(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100519
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/494 20060101AFI20240719BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
A61F13/494 110
A61F13/49 317
A61F13/49 410
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004577
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤中 知子
(72)【発明者】
【氏名】中尾 佑馬
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BA08
3B200BB03
3B200BB04
3B200BB05
3B200BB09
3B200BB11
3B200BB17
3B200CA02
3B200CA03
3B200CA08
3B200CA09
3B200CB03
3B200DA01
3B200DA02
3B200DA03
3B200DA08
3B200DA10
3B200DA21
3B200DA25
3B200DB05
3B200DB07
3B200DB11
3B200DB23
3B200DD07
3B200DF08
3B200DF09
3B200EA08
3B200EA11
3B200EA18
(57)【要約】
【課題】弾性伸縮性を有する部位の収縮による嵩張りの増大を抑制して、優れた外観性及び肌触りが得られる使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】本発明の使い捨ておむつ1では、吸収性本体10が、横方向Y両側に配された、縦方向に沿って延びる一対の防漏カフ6,6を備えている。防漏カフ6は、その自由端に沿ってカフ弾性部材61が配されており、且つ該カフ弾性部材61がシート材60に固定された状態で弾性伸縮性を発現するカフ伸縮領域63を有している。前記使い捨ておむつ1を、縦方向Xの全長を二等分する位置で、横方向Yに沿って二つ折りにした状態において、カフ伸縮領域63の腹側部A側の端である前端63aの位置と背側部B側の端である後端63bの位置とが、縦方向Xに沿う二つ折り縦方向X1において相互に離間している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体を含む吸収性本体と、該吸収性本体よりも非肌対向面側に配された外装体とを備え、着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを有し、該腹側部から該股下部を介して該背側部に延びる縦方向、及び該縦方向に直交する横方向を有する、使い捨ておむつであって、
前記吸収性本体は、前記横方向両側に配された、前記縦方向に沿って延びる一対の防漏カフを備えており、
前記防漏カフは、その自由端に沿ってカフ弾性部材が配されており、且つ該カフ弾性部材がシート材に固定された状態で弾性伸縮性を発現するカフ伸縮領域を有しており、
前記使い捨ておむつを、前記縦方向の全長を二等分する位置で、前記横方向に沿って二つ折りにした状態において、前記カフ伸縮領域の前記腹側部側の端である前端の位置と前記背側部側の端である後端の位置とが、前記縦方向に沿う二つ折り縦方向において相互に離間している、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記吸収性本体は、前記吸収体の前記縦方向に沿う側部に、前記縦方向に延在する吸収体弾性部材が配されており、且つ該吸収体弾性部材が弾性伸縮性を発現する吸収体伸縮領域を有しており、
前記使い捨ておむつを前記二つ折りにした状態において、前記吸収体伸縮領域の前記腹側部側の端である前端の位置と、前記背側部側の端である後端の位置とが、前記二つ折り縦方向において相互に離間している、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記腹側部及び前記背側部の少なくとも一方において、前記カフ伸縮領域及び前記吸収体伸縮領域の前記縦方向の端どうしの位置が、前記二つ折りにした状態において前記二つ折り縦方向に離間している、請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記二つ折りにした状態において、前記カフ伸縮領域は、前記前端の位置が前記後端の位置よりも前記二つ折り縦方向外方である、請求項1~3の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記吸収体の前記腹側部側の端部よりも前記縦方向の外方に、前記横方向に伸縮可能なウエスト伸縮領域を備えており、
前記カフ伸縮領域の前記前端が、前記ウエスト伸縮領域よりも前記縦方向の内方に位置する、請求項1~4の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
着用状態において着用者の脚周りに配されるレッグ開口縁部を有し、該レッグ開口縁部は前記吸収体の前記横方向外方に形成されており、
前記レッグ開口縁部は、前記股下部における少なくとも前記腹側部側に、前記横方向に伸長状態で配された横弾性部材を備えており、
前記縦方向における前記ウエスト伸縮領域と前記横弾性部材との間に、前記カフ伸縮領域の前記前端が位置している、請求項5に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記腹側部における前記吸収体の前記横方向両側に、前記横方向に伸縮可能な胴回り伸縮領域を備えており、
前記カフ伸縮領域の前記前端が、前記胴回り伸縮領域の前記横方向内方端よりも該横方向の内方に位置する、請求項1~6の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記吸収体は、吸収性コアを含んでおり、該吸収性コアは前記横方向に離間し且つ前記縦方向に延びる一対のサイド折曲誘導部と、一対の該サイド折曲誘導部の間において、前記縦方向に延びる中央折曲誘導部とを有しており、
前記中央折曲誘導部の前記腹側部側の端部は、前記サイド折曲誘導部の該腹側部側の端部よりも、前記縦方向外方に位置しており、
前記カフ伸縮領域の前記前端は、前記中央折曲誘導部の該腹側部側の端部よりも、前記縦方向外方に位置している、請求項1~7の何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記吸収性コアは、前記縦方向において一対の前記サイド折曲誘導部及び前記中央折曲誘導部の何れも存在しない高剛性領域を、前記腹側部における該縦方向の端部に有しており、
