(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100504
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】苗移植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A01C11/02 350G
A01C11/02 350E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004545
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】涌田 健作
【テーマコード(参考)】
2B064
【Fターム(参考)】
2B064AA05
2B064AA07
2B064AB01
2B064BA12
2B064CA05
2B064CA06
2B064CA13
2B064CA22
(57)【要約】
【課題】第2苗載せ台から第1苗載せ台に苗マットをスムーズに補給可能な苗移植機を提供することである。
【解決手段】苗移植機は、第1苗載せ台と、移植機構と、第2苗載せ台とを備える。第1苗載せ台は、苗移植機の前後方向において後ろ下がりに傾斜し、苗マットが載置される第1通路と、苗移植機の左右方向における第1通路の両端に位置し、第1通路上の苗マットを案内する複数の第1案内部とを有する。第2苗載せ台は、前後方向において後ろ下がりに傾斜し、予備の苗マットが載置される第2通路と、左右方向における第2通路の両端に位置し、第2通路上の予備の苗マットを案内する複数の第2案内部とを有する。第2通路の下端は、第1通路の上端より上方に位置する。複数の第2案内部の下端側は、先端に向かって先細り形状になっている。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗移植機であって、
苗マットが載置される第1苗載せ台と、
前記第1苗載せ台上の前記苗マットの苗を植え付ける移植機構と、
前記第1苗載せ台に供給される予備の苗マットが載置される第2苗載せ台と
を備え、
前記第1苗載せ台は、
前記苗移植機の前後方向において後ろ下がりに傾斜し、前記苗マットが載置される第1通路と、
前記苗移植機の左右方向における前記第1通路の両端に位置し、前記第1通路上の前記苗マットを案内する複数の第1案内部と
を有し、
前記第2苗載せ台は、
前記前後方向において後ろ下がりに傾斜し、前記予備の苗マットが載置される第2通路と、
前記左右方向における前記第2通路の両端に位置し、前記第2通路上の前記予備の苗マットを案内する複数の第2案内部と
を有しており、
前記第2通路の下端は、前記第1通路の上端より上方に位置し、
前記複数の第2案内部の下端側は、先端に向かって先細り形状になっている、苗移植機。
【請求項2】
前記第1案内部の上端側は、先端に向かって先細り形状になっている、請求項1に記載の苗移植機。
【請求項3】
苗移植機であって、
苗マットが載置される第1苗載せ台と、
前記第1苗載せ台上の前記苗マットの苗を植え付ける移植機構と、
前記第1苗載せ台に供給される予備の苗マットが載置される第2苗載せ台と
を備え、
前記第1苗載せ台は、
前記苗移植機の前後方向において後ろ下がりに傾斜し、前記苗マットが載置される第1通路と、
前記苗移植機の左右方向における前記第1通路の両端に位置し、前記第1通路上の前記苗マットを案内する複数の第1案内部と
を有し、
前記第2苗載せ台は、
前記前後方向において後ろ下がりに傾斜し、前記予備の苗マットが載置される第2通路と、
前記左右方向における前記第2通路の両端に固定され、前記第2通路上の予備の苗マットを案内する固定案内部と、
前記複数の固定案内部に対応して設けられる複数の可動案内部と
を有しており、
前記複数の可動案内部の各々は、前記第2通路よりも前記複数の第1案内部側の方に突出しており、
前記複数の可動案内部の各々の下端側は、前記複数の第1案内部の上端と当接可能であり、前記左右方向に揺動可能である、苗移植機。
【請求項4】
前記可動案内部の下端側は、前記第1案内部の上端側に磁気により吸着される、請求項3に記載の苗移植機。
【請求項5】
前記第1苗載せ台上の苗マットの苗を前記移植機構が植え付けることが可能な植付位置と、前記第2苗載せ台上の前記予備の苗マットを前記第1苗載せ台に供給可能な供給位置との間で前記第1苗載せ台を昇降させる昇降機構と、
前記第1苗載せ台上の苗マットの残量を検出する残量センサと、
前記残量センサで検出された残量に基づいて、前記昇降機構により前記第1苗載せ台を前記植付位置から前記供給位置へと移動させる制御部と、
前記第2通路の下端側で前記左右方向に沿う第1回転軸周りに回動可能なストッパーと、
前記第2通路の下端側を閉塞する閉塞位置と、前記第2通路の下端側を開放する開放位置との間で、前記ストッパーを前記第1回転軸周りに回動させる回動機構と
を更に備え、
前記制御部は、前記昇降機構により前記第1苗載せ台を前記植付位置から前記供給位置へと移動させた後に、前記回動機構により前記ストッパーを前記閉塞位置から前記開放位置に回動させる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の苗移植機。
【請求項6】
前記ストッパーは、平板であり、前記開放位置にある場合に、前記第2通路の下端側から前記第1通路の上端側に向かって延びる、請求項5に記載の苗移植機。
【請求項7】
前記ストッパーの先端の前記左右方向における長さは、前記ストッパーの基端の前記左右方向における長さより短い、請求項5に記載の苗移植機。
【請求項8】
前記第2苗載せ台は、
