(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100473
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】検体測定装置及び検体測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
G01N35/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】37
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004496
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】林 雅人
(72)【発明者】
【氏名】金子 周平
(72)【発明者】
【氏名】竹中 蓮太朗
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058BB02
2G058BB07
2G058BB09
2G058BB12
2G058CB15
2G058EA02
2G058EA04
2G058ED02
2G058FB05
2G058GA03
2G058HA02
(57)【要約】
【課題】外光による測定結果への影響を軽減しつつ、装置に対する容器の入れ替えを行うことができる検体測定装置を提供する。
【解決手段】検体測定装置1は、開口部33を有する筐体10と、筐体10内に配置され、検体および試薬の少なくとも一方が収容された容器を収納し、開口部33から筐体10外に引き出し可能に構成された容器収納部65と、筐体10内に配置され、検体及び試薬から調製された測定試料からの光を検出する検出器141を有し、当該検出器141により検出された光に基づいて測定試料の光学的情報を測定する測定部53と、開口部33から検出器141に至る外光の通路を、容器収納部65が開口部33から引き出されたことに応じて遮断する遮光部600と、を備える。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体と、
前記筐体内に配置され、検体および試薬の少なくとも一方が収容された容器を収納し、前記開口部から前記筐体外に引き出し可能に構成された容器収納部と、
前記筐体内に配置され、検体及び試薬から調製された測定試料からの光を検出する検出器を有し、当該検出器により検出された光に基づいて前記測定試料の光学的情報を測定する測定部と、
前記開口部から前記検出器に至る外光の通路を、前記容器収納部が前記開口部から引き出されたことに応じて遮断する遮光部と、を備える、
検体測定装置。
【請求項2】
前記容器収納部は、前記検出器による光の検出中に、前記開口部から前記筐体外に引き出し可能である、請求項1に記載の検体測定装置。
【請求項3】
前記測定部は、前記測定試料を収容した反応容器を保持する保持孔を有し、前記保持孔に保持された前記反応容器内の測定試料の光学的情報を測定するように構成されている、請求項1に記載の検体測定装置。
【請求項4】
前記筐体内に配置され、前記反応容器を保持して移送する容器保持部をさらに備え、
前記容器保持部は、前記反応容器を保持して前記測定部の保持孔に対して上から移送するように構成されている、
請求項3に記載の検体測定装置。
【請求項5】
前記遮光部は、前記容器保持部の移動経路外に設けられている、請求項4に記載の検体測定装置。
【請求項6】
前記測定部は、前記測定試料に光を照射する光源をさらに有する、請求項3に記載の検体測定装置。
【請求項7】
前記容器収納部は、前記遮光部を備え、
前記遮光部は、前記容器収納部が前記開口部から引き出された時に前記開口部を閉鎖するように構成された第1の遮光部材を備える、
請求項1に記載の検体測定装置。
【請求項8】
前記第1の遮光部材は、前記容器収納部の移動に応じて前記開口部を所定位置で閉鎖するように構成されている、
請求項7に記載の検体測定装置。
【請求項9】
前記第1の遮光部材は、前記容器収納部における引き出し方向の後方に位置する後部に設けられている、
請求項8に記載の検体測定装置。
【請求項10】
前記容器収納部は、前記容器収納部が前記筐体内に収納されている時に外光が前記開口部から前記筐体内に入らないように遮光する第2の遮光部材をさらに備える、
請求項7に記載の検体測定装置。
【請求項11】
前記第2の遮光部材は、前記容器収納部に設けられ、前記容器収納部が前記筐体内に収納されている時に前記開口部を閉鎖するように構成されている、
請求項10に記載の検体測定装置。
【請求項12】
前記第2の遮光部材は、前記容器収納部の移動に応じて前記開口部を所定位置で閉鎖するように構成されている、
請求項11に記載の検体測定装置。
【請求項13】
前記第2の遮光部材は、前記容器収納部における引出し方向の前方に位置する前部に設けられている、
請求項12に記載の検体測定装置。
【請求項14】
前記筐体の外側から前記開口部を開閉する蓋部を、さらに備える、
請求項1に記載の検体測定装置。
【請求項15】
前記蓋部は、前記容器収納部の移動に連動して開閉動作を行うように構成されている、
請求項14に記載の検体測定装置。
【請求項16】
前記蓋部は、前記筐体側に付勢されることにより前記開口部を閉じ、前記容器収納部が引き出される時に前記容器収納部に押されることにより前記付勢に抗して前記開口部を開くように構成されている、
請求項15に記載の検体測定装置。
【請求項17】
前記容器収納部は、前記筐体内に、互いに隣接するように複数配置されている、
請求項1から16のいずれか一項に記載の検体測定装置。
【請求項18】
前記容器収納部は、複数の検体容器を保持した検体ラックを収納する検体容器収納部である、
請求項17に記載の検体測定装置。
【請求項19】
前記筐体内に収納された前記検体容器収納部を覆うように構成され、前記検体容器収納部に収納された前記検体容器に収容された検体を分注するための分注用孔を有するカバー部材と、
前記分注用孔を通じて前記検体容器収納部内に進入し、前記検体容器収納部内の前記検体容器に収容された検体を分注する分注部と、さらに備える、
請求項18に記載の検体測定装置。
【請求項20】
複数の前記検体容器収納部は、一の前記検体容器収納部内の前記検体容器に収容された検体が前記分注部により分注されている時に、他の前記検体容器収納部を前記開口部から前記筐体外に引き出し可能に構成されている、請求項19に記載の検体測定装置。
【請求項21】
前記容器収納部は、複数の試薬容器を保持した試薬ラックを収納する試薬容器収納部である、
請求項17に記載の検体測定装置。
【請求項22】
前記筐体内に収納された前記試薬容器収納部を覆うように構成され、前記試薬容器収納部に収納された前記試薬容器に収容された試薬を分注するための分注用孔を有するカバー部材と、
前記分注用孔を通じて前記試薬容器収納部内に進入し、前記試薬容器収納部内の前記試薬容器に収容された試薬を分注する分注部と、さらに備える、
請求項21に記載の検体測定装置。
【請求項23】
複数の前記試薬容器収納部は、一の前記試薬容器収納部内の前記試薬容器に収容された試薬が前記分注部により分注されている時に、他の前記試薬容器収納部を前記開口部から前記筐体外に引き出し可能に構成されている、請求項22に記載の検体測定装置。
【請求項24】
前記遮光部は、前記検体測定装置における前記開口部近傍に設けられ、前記容器収納部が前記開口部から引き出されたことに応じて前記開口部を閉鎖するように構成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の検体測定装置。
