(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100517
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/86 20060101AFI20240719BHJP
B65G 47/14 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B65G47/86 G
B65G47/14 102A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004569
(22)【出願日】2023-01-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】591048070
【氏名又は名称】上野精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】横松 宏哉
【テーマコード(参考)】
3F072
3F080
【Fターム(参考)】
3F072AA14
3F072GA10
3F072GE01
3F072GE03
3F072KC02
3F072KC07
3F072KD03
3F080AA13
3F080BA01
3F080BF14
3F080CG04
(57)【要約】
【課題】部品支持部が回転体に対して進退自在の部品搬送装置への電子部品の単位時間当たりの供給数の増加を図ることが可能な部品供給装置を提供する。
【解決手段】電子部品Wが列をなして内側を進むトンネル状の部品移送路11内の先頭の電子部品Wを、回転体52の回転により電子部品Wを搬送する部品搬送装置50に引き渡す部品供給装置10であって、部品移送路11内に連通するポケットが形成された中継ユニット13と、可動体18並びに可動体18を動かしてポケットの状態を可動体18に塞がれていない開状態及び可動体18に塞がれた閉状態のいずれか一方から他方に切り替える駆動部19を有する開閉手段20と、ポケットに連通した吸引孔への空気の吸引を制御する吸気制御手段とを備え、吸気制御手段は、電子部品Wが不在のポケットが閉状態で、吸引孔への空気の吸引により部品移送路11内から先頭の電子部品Wをポケットに引き込む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品が列をなした状態で内側を進むトンネル状の部品移送路を有し、該部品移送路内の先頭の前記電子部品を、部品支持部が進退自在に取り付けられた回転体の回転により該部品支持部に支持されている前記電子部品を搬送する部品搬送装置に引き渡す部品供給装置であって、
前記部品移送路内の空間に連通するポケットが形成され、前記ポケットに連通した吸引孔が設けられた中継ユニットと、
可動体並びに該可動体を動かして該ポケットの状態を該可動体に塞がれていない開状態及び該可動体に塞がれた閉状態のいずれか一方から他方に切り替える駆動部を有する開閉手段と、
前記ポケットから前記吸引孔への空気の吸引を制御する吸気制御手段とを備え、
前記吸気制御手段は、前記電子部品が不在の前記ポケットが前記閉状態で、前記ポケットから前記吸引孔への空気の吸引により前記部品移送路内から先頭の前記電子部品を前記ポケットに引き込み、
前記開閉手段は、先頭の前記電子部品が引き込まれた前記ポケットを前記開状態にして、該ポケット内の該電子部品を前記部品支持部が前記回転体に対して前進して取得可能な状態にすることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の部品供給装置において、前記駆動部は、前記可動体が取り付けられた回転軸を回転させて、前記開状態及び前記閉状態を切り替えることを特徴とする部品供給装置。
【請求項3】
請求項2記載の部品供給装置において、前記可動体の回転角度を計測して、該可動体の状態を検知する回転角検出手段を、更に備えることを特徴とする部品供給装置。
【請求項4】
請求項1記載の部品供給装置において、前記駆動部は、前記可動体を往復動させて、前記開状態及び前記閉状態を切り替えることを特徴とする部品供給装置。
【請求項5】
請求項1記載の部品供給装置において、前記吸引孔は、前記ポケットに対して前記部品移送路内の空間に連通した側とは反対側に連通していることを特徴とする部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を別の装置に供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボールフィーダと共に使用されるリニアフィーダは、特許文献1に記載されているように、列をなした状態の電子部品を振動により移動させ、電子部品に所定の処理を行いながら電子部品を移送する部品搬送装置(搬送整列装置)に先頭の電子部品を供給する。先頭の電子部品を部品搬送装置に供給したリニアフィーダは、2番目に配されていた電子部品が次のタイミングで部品処理装置に供給される電子部品として先頭に配される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品搬送装置による単位時間当たりの電子部品の搬送数を増加させるためには、部品搬送装置による電子部品の処理速度の向上だけではなく、リニアフィーダによる電子部品の移動速度の向上やリニアフィーダから部品搬送装置への電子部品の単位時間あたりの供給数の増加が重要となる。この点、リニアフィーダによる電子部品の移動速度は目標値を達成しつつある。
【0005】
これに対し、リニアフィーダから部品搬送装置への電子部品の供給数は目標値に到達していない。これは、電子部品を支持する部品支持部が回転体に進退自在に取り付けられ、部品支持部に支持された電子部品を回転体の回転により移動させる部品搬送装置についても例外ではない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、部品支持部が回転体に進退自在に取り付けられた部品搬送装置への電子部品の単位時間当たりの供給数の増加を図ることが可能な部品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る部品供給装置は、複数の電子部品が列をなした状態で内側を進むトンネル状の部品移送路を有し、該部品移送路内の先頭の前記電子部品を、部品支持部が進退自在に取り付けられた回転体の回転により該部品支持部に支持されている前記電子部品を搬送する部品搬送装置に引き渡す部品供給装置であって、前記部品移送路内の空間に連通するポケットが形成され、前記ポケットに連通した吸引孔が設けられた中継ユニットと、可動体並びに該可動体を動かして該ポケットの状態を該可動体に塞がれていない開状態及び該可動体に塞がれた閉状態のいずれか一方から他方に切り替える駆動部を有する開閉手段と、前記ポケットから前記吸引孔への空気の吸引を制御する吸気制御手段とを備え、前記吸気制御手段は、前記電子部品が不在の前記ポケットが前記閉状態で、前記ポケットから前記吸引孔への空気の吸引により前記部品移送路内から先頭の前記電子部品を前記ポケットに引き込み、前記開閉手段は、先頭の前記電子部品が引き込まれた前記ポケットを前記開状態にして、該ポケット内の該電子部品を前記部品支持部が前記回転体に対して前進して取得可能な状態にする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る部品供給装置は、部品移送路内の空間に連通するポケットが形成され、ポケットに連通した吸引孔が設けられた中継ユニットと、可動体並びに可動体を動かしてポケットの状態を可動体に塞がれていない開状態及び可動体に塞がれた閉状態のいずれか一方から他方に切り替える駆動部を有する開閉手段と、ポケットから吸引孔への空気の吸引を制御する吸気制御手段とを備え、吸気制御手段が、電子部品が不在のポケットが閉状態で、ポケットから吸引孔への空気の吸引により部品移送路内から先頭の電子部品をポケットに引き込み、開閉手段が、先頭の電子部品が引き込まれたポケットを開状態にして、ポケット内の電子部品を部品支持部が回転体に対して前進して取得可能な状態にするので、部品搬送装置への電子部品の引き渡しを円滑に行うことができ、部品搬送装置への電子部品の単位時間当たりの供給数の増加を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る部品供給装置と電子部品が供給される部品搬送装置の関係を示す説明図である。
【
図2】同部品供給装置と部品搬送装置の関係を示す説明図である。
【
図4】同部品供給装置の電子部品を部品搬送装置に引き渡す部分の説明図である。
【
図5】(A)、(B)はそれぞれ、同部品供給装置が電子部品を引き渡す様子を示す説明図である。
【
図6】(A)、(B)はそれぞれ、同部品供給装置が電子部品を引き渡す様子を示す説明図である。
【
図7】(A)、(B)はそれぞれ、同部品供給装置が電子部品を引き渡す様子を示す説明図である。
【
図8】(A)、(B)はそれぞれ、同部品供給装置が電子部品を引き渡す様子を示す説明図である。
【
図9】同部品供給装置が電子部品を引き渡す様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、
図2、
図3、
図4に示すように、本発明の一実施の形態に係る部品供給装置10は、複数の電子部品Wが列をなした状態で内側を進むトンネル状の部品移送路11を有し、部品移送路11内の先頭の電子部品Wを、部品搬送装置50に引き渡す装置である。以下、詳細に説明する。
【0010】
本実施の形態において、部品供給装置10は、
図1、
図2に示すように、収容している電子部品Wを振動により移動させるボールフィーダ100、及び、部品支持部51が進退自在に取り付けられた回転体52の回転により部品支持部51に支持されている電子部品Wを搬送する部品搬送装置50と共に使用され、ボールフィーダ100から供給される電子部品Wを順次部品搬送装置50に供給する。
【0011】
電子部品Wの具体例として、ダイオード、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、IC(Integrated Circuit)等が挙げられる。本実施の形態では、電子部品Wが直方体であるが、電子部品Wの形状に制限はない。
部品供給装置10は、基端部(一端部)がボールフィーダ100に連結され、ボールフィーダ100から電子部品Wを与えられる水平配置された直線状のリニアフィーダ12を備えている。
【0012】
リニアフィーダ12には、
図3、
図4に示すように、電子部品Wが内側を先端部(他端部)に向けて進行する部品移送路11が設けられている。ボールフィーダ100は部品移送路11の基端部に電子部品Wを一列に並べた状態で与え、部品移送路11内にはボールフィーダ100から与えられる電子部品Wが基端部から入り、部品移送路11内に入った電子部品Wは直線状に配された状態で部品移送路11の先端部に向かって進む。部品移送路11内の電子部品Wは常にボールフィーダ100に配されている電子部品Wから部品移送路11の基端部から先端部の向きの力が付与されている。
【0013】
部品移送路11は内側空間の横断面が電子部品Wの断面と同様の形状となるように形成され、本実施の形態では、電子部品Wの断面及び部品移送路11の内側空間の横断面が共に矩形状である。
リニアフィーダ12は、部品移送路11の先端側の一部(本実施の形態では、部品移送路11の先端部から基端部に向けて電子部品W1個分以上2個分以下の長さの領域)が設けられた中継ユニット13を有している。なお、リニアフィーダ12は、中継ユニット13と中継ユニット13を除く部分とが一体となっていてもよいし、中継ユニット13が中継ユニット13を除く部分に螺子等で固定されていてもよい。
【0014】
本実施の形態において、中継ユニット13は金属製の構造体であり、中継ユニット13には、一側の側方(側壁部)が部品移送路11内の空間(部品移送路11の先端部)に連通するポケット14が形成されている。ポケット14は、部品移送路11の長手方向に長く、部品移送路11の長手方向に電子部品W1個分以上2個分以下の長さである。ポケット14の上側は開放され下側には底部が設けられている。中継ユニット13には、
図4に示すように、ポケット14に連通した吸引孔15、16が設けられている。
【0015】
吸引孔15の一側端部(上側端部)は部品移送路11の先端部の底部に達し、吸引孔15は部品移送路11の先端部の内側空間を介してポケット14に連通している。本実施の形態では部品移送路11の先端部が中継ユニット13に設けられているが、部品移送路11の先端部を中継ユニット13に設ける必要はない。
【0016】
吸引孔16の一側端部(上側端部)はポケット14の他側の側壁部(他側の側方)と底部の境界領域に達し、ポケット14に連通している。即ち、吸引孔16は、ポケット14に対して部品移送路11内の空間に連通した側(一側)とは反対側(他側)に連通している。
吸引孔15、16の各他側端部(各下側端部)は中継ユニット13の底部に達し、真空ポンプ及び電磁弁等によって構成された吸気制御手段17に連結されている。吸気制御手段17は部品移送路11内から吸引孔15への空気の吸引(吸引孔15を介した空気の吸引)及びポケット14から吸引孔16への空気への吸引(吸引孔16を介した空気の吸引)をそれぞれ制御することができる。
