(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100527
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】水切りネットの係止部材
(51)【国際特許分類】
E03C 1/26 20060101AFI20240719BHJP
E03C 1/262 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
E03C1/26 Z
E03C1/262 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004587
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内川 篤
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DA02
2D061DA03
2D061DE03
2D061DE18
(57)【要約】
【課題】
水切りネットを交換することで繰り返し利用できる水切りネットの係止部材において、水切りネットが取り付け時に容易に取り付けられること、使用中に水切りネットが外れないこと、水切りネットが取り外し時に容易に取り外せること、水切りネットを取り外す際に作業者の手が水切りネットに付着した塵芥にあまり触れずに済むこと等の、使いやすい機能を有した水切りネットの係止部材を提供する。
【解決手段】
水切りネットの係止部材を、前記排水口に配置される環状の係止本体と、前記係止本体の半径方向に突出すると共に、前記水切りネットの開口部を着脱自在に係止する複数個の係止部と、から構成する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水機器の排水口に塵芥を捕集する水切りネットを配置するための水切りネットの係止部材であって、
前記排水口に配置される環状の係止本体と、
前記係止本体の半径方向に突出すると共に、前記水切りネットの開口部を着脱自在に係止する複数個の係止部と、
を有することを特徴とする水切りネットの係止部材。
【請求項2】
前記係止部は、前記係止本体側から先端側に向かう程幅狭となることを特徴とする請求項1に記載の水切りネットの係止部材。
【請求項3】
前記係止部と前記水切りネットの開口部との係止状態の解除を防止するための、
前記係止部上から鉛直方向に突出した突起部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の水切りネットの係止部材。
【請求項4】
前記水切りネットの係止部材は、前記排水口を覆う位置に配置されることで、平面視前記排水口内の全部又は大部分が外部から隠れた状態とする目隠し部を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の水切りネットの係止部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水内の塵芥を捕集する水切りネットを流し台や洗面台、浴槽、浴室等の排水機器の排水口に配置するために用いる水切りネットの係止部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流し台や洗面台、浴槽、浴室等の排水機器には、機器の使用によって生じた湯水を排水として排出するための排水口が設けられている。また、このような排水口には、湯水を排水として排出する際に、排水中の毛髪や砂、厨芥などの塵芥を捕集し、排水口から連通する排水配管内への流出を防止するための部材が配置されることが多い。
塵芥を捕集するための部材として、金属や硬質樹脂等からなる環状の係止部材に、水切りネットと呼ばれる、比較的目の粗い網目素材、又は比較的目の細かいストッキング生地等を袋状に編んだ部材を取り付けて排水口に配置することで、水切りネット内に排水中の塵芥を捕集するように構成されたものがある。
通常、水切りネットは使い捨てであり、内部にある程度の量の塵芥を捕集すると、水切りネットごと塵芥を処分する。
【0003】
特許文献1に記載の係止部材は、金属や硬質樹脂等からなる環状の係止部材に、水切りネットの開口を巻き付けて排水口に配置する構造の水切りネットの係止部材である。特許文献1に記載の水切りネットの係止部材では、塵芥を処分する際は水切りネットを係止部材から取り外して水切りネットごと塵芥を処分することで、水切りネットに収納された塵芥も処分される。
【0004】
他の係止部材の構成例として、特許文献2には、環状の係止部材(台座シート)上に複数の略V字状の切り込みを入れ、この切り込みの根元部分に孔を設けることで保持構造とし、保持構造に水切りネットの網目の目を刺して保持させる構成の水切りネットの係止部材が記載されている。
特許文献2の係止部材に水切りネットを保持させた上で排水機器の排水口に係止部材を配置し、排水機器の使用により湯水が発生すると、湯水は係止部材の中央の孔を通過し、更に水切りネット内を通過した上で排水として排水配管を介し下水側に排出される。この時、排水中の毛髪や砂、厨芥などの塵芥は、水切りネット内に捕集される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012- 47013号
