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特開2024-100563自動車用RFIDタグ、及び自動車用RFIDタグの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100563
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】自動車用RFIDタグ、及び自動車用RFIDタグの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/00 20060101AFI20240719BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G09F3/00 M
G09F3/10 B
G09F3/10 H
G09F3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004658
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000186566
【氏名又は名称】小林クリエイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 敬
(72)【発明者】
【氏名】山田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】山内 望由季
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 一広
(57)【要約】
【課題】自動車のガラスの内側に貼着したときに、RFIDラベルを貼着したシート状基材が真下に垂れ下がり易く、かつ、貼着片が破断し難い自動車用RFIDタグを提供する。
【解決手段】RFIDラベルを貼着したシート状基材2の上部に貼着片3を貼着するとともに、貼着片3の貼着部位を横断する水平な切込線8によってシート状基材2を上下に切離して、シート状基材2の切込線8の上側を貼着片3から剥離して、粘着剤層15を介して貼着片3を自動車のガラスの内側に貼着して、シート状基材2の切込線8の下側をガラスの内側に垂れ下げる自動車用RFIDタグ1にあって、切込線8を、切込みが貼着片3の所定の深さまで達する第一切込線部20と、切込みが前記貼着片の前記所定深さまで達しない第二切込線部21とで構成する。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDラベルが貼着されたシート状基材と、
片面に形成された粘着剤層を介して前記シート状基材の上部に貼着された貼着片と
を備え、
前記シート状基材は、前記貼着片の貼着部位を横断する切込線によって上下に切離され、
前記貼着片は、前記切込線の上側の分離片部と剥離容易に貼着され、前記切込線の下側の本体片部と剥離困難に貼着されており、
前記分離片部を前記貼着片から剥離して、前記粘着剤層を介して前記貼着片を自動車のガラスの内側に貼着して、前記本体片部を前記ガラスの内側に垂れ下げる自動車用RFIDタグであって、
前記シート状基材を切離する前記切込線は、切込みが前記貼着片の所定の深さまで達する第一切込線部と、切込みが前記貼着片の前記所定の深さまで達しない第二切込線部とを備えることを特徴とする自動車用RFIDタグ。
【請求項2】
前記貼着片には、前記切込線よりも下方に、折り曲げ容易な水平方向の易折曲部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用RFIDタグ。
【請求項3】
前記シート状基材には、前記貼着片との貼着部位に、前記分離片部の全体と前記本体片部の上端部を、前記貼着片から剥離容易にする剥離剤層が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車用RFIDタグ。
【請求項4】
前記シート状基材には、前記貼着片との貼着部位に、前記分離片部の全体と前記本体片部の上端部を、前記貼着片から剥離容易にする剥離剤層が形成されており、
前記易折曲部は、前記切込線よりも下方であって、前記剥離剤層の形成される高さに形成されることを特徴とする請求項2に記載の自動車用RFIDタグ。
【請求項5】
請求項1に記載の自動車用RFIDタグの製造方法であって、
前記シート状基材の一面側に前記貼着片を貼着する貼着工程と、