【0017】
中継ユニット13の近傍には、
図3、
図4に示すように、可動体18及び可動体18を動かす駆動部19を有する開閉手段20が設けられている。可動体18は、円盤に電子部品Wが通過可能な大きさの貫通孔21が形成された形状を有し、中継ユニット13と可動体18の間隔が僅か(例えば、100μm~1mm)となる位置で水平に配されている。駆動部19は、鉛直方向に配された回転軸22が可動体18の中心に連結された(取り付けられた)モータであり、図示しない支持部材に固定されている。
【0018】
可動体18は回転により貫通孔21がポケット14の直上に位置することが可能となるように設けられている。可動体18は、駆動部19の駆動により回転軸22を中心に回転し、貫通孔21がポケット14の上側に配されてポケット14を塞いでいない状態となり、貫通孔21を除く部分がポケット14の上側に配されてポケット14を塞いだ状態となる。よって、駆動部19は、可動体18を動かしてポケット14の状態を可動体18に塞がれていない開状態及び可動体18に塞がれた閉状態のいずれか一方から他方に切り替えることとなる。本実施の形態では、平面視して、貫通孔21が、
図8(A)に示すように、9時位置に配されて、ポケット14が開状態となる。
【0019】
本実施の形態では、
図4に示すように、回転軸22の回転角度から可動体18の回転角度を計測して、可動体18の状態、即ち、可動体18が開状態か閉状態のいずれであるかを検知する回転角検出手段23が駆動部19に接続されている。本実施の形態では、回転角検出手段23がロータリーエンコーダによって構成されているが、これに限定されず、例えば、スリット付きの回転板及び光電センサによって回転角検出手段を構成してもよい。
【0020】
部品搬送装置50は、
図1、
図2、
図4に示すように、部品供給装置10が固定されたベース台24に固定されたモータ53と、それぞれ一つの部品支持部51が先端部に取り付けられ水平に配された複数(本実施の形態では12本)のアーム54と、各アーム54の基端部が連結された円盤部材55を有している。各アーム54は円盤部材55の外周側に等ピッチで配されている。回転体52は、複数のアーム54及び円盤部材55を有して形成されている。
【0021】
モータ53は回転体52を間欠的に回転させて、複数の部品支持部51を間欠的に移動させる。本実施の形態では回転体52の一回の回転動作で、回転体52及び各部品支持部51が回転体52(円盤部材55)の中心を基準として30度回転する。部品支持部51が一時停止する12の位置の一つはポケット14の真上であり、各部品支持部51はポケット14の真上で一時停止する。ポケット14の真上の部品支持部51の一時停止位置を位置Pとする。
【0022】
各部品支持部51は、鉛直方向に長く、アーム54の先端部を貫通した状態でアーム54に昇降自在(進退自在の一例)に取り付けられている。各部品支持部51は下端部で電子部品Wを吸着(支持の一例)する吸着ノズルであり、各部品支持部51には、基準位置から下降した部品支持部51に上向き(後退方向の一例)の力を作用させるコイルばね56が装着されている。回転体52の上方には、
図1に示すように、吊下部材57に中央が吊下げられた水平支持体58が設けられ、水平支持体58の外周側端部には複数の部材保持体59が固定されている。
【0023】
各部材保持体59には、モータ60、部材保持体59の下端部を鉛直に貫通した可動部材61及び鉛直方向に長いガイド62が取り付けられている。可動部材61は部材保持体59に昇降自在(進退自在の一例)であり、ガイド62に昇降自在に取り付けられた連結具63が可動部材61に連結されている。モータ60にはモータ60の作動によって昇降する鉛直に配されたロッド64が連結され、ロッド64の下端部は連結具63を介して可動部材61の上端部に接触している。
【0024】
ロッド64はモータ60の作動により下降して可動部材61を押し下げる。可動部材61には、ロッド64によって押し下げられた可動部材61に上向きの力を与えるコイルばね65が装着されている。そのため、ロッド64が上昇すると、可動部材61はロッド64と共に上昇する。本実施の形態では、位置Pの真上に一つの可動部材61が配置され、当該可動部材61は下降して位置Pで一時停止している部品支持部51を下降(前進の一例)させる。
【0025】
次に、部品供給装置10が回転体52の回転により部品支持部51に支持されている電子部品Wを搬送する部品搬送装置50に電子部品Wを引き渡す処理について説明する。
【0026】
第1の工程:
回転体52が回転中で位置Pに部品支持部51が配されていないとき、
図5(A)、(B)に示すように、可動体18は平面視して貫通孔21が3時の位置に配されポケット14は閉状態にされている。この際、ポケット14には電子部品Wが不在であり、吸気制御手段17は部品移送路11内から吸引孔15への空気の吸引(吸引孔15内を負圧にすること)によって、部品移送路11内の先頭の電子部品W(ポケット14までの距離が最も短い電子部品W)をその場(部品移送路11の先端部の内側)に留めている。吸引孔16は空気を吸引していない。吸引孔15への空気の吸引によって部品移送路11内の先頭の電子部品Wを部品移送路11の先端部に安定して留めるという観点では、吸引孔15が平面視して部品移送路11の基端部に向けて部品移送路11内の空気を吸引するように設計するのが好適である。
【0027】
第2の工程:
図6(A)、(B)に示すように、一つの部品支持部51が位置Pに配されると、ポケット14の閉状態を維持したまま、吸気制御手段17は、吸引孔15への空気の吸引を停止すると共に、ポケット14から吸引孔16への空気の吸引(吸引孔16内を負圧にすること)を開始して吸引孔16への空気の吸引により部品移送路11内から先頭の電子部品Wをポケット14内に引き込む。吸引孔15への空気の吸引が停止されることによって、部品移送路11内の2番目の電子部品Wが部品移送路11の先端部に移動し、部品移送路11内で先頭に配される。吸引孔16への空気の吸引力(吸引速度)は、部品移送路11内の2番目の電子部品Wが部品移送路11の先端部に移動するよりも、部品移送路11内の先頭の電子部品Wが速くポケット14に移動するように調整されている。
【0028】
ポケット14から吸引孔16への空気の吸引によって部品移送路11内の先頭の電子部品Wを2番目の電子部品Wよりも速く移動させるという観点では、吸引孔16が平面視して部品移送路11の延長線上を部品移送路11から離れる向きに空気を吸引するように設計するのが好適である。
本実施の形態では、第1の工程及び第2の工程で可動体18が停止しているが、可動体18は第1の工程及び第2の工程で回転していてもよい。