【特許文献2】特開2015-140647号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各特許文献に記載した係止部材のように、水切りネットの取り付け・取り外しを繰り返す係止部材には、水切りネットが取り付け時に容易に取り付けられること、使用中に水切りネットが外れないこと、水切りネットが取り外し時に容易に取り外せること、水切りネットを取り外す際に作業者の手が水切りネットに付着した塵芥にできる限り触れずに済むこと等が求められる。
【0007】
特許文献1に記載の水切りネットの係止部材の場合、単に水切りネットを係止部材に巻き付けているだけの構造のため、水切りネットの取り付けは容易ではあるが、使用中に塵芥を収納したことで重量物となった水切りネットが係止部材から外れて落下する恐れがある。同様に、使用後の係止部材を持ち上げると重量物となった水切りネットが係止部材から外れて落下する恐れがあるため、水切りネットを係止部材から取り外した後に、水切りネットを作業者が把持してゴミ袋など処分場所まで移動させてから処理する必要がある。水切りネットの取り外し自体は容易ではあるものの、取り外しの為には水切りネットの開口部に付着した塵芥に触れて作業をする必要があり、また塵芥が付着した水切りネットを確実に把持してゴミ袋など処分場所まで移動させる必要があり、作業者は頻繁に塵芥に触れるため不快感が強くなる、という問題があった。
【0008】
特許文献2に記載の水切りネットの係止部材は、水切りネットの網目の目に、切れ込みを利用して構成した突起を差し込むことで水切りネットを確実に保持する構造である。
このため、使用中に塵芥を収納した水切りネットが係止部材から外れて落下する恐れは殆どないが、水切りネットの取り付け作業には突起の先端を水切りネットの網目の目に正確に差し込む必要があり、また突起は係止部材の外縁よりも内側に設けられているため係止部材の環状部分(台座シート部分)が作業の邪魔となるなど、水切りネットの取り付け作業が大変に手間である。
また、突起を水切りネットの網目の目に差し込む構成のため、目の細かいストッキング生地を利用した水切りネットは使用できず、目の粗い網目状の素材を利用した水切りネットを使用するしかなく、砂や毛髪など細かい塵芥は捕集することができず下流側に流出する。
【0009】
また、特許文献2には水切りネットを係止部材から取り外すことについての記載が無いが、仮に水切りネットを係止部材から取り外す場合、切れ込みの根元部分に孔が設けられて網目の糸が収納されているため、全ての突起に対して根元の孔から網目の糸を外す必要があるなど手間が掛かる。更に、この取り外し作業は、塵芥が付着した水切りネットに触れながら行う必要があるため、作業者の手が塵芥で汚れる等、繰り返し使用する係止部材としては使い勝手が良いものとは言い難いものであった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑み発明されたものであって、水切りネットを交換することで繰り返し利用できる水切りネットの係止部材において、水切りネットが取り付け時に容易に取り付けられること、使用中に水切りネットが外れないこと、水切りネットが取り外し時に容易に取り外せること、水切りネットを取り外す際に作業者の手が水切りネットに付着した塵芥にあまり触れずに済むこと等の、使いやすい機能を有した水切りネットの係止部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の発明は、排水機器の排水口に塵芥を捕集する水切りネットを配置するための水切りネットの係止部材であって、
前記排水口に配置される環状の係止本体と、
前記係止本体の半径方向に突出すると共に、前記水切りネットの開口部を着脱自在に係止する複数個の係止部と、
を有することを特徴とする水切りネットの係止部材である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、係止部材を環状の係止本体と、係止本体から外側方向に複数設けられた係止部とから構成し、この係止部に水切りネットの開口を係止する構成としている。このため、水切りネットの取り付けは係止本体の係止部に水切りネットの開口を係止するだけで済み、特許文献2に記載の発明のように、水切りネットの網目の目に突起を通す必要が無い。また、係止部は係止本体の外側に設けられているため、係止本体の環状部分が水切りネットの取り付け作業の邪魔となることも無い。
また、水切りネットを係止する突出部分は、係止本体の全周に沿って連続して設けられている構成ではなく、係止本体から外側方向に複数設けられた突起である係止部により構成されているため、使用により水切りネットが重量物となった状態でも係止部材より水切りネットが外れ難い構成とすることができる。
また、水切りネットを取り外す際には、水切りネットの開口を外側に広げるだけで取り外しができるため、取り外しが容易で、且つ作業者の手が水切りネットに付着した塵芥に殆ど触れずに作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第一の実施の形態の水切りネットの係止部材を採用したシンクを示す断面図である。
【
図2】
図1のシンクの部材構成を示す断面図である。
【
図3】水切りネットの、(a)平面図、(b)断面図である。
【
図4】第一の実施の形態の係止部材の、(a)平面図、(b)断面図、(c)斜視図である。
【
図5】第一の実施の形態の目隠し部材の、(a)平面図、(b)断面図、(c)斜視図である。
【
図6】第一の実施の形態の係止部材に水切りネットを取り付けた状態を示す、(a)平面図、(b)断面図である。
【
図7】第一の実施の形態の係止部材の、水切りネットを外す手順を示す平面図である。
【
図9】係止部が長方形であった場合の、
図7のB部の拡大図である。
【
図10】
図6の係止部材及び水切りネットにおいて、水切りネットに収納した塵芥の荷重がかかった状態での、(a)平面図、(b)断面図である。
【
図11】第一の実施の形態の目隠し部材において、1箇所の係止部と弾性リングとの係止が解除された状態を示す平面図である。
【
図12】第一の実施の形態の目隠し部材において、突起部を備えた係止部以外の係止部と弾性リングとの係止が解除された状態を示す、(a)平面図、(b)断面図である。
【
図13】第二の実施の形態の係止部材の、(a)断面図、(b)底面図、(c)斜視図である。
【
図14】洗面ボウルの排水口に本発明を採用した場合の実施の形態を示す断面図である。
【
図15】浴槽の排水口に本発明を採用した場合の実施の形態を示す断面図である。
【
図16】浴室の洗い場床面の排水口に本発明を採用した場合の実施の形態を示す断面図である。
【
図17】係止部材の、他の実施の形態を示す斜視図である。
【
図18】係止部材の、他の実施の形態を示す斜視図である。
【
図19】第一の実施の形態の係止部材の、天地を反転させて使用する実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の態様に係る水切りネットの係止部材は、
排水機器の排水口に塵芥を捕集する水切りネットを配置するための水切りネットの係止部材であって、
前記排水口に配置される環状の係止本体と、
前記係止本体の半径方向に突出すると共に、前記水切りネットの開口部を着脱自在に係止する複数個の係止部と、
を有することを特徴とする水切りネットの係止部材である。
【0015】
本態様によれば、水切りネットの係止部材において、水切りネットが取り付け時に容易に取り付けることができ、また使用中に水切りネットが外れ難く、また水切りネットが取り外し時に容易に取り外すことができ、また水切りネットを取り外す際に作業者の手が水切りネットに付着した塵芥にあまり触れずに済ますことができる。
【0016】
本発明の第2の態様に係る係止部材は、第1の様態の水切りネットの係止部材において、
前記係止部は、前記係止本体側から先端側に向かう程幅狭となることを特徴とする水切りネットの係止部材である。
【0017】
本態様によれば、水切りネットの係止部材において、特に水切りネットが取り外し時に容易に取り外すことができる。
【0018】
本発明の第3の態様に係る係止部材は、第1の様態の水切りネットの係止部材において、
前記係止部と前記水切りネットの開口部との係止状態の解除を防止するための、
前記係止部上から鉛直方向に突出した突起部を備えたことを特徴とする水切りネットの係止部材である。
【0019】
本態様によれば、水切りネットの係止部材において、特に使用中に水切りネットが外れにくい構造とすることができる。
【0020】
本発明の第4の態様に係る係止部材は、第1の様態乃至第3の様態のいずれか1つに記載の水切りネットの係止部材において、
前記水切りネットの係止部材は、前記排水口を覆う位置に配置されることで、平面視前記排水口内の全部又は大部分が外部から隠れた状態とする目隠し部を備えたことを特徴とする水切りネットの係止部材である。
【0021】
本態様によれば、水切りネットの係止部材において、使用時に水切りネットに収納された塵芥が排水機器の使用者に視認し難くなり、使用者が不快感を持たないようにすることができる。
【0022】
以下に、本発明の第一の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
尚、以下で説明する実施の形態は、包括的な、又は具体的な例を示すものであって、数値や形状、素材、構成要素とその配置・位置、接続形態、手順等は一例であり、本発明を限定するものではない。また、以下の実施の形態における各構成の内、独立項に記載されていない構成は、必要に応じて適宜変更可能な構成である。
【0023】
まず、係止部材1に取り付けられる水切りネット2について説明する。
図3等に図示した、本実施の形態の水切りネット2は、ポリエチレンテレフタレートを素材とした極めて細い糸をストッキング生地として極めて目の細かい網目状に編み、更に袋状に構成したものである。以下、ストッキング生地によって袋状に構成された部分を「袋部2a」と記載する。
開口部2bから湯水又は排水等の液体が流入した場合、袋部2aはストッキング生地の網目状の構造により湯水又は排水の液体成分を通過させつつ、湯水又は排水に含まれる毛髪や砂、厨芥などの塵芥を袋部2a内に捕集することができる。
また、水切りネット2の袋部2aの開口部2bには、水切りネット2の取り付けを行うためのポリウレタンなどの弾性素材からなるリング(以下「弾性リング2c」と記載)が備えられている。
