(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100533
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】帳票収容袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20240719BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20240719BHJP
G06K 19/02 20060101ALI20240719BHJP
B65D 27/00 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B65D33/00 Z
G06K19/07 230
G06K19/02 050
B65D27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004598
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000186566
【氏名又は名称】小林クリエイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 一広
(72)【発明者】
【氏名】山内 望由季
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA01
3E064BA21
3E064HA10
3E064HB02
3E064HL01
3E064HT07
(57)【要約】
【課題】帳票を収容でき、配設されたRFIDタグに破損等の不具合が生ずることを抑制できる帳票収容袋を提案する。
【解決手段】長方形状の袋表シート部12と袋裏シート部とが、入出口14を設けた上側縁を除く他の側縁15~16で接合されて、帳票1を収容可能な収容スペース21が設けられてなり、さらに、左側縁16の右方に間隔をおいて、袋表シート部12と袋裏シート部とを接合した仕切接合部22が設けられ、該仕切接合部22によって収容スペース21と仕切られた封入スペース23が形成される。そして、封入スペース23に、RFIDタグ5が、袋表シート部12と袋裏シート部との一方のみと接着された状態または両方と非接着な状態で収容される。かかる構成によれば、RFIDタグ5に破損等が発生することを抑制できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の袋表シート部と袋裏シート部とが対向状に配置され、該袋表シート部と該袋裏シート部との間に所定の帳票を収容可能な収容スペースを備える共に、一側縁に、該帳票を収容スペースに入出可能な入出口を備えた樹脂製の帳票収容袋であって、
前記入出口の一側縁を除く一の所定側縁から間隔をおいて、当該所定側縁に対して平行または傾斜する方向に設けられた、前記袋表シート部と前記袋裏シート部とを接合する仕切接合部と、
前記仕切接合部と前記所定側縁との間に形成され、該仕切接合部によって前記収容スペースと仕切られた封入スペースと、
略長方形板状に形成され、長手方向が前記仕切接合部に沿うように前記封入スペース内に配設された、非接触で通信可能なRFIDタグと
を備え、
前記RFIDタグは、前記袋表シート部と前記袋裏シート部との一方のみと接着された状態または両方と非接着の状態で、前記封入スペース内に配設されていることを特徴とする帳票収容袋。
【請求項2】
仕切接合部が、所定側縁に対して傾斜する方向に設けられたものであって、
前記仕切接合部と前記所定側縁との間に、該仕切接合部から間隔をおいて並設され、袋表シート部と袋裏シート部とを接合する並接合部を備え、
封入スペースが、前記仕切接合部と前記並接合部との間に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の帳票収容袋。
【請求項3】
仕切接合部は、
その長手方向に対して傾斜する方向に沿って袋表シート部と袋裏シート部とを連続状または間欠状に熱融着した傾斜融着部が、該長手方向に所定間隔をおいて複数列設されてなるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の帳票収容袋。
