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特開2024-100509通信システム、通信方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100509
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/033 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H04L7/033
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004555
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 達夫
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047GG11
5K047MM48
5K047MM50
5K047MM55
5K047MM63
(57)【要約】
【課題】送受信に使用するクロックを同期させてデータ廃棄の発生率を改善可能な通信システムを提供する。
【解決手段】通信システムは、制御用デバイスに対して1又は複数の送受信用デバイスの各々から各回線を介して送信されたデータの先頭ビットからクロック抽出を行い送信されたデータに同期したクロックをそれぞれ生成する1又は複数のクロック抽出部と、送信されたデータに同期したクロックの各々を分周し各々の分周クロックを出力する1又は複数のクロック分周部と、いずれか1つの回線に対応する分周クロックを選択し選択した分周クロックを出力する分周クロック選択部と、分周された非同期クロックを生成する非同期クロック分周部と、選択した分周クロックと分周された非同期クロックに基づいて選択した分周クロックに同期した基準クロックを生成し出力する位相同期部と、基準クロックを逓倍して逓倍したクロックを出力する基準クロック逓倍部を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御用デバイスに対して、1又は複数の送受信用デバイスの各々から各回線を介して送信されたデータの先頭ビットからクロック抽出を行い、前記送信されたデータに同期したクロックをそれぞれ生成する、1又は複数のクロック抽出部と、
前記送信されたデータに同期したクロックの各々を分周し、各々の分周クロックを出力する、1又は複数のクロック分周部と、
1又は複数の前記分周クロックから、いずれか1つの回線に対応する分周クロックを選択し、選択した分周クロックを出力する分周クロック選択部と、
非同期クロックを分周し、分周された非同期クロックを生成する、非同期クロック分周部と、
前記選択した分周クロックと前記分周された非同期クロックに基づいて、前記選択した分周クロックに同期した基準クロックを生成し出力する位相同期部と、
前記基準クロックを逓倍して、1又は複数の逓倍したクロックを出力する基準クロック逓倍部と
を含む、通信システム。
【請求項2】
前記クロック抽出部は、前記基準クロック逓倍部の出力する前記逓倍したクロックに基づいて、クロックデータリカバリを実行する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記位相同期部は、ディジタル位相同期ループ(DPLL)である、請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記位相同期部は、前記選択した分周クロックと前記分周された非同期クロックの位相を比較する位相比較器と、前記位相比較器の出力を受ける低域通過フィルタと、前記低域通過フィルタの出力を受ける電圧制御発信器を含み、前記電圧制御発信器の出力を、前記非同期クロック分周部へ、前記非同期クロックとして供給し、前記分周された非同期クロックを前記基準クロックとして出力する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記基準クロック逓倍部は、前記送受信用デバイスと前記制御用デバイスへ、前記送受信用デバイスと前記制御用デバイスが送受信に使用する前記逓倍したクロックを供給する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
前記回線は、イーサネット(登録商標)回線である、請求項1に記載の通信システム。
【請求項7】
1又は複数のクロック抽出部と1又は複数のクロック分周部と分周クロック選択部と非同期クロック分周部と位相同期部と基準クロック逓倍部とを含むコンピュータが、
制御用デバイスに対して、1又は複数の送受信用デバイスの各々から各回線を介して送信されたデータの先頭ビットからクロック抽出を行い、前記送信されたデータに同期したクロックをそれぞれ生成する、1又は複数のクロック抽出ステップと、
前記送信されたデータに同期したクロックの各々を分周し、各々の分周クロックを出力する、1又は複数のクロック分周ステップと、
1又は複数の前記分周クロックから、いずれか1つの回線に対応する分周クロックを選択し、選択した分周クロックを出力する分周クロック選択ステップと、
非同期クロックを分周し、分周された非同期クロックを生成する、非同期クロック分周ステップと、
前記選択した分周クロックと前記分周された非同期クロックに基づいて、前記選択した分周クロックに同期した基準クロックを生成し出力する位相同期ステップと、
