IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図1
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図2
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図3
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図4
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図5
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図6
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図7
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図8
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図9
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図10
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図11
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図12
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図13
  • 特開-溶接方法及び溶接装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100477
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】溶接方法及び溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20240719BHJP
【FI】
B23K26/21 F
B23K26/21 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004501
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】出口 大稀
(72)【発明者】
【氏名】松方 啓一
(72)【発明者】
【氏名】大槻 光
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD03
4E168BA56
4E168DA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業員が被溶接部を手作業で洗浄する工程を省き、作業員の作業を簡略化することができる板金をレーザで溶接する溶接方法を提供する。
【解決手段】溶接方法は、溶接の対象となる板金14を支持体12によって支持する支持ステップと、支持体12によって板金14が支持された状態で、板金14の第1被溶接部38と第2被溶接部40とにレーザ照射することにより、第1被溶接部38と第2被溶接部40とをレーザ洗浄する洗浄ステップと、支持体12によって板金14が支持された状態で、レーザ洗浄された第1被溶接部38と第2被溶接部40とにレーザ照射することにより、第1被溶接部38と第2被溶接部40とをレーザ溶接する溶接ステップと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接の対象となる対象物を支持体によって支持する支持ステップと、
前記支持体によって前記対象物が支持された状態で、前記対象物の第1被溶接部と、前記対象物の第2被溶接部とにレーザ照射することにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ洗浄する洗浄ステップと、
前記支持体によって前記対象物が支持された状態で、レーザ洗浄された前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とにレーザ照射することにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ溶接する溶接ステップと、
を備える、溶接方法。
【請求項2】
請求項1に記載の溶接方法において、
前記対象物は、板金であり、
前記支持ステップでは、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とが向かい合うように、円筒形状の前記支持体の外周面に前記板金を巻き付け、
前記洗浄ステップでは、アクチュエータを用いて前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを離間させた状態で、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ洗浄し、
前記溶接ステップでは、前記アクチュエータを用いて前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを接触させた状態で、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ溶接する、溶接方法。