【0029】
第3の工程:
図7(A)、(B)に示すように、部品移送路11内の2番目の電子部品Wが部品移送路11の先端部に移動したタイミングで、吸気制御手段17は吸引孔15への空気の吸引を再開して、部品移送路11の先端部に移動した電子部品Wをその場で留める。吸引孔16への空気の吸引は部品移送路11の先端部に配されていた電子部品W全体がポケット14内に配されるまで継続され、ポケット14の閉状態は吸引孔16の空気の吸引が停止されるまで維持される。
【0030】
ここで、部品移送路11の先端部の内側に電子部品Wが配されていることを検出するセンサを設けて、吸引孔15への空気の吸引を再開するタイミングを決定するように設計することや、電子部品W全体がポケット14内に配されていることを検出するセンサを設けて、吸引孔16への空気の吸引を停止するタイミングを決定するように設計することができる。
本実施の形態では、第3の工程で、駆動部19が作動して、可動体18が平面視して反時計回りに回転し始める。なお、可動体18は平面視して時計回りに回転してもよい。
【0031】
第4の工程:
図8(A)、(B)に示すように、部品移送路11の先端部に配されていた電子部品W全体がポケット14内に配され、貫通孔21がポケット14の真上(位置Pの直下)に配されてポケット14が開状態になったタイミングで、吸気制御手段17は吸引孔16への空気の吸引を停止し、駆動部19は可動体18を停止し、位置Pに配されている部品支持部51はその上側の可動部材61に押されて下降し、部品支持部51の下端部がポケット14内の電子部品Wに接触して電子部品Wを吸着する。従って、開閉手段20は、先頭の電子部品Wが引き込まれたポケット14を開状態にして、部品支持部51が回転体52に対して下降してポケット14内の電子部品Wを取得可能な状態にする。このとき、吸引孔15への空気の吸引によって、部品移送路11の先端部の電子部品Wはその場で留められている。
【0032】
第5の工程:
可動部材61の上昇によって、
図9に示すように、ポケット14内の電子部品Wを吸着した部品支持部51が上昇してポケット14から電子部品Wを取り出す。第4の工程及び第5の工程では、吸引孔15による空気の吸引によって、部品移送路11の先端部の電子部品Wをその場で留めた状態が継続されている。
【0033】
ポケット14から取り出した電子部品Wを吸着している部品支持部51が上昇を停止した後、回転体52が回転を開始し当該部品支持部51が吸着している電子部品Wと共に位置Pから移動し、駆動部19が作動して可動体18を回転させポケット14を再び閉状態にして、第1の工程に戻る。
【0034】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、扇状の板状物で2つの直線部が接する箇所を中心に回転するものを可動体として採用することができる。この場合、可動体に貫通孔は不要であり、可動体をポケットの上方に配することでポケットは閉状態となり、可動体をポケットの上方に位置しないようにすることでポケットは開状態となる。また、可動体が板状でなくてもよいのは言うまでもない。
【0035】
更に、可動体は回転しなくてもよい。例えば、
図10に示すように、駆動部31が可動体32を往復動させて、ポケット14の開状態及び閉状態を切り替える開閉手段30を採用することができる。開閉手段30は、駆動部31がモータであり、駆動部31には駆動部31の回転力を直線的な動力に変換して可動体32に与えるボール螺子33が連結され、可動体32はガイド34、35に案内された状態でボール螺子33から直線的な動力を与えられて直線的に移動する。なお、
図10では、開閉手段30以外の構成に対して、部品供給装置10と同様の符号が付されている。
【0036】
モータではない駆動部、例えば、エアシリンダを駆動部として採用して可動体を動かすようにしてもよい。
また、部品移送路は水平に配されている必要はない。例えば、部品移送路が基端部から先端部にかけて上昇するように部品移送路を斜めに配置することができる。その場合、ポケットの斜め上側が開放するようにポケットが中継ユニットに形成され、部品支持部は斜め方向に進退するように設計される。
【0037】
部品移送路は内側空間の横断面が電子部品の断面と同様の形状でなくてもよく、例えば、電子部品の断面が矩形で部品移送路の内側空間の横断面が半円状であってもよい。
部品移送路内の先頭の電子部品を部品移送路の先端部に留めるための吸引孔や部品移送路内の先頭の電子部品をポケットに引き込むための吸引孔はそれぞれ、複数個あってもよい。
また、振動ではなく、エアーによって、部品移送路内の電子部品を移動するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10:部品供給装置、11:部品移送路、12:リニアフィーダ、13:中継ユニット、14:ポケット、15、16:吸引孔、17:吸気制御手段、18:可動体、19:駆動部、20:開閉手段、21:貫通孔、22:回転軸、23:回転角検出手段、24:ベース台、30:開閉手段、31:駆動部、32:可動体、33:ボール螺子、34、35:ガイド、50:部品搬送装置、51:部品支持部、52:回転体、53:モータ、54:アーム、55:円盤部材、56:コイルばね、57:吊下部材、58:水平支持体、59:部材保持体、60:モータ、61:可動部材、62:ガイド、63:連結具、64:ロッド、65:コイルばね、100:ボールフィーダ、P:位置、W:電子部品
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品が列をなした状態で内側を進むトンネル状の部品移送路を有し、該部品移送路内の先頭の前記電子部品を、部品支持部が進退自在に取り付けられた回転体の回転により該部品支持部に支持されている前記電子部品を搬送する部品搬送装置に引き渡す部品供給装置であって、
前記部品移送路内の空間に連通するポケットが形成され、前記ポケットに連通した吸引孔が設けられた中継ユニットと、
可動体並びに該可動体を動かして該ポケットの状態を該可動体に塞がれていない開状態及び該可動体に塞がれた閉状態のいずれか一方から他方に切り替える駆動部を有する開閉手段と、
前記ポケットから前記吸引孔への空気の吸引を制御する吸気制御手段とを備え、
前記吸気制御手段は、前記電子部品が不在の前記ポケットが前記閉状態で、前記ポケットから前記吸引孔への空気の吸引により前記部品移送路内から先頭の前記電子部品を前記ポケットに引き込み、
前記開閉手段は、先頭の前記電子部品が引き込まれた前記ポケットを前記開状態にして、該ポケット内の該電子部品を前記部品支持部が前記回転体に対して前進して取得可能な状態にし、
