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特開2024-100544タイヤの成形フォーマーおよびタイヤの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100544
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】タイヤの成形フォーマーおよびタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/32 20060101AFI20240719BHJP
   B29D 30/26 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
B29D30/32
B29D30/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004618
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】土屋 悠己
(72)【発明者】
【氏名】中村 明弘
(72)【発明者】
【氏名】小野 了
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 博匡
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA02
4F215VD12
4F215VK13
4F215VK25
4F215VP01
4F501TA02
4F501TC11
4F501TD13
4F501TD25
4F501TL01
4F501TV17
(57)【要約】
【課題】生タイヤ基体の内部に供給したエアがビード部の内部に侵入することを抑制できる成形フォーマー
【解決手段】成形フォーマー10は、円環状に分割配置され生タイヤ基体1のビード部2を保持する複数のビードロック部材21と、複数のビードロック部材21を径方向に移動させる径変更機構30と、複数のビードロック部材21によって保持された生タイヤ基体1の内部にエアを供給するエア供給装置と、を備える。各ビードロック部材21は、周方向に延びビード部2の軸線方向の内側面2aに当接する当接面23bと、当接面23bに設けられ周方向に延びる突起23cと、を備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状に分割配置され、生タイヤ基体のビード部を保持する複数のビードロック部材と、
前記複数のビードロック部材を径方向に移動させる径変更機構と、
前記複数のビードロック部材によって保持された前記生タイヤ基体の内部にエアを供給するエア供給装置と、を備え、
前記各ビードロック部材は、
周方向に延び、前記ビード部の軸線方向の内側面に当接する当接面と、
前記当接面に設けられ、周方向に延びる突起と、を備えている、
タイヤの成形フォーマー。
【請求項2】
前記当接面および前記突起を前記ビード部の軸線方向の内側面に押し当てるように前記各ビードロック部材を押す押圧機構をさらに備えている、
請求項1に記載のタイヤの成形フォーマー。
【請求項3】
前記各ビードロック部材は、前記ビード部よりも軸線方向の内方に設けられ、前記生タイヤ基体の前記ビード部よりも軸線方向内側部分を径方向の内側から支持する支持面を備え、
前記ビード部の径方向の内側面と前記各ビードロック部材の径方向の外側面との間には隙間が設けられている、
請求項1に記載のタイヤの成形フォーマー。
【請求項4】
円環状に分割配置された複数のビードロック部材を径方向に移動させて生タイヤ基体のビード部を保持する工程と、
前記生タイヤ基体の内部にエアを供給することにより生タイヤを成形する工程と、を含み、
前記各ビードロック部材は、
周方向に延び、前記ビード部の軸線方向の内側面に当接する当接面と、
前記当接面に設けられ、周方向に延びる突起と、を備えている、
タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤの成形フォーマーおよび製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、生タイヤ基体を成形するシェーピングフォーマーが開示されている。特許文献1に記載のシェーピングフォーマーは、周方向に分割された複数のロックセグメントを含み、生タイヤ基体のビード部を保持するビードロック手段を備えている。複数のロックセグメントは、周方向幅が大な第1のロックセグメントと、周方向幅が小であって第1のロックセグメントと周方向に交互に配置された第2のロックセグメントと、から構成されている。第1のロックセグメントの両端面は内向き傾斜面として形成され、第2のロックセグメントの両端面は外向き傾斜面として形成されている。ロック手段は、複数のロックセグメントを径方向に移動させることにより、ビード部を保持する拡径状態と、ビード部を開放する縮径状態と、に移行し得る。