【請求項3】
外周面に板金が巻き付けられて、前記板金の第1被溶接部と前記板金の第2被溶接部とが向かい合うように、前記板金を支持する円筒形状の支持体と、
前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを相対移動させるアクチュエータと、
前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とにレーザ照射するレーザ装置と、
前記レーザ装置及び前記レーザ装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記アクチュエータを制御して、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを離間させ、
前記レーザ装置を制御して、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを離間させた状態で、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とにレーザ照射を行うことにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ洗浄し、
前記アクチュエータを制御して、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを接触させ、
前記レーザ装置を制御して、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを接触させた状態で、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とにレーザ照射を行うことにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ溶接する、溶接装置。
【請求項4】
請求項3に記載の溶接装置において、
前記支持体は、前記外周面から外側に突出する方向に移動可能な第1移動体と第2移動体とを有し、
前記アクチュエータは、前記第1移動体を移動させることにより、前記第1被溶接部を前記支持体の径方向外側に移動させるとともに、前記第2移動体を移動させることにより、前記第2被溶接部を前記支持体の径方向外側に移動させて、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを離間させた状態とする、溶接装置。
【請求項5】
請求項3に記載の溶接装置において、
前記支持体は、互いに離れる方向に移動することにより、前記外周面の周方向長さを長くする第1半球体と第2半球体とを有し、
前記アクチュエータは、前記第1半球体と前記第2半球体とを互いに離れる方向に移動させることにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを前記外周面の周方向に移動させて、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを離間させた状態とする、溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接方法及び溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、板金をレーザ溶接する溶接方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-195792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術のように板金をレーザ溶接する場合、溶接前に板金の被溶接部を洗浄し、被溶接部に付着している表面のオイル等を取り除く必要がある。被溶接部の洗浄は作業員による手作業により行われており、作業が煩雑である問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の溶接方法は、溶接の対象となる対象物を支持体によって支持する支持ステップと、前記支持体によって前記対象物が支持された状態で、前記対象物の第1被溶接部と、前記対象物の第2被溶接部とにレーザ照射することにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ洗浄する洗浄ステップと、前記支持体によって前記対象物が支持された状態で、レーザ洗浄された前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とにレーザ照射することにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ溶接する溶接ステップと、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様の溶接装置は、外周面に板金が巻き付けられて、前記板金の第1被溶接部と前記板金の第2被溶接部とが向かい合うように、前記板金を支持する円筒形状の支持体と、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを相対移動させるアクチュエータと、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とにレーザ照射するレーザ装置と、前記レーザ装置及び前記レーザ装