【請求項25】
前記遮光部は、前記容器収納部に付勢されており、前記容器収納部が前記開口部から引き出された時に、前記容器収納部の引出し方向の後方の位置において前記開口部を閉鎖するように構成されている、
請求項24に記載の検体測定装置。
【請求項26】
前記遮光部は、前記開口部を開閉するように駆動するシャッターを備える、
請求項24に記載の検体測定装置。
【請求項27】
前記筐体内に収納された前記容器収納部を覆うように構成され、前記容器収納部に収納された容器の液体を分注するための分注用孔を有するカバー部材を、さらに備え、
前記遮光部は、前記容器収納部が前記開口部から引き出されたことに応じて、前記開口部から前記カバー部材内に入った外光が前記分注用孔から前記カバー部材外に出ないように遮光するように構成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載の検体測定装置。
【請求項28】
開口部を有する筐体と、
前記筐体内に配置され、検体および試薬の少なくとも一方が収容された容器を収納し、前記開口部から前記筐体外に引き出し可能に構成された容器収納部と、
前記筐体内に配置され、検体及び試薬から調製された測定試料からの光を検出する検出器を有し、当該検出器により検出された光に基づいて前記測定試料の光学的情報を測定する測定部と、
前記開口部から前記検出器に至る外光の通路に出入りする部材と、を備える、
検体測定装置。
【請求項29】
検体測定装置を用いた検体測定方法であって、
筐体内に配置された測定部において、検出器により、検体及び試薬から調製された測定試料からの光を検出し、当該検出した光に基づいて前記測定試料の光学的情報を測定する測定工程と、
検体および試薬の少なくとも一方が収容された容器を収納する容器収納部を、前記筐体が有する開口部から引き出す引き出し工程と、を有し、
前記引き出し工程において、前記開口部から前記検出器に至る外光の通路を、前記容器収納部が前記開口部から引き出されたことに応じて遮断する、
検体測定方法。
【請求項30】
前記引き出された前記容器収納部を、前記筐体内に収納する工程をさらに含む、
請求項29に記載の検体測定方法。
【請求項31】
前記測定工程における検体の測定中に、前記引き出し工程を行う、
請求項29に記載の検体測定方法。
【請求項32】
前記引き出し工程において、外光が前記開口部から前記筐体内に入らないように遮光する、
請求項29に記載の検体測定方法。
【請求項33】
前記引き出し工程において、互いに隣接する複数の前記容器収納部のうちの少なくとも一つを前記開口部から引き出し、その時に外光が前記検出器に到達しないように遮光する、
請求項29から32のいずれか一項に記載の検体測定方法。
【請求項34】
前記容器収納部は、複数の検体容器を保持した検体ラックを収納する検体容器収納部である、
請求項33に記載の検体測定方法。
【請求項35】
前記容器収納部は、複数の試薬容器を保持した試薬ラックを収納する試薬容器収納部である、
請求項33に記載の検体測定方法。
【請求項36】
前記引き出し工程において、前記開口部から、前記容器収納部を覆うカバー部材内に入った外光が、前記カバー部材に形成された分注用孔から前記カバー部材外に出ないように遮光する、
請求項29に記載の検体測定方法。
【請求項37】
検体測定装置を用いた検体測定方法であって、
筐体内に配置された測定部において、検出器により、検体及び試薬から調製された測定試料からの光を検出し、当該検出した光に基づいて前記測定試料の光学的情報を測定する測定工程と、
検体および試薬の少なくとも一方が収容された容器を収納する容器収納部を、前記筐体が有する開口部から出し入れする工程と、を有し、
前記出し入れ工程において、部材が、前記開口部から前記検出器に至る外光の通路に出入りする、
検体測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体測定装置及び検体測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体内部に載置された検体容器中の検体を、筐体内部に載置された試薬容器中の試薬を用いて測定する検体測定装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、検体を収容する検体容器を載置する検体容器保持部と、試薬を収容する試薬容器を載置する試薬保持部と、検体及び試薬を分注する分注部と、検体及び試薬から調製された測定試料を測定する測定部と、を備えた検体分析装置が開示されている。また、特許文献1には、ユーザが検体容器保持部に複数の検体容器を保持した検体ラックを載置できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検査の効率化の観点から、外光の影響を受けることなく検体の測定中に検体容器や試薬容器を入れ替えられることが求められているが、それを可能とする技術は特許文献1には開示されていない。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、外光による測定結果への影響を軽減しつつ、装置に対する容器の入れ替えを行うことができる検体測定装置及び検体測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図1乃至3、
図7、
図11乃至17に示すように、本発明による検体測定装置(1)は、開口部(33)を有する筐体(10)と、筐体(10)内に配置され、検体および試薬の少なくとも一方が収容された容器を収納し、開口部(33)から筐体(10)外に引き出し可能に構成された容器収納部(65)と、筐体(10)内に配置され、検体及び試薬から調製された測定試料からの光を検出する検出器(141)を有し、当該検出器(141)により検出された光に基づいて測定試料の光学的情報を測定する測定部(53)と、開口部(33)から検出器(141)に至る外光の通路を、容器収納部(65)が開口部(33)から引き出されたことに応じて遮断する遮光部(600)と、を備える。
【0008】
本発明による検体測定装置(1)によれば、外光による測定結果への影響を軽減しつつ、装置に対する容器の入れ替えを行うことができる。
【0009】
図1乃至3、
図7、
図11乃至17に示すように、本発明による検体測定装置(1)は、開口部(33)を有する筐体(10)と、筐体(10)内に配置され、検体および試薬の少なくとも一方が収容された容器を収納し、開口部(33)から筐体(10)外に引き出し可能に構成された容器収納部(65)と、筐体(10)内に配置され、検体及び試薬から調製された測定試料からの光を検出する検出器(141)を有し、当該検出器(141)により検出された光に基づいて測定試料の光学的情報を測定する測定部(53)と、開口部(33)から検出器(141)に至る外光の通路に出入りする部材(511)と、を備える。
【0010】
本発明による検体測定装置(1)によれば、外光による測定結果への影響を軽減しつつ、装置に対する容器の入れ替えを行うことができる。
【0011】
図1乃至3、
図7、
図11乃至19に示すように、本発明による検体測定方法は、検体測定装置を用いた検体測定方法であって、筐体(10)内に配置された測定部(53)において、検出器(141)により、検体及び試薬から調製された測定試料からの光を検出し、当該検出した光に基づいて測定試料の光学的情報を測定する測定工程(S4)と、検体および試薬の少なくとも一方が収容された容器を収納する容器収納部(65)を、筐体(10)が有する開口部(33)から引き出す引き出し工程(S6)と、を有し、引き出し工程(S6)において、開口部(33)から検出器(141)に至る外光の通路を、容器収納部(65)が開口部(33)から引き出されたことに応じて遮断する。