前記駆動部は、前記可動体が取り付けられた回転軸を回転させて、前記開状態及び前記閉状態を切り替えることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の部品供給装置において、前記可動体の回転角度を計測して、該可動体の状態を検知する回転角検出手段を、更に備えることを特徴とする部品供給装置。
【請求項3】
複数の電子部品が列をなした状態で内側を進むトンネル状の部品移送路を有し、該部品移送路内の先頭の前記電子部品を、部品支持部が進退自在に取り付けられた回転体の回転により該部品支持部に支持されている前記電子部品を搬送する部品搬送装置に引き渡す部品供給装置であって、
前記部品移送路内の空間に連通するポケットが形成され、前記ポケットにそれぞれ連通した第1の吸引孔及び第2の吸引孔が設けられた中継ユニットと、
可動体並びに該可動体を動かして該ポケットの状態を該可動体に塞がれていない開状態及び該可動体に塞がれた閉状態のいずれか一方から他方に切り替える駆動部を有する開閉手段と、
前記ポケットから前記第1の吸引孔及び前記第2の吸引孔への空気の各吸引を制御する吸気制御手段とを備え、
前記吸気制御手段は、前記電子部品が不在の前記ポケットが前記閉状態で、前記ポケットから前記第1の吸引孔への空気の吸引により前記部品移送路内から先頭の前記電子部品を前記ポケットに引き込み、該ポケットから前記第2の吸引孔への空気の吸引により前記部品移送路内の先頭から2番目にあった前記電子部品を前記部品移送路内に留め、
前記開閉手段は、先頭の前記電子部品が引き込まれた前記ポケットを前記開状態にして、該ポケット内の該電子部品を前記部品支持部が前記回転体に対して前進して取得可能な状態にし、
前記吸気制御手段は、前記ポケットから前記第2の吸引孔への空気の吸引により前記電子部品を前記部品移送路内に留めた状態を、前記部品支持部が前記ポケット内から前記電子部品を取り出すまで継続することを特徴とする部品供給装置。
【請求項4】
請求項3記載の部品供給装置において、前記駆動部は、前記可動体を往復動させて、前記開状態及び前記閉状態を切り替えることを特徴とする部品供給装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の部品供給装置において、前記第1の吸引孔は、前記ポケットに対して前記部品移送路内の空間に連通した側とは反対側に連通し、前記第2の吸引孔は、前記部品移送路の空間を介して前記ポケットに連通していることを特徴とする部品供給装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を別の装置に供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボールフィーダと共に使用されるリニアフィーダは、特許文献1に記載されているように、列をなした状態の電子部品を振動により移動させ、電子部品に所定の処理を行いながら電子部品を移送する部品搬送装置(搬送整列装置)に先頭の電子部品を供給する。先頭の電子部品を部品搬送装置に供給したリニアフィーダは、2番目に配されていた電子部品が次のタイミングで部品処理装置に供給される電子部品として先頭に配される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品搬送装置による単位時間当たりの電子部品の搬送数を増加させるためには、部品搬送装置による電子部品の処理速度の向上だけではなく、リニアフィーダによる電子部品の移動速度の向上やリニアフィーダから部品搬送装置への電子部品の単位時間あたりの供給数の増加が重要となる。この点、リニアフィーダによる電子部品の移動速度は目標値を達成しつつある。
【0005】
これに対し、リニアフィーダから部品搬送装置への電子部品の供給数は目標値に到達していない。これは、電子部品を支持する部品支持部が回転体に進退自在に取り付けられ、部品支持部に支持された電子部品を回転体の回転により移動させる部品搬送装置についても例外ではない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、部品支持部が回転体に進退自在に取り付けられた部品搬送装置への電子部品の単位時間当たりの供給数の増加を図ることが可能な部品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る部品供給装置は、複数の電子部品が列をなした状態で内側を進むトンネル状の部品移送路を有し、該部品移送路内の先頭の前記電子部品を、部品支持部が進退自在に取り付けられた回転体の回転により該部品支持部に支持されている前記電子部品を搬送する部品搬送装置に引き渡す部品供給装置であって、前記部品移送路内の空間に連通するポケットが形成され、前記ポケットに連通した吸引孔が設けられた中継ユニットと、可動体並びに該可動体を動かして該ポケットの状態を該可動体に塞がれていない開状態及び該可動体に塞がれた閉状態のいずれか一方から他方に切り替える駆動部を有する開閉手段と、前記ポケットから前記吸引孔への空気の吸引を制御する吸気制御手段とを備え、前記吸気制御手段は、前記電子部品が不在の前記ポケットが前記閉状態で、前記ポケットから前記吸引孔への空気の吸引により前記部品移送路内から先頭の前記電子部品を前記ポケットに引き込み、前記開閉手段は、先頭の前記電子部品が引き込まれた前記ポケットを前記開状態にして、該ポケット内の該電子部品を前記部品支持部が前記回転体に対して前進して取得可能な状態にし、前記駆動部は、前記可動体が取り付けられた回転軸を回転させて、前記開状態及び前記閉状態を切り替える。
前記目的に沿う第2の発明に係る部品供給装置は、複数の電子部品が列をなした状態で内側を進むトンネル状の部品移送路を有し、該部品移送路内の先頭の前記電子部品を、部品支持部が進退自在に取り付けられた回転体の回転により該部品支持部に支持されている前記電子部品を搬送する部品搬送装置に引き渡す部品供給装置であって、前記部品移送路内の空間に連通するポケットが形成され、前記ポケットにそれぞれ連通した第1の吸引孔及び第2の吸引孔が設けられた中継ユニットと、可動体並びに該可動体を動かして該ポケットの状態を該可動体に塞がれていない開状態及び該可動体に塞がれた閉状態のいずれか一方から他方に切り替える駆動部を有する開閉手段と、前記ポケットから前記第1の吸引孔及び前記第2の吸引孔への空気の各吸引を制御する吸気制御手段とを備え、前記吸気制御手段は、前記電子部品が不在の前記ポケットが前記閉状態で、前記ポケットから前記第1の吸引孔への空気の吸引により前記部品移送路内から先頭の前記電子部品を前記ポケットに引き込み、該ポケットから前記第2の吸引孔への空気の吸引により前記部品移送路内の先頭から2番目にあった前記電子部品を前記部品移送路内に留め、前記開閉手段は、先頭の前記電子部品が引き込まれた前記ポケットを前記開状態にして、該ポケット内の該電子部品を前記部品支持部が前記回転体に対して前進して取得可能な状態にし、前記吸気制御手段は、前記ポケットから前記第2の吸引孔への空気の吸引により前記電子部品を前記部品移送路内に留めた状態を、前記部品支持部が前記ポケット内から前記電子部品を取り出すまで継続する。