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記アクチュエータを制御して、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを離間させ、前記レーザ装置を制御して、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを離間させた状態で、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とにレーザ照射を行うことにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ洗浄し、前記アクチュエータを制御して、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを接触させ、前記レーザ装置を制御して、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを接触させた状態で、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とにレーザ照射を行うことにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ溶接する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、作業員が被溶接部を手作業で洗浄する工程を省くことが可能となり、作業員の作業を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、溶接装置の模式図である。
図2図2は、支持体に板金が巻き付けられた状態の支持装置を示す模式図である。
図3図3は、第1移動体及び第2移動体が支持体の内側に移動した状態を示す模式図である。
図4図4は、第1係止部及び第2係止部付近の模式図である。
図5図5は、第1被溶接部をレーザ洗浄する様子を示す模式図である。
図6図6は、第2被溶接部をレーザ洗浄する様子を示す模式図である。
図7図7は、第1被溶接部と第2被溶接部とをレーザ溶接する様子を示す模式図である。
図8図8は、制御装置により行われる溶接処理を示すフローチャートである。
図9図9は、溶接装置の模式図である。
図10図10は、支持体に板金が巻き付けられた状態の支持装置を示す模式図である。
図11図11は、第1半球体と第2半球体とが互いに近づく方向に移動した状態を示す模式図である。
図12図12は、第1被溶接部をレーザ洗浄する様子を示す模式図である。
図13図13は、第2被溶接部をレーザ洗浄する様子を示す模式図である。
図14図14は、第1被溶接部と第2被溶接部とをレーザ溶接する様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1の実施形態〕
[溶接装置の構成]
図1は、溶接装置10の模式図である。図2は、支持体12に板金14が巻き付けられた状態の支持装置16を示す模式図である。溶接装置10は、円筒形状の板金14の端面同士をレーザ溶接する装置である。板金14は、本発明の対象物に相当する。溶接装置10は、支持装置16、洗浄用レーザ装置18、溶接用レーザ装置19、アクチュエータ20、モータ22及び制御装置24を有する。洗浄用レーザ装置18及び溶接用レーザ装置19は、本発明のレーザ装置に相当する。
【0011】
支持装置16は、支持体12と基台26とを有する。支持体12は、円筒形状に形成される。図2に示すように、ロール成形された板金14が、支持体12の外周面28に巻き付けられる。支持体12は、外周面28の周方向に回転可能に基台26に支持される。板金14は、鋼板であってもよい。板金14は、鋼以外の金属から形成される板材であってもよい。
【0012】
洗浄用レーザ装置18は、レーザ発振器42及びヘッド44を有する。レーザ発振器42は、レーザビームを発生させる。レーザビームは、ヘッド44から照射される。ヘッド44は、不図示のロボット等に取り付けられ、移動可能である。
【0013】
溶接用レーザ装置19は、レーザ発振器43及びヘッド45を有する。レーザ発振器43は、レーザビームを発生させる。レーザビームは、ヘッド45から照射される。ヘッド45は、不図示のロボット等に取り付けられ、移動可能である。
【0014】
洗浄用レーザ装置18の出力は100W程度であるのに対して、溶接用レーザ装置19の出力は400W程度である。また、溶接用レーザ装置19の集光径は、洗浄用レーザ装置18の集光径よりも小さい。
【0015】
アクチュエータ20は、支持体12に設けられた第1移動体46と第2移動体48とを移動させる。第1移動体46が支持体12の内側に向かって移動することにより、第1移動体46の全体が支持体12の外周面28よりも内側に位置する。第1移動体46が支持体12の外側に向かって移動することにより、第1移動体46の少なくとも一部が支持体12の外周面28から突出する。第2移動体48が支持体12の内側に向かって移動することにより、第2移動体48の全体が支持体12の外周面28よりも内側に位置する。第2移動体48が支持体12の外側に向かって移動することにより、第2移動体48の少なくとも一部が支持体12の外周面28から突出する。
【0016】
