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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100480
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】プレス機械及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/00 20060101AFI20240719BHJP
   B21D 37/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B30B15/00 D
B21D37/00 B
B30B15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004506
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴大
【テーマコード(参考)】
4E088
【Fターム(参考)】
4E088KK07
4E088KK11
4E088LL03
(57)【要約】
【課題】操作盤と金型交換装置の搬送部とが接触することを抑制するプレス機械及び制御方法を提供する。
【解決手段】金型交換装置2を搭載したプレス機械100であって、加工機本体1に移動可能に設けられ、金型交換を指示する操作を受け付ける操作盤4と、操作盤4が移動可能な領域のうち、搬送部31と接触しない非接触領域(第1の領域RP1)に位置する前記操作盤4を検知する位置検知部7と、加工機本体1の作業エリアWA内に存在する物体の有無を検知する物体検知部6と、位置検知部7によって操作盤4が検知されている状態で操作盤4に対する操作が行われ、且つ、操作盤4が検知されている状態で物体検知部6によって物体が存在しないことが検知された場合には金型交換を実行させる制御装置9と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機本体に対して搬送部により金型を搬送して金型交換を行う金型交換装置を搭載したプレス機械であって、
前記加工機本体に移動可能に設けられ、前記金型交換を指示する操作を受け付ける操作盤と、
前記操作盤が移動可能な領域のうち、前記搬送部と接触しない非接触領域に位置する前記操作盤を検知する位置検知部と、
前記加工機本体の作業エリア内に存在する物体の有無を検知する物体検知部と、
前記位置検知部によって前記操作盤が検知されている状態で前記操作盤に対する前記操作が行われ、且つ、前記操作盤が検知されている状態で前記物体検知部によって前記物体が存在しないことが検知された場合には前記金型交換を実行させる制御装置と、
を備えるプレス機械。
【請求項2】
前記制御装置は、前記操作盤が検知されている状態で前記操作盤に対する前記操作が行われてから前記物体検知部によって前記物体が存在しないことが検知された場合は、前記金型交換を実行させる
請求項1に記載のプレス機械。
【請求項3】
前記操作盤は、前記非接触領域と、移動中の前記搬送部に接触する領域である接触領域との間を移動可能に設けられている、
請求項1に記載のプレス機械。
【請求項4】
前記作業エリアの少なくとも一部を囲む安全柵を備え、
前記非接触領域は、前記安全柵の内側の領域の一部である、
請求項1に記載のプレス機械。
【請求項5】
前記物体検知部は、前記安全柵に設けられ、前記作業エリア内に向けて照射する光を用いて前記作業エリア内の物体を検知する、
請求項1に記載のプレス機械。
【請求項6】
前記操作盤を水平方向に旋回させる旋回機構と、
前記操作盤が前記安全柵の外側に旋回することを規制するストッパと、
を備え、
前記ストッパによって前記旋回機構の旋回が規制されている状態が、前記操作盤が前記非接触領域に位置する状態である、
請求項1に記載のプレス機械。
【請求項7】
前記制御装置は、前記操作が行われた場合には前記プレス機械から離れることを促すメッセージを前記操作盤又は前記加工機本体の表示部に表示し、所定時間が経過した時点で前記物体検知部によって前記作業エリア内に物体が存在することが検知されている場合には、前記金型交換を実行せずに前記物体が検知されていることを示すメッセージを前記操作盤又は前記加工機本体の表示部に表示する、
請求項1に記載のプレス機械。
【請求項8】
加工機本体に対して搬送部により金型を搬送して金型交換を行う金型交換装置を搭載したプレス機械の制御方法であって、
前記加工機本体に移動可能に設けられた操作盤に対して前記金型交換を指示する操作を受け付けることと、
前記操作を受け付けた際に、前記操作盤が前記搬送部と接触しない非接触領域に位置しているかを位置検知部によって確認することと、
前記操作盤が前記非接触領域に位置する場合には、前記加工機本体の作業エリア内に物体が存在していないことを物体検知部によって確認することと、
前記作業エリア内に前記物体が存在しないことが確認された場合には前記金型交換を実行させることと、