【発明の効果】
【0007】
第1の発明に係る部品供給装置は、部品移送路内の空間に連通するポケットが形成され、ポケットに連通した吸引孔が設けられた中継ユニットと、可動体並びに可動体を動かしてポケットの状態を可動体に塞がれていない開状態及び可動体に塞がれた閉状態のいずれか一方から他方に切り替える駆動部を有する開閉手段と、ポケットから吸引孔への空気の吸引を制御する吸気制御手段とを備え、吸気制御手段が、電子部品が不在のポケットが閉状態で、ポケットから吸引孔への空気の吸引により部品移送路内から先頭の電子部品をポケットに引き込み、開閉手段が、先頭の電子部品が引き込まれたポケットを開状態にして、ポケット内の電子部品を部品支持部が回転体に対して前進して取得可能な状態にするので、部品搬送装置への電子部品の引き渡しを円滑に行うことができ、部品搬送装置への電子部品の単位時間当たりの供給数の増加を図ることが可能である。
また、第2の発明に係る部品供給装置は、部品移送路内の空間に連通するポケットが形成され、ポケットにそれぞれ連通した第1の吸引孔及び第2の吸引孔が設けられた中継ユニットと、可動体並びに可動体を動かしてポケットの状態を可動体に塞がれていない開状態及び可動体に塞がれた閉状態のいずれか一方から他方に切り替える駆動部を有する開閉手段と、ポケットから第1の吸引孔及び第2の吸引孔への空気の各吸引を制御する吸気制御手段とを備え、吸気制御手段が、電子部品が不在のポケットが閉状態で、ポケットから第1の吸引孔への空気の吸引により部品移送路内から先頭の電子部品をポケットに引き込み、ポケットから第2の吸引孔への空気の吸引により部品移送路内の先頭から2番目にあった電子部品を部品移送路内に留め、開閉手段が、先頭の電子部品が引き込まれたポケットを開状態にして、ポケット内の電子部品を部品支持部が回転体に対して前進して取得可能な状態にし、吸気制御手段が、ポケットから第2の吸引孔への空気の吸引により電子部品を部品移送路内に留めた状態を、部品支持部がポケット内から電子部品を取り出すまで継続するので、部品搬送装置への電子部品の引き渡しを円滑に行うことができ、部品搬送装置への電子部品の単位時間当たりの供給数の増加を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る部品供給装置と電子部品が供給される部品搬送装置の関係を示す説明図である。
【
図2】同部品供給装置と部品搬送装置の関係を示す説明図である。
【
図4】同部品供給装置の電子部品を部品搬送装置に引き渡す部分の説明図である。
【
図5】(A)、(B)はそれぞれ、同部品供給装置が電子部品を引き渡す様子を示す説明図である。
【
図6】(A)、(B)はそれぞれ、同部品供給装置が電子部品を引き渡す様子を示す説明図である。
【
図7】(A)、(B)はそれぞれ、同部品供給装置が電子部品を引き渡す様子を示す説明図である。
【
図8】(A)、(B)はそれぞれ、同部品供給装置が電子部品を引き渡す様子を示す説明図である。
【
図9】同部品供給装置が電子部品を引き渡す様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、
図2、
図3、
図4に示すように、本発明の一実施の形態に係る部品供給装置10は、複数の電子部品Wが列をなした状態で内側を進むトンネル状の部品移送路11を有し、部品移送路11内の先頭の電子部品Wを、部品搬送装置50に引き渡す装置である。以下、詳細に説明する。
【0010】
本実施の形態において、部品供給装置10は、
図1、
図2に示すように、収容している電子部品Wを振動により移動させるボールフィーダ100、及び、部品支持部51が進退自在に取り付けられた回転体52の回転により部品支持部51に支持されている電子部品Wを搬送する部品搬送装置50と共に使用され、ボールフィーダ100から供給される電子部品Wを順次部品搬送装置50に供給する。
【0011】
電子部品Wの具体例として、ダイオード、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、IC(Integrated Circuit)等が挙げられる。本実施の形態では、電子部品Wが直方体であるが、電子部品Wの形状に制限はない。
部品供給装置10は、基端部(一端部)がボールフィーダ100に連結され、ボールフィーダ100から電子部品Wを与えられる水平配置された直線状のリニアフィーダ12を備えている。
【0012】
リニアフィーダ12には、
図3、
図4に示すように、電子部品Wが内側を先端部(他端部)に向けて進行する部品移送路11が設けられている。ボールフィーダ100は部品移送路11の基端部に電子部品Wを一列に並べた状態で与え、部品移送路11内にはボールフィーダ100から与えられる電子部品Wが基端部から入り、部品移送路11内に入った電子部品Wは直線状に配された状態で部品移送路11の先端部に向かって進む。部品移送路11内の電子部品Wは常にボールフィーダ100に配されている電子部品Wから部品移送路11の基端部から先端部の向きの力が付与されている。
【0013】
部品移送路11は内側空間の横断面が電子部品Wの断面と同様の形状となるように形成され、本実施の形態では、電子部品Wの断面及び部品移送路11の内側空間の横断面が共に矩形状である。
リニアフィーダ12は、部品移送路11の先端側の一部(本実施の形態では、部品移送路11の先端部から基端部に向けて電子部品W1個分以上2個分以下の長さの領域)が設けられた中継ユニット13を有している。なお、リニアフィーダ12は、中継ユニット13と中継ユニット13を除く部分とが一体となっていてもよいし、中継ユニット13が中継ユニット13を除く部分に螺子等で固定されていてもよい。
【0014】
本実施の形態において、中継ユニット13は金属製の構造体であり、中継ユニット13には、一側の側方(側壁部)が部品移送路11内の空間(部品移送路11の先端部)に連通するポケット14が形成されている。ポケット14は、部品移送路11の長手方向に長く、部品移送路11の長手方向に電子部品W1個分以上2個分以下の長さである。ポケット14の上側は開放され下側には底部が設けられている。中継ユニット13には、