特許文献1によれば、拡径状態では、複数のロックセグメントの間がシールされる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-098497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような成形フォーマーでは、ロックセグメントによって保持された生タイヤ基体の内部にエアを供給して生タイヤ基体を膨張させ、生タイヤを成形する。しかし、特許文献1に記載されているような成形フォーマーでは、ロックセグメントとビード部との間のシールが弱いことがあり、そのような場合には、生タイヤ基体の内部に供給したエアがビード部の内部に侵入する場合がある。そして、侵入したエアにより生タイヤのサイドウォールが膨張し、パンクする場合がある。
【0005】
本発明では、生タイヤ基体の内部に供給したエアがビード部の内部に侵入することを抑制できるタイヤの成形フォーマーおよび製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示するタイヤの成形フォーマーは、円環状に分割配置され生タイヤ基体のビード部を保持する複数のビードロック部材と、前記複数のビードロック部材を径方向に移動させる径変更機構と、前記複数のビードロック部材によって保持された前記生タイヤ基体の内部にエアを供給するエア供給装置と、を備える。前記各ビードロック部材は、周方向に延び前記ビード部の軸線方向の内側面に当接する当接面と、前記当接面に設けられ周方向に延びる突起と、を備えている。
【0007】
上記タイヤの成形フォーマーによれば、当接面に設けられた突起がビード部の軸線方向の内側面に当接し、ビード部の軸線方向の内側面と各ビードロック部材との間をシールする。そのため、上記タイヤの成形フォーマーによれば、生タイヤ基体の内部に供給したエアがビード部の内部に侵入することを抑制できる。
【0008】
また、ここに開示するタイヤの製造方法は、円環状に分割配置された複数のビードロック部材を径方向に移動させて生タイヤ基体のビード部を保持する工程と、前記生タイヤ基体の内部にエアを供給することにより生タイヤを成形する工程と、を含む。前記各ビードロック部材は、周方向に延び前記ビード部の軸線方向の内側面に当接する当接面と、前記当接面に設けられ周方向に延びる突起と、を備えている。
【0009】
上記タイヤの製造方法によれば、上記タイヤの成形フォーマーと同様に、生タイヤ基体の内部に供給したエアがビード部の内部に侵入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る成形フォーマーの断面図である。
図2】クランプリングの正面図である。
図3】1つのロックセグメントの斜視図である。
図4】ロックセグメントおよび径変更機構付近の断面図である。
図5】エアの侵入経路を示す従来の成形フォーマーおよび生タイヤ基体の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態に係るタイヤの成形フォーマー、および、タイヤの製造方法を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
[成形フォーマー]
図1は、一実施形態に係るタイヤの成形フォーマー10の断面図である。成形フォーマー10は、1st成形機とも呼ばれる成形機によって円筒状に成形されるとともにビード部2が形成された生タイヤ基体1から、生タイヤを形成する装置である。1st成形機は、プライ3を長手方向に沿って円筒状に成形するとともに、プライ3の幅方向の両端部によって一対のビードコア4をそれぞれ巻き上げることにより、ビード部2を成形する。生タイヤ基体1の軸線方向(幅方向)の両端部には、さらにサイドウォールゴムが貼付される。成形フォーマー10は、装着された生タイヤ基体1の内部にエアを供給して膨張させ、膨張させた生タイヤ基体1をトレッドゴムの内側面に貼り付けることにより生タイヤを成形する。成形フォーマー10による生タイヤの成形は、2nd成形とも呼ばれる。
【0013】
図1に示すように、成形フォーマー10は、ビード部2を保持する一対のクランプリング20と、クランプリング20の径変更機構30と、一対のクランプリング20の間の間隔を変更する幅変更機構40と、エア供給装置50と、を備えている。幅変更機構40は、クランプリング20をビード部2の軸線方向(図1では左右方向であり、クランプリング20の軸線方向でもある、以下、単に軸線方向とも呼ぶ)の内側面2a(図4参照)に押し当てる押圧機構でもある。一対のクランプリング20は、軸線方向に並ぶように配置されている。成形フォーマー10の軸線方向の中心線CLは、一対のクランプリング20の間にある。生タイヤ基体1は、一対のクランプリング20の間に装着される。
【0014】