前記貼着工程の後に、刃先が凹凸形状をなす一枚の切断刃を、前記シート状基材の他面側から押し込んで、前記シート状基材を切離するとともに、前記貼着片に深さの異なる切込みを入れることにより、前記切込線を形成する切込線形成工程と
を含むことを特徴とする自動車用RFIDタグの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のガラスに一時的に貼り付ける自動車用RFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の輸送時や中古車のオークションにおいて、自動車の輸送先、型式、到着予定日や出品番号等の所要情報を印刷したタグをガラスの内側に取り付けて、ガラスの外側から所要情報を視認し得るようにしている(例えば、特許文献1)。また、近年では、所要情報を機械的に読取可能にするために、タグへの印刷に加えて、又は、タグへの印刷に替えて、所要情報を記録したRFIDラベルを貼着したタグも用いられている。
【0003】
図12(A)に示すように、この種の従来のタグ100は、シート状基材2と、粘着剤層15を介してシート状基材2の上部に貼着された貼着片3とを備えている。シート状基材2は、貼着片3の貼着部位を横断する切込線80によって上下に切離されており、切込線80の下側の本体片部6に所要情報が印刷されたり、RFIDラベルが貼着されたりする。切込線80の上側の分離片部7は、剥離剤層16を介して貼着片3と剥離容易に貼着されており、図12(B)に示すように、タグ100の使用時には、分離片部7を貼着片3から剥離して粘着剤層15を露出させ、図13に示すように、貼着片3を自動車のフロントガラスSの内側に貼着することにより、本体片部6をフロントガラスSの内側に垂れ下げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-338096号公報(図14~16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のタグ100は、図12(C)に示すように、フロントガラスSへの貼着前に貼着片3を折り曲げておくことにより、図13に示すように、手前側に傾いたフロントガラスSに貼着したときに、シート状基材2を真下に垂れ下げることができる。言い換えると、フロントガラスSへの貼着前に貼着片3を折り曲げない場合や、貼着片3の折り曲げが不十分な場合には、図13中の二点鎖線で示すように、貼着片3が十分に折れ曲がらず、シート状基材2は真下に垂れ下がらない。
【0006】
シート状基材2が多少傾いていたとしても、シート状基材2に印刷される文字を目視での読み取るのに大きな支障は生じない。しかしながら、タグ100に貼着されるRFIDラベルは一般的に指向性が高いため、シート状基材2にRFIDラベルが貼着される場合には、シート状基材2が傾いていると、RFIDラベルが所要の通信性能を発揮できず、RFIDラベルとの無線通信に手間取るおそれがある。かかる問題に対して、貼着片3を、折れ曲がり易い材料や厚みとすることが提案されるが、貼着片の強度不足により、折り曲がった部分で貼着片が破断することが懸念される。
【0007】
本発明はかかる現状に鑑みてなされたものであり、貼着片が破断し難く、かつ、従来構成に比べてシート状基材が真下に垂れ下がり易い自動車用RFIDタグ、及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、RFIDラベルが貼着されたシート状基材と、片面に形成された粘着剤層を介して前記シート状基材の上部に貼着された貼着片とを備え、前記シート状基材は、前記貼着片の貼着部位を横断する切込線によって上下に切離され、前記貼着片は、前記切込線の上側の分離片部と剥離容易に貼着され、前記切込線の下側の本体片部と剥離困難に貼着されており、前記分離片部を前記貼着片から剥離して、前記粘着剤層を介して前記貼着片を自動車のガラスの内側に貼着して、前記本体片部を前記ガラスの内側に垂れ下げる自動車用RFIDタグであって、前記シート状基材を切離する前記切込線は、切込みが前記貼着片の所定の深さまで達する第一切込線部と、切込みが前記貼着片の前記所定の深さまで達しない第二切込線部とを備えることを特徴とする自動車用RFIDタグである。
【0009】
