特開 2024-100542 タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024100542

(43)【公開日】2024-07-26

(54)【発明の名称】タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置

(51)【国際特許分類】

   B29C 43/24 20060101AFI20240719BHJP

   B29C 48/30 20190101ALI20240719BHJP

   B29C 48/90 20190101ALI20240719BHJP

   B29D 30/06 20060101ALI20240719BHJP

【ＦＩ】

B29C43/24

B29C48/30

B29C48/90

B29D30/06

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023004616

(22)【出願日】2023-01-16

(71)【出願人】

【識別番号】000183233

【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100121186

【弁理士】

【氏名又は名称】山根 広昭

(74)【代理人】

【識別番号】100121500

【弁理士】

【氏名又は名称】後藤 高志

(74)【代理人】

【識別番号】100130605

【弁理士】

【氏名又は名称】天野 浩治

(74)【代理人】

【識別番号】100218084

【弁理士】

【氏名又は名称】高橋 俊光

(72)【発明者】

【氏名】山際 敏幸

【テーマコード（参考）】

4F204

4F207

4F215

4F501

【Ｆターム（参考）】

4F204AA45

4F204AC03

4F204AG01

4F204AH20

4F204FA06

4F204FB02

4F204FG08

4F204FJ09

4F204FN15

4F204FQ31

4F207AA45

4F207AG02

4F207AH20

4F207AJ08

4F207KA01

4F207KA17

4F207KK88

4F207KW42

4F215AH20

4F215VA11

4F215VL32

4F501TA11

4F501TE25

4F501TV14

(57)【要約】

【課題】ゴムストリップの形状変更を容易にすること
【解決手段】
タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０は、ゴムを連続的に吐出する吐出口を有するゴム押出機１１と、吐出口の下流側に配置された圧延機１２と、スライダ機構１３とを備えている。
圧延機は、一対のカレンダーロール２１，２２と、一対のカレンダーロール２１，２２を支持する支持体３０とを有している。
一対のカレンダーロール２１，２２は、軸方向に沿って外周面が対向するように配置され、かつ、軸方向に沿って間隙に複数の加工溝２４ａ～２４ｃを有している。
スライダ機構１３は、吐出口の下流側において、複数の加工溝２４ａ～２４ｃが順に対向するように、一対のカレンダーロール２１，２２を軸方向に沿って支持体を移動させるように構成されている。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

ゴムを連続的に吐出する吐出口を有するゴム押出機と、
前記吐出口の下流側に配置された圧延機と、
スライダ機構と
を備え、
前記圧延機は、
一対のカレンダーロールと、
前記一対のカレンダーロールを支持する支持体と
を有し、
前記一対のカレンダーロールは、軸方向に沿って外周面が対向するように配置され、かつ、軸方向に沿って間隙に複数の加工溝を有しており、
前記スライダ機構は、
前記吐出口の下流側において、前記複数の加工溝が順に対向するように、前記一対のカレンダーロールを軸方向に沿って前記支持体を移動させるように構成された、
ことを特徴とするタイヤ成形用ゴムストリップ製造装置。

【請求項2】

前記一対のカレンダーロールは、ロール部分と軸が一体物である、請求項１に記載されたゴムストリップ製造装置。

【請求項3】

制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記一対の圧延ローラの前記複数の加工溝のうち一つの加工溝が選択される処理と、
前記一対の圧延ローラの前記複数の加工溝のうち選択された加工溝が、前記吐出口に対向する予め定められた位置に移動するように、前記スライダ機構を制御する処理と
が実行されるように構成された、
請求項１または２に記載されたゴムストリップ製造装置。

【請求項4】

前記圧延機の下流側に、成形されたゴムストリップの形状を測定する形状測定用のセンサーを備えた、
請求項３に記載されたゴムストリップ製造装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置に関する。

【背景技術】

【0002】

特開２０１６－１２９９７６号公報には、吐出口から吐出されたゴムを圧延して所定の形状に成形するための加工溝が複数形成された一対のカレンダーロールが開示されている。同公報では、上下に配置された一対のカレンダーロールのうち下側のカレンダーロールに対して上側のカレンダーロールが相対的に軸方向にスライドする構造になっている。そして、下側のカレンダーロールに対して上側のカレンダーロールが相対的にスライドさせることによって、ゴムが供給される加工溝が切替えられる。具体的には、上側のカレンダーロールの中心にロール軸と称される軸を配置し、かかるロール軸に沿って上側のカレンダーロールを自在にスライドさせることができる、スライド機構（図示省略）が設けられている。また、ロール軸の軸方向における上側のカレンダーロールのスライド後の位置を固定するための固定機構が設けられている。かかる構成によれば、要求されるタイヤ部材のゲージに応じた形状のゴムストリップを容易に製造することができる、とされている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１６－１２９９７６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置では、ゴムストリップを予め定められた形状に精度よく成形したい。しかしながら、一対のカレンダーロールのうち下側のカレンダーロールに対して上側のカレンダーロールが相対的に軸方向にスライドする構造になっている。このため、上下のカレンダーロールが擦れずにスライドするためには、上下のカレンダーロールに隙間が必要となる。かかる隙間は、周方向に一定とすることが難しく、軸方向において上下のカレンダーロールの形状を精度よく管理することが難しい。

