(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100547
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】超音波診断システム及び超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004627
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】中屋 重光
(72)【発明者】
【氏名】松下 幸一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 義徳
(72)【発明者】
【氏名】深澤 雄志
(72)【発明者】
【氏名】西野 正敏
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE30
4C601GA18
4C601GA24
4C601GA25
4C601JB45
4C601KK02
4C601KK25
4C601KK31
(57)【要約】
【課題】超音波プローブの操作を遠隔から指導すること。
【解決手段】実施形態に係る超音波診断システムは、数値情報取得部と、差分算出部と、差分提供部とを備える。数値情報取得部は、第1の超音波プローブの操作情報を数値化した第1の数値情報と、第1の超音波プローブと離れた位置に配置された第2の超音波プローブの操作情報を数値化した第2の数値情報と、を取得する。差分算出部は、数値情報取得部により取得された第1の数値情報と第2の数値情報との差分を算出する。差分提供部は、差分算出部により算出された差分を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の超音波プローブの操作情報を数値化した第1の数値情報と、前記第1の超音波プローブと離れた位置に配置された第2の超音波プローブの操作情報を数値化した第2の数値情報と、を取得する数値情報取得部と、
前記数値情報取得部により取得された前記第1の数値情報と前記第2の数値情報との差分を算出する差分算出部と、
前記差分算出部により算出された前記差分を提供する差分提供部と、
を備える超音波診断システム。
【請求項2】
前記差分提供部は、前記差分算出部により算出された前記差分を表示装置に表示させることで、前記差分を提供する、請求項1に記載の超音波診断システム。
【請求項3】
前記数値情報取得部は、指導者が前記第1の超音波プローブを操作することで取得された前記第1の超音波プローブの操作情報に基づいて前記第1の数値情報を取得し、訓練者が前記第2の超音波プローブを操作することで取得された前記第2の超音波プローブの操作情報に基づいて前記第2の数値情報を取得する、請求項2に記載の超音波診断システム。
【請求項4】
前記差分算出部により算出された前記差分が評価指標を満たすか否かを判定する差分判定部と、
前記差分判定部による判定結果を前記表示装置に表示させる判定結果表示部と、
を更に備える、請求項3に記載の超音波診断システム。
【請求項5】
前記判定結果表示部は、前記差分判定部により前記評価指標を満たさないと判定された場合に、前記第2の超音波プローブの再操作の案内を前記表示装置に表示させる、請求項4に記載の超音波診断システム。
【請求項6】
入力情報に基づいて前記評価指標を設定する評価指標設定部を更に備える、請求項4に記載の超音波診断システム。
【請求項7】
前記数値情報取得部は、前記指導者が第1のファントムに対して前記第1の超音波プローブを操作することで取得された前記第1の超音波プローブの操作情報に基づいて前記第1の数値情報を取得し、前記訓練者が第2のファントムに対して前記第2の超音波プローブを操作することで取得された前記第2の超音波プローブの操作情報に基づいて前記第2の数値情報を取得する、請求項3に記載の超音波診断システム。
【請求項8】
前記数値情報取得部は、前記指導者がファントムに対して前記第1の超音波プローブを操作することで取得された前記第1の超音波プローブの操作情報に基づいて前記第1の数値情報を取得し、前記訓練者が被検体に対して前記第2の超音波プローブを操作することで取得された前記第2の超音波プローブの操作情報に基づいて前記第2の数値情報を取得する、請求項3に記載の超音波診断システム。
【請求項9】
前記ファントムと前記被検体との大きさ及び重さの少なくとも一方の差を考慮して前記第1の超音波プローブの操作情報又は前記第2の超音波プローブの操作情報を補正する操作情報補正部を更に備え、
前記数値情報取得部は、前記操作情報補正部により補正された前記第1の超音波プローブの操作情報に基づいて前記第1の数値情報を取得し、又は、前記操作情報補正部により補正された前記第2の超音波プローブの操作情報に基づいて前記第2の数値情報を取得する、請求項8に記載の超音波診断システム。
【請求項10】
前記差分提供部は、前記差分算出部により算出された前記差分を、矢印、色、及びインジケータの少なくとも1つを用いて前記表示装置に表示させる、請求項2に記載の超音波診断システム。
【請求項11】
前記表示装置は、前記第1の超音波プローブを備えた第1の超音波診断装置の第1の表示装置、前記第2の超音波プローブを備えた第2の超音波診断装置の第2の表示装置、及び前記第1の表示装置と前記第2の表示装置から独立した第3の表示装置の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の超音波診断システム。
【請求項12】
前記数値情報取得部と、前記差分算出部と、前記差分提供部とは、前記第1の超音波診断装置及び前記第2の超音波診断装置の双方に備えられ、
前記第1の超音波診断装置は、前記第1の超音波プローブの操作情報又は前記第1の数値情報を前記第2の超音波診断装置に送信し、前記第2の超音波プローブの操作情報又は前記第2の数値情報を前記第2の超音波診断装置から受信する第1の通信部を更に備え、
前記第2の超音波診断装置は、前記第2の超音波プローブの操作情報又は前記第2の数値情報を前記第1の超音波診断装置に送信し、前記第1の超音波プローブの操作情報又は前記第1の数値情報を前記第1の超音波診断装置から受信する第2の通信部を更に備える、請求項11に記載の超音波診断システム。
【請求項13】
前記数値情報取得部と、前記差分算出部と、前記差分提供部とは、前記第1の超音波診断装置に備えられており、
前記第1の超音波診断装置は、前記第2の超音波プローブの操作情報を前記第2の超音波診断装置から受信し、前記差分提供部で提供される前記差分を前記第2の超音波診断装置に送信する第3の通信部を更に備え、
前記第2の超音波診断装置は、前記第2の超音波プローブの操作情報を前記第1の超音波診断装置に送信し、前記差分提供部で提供される前記差分を前記第1の超音波診断装置から受信する第4の通信部を更に備える、請求項11に記載の超音波診断システム。
【請求項14】
前記数値情報取得部と、前記差分算出部と、前記差分提供部とは、前記第1の超音波診断装置及び前記第2の超音波診断装置から独立した情報処理装置に備えられ、
前記第1の超音波診断装置は、前記第1の超音波プローブの操作情報を前記情報処理装置に送信する第5の通信部を備え、
前記第2の超音波診断装置は、前記第2の超音波プローブの操作情報を前記情報処理装置に送信する第6の通信部を備え、
前記情報処理装置は、前記第1の超音波プローブの操作情報を前記第1の超音波診断装置から受信し、前記第2の超音波プローブの操作情報を前記第2の超音波診断装置から受信し、前記差分提供部で提供される前記差分を少なくとも前記第2の超音波診断装置に送信する第7の通信部を更に備える、請求項11に記載の超音波診断システム。
【請求項15】
前記数値情報取得部は、前記第1の超音波プローブの位置、角度及び圧力の少なくとも1つを前記第1の超音波プローブの操作情報として用いて第1の数値情報を取得し、前記第2の超音波プローブの位置、角度及び圧力の少なくとも1つを前記第2の超音波プローブの操作情報として用いて第2の数値情報を取得する、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の超音波診断システム。
【請求項16】
第1の超音波プローブと、
前記第1の超音波プローブの操作情報を数値化した第1の数値情報と、前記第1の超音波プローブと離れた位置に配置された第2の超音波プローブの操作情報を数値化した第2の数値情報と、を取得する数値情報取得部と、
前記数値情報取得部により取得された前記第1の数値情報と前記第2の数値情報との差分を算出する差分算出部と、
前記差分算出部により算出された前記差分を提供する差分提供部と、
を備える超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断システム及び超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波診断装置を用いた超音波検査では、操作者が超音波プローブを用いて適切な位置、角度、及び圧力で被検体をスキャンすることが求められている。臨床上有用な超音波画像を抽出するためには超音波プローブの高い操作技術を要するため、操作者は、超音波プローブの操作に習熟することが求められる。そこで、これまでにも、習熟した指導者(すなわち、講師)が、経験の浅い訓練者(すなわち、生徒)に対して超音波プローブの操作方法を教えることによって、訓練者の習熟度を上げることが行われていた。