かかる構成にあっては、シート状基材を切離する切込線の切込みが、貼着片にも入っているため、従来構成に比べて、切込線の形成部位で貼着片が折れ曲がり易くなる。このため、本発明によれば、事前に貼着片をしっかりと折り曲げていなくても、ガラスに貼着した際に、シート状基材が、従来構成よりも真下に垂れ下がり易くなる。
また、本発明では、切込線が、貼着片への切込み深さの相違する、第一切込線部と第二切込線部で構成されるため、貼着片が、同じ程度の折れ曲がり易さでも、一定の深さで切込みを入れる場合に比べて破断し難く、また、同じ程度の破断し難さでも、一定の深さで切込みを入れる場合に比べて折り曲がり易いという利点がある。
また、本発明に係る貼着片の切込みは、シート状基材を切離する切込線を形成する際に入れることができるため、製造時の工数を増加させずに実現できるという利点もある。
【0010】
本発明に係る第一切込線部は、切込みが貼着片を貫通するものを含み、第二切込線部は、切込みが貼着片の表面に達しないものを含む。ここで、第二切込線部における切込みは、貼着片の表面に到達しないか、貼着片の表面を切断せず、凹ませる程度であることが望ましい。第二切込線部において貼着片の表面に未切断部分を残すことにより、貼着片が一層破断し難くなるためである。
【0011】
本発明にあって、前記貼着片には、前記切込線よりも下方に、折り曲げ容易な水平方向の易折曲部が形成されていることが提案される。
【0012】
かかる構成にあっては、貼着片が、切込線の形成部位に加えて、易折曲部の形成部位でも折れ曲がり易くなるため、自動車のガラスに貼着した際に、シート状基材が一層真下に垂れ下がり易くなる。
本発明に係る易折曲部としては、筋押し加工による凹溝や、ハーフカット加工、ミシン目加工などによる切込みが挙げられる。これらの中でも、易折曲部は、筋押し加工による凹溝であることが望ましい。貼着片に切込みを入れずに形成可能であるため、貼着片が最も破断し難いためである。
【0013】
また、本発明にあって、前記シート状基材には、前記貼着片との貼着部位に、前記分離片部の全体と前記本体片部の上端部を、前記貼着片から剥離容易にする剥離剤層が形成されていることが提案される。
【0014】
かかる構成にあっては、貼着片を本体片部の上端部から剥離することにより、当該箇所で、本体片部に追従させることなく貼着片を容易に折り曲げ可能となるため、貼着片が切込線の下方で折れ曲がり易くなる。特に、前記易折曲部が、前記切込線よりも下方であって、前記剥離剤層の形成される高さに形成される構成では、貼着片が本体片部から剥がれて折れ曲がり易くなる高さに易折曲部が形成されるため、易折曲部の形成部位において、貼着片が一層折れ曲がり易くなる。
【0015】
本発明の自動車用RFIDタグの製造方法として、前記シート状基材の一面側に前記貼着片を貼着する貼着工程と、前記貼着工程の後に、刃先が凹凸形状をなす一枚の切断刃を、前記シート状基材の他面側から押し込んで、前記シート状基材を切離するとともに、前記貼着片に深さの異なる切込みを入れることにより、前記切込線を形成する切込線形成工程とを含むことが提案される。
【0016】
かかる製造方法では、シート状基材を上下に切離する切断刃を用いて、貼着片に切込みを形成するため、従来構成の製造方法と比較して、切断刃や工数を増加させることなく、本発明の自動車用RFIDタグを製造できる。
【0017】
また、本発明の別の態様として、RFIDラベルが貼着されたシート状基材と、片面に形成された粘着剤層を介して前記シート状基材の上部に貼着された貼着片とを備え、前記シート状基材は、前記貼着片の貼着部位を横断する切込線によって上下に切離され、前記貼着片は、前記切込線の上側の分離片部と剥離容易に貼着され、前記切込線の下側の本体片部と剥離困難に貼着されており、前記分離片部を前記貼着片から剥離して、前記粘着剤層を介して前記貼着片を自動車のガラスの内側に貼着して、前記本体片部を前記ガラスの内側に垂れ下げる自動車用RFIDタグであって、前記貼着片には、前記切込線よりも下方に、折り曲げ容易な水平方向の易折曲部が形成されていることを特徴とする自動車用RFIDタグも提案される。
【0018】
かかる構成にあっては、貼着片が易折曲部の形成部位で折れ曲がり易くなるため、自動車のガラスに貼着した際に、シート状基材が真下に垂れ下がり易くなる。本発明に係る易折曲部としては、筋押し加工による凹溝や、ハーフカット加工、ミシン目加工などによる切込みが挙げられる。これらの中でも、易折曲部は、筋押し加工による凹溝であることが望ましい。貼着片に切込みを入れずに形成可能であるため、貼着片が破断し難いためである。
