることを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る複同調フィルタ設備は、高調波抑制対象である母線の交流電圧に含まれる高調波成分を抑制する複同調フィルタ設備であって、前記母線に接続され、リアクトル素子及びコンデンサ素子が直列に接続されたLC直列共振回路と、前記LC直列共振回路に直列に接続され、リアクトル素子及びコンデンサ素子が並列に接続されたLC並列共振回路と、前記LC並列共振回路と並列に接続される抵抗素子とを備え、前記抵抗素子のインピーダンスは、前記LC直列共振回路及び前記LC並列共振回路による直列共振が発生する2つの共振周波数の間の周波数において、抵抗性を示す位相範囲に含まれるように設定されることを特徴とする。
また、複同調フィルタ設備における抵抗素子の選定方法は、電力線に接続され、リアクトル素子及びコンデンサ素子が直列に接続されたLC直列共振回路と、前記LC直列共振回路に直列に接続され、リアクトル素子及びコンデンサ素子が並列に接続されたLC並列共振回路と、前記LC並列共振回路と並列に接続される抵抗素子とを有する複同調フィルタ設備における抵抗素子の選定方法であって、前記LC直列共振回路及び前記LC並列共振回路による直列共振が発生する2つの共振周波数において、抵抗性を示す位相範囲に含まれるように前記抵抗素子のインピーダンスを設定することを特徴とする。
【0009】
このような構成であれば、抵抗素子のインピーダンスが、LC直列共振回路及びLC並列共振回路による直列共振が発生する2つの共振周波数の間の周波数において、抵抗性を示す位相範囲に含まれるように設定されるので、抵抗素子のインピーダンスは、LC直列共振回路及びLC並列共振回路を構成するリアクトル素子及びコンデンサ素子を含めて設定されることとなる。したがって、例えば送電線といったリアクトインダクタンスが大きい素子を介して接続される場合であっても、抵抗素子のインピーダンスを設定することにより、電気的に離れた前記母線にて所望の周波数において抵抗素子によるダンピング効果を得ることができる。また、LC直列共振回路のリアクトル素子には抵抗素子が並列に接続されないので、抵抗素子を一つにすることができる。
【0010】
具体的な抵抗性を示す位相範囲は、-30度以上30度以下であることが好ましい。
【0011】
このような位相範囲であれば、複同調フィルタ設備の接続点において他の設備との共振が拡大しないので、複同調フィルタ設備が抵抗性を示すこととなり、抵抗素子のダンピング効果を得ることができる。
【0012】
前記抵抗素子は、前記LC並列共振回路に並列に接続され、前記抵抗素子は、前記LC並列共振回路の並列共振時のインピーダンスよりも小さいインピーダンスに設定されることが挙げられる。
【0013】
このような構成であれば、抵抗素子は、LC並列共振回路の並列共振時のインピーダンスよりも小さいインピーダンスに設定されるので、LC並列共振回路の並列共振周波数の近傍の高調波成分は、LC並列共振回路に並列に接続された抵抗素子に流入する。したがって、LC並列共振回路の並列共振周波数の近傍の高調波成分に対して、抵抗素子によるダンピング効果を得ることができる。
【0014】
LC並列共振回路を過渡的な過電圧から保護するためには、前記LC直列共振回路と前記LC並列共振回路との間に接続された避雷器をさらに備えることが望ましい。
【0015】
前記複同調フィルタ設備において、前記LC直列共振回路のリアクトル素子が降圧変圧器であるものが挙げられる。
【0016】
このような構成であれば、降圧変圧器の漏れインピーダンス(%X)がLC直列共振回路のリアクタンスとなり、変圧器の2次側にLC直列共振回路のコンデンサ素子及びLC並列共振回路及び抵抗素子を接続することによって、降圧変圧器の一次側の回路にフィルタを設置した場合と電気的に等価なインピーダンス特性を持つフィルタを容易に構成することができる。
【0017】
前記電力線に接続され、前記LC直列共振回路のリアクトル素子を構成する三巻線変圧器をさらに備え、前記LC直列共振回路のコンデンサ素子、前記LC並列共振回路、及び、前記抵抗素子が、前記三巻線変圧器の三次側に接続されているものが挙げられる。
【0018】
このような構成であれば、三巻線変圧器の二次側を別の負荷用母線として用いることができる。また、降圧変圧器を中性点機器設置用の変圧器として兼用することができる。
【発明の効果】
【0019】
このように構成した本発明によれば、高調波抑制対象である母線から電気的に離れた箇所に設置する場合においても、所望の周波数範囲において抵抗素子によるダンピング効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態における複同調フィルタ設備を示す模式図である。