【0003】
しかしながら、従来は、超音波プローブの操作方法を教えるために指導者と訓練者が同じ場所に居合わせる必要があったため、遠隔からの指導が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2019-503774号公報
【特許文献2】特表2014-528347号公報
【特許文献3】特開2016-206691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、超音波プローブの操作を遠隔から指導することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る超音波診断システムは、数値情報取得部と、差分算出部と、差分提供部とを備える。数値情報取得部は、第1の超音波プローブの操作情報を数値化した第1の数値情報と、第1の超音波プローブと離れた位置に配置された第2の超音波プローブの操作情報を数値化した第2の数値情報と、を取得する。差分算出部は、数値情報取得部により取得された第1の数値情報と第2の数値情報との差分を算出する。差分提供部は、差分算出部により算出された差分を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断システムの構成の一例を示すブロック図。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る超音波診断システムにおける第2超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る超音波診断システムにおける第2超音波プローブ及びファントムの一例を示す斜視図。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る超音波診断システムの動作例を示すフローチャート。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る超音波診断システムの動作例における第1数値情報と第2数値情報との差分の表示例を示す図。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る超音波診断システムの動作例における第1数値情報と第2数値情報との差分の他の表示例を示す図。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る超音波診断システムにおける第2超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る超音波診断システムの動作例を示すフローチャート。
【
図9】
図9は、第3の実施形態に係る超音波診断システムの構成の一例を示すブロック図。
【
図10】
図10は、第3の実施形態に係る超音波診断システムにおける第2超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図11】
図11は、第3の実施形態に係る超音波診断システムの動作例を示すフローチャート。
【
図12】
図12は、第4の実施形態に係る超音波診断システムにおける第1超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図13】
図13は、第4の実施形態に係る超音波診断システムにおける第2超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図14】
図14は、第5の実施形態に係る超音波診断システムの構成の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、超音波診断システムの実施形態について説明する。なお、以下の説明において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断システム1の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断システム1は、第1超音波診断装置2Aと、第2超音波診断装置2Bとを備える。第1超音波診断装置2Aは、第1超音波プローブ21Aを備える。第2超音波診断装置2Bは、第2超音波プローブ21Bを備える。第1超音波診断装置2Aは、例えば、指導者が存在する場所に設置され、指導者が超音波プローブの操作を指導するために利用可能な超音波診断装置である。超音波プローブの操作の指導に限定されず、第1超音波診断装置2Aは、臨床の現場での被検体の超音波検査にも利用可能であってもよい。第2超音波診断装置2Bは、例えば、訓練者が存在する場所に設置され、指導者から指導を受けて訓練者が超音波プローブの操作を訓練するために利用可能な超音波診断装置である。訓練者は複数人であってもよい。超音波プローブの操作の訓練に限定されず、第2超音波診断装置2Bは、臨床の現場での被検体の超音波検査にも利用可能であってもよい。指導者が存在する場所は、訓練者が存在する場所から離れている。すなわち、第2超音波診断装置2Bは、第1超音波診断装置2Aから離れた位置に配置されている。
【0010】
第1超音波診断装置2Aと第2超音波診断装置2Bとは、例えば、インターネット等のネットワーク3を介して通信可能に接続される。第1の実施形態において、第1超音波診断装置2Aは、被検体の臓器を模擬したファントムP1に対する第1超音波プローブ21Aの操作を通じて、超音波プローブの操作の指導に用いられる。ファントムP1は、第1のファントムの一例である。また、第1の実施形態において、第2超音波プローブ21Bは、被検体の臓器を模擬したファントムP2に対する第2超音波プローブ21Bの操作を通じて、超音波プローブの操作の訓練に用いられる。ファントムP2は、第2のファントムの一例である。
【0011】
次に、訓練者側の第2超音波診断装置2Bの詳細な構成について説明する。なお、第1の実施形態において、指導者側の第1超音波診断装置2Aの詳細な構成は第2超音波診断装置2Bと同様であるので、第1超音波診断装置2Aの詳細な構成は必要な場合に限って説明する。その場合、第1超音波診断装置2Aの詳細な構成は第2超音波診断装置2Bと同一の符号を用いて説明する。
【0012】
図2は、第1の実施形態に係る超音波診断システム1における第2超音波診断装置2Bの構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、第2超音波診断装置2Bは、第2超音波プローブ21Bと、入力インタフェース23と、ディスプレイ25と、装置本体27とを備える。第2超音波プローブ21B、入力インタフェース23、及びディスプレイ25は、装置本体27と通信可能に接続される。ディスプレイ25は、表示装置の一例である。
【0013】
第2超音波プローブ21Bは、ファントムP2の超音波画像を取得するために、ファントムP2に超音波を送信し、ファントムP2から超音波の反射波(エコー)を受信する装置である。
図3に示すように、第2超音波プローブ21Bは、ファントムP2の表面に押し当てて使用される。
【0014】
第2超音波プローブ21Bは、複数の振動子を有する。複数の振動子は、ケーブルを介して装置本体27から供給されるパルス信号などの駆動信号に基づいて超音波を発生させる。また、第2超音波プローブ21Bは、ファントムP2からの反射波を受信して電気信号に変換する。すなわち、第2超音波プローブ21Bは、ファントムP2を超音波でスキャンして、ファントムP2から反射波を受信する。振動子には、駆動信号の供給及び反射波の電気信号の入力のための電極が設けられている。振動子は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)などで構成されていてもよい。振動子の表面には、例えば、音響整合層と、音響レンズとが配置されている。振動子の背面には、例えば、バッキング材が配置されている。音響整合層は、λ/4層とも呼ばれ、振動子と生体間のインピーダンス差を低減することで、超音波を効率良く送受信するための層である。音響レンズは、検査時に生体表面との摩擦を少なくし、また、超音波ビームを収束させてスライス分解能を向上させるための構造である。バッキング材は、後方への超音波を吸収し、前方への超音波のパルス幅を短くする構造である。
【0015】
第2超音波プローブ21BからファントムP2に超音波が送信されると、送信された超音波は、ファントムP2の内部における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として第2超音波プローブ21Bが有する複数の振動子で受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。
【0016】
第2超音波プローブ21Bは、更に、位置センサ211と、角度センサ212と、圧力センサ213とを有する。
【0017】