前記基準クロックを逓倍して、1又は複数の逓倍したクロックを出力する基準クロック逓倍ステップ
を含む、通信方法。
【請求項8】
前記コンピュータが、前記クロック抽出ステップにおいて、前記逓倍したクロックに基づいて、クロックデータリカバリを実行する、請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
1又は複数のクロック抽出部と1又は複数のクロック分周部と分周クロック選択部と非同期クロック分周部と位相同期部と基準クロック逓倍部とを含むコンピュータに、
制御用デバイスに対して、1又は複数の送受信用デバイスの各々から各回線を介して送信されたデータの先頭ビットからクロック抽出を行い、前記送信されたデータに同期したクロックをそれぞれ生成する、1又は複数のクロック抽出処理と、
前記送信されたデータに同期したクロックの各々を分周し、各々の分周クロックを出力する、1又は複数のクロック分周処理と、
1又は複数の前記分周クロックから、いずれか1つの回線に対応する分周クロックを選択し、選択した分周クロックを出力する分周クロック選択処理と、
非同期クロックを分周し、分周された非同期クロックを生成する、非同期クロック分周処理と、
前記選択した分周クロックと前記分周された非同期クロックに基づいて、前記選択した分周クロックに同期した基準クロックを生成し出力する位相同期処理と、
前記基準クロックを逓倍して、1又は複数の逓倍したクロックを出力する基準クロック逓倍処理
を実行させるプログラム。
【請求項10】
前記クロック抽出処理において、前記コンピュータに、前記逓倍したクロックに基づいて、クロックデータリカバリを実行させる、請求項9に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
網内のクロックの同期に関しては、以下のような文献が挙げられる。
【0003】
特許文献1は、複数の回線のうちの一つに障害が発生した場合に、その他の回線の従属同期に影響を及ぼさない、従属同期方法に関するものである。
【0004】
特許文献2は、高速・短距離通信の場合のニーズを安価に実現できるトランシーバモジュールに関するものである。
【0005】
特許文献3は、イーサネット(登録商標)上で同期網を実現するために使用されるネットワーク装置に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-033721号公報
【特許文献2】再公表特許第2005/125027号
【特許文献3】再公表特許第2008/120382号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は、本発明者によって与えられたものである。
【0008】
ルータなどで使用される10GBASE-X用XFIインタフェースにおいて、CPUなどの制御デバイスとイーサネット(登録商標)のトランシーバなどの通信用デバイス間で接続される部分で、データ取り込み時にビットエラーが発生する場合があり、パケットを正常に認識できずに、受信側のデバイスでパケットが廃棄される場合がある。このような場合には、期待した通信品質が得られないことがある。
【0009】
本発明は、送受信に使用するクロックを同期させることにより、データ廃棄の発生率を改善することを可能とすることに貢献する、通信システム、通信方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の視点によれば、制御用デバイスに対して、1又は複数の送受信用デバイスの各々から各回線を介して送信されたデータの先頭ビットからクロック抽出を行い、前記送信されたデータに同期したクロックをそれぞれ生成する、1又は複数のクロック抽出部と、
前記送信されたデータに同期したクロックの各々を分周し、各々の分周クロックを出力する、1又は複数のクロック分周部と、
1又は複数の前記分周クロックから、いずれか1つの回線に対応する分周クロックを選択し、選択した分周クロックを出力する分周クロック選択部と、
非同期クロックを分周し、分周された非同期クロックを生成する、非同期クロック分周部と、
前記選択した分周クロックと前記分周された非同期クロックに基づいて、前記選択した分周クロックに同期した基準クロックを生成し出力する位相同期部と、
前記基準クロックを逓倍して、1又は複数の逓倍したクロックを出力する基準クロック逓倍部と
を含む、通信システムを、提供できる。
【0011】
本発明の第2の視点によれば、1又は複数のクロック抽出部と1又は複数のクロック分周部と分周クロック選択部と非同期クロック分周部と位相同期部と基準クロック逓倍部とを含むコンピュータが、
制御用デバイスに対して、1又は複数の送受信用デバイスの各々から各回線を介して送信されたデータの先頭ビットからクロック抽出を行い、前記送信されたデータに同期したクロックをそれぞれ生成する、1又は複数のクロック抽出ステップと、
前記送信されたデータに同期したクロックの各々を分周し、各々の分周クロックを出力する、1又は複数のクロック分周ステップと、
1又は複数の前記分周クロックから、いずれか1つの回線に対応する分周クロックを選択し、選択した分周クロックを出力する分周クロック選択ステップと、
非同期クロックを分周し、分周された非同期クロックを生成する、非同期クロック分周ステップと、