前記左右方向に間隔をあけて配置され、前記前後方向において後ろ下がりに延びる複数の基部と、
前記左右方向に隣り合う2つの前記基部の間に前記第2通路に沿って間隔をあけて位置し、前記左右方向に沿う第2回転軸周りに回転可能な複数の回転体と
を更に有し、
前記左右方向における前記回転体の中央部は、前記左右方向における前記回転体の端部よりも細い、請求項1から請求項4のいずれかに記載の苗移植機。
【請求項9】
前記第2苗載せ台は、
前記左右方向に間隔をあけて配置され、前記前後方向において後ろ下がりに延びる複数の基部と、
前記左右方向に隣り合う2つの前記基部の間で前記第2通路に沿って間隔をあけて位置し、前記左右方向に沿う第2回転軸周りに回転可能な複数の回転体と
を更に有し、
前記複数の回転体は、複数の第1回転体と、前記複数の第1回転体よりも下方に位置する複数の第2回転体とを含み、
前記複数の基部における単位長さあたり、前記複数の第2回転体の数は、前記複数の第1回転体の数よりも多い、請求項1から請求項4のいずれかに記載の苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の苗移植機では、苗載せ台上に載置された苗マットから苗が掻き取られる。掻き取られた苗は、苗移植機により田面に植え付けられる。その結果、苗載せ台上の苗マットから苗が減少するため、従来の苗移植機は、苗マットを苗載せ台に補給する苗搬送装置を有する(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、苗移植機では、苗載せ台が左右方向に往復移送される。また、苗搬送装置及び苗載せ台の少なくとも一方にガタツキがある場合もある。したがって、苗搬送装置及び苗載せ台の位置関係は、左右方向にずれ易い。その結果、苗搬送装置から苗載せ台に苗マットがスムーズに補給されないという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、苗載せ台に苗マットをスムーズに補給可能な苗移植機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る苗移植機は、苗マットが載置される第1苗載せ台と、前記第1苗載せ台上の前記苗マットの苗を植え付ける移植機構と、前記第1苗載せ台に供給される予備の苗マットが載置される第2苗載せ台とを備える。前記第1苗載せ台は、第1通路と、複数の第1案内部とを有する。前記第1通路は、前記苗移植機の前後方向において後ろ下がりに傾斜する。前記第1通路には、前記苗マットが載置される。前記複数の第1案内部は、前記苗移植機の左右方向における前記第1通路の両端に位置し、前記第1通路上の前記苗マットを案内する。前記第2苗載せ台は、第2通路と、複数の第2案内部とを有する。前記第2通路は、前記前後方向において後ろ下がりに傾斜する。前記第2通路には、前記予備の苗マットが載置される。前記複数の第2案内部は、前記左右方向における前記第2通路の両端に位置し、前記第2通路上の前記予備の苗マットを案内する。前記第2通路の下端は、前記第1通路の上端より上方に位置する。前記複数の第2案内部の下端側は、先端に向かって先細り形状になっている。
【0007】
本発明の第2態様に係る苗移植機は、苗マットが載置される第1苗載せ台と、前記第1苗載せ台上の前記苗マットの苗を植え付ける移植機構と、前記第1苗載せ台に供給される予備の苗マットが載置される第2苗載せ台とを備える。前記第1苗載せ台は、第1通路と、複数の第1案内部とを有する。前記第1通路は、前記苗移植機の前後方向において後ろ下がりに傾斜する。前記第1通路には、前記苗マットが載置される。前記複数の第1案内部は、前記苗移植機の左右方向における前記第1通路の両端に位置し、前記第1通路上の前記苗マットを案内する。前記第2苗載せ台は、第2通路と、複数の固定案内部と、複数の可動案内部とを有する。前記第2通路は、前記前後方向において後ろ下がりに傾斜する。前記第2通路には、前記予備の苗マットが載置される。前記複数の固定案内部は、前記左右方向における前記第2通路の両端に固定され、前記第2通路上の予備の苗マットを案内する。前記複数の可動案内部は、前記複数の固定案内部に対応して設けられる。前記複数の可動案内部の各々は、前記第2通路よりも前記複数の第1案内部側の方に突出する。前記複数の可動案内部の各々の下端側は、前記複数の第1案内部の上端と当接可能であり、前記左右方向に揺動可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第2苗載せ台から第1苗載せ台に苗マットをスムーズに補給可能な苗移植機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1に示される苗移植機の内部構成を示す斜視図である。
【
図3A】
図1に示される視方向Aから第2苗載せ台を見た時の矢視図であって、ストッパーが開放位置にあるときの図である。
【
図3B】
図1に示される視方向Aから第2苗載せ台を見た時の矢視図であって、ストッパーが閉塞位置にあるときの図である。
【
図4A】第2苗載せ台に対し供給位置の第1苗載せ台が左方に若干ずれた状態を拡大して示す図である。
【
図4B】
図3Aに示される第1案内部72の変形例を示す図である。
【
図5】
図1に示される苗移植機のブロック図である。
【
図6】
図5に示される制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態に係る第2苗載せ台の一部を、
図1に示される視方向Aから見た時の矢視図である。
【
図9】第2苗載せ台における左側2条分をヒンジにより折り畳んだ状態を示す図である。
【
図10A】ストッパーの変形例の他の一つを示す図である。
