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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100502
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G10K 9/22 20060101AFI20240719BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20240719BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20240719BHJP
   H01H 9/02 20060101ALN20240719BHJP
【FI】
G10K9/22 A
H04R1/00 311
H04M1/02 G
H01H9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004542
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】玉木 雄祐
【テーマコード(参考)】
5D017
5G052
5K023
【Fターム(参考)】
5D017AB06
5G052AA05
5G052BB01
5G052HA09
5K023AA05
5K023BB25
5K023GG04
5K023HH08
5K023LL01
5K023LL06
5K023RR08
(57)【要約】
【課題】防水性能を向上させつつ音響性能を確保することが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、配線基板と、配線基板上に実装された音響部品と、配線基板上に配置され、音響部品が収容される中空部が形成され、音響部品の上方に位置する隔膜部を有する、エラストマー材料で形成されたカバーと、配線基板、音響部品、及びカバーを収容し、隔膜部に対応する位置に開口が形成された筐体と、を備える
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板上に実装された音響部品と、
前記配線基板上に配置され、前記音響部品が収容される中空部が形成され、前記音響部品の上方に位置する隔膜部を有する、エラストマー材料で形成されたカバーと、
前記配線基板、前記音響部品、及び前記カバーを収容し、前記隔膜部に対応する位置に開口が形成された筐体と、
を備える、電子機器。
【請求項2】
前記配線基板上にキースイッチがさらに実装され、
前記カバーは、前記キースイッチ上に位置する押しボタン部をさらに有する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記隔膜部は、中央部の厚さよりも周縁部の厚さが大きい形状を有する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記隔膜部は、テーパー形状の周縁部を有する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記隔膜部は、円形状である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記中空部は、円筒形状である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記音響部品は、円柱形状である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記音響部品は、ブザーである、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記カバーは、前記配線基板が収容される空間を気密にする、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記カバーは、シリコンゴムで形成される、
請求項1に記載の電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本体ケースのスピーカー孔に防水シートを貼付したインターホン機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6484518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
船舶等で使用される電子機器には高い防水性能が求められるが、防水シートで音響部品を保護する従来技術では、十分な防水性能を得られないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、防水性能を向上させつつ音響性能を確保することが可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の電子機器は、配線基板と、前記配線基板上に実装された音響部品と、前記配線基板上に配置され、前記音響部品が収容される中空部が形成され、前記音響部品の上方に位置する隔膜部を有する、エラストマー材料で形成されたカバーと、前記配線基板、前記音響部品、及び前記カバーを収容し、前記隔膜部に対応する位置に開口が形成された筐体と、を備える。これによれば、防水性能を向上させつつ音響性能を確保することが可能となる。
【0007】
上記態様において、前記配線基板上にキースイッチがさらに実装され、前記カバーは、前記キースイッチ上に位置する押しボタン部をさらに有してもよい。これによれば、カバーにより音響部品とキースイッチの両方の防水を実現することが可能となる。
【0008】