平面視において、前記カフ伸縮領域の前記前端が、前記高剛性領域と重なっている、請求項8に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつは、吸収性コアを含む吸収体の両側部や該吸収体の横方向外方に、弾性伸縮性を有する部位を具備することが一般的である。例えば、吸収体の両側部に配され且つ弾性部材を具備する防漏カフや、着用時に着用者の脚周りに配され且つレッグギャザーを形成するレッグ弾性部材、吸収性コアの長手方向の両側縁部に沿って、該吸収性コアの両側部を立ち上げるための弾性部材等を有する、使い捨ておむつが知られている(特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-16435号公報
【特許文献2】特開2018-79058号公報
【特許文献3】特開2020-69168号公報
【特許文献4】特開2020-108744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使い捨ておむつにおいて、吸収体の両側部や該吸収体の横方向外方に配され且つ弾性伸縮性を有する部位は、その収縮によって、排泄物の横漏れ防止やフィット性の向上に寄与する。しかしながら、前記収縮によって、使い捨ておむつに大きな皺が発生することがある。この場合、当該皺が、使い捨ておむつの嵩張りを増大させたり、使い捨ておむつの外観性や肌触り(感触)を低下させたりする虞がある。特許文献1~4に記載の使い捨ておむつは、弾性伸縮性を有する部位の収縮によるこれらの課題について、特段の検討はなされていなかった。
【0005】
したがって本発明は、弾性伸縮性を有する部位の収縮による嵩張りの増大を抑制して、外観性及び肌触りに優れる使い捨ておむつに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸収体を含む吸収性本体と、該吸収性本体よりも非肌対向面側に配された外装体とを備え、着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部及び該背側部の間に位置する股下部とを有し、該腹側部から該股下部を介して該背側部に延びる縦方向、及び該縦方向に直交する横方向を有する、使い捨ておむつに関する。
一実施形態として、前記吸収性本体は、前記横方向両側に配された、前記縦方向に沿って延びる一対の防漏カフを備えており、
前記防漏カフは、その自由端に沿ってカフ弾性部材が配されており、且つ該カフ弾性部材がシート材に固定された状態で弾性伸縮性を発現するカフ伸縮領域を有していることが好ましい。
一実施形態として、前記使い捨ておむつを、前記縦方向の全長を二等分する位置で、前記横方向に沿って二つ折りにした状態において、前記カフ伸縮領域の前記腹側部側の端である前端の位置と前記背側部側の端である後端の位置とが、前記縦方向に沿う二つ折り縦方向において相互に離間していることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の使い捨ておむつによれば、弾性伸縮性を有する部位の収縮による嵩張りの増大を抑制して、優れた外観性及び肌触りが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態である使い捨ておむつの展開且つ伸長状態を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す使い捨ておむつを、縦方向に伸長状態で二つ折りにした状態を模式的に示す、縦方向に沿う断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の作用効果を説明するための使い捨ておむつの
図3相当図であり、該おむつを自然状態にした断面図である。
【
図7】
図7は、カフ非伸縮領域の別の形態を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1~
図6には、本発明の使い捨ておむつの一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1(以下、単に「おむつ1」という)が示されている。おむつ1は、着用状態において着用者の腹側に配される腹側部Aと、着用者の背側部に配される背側部Bと、腹側部A及び背側部Bの間に位置する股下部Cとを有している。おむつ1は、着用者の前後方向に対応する方向、即ち腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bに延びる方向に対応する縦方向Xと、該縦方向Xと直交する横方向Yとを有している。縦方向Xは、後述する吸収性本体10の長手方向と一致している。
おむつ1は、吸収性本体10と、該吸収性本体10の非肌対向面側に配された外装体3とを備えている。外装体3は、おむつ1の非肌対向面、即ちおむつ1の外面を形成している。
【0010】
本明細書において、「肌対向面」は、使い捨ておむつ又はその構成部材(例えば表面シート12)における、使い捨ておむつの着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、使い捨ておむつ又はその構成部材における、使い捨ておむつの着用時に肌側とは反対側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌から遠い側である。なお、「着用時」又は「着用状態」は、通常の適正な着用位置、即ち当該使い捨ておむつの正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0011】
おむつ1は、
図1に示すように、展開且つ伸長状態において、縦方向Xに延び且つ該おむつ1を横方向Yに2等分する縦中心線CLyに対して左右対称に形成されている。
おむつ1の「展開且つ伸長状態」とは、おむつ1を後述するサイドシール部Sで切り離して展開状態とし、その展開状態のおむつ1を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に拡げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。本明細書において、おむつ1の各部位における縦方向X又は横方向Yの長さ等といった各寸法は、特に断りがない限り、各部の弾性部材を伸長させて各部材を引き伸ばした状態での寸法(設計寸法)のことである。
【0012】
吸収性本体10は、