前記選択した分周クロックと前記分周された非同期クロックに基づいて、前記選択した分周クロックに同期した基準クロックを生成し出力する位相同期ステップと、
前記基準クロックを逓倍して、1又は複数の逓倍したクロックを出力する基準クロック逓倍ステップ
を含む、通信方法を、提供できる。本方法は、通信方法を行うコンピュータという、特定の機械に結びつけられている。
【0012】
本発明の第3の視点によれば、1又は複数のクロック抽出部と1又は複数のクロック分周部と分周クロック選択部と非同期クロック分周部と位相同期部と基準クロック逓倍部とを含むコンピュータに、
制御用デバイスに対して、1又は複数の送受信用デバイスの各々から各回線を介して送信されたデータの先頭ビットからクロック抽出を行い、前記送信されたデータに同期したクロックをそれぞれ生成する、1又は複数のクロック抽出処理と、
前記送信されたデータに同期したクロックの各々を分周し、各々の分周クロックを出力する、1又は複数のクロック分周処理と、
1又は複数の前記分周クロックから、いずれか1つの回線に対応する分周クロックを選択し、選択した分周クロックを出力する分周クロック選択処理と、
非同期クロックを分周し、分周された非同期クロックを生成する、非同期クロック分周処理と、
前記選択した分周クロックと前記分周された非同期クロックに基づいて、前記選択した分周クロックに同期した基準クロックを生成し出力する位相同期処理と、
前記基準クロックを逓倍して、1又は複数の逓倍したクロックを出力する基準クロック逓倍処理
を実行させるプログラム、を提供できる。
【0013】
なお、これらのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、送受信に使用するクロックを同期させることにより、データ廃棄の発生率を改善することを可能とすることに貢献する、通信システム、通信方法、及び、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の通信システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態の通信システムの構成の一例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態の通信システムのクロック生成部の構成の一例を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態の通信システムのクロック抽出部の構成の一例を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態の通信システムのクロック抽出部の動作の一例を示す図である。
図6】本発明の第3の実施形態の通信システムのクロック生成部の構成の一例を示す図である。
図7】本発明の通信システムを構成するコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
はじめに、本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態の通信システムの構成の一例を示す図である。図1を参照すると、通信システム100は、1又は複数のクロック抽出部1201から120nと、クロック生成部130を含み、クロック生成部130は、1又は複数のクロック分周部1401から140nと、分周クロック選択部150と、非同期クロック分周部160と、位相同期部170と、基準クロック逓倍部180を含む。
【0018】
送受信用デバイス1101は、制御用デバイス190と回線1011及び1021により接続され、送受信用デバイス110nは、制御デバイス190と回線101n及び102nにより接続され、クロック抽出部1201は、回線1011で送信されたデータ101を取得し、クロック抽出部120nは、回線101nで送信されたデータ10nを取得する。
【0019】
クロック抽出部1201~120nは、1又は複数の送受信用デバイス1101~110nの各々から各回線1011~101nを介して制御用デバイス190に対して送信されたデータ101~10nの先頭ビットからクロック抽出を行い、送信されたデータ101~10nに同期したクロック211~21nをそれぞれ生成する。回線1011~101nと回線1021~102nは、例えば、ルータなどで使用される複数のイーサネット(登録商標)回線である。
【0020】
クロック生成部130の1又は複数のクロック分周部1401~140nは、送信されたデータに同期したクロック211~21nの各々を分周し、各々の分周クロックを出力する。
【0021】
クロック生成部130の分周クロック選択部150は、1又は複数の分周クロックから、いずれか1つの回線1011~101nに対応する分周クロックを選択し、選択した分周クロック出力する。
【0022】
クロック生成部130の非同期クロック分周部160は、非同期クロックを分周し、分周された非同期クロックを生成する。
【0023】
クロック生成部130の位相同期部170は、選択した分周クロックと分周された非同期クロックに基づいて、選択した分周クロックに同期した基準クロックを生成し出力する。
【0024】
クロック生成部130の基準クロック逓倍部180は、基準クロックを逓倍して、1又は複数の逓倍したクロックを出力する。