【0012】
本発明による検体測定方法によれば、外光による測定結果への影響を軽減しつつ、装置に対する容器の入れ替えを行うことができる。
【0013】
図1乃至3、
図7、
図11乃至19に示すように、本発明による検体測定方法は、検体測定装置(1)を用いた検体測定方法であって、筐体(10)内に配置された測定部(53)において、検出器(141)により、検体及び試薬から調製された測定試料からの光を検出し、当該検出した光に基づいて測定試料の光学的情報を測定する測定工程(S4)と、検体および試薬の少なくとも一方が収容された容器を収納する容器収納部(65)を、筐体(10)が有する開口部(33)から出し入れする工程(S6、S7)と、を有し、出し入れ工程(S6、S7)において、部材(511)が、開口部(33)から検出器(141)に至る外光の通路に出入りする。
【0014】
本発明による検体測定方法によれば、外光による測定結果への影響を軽減しつつ、装置に対する容器の入れ替えを行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外光による測定結果への影響を軽減しつつ、装置に対する容器の入れ替えを行うことができる検体測定装置及び検体測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、検体測定装置の外観を示す図である。
【
図2】
図2は、検体測定装置の内部構成を示す図である。
【
図3】
図3は、検体容器収納部が筐体から引き出された状態を示す図である。
【
図4】
図4は、試薬容器収納部が筐体から引き出された状態を示す図である。
【
図8】
図8は、検体測定装置の制御に関するブロック図である。
【
図12】
図12は、検体容器収納部及び検体ラックの構成を示す図である。
【
図13】
図13は、カバー部材内に収納された検体容器収納部を示す図である。
【
図14】
図14は、カバー部材内に収納された検体容器収納部を示す図である。
【
図15】
図15は、カバー部材から引き出された検体容器収納部を示す図である。
【
図16】
図16は、カバー部材から引き出された検体容器収納部を示す図である。
【
図17】
図17は、検体容器収納部の駆動部の構成を示す図である。
【
図18】
図18は、検体測定を行う工程を示すフロー図である。
【
図19】
図19は、検体容器を交換する工程を示すフロー図である。
【
図20】
図20は、一つの検体容器収納部が引き出された状態を示す図である。
【
図21】
図21は、二つの検体容器収納部が引き出された状態を示す図である。
【
図23】
図23は、遮光部の遮光部材により開口部が閉められた状態を示す図である。
【
図24】
図24は、他の遮光部材を有する遮光部を示す図である。
【
図25】
図25は、遮光部の遮光部材により開口部が閉められた状態を示す図である。
【
図26】
図26は、シャッターを有する遮光部を示す図である。
【
図27】
図27は、遮光部のシャッターが閉められた状態を示す図である。
【
図29】
図29は、遮光部の開閉板により分注用孔が閉められた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る検体測定装置及び検体測定方法の実施形態の一例について詳細に説明する。
【0018】
<検体測定装置>
図1は、本実施の形態にかかる検体測定装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、検体測定装置1の内部構成の一例を示す平面図である。一例において、検体測定装置1は、検体(血液検体)の凝固因子の活性を分析する血液凝固測定に用いられる。
【0019】
図1に示すように、検体測定装置1は、略直方体形状の筐体(装置筐体)10を有している。筐体10は、前面部20、後面部21、右側面部22、左側面部23、上面部24及び底面部25を有している。なお、本明細書において、検体測定装置1の「左」、「右」は、前面部20を正面から見たときの方向を基準にする。
【0020】
前面部20には、開閉自在なカバー30が設けられ、カバー30を開けることでユーザが筐体10の内部にアクセスすることができる。前面部20には、後述の試薬ラック収納部52の内部に試薬容器収納部85を出し入れするための開口部31と、開口部31を開閉する蓋部32が設けられている。前面部20には、後述の検体ラック収納部50の内部に検体容器収納部65を出し入れするための開口部33と、開口部33を開閉する蓋部34が設けられている。蓋部34は、筐体10側にバネにより付勢されることにより開口部33を閉じ、当該付勢に抗する外力が作用することにより開口部33を開くように構成されている。
【0021】
上面部24は、方形の平坦面であり、その上にモニター40を設置することができる。モニター40は、タッチパネル式のディスプレイであり、検体測定に必要な操作のための入力、各種情報の表示や検体測定の結果情報を表示することができる。
【0022】
図2に示すように、検体測定装置1は、筐体10の内部に、検体ラック収納部50と、反応容器収納部51と、試薬ラック収納部52と、測定部53と、洗浄部54と、廃棄部55と、電源部56と、制御部57と、分注部58を備えている。
【0023】
検体ラック収納部50は、筐体10の前後方向Yの中央よりも前面部20側であって、筐体10の左右方向Xの中央付近に設けられている。検体ラック収納部50は、複数の検体容器を保持する検体ラックを収納するものである。検体ラック収納部50は、カバー部材60で覆われている。カバー部材60は、上面部61を有し、上面部61には、複数の分注用孔62が形成されている。分注用孔62は、前後方向Yの直線上に複数(
図2では6つ)並べて配置されている。分注用孔62は、左右方向Xに隣り合う二列に配置されている。分注部58の後述のピペット200は、分注用孔62を通じて検体ラック収納部50内に進入し、検体ラック収納部50内の検体容器に収容された検体を吸引することができる。
【0024】
検体ラック収納部50は、カバー部材60の内部に、検体ラックに保持された検体容器を収納する検体容器収納部65を有している。検体容器収納部65は、左右方向Xに互いに隣接するように2つ並べて配置されている。
図3に示すように、検体容器収納部65は、筐体10の蓋部34が配置された開口部33から筐体10の外部に引き出し可能に構成されている。検体容器収納部65は、検体ラック66に保持された複数の検体容器67を保持することができる。蓋部34は、検体容器収納部65が筐体10から引き出されるときに検体容器収納部65に押されて付勢に抗して開き、検体容器収納部65が筐体10に収納されるときに付勢により閉じる。よって、蓋部34は、検体容器収納部65の移動に連動して開口部33の開閉動作を行うことができる。
【0025】
検体測定装置1は、検体容器収納部65が引き出された際に、開口部33から測定部53の検出器141に至る外光の通路を遮断する遮光部600を有している。本実施の形態において遮光部600は、検体容器収納部65に設けられている。遮光部600を含む検体容器収納部65の構成の詳細は後述する。
【0026】
図2に示すように、反応容器収納部51は、筐体10の前後方向Yの中央よりも前面部20側であって、筐体10の左右方向Xの中央よりも右側に設けられている。反応容器収納部51は、複数の反応容器70を保持する容器ラック71を収納するものである。
【0027】