図2は、クランプリング20の正面図である。図2に示すように、クランプリング20は、円環状に構成されている。クランプリング20は、円環状に分割配置された複数のロックセグメント21を備えている。複数のロックセグメント21は、生タイヤ基体1のビード部2を保持する。
【0015】
図2に示すように、複数のロックセグメント21は、径方向の内方ほど周方向の幅が狭くなるように構成された複数の第1セグメント21Aと、径方向の内方ほど周方向の幅が広くなるように構成された複数の第2セグメント21Bと、を含んでいる。第1ロックセグメント21Aと第2ロックセグメント21Bとは、クランプリング20の周方向に交互に配置されている。図2の上半分は、複数のロックセグメント21がクランプリング20の径方向外側に移動され、クランプリング20の直径が拡大された拡径状態を示している。クランプリング20は、拡径状態において生タイヤ基体1のビード部2を径方向の内側から保持する。拡径状態では、複数のロックセグメント21の間はシールされる。図2の下半分は、複数のロックセグメント21がクランプリング20の径方向内側に移動され、クランプリング20の直径が縮小された縮径状態を示している。クランプリング20は、縮径状態において生タイヤ基体1のビード部2を解放する。クランプリング20は、縮径状態において、ビード部2の径方向内側に挿入することが可能である。各ロックセグメント21の詳細については後述する。
【0016】
図1に示すように、幅変更機構40は、外周部にネジ部41aを備えた回転軸41と、回転軸41に噛み合わされた一対のナット42と、それぞれクランプリング20を支持する一対のガイドケース43と、を備えている。回転軸41は、軸線方向に延びている。回転軸41が回転すると、ナット42は、軸線方向に移動する。ガイドケース43およびガイドケース43に支持されたクランプリング20は、ナット42とともに軸線方向に移動する。これにより、一対のクランプリング20は、軸線方向に接近または離反する。一対のクランプリング20が接近することにより、一対のクランプリング20の間に生タイヤ基体1を挿入することが可能となる。一対のクランプリング20が離反すると、クランプリング20の各ロックセグメント21は、ビード部2の軸線方向の内側面2aに押し当てられる(図4を参照)。ただし、幅変更機構40の構成は、上記したものには限定されない。
【0017】
径変更機構30は、複数のロックセグメント21をクランプリング20の径方向に移動させる。径変更機構30は、これにより、クランプリング20を拡径状態と縮径状態とに移行させる。図1に示すように、径変更機構30は、一対のスライドリング31と、各スライドリング31の周方向に分割配置され、それぞれ1つのロックセグメント21に連結された複数の径方向移動体32と、を備えている。図1に示すように、スライドリング31は、軸線方向の内方(中心線CLに近づく方向)ほど直径が小さくなるテーパ面31aを有している。複数の径方向移動体32は、テーパ面31aの径方向外方に配置され、径方向に移動可能に構成されている。スライドリング31が軸線方向の内方に移動すると、複数の径方向移動体32は、スライドリング31の径方向外方に移動する。これにより、クランプリング20が拡径する。スライドリング31が軸線方向の外方(中心線CLから遠ざかる方向)に移動すると、複数の径方向移動体32は、スライドリング31の径方向内方に移動する。これにより、クランプリング20が縮径する。
【0018】
スライドリング31および複数の径方向移動体32は、ガイドケース43内に収容されている。図1に示すように、ガイドケース43には、内部空間に圧縮エアを供給するエア流路43aが形成されている。スライドリング31は、エア流路43aに圧縮エアが供給されることにより、軸線方向内方に移動する。スライドリング31は、ガイドケース43内の圧縮エアが排気されると、軸方向の外方に移動する。なお、径変更機構30の構成も、上記したものには限定されない。
【0019】
エア供給装置50は、複数のロックセグメント21によって保持された生タイヤ基体1の内部にエアを供給する。エア供給装置50は、圧縮エアが供給されるエア供給口51を備えている。エア供給口51は、ここでは、回転軸41に設けられている。ただし、エア供給口51の取り付け場所や数は、特に限定されない。
【0020】
[ロックセグメントの構成]
図3は、1つのロックセグメント21の斜視図である。図3に示すように、各ロックセグメント21は、本体部22と、係合壁23と、を備えている。本体部22は、クランプリング20の周方向と軸線方向とに延びる断面円弧状の部分である。ロックセグメント21は、本体部22が径方向移動体32に固定されることにより、径方向移動体32に固定されている。係合壁23は、本体部22の軸線方向外縁に周方向に沿って設けられ、本体部22よりも径方向の外方に延びている。以下、係合壁23の面のうち、径方向の外側面を支持面23aとも呼ぶ。また、係合壁23の面のうち、軸線方向の外側面を当接面23bとも呼ぶ。