【請求項4】
矩形状の袋表シート部と袋裏シート部とが対向状に配置され、該袋表シート部と該袋裏シート部との間に所定の帳票を収容可能な収容スペースを備える共に、一側縁に、該帳票を収容スペースに入出可能な入出口を備えた樹脂製の帳票収容袋であって、
前記袋表シート部または前記袋裏シート部の表面の、前記入出口の一側縁を除く一の所定側縁寄り部位に、対向状に配設され、当該表面に外周縁が接合されて、該外周縁の内側に封入スペースを形成する略矩形状の外側シート部と、
略長方形板状に形成され、長手方向が前記外側シート部の一側縁に沿うように前記封入スペース内に配設された、非接触で通信可能なRFIDタグと
を備え、
前記RFIDタグは、前記外側シート部と該外側シート部に対向する前記表面との一方のみと接着された状態または両方と非接着の状態で、前記封入スペース内に配設されていることを特徴とする帳票収容袋。
【請求項5】
外側シート部の、RFIDタグの長手方向に沿う側縁と、該外側シート部に対向する袋表シート部または袋裏シート部の表面とが、熱融着により接合された熱融着部を備え、
前記熱融着部は、
外側シート部の前記側縁に対して傾斜する方向に沿って連続状または間欠状に熱融着した傾斜融着部が、当該側縁の長手方向に所定間隔をおいて複数列設されてなるものであることを特徴とする請求項4に記載の帳票収容袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帳票を収容する樹脂製の帳票収容袋に関する。
【背景技術】
【0002】
部品の調達から製品の完成に至る一連のプロセスでは、生産や運搬の指示情報や部品の管理情報などを記載した帳票が用いられており、該プロセスに従事する者がこれら情報を容易に確認できるようになっている。例えば特許文献1には、こうした情報を記載した発注指示カード(前記帳票に相当)の管理方法が開示されている。
【0003】
前述したプロセスでは、帳票が部品の運搬や生産工程で該部品と共に移動することから、該移動によって帳票が破損したり汚れたりする虞がある。そのため、帳票を透明樹脂製の袋(以下、帳票収容袋という)に収容して用いられている。さらに、こうした帳票収容袋や帳票に、部品番号や数量などの情報を記憶したバーコードが付けられる場合もあり、このバーコードを適宜読み取ることによって、部品管理や工程管理を正確かつ容易に行い得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記した帳票や帳票収容袋にバーコードを付けた構成では、専用の読取り装置をバーコードに近接させねばならず、例えば部品の在庫管理する場合に、各部品の帳票(又は帳票収容袋)のバーコードを夫々読み取る作業に手間がかかる。そのため、こうした読み取り作業に要する作業性を改善するために、バーコードに代えて、非接触かつ複数を一括で読み取りできるRFIDが適用されている。ここで、RFIDは、一般的に、矩形状の基板上にICチップとアンテナとが配設された構成(以下、RFIDタグという)で用いられる。
【0006】
前記した帳票や帳票収容袋にRFIDタグを取り付ける場合には、該帳票に貼付されたり、該帳票収容袋の外表面に貼付されたりする構成が一般的である。しかし、帳票収容袋の外表面にRFIDタグを貼付した場合には、前記プロセスで部品と共に移動する際に、破損や剥がれを生じたり、汚れたりする等の虞がある。一方、帳票に貼付した場合には、該帳票を帳票収容袋に出し入れする際に、RFIDタグを擦り易く、破損や剥がれを生ずる虞がある。また、RFIDタグを帳票収容袋の内面に貼付することもあり得るが、帳票を出し入れする際に、該帳票に接触して破損や剥がれを生ずる虞がある。
さらに、帳票や帳票収容袋の内外面に貼付する構成のいずれであっても、帳票収容袋が樹脂製で曲げ変形し易いことから、該曲げ変形によってRFIDタグが破損する虞があった。
【0007】