【
図2】同実施形態における複同調フィルタ設備のインピーダンス特性を示すグラフである。
【
図3】実験例における(a)周波数とインピーダンスとの関係を示すグラフ、(b)周波数と位相との関係を示すグラフである。
【
図4】他の実施形態における複同調フィルタ設備を示す模式図である。
【
図5】他の実施形態における複同調フィルタ設備を示す模式図である。
【
図6】他の実施形態における複同調フィルタ設備を示す模式図である。
【
図7】他の実施形態における複同調フィルタ設備を示す模式図である。
【
図8】従来例における複同調フィルタ設備を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る複同調フィルタ設備の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し、又は、誇張して模式的に描かれている場合がある。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0022】
<1.装置構成>
本実施形態における複同調フィルタ設備100は、
図1に示すように、電力線である高圧側母線(例えば154kV母線)51の交流電圧に含まれる例えば5次高調波、7次高調波、11次高調波などの高調波成分を抑制するものである。
【0023】
具体的にこの複同調フィルタ設備100は、遮断器41を介して高圧側母線51に接続されるLC直列共振回路10と、LC直列共振回路10に直列に接続されるLC並列共振回路20と、LC並列共振回路20に接続される抵抗素子30とを備える。以下、各部について説明する。
【0024】
LC直列共振回路10は、リアクトル素子11及びコンデンサ素子12を互いに直列に接続することにより構成される。なお、本実施形態において、リアクトル素子11はコンデンサ素子12に対して母線51とは反対側に接続されるが、リアクトル素子11及びコンデンサ素子12が接続される位置関係は特に限定されない。
【0025】
LC並列共振回路20は、リアクトル素子21及びコンデンサ素子22を互いに並列に接続することにより構成される。本実施形態において、LC並列共振回路20は、LC直列共振回路10に対して母線51とは反対側に接続されるが、LC直列共振回路10及びLC並列共振回路20が接続される位置関係は特に限定されない。
【0026】
抵抗素子30は、LC並列共振回路20に並列に接続される。また、本実施形態において、抵抗素子30のインピーダンスは、LC並列共振回路20のリアクトル素子21及びコンデンサ素子22における並列共振時の合成インピーダンスよりも小さく設定される。これにより、LC並列共振回路20のリアクトル素子21及びコンデンサ素子22における並列共振周波数の近傍の高調波成分は、抵抗素子30に流入する。
【0027】
<2.抵抗素子30のインピーダンスの設定方法>
図2に示すように、LC直列共振回路10及びLC並列共振回路20の合成インピーダンスは、LC直列共振回路10のインピーダンス及びLC並列共振回路20のインピーダンスの交点である周波数f
a、f
b(なお、f
a<f
bとする。)において最小となる。これら周波数f
a、f
bがLC直列共振回路10及びLC並列共振回路20による直列共振の共振周波数となる。すなわち、LC直列共振回路10及びLC並列共振回路20の直列共振は、2つの共振周波数f
a、f
bにおいて発生する。
【0028】
そして、抵抗素子30のインピーダンスは、これら周波数fa、fbの間の周波数において、抵抗性を示す位相範囲に含まれるように設定される。高調波フィルタが高調波抑制効果を示す範囲の指標として用いられる尖鋭度Qは、複同調フィルタ設備の回路のインピーダンス角が±45度となる周波数で規定されている。このことから、複同調フィルタ設備100の接続点において他の設備との共振が拡大しないために、具体的な抵抗性を示す位相範囲は-45度以上45度以下であり、より好ましい位相範囲は-30度以上30度以下である。
【0029】
ここで位相θは、次の数1で表される。なお、LC直列共振回路10のリアクトル素子11のリアクタンスをXL1、コンデンサ素子12のリアクタンスをXC1、LC並列共振回路20のリアクトル素子21のリアクタンスをXL2、コンデンサ素子22のリアクタンスをXC2、抵抗素子30インピーダンスをR2とする。また、コンデンサ素子11、21、リアクトル素子12、22のリアクタンスは、複同調フィルタ設備100が接続される電力系統の基本周波数に対するリアクタンスであり、nは基本周波数f1に対する倍率である。すなわち、nと周波数との関係は、f=n×f1となる。