図2に示すように、液透過性の表面シート12、防漏シート13及びこれら両シート12,13間に介在配置された液保持性の吸収体4並びに一対の防漏カフ6,6を具備している。吸収性本体10において表面シート12、吸収体4、一対の防漏カフ6,6、及び防漏シート13は、これらが接着剤等の公知の接合手段により一体化されて構成されている。吸収性本体10は、平面視において縦方向Xに長い長方形形状をなし、腹側部Aから背側部Bまで縦方向Xに延在している。
【0013】
吸収体4は、
図1に示すように、平面視長方形形状をなし、縦方向Xにおいて腹側部Aから背側部Bにかけて連続している。吸収体4の長手方向は、おむつ1の縦方向Xに一致している。吸収体4は、平面視において後述する外装体3の横方向Yの中央部に配置され、接着剤により防漏シート13に接合されている。
【0014】
吸収体4は、液保持性の吸収性コア40と、該吸収性コア40の外面を被覆するコアラップシート46とを含んで構成されている(
図1及び
図2参照)。
本実施形態の吸収性コア40は、
図1及び
図2に示すように、上層コア41と、該上層コア41よりも非肌対向面側に位置する下層コア43とが積層された積層コアである。吸収性コア40は、横方向Yに離間し且つ縦方向Xに延びる一対のサイド折曲誘導部45s,45sと、一対の該サイド折曲誘導部45s,45sの間において、縦方向Xに延びる中央折曲誘導部45cとを有している。これら折曲誘導部45s,45s,45cは、少なくとも股下部Cに配されている。
【0015】
本実施形態の吸収性コア40は、下層コア43に一対のサイド折曲誘導部45s,45sが形成されており、上層コア41及び下層コア43それぞれに中央折曲誘導部45cが形成されている。下層コア43は、一対のサイド折曲誘導部45s,45sよりも横方向Y外方に位置するサイド下層コア43sと、一対のサイド折曲誘導部45s,45s間に位置し且つ中央折曲誘導部45cの横方向Y外方に位置する中央下層コア43c,43cとを有している(
図2参照)。すなわち下層コア43は、横方向Yにおいて、一対の中央下層コア43c,43c間に中央折曲誘導部45cを有し、中央下層コア43cとサイド下層コア43sとの間にサイド折曲誘導部45sを有している。上層コア41は、中央折曲誘導部45cの横方向Y外方に一対の中央上層コア41c,41cとを有している。
【0016】
本実施形態の吸収性コア40は、少なくとも股下部Cにおいて、一対の中央下層コア43c,43cと一対の中央上層コア41c,41cとが積層し、これら一対の中央下層コア43c,43c間、及び一対の中央上層コア41c,41c間に中央折曲誘導部45cを有している。換言すると、上層コア41及び下層コア43は、横方向Yにおける一対のサイド折曲誘導部45s,45s間において、中央折曲誘導部45cを共有している。
【0017】
本実施形態の吸収性コア40は、サイド折曲誘導部45s,45sを起点に、一対のサイド下層コア43s,43sが、着用者の肌に向かって持ち上がるように変形し得る(
図2参照)。すなわち、一対のサイド下層コア43s,43sが、サイド折曲誘導部45sを起点に中央下層コア43c,43cから起立する。
また本実施形態の吸収性コア40は、中央折曲誘導部45cを起点に、一対の中央上層コア41c,41c及び一対の中央下層コア43c,43cが山折りに折れ曲がるように変形し得る(図示せず)。
【0018】
本実施形態の吸収性コア40におけるサイド折曲誘導部45s,45s及び中央折曲誘導部45cは、縦方向Xに延び、且つ吸収性コア40を貫通する貫通孔からなる。これに代えて、サイド折曲誘導部45s,45s及び中央折曲誘導部45cは、吸収性コア40の肌対向面又は非肌対向面に形成される凹部であってもよい。この場合、上層コア41における中央折曲誘導部45cの位置と、下層コア43における中央折曲誘導部45cの位置とは平面視において重なっていることが好ましい。
【0019】
吸収性本体10では、吸収体4の縦方向Xに沿う側部に縦方向Xに延在する吸収体弾性部材48が配されている。吸収体4の側部は、コアラップシート46を含む吸収体4の全幅(横方向Yの長さ)を三等分して三領域に区分したときの両側の領域である。本実施形態の吸収体弾性部材48は、吸収体4の側縁と横方向Yに隣り合い、且つ縦方向Xに伸長状態で配されており、弾性伸縮性を発現する吸収体伸縮領域49を形成している。
この吸収体弾性部材48が縦方向Xに収縮することにより、サイド折曲誘導部45sを起点とするサイド下層コア43sの変形を補助できる。すなわち、サイド下層コア43sが着用者の肌に向かって持ち上がるように変形し易くなる。
【0020】
吸収体弾性部材48は、表面シート12よりも非肌対向面側、且つ防漏シート13よりも肌対向面側に配されている。吸収体弾性部材48は、横方向Yにおいて吸収体4から離間して配されていてもよい。この場合、吸収体弾性部材48は、吸収体4の側縁から横方向Y外方に5mm以内の領域に配されることが好ましい。
本実施形態の吸収体弾性部材48は、表面シート12とコアラップシート46との間に配されているが、これに代えて、コアラップシート46と吸収性コア40との間に配されていてもよい。また吸収体弾性部材48は、吸収体4の肌対向面側に位置してもよく、非肌対向面側に位置してもよい。
【0021】
吸収性本体10は、吸収体弾性部材48が弾性伸縮性を発現する吸収体伸縮領域49を有している。吸収体伸縮領域49は、縦方向Xにおいて、該領域49の腹側部A側の端である前端49a(以下、「吸収体伸縮前端49a」ともいう。)と、該領域49の背側部B側の端である後端49b(以下、「吸収体伸縮後端49b」ともいう。)とを有している(
図1参照)。すなわち、吸収性本体10は、縦方向Xにおいて吸収体伸縮前端49aと吸収体伸縮後端49bとの間で、弾性伸縮性を発現する。
吸収体伸縮領域49は、吸収体弾性部材48が表面シート12又はコアラップシート46等のシート材に固定されることにより、伸長状態が維持されるので弾性伸縮性を発現する。
【0022】
図1に示すように、吸収性本体10は、その肌対向面における縦方向Xに沿う両側部に、一対の防漏カフ6,6を具備している。すなわち、一対の防漏カフ6,6は、吸収性本体10の横方向Y両側に配されており、縦方向Xに沿って延びている。本実施形態の防漏カフ6は、
図2に示すように、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性のカフ形成用シート60を縦方向Xに沿って二つ折りにして、相対向した2枚のカフ形成用シート60,60どうしを接合することにより形成されている。本実施形態の防漏カフ6は、相対向した2枚のカフ形成用シート60,60どうし間に、カフ弾性部材61を具備している。カフ弾性部材61は、防漏カフ6の横方向Yの内方端部に配されている(
図1及び