本発明は、RFIDタグが配設されたものであって、該RFIDタグに破損等の不具合が生ずることを抑制し得る帳票収容袋を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一発明は、矩形状の袋表シート部と袋裏シート部とが対向状に配置され、該袋表シート部と該袋裏シート部との間に所定の帳票を収容可能な収容スペースを備える共に、一側縁に、該帳票を収容スペースに入出可能な入出口を備えた樹脂製の帳票収容袋であって、前記入出口の一側縁を除く一の所定側縁から間隔をおいて、当該所定側縁に対して平行または傾斜する方向に設けられた、前記袋表シート部と前記袋裏シート部とを接合する仕切接合部と、前記仕切接合部と前記所定側縁との間に形成され、該仕切接合部によって前記収容スペースと仕切られた封入スペースと、略長方形板状に形成され、長手方向が前記仕切接合部に沿うように前記封入スペース内に配設された、非接触で通信可能なRFIDタグとを備え、前記RFIDタグは、前記袋表シート部と前記袋裏シート部との一方のみと接着された状態または両方と非接着の状態で、前記封入スペース内に配設されていることを特徴とする帳票収容袋である。
【0009】
かかる構成にあっては、封入スペース内に配設されたRFIDタグが、袋表シート部と袋裏シート部とによって保護されると共に、該封入スペースが収容スペースと仕切られていることから、該収容スペースに入出される帳票とRFIDタグとの接触を防止できる。これにより、RFIDタグに破損、剥がれ、および汚れ等が発生することを抑制でき、該RFIDタグを比較的長期に亘って安定して使用することができる。
【0010】
また、本構成は、仕切接合部が袋表シート部と袋裏シート部とを接合してなるものであることから、該仕切接合部によって曲げ剛性を向上できる。これにより、帳票収容袋が曲げ変形した場合における撓み量を抑制できるから、該帳票収容袋の曲げ変形によってRFIDタグが損傷することを抑制できる。さらに、RFIDタグが、袋表シート部と袋裏シート部との一方のみと接着された状態、又は両方と非接着の状態で封入スペースに配設されていることから、帳票収容袋が曲げ変形した際に、RFIDタグに作用する負荷を抑制でき、該負荷による損傷を抑制できる。詳述すると、RFIDタグが袋表シート部と袋裏シート部との一方のみに接着されている場合には、曲げ変形した際に他方から作用する力を抑制できる。一方、RFIDタグが袋表シート部と袋裏シート部と両方を非接着の場合には、前記曲げ変形した際に両方から作用する力を抑制できる。こうしたことから、RFIDタグの損傷を抑制できる。
【0011】
前述した第一発明の帳票収容袋にあって、仕切接合部が、所定側縁に対して傾斜する方向に設けられたものであって、前記仕切接合部と前記所定側縁との間に、該仕切接合部から間隔をおいて並設され、袋表シート部と袋裏シート部とを接合する並接合部を備え、封入スペースが、前記仕切接合部と前記並接合部との間に形成されたものである構成が提案される。
【0012】
かかる構成にあっては、袋表シート部と袋裏シート部とを接合した仕切接合部と並接合部とが所定側縁に対して傾斜させて設けられていることから、当該所定側縁に沿った方向や直交する方向で曲がり難くできる。一般的に矩形状の袋体は、例えば立てかけた状態で、上下に曲がり易いが、本発明の構成では、傾斜する仕切接合部と並接合部とによって該上下の曲げを抑制できる。さらに、RFIDタグは、その長手方向が所定側縁に対して傾斜された状態で封入スペースに配設されていることから、帳票収容袋が側縁に沿って曲げ変形した際に、該長手方向に生ずる曲げ歪みが低減される。こうしたことから、本発明の構成によれば、帳票収容袋が曲げ変形した際に、該曲げ変形によりRFIDタグが損傷することを一層抑制できる。
【0013】
前述した第一発明の帳票収容袋にあって、仕切接合部は、その長手方向に対して傾斜する方向に沿って袋表シート部と袋裏シート部とを連続状または間欠状に熱融着した傾斜融着部が、該長手方向に所定間隔をおいて複数列設されてなるものである構成が提案される。
【0014】