試薬ラック収納部52は、筐体10の前後方向Yの中央よりも前面部20側であって、筐体10の左右方向Xの中央よりも左側に設けられている。試薬ラック収納部52は、検体ラック収納部50の左隣に設けられている。試薬ラック収納部52は、複数の試薬容器を保持する試薬ラックを収納するものである。試薬ラック収納部52は、カバー部材80で覆われている。カバー部材80は、上面部81を有し、上面部81には、複数の分注用孔82が形成されている。分注部58の後述のピペット200は、分注用孔82を通じて試薬ラック収納部52内に進入し、試薬ラック収納部52内の試薬容器に収容された試薬を吸引することができる。試薬ラック収納部52は、試薬容器を冷却するための冷却部83と、冷却部83により生じた熱を筐体10の外部に排出する排熱部84を有している。
【0028】
試薬ラック収納部52は、カバー部材80の内部に、試薬ラックに保持された試薬容器を収納する試薬容器収納部85を有している。試薬容器収納部85は、左右方向Xに互いに隣接するように2つ並べて配置されている。
図4に示すように、試薬容器収納部85は、筐体10の蓋部32が配置された開口部31から筐体10の外部に引き出し可能に構成されている。試薬容器収納部85は、後述の試薬ラック86に保持された試薬容器87を保持することができる。
【0029】
図2に示すように、測定部53は、加温部90と検出部91を有している。加温部90及び検出部91は、筐体10の前後方向Yの中央よりも後面部21側であって、筐体10の左右方向Xの中央よりも右側に設けられている。
【0030】
図5は、測定部53の外観を示す図であり、
図6は、測定部53の内部構造を示す図である。
図5に示すように、測定部53は、加温部90と検出部91を含むカバー部材100を有している。カバー部材100は、略直方体形状を有している。カバー部材100の上面部100aには、複数の孔101が形成されている。
【0031】
図6に示すように、加温部90は、カバー部材100の内部に、第1の保持部121を有している。第1の保持部121は、左右方向Xに長い直方体形状を有する。第1の保持部121は、反応容器70を保持する複数の保持孔120を有している。複数の保持孔120は、左右方向Xに一列に並べて配置されている。保持孔120は、カバー部材100の上面部100aに配置された孔101と連通している。加温部90は、熱源122により、保持孔120に保持された反応容器70を加温することができる。
【0032】
検出部91は、カバー部材100の内部に、第2の保持部131を有している。第2の保持部131は、左右方向Xに長い直方体形状を有する。第2の保持部131は、反応容器70を保持する複数の保持孔130を有している。複数の保持孔130は、左右方向Xに一列に並べて配置されている。第2の保持部131は、第1の保持部121の後面部21側に設けられている。保持孔130は、カバー部材100の上面部100aに配置された孔101と連通している。反応容器70を受け入れるために保持孔130は上方に向けて開放されており、光がカバー部材100の外側から保持孔130内に進入し、後述の検出器141に到達可能である。
【0033】
図7に示すように、検出部91は、第2の保持部131に保持された反応容器70に光を照射する光源140と、反応容器70を透過した光を検出する検出器141を有している。検出部91は、光源140から、反応容器70内の検体及び試薬から調製された測定試料に光を照射し、検出器141が測定試料を透過した光を検出することによって、測定試料の光学的情報を測定することができる。
【0034】
図2に示すように、洗浄部54は、筐体10の前後方向Yの中央付近であって、測定部53と反応容器収納部51との間に設けられている。洗浄部54は、分注部58のピペット200を洗浄する洗浄槽160を有している。
【0035】
廃棄部55は、測定部53と反応容器収納部51との間に設けられている。廃棄部55は、反応容器70を廃棄する廃棄口170を有している。
【0036】
電源部56は、筐体10の前後方向Yの後面部21付近であって、左右方向Xの中央よりも左側に設けられている。電源部56は、外部電源から供給された電力を、検体ラック収納部50、試薬ラック収納部52、測定部53、制御部57、分注部58などの各種装置に供給するものである。
【0037】
制御部57は、筐体10の前後方向Yの後面部21付近であって、左右方向Xの中央よりも右側に設けられている。制御部57は、
図8に示すように、検体ラック収納部50、試薬ラック収納部52、測定部53、分注部58などの各種装置と通信可能であり、各種装置の動作を制御するものである。制御部57は、メモリやCPUを有し、CPUが、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより、各種装置を制御して、検体測定を実行することができる。制御部57は、モニター40と通信可能であり、モニター40から入力された情報に基づいて検体測定を実行したり、検体測定の結果をモニター40に表示することができる。
【0038】
図2に示すように、筐体10は、その内部に、前後方向Yの中央よりも後面部21側に配置された垂直壁180を有する。垂直壁180は、板面が前後方向Yに向けられた板形状を有する。垂直壁180は、筐体10の内部を主領域R1と背面領域R2に隔離する。電源部56と制御部57は、背面領域R2に設けられている。電源部56と制御部57は、垂直壁180の背面領域R2側の面に取り付けられている。検体ラック収納部50と、反応容器収納部51と、試薬ラック収納部52と、測定部53と、洗浄部54と、廃棄部55及び分注部58は、主領域R1に設けられている。
【0039】
分注部58は、検体容器67、反応容器70、試薬容器87に対し分注する機能を有している。分注部58は、分注装置190と、分注装置190を移動させる移動装置191とを有している。
【0040】
<分注部58の構成>
図9は、分注装置190の構成の一例を示す斜視図である。分注装置190は、ピペット200と、容器保持部201と、移動機構202等を備えている。
【0041】
ピペット200は、鉛直方向Zに延伸する細長い管であり、所定量の液体を管内に保持することができる。ピペット200は、先端部210から液体を吸引したり、吸引した液体を吐出することができるように構成されている。
【0042】
容器保持部201は、
図10に示すように反応容器70を保持する二本(一対)の保持アーム220を有している。保持アーム220は、ピペット200の下方に配置され、ピペット200の鉛直方向Zの同軸上で反応容器70を保持することができる。ピペット200は、容器保持部201の二本の保持アーム220の間隔よりも細く、二本の保持アーム220の間を鉛直方向Zに挿通可能である。
【0043】
図9に示すように、移動機構202は、保持アーム220とピペット200とを同軸上に維持した状態で、ピペット200と容器保持部201を鉛直方向Zに相対的に移動させるものである。
【0044】
移動機構202は、ピペット200と容器保持部201の一方が上昇すると、他方がそれに連動して下降するように構成された機械的な機構を有している。また、移動機構202は、ピペット200が下降し、それに連動して容器保持部201が上昇し、容器保持部201が所定位置まで上昇したときに連動が解除され、容器保持部201の上昇が止まった状態でピペット200が下降するように構成された機械的な機構を有している。以下、かかる機械的な機構の一例について説明する。
【0045】
移動機構202は、ピペット200を鉛直方向Zに移動させるための第1の移動部250と、容器保持部201を鉛直方向Zに移動させるための第2の移動部251と、第1の移動部250と第2の移動部251を連動させるための連動部252と、連動部252を駆動する駆動源253を有している。