図4に示すように、ポケット14に連通した吸引孔15、16が設けられている。
【0015】
吸引孔15の一側端部(上側端部)は部品移送路11の先端部の底部に達し、吸引孔15は部品移送路11の先端部の内側空間を介してポケット14に連通している。本実施の形態では部品移送路11の先端部が中継ユニット13に設けられているが、部品移送路11の先端部を中継ユニット13に設ける必要はない。
【0016】
吸引孔16の一側端部(上側端部)はポケット14の他側の側壁部(他側の側方)と底部の境界領域に達し、ポケット14に連通している。即ち、吸引孔16は、ポケット14に対して部品移送路11内の空間に連通した側(一側)とは反対側(他側)に連通している。
吸引孔15、16の各他側端部(各下側端部)は中継ユニット13の底部に達し、真空ポンプ及び電磁弁等によって構成された吸気制御手段17に連結されている。吸気制御手段17は部品移送路11内から吸引孔15への空気の吸引(吸引孔15を介した空気の吸引)及びポケット14から吸引孔16への空気への吸引(吸引孔16を介した空気の吸引)をそれぞれ制御することができる。
【0017】
中継ユニット13の近傍には、
図3、
図4に示すように、可動体18及び可動体18を動かす駆動部19を有する開閉手段20が設けられている。可動体18は、円盤に電子部品Wが通過可能な大きさの貫通孔21が形成された形状を有し、中継ユニット13と可動体18の間隔が僅か(例えば、100μm~1mm)となる位置で水平に配されている。駆動部19は、鉛直方向に配された回転軸22が可動体18の中心に連結された(取り付けられた)モータであり、図示しない支持部材に固定されている。
【0018】
可動体18は回転により貫通孔21がポケット14の直上に位置することが可能となるように設けられている。可動体18は、駆動部19の駆動により回転軸22を中心に回転し、貫通孔21がポケット14の上側に配されてポケット14を塞いでいない状態となり、貫通孔21を除く部分がポケット14の上側に配されてポケット14を塞いだ状態となる。よって、駆動部19は、可動体18を動かしてポケット14の状態を可動体18に塞がれていない開状態及び可動体18に塞がれた閉状態のいずれか一方から他方に切り替えることとなる。本実施の形態では、平面視して、貫通孔21が、
図8(A)に示すように、9時位置に配されて、ポケット14が開状態となる。
【0019】
本実施の形態では、
図4に示すように、回転軸22の回転角度から可動体18の回転角度を計測して、可動体18の状態、即ち、可動体18が開状態か閉状態のいずれであるかを検知する回転角検出手段23が駆動部19に接続されている。本実施の形態では、回転角検出手段23がロータリーエンコーダによって構成されているが、これに限定されず、例えば、スリット付きの回転板及び光電センサによって回転角検出手段を構成してもよい。
【0020】
部品搬送装置50は、
図1、
図2、
図4に示すように、部品供給装置10が固定されたベース台24に固定されたモータ53と、それぞれ一つの部品支持部51が先端部に取り付けられ水平に配された複数(本実施の形態では12本)のアーム54と、各アーム54の基端部が連結された円盤部材55を有している。各アーム54は円盤部材55の外周側に等ピッチで配されている。回転体52は、複数のアーム54及び円盤部材55を有して形成されている。
【0021】
モータ53は回転体52を間欠的に回転させて、複数の部品支持部51を間欠的に移動させる。本実施の形態では回転体52の一回の回転動作で、回転体52及び各部品支持部51が回転体52(円盤部材55)の中心を基準として30度回転する。部品支持部51が一時停止する12の位置の一つはポケット14の真上であり、各部品支持部51はポケット14の真上で一時停止する。ポケット14の真上の部品支持部51の一時停止位置を位置Pとする。
【0022】
各部品支持部51は、鉛直方向に長く、アーム54の先端部を貫通した状態でアーム54に昇降自在(進退自在の一例)に取り付けられている。各部品支持部51は下端部で電子部品Wを吸着(支持の一例)する吸着ノズルであり、各部品支持部51には、基準位置から下降した部品支持部51に上向き(後退方向の一例)の力を作用させるコイルばね56が装着されている。回転体52の上方には、
図1に示すように、吊下部材57に中央が吊下げられた水平支持体58が設けられ、水平支持体58の外周側端部には複数の部材保持体59が固定されている。
【0023】
各部材保持体59には、モータ60、部材保持体59の下端部を鉛直に貫通した可動部材61及び鉛直方向に長いガイド62が取り付けられている。可動部材61は部材保持体59に昇降自在(進退自在の一例)であり、ガイド62に昇降自在に取り付けられた連結具63が可動部材61に連結されている。モータ60にはモータ60の作動によって昇降する鉛直に配されたロッド64が連結され、ロッド64の下端部は連結具63を介して可動部材61の上端部に接触している。
【0024】
ロッド64はモータ60の作動により下降して可動部材61を押し下げる。可動部材61には、ロッド64によって押し下げられた可動部材61に上向きの力を与えるコイルばね65が装着されている。そのため、ロッド64が上昇すると、可動部材61はロッド64と共に上昇する。本実施の形態では、位置Pの真上に一つの可動部材61が配置され、当該可動部材61は下降して位置Pで一時停止している部品支持部51を下降(前進の一例)させる。
【0025】
次に、部品供給装置10が回転体52の回転により部品支持部51に支持されている電子部品Wを搬送する部品搬送装置50に電子部品Wを引き渡す処理について説明する。
【0026】
第1の工程:
回転体52が回転中で位置Pに部品支持部51が配されていないとき、
図5(A)、(B)に示すように、可動体18は平面視して貫通孔21が3時の位置に配されポケット14は閉状態にされている。この際、ポケット14には電子部品Wが不在であり、吸気制御手段17は部品移送路11内から吸引孔15への空気の吸引(吸引孔15内を負圧にすること)によって、部品移送路11内の先頭の電子部品W(ポケット14までの距離が最も短い電子部品W)をその場(部品移送路11の先端部の内側)に留めている。吸引孔16は空気を吸引していない。吸引孔15への空気の吸引によって部品移送路11内の先頭の電子部品Wを部品移送路11の先端部に安定して留めるという観点では、吸引孔15が平面視して部品移送路11の基端部に向けて部品移送路11内の空気を吸引するように設計するのが好適である。
【0027】
第2の工程:
図6(A)、(B)に示すように、一つの部品支持部51が位置Pに配されると、ポケット14の閉状態を維持したまま、吸気制御手段17は、吸引孔15への空気の吸引を停止すると共に、ポケット14から吸引孔16への空気の吸引(吸引孔16内を負圧にすること)を開始して吸引孔16への空気の吸引により部品移送路11内から先頭の電子部品Wをポケット14内に引き込む。吸引孔15への空気の吸引が停止されることによって、部品移送路11内の2番目の電子部品Wが部品移送路11の先端部に移動し、部品移送路11内で先頭に配される。吸引孔16への空気の吸引力(吸引速度)は、部品移送路11内の2番目の電子部品Wが部品移送路11の先端部に移動するよりも、部品移送路11内の先頭の電子部品Wが速くポケット14に移動するように調整されている。
【0028】
ポケット14から吸引孔16への空気の吸引によって部品移送路11内の先頭の電子部品Wを2番目の電子部品Wよりも速く移動させるという観点では、吸引孔16が平面視して部品移送路11の延長線上を部品移送路11から離れる向きに空気を吸引するように設計するのが好適である。
本実施の形態では、第1の工程及び第2の工程で可動体18が停止しているが、可動体18は第1の工程及び第2の工程で回転していてもよい。
【0029】
第3の工程:
図7(A)、(B)に示すように、部品移送路11内の2番目の電子部品Wが部品移送路11の先端部に移動したタイミングで、吸気制御手段17は吸引孔15への空気の吸引を再開して、部品移送路11の先端部に移動した電子部品Wをその場で留める。吸引孔16への空気の吸引は部品移送路11の先端部に配されていた電子部品W全体がポケット14内に配されるまで継続され、ポケット14の閉状態は吸引孔16の空気の吸引が停止されるまで維持される。
【0030】
ここで、部品移送路11の先端部の内側に電子部品Wが配されていることを検出するセンサを設けて、吸引孔15への空気の吸引を再開するタイミングを決定するように設計することや、電子部品W全体がポケット14内に配されていることを検出するセンサを設けて、吸引孔16への空気の吸引を停止するタイミングを決定するように設計することができる。
本実施の形態では、第3の工程で、駆動部19が作動して、可動体18が平面視して反時計回りに回転し始める。なお、可動体18は平面視して時計回りに回転してもよい。
【0031】
第4の工程:
図8(A)、(B)に示すように、部品移送路11の先端部に配されていた電子部品W全体がポケット14内に配され、貫通孔21がポケット14の真上(位置Pの直下)に配されてポケット14が開状態になったタイミングで、吸気制御手段17は吸引孔16への空気の吸引を停止し、駆動部19は可動体18を停止し、位置Pに配されている部品支持部51はその上側の可動部材61に押されて下降し、部品支持部51の下端部がポケット14内の電子部品Wに接触して電子部品Wを吸着する。従って、開閉手段20は、先頭の電子部品Wが引き込まれたポケット14を開状態にして、部品支持部51が回転体52に対して下降してポケット14内の電子部品Wを取得可能な状態にする。このとき、吸引孔15への空気の吸引によって、部品移送路11の先端部の電子部品Wはその場で留められている。
【0032】
第5の工程:
可動部材61の上昇によって、
図9に示すように、ポケット14内の電子部品Wを吸着した部品支持部51が上昇してポケット14から電子部品Wを取り出す。第4の工程及び第5の工程では、吸引孔15による空気の吸引によって、部品移送路11の先端部の電子部品Wをその場で留めた状態が継続されている。
【0033】
ポケット14から取り出した電子部品Wを吸着している部品支持部51が上昇を停止した後、回転体52が回転を開始し当該部品支持部51が吸着している電子部品Wと共に位置Pから移動し、駆動部19が作動して可動体18を回転させポケット14を再び閉状態にして、第1の工程に戻る。
【0034】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、扇状の板状物で2つの直線部が接する箇所を中心に回転するものを可動体として採用することができる。この場合、可動体に貫通孔は不要であり、可動体をポケットの上方に配することでポケットは閉状態となり、可動体をポケットの上方に位置しないようにすることでポケットは開状態となる。また、可動体が板状でなくてもよいのは言うまでもない。
【0035】
更に、可動体は回転しなくてもよい。例えば、
図10に示すように、駆動部31が可動体32を往復動させて、ポケット14の開状態及び閉状態を切り替える開閉手段30を採用することができる。開閉手段30は、駆動部31がモータであり、駆動部31には駆動部31の回転力を直線的な動力に変換して可動体32に与えるボール螺子33が連結され、可動体32はガイド34、35に案内された状態でボール螺子33から直線的な動力を与えられて直線的に移動する。なお、
図10では、開閉手段30以外の構成に対して、部品供給装置10と同様の符号が付されている。
【0036】
モータではない駆動部、例えば、エアシリンダを駆動部として採用して可動体を動かすようにしてもよい。
また、部品移送路は水平に配されている必要はない。例えば、部品移送路が基端部から先端部にかけて上昇するように部品移送路を斜めに配置することができる。その場合、ポケットの斜め上側が開放するようにポケットが中継ユニットに形成され、部品支持部は斜め方向に進退するように設計される。
【0037】
部品移送路は内側空間の横断面が電子部品の断面と同様の形状でなくてもよく、例えば、電子部品の断面が矩形で部品移送路の内側空間の横断面が半円状であってもよい。
部品移送路内の先頭の電子部品を部品移送路の先端部に留めるための吸引孔や部品移送路内の先頭の電子部品をポケットに引き込むための吸引孔はそれぞれ、複数個あってもよい。
また、振動ではなく、エアーによって、部品移送路内の電子部品を移動するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10:部品供給装置、11:部品移送路、12:リニアフィーダ、13:中継ユニット、14:ポケット、15、16:吸引孔、17:吸気制御手段、18:可動体、19:駆動部、20:開閉手段、21:貫通孔、22:回転軸、23:回転角検出手段、24:ベース台、30:開閉手段、31:駆動部、32:可動体、33:ボール螺子、34、35:ガイド、50:部品搬送装置、51:部品支持部、52:回転体、53:モータ、54:アーム、55:円盤部材、56:コイルばね、57:吊下部材、58:水平支持体、59:部材保持体、60:モータ、61:可動部材、62:ガイド、63:連結具、64:ロッド、65:コイルばね、100:ボールフィーダ、P:位置、W:電子部品