図2参照)。より詳細には、カフ形成用シート60を二つ折りにした折り目部分近傍に、カフ弾性部材61が配されている。カフ弾性部材61は、縦方向Xに伸長状態で配されている。各防漏カフ6は、少なくとも股下部Cにおいて吸収体4と防漏シート13との間に固定された基端部と、カフ弾性部材61が固定された自由端部を有している。防漏カフ6は、自由端に沿って縦方向Xに伸長状態で配されたカフ弾性部材61が収縮することで、少なくとも股下部Cにおいて該自由端部が立ち上がるようになされている(
図2参照)。
【0023】
本実施形態の防漏カフ6は、カフ弾性部材61がカフ形成用シート60(シート材)に固定された状態で弾性伸縮性を発現するカフ伸縮領域63と、該カフ伸縮領域63の縦方向X外方においてカフ弾性部材61が弾性伸縮性を発現しないカフ非伸縮領域65とを有している(
図1参照)。カフ伸縮領域63は、接着剤等の公知の接合手段によって、伸長状態のカフ弾性部材61が2枚のカフ形成用シート60,60間に固定されており、該縦方向Xに伸縮可能となっている。このカフ伸縮領域63では、カフ形成用シート60が、カフ弾性部材61の伸縮に追随可能となっている。自然状態のおむつ1では、斯かるカフ弾性部材61の収縮により、カフ形成用シート60に細かい皺が生じる(図示せず)。「自然状態」とは、おむつ1に外力が加わっていない状態であり、該おむつ1が具備する各弾性部材の弾性伸縮性が発現可能な状態である。
【0024】
本実施形態のカフ非伸縮領域65は、カフ弾性部材61がカフ形成用シート60に非固定の状態となっている。これにより、カフ弾性部材61は非伸長状態となっており、弾性伸縮性を発現しない。このカフ非伸縮領域65では、カフ形成用シート60が表面シート12に接合されており、防漏カフ6が非起立状態となっている。本実施形態では、防漏カフ6の縦方向X端部において、該防漏カフ6が非起立状態となっている領域64(以下、「非起立領域64」ともいう。)と、カフ非伸縮領域65とが一致しているが(
図1参照)、斯かる形態に限られない。
例えば、
図7に示すように、カフ非伸縮領域65が、非起立領域64と、防漏カフ6が起立状態となっている領域65a(「非伸縮起立領域65a」ともいう。)とを有していてもよい。この非伸縮起立領域65aでは、カフ弾性部材61は弾性伸縮性を発現しないが、カフ形成用シート60と表面シート12とが接合されていないので、カフ伸縮領域63の収縮に伴い防漏カフ6が起立する。
図7に示す非起立領域64には、カフ形成用シート60と表面シート12とを接合する接合部64aが存在し、該接合部64aによって防漏カフ6が非起立状態となっている。
【0025】
カフ伸縮領域63は、縦方向Xにおいて、該領域63の腹側部A側の端である前端63a(以下、「カフ伸縮前端63a」ともいう。)と、該領域63の背側部B側の端である後端63b(以下、「カフ伸縮後端63b」ともいう。)とを有している。すなわち、防漏カフ6は、縦方向Xにおいてカフ伸縮前端63aとカフ伸縮後端63bとの間で、弾性伸縮性を発現する。
【0026】
外装体3は、おむつ1の外面即ち非肌対向面を形成する外層シート31と、該外層シート31の肌対向面側に位置する内層シート32とを備えている(
図1及び
図2参照)。外装体3において、おむつ1の厚み方向Zに隣り合う防漏シート13及び内層シート32、並びに内層シート32及び外層シート31それぞれは、接着剤を介して接合されている。
外装体3において、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける外装体3の縦方向Xに沿う両側縁部どうしが、ホットメルト接着剤等の接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されることで、一対のサイドシール部S,Sが形成される。これにより、着用者の胴が通されるウエスト開口部、及び着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部が形成される(図示せず)。すなわち、股下部Cは、おむつ1の縦方向Xにおけるサイドシール部Sどうし間の領域である。
外装体3は、着用状態において着用者の脚周りに配されるレッグ開口縁部LSを有している。斯かるレッグ開口縁部LSの周縁がレッグ開口部を形成する。レッグ開口縁部LSは吸収体4の横方向Y外方に形成されている。
【0027】
外装体3は、
図1に示す如き展開且つ伸長状態のおむつ1の外形を形作っており、外装体3の周縁は、展開且つ伸長状態のおむつ1の輪郭線、即ち腹側部A、股下部C及び背側部Bそれぞれの輪郭線を形成している。外装体3は、
図1に示すように、股下部Cにおいて、外装体3の縦方向Xに沿う両側縁部が横方向Yの中央に向かって凸の円弧状に湾曲しており、縦方向Xの中央域が横方向Yの内方に向けて括れている。外装体3と吸収性本体10とは、接着剤等の公知の接合手段によって接合されている。
また、外装体3における外層シート31及び内層シート32の少なくとも一方が、ウエスト開口部の周縁端WE(以下、「ウエスト開口端WE」ともいう。)に沿って肌対向面側に折り返されていてもよい。
【0028】
外装体3において、外層シート31は、おむつ1の外面即ち非肌対向面を形成しており、内層シート32は、外層シート31の肌対向面側に配置されている。外装体3は、内層シート32及び外層シート31間に配された複数の糸状又は帯状の弾性部材35,36,37,38を有している。本実施形態の外装体3は、腹側部A及び背側部Bにおいて横方向Yに沿って配されたウエスト弾性部材35及び胴回り弾性部材36、レッグ開口部を形成するレッグ開口縁部LSに沿って配されたレッグ弾性部材37、並びに腹側部Aのレッグ開口縁部LSにおいて横方向Yに延びる横弾性部材38を備えている(
図1参照)。
【0029】
腹側部A及び背側部Bにおいてウエスト弾性部材35及び胴回り弾性部材36それぞれは、横方向Yに伸長状態で、縦方向Xに所定間隔を置いて間欠配置されている。ウエスト弾性部材35は、腹側部A及び背側部Bにおいて吸収体4の縦方向X外方に配され且つ横方向Yに伸縮可能なウエスト伸縮領域3Wを形成している(
図5及び
図6参照)。ウエスト伸縮領域3Wは、横方向Yにおけるサイドシール部S,S間でウエスト弾性部材35が伸長状態で配され、弾性伸縮性を発現している。このように、ウエスト開口部の開口縁部にウエスト伸縮領域3Wを有することで、該ウエスト開口部の全周に亘って実質的に連続した環状のウエストギャザー(襞)が形成される。
【0030】
胴回り弾性部材36は、腹側部A及び背側部Bにおいて吸収体4の横方向外方に配され、横方向Yに伸縮可能な胴回り伸縮領域3Tを形成している(