【0019】
また、本発明の別の態様として、RFIDラベルが貼着されたシート状基材と、片面に形成された粘着剤層を介して前記シート状基材の上部に貼着された貼着片とを備え、前記シート状基材は、前記貼着片の貼着部位を横断する切込線によって上下に切離され、前記貼着片は、前記切込線の上側の分離片部と剥離容易に貼着され、前記切込線の下側の本体片部と剥離困難に貼着されており、前記分離片部を前記貼着片から剥離して、前記粘着剤層を介して前記貼着片を自動車のガラスの内側に貼着して、前記本体片部を前記ガラスの内側に垂れ下げる自動車用RFIDタグであって、前記シート状基材には、前記貼着片との貼着部位に、前記分離片部の全体と前記本体片部の上端部を、前記貼着片から剥離容易にする剥離剤層が形成されていることを特徴とする自動車用RFIDタグも提案される。
【0020】
かかる構成にあっては、貼着片を本体片部の上端部から剥離することにより、当該箇所で、本体片部に追従させることなく貼着片を容易に折り曲げ可能となるため、貼着片が切込線の下方で折れ曲がり易くなり、自動車のガラスに貼着した際に、シート状基材が真下に垂れ下がり易くなる。特に、かかる構成では、貼着片に切込み入れる必要はないため、貼着片の強度を低下させることなく、従来構成よりも、シート状基材を垂れ下がり易くできる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、貼着片が破断し難く、かつ、従来構成に比べてシート状基材が真下に垂れ下がり易い自動車用RFIDタグを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1の自動車用RFIDタグ1の(A)表面図と(B)裏面図である。
図2】実施例1の自動車用RFIDタグ1の縦断側面図である。
図3】分離片部7を剥がし取った状態の自動車用RFIDタグ1の(A)表面図と(B)縦断側面図である。
図4】実施例1の自動車用RFIDタグ1を自動車のフロントガラスSに取り付けた状態を示す説明図である。
図5】自動車用RFIDタグ1を切込線8に沿って切断した拡大断面図である。
図6】変形例の切込線8a~8dを示す説明図である。
図7】実施例2の自動車用RFIDタグ1aの(A)裏面図と(B)縦断側面図である。
図8】実施例2の自動車用RFIDタグ1aを自動車のフロントガラスSに取り付けた状態を示す説明図である。
図9】実施例3の自動車用RFIDタグ1bの縦断側面図である。
図10】実施例3の自動車用RFIDタグ1bを自動車のフロントガラスSに取り付けた状態を示す説明図である。
図11】(A)実施例4の自動車用RFIDタグ1cと、(B)実施例5の自動車用RFIDタグ1dを示す説明図である。
図12】従来のタグ100を示す縦断側面図である。
図13】従来のタグ100を自動車のフロントガラスSに取り付けた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を、以下の実施例によって説明する。
【実施例0024】
本実施例の自動車用RFIDタグ1(以下、単に「タグ」とも言う。)は、シート状をなしており、図1,2に示すように、横長矩形状をなすシート状基材2と、シート状基材2の裏側に貼着されたRFIDラベル4と、シート状基材2の裏側上部に貼着された貼着片3とを備えてなる。
【0025】
シート状基材2は、適度な可撓性と強度を有するシートにより構成される。シート状基材2は、RFIDラベル4の無線通信を阻害しない材質であることが望ましく、紙や樹脂によって好適に構成され得る。シート状基材2は単層のシートでも、複数のシートを積層したものであってもよい。シート状基材2に採用し得る樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が挙げられる。なお、本実施例のタグ1は、無線通信によってRFIDラベル4の記憶情報を読み書きするためのものであり、シート状基材2の表裏に印刷は施されず、無地となっているが、シート状基材2の表面に所要情報を印刷して、フロントガラスSの外側から印刷情報を目視で確認できるようにしてもよい。
【0026】
RFIDラベル4は、無線通信によって情報を非接触で読書き可能な薄膜の情報媒体である。図1(B)に示すように、RFIDラベル4は、合成樹脂製フィルムからなる縦長矩形状のラベル基材11の一面側に、ICチップ12と薄膜状のアンテナ13を配置してなるものであり、シート状基材2の裏面に直接貼着される。