かかる構成にあって、仕切接合部には、隣り合う傾斜融着部の間に、袋表シート部と袋裏シート部とを融着しない非融着部が該傾斜融着部(長手方向に対して傾斜する方向)に沿って形成される。この仕切接合部は、傾斜融着部に比して非融着部の剛性が低いことから、曲げる力が作用した際に、非融着部に沿った方向(長手方向に対して傾斜する方向)で曲がり易くなる。このように本構成は、曲げる力が作用した際に、仕切接合部によってRFIDタグが前記非融着部の方向で曲がるように誘導できるため、該RFIDタグに生ずる曲げ歪みを低減でき、該RFIDタグの損傷を抑制できる。
【0015】
本発明の第二発明は、矩形状の袋表シート部と袋裏シート部とが対向状に配置され、該袋表シート部と該袋裏シート部との間に所定の帳票を収容可能な収容スペースを備える共に、一側縁に、該帳票を収容スペースに入出可能な入出口を備えた樹脂製の帳票収容袋であって、前記袋表シート部または前記袋裏シート部の表面の、前記入出口の一側縁を除く一の所定側縁寄り部位に、対向状に配設され、当該表面に外周縁が接合されて、該外周縁の内側に封入スペースを形成する略矩形状の外側シート部と、略長方形板状に形成され、長手方向が前記外側シート部の一側縁に沿うように前記封入スペース内に配設された、非接触で通信可能なRFIDタグとを備え、前記RFIDタグは、前記外側シート部と該外側シート部に対向する前記表面との一方のみと接着された状態または両方と非接着の状態で、前記封入スペース内に配設されていることを特徴とする帳票収容袋である。
【0016】
かかる構成にあっては、封入スペース内に配設されたRFIDタグが、外側シート部と袋表シート部または袋裏シート部とによって保護される。さらに、封入スペースは、袋表シート部または袋裏シート部の外側に設けられることから、該収容スペースに入出される帳票とRFIDタグとの接触を防止できる。これにより、RFIDタグに破損、剥がれ、および汚れ等が発生することを抑制でき、該RFIDタグを比較的長期に亘って安定して使用することができる。
【0017】
また、本構成は、外側シート部の外周縁が袋表シート部または袋裏シート部と接合されていることから、この接合された部位によって曲げ剛性を向上できる。さらに、外側シート部が重なることによっても、曲げ剛性が向上する。こうしたことから、帳票収容袋が曲げ変形した場合における撓み量を抑制できるため、該曲げ変形によってRFIDタグが損傷することを抑制できる。さらに、RFIDタグが、外側シート部と袋表シート部または袋裏シート部との一方のみと接着された状態、又は両方と非接着の状態で封入スペースに配設されていることから、前述した第一発明と同様に、帳票収容袋が曲げ変形した際にRFIDタグに作用する力を抑制でき、該RFIDタグの損傷を抑制できる。
【0018】
尚、第二発明の構成にあっては、外側シート部が、その一側縁を前記所定側縁に対して傾斜する方向に沿って配設された構成が好適である。これにより、封入スペースが前記所定側縁に対して傾斜する方向に沿って設けられることから、当該所定側縁に沿った方向や直交する方向で曲がり難くできる。さらに、RFIDタグは、その長手方向が所定側縁に対して傾斜された状態で封入スペースに配設されていることから、帳票収容袋が側縁に沿って曲げ変形した際に、該RFIDタグに生ずる曲げ歪みが低減される。こうしたことから、帳票収容袋の曲げ変形によりRFIDタグが損傷することを一層抑制できる。
【0019】
前述した第二発明の帳票収容袋にあって、外側シート部の、RFIDタグの長手方向に沿う側縁と、該外側シート部に対向する袋表シート部または袋裏シート部の表面とが、熱融着により接合された熱融着部を備え、前記熱融着部は、外側シート部の前記側縁に対して傾斜する方向に沿って連続状または間欠状に熱融着した傾斜融着部が、当該側縁の長手方向に所定間隔をおいて複数列設されてなるものである構成が提案される。
【0020】
かかる構成にあって、熱融着部には、前述した第一発明と同様に、隣り合う傾斜融着部の間に、袋表シート部と袋裏シート部とを融着しない非融着部が該傾斜融着部(長手方向に対して傾斜する方向)に沿って形成される。これにより、曲げる力が作用した際に、熱融着部によってRFIDタグが前記非融着部の方向で曲がるように誘導できるため、該RFIDタグに生ずる曲げ歪みを低減でき、該RFIDタグの損傷を抑制できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第一発明の構成によれば、RFIDタグに破損、剥がれ、および汚れ等が発生することを抑制できると共に、帳票収容袋の曲げ変形によりRFIDタグが損傷することを抑制できる。これにより、RFIDタグを比較的長期に亘って安定して使用できる。