を含む制御方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス機械及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機械は、ワークを金型である上型と下型とで挟み込み、ワークに対して成形加工などのプレス加工を施す。プレス機械の一つとして、板状のワークに曲げ加工を施すプレスブレーキが知られている。プレスブレーキは、ワークに対して所望の曲げ加工を行うため、金型(上型、下型及びスペーサを含む)の配置あるいは種類を変更する場合がある。そこで、金型交換装置によりプレスブレーキに対して金型を搬送部によって搬送して自動で金型を交換する構成が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-42919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者は、金型交換装置による金型交換を実行させる場合には、プレス機械の操作盤に対して金型交換を指示する操作を行う必要がある。ただし、金型交換が開始された際の操作盤の位置によっては、金型交換によって移動中の搬送部が操作盤と接触してしまう場合がある。
【0005】
本発明の目的は、操作盤と金型交換装置の搬送部とが接触することを抑制するプレス機械及び制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るプレス機械は、加工機本体に対して搬送部により金型を搬送して金型交換を行う金型交換装置を搭載したプレス機械であって、加工機本体に移動可能に設けられ、金型交換を指示する操作を受け付ける操作盤と、操作盤が移動可能な領域のうち、搬送部と接触しない非接触領域に位置する操作盤を検知する位置検知部と、加工機本体の作業エリア内に存在する物体の有無を検知する物体検知部と、位置検知部によって操作盤が検知されている状態で操作盤に対する操作が行われ、且つ、操作盤が検知されている状態で物体検知部によって物体が存在しないことが検知された場合には金型交換を実行させる制御装置と、を備える。
【0007】
本発明の態様に係る制御方法は、加工機本体に対して搬送部により金型を搬送して金型交換を行う金型交換装置を搭載したプレス機械の制御方法であって、加工機本体に移動可能に設けられた操作盤に対して金型交換を指示する操作を受け付けることと、操作を受け付けた際に、操作盤が搬送部と接触しない非接触領域に位置しているかを位置検知部によって確認することと、操作盤が非接触領域に位置する場合には、加工機本体の作業エリア内に物体が存在していないことを物体検知部によって確認することと、作業エリア内に物体が存在しないことが確認された場合には金型交換を実行させることと、を含む制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
上記態様に係るプレス機械及び制御方法によれば、操作盤が非接触領域に位置している状態で操作盤に対する操作が行われ、且つ、作業エリア内に物体が存在しないことが確認された場合には金型交換装置による金型交換を実行させるため、操作盤と金型交換装置の搬送部とが接触することを抑制することができる。
【0009】
また、上記態様に係るプレス機械において、制御装置は、操作盤が検知されている状態で操作盤に対する操作が行われてから物体検知部によって物体が存在しないことが検知された場合は、金型交換を実行させてもよい。この構成によれば、作業者が作業エリアを出たことを確認してから金型交換を実行させることが可能となり、作業者の安全をより確保することができる。
【0010】
また、上記態様に係るプレス機械において、操作盤は、非接触領域と、移動中の搬送部に接触する領域である接触領域との間を移動可能に設けられてもよい。また、上記態様に係るプレス機械において、作業エリアの外側に設けられた安全柵を備え、非接触領域は、安全柵の内側の領域の一部であってもよい。この構成によれば、作業者は、操作盤に対して金型交換を指示する操作を行う場合に、操作盤を安全柵の外に移動させる必要がなく、作業効率の低下を抑制させることができる。
【0011】
また、上記態様に係るプレス機械において、物体検知部は、安全柵に設けられ、作業エリア内に向けて照射する光を用いて作業エリア内の物体を検知してもよい。また、上記態様に係るプレス機械において、操作盤を水平方向に旋回させる旋回機構と、操作盤が安全柵の外側に旋回することを規制するストッパと、を備え、ストッパによって旋回機構の旋回が規制されている状態が、操作盤が非接触領域に位置する状態であってもよい。この構成によれば、作業者は、操作盤を非接触領域に容易に位置させることが可能となる。
【0012】
また、上記態様に係るプレス機械において、制御装置は、操作が行われた場合にはプレス機械から離れることを促すメッセージを操作盤又は加工機本体の表示部に表示し、所定時間が経過した時点で物体検知部によって作業エリア内に物体が存在することが検知されている場合には、金型交換を実行せずに物体が検知されていることを示すメッセージを操作盤又は加工機本体の表示部に表示してもよい。この構成によれば、作業者は、金型交換装置による金型交換を実行させるにあたって、メッセージを確認して適切な行動を取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係るプレス機械の一例を示す正面図である。
図2】本実施形態に係るプレス機械のブロック図である。
図3】本実施形態に係る操作盤が移動可能な領域を説明する図である。
図4】本実施形態に係る操作盤が第1の領域(非接触領域)に位置する様子を示す斜視図である。
図5】本実施形態に係る操作盤が第2の領域に位置する様子を示す斜視図である。
