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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100496
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】車載機器
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/26 20220101AFI20240719BHJP
   B60R 1/31 20220101ALI20240719BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B60R1/26
B60R1/31
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004533
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】谷 広信
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 景
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054FC15
5C054FE14
5C054FE17
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】リアハッチの使用予定に応じて車両の停車位置を選択することを支援する車載機器を提供する。
【解決手段】車載機器1は、後方にハッチが設けられた車両に搭載される。車載機器1は、車両の後方の障害物の位置を検知する検知部12と、車両の後退時、ハッチを半開させた状態に基づいて定められる半開領域に障害物が存在する第1の場合と、半開領域に障害物が存在せず、かつ、ハッチを全開させた状態に基づいて定められる全開領域に障害物が存在する第2の場合とで異なる報知音を出力する音声出力処理部13と、半開領域と、全開領域内の半開領域以外の領域とが互いに識別されるように車両の後方画像を表示させる表示処理部14とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方にハッチが設けられた車両に搭載された車載機器であって、
前記車両の後方の障害物の位置を検出する検知部と、
前記車両の後退時、前記ハッチを半開させた状態に基づいて定められる半開領域に前記障害物が存在する第1の場合と、前記半開領域に前記障害物が存在せず、かつ、前記ハッチを全開させた状態に基づいて定められる全開領域に前記障害物が存在する第2の場合とで異なる報知音を出力する音声出力処理部と、
前記半開領域と、前記全開領域内の前記半開領域以外の領域とが互いに識別されるように前記車両の後方画像を表示させる表示処理部と
を備えた車載機器。
【請求項2】
前記車両のステアリングの切れ角に基づいて前記半開領域および前記全開領域を変形させる
請求項1に記載の車載機器。
【請求項3】
前記車両に、一対のカメラが設けられ、
前記検知部は、前記障害物の位置を、前記一対のカメラそれぞれが撮影した画像を合成した情報に基づいて算出し、
前記後方画像は、前記一対のカメラの少なくともいずれかが撮影した画像に基づいて生成される
請求項1または2に記載の車載機器。
【請求項4】
前記ハッチを半開させた状態は、前記ハッチの隙間から前記車両へ荷物を出し入れ可能な状態である
請求項1または2に記載の車載機器。
【請求項5】
前記半開領域は、ユーザが前記ハッチを半開させた状態で前記一対のカメラそれぞれが撮影した画像を合成した情報に基づいて定められる
請求項3に記載の車載機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載機器に関し、特に、車両の後退時に報知を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リアハッチ(テールゲートとも言われる)の開閉の障害となる障害物と、リアハッチの開閉領域とが最も近接した距離を算出し、算出した距離を運転者に提示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-165138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両を停車した後、リアハッチを全開する場合と、リアハッチを途中まで開ける場合と、リアハッチを開けない場合とがある。そこで、運転者が、リアハッチの使用予定に応じた停車位置を選択することを支援する技術が望まれている。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、リアハッチの使用予定に応じて車両の停車位置を選択することを支援する車載機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、後方にハッチが設けられた車両に搭載された車載機器であって、
前記車両の後方の障害物の位置を検知する検知部と、
前記車両の後退時、前記ハッチを半開させた状態に基づいて定められる半開領域に前記障害物が存在する第1の場合と、前記半開領域に前記障害物が存在せず、かつ、前記ハッチを全開させた状態に基づいて定められる全開領域に前記障害物が存在する第2の場合とで異なる報知音を出力する音声出力処理部と、
前記半開領域と、前記全開領域内の前記半開領域以外の領域とが互いに識別されるように前記車両の後方画像を表示させる表示処理部と