【0021】
図4は、ロックセグメント21および径変更機構30付近の断面図である。図4に示すように、生タイヤ基体1が成形フォーマー10に装着された状態では、係合壁23は、ビード部2よりも軸線方向の内方に位置する。この状態において、支持面23aは、ビード部2よりも軸線方向の内方に設けられており、生タイヤ基体1のビード部2よりも軸線方向内側部分1aを径方向の内側から支持する。支持面23aは、クランプリング20の拡径または縮径によって生タイヤ基体1の内面1aに当接し、生タイヤ基体1の内面1aから離反する面である。また、当接面23bは、ロックセグメント21の周方向に延びており、ビード部2の軸線方向の内側面2aに当接する。当接面23bは、幅変更機構40の駆動により、ビード部2の軸線方向の内側面2aに当接し、または、内側面2aから離反する。
【0022】
図3に示すように、当接面23bには、突起23cが設けられている。突起23cは、当接面23bの他の部分よりも径方向の外方に突出するとともに、周方向に延びている。図4に示すように、押圧機構としての幅変更機構40は、当接面23bおよび突起23cをビード部2の軸線方向の内側面2aに押し当てるように各ロックセグメント21を押す。突起23cは、本実施形態では、断面三角形状に構成されている。突起23cの高さT1および幅W1の好適な範囲については後述する。なお、突起23cの断面形状は三角形状には限定されず、例えば、四角形や円弧形状であってもよい。
【0023】
図4に示すように、ビード部2の径方向の内側面2bと各ロックセグメント21の径方向の外側面(本体部22の外側面)22aとの間には隙間Cが設けられている。この隙間Cにより、本体部22の外側面22aと生タイヤ基体1との間にも圧力が分散することが抑制され、支持面23aが生タイヤ基体1に強く押し当てられる。これにより、両者の間が良好にシールされる。
【0024】
[2nd成形]
成形フォーマー10による2nd成形は、円環状に分割配置された複数のロックセグメント21を径方向に移動させて生タイヤ基体1のビード部2を保持する工程と、生タイヤ基体1の内部にエアを供給することにより生タイヤを成形する工程と、を含んでいる。本実施形態では、さらに、成形フォーマー10による2nd成形は、複数のロックセグメント21を軸線方向に移動させて、ビード部2の軸線方向の内側面2aに各ロックセグメント21の当接面23bおよび突起23cを押し当てる工程を含んでいる。生タイヤ基体1の内部にエアを供給することにより、生タイヤ基体1が膨張し、生タイヤが成形される。
【0025】
[従来技術の問題]
従来の成形フォーマーは、当接面に突起を備えていなかった。そのため、生タイヤ基体1の内部に供給した圧縮エアがビード部2の内部(ビードコア4を巻き上げたプライ3の内部)に侵入する場合があった。図5は、エアの侵入経路を示す従来の成形フォーマー110および生タイヤ基体1の模式的な断面図である。図5において矢印で示すように、従来の成形フォーマー110を使った2nd成形では、ロックセグメント121の支持面123aと生タイヤ基体1の径方向内側面1aとの間からエアが漏れ、ビード部2の内部にエアが侵入することがあった。これは、例えば、1st成形においてビード部2を成形する際に、プライ3に皺がよったこと等が原因であると考えられている。ビード部2の内部にエアが侵入することにより、サイドウォールに風船状の膨らみ、程度が酷い場合にはパンクが発生し、生タイヤが不良品となる場合がある。
【0026】
[実施形態の作用効果]
本実施形態に係る成形フォーマー10は、上記した従来の成形フォーマー110の問題を解決するように構成されており、円環状に分割配置され生タイヤ基体1のビード部2を保持する複数のロックセグメント21と、複数のロックセグメント21を径方向に移動させる径変更機構30と、複数のロックセグメント21によって保持された生タイヤ基体1の内部にエアを供給するエア供給装置50と、を備えている。本実施形態では、各ロックセグメント21は、周方向に延びビード部2の軸線方向の内側面2aに当接する当接面23bと、当接面23bに設けられ周方向に延びる突起23cと、を備えている。
【0027】
かかる成形フォーマー10によれば、当接面23bに設けられた突起23cがビード部2の軸線方向の内側面2aに当接し、ビード部2の軸線方向の内側面2aと各ロックセグメント21との間をシールする。そのため、かかる成形フォーマー10によれば、生タイヤ基体1の内部に供給したエアがビード部2の内部に侵入することを抑制できる。
【0028】
本実施形態では、成形フォーマー10は、当接面23bおよび突起23cをビード部2の軸線方向の内側面2aに押し当てるように各ロックセグメント21を押す押圧機構をさらに備えている。押圧機構は、本実施形態では、幅変更機構40である。かかる成形フォーマー10によれば、突起23cがビード部2の軸線方向の内側面2aに押し当てられるため、ビード部2の軸線方向の内側面2aと各ロックセグメント21との間をより強くシールすることができる。