【0022】
本発明の第二発明の構成にあっても、前述した第一発明と同様に、RFIDタグを比較的長期に亘って安定して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図8】帳票収容袋31にRFIDタグ5を配設する過程を示す説明図である。
【
図9】(A)別例1の帳票収容袋51の正面図と、(B)別例2の帳票収容袋61の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明にかかる実施例1,2を、添付図面を用いて説明する。
【実施例0025】
実施例1の帳票収容袋11は、
図1~3に示すように、正面視で長方形状をなし、内部に帳票1を収容する矩形状の収容スペース21が設けられたものである。帳票1は、矩形状の紙製であり、表面および/または裏面に所望の情報が記載される。帳票1には、上質紙、コート紙、感熱紙、および合成紙などが用いられる。
【0026】
帳票収容袋11は、長方形状の樹脂製シートからなる袋表シート部12と袋裏シート部13とを対向状に配置して、上側縁を除く三つの側縁15~17が接合されることにより形成されてなるものであり、該上側縁に前記帳票1を入出可能な入出口14が設けられている。そして、袋表シート部12と袋裏シート部13との間には、前記収容スペース21が形成され、入出口14を介して該収容スペース21に帳票1を入出できる。また、上側縁には、入出口14を開放状態と閉鎖状態とに変換できるチャック手段19が設けられている。このチャック手段19により入出口14を開放状態とすることによって、帳票1を収容スペース21に入出できる一方、該入出口14を閉鎖状態とすることによって、該帳票1を入出不能とできる。尚、チャック手段19は、従来から知られた構成のものを適用できることから、詳細な説明を省略する。
【0027】
この帳票収容袋11は、上側縁(入出口14)と下側縁15とが長手方向に設けられ、左右の側縁16,17が短手方向に設けられた構成である。また、下側縁15と左右の側縁16,17とは、夫々熱融着により接合されている。具体的には、各側縁15~17が夫々連続状に熱融着されている。こうした帳票収容袋11は、前述した樹脂製シートから構成されているため、比較的容易に曲げることができる。
【0028】
実施例1の構成にあっては、左側縁16の右方に、袋表シート部12と袋裏シート部13とを短手方向に亘って熱融着した帯状の仕切接合部22が設けられている。この仕切接合部22は、左側縁16から右方へ所定間隔をおいて、該左側縁16と平行に形成されている。この仕切接合部22によって、袋表シート部12と袋裏シート部13との間の空隙が左右に仕切られ、左側の封入スペース23と右側の収容スペース21とを形成している(
図3)。すなわち、帳票収容袋11は、袋表シート部12と袋裏シート部13との間で、仕切接合部22と下側縁15と右側縁17とにより囲まれた収容スペース21と、仕切接合部22と下側縁15と左側縁16とにより囲まれた封入スペース23とを備える。
【0029】
この仕切接合部22は、左側縁16寄りの位置に設けられており、封入スペース23は、収容スペース21に比して左右方向の幅が狭い。ここで、封入スペース23には、後述するRFIDタグ5が配設されることから、該封入スペース23の左右方向の幅(左側縁16と仕切接合部22との間隔)が、該RFIDタグ5を収容可能な寸法に設定されている。
【0030】
実施例1の仕切接合部22は、