位置センサ211は、第2超音波プローブ21Bの位置を検出するためのセンサである。位置センサ211は、例えば、ケーブルを介して装置本体27に電気的に接続されている。位置センサ211は、例えば、装置本体27に設けられたトランスミッタから送信された信号を受信して、位置センサ211の位置に応じた電気信号を装置本体27に出力する構成であってもよい。この場合、装置本体27は、位置センサ211からの電気信号に基づいて、所定の位置を原点とした第2超音波プローブ21Bの位置を算出する。例えば、位置センサ211は、トランスミッタとしての磁気発生器から送信された磁気信号を受信して、磁気発生器に対する相対位置に応じた電気信号を出力するレシーバであってもよい。すなわち、位置センサ211(レシーバ)は、トランスミッタとともに磁気センサを構成してもよい。装置本体27のトランスミッタを要する構成に限定されず、位置センサ211は、トランスミッタを要することなく、位置センサ211の位置に応じた電気信号を装置本体27に出力する構成であってもよい。例えば、位置センサ211は、ジャイロセンサ、加速度センサ、及び、GPS(Global Positioning System)センサ等であってもよい。
【0018】
角度センサ212は、第2超音波プローブ21Bの角度すなわち姿勢を検出するためのセンサである。角度センサ212は、例えば、ケーブルを介して装置本体27に電気的に接続されている。角度センサ212は、例えば、角度センサ212の角度に応じた電気信号を装置本体27に出力する構成である。例えば、角度センサ212は、加速度センサ等であってもよい。角度センサ212は、位置センサ211と統合されてもよい。
【0019】
圧力センサ213は、第2超音波プローブ21BからファントムP2に作用する圧力を検出するためのセンサである。圧力センサ213は、例えば、ケーブルを介して装置本体27に電気的に接続されている。圧力センサ213は、例えば、圧力センサ213に作用する圧力に応じた電気信号を装置本体27に出力する構成である。例えば、圧力センサ213は、圧電素子を有する圧電センサ等であってもよい。
【0020】
第2超音波プローブ21Bは、例えば、リニア電子スキャン方式、コンベックス電子スキャン方式、及び、セクタ電子スキャン方式のいずれのスキャン方式の超音波プローブであってもよい。
【0021】
入力インタフェース23は、操作者から各種の指示及び情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インタフェース23は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して装置本体27に出力する。例えば、入力インタフェース23は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、入力インタフェース23は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース23の例に含まれる。
【0022】
ディスプレイ25は、装置本体27から送られる情報及び画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。ディスプレイ25は、液晶モニタ、CRT(Cathode Ray Tube)モニタ、及び、タッチパネル等によって実現される。ディスプレイ25は、スピーカを備えていてもよい。スピーカは、装置本体27の処理状況を操作者に通知するために、ビープ音等の所定の音声を出力する。
【0023】
装置本体27は、送受信回路271と、記憶回路273と、通信インタフェース275と、処理回路277とを有する。通信インタフェース275は、第2の通信部の一例である。
【0024】
送受信回路271は、処理回路277による制御の下で、第2超音波プローブ21Bに駆動信号を供給する回路である。また、送受信回路271は、第2超音波プローブ21Bが受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する回路でもある。
【0025】
送受信回路271は、第2超音波プローブ21Bに駆動信号を供給するため、例えば、レートパルス発生器と、送信遅延回路と、パルサとを有する。レートパルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレート信号を繰り返し発生する。送信遅延回路は、第2超音波プローブ21Bから発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な振動子ごとの遅延時間を、レートパルス発生器が発生する各レート信号に対して与える。パルサは、遅延時間が与えられたレート信号に基づくタイミングで、第2超音波プローブ21Bに駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レート信号に対し与える遅延時間を変化させることで、振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0026】
また、送受信回路271は、第2超音波プローブ21Bが受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成するため、例えば、プリアンプと、A/D(Analog/Digital)変換器と、受信遅延回路と、加算器とを有する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。送受信回路271からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合、及び、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
【0027】
図2に示される例において、送受信回路271は装置本体27に配置されている。装置本体27に配置されていることに限定されず、送受信回路271は、その少なくとも一部が第2超音波プローブ21Bに配置されてもよい。
【0028】
記憶回路273は、種々の情報を記憶する非一過性の記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスク、SSD(Solid State Drive)、及び集積回路記憶装置等である。記憶回路273は、例えば、第2超音波診断装置2Bを制御する制御プログラムと、この制御プログラムの実行に用いられる各種のデータとを記憶する。記憶回路273は、HDD及びSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体、或いはRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。
【0029】
通信インタフェース275は、ネットワーク3を経由して第1超音波診断装置2Aと通信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース275は、ネットワーク3を介して接続された第1超音波診断装置2Aとの間で各種データの伝送及び通信を行う。例えば、通信インタフェース275は、第1超音波診断装置2Aに、後述する第2超音波プローブ21Bの操作情報を送信する。第2超音波プローブ21Bの操作情報を送信する替わりに、通信インタフェース275は、第1超音波診断装置2Aに、後述する第2数値情報を送信してもよい。また、通信インタフェース275は、第1超音波診断装置2Aから、後述する第1超音波プローブ21Aの操作情報を受信する。第1超音波プローブ21Aの操作情報を受信する替わりに、通信インタフェース275は、第1超音波診断装置2Aから、後述する第1数値情報を受信してもよい。例えば、通信インタフェース275は、ネットワークカード、ネットワークアダプタ、及びNIC(Network Interface Controller)等によって実現されてもよい。
【0030】
処理回路277は、入力インタフェース23から入力される入力操作の電気信号に応じて、第2超音波診断装置2B全体の動作を制御する回路である。例えば、処理回路277は、超音波画像生成機能2771と、数値情報取得機能2772と、差分算出機能2773と、差分提供機能2774と、プローブ操作情報送信機能2775とを備える。数値情報取得機能2772は、数値情報取得部の一例である。差分算出機能2773は、差分算出部の一例である。差分提供機能2774は、差分提供部の一例である。
【0031】
ここで、例えば、
図2に示す処理回路277の構成要素である超音波画像生成機能2771、数値情報取得機能2772、差分算出機能2773、差分提供機能2774、及びプローブ操作情報送信機能2775が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路273に記録されている。処理回路277は、例えば、プロセッサである。処理回路277を構成するプロセッサは、記憶回路273から各プログラムを読み出し、実行することで読み出した各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路277は、
図2の処理回路277内に示された各機能を有することとなる。
【0032】
なお、