【0027】
アンテナ13は、ラベル基材11の一面側に、導電性材料を所定パターンで印刷することにより形成される。本実施例に係るアンテナ13は、UHF帯域の電磁波で無線通信するための平面型のダイポールアンテナである。本発明に係るRFIDラベルが無線通信に使用する電磁波は、UHF帯域の電磁波に限られないが、比較的長距離交信が可能なUHF帯域の電磁波で通信するものが好適である。
【0028】
ICチップ12は、アンテナ13の所定の接続部位の上に固着され、アンテナ13と電気的に接続される。ICチップ12は、情報を書き換え可能に格納可能なメモリを具備し、アンテナ13を介して外部装置と無線通信することにより、所要情報をメモリに記憶し、記憶した情報を随時読み出し得るよう構成される。本実施例の自動車用RFIDタグ1では、自動車の識別情報や、輸送先、到着予定日、輸送状況等がICチップ12に記憶され、当該自動車の管理に利用される。
【0029】
なお、本発明に係るRFIDラベルは、上述のものに限られず、従来構成の自動車用RFIDタグに使用される汎用品を広く用い得る。また、RFIDラベル4の貼着位置も適宜変更可能であり、シート状基材2の表側に貼着することも可能である。
【0030】
貼着片3は、適度な可撓性と強度を有する横長帯状のシートにより構成される。貼着片3は、シート状基材2と同様に、紙や樹脂によって構成され得る。また、貼着片3は、単層のシートでも、複数のシートを積層したものであってもよい。貼着片3の表側には、全面に粘着剤層15が形成されており、貼着片3は、粘着剤層15を介してシート状基材2の裏面上部に貼着される。
【0031】
図1,2に示すように、シート状基材2は、貼着片3の貼着部位を横断する水平な切込線8によって、下側の本体片部6と上側の分離片部7に切離されている。すなわち、貼着片3が切込線8を跨いで本体片部6と分離片部7に貼着していることにより、シート状基材2は、本体片部6と分離片部7に分離せず一体性を保っている。
【0032】
図1(B),2に示すように、分離片部7の裏面には、貼着片3の貼着部位全域をカバーするように、シリコンを塗布してなる剥離剤層16が形成されており、これにより、貼着片3は、分離片部7に対して剥離容易な状態で貼着されている。一方、本体片部6の裏面には、貼着片3の貼着部位に剥離剤層は全く形成されておらず、貼着片3は、本体片部6に対して剥離困難な状態で貼着されている。
【0033】
本実施例のタグ1を自動車に取り付ける際は、図3に示すように、シート状基材2の分離片部7を貼着片3から剥がし取り、分離片部7と貼着していた粘着剤層15を露出させる。そして、図4に示すように、粘着剤層15が露出した貼着片3の上部を、自動車のフロントガラスSの内側に押し付けて貼着し、シート状基材2の本体片部6をフロントガラスSの内側に垂れ下げる。
【0034】
上述のように自動車に取り付けられた本実施例のタグ1は、汎用のリーダライタによって自動車の外部から、RFIDラベル4の記録情報を非接触で読み書きできる。ここで、指向性のあるRFIDラベル4は、シート状基材2が真下に垂れ下がって自動車の真正面に向いていないと、所要の通信性能を発揮し難いが、本実施例のタグ1は、従来構成に比べて、シート状基材2が真下に垂れ下がり易く、RFIDラベル4の通信性能を発揮し易いという利点がある。
【0035】
詳述すると、図2に示すように、本実施例では、シート状基材2を本体片部6と分離片部7に切離する切込線8の切込みが貼着片3まで達しており、貼着片3の表側には、切込線8による切込みが全幅に亘って入っている。貼着片3は、かかる切込みの分だけ、切込線8の形成部位において剛度が低下して折れ曲がり易いため、図4に示すように、貼着片3をフロントガラスSに貼着した際には、シート状基材2の重みによって貼着片3が従来構成よりも大きく折れ曲がることで、シート状基材2が真下に垂れ下がり易くなっている。このように、本実施例のタグ1は、従来構成に比べて、切込線8の形成部位で貼着片3が折り曲げ容易であるため、事前に貼着片3を折り曲げて折り目をつけておかなくても、フロントガラスSに貼着したときに、シート状基材2を真下に垂れ下げて、RFIDラベル4に所要の通信性能を発揮させることができる。
【0036】