支持体12は、第1係止部30と第2係止部32とを有する。図3は、第1移動体46及び第2移動体48が支持体12の内側に移動した状態を示す模式図である。図4は、第1係止部30及び第2係止部32付近の模式図である。図4は、支持体12の外周側から見た図である。
【0017】
板金14は、第1切欠部34と第2切欠部36とを有する。第1移動体46及び第2移動体48が支持体12の内側に移動した状態において、第1切欠部34と第2切欠部36との間に、板金14の第1端面である第1被溶接部38と、板金14の第2端面である第2被溶接部40とが位置する。第1切欠部34は第1係止部30に係止され、板金14と第1係止部30とが、図4に示す点Aにおいて当接する。第2切欠部36は第2係止部32に係止され、板金14と第2係止部32とが、図4に示す点Bにおいて当接する。そのため、板金14は、支持体12に対して位置決めされる。これにより、支持体12は、第1被溶接部38と第2被溶接部40とが向かい合うように板金14を支持する。
【0018】
モータ22は、基台26に対して支持体12を、外周面28の周方向に回転させる。
【0019】
制御装置24は、洗浄用レーザ装置18、溶接用レーザ装置19、アクチュエータ20及びモータ22を制御する。制御装置24は、演算部50及び記憶部52を有する。演算部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサである。演算部50は、レーザ装置制御部54、アクチュエータ制御部56及びモータ制御部58を有する。レーザ装置制御部54、アクチュエータ制御部56及びモータ制御部58は、記憶部52に記憶されているプログラムが演算部50によって実行されることによって実現される。レーザ装置制御部54、アクチュエータ制御部56及びモータ制御部58の少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。レーザ装置制御部54、アクチュエータ制御部56及びモータ制御部58の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって実現されてもよい。
【0020】
記憶部52は、コンピュータ可読記憶媒体である、不図示の揮発性メモリ及び不図示の不揮発性メモリにより構成される。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)等である。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等である。データ等が、例えば、揮発性メモリに記憶される。プログラム、テーブル、マップ等が、例えば、不揮発性メモリに記憶される。記憶部52の少なくとも一部が、上述したプロセッサ、集積回路等に備えられていてもよい。記憶部52の少なくとも一部が、制御装置24とネットワークによって接続された機器に搭載されていてもよい。
【0021】
[溶接方法]
板金14の溶接方法について以下に説明する。図5は、第1被溶接部38をレーザ洗浄する様子を示す模式図である。図6は、第2被溶接部40をレーザ洗浄する様子を示す模式図である。図7は、第1被溶接部38と第2被溶接部40とをレーザ溶接する様子を示す模式図である。
【0022】
まず、前述の図2に示すように、第1移動体46及び第2移動体48が支持体12の外周面28から突出した状態で、作業員は支持体12の外周面28に板金14を巻き付ける。これにより、板金14は支持体12により支持される。外周面28に板金14を巻き付ける作業は、ロボット等により行われてもよい。
【0023】
次に、モータ制御部58がモータ22を制御して、モータ22により図5に示す矢印Cの方向に支持体12を回転させる。これにより、図5に示すように、第1被溶接部38が上方を向いた状態となる。さらに、レーザ装置制御部54が洗浄用レーザ装置18を制御して、ヘッド44から第1被溶接部38にレーザビームを照射させる。第1被溶接部38に付着しているオイル等は、レーザビームのエネルギを吸収して蒸発し、第1被溶接部38からオイル等が脱離する。または、レーザビームが照射された照射面において発生するプラズマによる衝撃波及び熱膨張圧により、第1被溶接部38に付着しているオイル等が第1被溶接部38から脱離する。これにより、第1被溶接部38がレーザ洗浄される。
【0024】
次に、モータ制御部58がモータ22を制御して、モータ22により図6に示す矢印Dの方向に支持体12を回転させる。これにより、図6に示すように、第2被溶接部40が上方を向いた状態となる。さらに、レーザ装置制御部54が洗浄用レーザ装置18を制御して、ヘッド44から第2被溶接部40にレーザビームを照射させる。これにより、第2被溶接部40がレーザ洗浄される。これにより、第2被溶接部40に付着していたオイル等が除去される。
【0025】
次に、アクチュエータ制御部56がアクチュエータ20を制御して、アクチュエータ20により第1移動体46を支持体12の内側に向かって移動させる。また、アクチュエータ制御部56がアクチュエータ20を制御して、アクチュエータ20により第2移動体48を支持体12の内側に向かって移動させる。これにより、第1被溶接部38と第2被溶接部40とが接触する。
【0026】
次に、モータ制御部58がモータ22を制御して、モータ22により図7に示す矢印Eの方向に支持体12を回転させる。これにより、第1被溶接部38と第2被溶接部40とが、支持体12よりも上方に位置する状態となる。
【0027】