図2においては、超音波画像生成機能2771、数値情報取得機能2772、差分算出機能2773、差分提供機能2774、及びプローブ操作情報送信機能2775の各処理機能が単一の処理回路277によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路277は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路277が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0033】
超音波画像生成機能2771は、ファントムP2からの超音波の反射波に基づいて、ファントムP2の超音波画像を取得する。具体的には、超音波画像生成機能2771は、送受信回路271を介して第2超音波プローブ21Bから反射波信号を受信し、受信された反射波信号に基づいて超音波画像を生成する。
【0034】
例えば、超音波画像生成機能2771は、送受信回路271から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。また、超音波画像生成機能2771は、送受信回路271から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成してもよい。また、超音波画像生成機能2771は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、超音波画像生成機能2771は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成してもよい。また、超音波画像生成機能2771は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成してもよい。
【0035】
そして、超音波画像生成機能2771は、生成されたデータから超音波画像を生成する。例えば、超音波画像生成機能2771は、2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元のBモード画像を生成する。また、例えば、超音波画像生成機能2771は、2次元のドプラデータから、血流情報が映像化された2次元のドプラ画像を生成してもよい。なお、ファントムP2から得られる血流情報は、血流を模擬した水等の流体の情報である。2次元のドプラ画像は、血流の平均速度を表す速度画像データ、血流の分散値を表す分散画像データ、血流のパワーを表すパワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データであってもよい。また、超音波画像生成機能2771は、ドプラ画像として、血流の平均速度、分散値、パワー等の血流情報がカラーで表示されるカラードプラ画像を生成したり、1つの血流情報がグレースケールで表示されるドプラ画像を生成したりしてもよい。また、例えば、超音波画像生成機能2771は、1走査線上のBモードデータの時系列データから、Mモード画像を生成してもよい。また、超音波画像生成機能2771は、ドプラデータから、血流や組織の速度情報を時系列に沿ってプロットしたドプラ波形を生成してもよい。
【0036】
数値情報取得機能2772は、第1超音波プローブ21Aの操作情報を数値化した第1数値情報と、第1超音波プローブ21Aと離れた位置に配置された第2超音波プローブ21Bの操作情報を数値化した第2数値情報とを取得する。すなわち、数値情報取得機能2772は、指導者が第1超音波プローブ21Aを操作することで取得された第1超音波プローブ21Aの操作情報に基づいて第1数値情報を取得する。また、数値情報取得機能2772は、訓練者が第2超音波プローブ21Bを操作することで取得された第2超音波プローブ21Bの操作情報に基づいて第2数値情報を取得する。具体的には、第1の実施形態において、数値情報取得機能2772は、指導者がファントムP1に対して第1超音波プローブ21Aを操作することで取得された第1超音波プローブ21Aの操作情報に基づいて第1数値情報を取得する。また、数値情報取得機能2772は、訓練者がファントムP2に対して第2超音波プローブ21Bを操作することで取得された第2超音波プローブ21Bの操作情報に基づいて第2数値情報を取得する。
【0037】
より具体的には、第1の実施形態において、数値情報取得機能2772は、通信インタフェース275を介した第1超音波診断装置2Aとの通信によって、第1超音波診断装置2Aから、第1超音波プローブ21Aの位置、角度、及び圧力を第1超音波プローブ21Aの操作情報として取得する。また、数値情報取得機能2772は、位置センサ211から出力された電気信号に基づいて、第2超音波プローブ21Bの位置を第2超音波プローブ21Bの操作情報の1つとして算出する。また、数値情報取得機能2772は、角度センサ212から出力された電気信号に基づいて、第2超音波プローブ21Bの角度を第2超音波プローブ21Bの操作情報の1つとして算出する。また、数値情報取得機能2772は、圧力センサ213から出力された電気信号に基づいて、第2超音波プローブ21Bの圧力を第2超音波プローブ21Bの操作情報の1つとして算出する。そして、数値情報取得機能2772は、第1超音波プローブ21Aの位置、角度、及び圧力のそれぞれを数値化することで、第1数値情報を算出する。すなわち、数値情報取得機能2772は、第1超音波プローブ21Aの位置を数値化した第1位置数値情報と、第1超音波プローブ21Aの角度を数値化した第1角度数値情報と、第1超音波プローブ21Aの圧力を数値化した第1圧力数値情報とを算出する。また、数値情報取得機能2772は、第2超音波プローブ21Bの位置、角度、及び圧力のそれぞれを数値化することで、第2数値情報を算出する。すなわち、数値情報取得機能2772は、第2超音波プローブ21Bの位置を数値化した第2位置数値情報と、第2超音波プローブ21Bの角度を数値化した第2角度数値情報と、第2超音波プローブ21Bの圧力を数値化した第2圧力数値情報とを算出する。なお、第1数値情報を算出する替わりに、数値情報取得機能2772は、第1数値情報を第1超音波診断装置2Aから受信して取得してもよい。
【0038】
差分算出機能2773は、数値情報取得機能2772により取得された第1数値情報と第2数値情報との差分を算出する。具体的には、差分算出機能2773は、第1位置数値情報と第2位置数値情報との差分である位置差分数値情報を算出する。また、差分算出機能2773は、第1角度数値情報と第2角度数値情報との差分である角度差分数値情報を算出する。また、差分算出機能2773は、第1圧力数値情報と第2圧力数値情報との差分である圧力差分数値情報を算出する。
【0039】
差分提供機能2774は、差分算出機能2773により算出された第1数値情報と第2数値情報との差分を提供する。具体的には、差分提供機能2774は、位置差分数値情報と、角度差分数値情報と、圧力差分数値情報とを提供する。より具体的には、差分提供機能2774は、第1数値情報と第2数値情報との差分をディスプレイ25に表示させることで、第1数値情報と第2数値情報との差分を提供する。例えば、差分提供機能2774は、差分算出機能2773により算出された第1数値情報と第2数値情報との差分を、矢印、色、及びインジケータの少なくとも1つを用いてディスプレイ25に表示させてもよい。
【0040】
プローブ操作情報送信機能2775は、第1超音波診断装置2Aが第2数値情報を算出できるようにするために、通信インタフェース275を介して第1超音波診断装置2Aに第2超音波プローブ21Bの操作情報を送信する。第1超音波診断装置2Aは、第1超音波診断装置2Aの通信インタフェース275を介して、プローブ操作情報送信機能2775から送信された第2超音波プローブ21Bの操作情報を受信する。そして、第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772は、第2超音波診断装置2Bから受信された第2超音波プローブ21Bの操作情報に基づいて、第2数値情報を算出する。また、第1超音波診断装置2Aのプローブ操作情報送信機能2775は、第1超音波プローブ21Aの通信インタフェース275を介して、第2超音波診断装置2Bに上述した第1超音波プローブ21Aの操作情報を送信する。なお、第2超音波診断装置2Bのプローブ操作情報送信機能2775は、第2超音波プローブ21Bの操作情報を送信する替わりに、第1超音波診断装置2Aに第2数値情報を送信してもよい。
【0041】
次に、以上のように構成された第1の実施形態に係る超音波診断システム1の動作例について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る超音波診断システム1の動作例を示すフローチャートである。なお、
図4のフローチャートに示される一連の工程は、必要に応じて繰り返される。
【0042】
先ず、
図4に示すように、入力インタフェース23で受け付けられた入力操作に応じて、超音波診断システム1は、遠隔指導モードを開始する(ステップS1)。具体的には、第1超音波診断装置2Aは、第1超音波診断装置2Aの入力インタフェース23で受け付けられた入力操作に応じて、遠隔指導モードを開始する。また、第2超音波診断装置2Bは、第2超音波診断装置2Bの入力インタフェース23で受け付けられた入力操作に応じて、遠隔指導モードを開始する。第1超音波診断装置2Aと第2超音波診断装置2Bとの双方が遠隔指示モードを開始したときに、超音波プローブの操作を遠隔指導するための以下の工程が実施される。