【0046】
移動機構202は、略長方形の板状部材260を有している。板状部材260は、板面が左右方向Xに向くように立てられている。第1の移動部250、第2の移動部251及び連動部252は、板状部材260の左右方向Xの右側(
図9の表側)の第1の板面260aに設けられている。駆動源253は、板状部材260の左右方向Xの左側(
図9の裏面側)の第2の板面260bに設けられている。
【0047】
第1の移動部250は、ピペット200を保持するピペット保持部材270と、ピペット保持部材270が固定され、連動部252よって昇降する第1の昇降部材271を有している。
【0048】
ピペット保持部材270の上部には、ピペット200内部への給気と吸引を行うための配管280が接続されている。配管280は、ポンプ装置に連通している。
【0049】
第1の昇降部材271は、板形状を有している。ピペット保持部材270は、第1の昇降部材271の左右方向Xの右側の板面に固定されている。
【0050】
第1の昇降部材271は、板状部材260の鉛直方向Zに向けて設けられた第1のガイドレール272に移動自在に取り付けられている。第1の昇降部材271は、後述のベルト322に取り付けられている。
【0051】
第2の移動部251は、容器保持部201が固定され、昇降自在な第2の昇降部材300と、第2の昇降部材300を上方に付勢する付勢部材301と、第2の昇降部材300の上昇を止めるストッパ302と、連動部252によって昇降し、第2の昇降部材300を下方に押圧可能な押圧部材303を有している。
【0052】
第2の昇降部材300は、本体部310と、本体部310と容器保持部201とを接続する腕部311を備えている。
【0053】
第2の昇降部材300は、板状部材260の鉛直方向Zに向けて設けられた第2のガイドレール304に移動自在に取り付けられている。
【0054】
付勢部材301は、スプリングであり、鉛直方向Zに向けられている。付勢部材301は、上端が板状部材260の第2の昇降部材300の上方の位置に固定され、下端が第2の昇降部材300の上部に固定されている。付勢部材301は、第2の昇降部材300を上方に付勢している。
【0055】
ストッパ302は、板状部材260の第2の昇降部材300の上方の位置に設けられている。ストッパ302は、第2の昇降部材300が所定の上限位置、すなわち容器保持部201の保持アーム220に保持された反応容器70にピペット200が挿入される所定位置(
図9及び
図10の位置)まで上昇したときに第2の昇降部材300の上部に当接し第2の昇降部材300の上昇を止めるように設けられている。
【0056】
押圧部材303は、第2の昇降部材300の上方の位置に設けられている。押圧部材303は、後述のベルト322に取り付けられており、ベルト322によって昇降自在である。押圧部材303は、下降したときに第2の昇降部材300を下に押すことができ、また、第2の昇降部材300の上限位置よりも上方に上昇することができる。
【0057】
かかる第2の移動部251は、容器保持部201を下降させる際に、連動部252により押圧部材303が下降し第2の昇降部材300を付勢部材301の付勢力に抗して下方に押し下げ、容器保持部201を上昇させる際に、連動部252により押圧部材303が上昇し、付勢部材301の付勢力により第2の昇降部材300が上昇し、容器保持部201が所定位置まで上昇すると、ストッパ302により第2の昇降部材300の上昇が止められるように構成されている。
【0058】
連動部252は、鉛直方向Zに配置された一対のプーリ320、321と、一対のプーリ320、321に掛けられた環状のベルト322を有している。
【0059】
一対のプーリ320、321は、板状部材260において上下に配置されている。一対のプーリ320、321は、前後方向Yにおいて、第1の移動部250の第1のガイドレール272と第2の移動部251の第2のガイドレール304との間に設けられている。プーリ320は、板状部材260の上部付近に設けられ、プーリ321は、板状部材260の下部付近に設けられている。
【0060】
ベルト322は、一対のプーリ320、321に掛けられており、プーリ320、321を介して前後方向Yに対向するベルト部分330、331が相反する方向に昇降する。
【0061】
第1の移動部250は、ベルト部分330によって駆動する。すなわち、第1の昇降部材271は、ベルト部分330に取り付けられており、ベルト部分330の昇降に伴い、第1の昇降部材271、ピペット保持部材270及びピペット200が昇降する。
【0062】
第2の移動部251は、ベルト部分331によって駆動する。すなわち、押圧部材303は、ベルト部分331に取り付けられており、ベルト部分331の昇降に伴い、押圧部材303が昇降する。この押圧部材303の昇降に伴い、第2の昇降部材300及び容器保持部201が昇降可能である。
【0063】
駆動源253は、単一のモータであり、プーリ320に接続されている。駆動源253は、板状部材260の左右方向Xの左側の第2の板面260bに固定されている。駆動源253は、正回転と逆回転を切り替え可能であり、プーリ320を介してベルト322を右回りと左回りに回転させることができる。
【0064】
移動機構202は、容器保持部201に保持された反応容器70を振動させる振動部材350を有している。振動部材350は、給電により振動する振動素子であり、第2の昇降部材300の腕部311に設けられている。
【0065】
移動機構202は、ピペット200の検体又は試薬を加温する加温部材360を有している。加温部材360は、給電により発熱する発熱素子であり、ピペット保持部材270に設けられている。
【0066】
図2に示す移動装置191は、分注装置190の全体を筐体10内の左右方向Xと前後方向Yの任意の位置に移送させるように構成されている。分注装置190が有する容器保持部201は、移動装置191によって筐体10内を移動できるが、遮光部600は、容器保持部201の移動経路外に設けられている。
【0067】
<検体容器収納部65の構成>
検体容器収納部65の構成について説明する。
図11に示すように、検体容器収納部65は、カバー部材60により覆われている。カバー部材60は、前後方向Yに長い略直方体形状を有し、内部に略直方体形状の空間を形成している。カバー部材60は、前後方向Yの前方側の面に開口部60aを有し、当該開口部60aは、筐体10の開口部33と連通している。2つの検体容器収納部65は、開口部60a及び開口部33を通じて筐体10の内外に出入りする。カバー部材60が有する開口部60a以外の面は、分注用孔62以外、光が入らないように構成されている。
【0068】
図12に示すように、各検体容器収納部65は、複数の検体容器67を一列に保持する検体ラック66を保持することができる。
図12及び
図13に示すように、検体容器収納部65は、複数の検体容器67が並べられる方向(前後方向Y)に長い細長形状を有する。検体容器収納部65は、ラック載置部510と、第1の遮光部材としての後方遮光壁511と、第2の遮光部材としての前方遮光壁512と、押圧部513と、レール部514を有している。
【0069】
ラック載置部510は、検体容器収納部65の前後方向Yの中央に設けられ、検体ラック66を載置し保持することができる。
【0070】
前方遮光壁512は、検体容器収納部65の前後方向Yの前部に設けられている。前方遮光壁512は、板面が前後方向Yに向いた略方形の板形状を有している。前方遮光壁512は、前後方向Yに厚みを有している。