【課題を解決するための手段】

【0005】

ここで開示されるタイヤ成形用ゴムストリップ製造装置は、ゴムを連続的に吐出する吐出口を有するゴム押出機と、吐出口の下流側に配置された圧延機と、スライダ機構とを備えている。圧延機は、一対のカレンダーロールと、一対のカレンダーロールを支持する支持体とを有している。ここで、一対のカレンダーロールは、軸方向に沿って外周面が対向するように配置され、かつ、軸方向に沿って間隙に複数の加工溝を有している。スライダ機構は、吐出口の下流側において、複数の加工溝が順に対向するように、一対のカレンダーロールを軸方向に沿って前記支持体を移動させるように構成されている。

【発明の効果】

【0006】

ここで開示されるタイヤ成形用ゴムストリップ製造装置によれば、一対のカレンダーロールの間隙に形成される加工溝がずれにくく、精度よくゴムストリップを加工できる。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】図１は、タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０の全体構成を示す模式図である。

【図2】図２は、吐出口１１ａ側から見た圧延機１２の背面図である。

【図3】図３は、タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０の使用状態を示す模式的な斜視図である。

【図4】図４は、タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０の使用状態を示す模式的な斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0008】

以下、ここで開示される発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。

【0009】

図１は、タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０の全体構成を示す模式図である。図２は、吐出口１１ａ側から見た圧延機１２の背面図である。図３は、タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０の使用状態を示す模式的な斜視図である。図４は、タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０の使用状態を示す模式的な斜視図である。なお、各図は、それぞれタイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０を模式的に示しており、適宜、簡略化して図示されている。このため、細部において、相互に必ずしも整合していない。

【0010】

〈タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０〉
タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０は、図１に示されているように、ゴム押出機１１と、圧延機１２と、スライダ機構１３とを備えている。

【0011】

〈ゴム押出機１１〉
ゴム押出機１１は、ゴムを連続的に吐出する吐出口１１ａを有している。この実施形態では、ゴム押出機１１は、ゴム帯状に連続的に吐出する。

【0012】

〈圧延機１２〉
圧延機１２は、吐出口１１ａの下流側に配置されている。圧延機１２は、一対のカレンダーロール２１，２２と、支持体３０とを有している。一対のカレンダーロール２１，２２は、軸方向に沿って外周面が対向するように配置されている。一対のカレンダーロール２１，２２の外周面の間隙には、軸方向に沿って複数の加工溝２４ａ～２４ｃを有している。この実施形態では、上側のカレンダーロール２１の外周面は、軸方向に３つの加工溝２４ａ～２４ｃが形成されている。他方で、下側のカレンダーロール２２は、円筒形状に成形されている。複数の加工溝２４ａ～２４ｃは、それぞれタイヤ成形用ゴムストリップＧを成形する。ここで、加工溝２４ａ～２４ｃについて、それぞれを区別する場合に、加工溝２４ａ～２４ｃとし、加工溝２４ａ～２４ｃを特に区別する必要がない場合には、単に「加工溝２４」とする。

【0013】

支持体３０は、一対のカレンダーロール２１，２２を支持している。一対のカレンダーロール２１，２２は、それぞれロール部分２１ａ，２２ａと軸２１ｂ，２２ｂが一体物で構成されている。例えば、一対のカレンダーロール２１，２２は、軸状の材料からロール部分と軸がそれぞれＮＣ旋盤加工などで削り出されたものでもよい。この実施形態では、上下一対のカレンダーロール２１，２２は、それぞれＲＲＯ振れ（ラジアル・ランアウト）０．０２ｍｍ以内程度の高精度の真円度が要求されている。この実施形態では、ロール部分２１ａ，２２ａと軸２１ｂ，２２ｂが一体物で構成されていることによって、一対のカレンダーロール２１，２２において、かかる高精度の真円度が確保されている。なお、上下一対のカレンダーロール２１，２２は、要求される精度が確保されればよい。このため、要求される精度が確保されれば、軸にスリーブ状のロールを装着する構成でもよい。