【
図11】
図5に示される制御部44に記憶される制御プログラムによる処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態に係る苗移植機100を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
以下では、実施形態の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を記載することがある。X軸は、例えば苗移植機100の前後方向を示す。詳細には、前後方向は、苗移植機100の前進方向を前方として定義される。Y軸は、例えば、苗移植機100の左右方向を示す。詳細には、苗移植機100の前方に向かって左右方向が定義される。Z軸は、苗移植機100の上下方向を示す。
【0012】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態に係る苗移植機100について説明する。
【0013】
図1は、本発明の各実施形態に係る苗移植機100の側面図である。
図2は、
図1に示される苗移植機100の内部構成を示す斜視図である。
図1と
図2とに示されるように、苗移植機100は、走行機体1と、植付装置2とを備えている。植付装置2は、走行機体1の後方に配置される。
【0014】
走行機体1は、一対の前輪3と、一対の後輪4と、操縦座席5と、操縦ハンドル6と、第2苗載せ台9を有している。植付装置2は、第1苗載せ台7と、8つの移植機構8とを有する。
【0015】
第1苗載せ台7には、移植機構8による植付作業の対象となる苗マットが載置される。実施形態では、苗移植機100は、8条植えタイプである。したがって、第1苗載せ台7には、8つの苗マットが左右に横一例に並べることが可能である。8つの移植機構8は、植付装置2の後端に左右に横一列となるように配置されている。前後方向において操縦座席5と第1苗載せ台7との間には、フレーム38が設けられている。第2苗載せ台9は、フレーム38により支持され、第1苗載せ台7よりも前方斜め上方に位置する。
【0016】
走行機体1の前端付近には、エンジン10が配置されている。エンジン10の後方には、ミッションケース11が配置されている。ミッションケース11の左側面には静油圧式無段変速機(以下、「HST」と記載する)12が装着されている。エンジン10の動力は、ベルト等の駆動伝達部(図示せず)によってHST12に伝達される。
【0017】
ミッションケース11の左右側面にはフロントアクスル装置17が取り付けられている。前輪3は、フロントアクスル装置17と機械的に接続されている。ミッションケース11の後方には、リヤアクスルケース18が配置されている。リヤアクスルケース18の左側面及び右側面からは左方及び右方に車軸が突出する。各車軸の突出端には、後輪4が1つずつ取り付けられている。また、ミッションケース11とリヤアクスルケース18とは、前後に長いジョイント材19で機械的に連結されている。リヤアクスルケース18には左右2本のリヤ支柱20が取り付けられている。リヤ支柱20の各々の上端は、走行機体1の後端付近に固定されている。
【0018】
ここで、走行機体1側の各リヤ支柱20には、トップリンク及びロアリンクから成るリンク装置21が回動自在に連結されている。植付装置2は、リンク装置21の後端に取付けられている。リンク装置21は、ジョイント材19に連結された油圧シリンダ22によって回動させることができる。油圧シリンダ22が伸縮することで、植付装置2が昇降する。詳細には、油圧シリンダ22は、第1苗載せ台7を、植付位置P11(
図1参照)と、植付位置P11よりも前方斜め上方の供給位置P12(
図1参照)との間で昇降させる。植付位置P11では、移植機構8が第1苗載せ台7上の苗マットの苗を田面に植え付けることが可能である。供給位置P12では、第1苗載せ台7に、第2苗載せ台9上の予備の苗マットが供給される。なお、リンク装置21及び油圧シリンダ22の組み合わせは、本発明における「昇降機構」の一例である。
【0019】
ミッションケース11の内部からリヤアクスルケース18の内部には、後輪ドライブ軸23を介して駆動力が伝達される。後輪ドライブ軸23の回転駆動力は、リヤアクスルケース18に設けたギヤ群を介して後輪4に伝達される。
【0020】
リヤアクスルケース18の右側部には、株間変速装置26が取り付けられている。株間変速装置26には、植付用動力伝達軸27を通じてミッションケース11から駆動力が伝達される。また、植付用動力伝達軸27の回転駆動力は、株間変速装置26に内蔵したギヤ群によって変速され、PTO軸29を通じて植付装置2に伝達される。
【0021】
植付装置2は、左右横長のフレーム28を有しており、フレーム28において略左右中央にセンターケース30が固定されている。PTO軸29の駆動力は、センターケース30に内蔵されたギヤ群に伝達される。フレーム28の後面には、左右に間隔をあけて後方に延びる4本の植付伝動ケース31が固定されている。各植付伝動ケース31の後部側には、2つの移植機構8が回転自在に取り付けられている。
【0022】
各植付伝動ケース31の前部側には、左右方向に細長い植付駆動軸(図示せず)が貫通している。各植付駆動軸が回転することにより、移植機構8が駆動される。また、各植付駆動軸には、センターケース30に内蔵したギヤ群を介してPTO軸29から動力が伝達される。センターケース30には左右横長の横送り軸(図示せず)も取付けられている。横送り軸の回転によって第1苗載せ台7が1ピッチずつ左右方向に横移動する。即ち、センターケース30及び横送り軸は、第1苗載せ台7の横送り機構である。
【0023】