を備えた車載機器を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リアハッチの使用予定に応じて車両の停車位置を選択することを支援する車載機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1にかかる車載機器の構成を示す説明する図である。
図2】半開領域、全開領域、および検知領域を説明する図である。
図3】半開領域、全開領域、および検知領域を説明する図である。
図4】実施形態1にかかる車載機器が表示する後方画像を説明する図である。
図5】実施形態1にかかる車載機器が表示する後方画像を説明する図である。
図6】実施形態1にかかる車載機器が変形させた半開領域、全開領域、および検知領域を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
図1は、実施形態1にかかる車載機器1の構成を説明する図である。車載機器1は、車両の後方領域に障害物が存在することを報知する。車載機器1は、後方にハッチが設けられた車両に搭載される。
【0010】
車載機器1には、一対のカメラ21、ディスプレイ22、およびスピーカ23が接続されている。なお、一対のカメラ21は、車載機器1に内蔵されていてもよい。車載機器1は、例えば、ドライブレコーダであってもよい。
【0011】
一対のカメラ21は、同じ高さかつ車幅方向に異なる位置に設けられ、車両の後方領域を撮影する。一対のカメラ21がそれぞれ撮影した映像の信号は、車載機器1に送られる。一対のカメラ21は、同じ高さかつそれぞれが左右にずれた位置に設けられている。したがって、同時刻に撮影された2つの映像を合成した画像から、車両の後方領域の空間座標が得られる。
【0012】
ディスプレイ22は、一対のカメラ21の少なくともいずれかが撮影した映像に基づいて車両の後方映像を表示する。
【0013】
スピーカ23は、車両の後方に障害物が存在する場合に報知音を出力する。ここで、報知音は、後述する第1の場合、第2の場合、および第3の場合で互いに異なる。
【0014】
車載機器1は、記憶部11、検知部12、音声出力処理部13、および表示処理部14を備えている。
【0015】
記憶部11は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部11は、一時的に情報を保持するための記憶領域であるRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置を含んでもよい。記憶部11は、車両後方の半開領域、全開領域、および検知領域の空間座標を記憶している。
【0016】
図2および図3を参照して、半開領域、全開領域、および検知領域について説明する。図2は、車両3のハッチ31を半開させた状態および全開させた状態を示す模式側面図である。図3は、車両3のハッチ31が閉じた状態を示す模式上面図である。車両3は、ハッチ31を備えている。車両3の上部を支点に開閉するハッチ31が示されているが、ハッチ31は縦開きであってもよい。
【0017】
半開領域41は、車両3のハッチ31を半開させた状態に基づいて定められる空間領域である。半開領域41は、例えば、半開させたハッチ31の張り出し量L1に基づいて定められる。また、半開領域41は、ハッチ31を半開させるときにハッチ31が通過する空間領域に基づいて定められてもよい。
【0018】
ハッチ31を半開させた状態とは、ハッチの隙間から車両3へ荷物を出し入れ可能な状態である。ハッチ31を開放する度合いに応じて、複数の半開領域41が定められていてもよい。ユーザがハッチ31を半開させた状態で、一対のカメラ21それぞれが撮影した画像を合成した情報に基づいて半開領域41が定められてもよい。これにより、ユーザは、ハッチ31の所望の開放状態を半開状態に設定できる。
【0019】
全開領域42は、ハッチ31を全開させた状態に基づいて定められる空間領域である。全開領域42は、例えば、全開させたハッチ31の張り出し量L2に基づいて定められる。また、全開領域42は、ハッチを全開させるときにハッチが通過する空間領域に基づいて定められてもよい。
【0020】
検知領域43は、全開領域42よりも広い。車載機器1は、検知領域43に存在する障害物を検知する。車両3の前後方向における検知領域の長さL3は、全開させたハッチ31の張り出し量L2より大きい。
【0021】
ハッチ31は、車両3(例:トラック)の車体の下辺を支点にして開閉してもよい。また、車両3が、リアハッチ全体とリアガラスのそれぞれを開閉可能な場合がある。この場合、リアハッチ全体の半開領域41および全開領域42が定められ、かつ、リアガラスの半開領域41および全開領域42が定められてもよい。この場合、車載機器1は、リアハッチ全体とリアガラスの両方の使用予定に応じた停車位置の選択を支援できる。
【0022】
図1を参照し、検知部12、音声出力処理部13、および表示処理部14は、車両のギアがバックにされたときに動作を開始する。検知部12、音声出力処理部13、および表示処理部14は、車載機器1における各種処理を行うCPU(Cnetral Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等のメモリなどで構成され、プログラムによって様々な処理を実行する。検知部12、音声出力処理部13、および表示処理部14の各機能は、図示しないプログラムを図示しないRAM等のメモリに読み込ませ、図示しないプロセッサが実行することにより実現されてもよく、専用のハードウェアとして実現されてもよい。
【0023】