最後に、第1被溶接部38と第2被溶接部40とを接触させた状態で、レーザ装置制御部54が溶接用レーザ装置19を制御して、ヘッド45から第1被溶接部38と第2被溶接部40とにレーザビームを照射させる。第1被溶接部38と第2被溶接部40とは、レーザビームのエネルギを吸収して溶融し、第1被溶接部38の母材と第2被溶接部40の母材とが混ざり合い、その後、凝固することにより、第1被溶接部38と第2被溶接部40とが接合する。これにより、第1被溶接部38と第2被溶接部40とがレーザ溶接される。
【0028】
[溶接処理]
図8は、制御装置24により行われる溶接処理を示すフローチャートである。溶接処理が行われる前に、第1移動体46及び第2移動体48が支持体12の外周面28から突出した状態で、作業員は、支持体12の外周面28に板金14を巻き付ける。
【0029】
ステップS1において、モータ制御部58は、モータ22を制御して、第1被溶接部38が上方を向く状態とする。さらに、レーザ装置制御部54は、洗浄用レーザ装置18を制御して、第1被溶接部38をレーザ洗浄する。その後、ステップS2へ移行する。
【0030】
ステップS2において、モータ制御部58は、モータ22を制御して、第2被溶接部40が上方を向く状態とする。さらに、レーザ装置制御部54は、洗浄用レーザ装置18を制御して、第2被溶接部40をレーザ洗浄する。その後、ステップS3へ移行する。
【0031】
ステップS3において、アクチュエータ制御部56は、アクチュエータ20を制御して、第1被溶接部38と第2被溶接部40とを接触させる。その後、ステップS4へ移行する。
【0032】
ステップS4において、モータ制御部58は、モータ22を制御して、第1被溶接部38と第2被溶接部40とが支持体12よりも上方に位置する状態とする。さらに、レーザ装置制御部54は、溶接用レーザ装置19を制御して、第1被溶接部38と第2被溶接部40とをレーザ溶接する。その後、溶接処理が終了する。
【0033】
[作用効果]
本実施形態の溶接方法では、支持体12によって板金14が支持される。支持体12に板金14が支持された状態で、板金14の第1被溶接部38と第2被溶接部40とにレーザビームが照射されて、第1被溶接部38と第2被溶接部40とがレーザ洗浄される。さらに、支持体12に板金14が支持された状態で、板金14の第1被溶接部38と第2被溶接部40とにレーザビームが照射されて、第1被溶接部38と第2被溶接部40とがレーザ溶接される。これにより、支持体12に板金14が支持された状態で、板金14に対してレーザ洗浄とレーザ溶接とが行われる。その結果、作業員が第1被溶接部38と第2被溶接部40とを手作業で洗浄する工程を省くことができ、作業員の作業を簡略化できる。
【0034】
本実施形態の溶接方法では、アクチュエータ20を用いて第1被溶接部38と第2被溶接部40とを離間させた状態で、第1被溶接部38と第2被溶接部40とがレーザ洗浄される。さらに、アクチュエータ20を用いて第1被溶接部38と第2被溶接部40とを接触させた状態で、第1被溶接部38と第2被溶接部40とがレーザ溶接される。これにより、作業員が手作業で第1被溶接部38と第2被溶接部40とを洗浄する工程を省くことができ、作業員の作業を簡略化できる。
【0035】
本実施形態の溶接装置10は、支持体12、アクチュエータ20、洗浄用レーザ装置18、溶接用レーザ装置19及び制御装置24を備える。制御装置24は、アクチュエータ20を制御して、板金14の第1被溶接部38と第2被溶接部40とを離間させる。さらに、制御装置24は、洗浄用レーザ装置18を制御して、第1被溶接部38と第2被溶接部40とを離間させた状態で、第1被溶接部38と第2被溶接部40とにレーザ照射を行うことにより、第1被溶接部38と第2被溶接部40とをレーザ洗浄する。さらに、制御装置24は、アクチュエータ20を制御して、第1被溶接部38と第2被溶接部40とを接触させる。さらに、制御装置24は、溶接用レーザ装置19を制御して、第1被溶接部38と第2被溶接部40とを接触させた状態で、第1被溶接部38と第2被溶接部40とにレーザ照射を行うことにより、第1被溶接部38と第2被溶接部40とをレーザ溶接する。これにより、支持体12に板金14が支持された状態で、板金14に対してレーザ洗浄とレーザ溶接とが行われる。その結果、作業員が手作業で第1被溶接部38と第2被溶接部40とを洗浄する工程を省くことができ、作業員の作業を簡略化できる。
【0036】
本実施形態の溶接装置10では、支持体12は、支持体12の外周面28から外側に突出する方向に移動可能な第1移動体46と第2移動体48とを有する。さらに、アクチュエータ20は、第1移動体46を移動させることにより、第1被溶接部38を、支持体12の径方向外側に向かって移動させる。また、アクチュエータ20は、第2移動体48を移動させることにより、第2被溶接部40を、支持体12の径方向外側に向かって移動させる。これにより、支持体12が板金14を支持した状態で、第1被溶接部38と第2被溶接部40とを離間させることができる。
【0037】
〔第2の実施形態〕
[溶接装置の構成]
図9は、溶接装置10の模式図である。図10は、支持体12に板金14が巻き付けられた状態の支持装置16を示す模式図である。
【0038】