以下、第1苗載せ台7についてより詳細に説明する。
図2に示されるように、第1苗載せ台7は、左右方向に並ぶ8つの第1通路71を備える。なお、参照符号「71」は、3つの第1通路のみに付されている。第1通路71の各々は、前後方向において後ろ下がりに傾斜する面を有する。第1通路71の各々には、1条分の苗マットが載置可能である。
【0024】
第1苗載せ台7は、左右方向に並ぶ9つの第1案内部72を更に備える。なお、参照符号「72」は、4つの第1案内部のみに付されている。第1案内部72の各々は、左右方向における第1通路71の両端に位置しており、第1通路71に対して後方斜め上方に向かって突出するリブである。詳細には、左端の第1案内部72は、左端の第1通路71の左端に位置する。残りの第1案内部72は、各第1通路71の右端に1つずつ位置する。以下、左右方向に隣り合う2つの第1案内部72を「隣接第1案内部72」と記載することがある。隣接第1案内部72の左右間隔は、苗マットの左右幅より若干広い。隣接第1案内部72は、第2苗載せ台9から第1通路71の上端部に供給された予備の苗マットを第1通路71の下端部に向けて案内する。
【0025】
第1通路71の各々において下端寄りの部分には、エンドレスベルト34(
図2参照)が2つずつ配置されている。なお、参照符号「34」は、2つのエンドレスベルトのみに付されている。合計16のエンドレスベルト34は、左右方向に横一例に並ぶように配置されている。各エンドレスベルト34は上下一対の縦送り支軸35(
図2参照)に巻き掛けられている。第1苗載せ台7が左右のいずれか一方に移動し切ると縦送り支軸35は回転し、第1通路71の下端部に載置された苗マットが1ピッチだけ下降する。
【0026】
各移植機構8は、植付位置P11(
図1参照)にあるとき、第1苗載せ台7に載置された苗マットから苗を掻き取り、掻き取った苗を田面に植え付ける。なお、参照符号「8」は、2つの移植機構のみに付されている。各移植機構8は、詳細には、ロータリケース36と、植付爪部材37とを有している。植付爪部材37は、ロータリケース36に取り付けられ、左右方向に沿う回転軸周りに回転可能である。その結果、各植付爪部材37は、第1苗載せ台7に載置された苗マットから苗を掻き取り、掻き取った苗を田面に植え付ける。
【0027】
次に、第2苗載せ台9を詳説する。
図3A及び
図3Bは、
図1に示される視方向Aから第2苗載せ台9を見た時の矢視図である。特に、
図3Aは、ストッパー95が開放位置にあるときの図であり、
図3Bは、ストッパー95が閉塞位置にあるときの図である。視方向Aは、第2苗載せ台9を後方斜め上方から俯瞰する方向である。
図3A及び
図3Bには、実施形態の理解を容易にするため、互いに直交するY軸、Z1軸及びX1軸を記載することがある。Y軸は、苗移植機100の左右方向を示す。Z1軸は、視方向Aに平行な方向を示す。X1軸は、第2通路93に沿う方向である。
【0028】
図3A及び
図3Bに示されるように、第2苗載せ台9は、8条植えタイプの場合、9つの基部91と、複数の回転体92と、8つの第2通路93と、9つの第2案内部94と、8つのストッパー95と、回動機構96とを備える。なお、参照符号「91」は、2つの基部のみに付されている。参照符号「92」は、左上隅の回転体のみに付されている。参照符号「93」は、左端の第2通路のみに付されている。参照符号「94」は、2つの第2案内部のみに付されている。参照符号「95」は、左端のストッパーのみに付されている。
【0029】
9つの基部91は、左右方向に間隔をあけて配置され、苗移植機100の前後方向(
図1参照)において後ろ下がりに延びている。基部91の各々は、左右方向に薄い板状である。以下、左右方向に隣り合う2つの基部91のことを、「隣接基部91」と記載する場合がある。
【0030】
複数の回転体92の各々は、ローラである。複数の回転体92の各々は、隣接基部91の間で、隣接基部91に沿って間隔をあけて位置する。回転体92の各々の両端は、左右方向に沿う回転軸A11周りに回転可能に隣接基部91により支持される。回転軸A11は、本開示における「第2回転軸」の一例である。
【0031】
第2通路93は、隣接基部91の間にある複数の回転体92に沿って規定される。したがって、第2通路93は、前後方向において後ろ下がりに傾斜する。第2通路93には、第1苗載せ台7に供給される予備の苗マットが載置される。第2通路93の下端は、第1通路71の上端よりも上方に位置する。詳細には、第1苗載せ台7が横移動する可動範囲は予め定められている。第1苗載せ台7が可動範囲の右端及び供給位置P12に位置する場合に、第2苗載せ台9は、第1苗載せ台7の前方斜め上方に間隔をあけて位置する。
【0032】
ここで、各回転体92の左右方向における中央部の外径は、各回転体92の左右方向における端部の外径よりも小さいことが好ましい。詳細には、各回転体92は、自身の中央部に向かう程、細くなっている。したがって、苗マットが回転体92上に載置された場合に、回転体92の中央部に向かう向きの力が加わる。その結果、苗マットが第2通路93に沿って後方斜め下方に搬送される場合に、左右方向に位置ずれし難い。
【0033】
また、複数の回転体92は、複数の第1回転体921と、複数の第2回転体922とを含む。複数の第2回転体922は、複数の第1回転体921よりも下方、より詳細には後方斜め下方に位置する。また、隣接基部91間における単位長さあたり、複数の第2回転体922の数は、複数の第1回転体921の数より多い。その結果、隣接基部91間における回転体92の総数を低減できる。
【0034】
また、第2回転体922の数が第1回転体921の数よりも多いので、第2通路93の下端部に近い位置程、苗マットは左右方向に位置ずれし難い。