【0025】
クロック生成部130の基準クロック逓倍部180は、送受信用デバイス1101~110nと制御用デバイス190へ、送受信用デバイス1101~110nと制御用デバイス190が送受信に使用する逓倍したクロックを供給する。
【0026】
上記のように、本発明の一実施形態によれば、送信されたデータに同期した、送受信用デバイスと制御用デバイスが送受信に使用する逓倍したクロックを生成することができる。
【0027】
また、本発明の一実施形態により、任意の回線の送信されたデータに同期した任意の周波数のクロックまたは独立した任意の周波数のクロックを各デバイスに供給することができる。
【0028】
また、本発明の一実施形態によれば、装置内の回線によるデータの送受信にかかわる機能を、同期したクロックに基づいて動作させることでビットエラーの低減によるデータ廃棄の発生率を改善することができる。
【0029】
従って、本発明の一実施形態によれば、送受信に使用するクロックを同期させることにより、データ廃棄の発生率を改善することを可能とすることに貢献する、通信システム、通信方法、及び、プログラムを提供することができる。
【0030】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態の通信システムについて、図面を参照して説明する。図2は、本発明の第1の実施形態の通信システムの構成の一例を示す図である。また、図3は、本発明の第1の実施形態の通信システムのクロック生成部の構成の一例を示す図である。図2図3において、図1と同一の参照符号を付した構成要素は、同一の構成要素を示すものとする。
【0031】
図2を参照すると、通信システム100は、クロック抽出部1201~120nと、クロック生成部130を含む。また、図3を参照すると、クロック生成部130は、クロック分周部1401~140nと、分周クロック選択部150と、非同期クロック分周部160と、位相同期部170と、基準クロック逓倍部180を含む。
【0032】
クロック抽出部1201~120nは、制御用デバイス190に対して、1又は複数の送受信用デバイス1101~110nの各々から各回線1011~101nを介して送信されたデータ101~10nの先頭ビットからそれぞれクロック抽出を行い、送信されたデータ101~10nに同期したクロック211~21nを生成し、クロック生成部130へ供給する。回線1011~101nと回線1021~102nは、例えば、ルータなどで使用される複数のイーサネット(登録商標)回線である。クロック抽出用基準クロック(クロックの抽出のための基準となるクロック)201~20nは、クロック生成部130によりクロック抽出部1201~120nへ供給される。例えば、10GBASE‐X用XFIインタフェースの場合には、送信されたデータに同期したクロック211~21nとクロック抽出用基準クロック201~20nの双方ともに、156.25MHzとなる。すなわち、各回線1011~101nに対するクロック抽出部1201~1201nは、クロック抽出用基準クロック201~20nに基づいてそれぞれ抽出し生成した、送信されたデータに同期したクロック211~21nを、クロック生成部130へ送信する。
【0033】
図3を参照すると、図2に記載のクロック抽出部1201~120nにより生成された送信されたデータに同期したクロック211~21nは、クロック生成部130のクロック分周部1401~140nへ供給され、クロック分周部1401~140nは、例えば、25分周して、6.25MHzの周波数の分周クロック311~31nを生成する。
【0034】
クロック分周部1401~140nによりそれぞれ分周された分周クロック311~31nの中から、分周クロック選択部150により、任意のいずれか1つの回線に対して選択した分周クロック151を選択する。
【0035】
また、一般に水晶発振器などより供給される非同期のクロック200を、非同期クロック分周部160にて分周し、6.25MHzの非同期分周クロック161を生成する。
【0036】
分周クロック選択部150により選択した分周クロック151と、非同期クロック分周部160にて分周した非同期分周クロック161を、位相同期部170に入力し、位相同期部170内の位相同期回路(PLL)により、非同期クロック分周部160にて分周した非同期分周クロック161を用いて、選択された回線に対応する選択した分周クロック151に同期した基準クロック171を生成する。
【0037】
位相同期部170は、例えば、ディジタル位相同期ループ(DPLL)により構成されてもよい。なお、DPLLの処理は、非同期クロック分周部160にて分周した非同期分周クロック161から位相調整を行って、分周クロック選択部150により選択した分周クロック151に対して、同じ位相のクロックを生成し、生成したクロックを基準クロック171として出力する等の方法がある。また、DPLLの他の処理として、非同期クロック分周部160にて分周した非同期分周クロック161から、逓倍した位相の異なる多相のクロックを生成して、分周クロック選択部150により選択した分周クロック151に対して、例えば最も近い位相を有する逓倍クロックのような、最適な位相の逓倍したクロックを選択し、選択した位相の逓倍したクロックを分周して基準クロック171として出力する等の方法もある。
【0038】