本実施例のタグ1は、貼着片3に入れる切込みの深さを、切込線の長手方向に沿って変動させることにより、貼着片3が切込線8の形成部位で破断し難いよう構成される。図5は、タグ1を切込線8に沿って水平に切断した拡大断面図である。図5において、ハッチング部分は、切込線8の切込みが入っていない部分を示し、ハッチング部分以外の部分は、切込線8の切込みが入っている部分を示している。図5に示すように、切込線8の切込みは、タグ1の表側から、シート状基材2や粘着剤層15を完全に切離して、貼着片3にまで達している。ここで、貼着片3への切込みの深さは一定でなく、切込線8は、貼着片3への切込みが比較的深い第一切込線部20と、貼着片3への切込みが比較的浅い第二切込線部21とからなる。具体的には、第一切込線部20における切込みは、シート状基材2及び粘着剤層15を通過して、貼着片3の厚みの半分程度まで達している。一方、第二切込線部21における切込みは、貼着片3の表面を切断せず、凹ませる程度であり、貼着片3の厚みの一割にも達していない。図5に示すように、第一切込線部20と第二切込線部21は、切込線8に沿って所定長さで交互に設けられる。
【0037】
このように、切込線8で貼着片3を切り込む深さを一定にせず、比較的切込みの深い部分と、比較的切込みの浅い部分を設ければ、切込みの深さを一定にする場合に比べて、貼着片が、同じ程度の折れ曲がり易さでも破断し難くなり、また、同じ程度の破断し難さでも折り曲がり易くなる。
【0038】
本実施例のタグ1は、例えば、以下の(1)~(3)の工程を順番に実行することにより製造され得る。ここで、(1)の工程は、本発明に係る貼着工程に相当し、(2)の工程は、本発明に係る切込線形成工程に相当する。
(1)シート状基材2の裏側上部に貼着片3を貼着する。
(2)切断刃を、シート状基材2の表側から切込線8の形成部位に押し込んで、シート状基材2を上下に切離するとともに、貼着片3に、第一切込線部20と第二切込線部21に相当する深さの切込みを入れる。
(3)シート状基材2の裏側にRFIDラベル4を貼着する。
【0039】
上述の(2)の工程では、刃先が凹凸形状をなす切断刃を使用すれば、一枚の切断刃によって、シート状基材2を本体片部6と分離片部7に切離するのと同時に、貼着片3に深さの異なる切込みを形成できるため、上述の製造方法によれば、切断刃や工数を増やすことなく、本実施例のタグ1を製造できる。
【0040】
なお、本発明に係る切込線の切込み深さは、実施例1に係る切込線8(図5参照)の形態に限らず適宜変更可能である。具体的には、第一切込線部20や第二切込線部21の切込み深さは、貼着片3の材質や厚さに応じて設定することが望ましい。また、実施例1に係る切込線8(図5参照)では、第一切込線部20と第二切込線部21が所定の長さで繰り返されているが、第一切込線部20と第二切込線部21は規則的に繰り返されていなくてもよい。
【0041】
図6は、切込線の変形例を示したものである。本発明に係る切込線は、図6(A)の切込線8aのように、第二切込線部21aにおいて、貼着片3に切込みを入れず、貼着片3の手前で切込みが止まっていてもよい。第二切込線部21aにおける切込みは、このように貼着片3の表面に到達しないか、または、実施例1の第二切込線部21(図5参照)のように、貼着片3の表面を切断せずに凹ませる程度であることが望ましい。第二切込線部21,21aにおいて貼着片3の表面に未切断部分を残すことにより、貼着片3が一層破断し難くなるためである。また、本発明に係る切込線は、図6(B)の切込線8bのように、第一切込線部20bにおける切込みが、貼着片3の裏側に貫通していてもよい。また、図6(C)の切込線8cのように、第一切込線部20及び第二切込線部21とは別の切込線部22が設けられたものであってもよい。また、図6(D)の切込線8dのように、切込みの深さが第一切込線部20dと第二切込線部21dで一定でなく、切込みの深さが切込線8に沿って連続的に変化するものであってもよい。
【実施例0042】
本実施例は、上記実施例1の構成を一部変更した変形例であり、実施例1と共通する構成については、本文及び図中で共通符号を付して、詳細な説明を省略する。
本実施例のタグ1aには、図7に示すように、貼着片3の裏面に、水平方向の易折曲部18が形成される。易折曲部18は、筋押し加工により形成された水平線状の凹溝であり、切込線8よりも下方に、易折曲部18の全幅に亘って形成される。かかる構成によれば、貼着片3は、易折曲部18の形成部位においても折れ曲がり易くなる。このため、図8に示すように、本実施例のタグ1aをフロントガラスSに貼着した際には、貼着片3が切込線8の形成部位と、易折曲部18の形成部位で折れ曲がることにより、実施例1よりも、シート状基材2が垂れ下がり易くなる。