【0035】
第2案内部94は、基部91に対応して設けられる。したがって、各第2案内部94は、左右方向における第2通路93の両側に位置する。第2案内部94は、基部91及び回転体92の各々よりも後方斜め上方に突出するリブである。したがって、第2通路93の左右両側の第2案内部94は、第2通路93上を通過する予備の苗マットを第2通路93の下端に向けて案内する。
【0036】
また、各第2案内部94の下端側は、先端に向かって先細り形状になっている。したがって、第2苗載せ台9から第1苗載せ台7への苗マットの搬送がスムーズに行える。
【0037】
図4Aは、第2苗載せ台9に対し第1苗載せ台7が左右方向に若干ずれた状態を拡大して示す図である。
図4Aに示されるように、第2案内部94は、第1苗載せ台7が供給位置P12に位置する場合に、第1案内部72と一直線上に位置するように設計される。しかし、供給位置P12の第1苗載せ台7が第2苗載せ台9に対し左右方向にわずかな位置ずれδが生じることがある。位置ずれδにより、第2案内部94と、第1案内部72とは一直線上に位置しないことがある。しかし、第2案内部94が先細り形状になっており、第2通路93の下端の左右幅が、第1通路71の上端の左右幅よりも広くできる。よって、供給位置P12の第1苗載せ台7が第2苗載せ台9に対し左右方向にわずかに位置ずれしても、第2苗載せ台9から第1苗載せ台7への苗マットの搬送がスムーズになる。
【0038】
図4Bは、
図3Aに示される第1案内部72の変形例を示す図である。
図4Bに示されるように、各第1案内部72の上端部は、好ましくは、先端に向かって先細り形状になっている。したがって、第2通路93の下端の左右幅と、第1通路71の上端の左右幅とが、他の部分よりも広くなる。その結果、供給位置P12の第1苗載せ台7が第2苗載せ台9に対し左右方向にわずかに位置ずれしても、第2苗載せ台9から第1苗載せ台7への苗マットの搬送がよりスムーズに行える。なお、各第1案内部72の上端部から下端部まで略同一幅であってもよい。
【0039】
図3A及び
図3Bに示されるように、8つのストッパー95は、8つの第2通路93に対応して設けられる。ストッパー95の各々は、略台形形状の平板である。ストッパー95の各々は、対応する第2通路93の下端側で左右方向に沿う回転軸A12周りに回動可能に隣接基部91によって支持される。詳細には、各ストッパー95は、回動機構96により生成される回転駆動力により、開放位置と、閉塞位置との間で回転軸A12周りに回動する。回転軸A12は、本開示における「第1回転軸」の一例である。開放位置は、
図3Aに示されるように、対応する第2通路93の下端を開放する位置である。一方、閉塞位置は、
図3Bに示されるように、対応する第2通路93の下端を閉塞する位置である。詳細には、ストッパー95は、開放位置にある場合、第2通路93の下端部からX1軸及びY軸に沿って拡がり、その結果、第2通路93から第1通路71への予備の苗マットが供給可能になる。また、ストッパー95は、閉塞位置にある場合、第2通路93及びX1軸に略直交し、且つY軸及びZ1軸に沿って拡がる。その結果、第2通路93から第1通路71への予備の苗マットの供給が不能になる。
【0040】
第1苗載せ台7が供給位置P12にあり、ストッパー95が開放位置にある場合、ストッパー95は、第1苗載せ台7側の第1通路71の上端部に向かって第2通路93の下端部から延びる。したがって、予備の苗マットが第2通路93から第1通路71に供給される過程で、予備の苗マットが第1通路71及び第2通路93の間の隙間に落ち込むことが抑制できる。即ち、予備の苗マットが第2通路93から第1通路71にスムーズに供給される。
【0041】
回転軸A12は、ストッパー95における長い底辺に近い位置で左右方向に延びている。したがって、ストッパー95の先端の左右方向における長さは、ストッパー95の基端の左右方向における長さよりも短い。したがって、第1苗載せ台7が供給位置P12にある場合に、開放位置のストッパー95の先端が第1案内部72の上端に干渉することが抑制できる。
【0042】
回動機構96は、右端の基部91における右側面の下端部に位置する。回動機構96は、モータ、ギヤ及びシャフトを含み、全てのストッパー95を一括で、閉塞位置と、開放位置との間で、回転軸A12周りに回動させる。
【0043】
図5は、
図1に示される苗移植機100のブロック図である。
図5に示されるように、苗移植機100は、植付クラッチセンサ41と、残量センサ42と、位置センサ43と、制御部44とを更に備える。
【0044】
植付クラッチセンサ41は、操縦ハンドル6の付近に設けられた植付クラッチレバー(図示せず)の位置を検出する。植付クラッチセンサ41は、検出結果を示す二値信号(以下、「クラッチ位置信号」と記載する。)を制御部44に出力する。詳細には、植付クラッチセンサ41は、株間変速装置26に設けられる植付クラッチが接続されている場合、第1レベルを有するクラッチ位置信号を出力する。一方、植付クラッチセンサ41は、各植付クラッチが切断されている場合、第1レベルとは異なる第2レベルを有するクラッチ位置信号を出力する。
【0045】
残量センサ42は、第1苗載せ台7に載置された苗マットのいずれか苗の残量を示す二値信号(以下、「残量信号」と記載する。)を制御部44に出力する。詳細には、苗の残量が残量閾値に到達した場合に、残量センサ42は、第1レベルを有する残量信号を出力する。一方、苗の残量が残量閾値に到達していない場合、残量センサ42は、第1レベルとは異なる第2レベルを有する残量信号を出力する。
【0046】