【0024】
尚、ストッキング生地は網目状の素材ではあるが、その網目は極めて細かいため、後述する係止部1bや突起部1c等、通常の固体からなる部材構成に対しては、可撓性を備えた布状の素材として機能するものであり、部材構成がストッキング生地の網目の穴を貫通して生地の表から裏に通過する、又は裏から表に通過するといったことは起こらない。
尚、水切りネット2の各部寸法や袋部2aの容量は、取り付ける係止部材1や排水機器の排水口3a等の寸法に合わせ適切な寸法や容量の水切りネット2を選択して使用する。
【0025】
本発明の実施の形態の水切りネット2は使い捨てであり、内部にある程度の量の塵芥を捕集すると、水切りネット2ごと塵芥を処分する。
【0026】
次に、第一の実施の形態の配管構造について、以下に記載する。
図4等に図示した第一の実施の形態の水切りネットの係止部材は、以下に記載する排水機器としての流し台の排水口3aに配置される係止部材1であって、以下に記載する係止部材1と、目隠し部材4より構成される。
尚、各実施の形態の図示においては、図面を簡略化するため、水切りネット2の弾性リング2cを断面円形のリングとして図示し、袋部2aは網目などの描写を省略し、外縁のみを二点鎖線で図示する。
実際の弾性リング2cは、弾性を備えた糸状の素材を紐として編んだ上でリング状とした複雑な形状を備えてなる。
【0027】
まず、排水機器である流し台について説明する。
図1に示した流し台は以下に記載する天板部Tと図示しないキャビネット部から構成され、以下に記載する排水口部材3等の配管部材が備えられる。
天板部Tは金属の板材からなり、その一部を窪ませるようにして上方が開口した箱体であるシンクSが設けられている。シンクSの底面には排水口部材3を取り付けるための取付穴Hが設けられている。
図示しないキャビネット部は、上方が開口し、正面に扉が備えられた箱体であって、その内部に排水口部材3から連通し、下水側の配管である床下配管接続される排水配管が施工されている。
【0028】
図2等に図示した排水口部材3は、有底円筒形状を成す上方が開口した部材であって、その内部にはシンクS内の排水が流入する排水口3aが形成されてなる。また、排水口3aの内部には排水口3aの上端から20ミリメートルほど下方となる位置に内側に突出した段部3bを備えてなる。
また、排水口部材3は上端の外周部分に周縁に沿ってフランジ部3cが設けられてなり、このフランジ部3cがシンクSの取付穴Hの周縁に係止した状態でシンクSに対して固定されてなる。
また、排水口部材3の、排水口部材3の底面に掛かる側面には排水を排出する排出口3dを備えてなり、この排出口3dから、床下空間の配管に接続される排水配管が延出されてなる。
【0029】
図4等に図示した係止部材1は、硬質樹脂からなる部材であって、
図4に示したように、約10ミリメートル程度の高さを有する円筒形状、即ち環状を成す係止本体1aと、該係止本体1aの下端から平面視係止本体1aの半径方向外側に向かって突出した複数、本実施の形態では6箇所に設けられた係止部1bと、から構成される。
【0030】
係止部1bは、
図4(a)に示した平面図のように、係止本体1aの中心点を中心として60度毎に計6箇所設けられてなる。
係止部1bは、
図4(a)に示したように、係止本体1aから先端側に向かう程幅狭となる厚み2ミリメートル程度の平板を係止本体1aより一体的に延出することで構成されている。本実施の形態では、具体的には係止部1bは平面視略二等辺三角形形状を成す。また、係止本体1aの中心から係止部1bの先端を結ぶ線に対して直角となる直線と、係止部1bの二等辺三角形の斜面が成す角度(
図4(a)のAの角度)は約55度である。
また、係止部1bの先端は円弧形状に形成され、水切りネット2を係止する際に、係止部1bの先端が水切りネット2の袋部2aの網目の穴を貫通することや、水切りネット2の袋部2aを切り裂くようにして穴を穿つことは無い。また、係止部1bの先端に円弧があることで、水切りネット2を取り外す際に水切りネット2の袋部2aや弾性リング2cが絡まらない構造としている。
また、係止本体1aと係止部1bが交差する係止部1bの根元部分にも円弧が備えられ、同様に水切りネット2を取り外す際に水切りネット2の袋部2aや弾性リング2cが絡まらない構造としている。
【0031】
更に、6箇所設けられた係止部1bの内、係止本体1aの中心点を挟んで対称位置にある2つの係止部1bの先端の上面に、
図4(b)及び
図4(c)に示したように鉛直方向上方に向かって約2.5ミリメートル程度の高さに突出した突起部1cを備えてなる。
突起部1cの内、係止本体1aに対する側面は係止部1bの上面に対し鉛直となる平坦な壁面であり、それ以外の側面は係止部1bの外側側面と同一形状で、外側側面から連続してなる。
【0032】
図5等に図示した目隠し部材4は、硬質樹脂からなり、前記排水口3aを覆う位置に配置されることで、平面視前記排水口3a内の大部分が外部から隠れた状態とする部材であって、以下に記載する、位置決め部4aと、通水ガイド部4bと、覆い部6と、鍔部7と、から構成される。
【0033】
位置決め部4aは、その外側側面が、排水口部材3の排水口3aの内側側面に接する円筒形状を成す壁面である。その高さは約10ミリメートル程度である。