図1に示すように、袋表シート部12と袋裏シート部13とを熱融着した傾斜融着部25が、該仕切接合部22の長手方向(上下方向)に間隔をおいて複数列設されてなり、傾斜融着部25と隣り合う傾斜融着部25間の非融着部26とによってエンボス状に形成されている。ここで、傾斜融着部25は、仕切接合部22の長手方向(上下方向)に対して所定の傾斜角で傾斜する方向(以下、傾斜方向という)に沿って連続状に形成されている。これにより、非融着部26が、傾斜融着部25の傾斜方向に沿って形成される。ここで、傾斜融着部25の傾斜方向を示す前記傾斜角としては、5度~85度の範囲で設定される角度が好適であり、15度~75度の範囲の角度が一層好適である。
【0031】
こうした仕切接合部22では、傾斜融着部25が非融着部26に比して剛性が向上することから、上下に曲げようとする力が作用すると、非融着部26に沿った方向(前記傾斜方向)Pで曲がり易くなる。このように仕切接合部22は、前記傾斜方向Pで曲がるように誘導することができる。これにより、帳票収容袋11が、左右方向(長手方向)や上下方向(短手方向)に曲がる際に、該帳票収容袋11の左部分(封入スペース23が形成された部分)が、前記仕切接合部22によって斜めに曲げられる。
【0032】
また、前記仕切接合部22により収容スペース21と仕切られた封入スペース23には、RFIDタグ5が収容される。本実施例1にあっては、RFIDタグ5は、封入スペース23内に、袋表シート部12と袋裏シート部13とのいずれとも接着されていない状態で収容される。これにより、RFIDタグ5は、封入スペース23内で、袋表シート部12と袋裏シート部13とに対して相対移動可能となっている。
【0033】
封入スペース23は、RFIDタグ5を収容した状態で閉鎖される。本実施例1では、封入スペース23が、仕切接合部22と左側縁16と下側縁15とに囲まれて形成され、前記入出口14を介して上方へ開口される。この状態で、RFIDタグ5を、その長手方向が仕切接合部22に沿うようにして、封入スペース23内へ挿入する。そして、RFIDタグ5を封入スペース23に収容した後に、仕切接合部22と左側縁16との間で袋表シート部12と袋裏シート部13との上部を入出口14に沿って熱融着することによって、融着上縁部28を形成する。この融着上縁部28によって、封入スペース23が閉鎖される。
【0034】
こうした封入スペース23に収容されるRFIDタグ5は、
図4に示すように、薄板状の基材6の一側面に、ICチップ7とアンテナ8とが配設されてなるものである。ここで、アンテナ8は、基材6上に、導電性金属(例えば、金、白金、銅など)の粒子を樹脂バインダに混合してなる導電性インキが所定形状に印刷されることによって形成される。そして、このアンテナ8の端部に導電性の接着剤を介してICチップ7が接着される。こうしたRFIDタグ5は、図示しない入出力装置(リーダ・ライタ装置)との間で、HF帯の電磁波を利用してコマンドやデータなどの信号を非接触で送受信できる非接触型の電池レスタイプである。尚、本実施例のRFIDタグ5には、従来から公知のものを適用できることから、その詳細については省略する。
【0035】
本実施例1の帳票収容袋11は、前述したように、開放状態の入出口14から収容スペース21に帳票1を収容して、該入出口14を閉鎖状態とすることにより、該帳票1が破損したり汚れたりすることを防止できる。例えば、製品の完成に至るプロセスで、生産や運搬の指示情報や部品の管理情報等が記載された帳票1を、破損や汚れから保護するものとして利用され得る。そして、帳票収容袋11が透明であることから、前記プロセスに従事する者が、収容スペース21に収容された帳票1の情報を容易に視認できる。さらに、封入スペース23に収容されたRFIDタグ5に、前記生産や部品の情報が記憶される。これにより、前記した入出力装置を用いて、非接触でRFIDタグ5から前記情報を得ることができる。
【0036】
この帳票収容袋11は、RFIDタグ5が封入スペース23に収容された状態で、袋表シート部12と袋裏シート部13とにより保護される。そして、帳票1を収容する収容スペース21とRFIDタグ5を収容する封入スペース23とが仕切られていることから、該帳票1とRFIDタグ5とが接触しない。こうしたことから、RFIDタグ5に破損や汚れ等が生ずることを抑制できる。
【0037】