図6】本実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図7】本実施形態に係るプロセッサの機能ブロック図である。
図8】本実施形態に係る自動金型交換の開始方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0015】
部材の位置や方向などは、XYZ直交座標系を参照して説明する場合がある。このXYZ直交座標系において、X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。X方向は±X方向であり、Y方向は前後方向である。また、X方向、Y方向、及びZ方向の方向において、矢印が指す方向を+方向(例えば+X方向)と称し、矢印と反対側の方向を-方向(例えば-Z方向)と称す。
【0016】
図1は、本実施形態に係るプレス機械100の一例を示す正面図である。図2は、本実施形態に係るプレス機械100のブロック図である。プレス機械100は、例えば、ワークに曲げ加工を行うことが可能なプレスブレーキである。本実施形態では、プレス機械100がプレスブレーキである場合を例に挙げて説明するが、これに限定されない。例えば、プレス機械100は、ワークに対して打ち抜き加工(パンチ加工ともいう)を行ってもよいし、曲げ加工以外の成形加工を行ってもよい。
【0017】
図1及び図2に示すように、プレス機械100は、加工機本体1と、金型交換装置(Auto Tool Changer)2と、旋回機構3と、操作盤4と、安全柵5と、物体検知部6と、位置検知部7と、ストッパ8と、制御装置9とを備える。
【0018】
加工機本体1において、-Y方向における正面側は、作業者の作業エリアWAである。加工機本体1には、金型200が取り付けられる。金型200は、例えば、上型であってもよいし、下型であってもよいし、その両方であってもよい。作業者は、加工機本体1の正面側からワークを所定位置に配置する。そして、加工機本体1は、所定位置に配置されたワークを、上型と下型とで挟み込むことにより、ワークに対して曲げ加工を行う。
【0019】
加工機本体1は、本体フレーム10と、テーブル11と、下型案内レール12と、側部カバー13と、駆動装置14と、ラム15と、上型案内レール16と、投影装置17とを備える。本体フレーム10は、プレス機械100の外郭を形成する。テーブル11は、本体フレーム10の正面側に取り付けられており、下型案内レール12を固定している。
【0020】
下型案内レール12は、例えばテーブル11の上面に設けられ、下型(図示せず)を±X方向(搬送方向)に沿って案内する。下型は、下型案内レール12に案内されながら移動可能であり、任意の位置で固定される。また、加工機本体1は、例えば、ワークを±Y方向に突き当てて位置決めするためのバックゲージ(図示せず)を備える。
【0021】
側部カバー13は、本体フレーム10の±X方向の両側の側部上方にそれぞれ設けられている。側部カバー13は、それぞれラム15の±X方向の側部の上方を覆うように配置されている。
【0022】
駆動装置14は、本体フレーム10に支持されて左右一対設けられている。一対の駆動装置14は、ラム15をZ方向に移動(昇降)させる。駆動装置14には、例えば、ボールねじ又はナットを電動モータ等により回転させてラム15を昇降させる機構、あるいは油圧シリンダ装置又は空圧シリンダ装置を用いてラム15を昇降させる機構などが適用される。駆動装置14は、制御装置9により制御される。
【0023】
ラム15は、本体フレーム10のガイド部(図示せず)により、本体フレーム10に昇降可能に支持されている。ラム15は、駆動装置14の駆動によって昇降し、テーブル11上の下型220に対して近接又は離間する。
【0024】
ラム15の下部には、上型案内レール16が取り付けられている。上型案内レール16は、±X方向に沿って設けられている。上型案内レール16は、±X方向に搬送する上型を案内する。上型案内レール16は、上型を吊り下げた状態で支持可能である。
【0025】
上型は、上型案内レール16の所定位置においてラム15に固定される。上型は、上型案内レール16の任意の位置で固定された際、下端である刃先が下型の凹部(図示せず)に対向しており、かつ刃先が±X方向に沿うように配置される。ラム15に固定された上型は、ラム15とともに昇降する。上型案内レール16に保持される複数の上型は、それぞれ±X方向の寸法が同一であってもよいし、±X方向の寸法が異なる上型と組み合わせて用いられてもよい。プレス機械100は、ラム15の下降に伴って上型が下型に向かって下降し、上型と下型とでワークを挟み込むことでワークに対して曲げ加工を行う。
【0026】
投影装置17は、加工機本体1に設けられ、ラム15の少なくとも一部を含む投影領域PAに、曲げ加工を支援するための画像や利用者に報知するための情報を投影する。投影装置17は、例えば、制御装置9によって制御される。
【0027】
金型交換装置2は、加工機本体1に対して金型200を交換する。金型交換装置2は、例えば、ストッカ20と、搬送装置21とを備える。
【0028】
ストッカ20は、1つ又は複数のラック20aを有する。ストッカ20が複数のラック20aを備える場合、複数のラック20aをY方向に並べた状態で収容してもよい。ラック20aは、1つ又は複数の金型案内レール20bを有する。1つのラック20aに複数の金型案内レール20bを備える場合、複数の金型案内レール20bは、例えばZ方向に並べて配置される。