覆い部6は、位置決め部4aの内側を覆い隠す壁面であって、中心に向けて緩やかな登り勾配を成す登り勾配部6aと、中心に向けて下り勾配を成す下り勾配部6bとからなる。
また、登り勾配部6aと下り勾配部6bとの間に、使用時シンクS内から排水口3a内に排水を通過させる開口である通水部6cを備えてなる。
通水ガイド部4bは、覆い部6の下方であって、通水部6cの周囲を覆うようにして垂下された円筒形状を成す構成である。
図1に示したように、施工が完了した状態において、通水ガイド部4bの下端は係止部材1の係止本体1a内に配置され、通水部6cを通過した湯水又は排水が確実に係止本体1a内及び水切りネット2の袋部2a内を通過するように構成されている。
鍔部7は位置決め部4aから外側方向に延出された環状の部分であって、フランジ部3c全体を上方から覆うように設けられている。
【0034】
ここで、排水口部材3の、フランジ部3cの外径の直径は約180ミリメートル、排水口3aの内径の直径は約150ミリメートル、段部3bの内径の直径は約140ミリメートルである。
また、係止部材1の係止本体1aの外径の直径は125ミリメートル、係止部1bの先端によって形成される仮想的な円の直径は約148ミリメートルである。
また、目隠し部材4の位置決め部4aの外径の直径は約148ミリメートル、鍔部7の外径の直径は約180ミリメートルである。
上記の寸法にて各部材は設計されており、係止部材1は係止部1bが排水口部材3の段部3b上に載置することで排水口3a内に配置される。
また、目隠し部材4は位置決め部4aの外側側面が排水口3aの内側側面に当接して水平方向に位置決めされ、鍔部7がフランジ部3c上に載置されることで上下方向に位置決めされる。
【0035】
以下に、本実施の形態の係止部材1への水切りネット2の取り付け方と、流し台への取り付け方法を説明する。
【0036】
水切りネット2は、以下のようにして係止部材1に取り付けられる。
水切りネット2の弾性リング2cを拡径し、係止部材1の下方から係止部1b上に弾性リング2cを載置させる。全ての係止部1b上に弾性リング2cを載置させると、弾性リング2cが弾性により収縮する。
前述のように、係止本体1aが高さ10ミリメートルの円筒形状であるのに対し係止部1bの厚みは2ミリメートル程度と、係止本体1aに比べ係止部1bは薄いため、係止部1bに対して係止本体1aの側面が垂立する壁面の役割を果たし、弾性リング2cは係止本体1aの外側側面に当接して、
図6に示したように、係止部材1への水切りネット2の取り付けが完了する。
尚、弾性リング2cが係止本体1aの上端を超えて係止本体1a内に位置する場合があるが後述するように機能的な問題は生じない。
【0037】
上記のように構成した係止部材1を、係止部1bが排水口3a内の段部3b上に載置されるようにして排水口3a内に配置する。
次に、目隠し部材4を、位置決め部4aの外側側面が排水口3aの内側側面に当接するようにして排水口3aを覆うように配置する。目隠し部材4の鍔部7下面が、排水口部材3のフランジ部3c上面に当接してフランジ部3c全体を覆うと共に、通水ガイド部4bの下端が係止部材1の係止本体1a内に配置されて、
図1に示したように、槽体であるシンクSの排水口3aへの係止部材1の配置が完了する。尚、係止部材1に水切りネット2を取り付けた際、弾性リング2cが係止本体1aの上端を超えて係止本体1a内に位置した場合でも、通水ガイド部4bの下端が弾性リング2c内であって弾性リング2cより下方に位置するため、排水の通過時には通水部6cを通過するすべての湯水が水切りネット2内を通過する。このため、弾性リング2cが係止本体1aの上端を超えて係止本体1a内に位置しても、係止部材1に機能的な問題は生じない。
【0038】
上記した第一の実施の形態の水切りネットの係止部材は以下のように使用される。
上記のように排水口3aに水切りネット2が取り付けられた係止部材1が配置された流し台において、使用によりシンクS内に湯水が生じると、湯水は排水として目隠し部材4の通水部6cを通過し、通水ガイド部4bを介して水切りネット2の袋部2a内に流入し、袋部2aの網目を通過する。この時、排水中に厨芥などの塵芥が混入していた場合、塵芥は袋部2aの網目に捕集される。水切りネット2を通過した排水は、排水口3a内から排出口3dを通過し排水配管、床下配管を介して下水側に排出される。
【0039】
排水機器である流し台の使用により、袋部2a内に塵芥が捕集され、この塵芥が流し台の使用者の視界に入ると使用者は不快感を生じるが、本実施の形態では、排水口3a上に目隠し部材4を配置し、この目隠し部材4によって水切りネット2内が使用者からほとんど視認できないように構成している。このため、流し台の使用者が不快感を生じることは殆どない。
【0040】
上記した第一の実施の形態の係止部材1において、水切りネット2の袋部2a内に塵芥が量溜まった場合には、以下のようにして水切りネット2を交換する。
まず、排水口3aから目隠し部材4を取り外す。
次に、係止部材1を排水口3aから取り出し、水切りネット2を取り付けた状態のままゴミ袋など処分場所まで移動させる。
【0041】
次に、水切りネット2の弾性リング2cの一部を摘まみ、
図7(a)に示したように、弾性リング2cを横方向に引き伸ばして係止部1bとの係止状態を解除する。更に、弾性リング2cの弾性を利用し係止部1bの外側方向に弾性リング2cを引き延ばし、