図1参照)。胴回り伸縮領域3Tは、ウエスト伸縮領域3Wよりも縦方向X内方に位置し、同縦方向Xにおいて吸収体4と重なっている。胴回り伸縮領域3Tは、横方向Yにおけるサイドシール部Sと吸収体4との間で胴回り弾性部材36が伸長状態で配され、弾性伸縮性を発現している。斯かる胴回り弾性部材36は、吸収体4の横方向Y外方では弾性伸縮性を発現する一方、平面視において吸収体4と重なる領域が、細かく分断する等の処理によって弾性伸縮性を発現しないように配されている。
【0031】
レッグ開口縁部LSには、糸状又は帯状の1本又は複数本のレッグギャザー形成用のレッグ弾性部材37が伸縮可能な状態で配されている。レッグ弾性部材37は、縦方向X中央側の背側部Bの一部から、股下部Cを介して、縦方向X中央側の腹側部Aの一部まで延在している(
図1参照)。このレッグ弾性部材37が伸長状態で配されていることにより、レッグ開口部の開口縁部(レッグ開口縁部LS)に、その全周に亘って実質的に連続した環状のレッグギャザーが形成される。このレッグ弾性部材37も、外装体3を構成する外層シート31と内層シート32との間において接着剤等の接合手段により挟持固定されている。
【0032】
本実施形態のレッグ開口縁部LSは、股下部Cにおける少なくとも腹側部A側に横方向Yに伸長状態で配された横弾性部材38を有している(
図1参照)。
本実施形態の横弾性部材38は、吸収体4と横方向Yに重なる領域で、細かく分断する等の処理によって弾性伸縮性を発現しないように配されている。斯かる横弾性部材38は、吸収体4よりも横方向Y外方において弾性伸縮性を発現している。これにより、股下部Cにおいて外装体3を横方向Yに収縮させて、着用者の肌に対するフィット性を確保している。外装体3は、吸収体4の横方向Y両側それぞれに1本の横弾性部材38を備えていてもよく、2本以上の複数の横弾性部材38を備えていてもよい。後者の場合、外装体3において複数の横弾性部材38が縦方向Xに間欠配置される。
【0033】
図3に、おむつ1を、縦方向Xの全長を二等分する位置で、横方向Yに沿って二つ折りにした状態(以下、単に「二つ折り状態」ともいう。)であって、且つ縦方向X及び横方向Yに伸長させた状態の断面を示す。
図3では、二つ折り状態のおむつ1において縦方向Xに収縮可能な弾性部材が伸長状態となっており、且つ横方向Yに収縮可能な弾性部材が伸長状態となっている。以下、二つ折り状態、且つ縦方向X及び横方向Yに伸長させた状態を「二つ折り且つ伸長状態」ともいう。
図3では、二つ折り且つ伸長状態のおむつ1におけるカフ伸縮前端63aとカフ伸縮後端63bの位置を示す。
前記の二つ折り状態は、おむつ1の縦方向Xの全長を2等分し且つ横方向Yに延びる横中心線CLx(
図1参照)に沿って、おむつ1を二つ折りにした状態である。本実施形態のおむつ1はパンツ型使い捨ておむつであり、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける外装体3の縦方向Xに沿う両側縁部どうしを接合した状態、すなわちサイドシール部S,Sを形成した状態が、二つ折り状態となっている。
二つ折り状態のおむつ1は、縦方向Xに沿う二つ折り縦方向X1を有する。二つ折り縦方向X1は、展開且つ伸長状態におけるおむつ1の縦方向Xに対応する。以下、「縦方向X」はおむつ1が伸長且つ展開状態であることを意味し、「二つ折り縦方向X1」はおむつ1が二つ折り状態であることを意味する。
【0034】
本実施形態のおむつ1は、二つ折り状態において、カフ伸縮前端63aの位置とカフ伸縮後端63bの位置とが、二つ折り縦方向X1において相互に異なっており、これらの位置が同二つ折り縦方向X1において離間している(
図3及び
図4参照)。おむつ1は、斯かる構成を、二つ折り状態のおむつ1を縦方向Xに伸長させた場合(
図3参照)でも、二つ折り状態のおむつ1を自然状態とした場合(
図4参照)でも共通して具備する。
【0035】
本実施形態のおむつ1は、二つ折り状態において、カフ伸縮前端63aの位置とカフ伸縮後端63bの位置とが、二つ折り縦方向X1において相互に異なっていることにより、該二つ折り状態のおむつ1の嵩張りを効果的に抑制できる。より具体的には、
図4に示すように、カフ伸縮領域63の収縮に伴い、おむつ1が二つ折り縦方向X1に収縮して、厚み方向Z外方に隆起した襞P1,P2が生じる。これら襞P1,P2は、横方向Yに延在する(図示せず)。カフ伸縮領域63の収縮力は、カフ伸縮前端63a及びカフ伸縮後端63bで強く働く傾向にあり、おむつ1におけるこれら前端63a及び後端63bそれぞれの二つ折り縦方向X1外方部分が同方向X1内方に引っ張られて、大きな襞P1,P2を生じ易い。本実施形態のおむつ1は、カフ伸縮前端63a及びカフ伸縮後端63bの位置が二つ折り縦方向X1に離間しているので、二つ折り状態においてこれら襞P1,P2が重なることを抑制できる(
図4参照)。これにより、襞P1,P2が生じながらも、これら襞P1と襞P2とが重なっておむつ1の嵩張りが増大することを抑制できる。斯かる効果は、おむつ1を厚みを抑えたコンパクトな外観にする点で有効である。
また、襞どうしが重なって嵩張りが増大した状態の複数のおむつを包装した場合、該おむつの嵩張り部分におけるシート部材の構成繊維が過度に圧縮されて、硬い感触になり易い。これに対し、本実施形態のおむつ1は、前記のように嵩張りの増大を抑制できるので、複数のおむつ1が包装されても、シート部材の構成繊維の圧縮を抑制でき、包装前の柔らかい肌触りを維持することができる。
【0036】
二つ折り状態におけるカフ伸縮前端63a及びカフ伸縮後端63bの位置は、二つ折り状態におけるおむつ1の二つ折り縦方向X1に沿う断面を目視することで確認することができる。より具体的には、おむつ1の肌対向面において一方の防漏カフ6のカフ伸縮前端63a及びカフ伸縮後端63bの各位置に油性ペンで印を付けた後、該おむつ1を二つ折り状態にする。次いで、二つ折り状態のおむつ1を縦中心線CLyで二つ折り縦方向X1に沿って切断し、前記一方の防漏カフ6が存在する側のおむつ1の縦半分を得る。そして、おむつ1の縦半分を二つ折り縦方向X1に伸長状態とし、該縦半分の断面を目視して、油性ペンで印を付けた箇所をカフ伸縮前端63a又はカフ伸縮後端63bの位置とする。
以下に詳述する好ましい位置関係や寸法(後述する離間距離D1、距離L1等)は、前記おむつ1の縦半分の断面により確認又は測定することができる。
【0037】
前記の襞P1,P2によるおむつ1の嵩張りをより抑制する観点から、カフ伸縮前端63a及びカフ伸縮後端63bは下記の位置であることが好ましい。
二つ折り且つ伸長状態のおむつ1において、二つ折り縦方向X1におけるカフ伸縮前端63aの位置とカフ伸縮後端63bの位置との離間距離D1(
図3参照)は、二つ折り状態のおむつ1の二つ折り縦方向X1の全長L(
図3参照)の好ましくは3%以上、より好ましくは4%以上であり、また好ましくは27%以下、より好ましくは25%以下であり、また好ましくは3%以上27%以下、より好ましくは4%以上25%以下である。