【0029】
金型案内レール20bは、それぞれ±X方向に延びて金型200を案内する。金型案内レール20bは、金型200を吊り下げた状態で支持可能である。金型案内レール20bは、±X方向に搬送する金型200を案内可能である。金型案内レール20bにおいて、金型200を吊り下げる部分の形状は、上記した上型案内レール16と同様又はほぼ同様である。1つのラック20aに設けられる金型案内レール20bの数は、ラック20aの大きさ及び吊り下げる金型200の寸法等によって決定される。
【0030】
また、金型案内レール20bは、上型210の他にスペーサを吊り下げた状態で保管してもよい。このスペーサは、上型案内レール16において、上型210同士の間に配置されることで上型210同士の±X方向の間隔を規定するために用いられる。スペーサは、搬送装置21によって上型210と同様に個別に搬送されてもよいし、上型210を搬送する際に、その上型210の搬送方向における前側に配置されて、上型210とともに搬送されてもよい。なお、スペーサが用いられるか否かは任意である。
【0031】
搬送装置21は、加工機本体1とラック20aとの間で金型200を搬送する。搬送装置21は、例えば、金型案内レール20bに支持されている金型200を、加工機本体1の上型案内レール16や下型案内レール12に搬送し、加工機本体1に取り付ける。また、搬送装置21は、加工機本体1に取り付けられている金型200を取り外し、その取り外した金型200をストッカ20に収納可能である。搬送装置21は、例えば、搬送用ガイド30と、搬送部31とを有する。
【0032】
搬送用ガイド30は、搬送部31を±X方向に案内する。搬送用ガイド30は、例えば、テーブル11に設けられている。搬送用ガイド30は、±X方向に沿って直線状に延びている。搬送用ガイド30は、例えば、上型案内レール16及び金型案内レール20bと並行している。
【0033】
搬送部31は、搬送用ガイド30に案内されながら、+±X方向に沿って移動可能である。搬送部31は、プレス機械100に対して金型200の取り付け及び取り外しが可能である。搬送部31は、例えば、スライダ31aと、昇降ロッド31bと、ヘッド31cとを有する。
【0034】
スライダ31aは、図示しない駆動部により搬送用ガイド30に沿って±X方向に往復移動が可能である。昇降ロッド31bは、スライダ31aに昇降可能に設けられ、図示しない駆動部により±Z方向に沿って昇降可能である。ヘッド31cは、昇降ロッド31bの上端に設けられ、昇降ロッド31bの昇降とともに±Z方向に沿って昇降する。このような構成により、搬送部31は、搬送用ガイド30及び昇降ロッド31bのそれぞれの可動範囲においてヘッド31cを±X方向及び±Z方向の任意の位置に配置させることができる。ヘッド31cには、棒状体(図示せず)が設けられている。ヘッド31cは、棒状体を±Y方向に進退させて金型200の穴HLに挿入することで金型200を保持可能である。
【0035】
旋回機構3は、加工機本体1に設けられ、操作盤4を水平方向に旋回させる。例えば、旋回機構3は、鉛直方向と平行する旋回軸3aと、その旋回軸3aを中心として操作盤4を旋回させる旋回アーム3bと、を備える。旋回軸3aは、旋回アーム3bの基端部を回転可能に支持する。旋回アーム3bの先端部には、操作盤4が設けられている。旋回アーム3bは、旋回軸3aに軸支された第1アーム40と、第1アーム40の先端側に配置された第2アーム41とを備える。
【0036】
第2アーム41は、鉛直方向に延びた部材であって、第2アーム41の先端側に操作盤4が設けられている。このように、旋回機構3は、旋回アーム3bより操作盤4を吊り下げ、その操作盤4を水平方向に旋回させることが可能である。したがって、作業者は、旋回アーム3bに所定以上の力を加えることで、旋回アーム3bを旋回させることができ、その結果、操作盤4を移動させることができる。なお、第2アーム41は、操作盤4をZ軸周りに回転可能に支持する。
【0037】
図3は、操作盤4が移動可能な領域を説明する図であって、プレス機械100の一部を上から見た図である。操作盤4が移動可能な領域とは、例えば、図3に示す第1の領域RP1から第2の領域RP2までの範囲である。図4は、操作盤4が第1の領域RP1に位置する様子を示す斜視図である。図5は、操作盤4が第2の領域RP2に位置する様子を示す斜視図である。図3において、二点鎖線の操作盤4が第1の領域RP1に位置する様子を示し、実線の操作盤4が第2の領域RP2に位置する様子を示す。
【0038】
第1の領域RP1は、操作盤4が移動可能な領域のうち、搬送部31と接触しない領域である。より具体的には、第1の領域RP1は、安全柵5(5-1)の内側の領域であって、搬送用ガイド30に案内されながら±X方向に移動する搬送部31と接触しない領域である。安全柵5の内側とは、作業エリアWA側である。換言すれば、第1の領域RP1は、作業エリアWA内であり、且つ、搬送部31と接触しない領域である。また、第1の領域RP1は、操作盤4を第1旋回方向R1に旋回させることができる最大旋回位置である。第2の領域RP2は、搬送用ガイド30に案内されながら±X方向に移動する搬送部31と接触する可能性のある領域である。第2の領域RP2は、例えば、操作盤4を第1旋回方向R1とは反対の第2旋回方向R2に旋回させることができる最大旋回位置である。
【0039】