【0043】
遠隔指導モードが開始された後、第2超音波診断装置2Bの数値情報取得機能2772は、指導者が第1超音波プローブ21Aを操作することで取得された第1超音波プローブ21Aの操作情報に基づいて、第1数値情報を生成する(ステップS2)。具体的には、ファントムP1に対して指導者が第1超音波プローブ21Aを操作すると、第1超音波診断装置2Aの位置センサ211、角度センサ212、及び圧力センサ213から出力された電気信号に基づいて、第1超音波プローブ21Aの位置、角度、及び圧力が、第1超音波プローブ21Aの操作情報として取得される。なお、第1超音波プローブ21Aの操作は、例えば、右肋骨弓下走査断面の超音波スキャンを指導するために行われてもよい。第1超音波診断装置2Aにおいて取得された第1超音波プローブ21Aの操作情報(位置、角度、圧力)は、第1超音波診断装置2Aの通信インタフェース275(第1の通信部)を介して、第1超音波診断装置2Aのプローブ操作情報送信機能2775から第2超音波診断装置2Bに送信される。第2超音波診断装置2Bの数値情報取得機能2772は、第2超音波診断装置2Bの通信インタフェース275(第2の通信部)を介して、第1超音波診断装置2Aから送信された第1超音波プローブ21Aの操作情報を受信する。第2超音波診断装置2Bの数値情報取得機能2772は、受信された第1超音波プローブ21Aの操作情報を数値化することで、第1数値情報を生成する。より具体的には、第2超音波診断装置2Bの数値情報取得機能2772は、第1位置数値情報と、第1角度数値情報と、第1圧力数値情報とを生成する。
【0044】
また、第2超音波診断装置2Bの数値情報取得機能2772は、訓練者が第2超音波プローブ21Bを操作することで取得された第2超音波プローブ21Bの操作情報に基づいて、第2数値情報を生成する(ステップS3)。具体的には、ファントムP2に対して訓練者が第2超音波プローブ21Bを操作すると、第2超音波プローブ21Bの位置センサ211、角度センサ212、及び圧力センサ213から、第2超音波プローブ21Bの位置、角度、及び圧力に応じた電気信号がそれぞれ出力される。第2超音波診断装置2Bの数値情報取得機能2772は、第2超音波プローブ21Bの位置センサ211、角度センサ212、及び圧力センサ213から出力された電気信号に基づいて、第2超音波プローブ21Bの位置、角度、及び圧力を第2超音波プローブ21Bの操作情報として算出する。第2超音波診断装置2Bの数値情報取得機能2772は、算出された第2超音波プローブ21Bの操作情報を数値化することで、第2数値情報を生成する。より具体的には、第2超音波診断装置2Bの数値情報取得機能2772は、第2位置数値情報と、第2角度数値情報と、第2圧力数値情報とを生成する。
【0045】
第1数値情報及び第2数値情報が算出された後、第2超音波診断装置2Bの差分提供機能2774は、第1数値情報と第2数値情報との差分を算出する(ステップS4)。具体的には、第2超音波診断装置2Bの差分算出機能2773は、位置差分数値情報と、角度差分数値情報と、圧力差分数値情報とを算出する。
【0046】
第1数値情報と第2数値情報との差分が算出された後、第2超音波診断装置2Bの差分提供機能2774は、第2超音波診断装置2Bのディスプレイ25を介して第1数値情報と第2数値情報との差分を表示する(ステップS5)。
【0047】
図5は、第1の実施形態に係る超音波診断システム1の動作例における第1数値情報と第2数値情報との差分の表示例を示す図である。例えば、第2超音波診断装置2Bの差分提供機能2774は、
図5に示すように、超音波画像I1と同一の画面上に第1数値情報と第2数値情報との差分を示す差分画像I2を表示してもよい。また、
図5に示すように第2超音波診断装置2Bの差分提供機能2774は、位置差分数値情報を矢印A1及び数値「10」によって表現し、角度差分数値情報を矢印A2及び数値「10」によって表現し、圧力差分数値情報をインジケータI及び数値「5」で表現してもよい。
図5に示される例において、位置差分数値情報は、矢印A1方向への第2超音波プローブ21Bの位置の不足量が10cmであることを示している。また、角度差分数値情報は、矢印A2方向への第2超音波プローブ21Bの角度の不足量が10°であることを示している。また、圧力差分数値情報は、第2超音波プローブ21Bの圧力の不足量が5Nであることを示している。
【0048】
図5の差分画像I2が表示されることで、訓練者は、第2超音波プローブ21Bの位置、角度、及び圧力を、それぞれ10cm、10°、及び5N修正すべきことを容易に把握することができる。
図6は、第1の実施形態に係る超音波診断システム1の動作例における第1数値情報と第2数値情報との差分の他の表示例を示す図である。
図5の態様に限定されず、例えば、
図6に示すように、第2超音波プローブ21Bの差分提供機能2774は、差分画像I2の表示において、複数の方向から超音波プローブを見た場合の超音波プローブの外観をそれぞれ示す複数の画像上に、第1数値情報と第2数値情報との差分を矢印等で表示してもよい。また、第2超音波診断装置2Bの差分提供機能2774は、第1数値情報と第2数値情報との差分の大きさを、色を用いて表現してもよい。
【0049】
また、第2超音波診断装置2Bの差分提供機能2774は、画像表示のみに限定されず、第1超音波診断装置2Aから送信された指導者の音声をディスプレイ25のスピーカからリアルタイムに出力させることで、音声を通じた指導を行ってもよい。
【0050】
また、第2超音波診断装置2Bの差分提供機能2774は、第2超音波診断装置2Bと通信可能に接続されたディスプレイであって、第1超音波診断装置2A及び第2超音波診断装置2Bから独立したディスプレイを介して第1数値情報と第2数値情報との差分を表示してもよい。
【0051】
第1数値情報と第2数値情報との差分が表示された後、
図4に示すように、第2超音波診断装置2Bの数値情報取得機能2772は、入力インタフェース23で受け付けられた入力操作に基づいて、第2超音波プローブ21Bの再操作が行われるか否かを判定する(ステップS6)。第2超音波プローブ21Bの再操作が行われる場合(ステップS6:Yes)、第2超音波診断装置2Bの数値情報取得機能2772は、第2超音波プローブ21Bの再操作で取得された第2超音波プローブ21Bの操作情報に基づいて、第2数値情報の生成を繰り返す(ステップS3)。一方、第2超音波プローブ21Bの再操作が行われない場合(ステップS6:No)、遠隔指導モードを終了する。
【0052】
なお、ステップS1~ステップS6の動作は、第2超音波診断装置2Bにおいて実施されるだけでなく、第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772、差分算出機能2773、及び差分提供機能2774においても実施されてもよい。
【0053】
以上説明したように、第1の実施形態では、数値情報取得機能2772が、第1超音波プローブ21Aの操作情報を数値化した第1数値情報と、第1超音波プローブ21Aと離れた位置に配置された第2超音波プローブ21Bの操作情報を数値化した第2数値情報とを取得する。また、差分算出機能2773は、数値情報取得機能2772により取得された第1数値情報と第2数値情報との差分を算出する。また、差分提供機能2774は、差分算出機能2773により算出された差分を提供する。
【0054】
これにより、超音波プローブの操作方法を教えるために指導者と訓練者が同じ場所に居合わせることを要しないため、遠隔から超音波プローブの操作を指導することができる。
【0055】
また、第1の実施形態では、差分提供機能2774が、差分算出機能2773により算出された差分をディスプレイ25に表示させることで、差分を提供する。
【0056】
これにより、第1数値情報と第2数値情報との差分に基づいた遠隔からの超音波プローブの操作の指導を適切に行うことができる。
【0057】
また、第1の実施形態では、数値情報取得機能2772が、指導者がファントムP1に対して第1超音波プローブ21Aを操作することで取得された第1超音波プローブ21Aの操作情報に基づいて第1数値情報を取得する。また、数値情報取得機能2772は、訓練者がファントムP2に対して第2超音波プローブ21Bを操作することで取得された第2超音波プローブ21Bの操作情報に基づいて第2数値情報を取得する。
【0058】
これにより、訓練者の教育の現場において、遠隔からの超音波プローブの操作の指導を適切に行うことができる。
【0059】
また、第1の実施形態では、数値情報取得機能2772が、第1超音波プローブ21Aの位置、角度及び圧力を第1超音波プローブ21Aの操作情報として用いて第1数値情報を取得する。また、数値情報取得機能2772は、第2超音波プローブ21Bの位置、角度及び圧力を第2超音波プローブ21Bの操作情報として用いて第2数値情報を取得する。
【0060】
これにより、超音波プローブの操作の指導のために有用な情報を操作情報として用いることができるので、遠隔からの超音波プローブの操作の指導をより適切に行うことができる。