位置センサ43は、第1苗載せ台7が左右方向における可動範囲の右端に位置するか否かを検出する。位置センサ43は、検出結果を示す信号(以下、「台位置信号」と記載する。)を制御部44に出力する。詳細には、位置センサ43は、第1苗載せ台7が可動範囲の右端に位置する場合、第1レベルを有する台位置信号を出力する。位置センサ43は、第1苗載せ台7が可動範囲の右端に位置しない場合、第1レベルとは異なる第2レベルを有する台位置信号を出力する。
【0047】
制御部44は、例えば、マイクロコンピュータ及び各種メモリを含む。各種メモリは、典型的には、マイクロコンピュータに実装される。なお、各種メモリは、マイクロコンピュータの外部に実装されていてもよい。各種メモリは、制御プログラム及び各種データを記憶する。マイクロコンピュータは、制御プログラムを実行することにより、苗移植機100の全体制御を行う。
【0048】
図6は、
図5に示される制御部44に記憶される制御プログラムによる処理を示すフローチャートである。制御プログラムは、苗移植機100が作業者の操縦にしたがって走行中に制御部44により実行される。なお、苗移植機100が苗植付のために走行中、第1苗載せ台7は、植付位置P11(
図1参照)において、左右方向に横移動する。また、各ストッパー95は閉塞位置にあり、植付クラッチが接続される。
【0049】
詳細には、
図6のステップS101において、制御部44は、残量センサ42から残量信号を所定時間間隔で受信する。制御部44は、残量信号が第1レベルを示していない場合(ステップS101でNo)、第1苗載せ台7に予備の苗マットの供給が不要であるとみなして、ステップS101に戻る。なお、苗移植機100が苗植付の作業状態でない場合、ステップS101が繰り返される。一方、制御部44は、残量信号が第1レベルを示している場合(ステップS101でYes)、第1苗載せ台7に予備の苗マットの供給が必要であるとみなして、ステップS102を実行する。
【0050】
ステップS102において、制御部44は、植付クラッチセンサ41からクラッチ位置信号を受信する。制御部44は、クラッチ位置信号が第1レベルを示していない場合(ステップS102でNo)、苗移植機100が苗植付のために走行中でないとみなして、ステップS101に戻る。一方、制御部44は、クラッチ位置信号が第1レベルを示している場合(ステップS102でYes)、苗移植機100が苗植付のために走行中であるとみなして、ステップS103を実行する。
【0051】
ステップS103において、制御部44は、予め定められた移動タイミングで油圧シリンダ22を駆動させることにより、第1苗載せ台7を植付位置P11から供給位置P12へと移動させる。移動タイミングとしては、苗移植機100が走行を停止したタイミングが例示される。
【0052】
次に、ステップS104において、制御部44は、位置センサ43から台位置信号を受信する。制御部44は、台位置信号が第1レベルを有する場合(ステップS104でYes)、第1苗載せ台7が可動範囲の右端に位置するとみなして、ステップS105を実行する。一方、制御部44は、台位置信号が第1レベルを有していない場合(ステップS104でNo)、第1苗載せ台7が可動範囲の右端に位置しないとみなして、ステップS106を実行する。
【0053】
ステップS106において、制御部44は、センターケース30に駆動力を与えることで横送り軸を所定量だけ回転させて、第1苗載せ台7を可動範囲の右端まで移動させる。この時、第1苗載せ台7に載置した苗が移植機構8により掻き取られないようにするため、図示しない植付爪クラッチを用いて移植機構8の駆動は停止するよう制御される。これにより、第1苗載せ台7上の苗マットが移植機構8によって掻き取られることが防止できる。その後、制御部44は、ステップS105を実行する。
【0054】
ステップS105において、制御部44は、回動機構96により、各ストッパー95を閉塞位置から開放位置に回動させる。その結果、第2苗載せ台9の苗マットは、第2通路93及び第1通路71上を苗マットの自重により滑り落ちて第1苗載せ台7に移動する。したがって、比較的省電力で予備の苗マットを第1苗載せ台7に供給できる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る苗移植機100について説明する。
【0056】
図7は、第2実施形態に係る第2苗載せ台9の一部を、
図1に示される視方向Aから見た時の矢視図である。
図7に示されるように、第2苗載せ台9は、第1実施形態の第2苗載せ台9と比較すると、各第2案内部94に代えて、9つの固定案内部97及び9つの可動案内部98を備える点で相違する。なお、参照符号「97」は、2つの固定案内部のみに付されている。参照符号「98」は、2つの可動案内部のみに付されている。
【0057】
固定案内部97は、基部91に対応して設けられる。したがって、各固定案内部97は、左右方向における第2通路93の両側に固定される。各固定案内部97は、基部91及び回転体92の各々よりも後方斜め上方に突出するリブである。したがって、第2通路93の左右両側の固定案内部97は、第2通路93上を通過する予備の苗マットを第2通路93の下端側に向けて案内する。
【0058】
各固定案内部97の下端側は、先端に向かって先細り形状になっていない。詳細には、各固定案内部97の左右方向における幅は、自身の上端から下端まで概ね一定である。また、各固定案内部97の下端部は、対応する基部91の下端部よりも上端部側に控えている。換言すると、基部91の下端部の方が、固定案内部97の下端部よりも突出している。
【0059】