操作盤4は、加工機本体1に移動可能に設けられる。本実施形態では、操作盤4は、旋回機構3に取り付けられており、旋回機構3によって旋回可能である。操作盤4は、作業者の操作を受け付ける。操作盤4は、例えば、金型交換装置2による金型交換(以下、「自動金型交換」という。)の開始を指示する操作を受け付ける。操作盤4は、例えば、表示装置4a及び操作部4bを備える。表示装置4aは、直視型の例えば液晶表示装置などが用いられる。操作部4bは、キーボード、マウス、又は表示装置4a上に設けられるタッチパネル等である。この場合、操作部4bは、表示装置4aと一体で設けられる。また、表示装置4a上に設けられるタッチパネルには、キーボード等を備えていてもよい。作業者は、操作盤4が第1の領域RP1にある場合に、その操作盤4に対して自動金型交換の開始操作を行う。一方、作業者は、操作盤4が第2の領域RP2にある場合に、その操作盤4を操作しながら、プレス加工の加工プログラムの選択、加工プログラムの確認及び編集、金型の段取りの確認等のプレス加工に関する作業を行う。
【0040】
安全柵5は、作業エリアWAの少なくとも一部を囲む。図1に示す例では、安全柵5は、作業エリアWAの±X方向の両側に設けられている、いわゆるサイドフェンスである。作業エリアWAの+X方向に設置されている安全柵5を「安全柵5-1」と称し、作業エリアWAの-X方向に設置されている安全柵5を「安全柵5-2」と称する。作業エリアWAの±X方向のうち、旋回アーム3bが設けられている方、すなわち安全柵5-1の上方は、旋回アーム3bが通過するための開口300が形成されている。
【0041】
物体検知部6は、加工機本体1の作業エリアWA内に存在する物体の有無を検知する。物体検知部6は、制御装置9に接続されており、物体の有無の検知結果を制御装置9に送信する。検知対象の物体は、人体を含む。例えば、物体検知部6は、加工機本体1の作業エリアWA内への身体侵入を検知する。物体検知部6は、例えば、光線式安全装置であって、安全柵5に設けられている。物体検知部6は、例えば、3つのライトカーテン50(50-1~50-3)を備える。
【0042】
ライトカーテン50-1は、安全柵5に設けられ、正面側からの人の侵入を監視する。例えば、ライトカーテン50-1は、投光器50a-1と、受光器50b-1とを備える。投光器50a-1は、安全柵5-1に設けられ、鉛直方向に列状に配置された複数の投光素子を備える。受光器50b-1は、安全柵5-2に設けられ、投光器50a-1の投光素子に対向するように鉛直方向に列状に配置された複数の受光素子を備える。そして、受光器50b-1における複数の受光素子は、投光器50a-1における複数の投光素子からの光を受光する。
【0043】
受光器50b-1は、制御装置9に接続されており、投光器50a-1からの全ての光を受光しているか否かの信号を制御装置9に送信する。受光器50b-1は、全ての光を受光していないことを示す信号、すなわち光の一部または全てが遮られたことを示す信号を制御装置9に送信することで、作業エリアWA内への人の侵入を検知したことを制御装置9に通知する。
【0044】
ライトカーテン50-2は、安全柵5に設けられ、作業エリアWA内における上方の物体の有無を監視する。例えば、ライトカーテン50-2は、投光器50a-2と、受光器50b-2とを備える。投光器50a-2は、安全柵5-1に設けられ、床面から第1距離の高さにおける水平方向に列状に配置された複数の投光素子を備える。受光器50b-2は、安全柵5-2に設けられ、床面から第1距離の高さにおける水平方向に列状に配置された複数の受光素子を備える。そして、受光器50b-2における複数の受光素子は、投光器50a-2における複数の投光素子からの光を受光する。
【0045】
受光器50b-2は、制御装置9に接続されており、投光器50a-2からの全ての光を受光しているか否かの信号を制御装置9に送信する。受光器50b-2は、全ての光を受光していないことを示す信号、すなわち光の一部または全てが遮られたことを示す信号を制御装置9に送信することで、作業エリアWA内の上方に位置する物体を検知したことを制御装置9に通知する。
【0046】
ライトカーテン50-3は、安全柵5に設けられ、作業エリアWA内における下方の物体の有無を監視する。例えば、ライトカーテン50-3は、投光器50a-3と、受光器50b-3とを備える。投光器50a-3は、安全柵5-1に設けられ、床面から第2距離の高さにおける水平方向に列状に配置された複数の投光素子を備える。第2距離は、第1距離よりも短い。すなわち、投光器50a-3の投光素子は、投光器50a-2の投光素子よりも低い位置において水平方向に設けられている。
【0047】
受光器50b-3は、安全柵5-2に設けられ、床面から第2距離の高さにおける水平方向に列状に配置された複数の受光素子を備える。そして、受光器50b-3における複数の受光素子は、投光器50a-3における複数の投光素子からの光を受光する。受光器50b-3は、制御装置9に接続されており、投光器50a-3からの全ての光を受光しているか否かの信号を制御装置9に送信する。受光器50b-3は、全ての光を受光していないことを示す信号、すなわち光の一部または全てが遮られたことを示す信号を制御装置9に送信することで、作業エリアWA内の下方に位置する物体を検知したことを制御装置9に通知する。
【0048】