【0029】
本実施形態では、各ロックセグメント21は、ビード部2よりも軸線方向の内方に設けられ生タイヤ基体1のビード部2よりも軸線方向内側部分1aを径方向の内側から支持する支持面23aを備えている。また、ビード部2の径方向の内側面2bと各ロックセグメント21の径方向の外側面22aとの間には隙間Cが設けられている。かかる構成によれば、本体部22の外側面22aと生タイヤ基体1との間にも圧力が分散することが抑制され、支持面23aが生タイヤ基体1に強く押し当てられる。これにより、両者の間が良好にシールされる。なお、本体部22の外側面22aと生タイヤ基体1との間のクリアランスが小さ過ぎると隙間Cが潰れてしまう可能性があるため、クリアランスは、例えば、0.3mm以上あることが好ましい。
【0030】
[実施例]
以下では、実施例およびその評価結果について説明する。表1は、実施例および比較例の製作条件および評価結果を示す表である。表1は、突起23cの寸法を振った実施例の評価結果を示している。比較例は、突起23cを設けなかった成形フォーマーの場合の評価結果を示している。評価としては、サイドウォールのパンク発生率(ppm)を算出した。
【表1】
【0031】
表1に示すように、突起高さT1が0.2mmの実施例1から0.6mmの実施例5までにおいて、突起23cを設けない比較例よりもパンク発生率が減少している。突起高さT1の好適な範囲は、少なくとも0.2mm以上0.6mm以下である。さらに好適には、実施例1と実施例2~5との比較より、突起高さT1の好適な範囲は、0.4mm以上0.6mm以下である。また、表1に示すように、突起幅W1が0.4mmの実施例4、突起幅W1が0.8mmの実施例5、および突起幅W1が0.6mmの実施例1~3において、突起23cを設けない比較例よりもパンク発生率が減少している。突起幅W1の好適な範囲は、少なくとも0.4mm以上0.8mm以下である。
【0032】
[他の実施形態]
以上、一実施形態に係るタイヤの成形フォーマーおよび製造方法について、種々説明した。しかし、本発明のタイヤの成形フォーマーおよび製造方法は、特に言及されない限りにおいて、上述した実施形態に限定されない。例えば、一対のクランプリングは、そのうちの一方だけが移動することにより軸線方向に接近または離反してもよい。
【0033】
複数のロックセグメントは、拡径状態において互いの間をシールできるように構成されていればよく、その構成は上記したものには限定されない。例えば、隣接するロックセグメントの間に、シール部材が張り渡されていてもよい。
【0034】
上記した2nd成形には、適宜に他の工程が追加されてもよい。工程の順番は、特に言及されない限り、また、変更可能である限り、適宜に入れ替えられてもよい。
【0035】
種々言及した実施形態や変形例の各構成は、互いに阻害しない関係であれば、適宜に組み合わせることができる。本明細書は以下の発明を含んでおり、以下の発明は、上記した実施形態には限定されない。
【0036】
本発明(1)は、円環状に分割配置され生タイヤ基体のビード部を保持する複数のビードロック部材と、複数のビードロック部材を径方向に移動させる径変更機構と、複数のビードロック部材によって保持された生タイヤ基体の内部にエアを供給するエア供給装置と、を備えたタイヤの成形フォーマーであり、各ビードロック部材は、周方向に延びビード部の軸線方向の内側面に当接する当接面と、当接面に設けられ周方向に延びる突起と、を備えている。
【0037】
本発明(2)は、本発明(1)に記載のタイヤの成形フォーマーであり、当接面および突起をビード部の軸線方向の内側面に押し当てるように各ビードロック部材を押す押圧機構をさらに備えている。
【0038】
本発明(3)は、本発明(1)または(2)に記載のタイヤの成形フォーマーであり、各ビードロック部材は、ビード部よりも軸線方向の内方に設けられ生タイヤ基体のビード部よりも軸線方向内側部分を径方向の内側から支持する支持面を備えている。ビード部の径方向の内側面と各ビードロック部材の径方向の外側面との間には、隙間が設けられている。
【0039】
本発明(4)は、円環状に分割配置された複数のビードロック部材を径方向に移動させて生タイヤ基体のビード部を保持する工程と、生タイヤ基体の内部にエアを供給することにより生タイヤを成形する工程と、を含むタイヤの製造方法であり、各ビードロック部材は、周方向に延びビード部の軸線方向の内側面に当接する当接面と、当接面に設けられ周方向に延びる突起と、を備えている。
【符号の説明】
【0040】
1 生タイヤ基体
2 ビード部
10 成形フォーマー
20 クランプリング
21 ロックセグメント(ビードロック部材)
23a 支持面
23b 当接面
23c 突起
30 径変更機構
40 幅変更機構(押圧機構)
50 エア供給装置
図1
図2
図3
図4
図5