基準クロック逓倍部180では、クロック抽出部1201~120nへ供給されるクロック抽出用基準クロック201~20nと、各通信用の送受信用デバイス1101~110nに入力するクロック301~30nと、制御用デバイス190に入力するクロック400を、位相同期部170の出力する基準クロック171から必要となる周波数に逓倍して生成し出力する。この際に、クロック抽出用基準クロック201、202、20nと、送受信用デバイス1101~110nに入力するクロック301、302、30n、制御用デバイス190に入力するクロック400及び、その他の必要なクロックは、一般的には、6.25MHzの基準クロック171を逓倍して生成可能な周波数のクロックとなる。
【0039】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、送信されたデータに同期した、送受信用デバイスと制御用デバイスが送受信に使用する逓倍したクロックを生成することができる。従って、本発明の第1の実施形態によれば、送受信に使用するクロックを同期させることにより、データ廃棄の発生率を改善することを可能とすることに貢献する、通信システム、通信方法、及び、プログラムを提供することができる。
【0040】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。図4は、本発明の第2の実施形態の通信システムのクロック抽出部の構成の一例を示す図である。また、図5は、本発明の第2の実施形態の通信システムのクロック抽出部の動作の一例を示す図である。図4において、図1から3と同一の参照符号を付した構成要素は、同一の構成要素を示すものとする。
【0041】
図4を参照するとクロック抽出部1201は、クロック抽出用基準クロック201を66倍に逓倍した逓倍クロック501を生成する66倍逓倍部401と、逓倍クロック501と、回線1011上の送受信用デバイス1101から送信されたデータ101を入力として、これらから抽出し生成した、送信されたデータに同期したクロック211を出力するクロックリカバリ部402を含む。送信されたデータに同期したクロック211は、66分の1に分周して分周クロック311を生成するクロック分周部1401へ送られ、分周クロック311が生成される。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態のクロック抽出部1201の動作の一例について説明する。図5の破線600で囲まれた部分が、クロックリカバリの動作を示す。図5を参照すると、クロック抽出用基準クロック201、クロック抽出用基準クロックを逓倍した逓倍クロック501、送受信用デバイス1101から回線1011で送信されたデータ(クロック抽出部1201の受信データ)101、逓倍クロック501をもとにクロックリカバリ部402により抽出し生成した、送信されたデータに同期したクロック211、送信されたデータに同期したクロック211を、クロック分周部1401により66分周した分周クロック311が示されている。
【0043】
クロックリカバリ部402は、クロック抽出用基準クロック201を逓倍した逓倍クロック501から、送信されたデータ101に同期したクロック211を抽出し生成する。クロックリカバリの動作は、例えば、逓倍クロック501から位相調整を行って、送信されたデータ101に対して、同じ位相のクロックを生成し、生成したクロックを送信されたデータ101に同期したクロック211として出力する等の方法がある。また、基準クロックを逓倍した逓倍クロック501から、位相の異なる多相のクロックを生成して、送信されたデータ101に対して、例えば最も近い位相を有するクロックのような、最適な位相のクロックを選択し、送信されたデータに同期したクロック211として出力する等の方法がある。
【0044】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、各回線を介して送信されたデータの先頭ビットから、送信されたデータに同期したクロックをそれぞれ抽出する、クロック抽出部1201を構成できる。
【0045】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。図6は、本発明の第3の実施形態の通信システムのクロック生成部130の構成の一例を示す図である。図6において、図1から3と同一の参照符号を付した構成要素は、同一の構成要素を示すものとする。
【0046】
本発明の第3の実施形態では、非同期クロック分周部160と位相同期部170により、位相同期ループ(PLL)が構成される場合の実施形態である。
【0047】
図6を参照すると、位相同期部170は、分周クロック選択部150により選択した分周クロック151と、非同期クロック分周部160により分周された非同期クロック200の位相を比較する位相比較器601と、位相比較器601の出力を受ける低域通過フィルタ(LPF)602と、低域通過フィルタ602の出力を受ける、例えば、VCXO(電圧制御水晶発信器)のような、電圧制御発信器603を含み、電圧制御発信器603の出力が、非同期クロック分周部160へ、非同期クロック200として供給され、分周された非同期クロック200を基準クロック171として出力する。非同期クロック200は、PLLの動作開始の時点では、選択した分周クロック151と非同期な、電圧制御発信器603の出力を非同期クロック分周部160により分周したクロックであるが、PLLが選択した分周クロック151に位相同期すると、基準クロック171は、選択した分周クロック151に位相同期したクロックとなる。