可動案内部98は、固定案内部97に対応して設けられる。各可動案内部98は、硬質材料で作製される。各可動案内部98は、基部91及び回転体92の各々より後方斜め上方に突出するリブである。各可動案内部98は、基部91において固定案内部97の下端部に隣接する位置(以下、「基端位置」と記載する。)から、前後方向において後ろ下がりに延びる。各可動案内部98は、基部91及び第2通路93の各下端部よりも、供給位置P12の複数の第1案内部72側の方に突出する。可動案内部98の各々の下端側は、複数の第1案内部72の上端部と当接可能であり、前記左右方向に揺動可能に基端位置に支持される。
【0060】
各可動案内部98の少なくとも下端側は、各第1案内部72の少なくとも上端側に磁気により吸着可能であることが好ましい。したがって、第1苗載せ台7が供給位置P12に位置した場合に、各可動案内部98の下端側が、後方斜め下方に位置する第1案内部72に吸着される。その結果、第2苗載せ台9から第1苗載せ台7への苗マットの搬送がスムーズに行える。
【0061】
以上、図面を参照して本開示の実施形態について説明した。ただし、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0062】
また、図面は、本開示の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0063】
(1)各実施形態では、複数の回転体92の各々は、ローラであった。しかし、これに限らず、隣接基部91は、複数のローラではなく、搬送ベルトであってもよい。また、ストッパー95には、
図8に示されるように、各回転体92と同様の回転体910が設けられていてもよい。回転体910により、第1苗載せ台7に向かうより大きな搬送力を苗マットに与えることが可能となる。
【0064】
(2)各実施形態では、ストッパー95は、平板であった。しかし、これに限らず、ストッパー95は、櫛歯形状を有していてもよい。
【0065】
(3)各実施形態では、苗移植機100は、8条植えタイプであった。しかし、これに限らず、苗移植機100の条数は、8以外でもよい。
【0066】
(4)第2実施形態では、可動案内部98は、硬質材料で作製されていた。しかし、可動案内部98は、弾性材料により左右方向に揺動可能に作製されてもよい。
【0067】
(5)各実施形態では、第2苗載せ台9は、上下方向において1段であった。しかし、これに限らず、複数の第2苗載せ台9が上下方向において間隔をあけて並んでいてもよい。また、走行機体1と、第2苗載せ台9との間に、肥料散布用のホッパが位置していてもよい。また、ホッパの上蓋を開閉可能にするために、第2苗載せ台9がホッパから離れる方向に移動可能に構成されてもよい。
【0068】
(6)各実施形態において、
図9に示されるように、第2苗載せ台9における例えば左側2条分が複数のヒンジ99により折り畳み可能に構成されてもよい。
【0069】
(7)各実施形態では、第1苗載せ台7が可動範囲の右端に位置した状態で、各ストッパー95が閉塞位置から開放位置に回動していた。しかし、これに限らず、第1苗載せ台7が可動範囲の左端に位置した状態で、制御部44は、各ストッパー95を閉塞位置から開放位置に回動させてもよい。
【0070】
(8)実施形態では「移動タイミング」として、苗移植機100が走行を一時停止したタイミングが例示されていた。しかし、これに限らず、移動タイミングは、他にも、苗移植機100が走行中であっても構わない。具体的には、苗移植機100は、直進行程中に植付作業を実行し、連続する2回の直進行程の間では、植付作業を実行しない旋回行程を実施する。制御部44は、旋回行程中(即ち、走行中)に、ステップS103を実行して、第1苗載せ台7を植付位置P11から供給位置P12へと移動させてもよい。
【0071】
(9)また、
図10A及び
図10Bに示されるように、各ストッパー95の回転軸A12の位置は、第2案内部94の突出方向に第2通路93から若干離れて位置してもよい。突出方向は、
図10AにおいてZ1軸を示す矢印「◎」により示される方向である。
図10A及び
図10Bに示されるように、各ストッパー95は、回動機構96により、第1位置P21と、第2位置P22との間で回転軸A12周りに回転可能となる。第1位置P21は、ストッパー95が第2通路93上で第2通路93に沿う位置である。なお、第1位置P21のストッパー95は、
図10A及び
図10Bにおいて鎖線で示される。第2位置P22は、開放位置と同じ位置である。なお、第2位置P22のストッパー95は、
図10A及び
図10Bにおいて実線で示される。ストッパー95は、第1位置P21から第2位置P22に回動することにより、苗マットに、第1苗載せ台7に向かう搬送力を第2通路93上で与えることが可能となる。
【0072】
(10)
図11は、
図5に示される制御部44に記憶される制御プログラムによる処理の変形例を示すフローチャートである。
図11のフローチャートは、
図6のフローチャートと比較すると、ステップS201,S202がこの記載順で、ステップS102,S103との間にある点で相違する。
【0073】
図11に示されるように、制御部44は、ステップS201は、クラッチ位置信号が第1レベルを示している場合(ステップS102でYes)、苗移植機100が苗植付のために走行中であるとみなして、ステップS201を実行する。
【0074】
ステップS201において、制御部44は、苗移植機100を自動的に減速させる。
【0075】
ステップS202において、制御部44は、苗移植機100が停止したか否かを判定する。苗移植機100が停止していないと判定された場合(ステップS202でNo)、処理は、ステップS201に戻る。一方、苗移植機100が停止したと判定された場合(ステップS202でYes)、処理は、ステップS103に進む。