図13及び
図14に示すように、前方遮光壁512は、検体容器収納部65がカバー部材60内に収納された時に、筐体10の開口部33を閉鎖するように構成されている。すなわち、前方遮光壁512は、検体容器収納部65がカバー部材60内に収納された時に、筐体10の前面部20に形成された開口部33に隙間なく嵌る。これにより、蓋部34が開いた時に、外光が開口部33から筐体10内に入らないように遮光される。
【0071】
図11乃至14に示すように、後方遮光壁511は、検体容器収納部65の前後方向Yの後部に設けられている。後方遮光壁511は、板面が前後方向Yに向いた略方形の板形状を有している。後方遮光壁511は、前後方向Yに厚みを有している。
図15及び
図16に示すように、後方遮光壁511は、検体容器収納部65がカバー部材60内から引き出された時に、筐体10の開口部33を閉鎖するように構成されている。すなわち、後方遮光壁511は、検体容器収納部65がカバー部材60内から引き出された時に、筐体10の前面部20に形成された開口部33に隙間なく嵌る。これにより、検体容器収納部65がカバー部材60内から引き出された時に、外光が開口部33から筐体10内に入らないように遮光される。本実施の形態において、遮光部600は、後方遮光壁511により構成される。
【0072】
図12及び
図13に示すように、押圧部513は、前方遮光壁512の下部に設けられている。押圧部513は、前方遮光壁512よりもわずかに前方側に突出している。押圧部513の下部は、湾曲形状を有している。押圧部513は、検体容器収納部65が引き出される際に蓋部34を押して蓋部34を開くことができる。
【0073】
レール部514は、筐体10の底面部25上に設けられたスライダ部520に沿って前後方向Yに移動自在に構成されている。
図17に示すように、レール部514は、駆動機構521によって駆動される。駆動機構521は、モータ530と、モータ530によって2つのプーリ531間を駆動するベルト532と、センサ533を有する。レール部514は、ベルト532と連動しており、モータ530が作動することによって、ベルト532を介して駆動する。センサ533は、検体容器収納部65がカバー部材60内に収納されたことを検出する。モータ530は、センサ533による検出に基づいて停止する。駆動機構521は、モニター40に設けられた指示ボタンがユーザにより押されることにより作動する。
【0074】
<検体測定方法>
次に、以上のように構成された検体測定装置1を用いた検体測定の一例について説明する。
図18は、検体測定の工程を示すフロー図である。
【0075】
検体測定装置1の検体測定では、主に、反応容器の移送工程S1と、検体の分注工程S2と、試薬の分注工程S3と、測定工程S4及び反応容器の回収・廃棄工程S5がこの順に行われる。これらの各工程は、制御部57により実行される。
【0076】
検体測定の開始前には、
図2に示すように空の複数の反応容器70が反応容器収納部51に収納される。検体が収容された複数の検体容器67を有する検体ラック66が検体容器収納部65に保持され、検体ラック収納部50に収納される。また、試薬が収容された試薬容器87を有する試薬ラック86が試薬容器収納部85に保持され、試薬ラック収納部52に収納される。
【0077】
そして、検体測定では、反応容器70の移送工程S1が行われる。反応容器の移送工程S1では、先ず、分注装置190の容器保持部201が、初期位置から、反応容器収納部51の容器ラック71上に移動し、その後下降し、容器ラック71の空の反応容器70を保持する。
【0078】
次に、容器保持部201が加温部90上に移動し、その後下降し、反応容器70が加温部90の保持孔120に保持される。そして、容器保持部201が上昇する。
【0079】
続いて、検体の分注工程S2が行われる。先ず、分注装置190のピペット200が、検体ラック収納部50上に移動し、下降する。ピペット200は、カバー部材60の上面部61にある分注用孔62を通って、検体容器収納部65に保持された検体ラック66の検体容器67に挿入され、検体を吸引する。
【0080】
その後、ピペット200が検体ラック収納部50上で上昇し、加温部90上に移動する。ピペット200は、加温部90の反応容器70に向けて下降し、検体を反応容器70に注入する。
【0081】
次に、ピペット200が加温部90上で上昇し、洗浄部54上に移動する。ピペット200は、洗浄部54の洗浄槽160に向けて下降し、洗浄槽160に挿入され、洗浄される。最後に、ピペット200が洗浄部54上で上昇する。
【0082】
次に、試薬の分注工程S3が行われる。先ず、ピペット200が、試薬ラック収納部52上に移動し、下降する。ピペット200は、カバー部材80の上面部81にある分注用孔82を通って、試薬容器収納部85に保持された試薬ラック86の試薬容器87に挿入され、試薬を吸引する。
【0083】
次に、ピペット200は、試薬ラック収納部52上で上昇する。次に、加温部材360によりピペット200の試薬が加温される。ピペット200の試薬が加温されながら、ピペット200は、加温部90上に移動する。
【0084】
次に、分注装置190の容器保持部201が、加温部90の反応容器70に向けて下降し、加温部90の反応容器70を保持する。
【0085】
次に、
図9及び
図10に示すように、容器保持部201が加温部90上で上昇するとともに、ピペット200が下降し反応容器70に挿入される。そして、ピペット200は、試薬を容器保持部201の反応容器70に注入する。次に、容器保持部201の反応容器70が、振動部材350により振動され、試薬が入った検体が攪拌され、測定試薬が調製される。
【0086】
次に、
図2に示す容器保持部201が検出部91上に移動し、その後下降する。容器保持部201は、検出部91の保持孔130に向けて下降し、反応容器70を保持孔130に保持させる。最後に、容器保持部201が検出部91上で上昇する。
【0087】
次に、測定工程S4が行われる。測定工程S4で行われる検体測定は、外光の影響を受けるものである。検出部91において、反応容器70内に収容された検体の凝固因子の活性を分析する血液凝固測定が行われる。測定は、
図7に示すように、光源140から反応容器70内の測定試料に光が照射され、検出器141が測定試料を透過した光を検出し、測定試料の光学的情報を測定することによって行われる。
【0088】
光学的情報は、検出器141によって検出された光の時系列データである。すなわち、光学的情報は、所定時間継続して検出される時系列データであり、時系列データが検出される時間は、30秒から5分程度である。なお、時系列データは、測定試料を通過した複数波長の光を検出することによって得られた複数の時系列データであってもよい。例えば、時系列データは、検体の凝固時間、検体に含まれる成分の濃度、又は活性を算出するためのものであってもよく、パーセント検出法を用いて、時系列データから、検体の凝固時間を算出してよい。また、合成基質測定法を用いて、時系列データから、検体に含まれる成分の濃度や活性を算出してよく、免疫比濁測定法を用いて、時系列データから、検体に含まれる成分の濃度や活性を算出してもよい。
【0089】
最後に、反応容器の回収・廃棄工程S5が行われる。先ず、
図2に示す分注装置190の容器保持部201が検出部91の上に移動し、その後下降する。次に、容器保持部201が、検出部91の反応容器70を保持する。
【0090】
次に、容器保持部201が検出部91上で上昇し、廃棄部55上に移動する。容器保持部201は、廃棄部55の廃棄口170に向けて下降し、反応容器70を廃棄口170に廃棄する。最後に、容器保持部201が廃棄部55上で上昇し、その後初期位置に戻される。