上記態様において、前記隔膜部は、中央部の厚さよりも周縁部の厚さが大きい形状を有してもよい。これによれば、隔膜部の中央部の薄さと張りの両立を実現することが可能となる。
【0009】
上記態様において、前記隔膜部は、テーパー形状の周縁部を有してもよい。これによれば、隔膜部の中央部の薄さと張りの両立を実現することが可能となる。
【0010】
上記態様において、前記隔膜部は、円形状であってもよい。これによれば、隔膜部の振動の等方性を向上させることが可能となる。
【0011】
上記態様において、前記中空部は、円筒形状であってもよい。これによれば、隔膜部の振動の等方性を向上させることが可能となる。
【0012】
上記態様において、前記音響部品は、円柱形状であってもよい。これによれば、中空部に音響部品を適合させることが容易となる。
【0013】
上記態様において、前記音響部品は、ブザーであってもよい。これによれば、外部に伝達されるブザーの音圧を確保することが可能となる。
【0014】
上記態様において、前記カバーは、前記配線基板が収容される空間を気密にしてもよい。これによれば、防水性能を向上させることが可能となる。
【0015】
上記態様において、前記カバーは、シリコンゴムで形成されてもよい。これによれば、シリコンゴムにより防水性能の向上と音響性能の確保を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】電子機器の分解斜視図である。
図2】カバーの平面図である。
図3】カバーの正面図である。
図4】カバーの背面図である。
図5】カバーの左側面図である。
図6】カバーの右側面図である。
図7】カバーの裏面図である。
図8図2のVIII-VIII線で切断したときの断面図である。
図9図2のIX-IX線で切断したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、電子機器1の分解斜視図である。電子機器1は、箱型の筐体2を備えている。筐体2は、本体21と、本体21の開口を塞ぐフロントパネル22とを有している。また、筐体2は、フロントパネル22の角部を押さえる角押さえ23も有している。
【0019】
電子機器1は、筐体2に収容される配線基板3及びカバー4を備えている。カバー4は、配線基板3よりもフロントパネル22に近い側に位置する。以下の説明では、配線基板3に対してカバー4が位置する方向を上方向とし、その反対方向を下方向とする。
【0020】
カバー4は、例えばシリコンゴム等のエラストマー材料で形成される。カバー4は、筐体2の内部で配線基板3上に配置され、配線基板3が収容される空間を気密にする。カバー4の具体的な構成については後述する。
【0021】
配線基板3上にはブザー5が実装されている。ブザー5は、例えば円柱形状であり、上面に円形の開口51が形成されている。ブザー5は、音響部品の一例である。ブザー5に限らず、スピーカーが適用されてもよい。配線基板3上には、キースイッチ6a-6d及び発光素子7a-7dも実装されている。
【0022】
筐体2の本体21の角部には穴29が形成されており、配線基板3の角部にも穴39が形成されている。
【0023】
配線基板3には、フィット穴38も形成されている。カバー4に設けられたスナップフィット48がフィット穴38に挿入されることで、配線基板3上にカバー4が保持される。すなわち、配線基板3の上面にカバー4の下面が密着する。
【0024】
また、カバー4の角部には、ボス穴49が形成されている。フロントパネル22の下面に設けられた不図示のボスがボス穴49に挿入されることで、カバー4がフロントパネル22と位置決めされる。また、フロントパネル22の不図示のボスの下部にねじ穴が設けられ、不図示のねじが本体21の穴29、配線基板3の穴39を通ってボスのねじ穴に挿入されることで、配線基板3とカバー4が筐体2の内部で位置決めされる。
【0025】
図2図7は、カバー4の平面図、正面図、背面図、左側面図、右側面図、及び裏面図である。図8は、図2のVIII-VIII線で切断したときの断面図である。図9は、図2のIX-IX線で切断したときの断面図である。
【0026】
図2図7図9に示すように、カバー4は、ブザー5が収容される中空部41と、ブザー5の上方に位置する隔膜部42とを有している。隔膜部42は、ブザー5から発せられる音波により振動し、それにより外部に音波を伝達する。
【0027】
中空部41は、ブザー5を収容するための空間であり、その空間を囲む側壁部43によって定義される。中空部41は、例えば円筒形状であり、円柱形状のブザー5に対応している。ブザー5と側壁部43の間には、全周に亘って一定の隙間が形成される。
【0028】
中空部41の上側は、隔膜部42によって塞がれている。中空部41の下側は開口しており、配線基板3によって塞がれる。すなわち、中空部41の周囲の側壁部43の下端が配線基板3に密着することで、中空部41が気密に保たれる。
【0029】
隔膜部42はブザー5の上面と対向し、隔膜部42とブザー5の間には空間が形成される。隔膜部42は、側壁部43の上端部と連続して形成されている。隔膜部42は、例えば円形状であり、円筒形状の中空部41の平面形状と一致する。
【0030】
隔膜部42は、中央部423と、それを囲む周縁部425とを有している。
【0031】
中央部423は、例えば円形状であり、一定の厚さを有する薄膜である。中央部423は、主に音波の伝達を担う。中央部423は、音波を十分に伝達するために、ブザー5の開口51(図1参照)と同一である又はそれよりも大きいことが好ましい。
【0032】