二つ折り且つ伸長状態のおむつ1において、二つ折り縦方向X1におけるカフ伸縮前端63aの位置とカフ伸縮後端63bの位置との離間距離D1(
図3参照)が、好ましくは7mm以上、より好ましくは10mm以上であり、また好ましくは65mm以下、より好ましくは60mm以下であり、また好ましくは7mm以上65mm以下、より好ましくは10mm以上60mm以下である。
【0038】
二つ折りにした状態において、カフ伸縮領域63は、カフ伸縮前端63aの位置がカフ伸縮後端63bの位置よりも二つ折り縦方向X1外方であることが好ましい(
図4参照)。斯かる構成により、腹側部A側の防漏カフ6が着用者の鼠径部にフィットし易くなるとともに、腹側部A側の襞P1と背側部B側の襞P2との重なりをより抑制することができる。
上記と同様の観点から、縦方向Xにおけるウエスト開口端WEとカフ伸縮前端63aとの間の距離L1、及び縦方向Xにおけるウエスト開口端WEとカフ伸縮後端63bとの間の距離L11は、下記の範囲内であることが好ましい。
二つ折り且つ伸長状態のおむつ1において、縦方向Xにおけるウエスト開口端WEとカフ伸縮前端63aとの間の距離L1(
図3参照)は、縦方向Xにおけるウエスト開口端WEとカフ伸縮後端63bとの間の距離L11(
図3参照)の、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上であり、また好ましくは93%以下、より好ましくは90%以下であり、また好ましくは55%以上93%以下、より好ましくは60%以上90%以下である。
【0039】
本実施形態の吸収性本体10は、前述したように、吸収体伸縮領域49を有している。この吸収体伸縮領域49の収縮により、前述した襞P1,P2が生じ易くなることがある。斯かる襞どうしの重なりをより抑制して、おむつ1の前記嵩張りをより抑制する観点から、二つ折り状態のおむつ1において、吸収体伸縮前端49aの位置と、吸収体伸縮後端49bの位置とが、二つ折り縦方向X1において相互に離間していることが好ましい(図示せず)。この場合、吸収体伸縮前端49aの位置が、吸収体伸縮後端49bの位置よりも、二つ折り縦方向X1外方であることがより好ましい。
上記の効果をより確実に奏させる観点から、縦方向Xにおけるウエスト開口端WEと吸収体伸縮前端49aとの間の距離L3、及び縦方向Xにおけるウエスト開口端WEと吸収体伸縮後端49bとの間の距離L13は、下記の範囲内であることが好ましい。
二つ折り且つ伸長状態のおむつ1において、縦方向Xにおけるウエスト開口端WEと吸収体伸縮前端49aとの間の距離L3(
図5参照)は、縦方向Xにおけるウエスト開口端WEと吸収体伸縮後端49bとの間の距離L13(
図6参照)の好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上であり、また好ましくは93%以下、より好ましくは90%以下であり、また好ましくは60%以上93%以下、より好ましくは65%以上90%以下である。
【0040】
吸収体伸縮前端49a及び吸収体伸縮後端49bの位置は、以下の方法で確認することができる。先ず、おむつ1の肌対向面において、表面シート12越しに、一方の吸収体伸縮領域49の吸収体伸縮前端49a及び吸収体伸縮後端49bの各位置に油性ペンで印を付ける。この際、油性ペンのインクが、表面シート12を介して非肌対向面側に移行する。次いで、おむつ1を二つ折り且つ伸長状態にし、該おむつ1の非肌対向面側を目視して、油性ペンのインクが非肌対向面から確認できる箇所を、吸収体伸縮前端49a又は吸収体伸縮後端49bの位置とする。斯かる方法は、おむつ1を縦半分にした場合でも適用できる。
本明細書における吸収体伸縮前端49a及び吸収体伸縮後端49bの好ましい位置関係や寸法(後述するウエスト開口端WEとの距離L3,L13、離間距離D5等)は、前記の方法により確認又は測定することができる。
【0041】
前記の嵩張りをより抑制する観点から、腹側部A及び背側部Bの少なくとも一方において、カフ伸縮領域63及び吸収体伸縮領域49の縦方向Xの端どうしの位置が、二つ折り状態のおむつ1において、二つ折り縦方向X1に離間していることが好ましい。この場合、二つ折り状態のおむつ1において、カフ伸縮前端63aの位置及び吸収体伸縮前端49aの位置が二つ折り縦方向X1に離間しているか、又はカフ伸縮後端63bの位置及び吸収体伸縮後端49bの位置が二つ折り縦方向X1に離間していることが好ましい。
カフ伸縮領域63の収縮、及び吸収体伸縮領域49の収縮による襞P1,P2の重なりをより抑制して、おむつ1の嵩張りをより抑制する観点から、二つ折り状態のおむつ1において、カフ伸縮前端63aの位置が、吸収体伸縮前端49aの位置よりも二つ折り縦方向X1外方であることがより好ましく、斯かる構成に加え、二つ折り状態のおむつ1において、カフ伸縮後端63bの位置が、吸収体伸縮後端49bの位置よりも二つ折り縦方向X1外方であることがさらに好ましい。
【0042】
前記の嵩張りをより抑制する観点から、伸長且つ展開状態のおむつ1におけるカフ伸縮前端63aと吸収体伸縮前端49aとの離間距離D5(
図5参照)は、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上であり、また好ましくは70mm以下、より好ましくは65mm以下であり、また好ましくは5mm以上70mm以下、より好ましくは10mm以上65mm以下である。
上記と同様の観点から、伸長且つ展開状態のおむつ1におけるカフ伸縮後端63bと吸収体伸縮後端49bとの離間距離D15(
図6参照)は、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上であり、また好ましくは60mm以下、より好ましくは55mm以下であり、また好ましくは5mm以上60mm以下、より好ましくは10mm以上55mm以下である。
【0043】
おむつ1は、吸収体4の腹側部A側の端部よりも縦方向Xの外方に、前述したウエスト伸縮領域3Wを備えている(
図1及び
図5参照)。
ウエスト伸縮領域3Wの収縮によって生じる襞と、カフ伸縮領域63の収縮によって生じる襞とが重なることをより抑制する観点から、伸長且つ展開状態のおむつ1において、カフ伸縮前端63aは、ウエスト伸縮領域3Wよりも縦方向Xの内方に位置することが好ましい。
斯かる構成をより確実に奏させる観点から、伸長且つ展開状態のおむつ1において、縦方向Xにおけるウエスト伸縮領域3Wとカフ伸縮前端63aとの間の離間距離D2(
図5参照)は、好ましくは25mm以上、より好ましくは30mm以上であり、また好ましくは80mm以下、より好ましくは75mm以下であり、また好ましくは25mm以上80mm以下、より好ましくは30mm以上75mm以下である。