【0091】
例えば、検体測定における工程S1~S5の実行中に、検体容器収納部65に収納されている検体容器が交換される。
図19は、検体容器を交換する工程を示すフロー図である。検体容器の交換では、検体容器収納部65の引き出し工程S6と、検体容器収納部65の収納工程S7がこの順で行われる。これらの各工程は、制御部57により実行される。引き出し工程S6及び収納工程S7は、検体容器収納部65を筐体10に対し出し入れする工程の一例である。
【0092】
検体容器収納部65の引き出し工程S6では、検体容器収納部65が開口部33から筐体10外に引き出される。引き出し工程S6は、測定工程S4の実行中に行われてもよい。
【0093】
引き出し工程S6では、例えばユーザにより、検体測定装置1が有する指示ボタンが押されることで、駆動機構521が作動し、一つの検体容器収納部65が筐体10外に移動する。この際、
図20及び
図16に示すように、一方の検体容器収納部65は、蓋部34を押して開き、開口部33から筐体10外に移動する。このとき、蓋部34が開いているものの、検体容器収納部65の後方遮光壁511が開口部33を封鎖し、外光が開口部33を通じて筐体10内に入らないように遮光する。すなわち、筐体10における開口部33から検出器141に至る外光の通路が遮断される。開口部33から検出器141に至る外光の通路は、開口部33から検体ラック収納部50のカバー部材60内に入り、分注用孔62からカバー部材60外に出て、筐体10の内部空間を通り、測定部53の保持孔130からカバー部材100内に入り、検出器141に至る通路を含む。後方遮光壁511は、開口部33から検出器141に至る外光の通路に出入りする部材の一例であってよい。また、引き出されない他方の検体容器収納部65の前方遮光壁512は、開口部33を封鎖しており、外光が開口部33を通じて筐体10内に入らないように遮光している。一方の検体容器収納部65の引き出し工程S6は、引き出されない他方の検体容器収納部65の検体容器67に収容された検体が分注部58により分注されている時に行われてよい。
【0094】
検体容器収納部65が引き出されると、古い検体ラック66が新しい検体ラック66に交換される。新しい検体ラック66には、新たな検体が入った検体容器67が保持されている。新しい検体ラック66は、検体容器収納部65に保持される。
【0095】
次に、検体容器収納部65の収納工程S7が行われる。収納工程S7では、検体容器収納部65が開口部33から筐体10内に移動し収納される。例えばユーザにより指示ボタンが押されることで、駆動機構521が作動し、検体容器収納部65が筐体10内に収納される。この際、蓋部34は、バネなどの付勢により閉じられる。
【0096】
図21に示すように、引き出し工程S6では、2つの検体容器収納部65が引き出されてもよい。この場合、2つの検体容器収納部65の後方遮光壁511が開口部33を閉鎖し、外光が開口部33を通じて筐体10内に入らないように遮光する。モニター40の表示画面上に、2つの検体容器収納部65のうち、検体容器を入れ替え可能な検体容器収納部65を示すボタンを表示させ、表示されたボタンが押下されることによって検体容器収納部65を筐体10外に移動させるようにしてよい。検体容器を入れ替え可能な検体容器収納部65は、検体容器の検体を分注する動作中でない検体容器収納部であってよい。
【0097】
本実施の形態によれば、検体測定装置1は、検体容器収納部65が開口部33から引き出された際に、開口部33から検出器141に至る外光の通路を遮断する遮光部600を有している。これにより、外光による測定結果への影響を軽減しつつ、装置に対する検体容器67の入れ替えを行うことができる。
【0098】
検体容器収納部65は、検出器141による光の検出中に、開口部33から筐体10外に引出し可能であるので、測定部53における測定を停止することなく、検体容器67(検体ラック66)の交換を行うことができる。これにより、検体測定装置1における継続的な測定を実現することができる。
【0099】
遮光部600は、検体容器収納部65が開口部33から引き出された時に外光が開口部33から筐体10内に入らないように遮光する第1の遮光部材(後方遮光壁511)を備えている。これにより、外光が筐体10内に入ることを抑制し、外光が検出器141に到達することを適切に抑制することができる。
【0100】
後方遮光壁511は、検体容器収納部65に設けられており、検体容器収納部65が開口部33から引き出された時に開口部33を閉鎖するように構成されている。これにより、検体容器収納部65の一部を用いて遮光することができ、外光が筐体10内に入ることを好適に抑制することができる。
【0101】
後方遮光壁511は、検体容器収納部65における引出し方向の後方に位置する後部に設けられている。これにより、検体容器収納部65が引き出された際に開口部33を好適に閉鎖することができる。
【0102】
検体測定装置1は、検体容器収納部65が筐体10内に収納されている時に外光が開口部33から筐体10内に入らないように遮光する第2の遮光部材(前方遮光壁512)を備えている。これにより、検体容器収納部65が筐体10内に収納されている時や蓋部34が開いた時に、外光が筐体10内に入ることを抑制し、外光が検出器141に到達することを適切に抑制することができる。
【0103】
前方遮光壁512は、検体容器収納部65に設けられ、検体容器収納部65が筐体10内に収納されている時に開口部33を閉鎖するように構成されている。これにより、検体容器収納部65の一部を用いて遮光することができ、外光が筐体10内に入ることを好適に抑制することができる。
【0104】
前方遮光壁512は、検体容器収納部65における引出し方向の前方に位置する前部に設けられている。これにより、検体容器収納部65が筐体10内に収納されている時や蓋部34が開いた時に開口部33を好適に閉鎖することができる。
【0105】
検体測定装置1は、筐体10の外側から開口部33を開閉する蓋部34を備えている。これにより、外光が開口部33から筐体10内に入ることをより十分に抑制することができる。
【0106】
蓋部34は、検体容器収納部65の移動に連動して開閉動作を行うように構成されている。これにより、検体容器収納部65が移動する際に蓋部34が開くので、開口部33が開口する時間を短縮することができる。これにより、外光が開口部33から筐体10内に入ることを十分に抑制することができる。
【0107】
蓋部34は、筐体10側に付勢されることにより開口部33を閉じ、検体容器収納部65が引き出される時に検体容器収納部65に押されることにより付勢に抗して開口部33を開くように構成されている。これにより、蓋部34と検体容器収納部65の連動を好適に行うことができる。
【0108】
検体容器収納部65は、筐体10内に、互いに隣接するように複数配置されている。そして、各々の検体容器収納部65が開口部33から引き出された際に、外光が開口部33から筐体10内に入らないように遮光することで、検体測定装置1における継続的な測定を行うことができる。
【0109】
遮光部600は、容器保持部201の移動経路外に設けられているので、遮光部600と容器保持部201が干渉することがなく、遮光部600により外光が遮光されているときに、容器保持部201が反応容器70を移送することができる。
【0110】
検体測定装置1において、複数の検体容器収納部65は、一の検体容器収納部65内の検体容器67に収容された検体が分注部58により分注されている時に、他の検体容器収納部65を開口部33から筐体10外に引き出すことができるように構成されている。このため、検体測定装置1において、検体の分注を継続的に行うことができる。