位置検知部7は、操作盤4が移動可能な領域のうち、搬送部31と接触しない第1の領域RP1に位置する操作盤4を検知する。位置検知部7は、制御装置9に接続されており、第1の領域RP1に位置する操作盤4を検知した場合には、その旨を制御装置9に送信する。
【0049】
例えば、位置検知部7は、リミットスイッチを備え、操作盤4が第1の領域RP1内に位置している場合にそのリミットスイッチが第1状態となり、操作盤4が第1の領域RP1外に位置していない場合にはリミットスイッチが第1状態とは異なる第2状態となる。第1状態とは、例えば、オン状態である。第2状態とは、例えば、オフ状態である。
【0050】
一例として、位置検知部7は、旋回軸3aに設けられており、操作盤4が第1の領域RP1に位置する際の旋回機構3によって上記リミットスイッチの接点間が導通してオン状態となり、操作盤4が第1の領域RP1から外れると上記リミットスイッチの接点間が開放されてオフ状態となる。そのため、例えば、位置検知部7は、上記リミットスイッチがオン状態の場合には第1レベルの信号を制御装置9に送信し、上記リミットスイッチがオフ状態の場合には、第1レベルとは異なる第2レベルの信号を制御装置9に送信する。一例として、第1レベルがHiレベルの信号であり、第2レベルがLoレベルの信号である。
【0051】
ストッパ8は、操作盤4が安全柵5の外側に旋回することを規制する。ストッパ8は、例えば、操作盤4が第1の領域RP1から第1旋回方向R1に旋回しないように旋回機構3の動きを規制する。一例として、操作盤4が第1の領域RP1に移動すると旋回機構3がストッパ8に当接して操作盤4が第1の領域RP1から第1旋回方向R1に旋回しないように規制される。
【0052】
制御装置9は、プレス機械100の動作を統括して制御する。図6は、本実施形態に係る制御装置9のハードウェア構成の一例を示す図である。図6に示すように、制御装置9は、通信装置60と、プロセッサ61と、記憶装置62とを備える。なお、記憶装置62は、制御装置9の構成ではなく外部の記憶装置であってもよい。記憶装置62が外部の記憶装置である場合には、制御装置9は、記憶装置62に有線又は無線で接続され、記憶装置62と情報を送受する。
【0053】
通信装置60は、外部の装置と通信するための通信インタフェースである。通信装置60が通信する通信ネットワークは、有線でもよいし、無線でもよいし、その両方であってもよい。
【0054】
プロセッサ61は、プレス機械100の動作を制御する。一例として、プロセッサ61は、記憶装置62に記憶されているプログラムPR等を読み出して金型交換装置2の動作を制御したり、プレス機械100の表示部の表示を制御したりする。プレス機械100の表示部とは、例えば、操作盤4の表示装置4aであってもよいし、投影領域PAであってもよい。プロセッサ61は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)の少なくとも1つ以上を含む。
【0055】
記憶装置62は、例えば、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)を含む。プロセッサ61で実行されるプログラムPRは、コンピュータ可読記憶媒体によって提供されてもよいし、有線又は無線の通信ネットワークにより外部装置から提供されてもよい。提供されたプログラムPRは、記憶装置62に格納され、プロセッサ61によって実行される。
【0056】
コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(ERPOM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EERPOM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0057】
本実施形態のプロセッサ61の機能部について、図7を用いて説明する。図7は、本実施形態に係るプロセッサ61の機能ブロック図である。プロセッサ61は、判定部70と、交換制御部71と、表示制御部72とを備える。判定部70と、交換制御部71と、表示制御部72とは、プロセッサ61が記憶装置62内に格納されたプログラムPRを実行することにより実現される。
【0058】
判定部70は、位置検知部7の検知結果に基づいて、操作盤4が第1の領域RP1に位置しているのか否かを判別する位置判別判定を実行する。より具体的には、判定部70は、自動金型交換の開始操作を受け付けたことを示す信号を操作盤4から受信した場合に、位置判別判定を実行する。一例として、判定部70は、位置検知部7から第1レベルの信号を受信している場合には操作盤4が第1の領域RP1に位置していると判定し、位置検知部7から第2レベルの信号を受信している場合には操作盤4が第1の領域RP1には位置していないと判定する。
【0059】
判定部70は、物体検知部6の検知結果に基づいて、加工機本体1の作業エリアWA内に、物体が存在するか否かを判定する物体有無判定を実行する。より具体的には、判定部70は、自動金型交換の実行の前に物体検知部6を作動させ、作業エリアWA内に物体が存在するか否かを判定する物体有無判定を実行する。一例として、判定部70は、位置判別判定によって操作盤4が第1の領域RP1に位置すると判定した場合には、物体検知部6を作動させて物体有無判定を実行する。一例として、判定部70は、物体有無判定において、物体検知部6(例えば、ライトカーテン50-1~300-3の少なくともいずれか)から、光の一部または全てが遮られたことを示す信号を受信した場合には、作業エリアWA内に物体が存在すると判定する。なお、物体検知部6を作動させるタイミングは、特に限定されず、例えば、自動金型交換の開始操作を受け付けたことを契機として物体検知部6を作動させてもよい。