【0061】
(第2の実施形態)
次に、第1数値情報と第2数値情報との差分が評価指標を満たすか否かを判定する第2の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0062】
図7は、第2の実施形態に係る超音波診断システム1における第2超音波診断装置2Bの構成の一例を示すブロック図である。
図7に示すように、第2の実施形態において、処理回路277は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、評価指標設定機能2776と、差分判定機能2777と、判定結果表示機能2778とを備える。評価指標設定機能2776は、評価指標設定部の一例である。差分判定機能2777は、差分判定部の一例である。判定結果表示機能2778は、判定結果表示部の一例である。
【0063】
評価指標設定機能2776は、入力情報に基づいて評価指標を設定する。例えば、評価指標設定機能2776は、第1超音波診断装置2Aから評価指標を設定するための指導者による入力情報を受信し、受信された入力情報に基づいて評価指標を設定する。評価指標設定機能2776は、例えば、記憶回路273に評価指標を記憶させることで、評価指標を設定する。評価指標は、例えば、第1数値情報と第2数値情報との差分の閾値である。差分の閾値は、例えば、位置差分数値情報、角度差分数値情報、及び圧力差分数値情報毎に独立した閾値である。なお、評価指標設定機能2776は、第1超音波診断装置2Aの処理回路277に備えられていてもよい。この場合、第2超音波診断装置2Bは、第1超音波診断装置2Aから、第1超音波診断装置2Aの評価指標設定機能2776によって設定された評価指標を受信することができる。
【0064】
差分判定機能2777は、差分算出機能2773により算出された差分が評価指標を満たすか否かを判定する。具体的には、差分判定機能2777は、第1数値情報と第2数値情報との差分が評価指標設定機能2776で設定された評価指標を満たすか否かを判定する。差分判定機能2777による判定は、例えば、位置差分数値情報、角度差分数値情報、及び圧力差分数値情報のそれぞれに対して個々に行われる。
【0065】
判定結果表示機能2778は、差分判定機能2777による判定結果をディスプレイ25に表示させる。例えば、判定結果表示機能2778は、差分判定機能2777により評価指標を満たすと判定された場合に、評価指標を満たす旨をディスプレイ25に表示させる。また、判定結果表示機能2778は、差分判定機能2777により評価指標を満たさないと判定された場合に、第2超音波プローブ21Bの再操作の案内をディスプレイ25に表示させる。
【0066】
図8は、第2の実施形態に係る超音波診断システム1の動作例を示すフローチャートである。
図8に示すように、第2の実施形態において、評価指標設定機能2776は、遠隔指導モードが開始された後に、入力情報に基づいて評価指標を設定する(ステップS7)。
【0067】
また、第2の実施形態において、差分判定機能2777は、第1数値情報と第2数値情報との差分が表示された後に、第1数値情報と第2数値情報との差分が評価指標を満たしているか否かを判定する(ステップS60)。例えば、差分判定機能2777は、位置差分数値情報、角度差分数値情報、及び圧力差分数値情報の全てが評価指標を満たしている場合(すなわち、閾値以内である場合)に、肯定的な判定結果を出力する。この場合、差分判定機能2777は、位置差分数値情報、角度差分数値情報、及び圧力差分数値情報のいずれかが評価指標を満たしていない場合に、否定的な判定結果を出力する。例えば、差分判定機能2777は、位置差分数値情報が3cm以下であり、角度差分数値情報が3°以下であり、圧力差分数値情報が2N以下である場合には、評価指標を満たしていると判定してもよい。
【0068】
差分判定機能2777によって評価指標を満たしていると判定された場合(ステップS60:Yes)、判定結果表示機能2778は、評価指標を満たしている旨をディスプレイ25に表示させる(ステップS7)。
【0069】
一方、差分判定機能2777によって評価指標を満たしていないと判定された場合(ステップS60:No)、判定結果表示機能2778は、否定的な判定結果とともに、第2超音波プローブ21Bの再操作の案内をディスプレイ25に表示させる(ステップS8)。その後、第2超音波診断装置2Bの数値情報取得機能2772は、第2数値情報の生成を繰り返す(ステップS3)。
【0070】
以上説明したように、第2の実施形態では、差分判定機能2777が、差分算出機能2773により算出された差分が評価指標を満たすか否かを判定する。また、判定結果表示機能2778が、差分判定機能2777による判定結果をディスプレイ25に表示させる。
【0071】
これにより、評価指標を満たすか否かの判定結果を通じて訓練者が自らの超音波プローブの操作の習熟度を客観的に把握することができる。
【0072】
また、第2の実施形態では、判定結果表示機能2778が、差分判定機能2777により評価指標を満たさないと判定された場合に、第2超音波プローブ21Bの再操作の案内をディスプレイ25に表示させる。
【0073】
これにより、評価指標が満たされるまで第2超音波プローブ21Bの再操作を促すことができるので、訓練者の習熟度を効率的に向上させることができる。
【0074】
また、第2の実施形態では、評価指標設定機能2776が、入力情報に基づいて評価指標を設定する。
【0075】
これにより、例えば、訓練者の現在の習熟度や目標とする習熟度に応じて評価指標を調整することができるので、利便性を向上させることができる。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、訓練者の臨床の現場において超音波プローブの操作を遠隔から指導する第3の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0077】
図9は、第3の実施形態に係る超音波診断システム1の構成の一例を示すブロック図である。これまでは、第1超音波診断装置2A及び第2超音波診断装置2Bの双方がファントムP1,P2に対して超音波プローブ21A,21Bを操作するために用いられる例について説明した。これに対して、第3の実施形態においては、
図9に示すように、第2超音波診断装置2Bが、臨床の現場において被検体Sに対して第2超音波プローブ21Bを操作するために用いられる。すなわち、第3の実施形態において、第2超音波プローブ21Bの操作情報は、訓練者が被検体Sに対して第2超音波プローブ21Bを操作することで取得された情報である。
【0078】
図10は、第3の実施形態に係る超音波診断システム1における第2超音波診断装置2Bの構成の一例を示すブロック図である。
図10に示すように、第3の実施形態において、処理回路277は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、操作情報補正機能2779を備える。操作情報補正機能2779は、操作情報補正部の一例である。操作情報補正機能2779は、ファントムP1と被検体Sとの大きさ及び重さの少なくとも一方を考慮して、例えば、第2超音波プローブ21Bの操作情報を補正する。第2超音波プローブ21Bの操作情報を補正することに限定されず、操作情報補正機能2779は、ファントムP1と被検体Sとの大きさ及び重さの少なくとも一方を考慮して、第1超音波プローブ21Aの操作情報を補正してもよい。被検体S及びファントムP1の大きさは、身長、胸囲、及び腹囲等であってもよい。
【0079】
数値情報取得機能2772は、例えば、操作情報補正機能2779によって補正された第2超音波プローブ21Bの操作情報に基づいて、第2数値情報を取得する。このような構成に限定されず、数値情報取得機能2772は、操作情報補正機能2779によって補正された第1超音波プローブ21Aの操作情報に基づいて、第1数値情報を取得してもよい。
【0080】
図11は、第3の実施形態に係る超音波診断システム1の動作例を示すフローチャートである。
【0081】
図11に示すように、第3の実施形態においては、遠隔指導モードが開始された後、操作情報補正機能2779が、被検体SとファントムP1との大きさ及び重さの差を取得する(ステップS9)。例えば、操作情報補正機能2779は、入力インタフェース23で受け付けられた入力操作によって、被検体Sの大きさ及び重さを取得する。また、操作情報補正機能2779は、第1超音波診断装置2Aとの通信によって、第1超音波診断装置2AからファントムP1の大きさ及び重さを取得する。そして、操作情報補正機能2779は、取得された被検体Sの大きさとファントムP1の大きさとの差を算出する。また、操作情報補正機能2779は、取得された被検体Sの重さとファントムP1の重さとの差を算出する。
【0082】
そして、操作情報補正機能2779は、被検体SとファントムP1との大きさ及び重さの差に基づいて、第2超音波プローブ21Bの操作情報を補正する(ステップS311)。
【0083】