【0043】
なお、本実施例の易折曲部18は、筋押し加工により形成された凹溝であるが、本発明に係る易折曲部は、凹溝に替えて、ハーフカット加工、ミシン目加工などによる切込みで構成することも可能である。
【実施例0044】
本実施例は、上記実施例2の構成を一部変更したものであり、実施例2と共通する構成については、本文及び図中で共通符号を付して、詳細な説明を省略する。
実施例2では、剥離剤層16が本体片部6の裏面に形成されず、分離片部7の裏面にのみ形成されているところ(図7参照)、本実施例のタグ1bでは、図9に示すように、剥離剤層16が本体片部6の上端部の裏面にも形成され、貼着片3を、本体片部6の上端部から剥離容易となっている。かかる構成によれば、図10に示すように、貼着片3をフロントガラスSに貼着した時に、本体片部6の上端部を貼着片3から剥離させることにより、切込線8の直下で、本体片部6に追従させることなく、貼着片3を容易に折り曲げ可能となるため、シート状基材2が一層垂れ下がり易くなる。特に、本実施例では、図10に示すように、本体片部6の上端部から剥がれて貼着片3が折れ曲がり易くなる高さに易折曲部18が形成されるため、実施例2よりも、易折曲部18の形成部位において、貼着片3が一層折れ曲がり易くなる。
【実施例0045】
本実施例は、上記実施例2のタグ1aの構成を一部変更したものであり、実施例2と共通する構成については、本文及び図中で共通符号を付して、詳細な説明を省略する。
本実施例は、実施例2の構成から、貼着片3への切込みを除いたものである。すなわち、実施例2では、シート状基材2を上下に切離する切込線8の切込みが、貼着片3まで達しているところ(図8参照)、本実施例のタグ1cは、図11(A)に示すように、シート状基材2を上下に切離する切込線の切込みが、貼着片3まで達しておらず、貼着片3に切込みが入っていない。かかる構成では、フロントガラスSが貼着した時に、貼着片3が易折曲部18で折れ曲がることにより、従来構成に比べてシート状基材2が垂れ下がり易くなる。本実施例は、実施例2に比べて、貼着片3が、切込線の形成部位で折れ曲がり難くなるが、貼着片3に切込みが入っていない分だけ、実施例2よりも貼着片3が破断し難いという利点もある。
【実施例0046】
本実施例は、上記実施例3のタグ1bの構成を一部変更したものであり、実施例3と共通する構成については、本文及び図中で共通符号を付して、詳細な説明を省略する。
本実施例は、実施例3の構成から、貼着片3への切込みと、易折曲部18を除いたものである。すなわち、本実施例のタグ1dは、図11(B)に示すように、シート状基材2を上下に切離する切込線の切込みが、貼着片3まで達しておらず、また、貼着片3の裏面に易折曲部18も形成されていない。かかる構成では、貼着片3をフロントガラスSに貼着した時に、本体片部6の上端部を貼着片3から剥離させることにより、切込線8の直下で、本体片部6に追従させることなく、貼着片3を容易に折り曲げ可能となるため、従来構成に比べてシート状基材2が垂れ下がり易くなる。本実施例は、実施例3に比べて、貼着片3が、切込線8や易折曲部18の形成部位で折れ曲がり難くなるが、貼着片3に切込みが入っていない分だけ、実施例3よりも貼着片3が破断し難いという利点もある。
【0047】
以上に、本発明の実施例について説明したが、本発明の実施形態は、上記実施例の構成に限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。例えば、本発明に係るタグは、自動車のフロントガラスに貼着するものに限らず、自動車のリアガラスやサイドガラスの内側に貼着するものであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,1a~1d,100 自動車用RFIDタグ
2 シート状基材
3 貼着片
4 RFIDラベル
6 本体片部
7 分離片部
8,8a~8d,80 切込線
11 ラベル基材
12 ICチップ
13 アンテナ
15 粘着剤層
16 剥離剤層
18 易折曲線
20,20b,20d 第一切込線部
21,21a,21d 第二切込線部
22 切込線部
S フロントガラス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図13