また、帳票収容袋11は、仕切接合部22を設けたことにより曲げ剛性が向上したことから、上下に曲がり難くなっている。特に、本実施例1の仕切接合部22は、前記傾斜方向Pに沿って傾斜融着部25と非融着部26とが設けられた構成であることから、上下や左右に曲がる際に、該傾斜方向Pで曲がるように誘導できる。これにより、例えば、帳票収容袋11を立てかけた場合に上下に曲がると、前記仕切接合部22によって、封入スペース23の形成部分が前記傾斜方向Pで曲がることから、封入スペース23内で仕切接合部22に沿って収容されたRFIDタグ5が斜めに曲がる。そのため、RFIDタグ5に生ずる曲げ歪みを低減でき、該RFIDタグ5が損傷することを抑制できる。
【0038】
さらに、RFIDタグ5が、封入スペース23内に、袋表シート部12と袋裏シート部13とのいずれとも非接着な状態で収容されていることから、該袋表シート部12と袋裏シート部13とから作用する力を抑制できる。具体的には、帳票収容袋11が曲がった際に袋表シート部12と袋裏シート部13との両方からRFIDタグ5に作用する力を抑制できるため、該力によって該RFIDタグ5が損傷することを抑制できる。
【0039】
このように本実施例1の構成によれば、RFIDタグ5の損傷や汚れ等が生ずることを抑制できることから、該RFIDタグ5を比較的長期に亘って安定して使用することができる。
実施例2の構成は、袋表シート部12の外表面に、長方形状の外側シート部32が接合され、該袋表シート部12と外側シート部32との間に、RFIDタグ5を収容する封入スペース33が形成されている。外側シート部32は、その左側縁を袋表シート部12の左側縁16に重ねて熱融着されると共に、下側縁を該袋表シート部12の下側縁15に重ねて熱融着される。さらに、外側シート部32の上側縁が袋表シート部12に熱融着されて、融着上縁部38が形成されると共に、該外側シート部32の右側縁が袋表シート部12に熱融着されて、融着右縁部39が形成される。このように外側シート部32は、その外周縁が袋表シート部12の左側部に接合されており、外周縁の内側に前記封入スペース33を形成している。尚、本実施例にあって、融着上縁部38は、外側シート部32の上側縁を袋表シート部12に連続状に熱融着されている。
前記融着右縁部39は、その長手方向(上下方向)に対して所定の傾斜角で傾斜する方向(傾斜方向)に沿って設けられた傾斜融着部41が、該長手方向に間隔をおいて複数列設されてなる。ここで、傾斜融着部41は、外側シート部32と袋表シート部12とを熱融着した複数の融着単部45が、前記傾斜方向に沿って間欠状に列設されており、隣り合う融着単部45間に、融着されない間欠部46が設けられている。すなわち、実施例2の傾斜融着部41は、融着単部45と間欠部46とが前記傾斜方向に沿って交互に設けられた構成である。また、前記した融着右縁部39は、こうした傾斜融着部41と隣り合う傾斜融着部41間の非融着部42とが前記長手方向(上下方向)に沿って交互に設けられた構成であり、非融着部42が前記傾斜方向に沿って形成される。この融着右縁部39は、傾斜融着部41の融着単部45と該傾斜融着部41の間欠部46および非融着部42とによって、エンボス状に形成されている。尚、本実施例2にあって、融着右縁部39が、本発明にかかる熱融着部に相当する。
こうした融着右縁部39では、前述した実施例1の仕切接合部22と同様に、傾斜融着部41が非融着部42に比して剛性が向上することから、上下に曲げようとする力が作用すると、該非融着部42に沿った前記傾斜方向Pで曲がるように誘導できる。これにより、帳票収容袋31が左右方向(長手方向)や上下方向(短手方向)に曲がる際に、外側シート部32を接合された左側部(封入スペース33が形成された部分)が、前記融着右縁部39によって斜めに曲げられる。
また、前述した封入スペース33には、RFIDタグ5が収容される。RFIDタグ5は、その長手方向が融着右縁部39に沿うにして収容されており、外側シート部32と袋表シート部12とのいずれとも接着されていない。これにより、RFIDタグ5は、封入スペース33内で、外側シート部32と袋表シート部12とに対して相対移動可能である。尚、RFIDタグ5は、前述した実施例1と同様のものである。