第2超音波プローブ21Bの操作情報が補正された後、数値情報取得機能2772は、補正された第2超音波プローブ21Bの操作情報に基づいて第2数値情報を生成する(ステップS312)。これにより、例えば、被検体SがファントムP1の2倍の大きさを有する場合には、第2超音波プローブ21Bの5cmの移動量を、第1超音波プローブ21Aの移動量に換算して2.5cmに補正することができる。
【0084】
以上説明したように、第3の実施形態では、数値情報取得機能2772が、訓練者が被検体Sに対して第2超音波プローブ21Bを操作することで取得された第2超音波プローブ21Bの操作情報を取得する。
【0085】
これにより、訓練者の臨床の現場において、遠隔からの超音波プローブの操作の指導を適切に行うことができる。
【0086】
また、第3の実施形態では、操作情報補正機能2779が、ファントムP1と被検体Sとの大きさ及び重さの少なくとも一方の差を考慮して第1超音波プローブ21Aの操作情報又は第2超音波プローブ21Bの操作情報を補正する。また、数値情報取得機能2772は、操作情報補正機能2779により補正された第1超音波プローブ21Aの操作情報に基づいて第1数値情報を取得し、又は、操作情報補正機能2779により補正された第2超音波プローブ21Bの操作情報に基づいて第2数値情報を取得する。
【0087】
これにより、ファントムP1と被検体Sとの大きさ及び重さの差を考慮して第1数値情報と第2数値情報との差を適切に算出することができるので、臨床の現場における遠隔からの超音波プローブの操作の指導をより適切に行うことができる。
【0088】
(第4の実施形態)
次に、数値情報取得機能2772、差分算出機能2773、及び差分提供機能2774が第2超音波診断装置2Bから省略された第4の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0089】
図12は、第4の実施形態に係る超音波診断システム1における第1超音波診断装置2Aの構成の一例を示すブロック図である。
図13は、第4の実施形態に係る超音波診断システム1における第2超音波診断装置2Bの構成の一例を示すブロック図である。これまでは、数値情報取得機能2772、差分算出機能2773、及び差分提供機能2774が、第1超音波診断装置2A及び第2超音波診断装置2Bとの双方に備えられている超音波診断システム1の例について説明した。これに対して、
図12及び
図13に示すように、第4の実施形態においては、数値情報取得機能2772、差分算出機能2773、及び差分提供機能2774が、第1超音波診断装置2Aには備えられているが、第2超音波診断装置2Bからは省略されている。また、第4の実施形態においては、プローブ操作情報送信機能2775が第1超音波診断装置2Aから省略されている。
【0090】
第4の実施形態においては、第1超音波診断装置2Aが主体となって
図4のフローチャートに示される各工程を実施する。
【0091】
すなわち、遠隔指導モードが開始された後(ステップS1)、第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772は、指導者が第1超音波プローブ21Aを操作することで取得された第1超音波プローブ21Aの操作情報に基づいて、第1数値情報を生成する(ステップS2)。具体的には、ファントムP1に対して指導者が第1超音波プローブ21Aを操作すると、第1超音波プローブ21Aの位置センサ211、角度センサ212、及び圧力センサ213から、第1超音波プローブ21Aの位置、角度、及び圧力に応じた電気信号がそれぞれ出力される。第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772は、第1超音波プローブ21Aの位置センサ211、角度センサ212、及び圧力センサ213から出力された電気信号に基づいて、第1超音波プローブ21Aの位置、角度、及び圧力を第1超音波プローブ21Aの操作情報として算出する。第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772は、算出された第1超音波プローブ21Aの操作情報を数値化することで、第1数値情報を生成する。より具体的には、第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772は、第1位置数値情報と、第1角度数値情報と、第1圧力数値情報とを生成する。
【0092】
また、第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772は、訓練者が第2超音波プローブ21Bを操作することで取得された第2超音波プローブ21Bの操作情報に基づいて、第2数値情報を生成する(ステップS3)。具体的には、ファントムP2に対して訓練者が第2超音波プローブ21Bを操作すると、第2超音波診断装置2Bの位置センサ211、角度センサ212、及び圧力センサ213から出力された電気信号に基づいて、第2超音波プローブ21Bの位置、角度、及び圧力が、第2超音波プローブ21Bの操作情報として取得される。第2超音波プローブ21Bの操作情報(位置、角度、圧力)は、第2超音波診断装置2Bの通信インタフェース275(第4の通信部)を介して、第2超音波診断装置2Bのプローブ操作情報送信機能2775によって第1超音波診断装置2Aに送信される。第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772は、第1超音波診断装置2Aの通信インタフェース275(第3の通信部)を介して、第2超音波診断装置2Bから送信された第2超音波プローブ21Bの操作情報を受信する。第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772は、受信された第2超音波プローブ21Bの操作情報を数値化することで、第2数値情報を生成する。より具体的には、第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772は、第2位置数値情報と、第2角度数値情報と、第2圧力数値情報とを生成する。
【0093】
第1数値情報及び第2数値情報が算出された後、第1超音波診断装置2Aの差分提供機能2774は、第1数値情報と第2数値情報との差分を算出する(ステップS4)。具体的には、第1超音波診断装置2Aの差分算出機能2773は、位置差分数値情報と、角度差分数値情報と、圧力差分数値情報とを算出する。
【0094】
第1数値情報と第2数値情報との差分が算出された後、第1超音波診断装置2Aの差分提供機能2774は、第2超音波診断装置2Bのディスプレイ25を介して第1数値情報と第2数値情報との差分を表示する(ステップS5)。具体的には、第1超音波診断装置2Aの差分提供機能2774は、通信インタフェース275を介して第2超音波診断装置2Bに第1数値情報と第2数値情報との差分のデータを送信する。第2超音波診断装置2Bの処理回路277は、第1超音波診断装置2Aから受信した差分のデータをディスプレイ25に表示する。第1超音波診断装置2Aの差分提供機能2774は、更に、第1超音波診断装置2Aのディスプレイ25にも第1数値情報と第2数値情報との差分を表示させてもよい。
【0095】
第1数値情報と第2数値情報との差分が表示された後、第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772は、第2超音波診断装置2Bの入力インタフェース23で受け付けられた入力操作に基づいて、第2超音波プローブ21Bの再操作が行われるか否かを判定する(ステップS6)。例えば、訓練者が、第2超音波診断装置2Bの入力インタフェース23を介して再操作を行う旨の入力操作を行うと、第2超音波診断装置2Bの処理回路277は、第2超音波診断装置2Bの通信インタフェース275を介して、再操作を通知する電気信号を第1超音波診断装置2Aに送信する。第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772は、第2超音波診断装置2Bから送信された再操作を通知する電気信号に基づいて、第2超音波プローブ21Bの再操作が行われると判定する。第2超音波プローブ21Bの再操作が行われる場合(ステップS6:Yes)、第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772は、第2超音波プローブ21Bの再操作で取得された第2超音波プローブ21Bの操作情報を第2超音波診断装置2Bから受信して、第2数値情報の生成を繰り返す(ステップS3)。一方、第2超音波プローブ21Bの再操作が行われない場合(ステップS6:No)、遠隔指導モードを終了する。
【0096】
なお、第4の実施形態は、第2の実施形態と組み合わせることも可能である。その場合、第1超音波診断装置2Aは、評価指標設定機能2776、差分判定機能2777、及び判定結果表示機能2778を更に備え、第2の実施形態と同様に、評価指標を満たすか否かに基づいて第2超音波プローブ21Bの再操作が行われるか否かを判定する。
【0097】