第1の実施形態の溶接装置10では、支持体12は第1移動体46と第2移動体48を有する。また、アクチュエータ20が、第1移動体46と第2移動体48を、支持体12の外周面28から突出する方向に移動させる。これに対して、本実施形態の溶接装置10では、支持体12は第1半球体60と第2半球体62とを有する。また、アクチュエータ20が、第1半球体60と第2半球体62とを互いに離れる方向に移動させる。本実施形態の溶接装置10のその他の構成は、第1の実施形態の溶接装置10と同じである。
【0039】
図11は、第1半球体60と第2半球体62とが互いに近づく方向に移動した状態を示す模式図である。アクチュエータ20は、第1半球体60と第2半球体62とを移動させる。第1半球体60と第2半球体62とが互いに近づく方向に移動することにより、支持体12の外周面28の周方向長さは短くなる。これにより、第1被溶接部38と第2被溶接部40とが接触する。
【0040】
[溶接方法]
板金14の溶接方法について以下に説明する。図12は、第1被溶接部38をレーザ洗浄する様子を示す模式図である。図13は、第2被溶接部40をレーザ洗浄する様子を示す模式図である。図14は、第1被溶接部38と第2被溶接部40とをレーザ溶接する様子を示す模式図である。
【0041】
まず、前述の図10に示すように、第1半球体60と第2半球体62とを互いに離れる方向に移動させた状態で、作業員は支持体12の外周面28に板金14を巻き付ける。これにより、板金14が支持体12により支持される。外周面28に板金14を巻き付ける作業は、ロボット等により行われてもよい。
【0042】
次に、モータ制御部58がモータ22を制御して、モータ22により図12に示す矢印Cの方向に支持体12を回転させる。これにより、図12に示すように、第1被溶接部38が上方を向いた状態となる。さらに、レーザ装置制御部54が洗浄用レーザ装置18を制御して、ヘッド44から第1被溶接部38にレーザビームを照射させる。これにより、第1被溶接部38がレーザ洗浄される。レーザ洗浄により、第1被溶接部38に付着していたオイル等が除去される。
【0043】
次に、モータ制御部58がモータ22を制御して、モータ22により図13に示す矢印Dの方向に支持体12を回転させる。これにより、図13に示すように、第2被溶接部40が上方を向いた状態となる。さらに、レーザ装置制御部54が洗浄用レーザ装置18を制御して、ヘッド44から第2被溶接部40にレーザビームを照射させる。これにより、第2被溶接部40がレーザ洗浄される。また、第2被溶接部40に付着していたオイル等が除去される。
【0044】
次に、アクチュエータ制御部56がアクチュエータ20を制御して、アクチュエータ20により第1半球体60と第2半球体62とを互いに近づく方向に移動させる。これにより、第1被溶接部38と第2被溶接部40とが接触する。
【0045】
次に、モータ制御部58がモータ22を制御して、モータ22により図14に示す矢印Eの方向に支持体12を回転させる。これにより、第1被溶接部38と第2被溶接部40とが、支持体12よりも上方に位置する状態となる。
【0046】
最後に、第1被溶接部38と第2被溶接部40とを接触させた状態で、レーザ装置制御部54が溶接用レーザ装置19を制御して、ヘッド45から第1被溶接部38と第2被溶接部40とにレーザビームを照射させる。これにより、第1被溶接部38と第2被溶接部40とがレーザ溶接される。
【0047】
[作用効果]
本実施形態の溶接装置10では、支持体12は、互いに離れる方向に移動可能な第1半球体60と第2半球体62とを有する。さらに、アクチュエータ20は、第1半球体60と第2半球体62とを互いに離れる方向に移動させる。これにより、支持体12が板金14を支持した状態で、第1被溶接部38と第2被溶接部40とを離間させることができる。
【0048】
〔実施形態から得られる発明〕
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0049】
溶接方法は、溶接の対象となる対象物(14)を支持体(12)によって支持する支持ステップと、前記支持体によって前記対象物が支持された状態で、前記対象物の第1被溶接部(38)と、前記対象物の第2被溶接部(40)とにレーザ照射することにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ洗浄する洗浄ステップと、前記支持体によって前記対象物が支持された状態で、レーザ洗浄された前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とにレーザ照射することにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ溶接する溶接ステップと、を備える。これにより、作業員が第1被溶接部と第2被溶接部とを手作業で洗浄する工程を省くことができ、作業員の作業を簡略化できる。
【0050】
上記の溶接方法において、前記対象物は、板金であり、前記支持ステップでは、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とが向かい合うように、円筒形状の前記支持体の外周面(28)に前記板金を巻き付け、前記洗浄ステップでは、アクチュエータ(20)を用いて前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを離間させた状態で、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ洗浄し、前記溶接ステップでは、前記アクチュエータを用いて前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを接触させた状態で、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ溶接してもよい。これにより、作業員が第1被溶接部と第2被溶接部とを手作業で洗浄する工程を省くことができ、作業員の作業を簡略化できる。