検知部12は、一対のカメラ21がそれぞれ撮影した画像を合成し、合成した情報(画像)に基づいて車両の後方領域に存在する物体(障害物と言われる)の位置を算出する。なお、検知部12は、一対のカメラ21の代わりに、レーダー、赤外線、超音波などを用いて障害物の位置を算出してもよい。この場合、車載機器1は、単一のカメラに接続されていてもよい。
【0024】
音声出力処理部13は、障害物が半開領域41に存在する第1の場合、第1の報知音を出力する。音声出力処理部13は、障害物が半開領域41に存在せず、かつ、障害物が全開領域42に存在する第2の場合、第2の報知音を出力する。音声出力処理部13は、障害物が半開領域41および全開領域42に存在せず、かつ障害物が検知領域43に存在する第3の場合、第3の報知音を出力する。第1の報知音、第2の報知音、および第3の報知音は、互いに異なる。
【0025】
運転者は、第1の報知音、第2の報知音、および第3の報知音に基づいて障害物の位置を認識し、車両を適切な位置に停車または駐車することができる。
【0026】
表示処理部14は、半開領域41と、全開領域42内の半開領域41以外の領域と、検知領域43内の全開領域42以外の領域とが互いに識別されるように車両の後方画像をディスプレイ22に表示させる。後方画像は、一対のカメラ21の少なくともいずれかが撮影した画像に基づいて生成される。後方画像は、単一のカメラによって撮影された画像であってもよい。
【0027】
具体的には、表示処理部14は、半開領域41に対応する、後方画像内の第1の画像領域を第1の色(例:赤)で着色する。そして、表示処理部14は、全開領域42内の半開領域41以外の領域に対応する、後方画像内の第2の画像領域を第2の色(例:黄)で着色する。そして、表示処理部14は、検知領域43内の全開領域42以外の領域に対応する、後方画像における第3の画像領域を第3の色(例:緑)で着色する。第1の色、第2の色、および第3の色は互いに異なる。
【0028】
図4および図5を参照して、表示される後方画像について説明する。図4は、車両3と障害物5の位置関係を説明する模式側面図である。障害物5の表面は、半開領域41に含まれる面51と、全開領域42内の半開領域41以外の領域に含まれる面52と、検知領域43内の全開領域42以外の領域に含まれる面53とを含んでいる。
【0029】
図5は、後方画像の一例を説明する図である。車載機器1の表示処理部14により、面51に第1の色が着色され、面52に第2の色が着色され、面53に第3の色が着色される。ただし、表示方法は、図5に示す方法には限定されない。半開領域41に対応する画像領域、全開領域42に対応する画像領域、および検知領域43に対応する画像領域が、異なる色の枠線で囲まれていてもよい。この場合も、半開領域41と、全開領域42内の半開領域41以外の領域とが互いに識別され得る。
【0030】
車両の運転者は、半開領域41および全開領域42と障害物の位置関係を把握し、適切な停車位置または駐車位置を選択できる。例えば、ハッチを全開する予定の場合、運転者は、障害物から離れた第1の停車位置を選択できる。ハッチを半開する予定の場合、運転者は、第1の停車位置よりも障害物に近い第2の停車位置を選択できる。ハッチを開けない予定の場合、運転者は、第2の停車位置よりも障害物に近い第3の停車位置を選択できる。実施形態1にかかる車載機器によると、運転者は、運転者の感覚に頼らずにハッチの開放に必要な領域を確保することができる。
【0031】
上述した説明では、全開領域より大きい検知領域が定まっている場合について説明した。しかし、半開領域と全開領域のみが定められていてもよい。ただし、検知領域が定められている場合、全開領域内で障害物が検知されるよりも前に報知を行い、運転者の注意を予め喚起できるという利点がある。
【0032】
また、半開領域41、全開領域42、および検知領域43は、車両3のステアリングの切れ角に基づいて変形されてもよい。車載機器1は、車載ネットワークのCAN(Controller Area Netowork)を介してステアリングの切れ角を示す情報を取得することができる。また、車載機器1に加速度センサやジャイロセンサが搭載されている場合、車載機器1は、これらのセンサ情報に基づいてステアリングの切れ角を示す情報を取得してもよい。
【0033】
図6は、ステアリングの切れ角に従って変形させた半開領域41、全開領域42、および検知領域43を説明する図である。半開領域41、全開領域42、および検知領域43は、車両3の後退軌道に沿うように変形される。つまり、車両3の後退動作中に、その切れ角で進んだ場合の後退軌道に応じて、半開領域41、全開領域42、および検知領域43が変形される。半開領域41および全開領域42を変形させることで、車両の後退軌道が曲がる場合、ハッチ開放の妨げとなる障害物を予め認識できる。したがって、ハッチの使用予定に応じて停車位置を選択することがより容易になる。
【0034】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、Random Access Memory(RAM)、Read Only Memory(ROM)、フラッシュメモリ、Solid State Drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、Digital Versatile Disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0035】
1 車載機器
11 記憶部
12 検知部
13 音声出力処理部
14 表示処理部
21 カメラ
22 ディスプレイ
23 スピーカ
3 車両
31 ハッチ
41 半開領域
42 全開領域
43 検知領域
5 障害物
51、52、53 面
図1
図2
図3
図4
図5
図6