【0060】
交換制御部71は、位置判別判定によって操作盤4が第1の領域RP1には位置していると判定され、且つ、物体有無判定によって作業エリアWA内に物体が存在しないと判定された場合には、自動金型交換を実行させる。例えば、交換制御部71は、位置判別判定によって操作盤4が第1の領域RP1には位置していると判定された後に実行される物体有無判定において、作業エリアWA内に物体が存在しないと判定され他場合に自動金型交換を実行させる。換言すれば、プロセッサ61は、位置検知部7によって第1の領域RP1内の操作盤4が検知されている状態で操作盤4に対する自動金型交換の開始操作が行われ、且つ、第1の領域RP1内の操作盤4が検知されている状態で物体検知部6によって作業エリアWA内の物体が存在しないことが検知された場合には金型交換装置2による自動金型交換を実行させる。
【0061】
表示制御部72は、投影装置17を制御して投影領域PAに各種情報を表示させたり、操作盤4の表示装置4aに各種情報を表示させたりする。表示制御部72は、操作盤4に対する金型交換の操作が行われた場合にはプレス機械100から離れることを促すメッセージを表示部(投影領域PA又は表示装置4a)に表示する。表示制御部72は、物体有無判定において、作業エリアWA内に物体が存在することが検知されている場合には、物体が検知されていることを示すメッセージを表示部(投影領域PA又は表示装置4a)に表示させる。
【0062】
次に、自動金型交換の開始方法について、図8を用いて説明する。図8は、自動金型交換の開始方法のフローチャートである。
【0063】
操作盤4の表示装置4aには、自動金型交換を選択する選択ボタンと、スタートボタンとが表示されている。作業者は、金型交換装置2に自動金型交換を実行させる場合には、選択ボタンを押下し、その後にスタートボタンを押下する(ステップS101)。この選択ボタンを押下し、その後にスタートボタンを押下する操作は、自動金型交換の開始操作の一例である。操作盤4は、自動金型交換の開始操作を受け付けると、自動金型交換の開始操作を受け付けたことを示す信号(以下、「開始信号」という。)を制御装置9に送信する。
【0064】
制御装置9は、開始信号を受信すると、位置検知部7の検知結果に基づいて、操作盤4が第1の領域RP1に位置しているのか否かを判別する(ステップS102)。制御装置9は、位置検知部7の検知結果に基づいて操作盤4が第1の領域RP1に位置していないと判定した場合には、操作盤4を第1の領域RP1に移動させることを作業者に促すメッセージを表示部(投影領域PA又は表示装置4a)に表示する(ステップS103)。例えば、当該メッセージは、「シャトルが操作盤に干渉します」や「操作盤をマシンから遠ざけてください」などである。作業者は、ステップS103に表示されたメッセージを確認すると、操作盤4を第1の領域RP1に移動させて、当該メッセージをクリアして、自動金型交換の開始操作を再度行う。制御装置9は、自動金型交換の開始操作を受け付けた場合には、ステップS101の処理を実行する。
【0065】
制御装置9は、ステップS102において操作盤4が第1の領域RP1に位置していると判定した場合には、プレス機械100から離れることを促すメッセージを表示部に表示する。当該メッセージは、例えば、「自動金型交換(ATC)を開始します。マシンから離れてください」等である(ステップS104)。そして、制御装置9は、例えば、操作盤4が第1の領域RP1内にあると判定してから所定時間が経過した後に、物体検知部6の検知結果を取得して作業エリアWA内に物体が存在するか否かを判定する(ステップS105)。
【0066】
制御装置9は、ステップS105において作業エリアWA内に物体が存在しないと判定した場合には、金型交換装置2による自動金型交換を開始させる(ステップS106)。一方、制御装置9は、ステップS105において作業エリアWA内に物体が存在すると判定した場合には、自動金型交換を実行させずに作業エリアWA内の物体が検知されたことを示すメッセージを表示部(投影領域PA又は表示装置4a)に表示する(ステップS107)。換言すれば、制御装置9は、第1の領域RP1内に位置する操作盤4に対して開始操作が行われてから所定時間が経過した時点で物体検知部6によって作業エリアWA内に物体が存在することが検知されている場合には、自動金型交換を実行せずに物体が検知されていることを示すメッセージをプレス機械100の表示部に表示する。当該メッセージは、例えば、ライトカーテン50-1~50-3のどのライトカーテンで物が検知されたかの情報を含んでもよい。なお、上記所定時間は、作業者が作業エリアWAから十分に退避可能な時間に設定されている。すなわち、作業者が第1の領域RP1内に位置する操作盤4に対して開始操作を行った後に作業エリアWAから退避し、その作業者の退避後に、ステップS105の処理が開始するように上記所定時間が設定されている。
【0067】