【0030】
【0031】
数1より、周波数fa、fbの間の周波数範囲において、tanθは単調に増加する。したがって、抵抗性を示す位相範囲とするには、抵抗素子30のインピーダンスは、周波数faでは数2を満たし、かつ、周波数fbでは数3を満たすように設定される。
【0032】
【0033】
【0034】
<3.実験例>
ここで、5次高調波(250Hz)から7次高調波(350Hz)の周波数範囲における抵抗素子30のダンピング効果を確認した実験例を
図3に示す。抵抗素子30のインピーダンスは、5次高調波ではtanθがtan(-30°)よりも大きくなるように設定され、7次高調波ではtanθがtan(30°)よりも小さくなるように設定される。なお、
図3(a)の縦軸はインピーダンス[Ω]、横軸は周波数[Hz]、
図3(b)の縦軸は位相[°]、横軸は周波数[Hz]である。
【0035】
その結果、
図3(a)に示すように、複同調フィルタ設備100の合成インピーダンスは、250Hzから350Hzの周波数範囲において低下しているので、複同調フィルタ設備100が高調波成分を抑制している。また、
図3(b)に示すように、250Hzから350Hzの周波数範囲において、位相は、抵抗性を示す位相範囲である―30度から30度に収まっている。したがって、この複同調フィルタ設備100は、250Hzから350Hzの周波数範囲において高調波成分を抑制するとともに、抵抗性を示している。
【0036】
<4.本実施形態の効果>
本実施形態によれば、抵抗素子30のインピーダンスが、LC直列共振回路10及びLC並列共振回路20による直列共振が発生する2つの共振周波数fa、fbの間の周波数において、抵抗性を示す位相範囲に含まれるように設定されるので、抵抗素子30のインピーダンスは、LC直列共振回路10及びLC並列共振回路20を構成するそれぞれのリアクトル素子11、21及びコンデンサ素子12、22を含めて設定されることとなる。したがって、リアクトル素子11、21のインダクタンス及びコンデンサ素子12、22のキャパシタンスの何れもが大きい場合であっても、抵抗素子30のインピーダンスを設定することにより、所望の周波数において抵抗素子30によるダンピング効果を得ることができる。また、LC直列共振回路10のリアクトル素子11には抵抗素子30が並列に接続されないので、抵抗素子30を一つにすることができる。
【0037】
<5.その他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0038】
図4に示すように、LC直列共振回路10及びLC並列共振回路20の間に避雷器61を設けても良い。この構成により、LC並列共振回路20を過渡的な過電圧から保護することができる。
【0039】
さらに、
図5に示すように、高調波抑制対象である母線(例えば154kV母線)51から送電線Lを介した母線52に複同調フィルタ設備100を取り付けてもよい。この場合、送電線L、LC直列共振回路10、及び、LC並列共振回路20の合成インピーダンスを用いて抵抗素子30のインピーダンスを設定することにより、抵抗素子30によるダンピング効果を得ることができる。
【0040】
図6に示すように、LC直列共振回路10のリアクトル素子11を降圧変圧器13として、降圧変圧器13の低圧側母線52にコンデンサ素子12が接続される構成としてもよい。これにより、降圧変圧器13の漏れインピーダンス(%X)がLC直列共振回路10のリアクタンスとなり、降圧変圧器13の2次側にLC並列共振回路20及び抵抗素子30を接続することによって、降圧変圧器13の一次側の回路にフィルタを設置した場合と電気的に等価なインピーダンス特性を持つフィルタを容易に構成することができる。
【0041】
さらに、
図7に示すように、降圧変圧器13を三巻線変圧器14により構成して、三巻線変圧器14の2つの低圧側母線52、53の一方(三次側母線53)にコンデンサ素子12を接続しても良い。この構成であれば、三巻線変圧器14の二次側を別の負荷用母線として用いることができる。
【0042】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0043】
100・・・複同調フィルタ設備
10 ・・・LC直列共振回路
11 ・・・リアクトル素子
12 ・・・コンデンサ素子
20 ・・・LC並列共振回路
21 ・・・リアクトル素子
22 ・・・コンデンサ素子
30 ・・・抵抗素子