【0014】

この実施形態では、一対のカレンダーロール２１，２２の軸は、それぞれ支持体３０の片側に延びており、上下一対のカレンダーロール２１，２２を回転駆動させる駆動ギア３２，３３および駆動装置３５が取付けられている。

【0015】

〈スライダ機構１３〉
スライダ機構１３は、吐出口１１ａの下流側において、複数の加工溝２４が順に対向するように、一対のカレンダーロール２１，２２の軸方向に沿って支持体３０を移動させるように構成されている。これにより、吐出口１１ａに対して、一対のカレンダーロール２１，２２を支持した支持体３０を、一対のカレンダーロール２１，２２の軸方向に沿って相対的に移動させることができる。これにより、吐出口１１ａから吐出されるゴムストリップＧを加工する一対のカレンダーロール２１，２２の加工溝２４ａ～２４ｃを変更することができる。

【0016】

スライダ機構１３は、例えば、スライダと、ガイドとで構成されうる。例えば、支持体３０の下端の土台３１をスライダとし、吐出口１１ａに対して、一対のカレンダーロール２１，２２の外周面の間隙を対向させつつ、一対のカレンダーロール２１，２２が軸方向に沿ってスライドするように、支持体３０の土台３１を案内するガイドとするとよい。また、図示は省略するが、例えば、支持体３０の土台３１に車輪を付けて、当該車輪を載せて支持体３０を案内するレールが敷設されていてもよい。このように、スライダ機構１３は、吐出口１１ａに対して、一対のカレンダーロール２１，２２を相対的に移動させる機構であるとよい。スライダ機構１３には、ボールスプライン機構のような軸方向に動く直動機構６２と、サーボモータのような駆動装置６０とが設けられていてもよい。

【0017】

かかるタイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０では、スライダ機構１３は、吐出口１１ａの下流側において、複数の加工溝２４ａ～２４ｃが順に対向するように、一対のカレンダーロール２１，２２を支持した支持体３０を、一対のカレンダーロール２１，２２を軸方向に沿って移動させるように構成されている。この際、支持体３０によって支持された一対のカレンダーロール２１，２２が相対的に位置を変えずに、吐出口１１ａの下流側において軸方向にスライド移動する。これにより、一対のカレンダーロール２１，２２の複数の加工溝２４ａ～２４ｃのうち少なくとも一つの加工溝２４が、吐出口１１ａに対向するように支持体３０を移動させることができる。例えば、図３では、一対のカレンダーロール２１，２２の複数の加工溝２４ａ～２４ｃのうち、真ん中の加工溝２４ｂを吐出口１１ａに対向させている。これによって、真ん中の加工溝２４ｂを通じて、ゴムストリップＧが成形されている。これに対して、図４では、スライダ機構１３が操作されて、ゴムストリップＧの下流側から向かって右側に支持体３０をスライドさせ、左側の加工溝２４ａを通じて、ゴムストリップＧが成形されている。一対のカレンダーロール２１，２２を通して加工されたゴムストリップＧは、搬送ローラ４１～４４に沿って所定の搬送経路に沿って搬送される。

【0018】

このタイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０によれば、一対のカレンダーロール２１，２２が相対的な位置を変えずに、吐出口１１ａの下流側において軸方向にスライド移動する。このため、一対のカレンダーロール２１，２２の間隙に形成される加工溝２４ａ～２４ｃがずれにくく、精度よくゴムストリップＧを加工できる。また、一対のカレンダーロール２１，２２のうちゴムストリップＧを加工している加工溝２４ａ～２４ｃは高温になりうる。その場合、適当なタイミングで、一対のカレンダーロール２１，２２の位置を変え、ゴムストリップＧを加工する加工溝２４ａ～２４ｃを変えるとよい。このことによって、一対のカレンダーロール２１，２２の一部の加工溝２４ａ～２４ｃの摩耗を抑えられる。吐出口１１ａに対して一対のカレンダーロール２１，２２が一体として移動すると、ゴムストリップＧを加工する加工溝２４ａ～２４ｃが変えられる。