【0076】
本願は、以下の付記を開示する。以下の付記は、本発明を限定するものではない。
【0077】
(付記1)
苗移植機であって、
苗マットが載置される第1苗載せ台と、
前記第1苗載せ台上の前記苗マットの苗を植え付ける移植機構と、
前記第1苗載せ台に供給される予備の苗マットが載置される第2苗載せ台と
を備え、
前記第1苗載せ台は、
前記苗移植機の前後方向において後ろ下がりに傾斜し、前記苗マットが載置される第1通路と、
前記苗移植機の左右方向における前記第1通路の両端に位置し、前記第1通路上の前記苗マットを案内する複数の第1案内部と
を有し、
前記第2苗載せ台は、
前記前後方向において後ろ下がりに傾斜し、前記予備の苗マットが載置される第2通路と、
前記左右方向における前記第2通路の両端に位置し、前記第2通路上の前記予備の苗マットを案内する複数の第2案内部と
を有しており、
前記第2通路の下端は、前記第1通路の上端より上方に位置し、
前記複数の第2案内部の下端側は、先端に向かって先細り形状になっている、苗移植機。
【0078】
(付記2)
前記第1案内部の上端側は、先端に向かって先細り形状になっている、付記1に記載の苗移植機。
【0079】
(付記3)
苗移植機であって、
苗マットが載置される第1苗載せ台と、
前記第1苗載せ台上の前記苗マットの苗を植え付ける移植機構と、
前記第1苗載せ台に供給される予備の苗マットが載置される第2苗載せ台と
を備え、
前記第1苗載せ台は、
前記苗移植機の前後方向において後ろ下がりに傾斜し、前記苗マットが載置される第1通路と、
前記苗移植機の左右方向における前記第1通路の両端に位置し、前記第1通路上の前記苗マットを案内する複数の第1案内部と
を有し、
前記第2苗載せ台は、
前記前後方向において後ろ下がりに傾斜し、前記予備の苗マットが載置される第2通路と、
前記左右方向における前記第2通路の両端に固定され、前記第2通路上の予備の苗マットを案内する固定案内部と、
前記複数の固定案内部に対応して設けられる複数の可動案内部と
を有しており、
前記複数の可動案内部の各々は、前記第2通路よりも前記複数の第1案内部側の方に突出しており、
前記複数の可動案内部の各々の下端側は、前記複数の第1案内部の上端と当接可能であり、前記左右方向に揺動可能である、苗移植機。
【0080】
(付記4)
前記可動案内部の下端側は、前記第1案内部の上端側に磁気により吸着される、付記3に記載の苗移植機。
【0081】
(付記5)
前記第1苗載せ台上の苗マットの苗を前記移植機構が植え付けることが可能な植付位置と、前記第2苗載せ台上の前記予備の苗マットを前記第1苗載せ台に供給可能な供給位置との間で前記第1苗載せ台を昇降させる昇降機構と、
前記第1苗載せ台上の苗マットの残量を検出する残量センサと、
前記残量センサで検出された残量に基づいて、前記昇降機構により前記第1苗載せ台を前記植付位置から前記供給位置へと移動させる制御部と、
前記第2通路の下端側で前記左右方向に沿う第1回転軸周りに回動可能なストッパーと、
前記第2通路の下端側を閉塞する閉塞位置と、前記第2通路の下端側を開放する開放位置との間で、前記ストッパーを前記第1回転軸周りに回動させる回動機構と
を更に備え、
前記制御部は、前記昇降機構により前記第1苗載せ台を前記植付位置から前記供給位置へと移動させた後に、前記回動機構により前記ストッパーを前記閉塞位置から前記開放位置に回動させる、付記1から付記4のいずれかに記載の苗移植機。
【0082】
(付記6)
前記ストッパーは、平板であり、前記開放位置にある場合に、前記第2通路の下端側から前記第1通路の上端側に向かって延びる、付記5に記載の苗移植機。
【0083】
(付記7)
前記ストッパーの先端の前記左右方向における長さは、前記ストッパーの基端の前記左右方向における長さより短い、付記5に記載の苗移植機。
【0084】
(付記8)
前記第2苗載せ台は、
前記左右方向に間隔をあけて配置され、前記前後方向において後ろ下がりに延びる複数の基部と、
前記左右方向に隣り合う2つの前記基部の間に前記第2通路に沿って間隔をあけて位置し、前記左右方向に沿う第2回転軸周りに回転可能な複数の回転体と
を更に有し、
前記左右方向における前記回転体の中央部は、前記左右方向における前記回転体の端部よりも細い、付記1から付記7のいずれかに記載の苗移植機。
【0085】
(付記9)
前記第2苗載せ台は、
前記左右方向に間隔をあけて配置され、前記前後方向において後ろ下がりに延びる複数の基部と、
前記左右方向に隣り合う2つの前記基部の間で前記第2通路に沿って間隔をあけて位置し、前記左右方向に沿う第2回転軸周りに回転可能な複数の回転体と
を更に有し、
前記複数の回転体は、複数の第1回転体と、前記複数の第1回転体よりも下方に位置する複数の第2回転体とを含み、
前記複数の基部における単位長さあたり、前記複数の第2回転体の数は、前記複数の第1回転体の数よりも多い、付記1から付記8のいずれかに記載の苗移植機。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、苗移植機に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0087】
100 苗移植機
41 植付クラッチセンサ
42 残量センサ
43 位置センサ
44 制御部
7 第1苗載せ台
71 第1通路
72 第1案内部
8 移植機構
9 第2苗載せ台
91 基部
92 回転体
921 第1回転体
922 第2回転体
93 第2通路
94 第2案内部
95 ストッパー
96 回動機構
97 固定案内部
98 可動案内部