周縁部425は、例えば環形状であり、中央部423よりも大きい厚さを有している。周縁部425が中央部423よりも厚く形成されることで、中央部423の張り(すなわち剛性)を向上させることができる。
【0033】
周縁部425は、例えばテーパー形状であり、中央部423から離れるに従って厚さが徐々に増加する。具体的には、周縁部425の上面は平らで、周縁部425の下面が傾斜している。
【0034】
本実施形態では、配線基板3上に配置されるカバー4に中空部41を覆う隔膜部42を設けることで、防水シートを貼付する従来技術よりも防水性能を向上させることが可能となる。
【0035】
また、隔膜部42を設けることで、音響性能を確保することも可能となる。音響性能は、例えば外部に伝達される音圧により評価される。隔膜部42によれば、防水シートを貼付する従来技術と遜色ない音圧を得ることができる。
【0036】
特に、隔膜部42の周縁部425を中央部423よりも厚く形成することで、中央部423の薄さと張りを両立させることができ、広い周波数帯域に亘って十分な音圧を確保することが可能となる。
【0037】
これに限らず、隔膜部42の全体が一定の厚さであってもよく、その場合であっても音響性能の確保は可能である。また、隔膜部42の周縁部425の形状は、テーパー形状に限らず、例えば階段形状であってもよい。
【0038】
その他、カバー4は、押しボタン部46a-46dとレンズ部47a-47dをさらに有している。
【0039】
押しボタン部46a-46dは、配線基板3のキースイッチ6a-6d(図1参照)上に位置する。押しボタン部46a-46dは、押下されると、下方向に伸びた突出部461でキースイッチ6a-6dを押す(図8図9参照)。
【0040】
押しボタン部46a-46cは、カバー4の上面より上方向に突出するように形成されている。押しボタン部46dは、カバー4の上面に形成された凹部45の内部に位置している(図1図8参照)。
【0041】
レンズ部47a-47dは、配線基板3の発光素子7a-7d(図1参照)上に位置する。レンズ部47a-47dの下部には、発光素子7a-7dを収容するための中空部472が形成されている(図8図9参照)。
【0042】
図1の説明に戻る。筐体2のフロントパネル22には、複数の開口25,26a-26d,27a-27dが形成されている。
【0043】
開口25は、カバー4の隔膜部42に対応する位置に形成されている。隔膜部42により伝達される音波は、開口25を通じて電子機器1の外部に放出される。
【0044】
開口26a-26dは、カバー4の押しボタン部46a-46dに対向する位置に形成されている。押しボタン部46a-46cは、開口26a-26cから外部に突出して配置される。
【0045】
開口26dは、カバー4の凹部45に対応している。開口26dには、開閉式の蓋28が取り付けられており、蓋28を開けると、凹部45内の押しボタン部46dにアクセスが可能となる。
【0046】
開口27a-27dは、カバー4のレンズ部47a-47dに対応する位置に形成されている。発光素子7a-7dから発生された光は、レンズ部47a-47dと開口27a-27dを通じて電子機器1の外部に放出される。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が当業者にとって可能であることはもちろんである。
【0048】
以下、本発明の代表的な実施形態を列挙する。
【0049】
(1)
配線基板と、
前記配線基板上に実装された音響部品と、
前記配線基板上に配置され、前記音響部品が収容される中空部が形成され、前記音響部品の上方に位置する隔膜部を有する、エラストマー材料で形成されたカバーと、
前記配線基板、前記音響部品、及び前記カバーを収容し、前記隔膜部に対応する位置に開口が形成された筐体と、
を備える、電子機器。
【0050】
(2)
前記配線基板上にキースイッチがさらに実装され、
前記カバーは、前記キースイッチ上に位置する押しボタン部をさらに有する、
(1)に記載の電子機器。
【0051】
(3)
前記隔膜部は、中央部の厚さよりも周縁部の厚さが大きい形状を有する、
(1)または(2)に記載の電子機器。
【0052】
(4)
前記隔膜部は、テーパー形状の周縁部を有する、
(1)ないし(3)の何れかに記載の電子機器。
【0053】
(5)
前記隔膜部は、円形状である、
(1)ないし(4)の何れかに記載の電子機器。
【0054】
(6)
前記中空部は、円筒形状である、
(1)ないし(5)の何れかに記載の電子機器。
【0055】
(7)
前記音響部品は、円柱形状である、
(1)ないし(6)の何れかに記載の電子機器。
【0056】
(8)
前記音響部品は、ブザーである、
(1)ないし(7)の何れかに記載の電子機器。
【0057】
(9)
前記カバーは、前記配線基板が収容される空間を気密にする、
(1)ないし(8)の何れかに記載の電子機器。
【0058】
(10)
前記カバーは、シリコンゴムで形成される、
(1)ないし(9)の何れかに記載の電子機器。
【符号の説明】
【0059】
1 電子機器、2 筐体、21 本体、22 フロントパネル、23 角押さえ、25 開口、26a-26d 開口、27a-27d 開口、28 蓋、29 穴、3 配線基板、38 フィット穴、39 穴、4 カバー、41 中空部、42 隔膜部、423 中央部、425 周縁部、43 側壁部、45 凹部、46a-46d 押しボタン部、47a-47d レンズ部、48 スナップフィット、49 ボス穴、5 ブザー(音響部品の例)、51 開口、6a-6d キースイッチ、7a-7d 発光素子

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9