作業者は、ステップS105において作業エリアWA内に物体が存在することが検知された場合には、ステップS107に表示されたメッセージを確認する。作業者は、ライトカーテン50-1~50-3の光を遮る物体が無いことを確認し、当該メッセージをクリアして、操作盤4に表示されているスタートボタンを押下する(ステップS108)。制御装置9は、ステップS108においてスタートボタンが押下されると、再度ステップS105の処理を実行する。
【0068】
ここで、ストッパ8は、例えば、操作盤4が第1の領域RP1から第1旋回方向R1に旋回しないように旋回機構3の動きを規制する。すなわち、ストッパ8によって旋回機構3の旋回が規制されている状態は、操作盤4が非接触領域(第1の領域RP1)に位置する状態である。これにより、作業者は、操作盤4を第1の領域RP1を移動させてから操作盤4に対して開始操作を行うにあたって、操作盤4を第1旋回方向R1に旋回させてストッパ8によって旋回が停止した時点を操作盤4が第1の領域RP1の領域に位置したと判断することができ、容易に操作盤4を第1の領域RP1を位置させることができる。
【0069】
搬送部31と操作盤4との衝突等を考慮して安全柵5の外へ操作盤4を移動させ、安全柵5の外でのみ開始操作を受け付けることも考えられる。ただし、安全柵5の外で開始操作を行う場合には、作業者は、自動金型交換を行う度に、操作盤4を安全柵5の外に移動させ、且つ、作業エリアWAから安全柵5の外に出て操作盤4を操作する必要があり、作業効率が低下する場合がある。本実施形態では、開始操作を行うための第1の領域RP1(非接触領域)は、安全柵5の内側の領域の一部に設定されている。これにより、作業者は、開始操作をするにあたって、安全柵5の外に移動することがないため、作業効率を向上させることができる。
【0070】
上記実施形態は、以下の構成を開示する。
(構成1)
加工機本体1に対して搬送部31により金型を搬送して金型交換を行う金型交換装置2を搭載したプレス機械100であって、
加工機本体1に移動可能に設けられ、金型交換を指示する操作を受け付ける操作盤4と、
操作盤4が移動可能な領域のうち、搬送部31と接触しない非接触領域(第1の領域RP1)に位置する操作盤4を検知する位置検知部7と、
加工機本体1の作業エリアWA内に存在する物体の有無を検知する物体検知部6と、
位置検知部7によって操作盤4が検知されている状態で操作盤4に対する操作が行われ、且つ、操作盤4が検知されている状態で物体検知部6によって物体が存在しないことが検知された場合には金型交換を実行させる制御装置9と、
を備えるプレス機械100。
(構成2)
制御装置9は、操作盤4が検知されている状態で操作盤4に対する操作が行われてから物体検知部6によって物体が存在しないことが検知された場合は、金型交換を実行させる
構成1に記載のプレス機械100。
(構成3)
操作盤4は、非接触領域(第1の領域RP1)と、移動中の搬送部31に接触する領域である接触領域との間を移動可能に設けられている、
構成1又は構成2に記載のプレス機械100。
(構成4)
作業エリアWAの少なくとも一部を囲む安全柵5を備え、
非接触領域(第1の領域RP1)は、安全柵5の内側の領域の一部である、
構成1から構成3のいずれかに記載のプレス機械100。
(構成5)
物体検知部6は、安全柵5に設けられ、作業エリアWA内に向けて照射する光を用いて作業エリアWA内の物体を検知する、
構成1から構成4のいずれかに記載のプレス機械100。
(構成6)
操作盤4を水平方向に旋回させる旋回機構3と、
操作盤4が安全柵5の外側に旋回することを規制するストッパ8と、
を備え、
ストッパ8によって旋回機構3の旋回が規制されている状態が、操作盤4が非接触領域(第1の領域RP1)に位置する状態である、
構成1から構成5のいずれかに記載のプレス機械100。
(構成7)
制御装置9は、操作が行われた場合にはプレス機械100から離れることを促すメッセージを操作盤4又は加工機本体1の表示部に表示し、所定時間が経過した時点で物体検知部6によって作業エリアWA内に物体が存在することが検知されている場合には、金型交換を実行せずに物体が検知されていることを示すメッセージを操作盤4又は加工機本体1の表示部に表示する、
構成1から構成6のいずれかに記載のプレス機械100。
【0071】
以上、実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態に限定されない。また、上記した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、上記した実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、実施形態において示した各手順の実行順序は、前の手順の結果を後の手順で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上記した実施形態における動作に関して、便宜上「まず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【符号の説明】
【0072】
1・・・加工機本体
2・・・金型交換装置
3・・・旋回機構
4・・・操作盤
5・・・安全柵
6・・・物体検知部
7・・・位置検知部
8・・・ストッパ
9・・・制御装置
70・・・判定部
71・・・交換制御部
72・・・表示制御部
100・・・プレス機械

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8