【0044】
おむつ1は、腹側部Aにおける吸収体4の横方向Y両側に、横方向Yに伸縮可能な胴回り伸縮領域3Tを備えている(
図1及び
図5参照)。
胴回り伸縮領域3Tの収縮によって生じる襞と、カフ伸縮領域63の収縮によって生じる襞とが重なることをより抑制する観点から、伸長且つ展開状態のおむつ1において、カフ伸縮前端63aが、胴回り伸縮領域3Tの横方向Y内方端よりも該横方向Yの内方に位置することが好ましい。
斯かる構成をより確実に奏させる観点から、伸長且つ展開状態のおむつ1において、横方向Yにおける胴回り伸縮領域3Tの横方向Y内方端とカフ伸縮前端63aとの間の離間距離D3(
図5参照)は、好ましくは4mm以上、より好ましくは5mm以上であり、また好ましくは40mm以下、より好ましくは35mm以下であり、また好ましくは4mm以上40mm以下、より好ましくは5mm以上35mm以下である。
【0045】
上述した腹側部Aにおけるカフ伸縮前端63aとウエスト伸縮領域3Wとの縦方向Xの位置関係は、背側部Bにおけるカフ伸縮後端63bとウエスト伸縮領域3Wとの縦方向Xの位置関係にも適用されることが好ましい。
また、腹側部Aにおけるカフ伸縮前端63aと胴回り伸縮領域3Tとの横方向Yの位置関係は、背側部Bにおけるカフ伸縮後端63bと胴回り伸縮領域3Tとの横方向Yの位置関係にも適用されることが好ましい。
【0046】
外装体3は、前述したように、腹側部Aのレッグ開口縁部LSにおいて横弾性部材38を備えている(
図5参照)。
カフ伸縮領域63、ウエスト伸縮領域3W及び横弾性部材38の各収縮により生じる襞を分散させて、おむつ1の嵩張りをより抑制する観点から、伸長且つ展開状態のおむつ1において、縦方向Xにおけるウエスト伸縮領域3Wと横弾性部材38との間に、カフ伸縮前端63aが位置していることが好ましい(
図5参照)。
上記と同様の観点から、伸長且つ展開状態のおむつ1において、縦方向Xにおける横弾性部材38とカフ伸縮前端63aとの間の離間距離D6(
図5参照)は、好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上であり、また好ましくは65mm以下、より好ましくは60mm以下であり、また好ましくは5mm以上65mm以下、より好ましくは8mm以上60mm以下である。
【0047】
おむつ1において吸収体4は、吸収性コア40を有しているため、他の部分に比して剛性が高い。斯かる吸収性コア40は、前述した折曲誘導部45c,45s,45sによって、容易に変形させることができる。
カフ伸縮領域63の収縮による吸収体4の縒れを抑制して、おむつ1の嵩張りをより抑制する観点から、伸長且つ展開状態のおむつ1において、中央折曲誘導部45cの腹側部A側の端部は、サイド折曲誘導部45s,45sの該腹側部A側の端部よりも、縦方向外方に位置していることが好ましく、当該構成に加え、カフ伸縮前端63aが、中央折曲誘導部45cの腹側部A側の端部よりも、縦方向X外方に位置していることがより好ましい。すなわち縦方向Xの外方から内方に向かって、カフ伸縮前端63a、中央折曲誘導部45cの腹側部A側の端部、及びサイド折曲誘導部45s,45sの腹側部A側の端部の順で、位置していることがより好ましい。
【0048】
吸収体4の前記の縒れをより抑制する観点から、伸長且つ展開状態のおむつ1において、縦方向Xにおけるカフ伸縮前端63aと中央折曲誘導部45cの腹側部A側の端部との離間距離D7(
図5参照)は、好ましくは10mm以上、より好ましくは12mm以上であり、また好ましくは65mm以下、より好ましくは60mm以下であり、また好ましくは10mm以上65mm以下、より好ましくは12mm以上60mm以下である。
上記と同様の観点から、伸長且つ展開状態のおむつ1において、縦方向Xにおける中央折曲誘導部45cとサイド折曲誘導部45sとの腹側部A側の端部どうしの離間距離D8(
図5参照)は、好ましくは10mm以上、より好ましくは12mm以上であり、また好ましくは50mm以下、より好ましくは45mm以下であり、また好ましくは10mm以上50mm以下、より好ましくは12mm以上45mm以下である。
【0049】
本実施形態の吸収性コア40は、縦方向Xにおいて一対のサイド折曲誘導部45s,45s及び中央折曲誘導部45cの何れも存在しない高剛性領域47を、腹側部Aにおける該吸収性コア40の縦方向Xの端部に有している(
図1及び
図5参照)。高剛性領域47は、吸収性コア40における他の部位よりも、該吸収性コア40の形成材料(以下、「コア形成材料」ともいう。)の坪量が高く、これにより該他の部位よりも高剛性となっている部分である。本実施形態の高剛性領域47は、折曲誘導部45c,45s,45sが存在しない上層コア41及び下層コア43により形成されている。
カフ伸縮領域63の収縮による吸収体4の縒れの発生をより抑制する観点から、伸長且つ展開状態のおむつ1の平面視において、カフ伸縮前端63aが、高剛性領域47と重なっていることが好ましい。
【0050】
上記と同様の観点から、吸収性コア40の坪量は以下の範囲内であることが好ましい。 高剛性領域47のコア形成材料の坪量は、好ましくは420g/m2以上690g/m2以下、より好ましくは440g/m2以上660g/m2以下である。
上層コア41のコア形成材料の坪量は、好ましくは220g/m2以上400g/m2以下、より好ましくは230g/m2以上380g/m2以下である。
下層コア43のコア形成材料の坪量は、好ましくは200g/m2以上380g/m2以下、より好ましくは210g/m2以上370g/m2以下である。
【0051】
前記の嵩張りを抑制しつつ、防漏カフ6の起立性、又は吸収性コア40の変形性をより向上させる観点から、カフ弾性部材61及び吸収体弾性部材48の伸長率は、以下の範囲内であることが好ましい。斯かる伸長率は、カフ伸縮領域63又は吸収体伸縮領域49における伸長率とする。
カフ弾性部材61の伸長率は、吸収体弾性部材48の伸長率に対して、好ましくは1.10倍以上、より好ましくは1.15倍以上であり、また好ましくは1.80倍以下、より好ましくは1.75倍以下であり、また好ましくは1.10倍以上1.80倍以下、より好ましくは1.15倍以上1.75倍以下である。
カフ弾性部材61の伸長率は、好ましくは2.00倍以上、より好ましくは2.05倍以上であり、また好ましくは2.65倍以下、より好ましくは2.60倍以下であり、また好ましくは2.00倍以上2.65倍以下、より好ましくは2.05倍以上2.60倍以下である。
吸収体弾性部材48の伸長率は、好ましくは1.40倍以上、より好ましくは1.42倍以上であり、また好ましくは1.85倍以下、より好ましくは1.80倍以下であり、また好ましくは1.40倍以上1.85倍以下、より好ましくは1.42倍以上1.80倍以下である。