図7(b)に示したように順次隣接する係止部1bとの係止状態を順次解除することで係止状態を容易に解除できる。実際には弾性リング2cと係止部1bとの係止状態を4箇所以上解除した時点で、弾性リング2cの収縮により残りの係止部1bとの係止状態は解除される。
【0042】
全ての係止部1bとの係止状態が解除された水切りネット2は、袋部2aに収納した塵芥ごと落下するため、ゴミ袋など処分場所の上方で係止部材1から水切りネット2を取り外し、落下させることで、水切りネット2を把持することなく処理することができる。
【0043】
または、排水口3aの近傍で段落0041に記載した手順により係止部材1から水切りネット2を取り外し、指先で把持しながら水切りネット2のみをゴミ袋など処分場所に移動させて投棄しても良い。
【0044】
上記の解除作業において、弾性リング2cは弾性により相当伸びるため、作業者は弾性リング2cの同じ個所を指先で把持しながら弾性リング2cを引き伸ばすことで順次係止部1bとの係止状態を解除でき、解除の為に水切りネット2の開口に沿って指先を移動させる必要が無い。このため、水切りネット2を取り外す際や水切りネット2を処分場所に移動させる際、作業者の手や指先が水切りネット2に付着した塵芥にあまり触れずに済む。
【0045】
また、上記の解除作業において、係止部1bは、
図4(a)に示したように、略二等辺三角形形状を成すことで、より容易に係止状態の解除が容易になっている。
詳述すると、係止部1bから水切りネット2の弾性リング2cを外す際、
図7に示すように作業者は通常無意識に弾性リング2cを把持する手(
図7では右手)の側に係止部1bを傾ける。
また、作業としては水切りネット2の弾性リング2cを係止部1bの上面から下方に移動させる作業のため、作業者の弾性リング2cを把持する手は係止部1bよりも下方側(
図7においては奥側)に移動する。
すると、弾性リング2cは係止部1bの側面に沿って
図8(a)の位置から、
図8(b)の矢印で示した方向に滑ることで
図8(b)の位置に移動し、係止状態の解除が容易となる。
上記効果は、
図4(a)の角Aの角度が約55度であることから、係止部1bの中心線が使用者の中心に対して約35度に傾くまで得ることができる。
【0046】
仮に、
図9のように、係止部1bが長方形形状の場合、作業者が
図8の状態と同じようにして弾性リング2cに作業を行うと、弾性リング2cは係止部1bの側面に沿って、
図9(b)の矢印で示した係止部1bの根元方向、つまり
図9(b)に示した係止部1bと弾性リング2cとの係止がより強固となる方向に滑り、係止状態の解除が困難となる。
【0047】
上記のようにして、係止部材1から使用済みの水切りネット2を取り外した後、段落0036乃至段落0037に記載した手順によって、新しい水切りネット2を係止部材1に取り付け、排水口3aに配置することで、支障なく本実施の形態の水切りネットの係止部材を再度使用することができる。
【0048】
また、上記の水切りネットの係止部材の使用において、排水口3aから係止部材1を水切りネット2の処分場所に移動させる際(以下単に「移動時」)や係止部材1の使用時に、水切りネット2が係止部材1から外れて落下すると、水切りネット2内の塵芥が排水口3a内や排水配管内に散乱するという問題や、係止部材1の移動時に予定外の箇所で水切りネット2が係止部材1から外れて落下し周囲を汚してしまう、という問題が生じる。
これに対して、本実施の形態の係止部材1では、次に記載した理由から、係止部材1の移動時や使用時に水切りネット2が係止部材1から外れることが生じにくい構造となっている。
【0049】
塵芥の荷重が弾性リング2cに作用し、弾性リング2cが下方(天地方向における下方)に引かれると、係止部材1の係止部1bに係止する弾性リング2cは
図10のような状態となり、平面視では係止部1b間の弾性リング2cは略直線状となる。この時、弾性リング2cには塵芥の荷重により、
図10の矢印の方向に応力が作用する。
弾性リング2cと係止部1bとの係止状態が解除される際には、弾性リング2cの、係止部1b先端側への移動が必要であるが、弾性リング2cには塵芥の荷重により、
図10の矢印の方向に応力が作用しているため、平面視における弾性リング2cは縮径する方向、即ち係止本体1aの中心側に移動し、弾性リング2cが係止部1b上から落下することを防止する。このため、水切りネット2が係止部材1から外れることが生じにくい構造となっている。
【0050】
また、複数ある係止部1bの内の1箇所において、荷重などにより係止部1bと弾性リング2cとの係止状態が解除されたとしても、
図11に示したように、隣接する係止部1bでの係止部1bと弾性リング2cとの係止状態が維持され、水切りネット2が係止部材1から落下しにくい構造となっている。
仮に、突起ではなく、係止本体1aの周囲の全周に連続して突条を設けた構造では、弾性リング2cが突条から一箇所でも解除されると、そのまま全周に亘って弾性リング2cが外れ、簡単に水切りネット2が係止部材1から外れて落下してしまうが、本発明では、係止部1bを複数設けた構造としたことで、一箇所において係止部1bと弾性リング2cとの係止状態が解除されても他の箇所に外れが伝わらず、一箇所だけの解除に止まり、全体の係止状態が解除されることは無い。