【0019】

〈制御装置５０〉
タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置１０は、制御装置５０をさらに備えている。制御装置５０は、一対のカレンダーロール２１，２２の複数の加工溝２４ａ～２４ｃのうち選択された加工溝２４ａ～２４ｃが、吐出口１１ａに対向する予め定められた位置に移動するように、スライダ機構１３を制御するように構成されている。上述のように、スライダ機構１３は、ボールスプライン機構のような軸方向に動く直動機構６２と、サーボモータのような駆動装置６０とが設けられていてもよい。制御装置５０は、かかる駆動装置６０を制御して、加工溝２４ａ～２４ｃの位置が吐出口１１ａにそれぞれ合うように、支持体３０を予め定められた位置に移動させてもよい。なお、この実施形態では、駆動装置６０によって、加工溝２４ａ～２４ｃの位置が吐出口１１ａに合うように移動する機構が採用されているが、加工溝２４ａ～２４ｃの位置は手動で切り替えられてもよい。

【0020】

この実施形態では、図１に示されているように、圧延機１２の下流側に、成形されたゴムストリップＧの形状を測定する形状測定用のセンサー５１を備えている。制御装置５０は、センサー５１で検知されたゴムストリップＧの形状に基づいて、一対のカレンダーロール２１，２２の加工溝２４ａ～２４ｃを切り替えるように構成されている。この場合、センサー５１で検知されたゴムストリップＧの形状に異常がある場合には、加工溝２４ａ～２４ｃを切り替えるとよい。例えば、誤って、異なる形状の加工溝で加工された場合など、センサー５１で検知されたゴムストリップＧの形状が予定されている形状でない場合を検知できるように構成されていてもよい。この場合、間違った加工溝で加工されたことを検知できる。例えば、センサー５１で検知されたゴムストリップＧの形状が予定されている形状であるか否かを判定する処理や、ゴムストリップＧの形状が予定されている形状でない場合に、機械を自動停止させる処理や、警報が報知される処理などが加えられることによって、誤加工を早期に修正できる。形状測定用のセンサー５１としては、例えば、光学式の形状測定センサーが適用されうる。形状測定用のセンサー５１は、例えば、ゴムストリップＧがローラコンベアなどによって支持されている部位で測定されるとよい。さらに、制御装置５０は、形状測定用のセンサー５１によって測定されたゴムストリップＧの形状データが、長さ方向に沿った形状プロファイルを記録するように構成されていてもよい。

【0021】

以上、ここで開示される発明について、種々説明したが、ここで開示される発明は、特に言及されない限りにおいて、上述した実施形態や変形例に限定されない。また、種々言及した実施形態や変形例の各構成は、互いに阻害しない関係であれば、適宜に組み合わせることができる。

【0022】

以上のとおり、本発明（１）は、タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置に関する。

【0023】

本発明（１）におけるタイヤ成形用ゴムストリップ製造装置は、
ゴムを連続的に吐出する吐出口を有するゴム押出機と、
前記吐出口の下流側に配置された圧延機と、
スライダ機構と
を備え、
前記圧延機は、
一対のカレンダーロールと、
前記一対のカレンダーロールを支持する支持体と
を有し、
前記一対のカレンダーロールは、軸方向に沿って外周面が対向するように配置され、かつ、軸方向に沿って間隙に複数の加工溝を有しており、
前記スライダ機構は、
前記吐出口の下流側において、前記複数の加工溝が順に対向するように、前記一対のカレンダーロールを軸方向に沿って前記支持体を移動させるように構成されている。

【0024】

本発明（２）は、本発明（１）におけるタイヤ成形用ゴムストリップ製造装置に関し、
前記一対のカレンダーロールは、ロール部分と軸が一体物である。

【0025】

本発明（３）は、本発明（１）または（２）におけるタイヤ成形用ゴムストリップ製造装置に関し、
制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記一対の圧延ローラの前記複数の加工溝のうち一つの加工溝が選択される処理と、
前記一対の圧延ローラの前記複数の加工溝のうち選択された加工溝が、前記吐出口に対向する予め定められた位置に移動するように、前記スライダ機構を制御する処理と
が実行されるように構成された。

【0026】

本発明（４）は、本発明（３）におけるタイヤ成形用ゴムストリップ製造装置に関し、
前記圧延機の下流側に、成形されたゴムストリップの形状を測定する形状測定用のセンサーを備えた。

【符号の説明】

【0027】

１０ タイヤ成形用ゴムストリップ製造装置
１１ ゴム押出機
１１ａ 吐出口
１２ 圧延機
１３ スライダ機構
２１，２２ カレンダーロール
２１ａ，２２ａ ロール部分
２１ｂ，２２ｂ 軸
２４ａ～２４ｃ 加工溝
３０ 支持体
３１ 土台
３２，３３ 駆動ギア
３５ 駆動装置
４１～４４ 搬送ローラ
５０ 制御装置
５１ センサー
６０ 駆動装置
６２ 直動機構
Ｇ ゴムストリップ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】