【0051】
溶接装置(10)は、外周面に板金が巻き付けられて、前記板金の第1被溶接部と前記板金の第2被溶接部とが向かい合うように、前記板金を支持する円筒形状の支持体と、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを相対移動させるアクチュエータと、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とにレーザ照射するレーザ装置(18、19)と、前記レーザ装置及び前記レーザ装置を制御する制御装置(24)と、を備え、前記制御装置は、前記アクチュエータを制御して、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを離間させ、前記レーザ装置を制御して、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを離間させた状態で、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とにレーザ照射を行うことにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ洗浄し、前記アクチュエータを制御して、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを接触させ、前記レーザ装置を制御して、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを接触させた状態で、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とにレーザ照射を行うことにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とをレーザ溶接する。これにより、作業員が第1被溶接部と第2被溶接部とを手作業で洗浄する工程を省くことができ、作業員の作業を簡略化できる。
【0052】
上記の溶接装置において、前記支持体は、前記外周面から外側に突出する方向に移動可能な第1移動体(46)と第2移動体(48)とを有し、前記アクチュエータは、前記第1移動体を移動させることにより、前記第1被溶接部を前記支持体の径方向外側に移動させるとともに、前記第2移動体を移動させることにより、前記第2被溶接部を前記支持体の径方向外側に移動させて、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを離間させた状態としてもよい。これにより、支持体が板金を支持した状態で、第1被溶接部と第2被溶接部とを離間させることができる。
【0053】
上記の溶接装置において、前記支持体は、互いに離れる方向に移動することにより、前記外周面の周方向長さを長くする第1半球体(60)と第2半球体(62)とを有し、前記アクチュエータは、前記第1半球体と前記第2半球体とを互いに離れる方向に移動させることにより、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを前記外周面の周方向に移動させて、前記第1被溶接部と前記第2被溶接部とを離間させた状態としてもよい。これにより、支持体が板金を支持した状態で、第1被溶接部と第2被溶接部とを離間させることができる。
【0054】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【0055】
第1の実施形態及び第2の実施形態では、円筒形状にロール成形された1枚の板金14が、板金14の第1端面である第1被溶接部38と、板金14の第2端面である第2被溶接部40とを向かい合わせて接触させた状態でレーザ溶接される。これに対して、板金14の端部同士が重ね合わされた状態でレーザ溶接されてもよい。
【0056】
第1の実施形態及び第2の実施形態では、円筒形状に成形された1枚の板金14の第1被溶接部38と第2被溶接部40とがレーザ洗浄された後に、レーザ溶接される。これに対して、1枚の板金14の被溶接部と、別の板金14の被溶接部とがレーザ洗浄された後に、レーザ溶接されてもよい。
【0057】
支持体12の外周面28に巻き付けられた板金14の第1被溶接部38と第2被溶接部40とを離間させる構成は、第1の実施形態の第1移動体46、第2移動体48、第2の実施形態の第1半球体60、第2半球体62に限られない。
【符号の説明】
【0058】
10…溶接装置 12…支持体
14…板金(対象物) 18…洗浄用レーザ装置(レーザ装置)
19…溶接用レーザ装置(レーザ装置) 20…アクチュエータ
24…制御装置 28…外周面
38…第1被溶接部 40…第2被溶接部
46…第1移動体 48…第2移動体
60…第1半球体 62…第2半球体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14