伸長率は、以下の方法により測定する。
【0052】
〔伸長率の測定方法〕
おむつ1をサイドシール部Sで切り離し、自然状態(収縮状態)にして、各弾性部材の伸長方向に間隔Laを開けて、おむつ1の表面から該弾性部材が存する位置に、油性ペンを用いて2つの印を付ける。次いで、おむつ1を伸長させ、展開且つ伸長状態(
図1参照)にして、前記2つの印間の長さLbを測定する。この測定を各弾性部材に対して3回行い、「Lb/La」で表される式で算出される値の算術平均値により、伸長率(倍)を求める。間隔Laは、例えば100mmとすることができるが、伸縮可能な範囲が100mmに満たない場合、当該間隔Laを可能な限り広くする。
【0053】
本実施形態の吸収性コア40は、その両側縁が横方向Y内方に向けて括れた括れ部を有している(
図1参照)。吸収性コア40の平面視形状はこれに限定されず、長方形等の任意の形状にすることができる。
【0054】
上述した実施形態における外装体3は、股下部Cにおける腹側部A側のみに横弾性部材38を備えていたが、これに代えて、外装体3は、股下部Cにおける腹側部A側及び背側部B側の双方に、横弾性部材38を備えていてもよい(図示せず)。
【0055】
上述した実施形態におけるおむつ1の各部の形成材料について詳述する。表面シート12及び防漏シート13としてはそれぞれ、吸収性物品(使い捨ておむつ)に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。
表面シート12としては例えば、液透過性の不織布及び開孔フィルム等を用いることができる。不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、メルトブローン不織布等の公知の不織布が挙げられる。
防漏シート13としては、液難透過性又は撥水性のシートを用いることができる。斯かるシートとしては、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート等を用いることができる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等の高分子材料からなるフィルムや、透湿性フィルム等が挙げられる。
【0056】
吸収体4は、吸収性コア40として、木材パルプ、親水化処理された合成繊維等の親水性繊維の積繊体や、該集合体に吸水性ポリマーを保持させた積繊体を用いることができる。
また、吸収体4として、不織布等の繊維シートに吸水性ポリマーを担時させたポリマーシートを用いることができる。斯かるポリマーシートとしては、例えば、特開2009-022670号公報に記載の、2枚のシート間に接着剤により固着された吸水性樹脂粉末を含んで構成されたものが挙げられる。パンツ型使い捨ておむつにおいて吸収体4は、縦方向Xの中央で折り返された二つ折りの状態になり、該吸収体4に発生した皺どうしが重なるとおむつ1の厚みが増大する。吸収体4がポリマーシートからなると、斯かる厚みの増大をより抑制できる点で好ましい。
【0057】
コアラップシート46としては、表面シート12と同様のものを用いることができる。皺が発生したとしても柔らかく、厚みをより抑制する観点から、コアラップシート46は不織布であることが好ましい。不織布としては、上述した公知の不織布が挙げられる。
【0058】
外装体3における内層シート32及び外層シート31は、例えば上述した公知の不織布を用いることができる。また、不織布どうしを積層した積層不織布等を用いることができる。
【0059】
吸収体4における吸収体弾性部材48、防漏カフ6におけるカフ弾性部材61、並びに外装体3における横弾性部材38、胴回り弾性部材36、ウエスト弾性部材35及びレッグ弾性部材37等の弾性部材は、この種の吸収性物品に通常用いられる各種公知の弾性材料を特に制限なく用いることができる。弾性材料としては、例えば、スチレン-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等が挙げられる。弾性部材の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状(糸ゴム等)若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。
【0060】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
例えば、上述した実施形態のおむつは、吸収性コア40が中央折曲誘導部45cを具備するものであったが、該中央折曲誘導部45cを具備しないものであってもよい。また、吸収性コア40は、中央折曲誘導部45cとともにサイド折曲誘導部45s,45sを具備しないものであってもよい。
また、上述した実施形態のおむつは、レッグ開口縁部LSが、股下部Cにおける腹側部A側に横弾性部材38を備えるものであったが、これに代えて、股下部Cにおける腹側部A側及び背側部B側に横弾性部材38を備えるものであってもよく、横弾性部材38を備えないものであってもよい。
また上述した実施形態のおむつは、パンツ型使い捨ておむつであったが、これに代えて、背側部Bにファスニングテープを有し、該ファスニングテープを腹側部Aの外面に設けたランディングテープに止着して装着する、いわゆる展開型の使い捨ておむつであってもよい。展開型の使い捨ておむつにおいては、両側縁に、脚廻りの形状に適合するように凹状の切り欠き部を形成した部分を股下部Cとし、その前後に位置する部分が背側部B及び腹側部Aとなる。
【符号の説明】
【0061】
1 使い捨ておむつ(おむつ)
3 外装体
4 吸収体
6 防漏カフ
10 吸収性本体
12 表面シート
13 防漏シート
31 外層シート
32 内層シート
35 ウエスト弾性部材
37 レッグ弾性部材
38 横弾性部材
40 吸収性コア
41 上層コア
41c 中央上層コア
43 下層コア
43c 中央下層コア
43s サイド下層コア
45c 中央折曲誘導部
45s サイド折曲誘導部
46 コアラップシート
47 高剛性領域
48 吸収体弾性部材
49 吸収体伸縮領域
49a 吸収体伸縮前端
49b 吸収体伸縮後端
60 カフ形成用シート
61 カフ弾性部材
63 カフ伸縮領域
63a カフ伸縮前端
63b カフ伸縮後端
65 カフ非伸縮領域
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
CLx 横中心線
CLy 縦中心線
LS レッグ開口縁部
P1,P2 襞
S サイドシール部
WE ウエスト開口端
X 縦方向
X1 二つ折り縦方向
Y 横方向
Z 厚み方向