【0111】
以上の実施の形態において、遮光部600は、検体容器収納部65に設けられていたが、検体測定装置1における開口部33近傍の部材に設けられ、検体容器収納部65が開口部33から引き出された時に開口部33を閉鎖するように構成されていてよい。
【0112】
この場合、
図22に示すように、遮光部600は、遮光部材700を備え、遮光部材700は、検体容器収納部65に対し付勢されており、検体容器収納部65が開口部33から引き出された時に、検体容器収納部65の引出し方向の後方の位置において開口部33を閉鎖するように構成されていてよい。この場合、遮光部材700は、筐体10の前面部20の内側であって開口部33の左右方向Xの近傍に設けられる。遮光部材700は、筐体10の前面部20に、垂直方向の軸周りに回動自在に取り付けられる。遮光部材700は、バネなどにより検体容器収納部65の側面に対し付勢されている。
図23に示すように、遮光部材700は、検体容器収納部65が引き出された時に回動し開口部33を閉鎖する。これにより、外光が開口部33から筐体10内に入ることを抑制することができる。
【0113】
図24に示すように、遮光部材700は、筐体10の底面部25上であって開口部33の近傍に設けられてよい。遮光部材700は、カバー部材60内の底面に設けられてよい。遮光部材700は、筐体10の底面部25に、水平方向の軸周りに回動自在に取り付けられる。遮光部材700は、バネなどにより検体容器収納部65の底面に対し付勢されている。
図25に示すように、遮光部材700は、検体容器収納部65が引き出された時に回動し開口部33を閉鎖する。これにより、外光が開口部33から筐体10内に入ることを抑制することができる。
【0114】
図26に示すように、遮光部600は、開口部33を開閉するように駆動するシャッター710を備えていてよい。シャッター710は、筐体10の前面部20の内側であって開口部33の上下方向Zの近傍に設けられる。シャッター710は、上下に駆動する。シャッター710は、検体容器収納部65が収納されている時には上方に駆動している。
図27に示すように、シャッター710は、検体容器収納部65が引き出された時に下方に駆動して開口部33を閉鎖する。これにより、外光が開口部33から筐体10内に入ることを抑制することができる。
【0115】
以上の実施の形態において、遮光部600は、外光が開口部33から筐体10内に入らないように遮光するように構成されていたが、検体容器収納部65が開口部33から引き出された時に開口部33からカバー部材60内に入った外光が分注用孔62からカバー部材60外に出ないように遮光するように構成されていてよい。
【0116】
この場合、
図28に示すように、遮光部600は、分注用孔62を開閉する開閉板720を有していてよい。開閉板720は、カバー部材60の上面部61上に前後方向Yにスライド自在に配置されていている。開閉板720は、分注用孔62と対応する位置に、上下に貫通する孔721を備えている。開閉板720の後方側の端部には、バネ730が設けられている。バネ730の後方側には、バネ730及び開閉板720が後方へ動くことを規制するストッパ731が設けられている。開閉板720の前方側の端部には、閉鎖部722が設けられている。検体容器収納部65の前方遮光壁512は、上方に延伸し、その先端から後方側に突出する突出部512aを有している。検体容器収納部65が筐体10内に収納されている時には、前方遮光壁512の突出部512aは、閉鎖部722を介して開閉板720を後方に押し、バネ730を収縮させている。開閉板720は、バネ730により前方に付勢されている。開閉板720の孔721の位置は、分注用孔62の位置と合致している。ピペット200は、孔721及び分注用孔62を介してカバー部材60内に進入することができる。前方遮光壁512は、開口部33を閉鎖している。カバー部材60の上面部61と筐体10の前面部20との間の隙間は、突出部512aにより閉鎖されている。
【0117】
図29に示すように、検体容器収納部65が筐体10外に引き出された時には、前方遮光壁512の突出部512aが、閉鎖部722から離れ、バネ730が伸長して、開閉板720が前方に移動する。開閉板720の孔721の位置が分注用孔62の位置からずれて、分注用孔62が開閉板720によって閉鎖される。閉鎖部722は、筐体10の前面部20とカバー部材60の上面部61との間の隙間を閉鎖する。これにより、開口部33からカバー部材60内に入った外光が分注用孔62からカバー部材60外に出ることが抑制される。この結果、外光が検出器141に届くことが抑制される。
【0118】
遮光部600は、検体容器収納部65が開口部33から引き出された時に開口部33から筐体10内に入った外光が、検出部91の保持孔130から検出部91内に入らないように遮光するように構成されていてよい。この場合、遮光部600は、
図28、
図29に示す開閉板720のように、スライド自在な開閉板により保持孔130を開閉する構成を有していてよい。
【0119】
以上の実施の形態において、検体容器収納部65は、2つであったが、1つであっても3つ以上であってもよい。検体容器収納部65が1つの場合、複数の検体容器に収容された全ての検体の吸引が完了した場合に、検体容器を入れ替え可能である。また、開口部33は、各検体容器収納部65毎に設けられていてもよいし、複数の検体容器収納部65に対し一つ設けられていてもよい。
【0120】
以上の実施の形態において、遮光部600は、検体容器収納部65が開口部33から引き出された際に、開口部33から測定部53の検出器141に至る外光の通路を遮光していたが、試薬容器収納部85についても、検体容器収納部65と同様に、試薬容器収納部85が開口部31から引き出された際に、開口部31から検出器141に至る外光の通路を遮光するように構成されていてよい。以上の実施の形態で記載した遮光部600に関する全ての態様は、試薬容器収納部85に適用してよい。例えば複数の試薬容器収納部85は、一の試薬容器収納部85内の試薬容器87に収容された試薬が分注部58により分注されている時に、他の試薬容器収納部85を開口部31から筐体10外に引き出すことができるように構成されていてよい。また、遮光部600は、検体や試薬以外の他の液体容器を収納する容器収納部に適用してもよい。
【0121】
以上の実施の形態において、遮光部600によって遮光される、開口部から検出器に至る外光の通路は、開口部33から検体ラック収納部50のカバー部材60内に入り、分注用孔62からカバー部材60外に出て、筐体10の内部空間を通り、測定部53の保持孔130からカバー部材100内に入り、検出器141に至る通路であったが、これに限られない。
【0122】
本発明の検体測定装置は、血液凝固測定以外の検体測定である血液免疫分析、血球数測定、生化学分析、尿分析等を行う装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、外光による測定結果への影響を軽減しつつ、装置に対する容器の入れ替えを行うことができる検体測定装置及び検体測定方法を提供する際に有用である。
【符号の説明】
【0124】
1 検体測定装置
10 筐体
33 開口部
34 蓋部
50 検体ラック収納部
52 試薬ラック収納部
53 測定部
60 カバー部材
65 検体容器収納部
66 検体ラック
67 検体容器
70 反応容器
85 試薬容器収納部
141 検出器
511 後方遮光壁
512 前方遮光壁
600 遮光部