【0048】
以上説明したように、本発明の第3の実施形態によれば、第1の実施形態で説明した位相同期部170の動作と異なる第3の実施形態の位相同期部170を構成できる。
【0049】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成、各要素の構成、メッセージの表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。また、「A及び/又はB」は、A又はBの少なくともいずれかという意味で用いる。
【0050】
また、上記した第1から第3の実施形態に示した手順は、本発明の通信システムとして機能するコンピュータ(図7の9000)に、通信システムとしての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、図7のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インタフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、図7のCPU9010にて、通信システムの制御プログラムを実行し、その補助記憶装置9040等に保持された各計算パラメータの更新処理を実施させればよい。
【0051】
メモリ9030は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
【0052】
即ち、上記した第1から第3の実施形態に示した通信システムの各部(処理手段、機能)は、上記コンピュータのプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0053】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点による通信システムを参照)
[第2の形態]
第1の形態に記載の通信システムは、前記クロック抽出部は、前記基準クロック逓倍部の出力する前記逓倍したクロックに基づいて、クロックデータリカバリを実行する、ことが好ましい。
[第3の形態]
第1の形態に記載の通信システムは、前記位相同期部は、ディジタル位相同期ループ(DPLL)である、ことが好ましい。
[第4の形態]
第1の形態に記載の通信システムは、前記位相同期部は、前記選択した分周クロックと前記分周された非同期クロックの位相を比較する位相比較器と、前記位相比較器の出力を受ける低域通過フィルタと、前記低域通過フィルタの出力を受ける電圧制御発信器を含み、前記電圧制御発信器の出力を、前記非同期クロック分周部へ、前記非同期クロックとして供給し、前記分周された非同期クロックを前記基準クロックとして出力する、ことが好ましい。
[第5の形態]
第1の形態に記載の通信システムは、前記基準クロック逓倍部は、前記送受信用デバイスと前記制御用デバイスへ、前記送受信用デバイスと前記制御用デバイスが送受信に使用する前記逓倍したクロックを供給する、ことが好ましい。
[第6の形態]
第1の形態に記載の通信システムは、前記回線は、イーサネット(登録商標)回線である、ことが好ましい。
[第7の形態]
(上記第2の視点による通信方法を参照)
[第8の形態]
第7の形態に記載の通信方法は、前記コンピュータが、前記クロック抽出ステップにおいて、前記逓倍したクロックに基づいて、クロックデータリカバリを実行する、ことが好ましい。
[第9の形態]
(上記第3の視点によるプログラムを参照)
[第10の形態]
第9の形態に記載のプログラムは、前記クロック抽出処理において、前記コンピュータに、前記逓倍したクロックに基づいて、クロックデータリカバリを実行させる、ことが好ましい。
なお、上記第7と9の形態は、第1の形態と同様に、第3から第6の形態に展開することが可能である。
【0054】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0055】
100 通信システム
101~10n 送信されたデータ
1011、1012、101n、1021、1022、102n 回線
1101、1102、110n 送受信用デバイス
130 クロック生成部
1201、1202、120n クロック抽出部
1401、1402、140n クロック分周部
150 分周クロック選択部
151 選択した分周クロック
160 非同期クロック分周部
161 非同期分周クロック
170 位相同期部
171 基準クロック
180 基準クロック逓倍部
190 制御用デバイス
200 非同期クロック
201、202、20n クロック抽出用基準クロック
211、212、21n 送信されたデータに同期したクロック
301、302、30n、400 クロック
311、312、31n 分周クロック
401 66倍逓倍部
402 クロックリカバリ部
501 逓倍クロック
601 位相比較器
602 低域通過フィルタ(LPF)
603 電圧制御発信器
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インタフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7