【0051】
また、本実施の形態の係止部1bには、6箇所に設けた係止部1bの内、係止本体1aの中心点を挟んで対称位置にある2つの係止部1bの先端の上面に突起部1cを備えてなる。
この突起部1cを備えた係止部1bでは、弾性リング2cが突起部1cを乗り越えない限り係止状態が維持されるため、突起部1cを備えない係止部1bよりも係止状態の解除が生じにくい。即ち、突起部1cは、係止部1bと水切りネット2の開口部2bとの係止状態の解除を防止する機能を有する。
6箇所に設けた係止部1bの内、係止本体1aの中心点を挟んで対称位置にある2つの係止部1b以外の係止状態が解除されると、
図12の状態となって、通水部6cを通過した排水が水切りネット2内を通過することはほぼ不可能となるが、少なくとも、係止部材1の使用中や移動時において、水切りネット2が係止部材1から落下して水切りネット2内の塵芥が散乱することは防止することができる。
【0052】
次に、本発明の第二の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。尚、第二の実施の形態の水切りネットの係止部材の平面図及び上方からの斜視図は、第一の実施の形態の目隠し部材4の平面図及び上方からの斜視図とほぼ同一のため省略し、
図13においては、底面図及び下方からの斜視図を図示してなる。
【0053】
図13に図示した第二の実施の形態の水切りネットの係止部材は、排水機器としての流し台の排水口3aに配置される係止部材1であって、以下に記載する係止部材1より構成される。
この内、水切りネット2は、段落0023乃至段落0025に記載した第一の実施の形態の同部材と同一のため説明は省略する。
また、流し台と流し台のシンクS及びシンクSの排水口3aは、段落0027に記載した第一の実施の形態の同部材と同一のため説明は省略する。
【0054】
図13に図示した、第二の実施の形態の水切りネットの係止部材は、硬質樹脂からなる部材であって、約15ミリメートル程度の高さを有する円筒形状を成す係止本体1aと、該係止本体1aの下端から外側方向に向かって突出した係止部1bを備えてなる。また、係止部材1を排水口3aに配置された際に、平面視排水口3a内の大部分を外部から隠れた状態とする目隠し部5として、係止本体1a内を覆い隠す覆い部6と、係止本体1aの上端から外側方向に延出された鍔部7を備えて構成されている。
【0055】
係止部1bは、第一の実施の形態と同様に係止本体1aの中心点を中心として60度毎に計6箇所設けられ、その形状や突起部1cも第一の実施の形態と同様に構成されている。
また、係止部1bの先端によって形成される仮想的な円の直径は排水口3aの内径とほぼ同一となるように構成されている。
【0056】
また、目隠し部5を形成する覆い部6は、中心に向けて緩やかな登り勾配を成す登り勾配部6aと、中心に向けて下り勾配を成す下り勾配部6bと、からなり、登り勾配部6aと下り勾配部6bとの間に、使用時シンクS内から排水口3a内に排水を通過させる開口である通水部6cを備えてなる。
鍔部7は位置決め部4aから外側方向に延出された環状の部分であって、フランジ部3c全体を上方から覆うように設けられている。
【0057】
ここで、排水口部材3の、フランジ部3cの外径の直径は約180ミリメートル、排水口3aの内径の直径は約150ミリメートル、段部3bの内径の直径は約140ミリメートルである。
また、係止部材1の係止本体1aの外径の直径は125ミリメートル、係止部1bの先端によって形成される仮想的な円の直径は約148ミリメートル、鍔部7の外径の直径は約180ミリメートルである。
【0058】
上記のように構成した、第二の実施の形態の水切りネットの係止部材は、第一の実施の形態の水切りネットの係止部材と同様の方法で、水切りネット2を取り付け、また取り外しすることができる。
【0059】
また、第二の実施の形態の係止部材1を排水口3aに配置する場合は、係止部1bの先端が排水口3aの内側側面に当接することで水平方向の位置決めが行われ、鍔部7下面が排水口部材3のフランジ部3c上面に当接して上下方向の位置決めが行われることで排水口3aに配置することができる。
第二の実施の形態の水切りネットの係止部材は、排水口3aに配置された状態では、係止部1bが段部3b上に配置されず排水口3a内に吊り下げられた状態となることと、係止本体1aが通水ガイド部4bを兼用する以外は、第一の実施の形態の水切りネット2係止部材1と同様にして排水口3aに配置される。
【0060】
上記した第二の実施の形態の水切りネットの係止部材は、第一の実施の形態の水切りネットの係止部材と同様の方法で、シンクS内に生じた湯水又は排水を処理すると共に、湯水又は排水に混入していた塵芥を水切りネット2の袋部2a内に捕集する。
尚、使用時において水切りネット2は係止部1bに吊り下げられた状態ではあるが、段落0049乃至段落0051に記載した理由により、使用中に係止部1bから水切りネット2が係止部材1から外れて落下することは無い。
【0061】
また、第二の実施の形態の水切りネットの係止部材は、目隠し部5として覆い部6と鍔部7を備えて構成されている。この目隠し部5により、係止部材1を排水口3aに配置する、即ち排水口3aを覆う位置に配置すると、平面視排水口3a内の大部分が外部から隠れた状態となる。