以上説明したように、第4の実施形態では、第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772が、第1超音波プローブ21Aの操作情報を数値化した第1数値情報と、第1超音波プローブ21Aと離れた位置に配置された第2超音波プローブ21Bの操作情報を数値化した第2数値情報とを取得する。また、第1超音波診断装置2Aの差分算出機能2773は、第1超音波診断装置2Aの数値情報取得機能2772により取得された第1数値情報と第2数値情報との差分を算出する。また、第1超音波診断装置2Aの差分提供機能2774は、第1超音波診断装置2Aの差分算出機能2773により算出された差分を提供する。
【0098】
これにより、第1の実施形態と同様に、超音波プローブの操作方法を教えるために指導者と訓練者が同じ場所にい合わせることを要しないため、遠隔から超音波プローブの操作を指導することができる。また、第2超音波診断装置2Bの構成を簡素化することができるので第2超音波診断装置2Bのコストを削減することができる。
【0099】
(第5の実施形態)
次に、数値情報取得機能2772、差分算出機能2773、及び差分提供機能2774が、第1超音波診断装置2A及び第2超音波診断装置2Bから省略されてサーバ4に備えられた第5の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0100】
図14は、第5の実施形態に係る超音波診断システム1の構成の一例を示すブロック図である。これまでは、数値情報取得機能2772、差分算出機能2773、及び差分提供機能2774が、第1超音波診断装置2A及び第2超音波診断装置2Bの双方又は一方に備えられている超音波診断システム1の例について説明した。これに対して、
図14に示すように、第5の実施形態においては、数値情報取得機能2772、差分算出機能2773、及び差分提供機能2774が、第1超音波診断装置2A及び第2超音波診断装置2Bから独立したサーバ4に備えられているが、第1超音波診断装置2A及び第2超音波診断装置2Bからは省略されている。サーバ4は、情報処理装置の一例である。サーバ4は、ネットワーク3を介して第1超音波診断装置2A及び第2超音波診断装置2Bと通信可能に接続されている。
【0101】
第5の実施形態においては、サーバ4が主体となって
図4のフローチャートに示される各工程を実施する。
【0102】
すなわち、遠隔指導モードが開始された後(ステップS1)、サーバ4の数値情報取得機能2772は、指導者が第1超音波プローブ21Aを操作することで取得された第1超音波プローブ21Aの操作情報に基づいて、第1数値情報を生成する(ステップS2)。具体的には、ファントムP1に対して指導者が第1超音波プローブ21Aを操作すると、第1超音波診断装置2Aの位置センサ211、角度センサ212、及び圧力センサ213から出力された電気信号に基づいて、第1超音波プローブ21Aの位置、角度、及び圧力が、第1超音波プローブ21Aの操作情報として取得される。第1超音波プローブ21Aの操作情報(位置、角度、圧力)は、第1超音波診断装置2Aの通信インタフェース275(第5の通信部)を介して、第1超音波診断装置2Aのプローブ操作情報送信機能2775からサーバ4に送信される。サーバ4の数値情報取得機能2772は、サーバ4の通信インタフェース275(第7の通信部)を介して、第1超音波診断装置2Aから送信された第1超音波プローブ21Aの操作情報を受信する。サーバ4の数値情報取得機能2772は、受信された第1超音波プローブ21Aの操作情報を数値化することで、第1数値情報を生成する。より具体的には、サーバ4の数値情報取得機能2772は、第1位置数値情報と、第1角度数値情報と、第1圧力数値情報とを生成する。
【0103】
また、サーバ4の数値情報取得機能2772は、訓練者が第2超音波プローブ21Bを操作することで取得された第2超音波プローブ21Bの操作情報に基づいて、第2数値情報を生成する(ステップS3)。具体的には、ファントムP2に対して訓練者が第2超音波プローブ21Bを操作すると、第2超音波診断装置2Bの位置センサ211、角度センサ212、及び圧力センサ213から出力された電気信号に基づいて、第2超音波プローブ21Bの位置、角度、及び圧力が、第2超音波プローブ21Bの操作情報として取得される。第2超音波プローブ21Bの操作情報(位置、角度、圧力)は、第2超音波診断装置2Bの通信インタフェース275(第6の通信部)を介して、第2超音波診断装置2Bのプローブ操作情報送信機能2775によってサーバ4に送信される。サーバ4の数値情報取得機能2772は、サーバ4の通信インタフェース275(第7の通信部)を介して、第2超音波診断装置2Bから送信された第2超音波プローブ21Bの操作情報を受信する。サーバ4の数値情報取得機能2772は、受信された第2超音波プローブ21Bの操作情報を数値化することで、第2数値情報を生成する。より具体的には、サーバ4の数値情報取得機能2772は、第2位置数値情報と、第2角度数値情報と、第2圧力数値情報とを生成する。
【0104】
第1数値情報及び第2数値情報が算出された後、サーバ4の差分提供機能2774は、第1数値情報と第2数値情報との差分を算出する(ステップS4)。具体的には、サーバ4の差分算出機能2773は、位置差分数値情報と、角度差分数値情報と、圧力差分数値情報とを算出する。
【0105】
第1数値情報と第2数値情報との差分が算出された後、サーバ4の差分提供機能2774は、第2超音波診断装置2Bのディスプレイ25を介して第1数値情報と第2数値情報との差分を表示する(ステップS5)。具体的には、サーバ4の差分提供機能2774は、通信インタフェース275を介して第2超音波診断装置2Bに第1数値情報と第2数値情報との差分のデータを送信する。第2超音波診断装置2Bの処理回路277は、サーバ4から受信した差分のデータをディスプレイ25に表示する。サーバ4の差分提供機能2774は、更に、第1超音波診断装置2Aのディスプレイ25にも第1数値情報と第2数値情報との差分を表示させてもよい。
【0106】
第1数値情報と第2数値情報との差分が表示された後、サーバ4の数値情報取得機能2772は、第2超音波診断装置2Bの入力インタフェース23で受け付けられた入力操作に基づいて、第2超音波プローブ21Bの再操作が行われるか否かを判定する(ステップS6)。第2超音波プローブ21Bの再操作が行われる場合(ステップS6:Yes)、サーバ4の数値情報取得機能2772は、第2超音波プローブ21Bの再操作で取得された第2超音波プローブ21Bの操作情報を第2超音波診断装置2Bから受信して、第2数値情報の生成を繰り返す(ステップS3)。一方、第2超音波プローブ21Bの再操作が行われない場合(ステップS6:No)、遠隔指導モードを終了する。
【0107】
なお、第5の実施形態は、第2の実施形態と組み合わせることも可能である。その場合、サーバ4は、評価指標設定機能2776、差分判定機能2777、及び判定結果表示機能2778を更に備え、第2の実施形態と同様に、評価指標を満たすか否かに基づいて第2超音波プローブ21Bの再操作が行われるか否かを判定する。
【0108】
以上説明したように、第5の実施形態では、サーバ4の数値情報取得機能2772が、第1超音波プローブ21Aの操作情報を数値化した第1数値情報と、第1超音波プローブ21Aと離れた位置に配置された第2超音波プローブ21Bの操作情報を数値化した第2数値情報とを取得する。また、サーバ4の差分算出機能2773は、サーバ4の数値情報取得機能2772により取得された第1数値情報と第2数値情報との差分を算出する。また、サーバ4の差分提供機能2774は、サーバ4の差分算出機能2773により算出された差分を提供する。
【0109】
これにより、第1の実施形態と同様に、超音波プローブの操作方法を教えるために指導者と訓練者が同じ場所にい合わせることを要しないため、遠隔から超音波プローブの操作を指導することができる。また、第1超音波診断装置2A及び第2超音波診断装置2Bの構成を簡素化することができるので、第1超音波診断装置2A及び第2超音波診断装置2Bのコストを削減することができる。
【0110】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0111】
また、第1乃至第5の実施形態に係る超音波診断システム1は、第1超音波診断装置2A及び第2超音波診断装置2Bの双方において被検体をスキャンする場合に適用することもできる。
【0112】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、超音波プローブの操作を遠隔から指導することができる。
【0113】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置及び方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置及び方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0114】
1 超音波診断システム
2A 第1超音波診断装置
2B 第2超音波診断装置
21A 第1超音波プローブ
21B 第2超音波プローブ
25 ディスプレイ
2772 数値情報取得機能
2773 差分算出機能
2774 差分提供機能
2776 評価指標設定機能
2777 差分判定機能
2778 判定結果表示機能
2779 操作情報補正機能
4 サーバ