本実施例2の帳票収容袋31は、前述した実施例1と同様に、製品の完成に至るプロセスで利用でき、所望の情報が記載された帳票1を、破損や汚れ等から保護できる。そして、封入スペース33内のRFIDタグ5に生産や部品等の情報を記憶でき、前記した入出力装置(リーダ・ライタ装置)を用いることによって、非接触で該情報を得ることができる。
この帳票収容袋31は、帳票1を収容する収容スペース21と別に、RFIDタグ5を収容する封入スペース33を設けた構成であり、該封入スペース33に収容したRFIDタグ5を外側シート部32と袋表シート部12とにより保護する。こうした構成により、前述した実施例1と同様に、RFIDタグ5に破損や汚れが生じずることを抑制できる。
また、帳票収容袋31は、外側シート部32を袋表シート部12に重ねて該外側シート部32の外周縁が熱融着された構成であることから、該外側シート部32を重ねた左側部の剛性が向上する。そして、本構成では、融着右縁部39が、前記傾斜方向Pに沿って傾斜融着部41と非融着部42とを設けた構成であるから、上下や左右に曲がる際に該傾斜方向Pで曲がるように誘導できる。これにより、前述した実施例1と同様に、融着右縁部39によって、封入スペース33内で融着右縁部39に沿って収容されたRFIDタグ5が斜めに曲がることから、該RFIDタグ5に生ずる曲げ歪みを低減でき、該RFIDタグ5が損傷することを抑制できる。
さらに、実施例2の構成にあっても、RFIDタグ5が封入スペース33内に非接着な状態で収容されていることから、前述した実施例1と同様に、帳票収容袋31が曲がった際にRFIDタグ5に作用する力を抑制でき、損傷の発生を抑制できる。
例えば、実施例1は、仕切接合部が左側縁寄りに設けた構成であるが、これに限らず、右側縁寄りに設けた構成とすることもできる。この構成では、封入スペースが帳票収容袋の右側部に設けられる。また、仕切接合部が下側縁から間隔をおいて該下側縁と平行に形成されて、封入スペースを帳票収容袋の下部に設けた構成とすることもできる。この構成の封入スペースは、その長手方向が下側縁に沿って形成される。
同様に、実施例2にあって、外側シート部が袋表シート部の右側部に設けられた構成とすることもできる。また、外側シート部が、その長手方向を左右方向として、袋表シート部の下部に設けられた構成としても良い。この構成の封入スペースは、その長手方向が下側縁に沿って形成される。
実施例2は、外側シート部が袋表シート部の外表面に接合された構成であるが、これに限らず、袋裏シート部の外表面に外側シート部が接合された構成とすることもできる。
実施例1,2は、袋表シート部と袋裏シート部との左側縁、右側縁、および下側縁が夫々の長手方向に連続状に熱融着された構成としたが、これに限らず、例えば、長手方向に間欠状に熱融着された構成とすることもできる。又は、実施例1の仕切接合部や実施例2の融着右縁部と同様に、傾斜融着部が間隔をおいて複数列設された構成としても良い。また、所定の接着剤によって接着された構成であっても良い。
実施例1の仕切接合部は、実施例2の融着右縁部と同様に、傾斜方向に間欠状に熱融着された傾斜融着部が長手方向に間隔をおいて複数列設された構成としても良い。また、実施例2の融着右縁部は、実施例1の仕切接合部と同様に、傾斜方向に連続状に熱融着された傾斜融着部が長手方向に間隔をおいて複数列設された構成としても良い。
実施例1では、RFIDタグを袋表シート部と袋裏シート部とのいずれにも接着せずに、封入スペース内で相対移動可能に収容した構成としたが、これに限らず、袋表シート部と袋裏シート部との一方のみとRFIDタグが接着された構成としても良い。この構成では、RFIDタグが袋表シート部と袋裏シート部との他方に対して相対移動可能に収容されることから、曲がった際に他方から作用する力を抑制でき、損傷を抑制できる。同様に、実施例2にあって、外側シート部と袋表シート部との一方のみとRFIDタグが接着された構成としても良い。
実施例1は、融着上縁部により封入スペースを閉鎖する構成としたが、これに限らず、融着上縁部を設けない構成としても良い。この構成では、前述したようにRFIDタグを袋表シート部と袋裏シート部との一方のみと接着した構成が好適である。