排水機器である流し台の使用により、水切りネット2内に塵芥が捕集され、この塵芥が流し台の使用者の視界に入ると使用者は不快感を生じるが、本実施の形態では、目隠し部5により平面視排水口3a内の大部分が外部から隠れた状態となるため、水切りネット2内を使用者が視認すことはほぼ不可能であり、このため、流し台の使用者が不快感を生じることは殆どない。
【0062】
上記した第二の実施の形態の係止部材1において、水切りネット2の袋部2a内に塵芥が量溜まった場合には、第一の実施の形態の係止部材1と同様の方法によって、塵芥を収納した水切りネット2を処理し、新しい水切りネット2に交換する。
この際には、第一の実施の形態の係止部材1と同様の理由によって、作業者の手が塵芥にあまり触れることなく水切りネット2を処理できると共に、作業の際に容易に水切りネット2の取り外しを行うことができ、また係止部材1の移動時には予定外の箇所で水切りネット2が係止部材1から外れて落下することが生じにくい構造となっている。
【0063】
本発明の実施の形態は以上であるが、本発明の配管構造は発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の設計変更を加えても良い。
例えば、上記実施の形態においては、排水機器を流し台とし、係止部材1を流し台の排水口3aに使用する係止部材1としているが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、
図14に図示したように洗面台の洗面ボウルWの排水口3aに使用する係止部材1や、
図15に図示したように浴槽BTの排水口3aに使用する係止部材1や、
図16に図示したように浴室の洗い場床面BRの排水口3aに使用する係止部材1としても良い。
【0064】
また、水切りネット2は袋部2aを備えた水切りネット2として構成されているが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、
図15や
図16の実施の形態のように水切りネット2を平坦な膜状として使用しても構わない。この場合には大量の塵芥を捕集するのには適さないが、例えば
図16の実施の形態の、浴室の洗い場床面BRの排水口3aのように、塵芥は毛髪や石鹸カス等が主体で大量に発生することは無いが、その代わり排水口3aの下方であって排水口3aの上端から近い位置に封水式排水トラップの封水があり、塵芥を封水に浸ることが無いようにしたい場合には好適である。
【0065】
また、係止部材1に目隠し部5を設けた場合に、
図16の実施の形態のように、通水部6cを側面に設けることで、係止部材1を、排水口3aを覆う位置に配置したとき、平面視において目隠し部5が排水口3aの全部を覆う構造としても良い。
【0066】
また、
図17に示したように、係止本体1aを筒状ではなく環状とし、係止部1bと同じ厚みに構成しても良い。この場合、必然的に水切りネット2の弾性リング2cは平面視において係止本体1aの内側に入り込むが、目隠し部材4の通水ガイド部4bが機能することで、支障なく通水部6cを通過した湯水又は排水は水切りネット2内を通過し、その際に湯水又は排水に含まれる塵芥は水切りネット2に捕集される。
【0067】
また、係止部材1と目隠し部材4を別体とした実施の形態の係止部材1において、
図18に示したように、筒状のリング体の上端と下端にそれぞれ係止部1bを設けても良い。
この構成によれば、リング体の天地方向について留意する必要がなくなると共に、水切りネット2の弾性リング2cが係止本体1aの内側に入り込むことが無くなる。
また、
図18のように、係止部1bが平面視において重ならないように配置すれば、係止部材1の清掃も容易に行うことができる。
【0068】
また、
図19のように、第一の実施の形態の係止部材1について、天地方向を反転させ、係止本体1a内に水切りネット2の袋部2aを通すようにして使用しても良い。
この場合でも、係止部1bの鉛直方向下方に向かって設けられた突起部1cによって水切りネットの脱落を防止する等の効果を得ることができる。
【0069】
また、上記各実施の形態では、突起部1cの形状を係止部1bと外側側面が同一となるように構成したが、円柱形状等、任意の形状の突起部1cとしても構わない。
また、上記各実施の形態では、突起部1cを対称位置に2つ備えた構成としてなるが、突起部1cを2つ以上設けても構わない。但し、過剰に突起部1cを設けると、係止部材1に水切りネット2を取り付ける際及び取り外す際に、作業が煩雑となるため、突起部1cの配置と数量には注意が必要である。
【0070】
また、係止部材1の把持を容易にするため、係止本体1aに、係止部1bとは別に取手を設けて構成しても良い。
【符号の説明】
【0071】
1 係止部材 1a 係止本体
1b 係止部 1c 突起部
2 水切りネット 2a 袋部
2b 開口部 2c 弾性リング
3 排水口部材 3a 排水口
3b 段部 3c フランジ部
3d 排出口 4 目隠し部材
4a 位置決め部 4b 通水ガイド部
5 目隠し部 6 覆い部
6a 登り勾配部 6b 下り勾配部
6c 通水部 7 鍔部
BR 浴室の洗い場床面 BT 浴槽
H 取付穴 S シンク
T 天板部 W 洗面ボウル