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特開2024-100567移動時間予測方法および移動時間予測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100567
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】移動時間予測方法および移動時間予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20240719BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20240719BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240719BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240719BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240719BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0969
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004664
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】三富 達矢
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 英吾
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB04
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD20
2F129DD39
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129EE81
2F129EE83
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF64
2F129FF65
2F129FF67
2F129FF71
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH19
5H181AA01
5H181BB13
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】対象者の移動時間の予測精度を向上させること。
【解決手段】情報処理装置101は、過去に第1の地点111から第2の地点112まで移動した利用者103~105のうち、第1の地点111から第2の地点112までの移動にかかった移動時間についての対象者102との差が所定の範囲内となる利用者を特定する。ここでは、利用者103~105のうち、利用者103,104が特定される。利用者103,104は、第1の地点111から第2の地点112までの移動時間が対象者102と近い利用者である。情報処理装置101は、特定した利用者103,104の第2の地点112から第3の地点113までの移動にかかった移動時間に基づいて、対象者102の第2の地点112から第3の地点113までの移動にかかる予測移動時間を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の地点から第2の地点を経由して第3の地点に移動する対象者の前記第2の地点から前記第3の地点までの移動にかかる予測移動時間を算出するにあたり、
過去に前記第1の地点から前記第2の地点まで移動した複数の利用者のうち、前記第1の地点から前記第2の地点までの移動にかかった移動時間についての前記対象者との差が所定の範囲内となる利用者を特定し、
特定した前記利用者の前記第2の地点から前記第3の地点までの移動にかかった移動時間に基づいて、前記予測移動時間を算出する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする移動時間予測方法。
【請求項2】
前記対象者が前記第1の地点から前記第2の地点まで移動した際の移動速度を示す第1の移動データを受け付ける、処理を前記コンピュータが実行し、
前記特定する処理は、
前記複数の利用者それぞれが前記第1の地点から前記第2の地点まで移動した際の移動速度を示す移動データ群を参照して、受け付けた前記第1の移動データが示す移動速度と前記移動データ群それぞれが示す移動速度との差を算出し、
前記複数の利用者のうち、算出した前記差が閾値以下となる利用者を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動時間予測方法。
【請求項3】
前記第2の地点から前記第3の地点までの経路に含まれる1または複数の区間を表す対象経路情報を受け付ける、処理を前記コンピュータが実行し、
前記算出する処理は、
特定した前記利用者の前記対象経路情報が表す経路に含まれる区間ごとの移動時間に基づいて、前記予測移動時間を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動時間予測方法。
【請求項4】
前記算出する処理は、
特定した前記利用者が前記経路に含まれる区間を移動した際の移動速度を示す移動データと、当該区間の距離とに基づいて、前記経路に含まれる区間ごとの移動時間を算出し、
算出した前記区間ごとの移動時間に基づいて、前記予測移動時間を算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の移動時間予測方法。
【請求項5】
算出した前記予測移動時間を出力する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の移動時間予測方法。
【請求項6】
第1の地点から第2の地点を経由して第3の地点に移動する対象者の前記第2の地点から前記第3の地点までの移動にかかる予測移動時間を算出するにあたり、
過去に前記第1の地点から前記第2の地点まで移動した複数の利用者のうち、前記第1の地点から前記第2の地点までの移動にかかった移動時間についての前記対象者との差が所定の範囲内となる利用者を特定し、
特定した前記利用者の前記第2の地点から前記第3の地点までの移動にかかった移動時間に基づいて、前記予測移動時間を算出する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする移動時間予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動時間予測方法および移動時間予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現在地から目的地までの複数の移動経路について、実際にかかる対象者の移動時間を予測する場合がある。例えば、複数人の過去のGPS(Global Positioning System)データなどから求めた区間ごとの移動時間情報をもとに、複数の移動経路それぞれの対象者の移動時間を見積もる場合がある。
【0003】
先行技術としては、例えば、複数の軌跡のうちで各経路に含まれる軌跡の数と、各経路の始終点と略一致する始終点を有する軌跡の数とに基づいて、経路選択確率を計算する経路計算システムがある。この経路計算システムは、各経路の経路移動距離および経路移動時間と、経路選択確率とに基づき、2種類の重みパラメータを始終点組合せごとに取得し、出発地と目的地との組合せに関連付けられる1組の始終点組合せに対応する2種類の重みパラメータを選択し、2種類のリンクコストと、1組の始終点組合せに対応する少なくとも2種類の重みパラメータとに基づいて、推奨経路を計算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-37976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、現在地から目的地までなどの移動にかかる対象者の移動時間を精度よく予測することが難しい。
【0006】
一つの側面では、本発明は、対象者の移動時間の予測精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施態様では、第1の地点から第2の地点を経由して第3の地点に移動する対象者の前記第2の地点から前記第3の地点までの移動にかかる予測移動時間を算出するにあたり、過去に前記第1の地点から前記第2の地点まで移動した複数の利用者のうち、前記第1の地点から前記第2の地点までの移動にかかった移動時間についての前記対象者との差が所定の範囲内となる利用者を特定し、特定した前記利用者の前記第2の地点から前記第3の地点までの移動にかかった移動時間に基づいて、前記予測移動時間を算出する、移動時間予測方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、対象者の移動時間の予測精度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態にかかる移動時間予測方法の一実施例を示す説明図である。
図2図2は、情報処理システム200のシステム構成例を示す説明図である。
図3図3は、移動時間算出装置201のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4図4は、端末Tiのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5図5は、移動データDB220の記憶内容の一例を示す説明図である。
図6図6は、移動時間算出装置201の機能的構成例を示すブロック図である。
図7図7は、通過リンクデータの具体例を示す説明図である。
図8図8は、対象経路情報の具体例を示す説明図である。
図9図9は、移動時間算出装置201の動作例を示す説明図(その1)である。
図10図10は、移動時間算出装置201の動作例を示す説明図(その2)である。
図11図11は、類似移動者テーブル1100の記憶内容の一例を示す説明図である。
図12図12は、リンク移動速度テーブル1200の記憶内容の一例を示す説明図である。
図13図13は、リンク距離テーブル1300の記憶内容の一例を示す説明図である。
図14図14は、リンク移動時間テーブル1400の記憶内容の一例を示す説明図である。
図15図15は、経路移動時間テーブル1500の記憶内容の一例を示す説明図である。
図16図16は、移動時間算出装置201の移動時間算出処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。
図17図17は、移動時間算出装置201の移動時間算出処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本発明にかかる移動時間予測方法および移動時間予測プログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる移動時間予測方法の一実施例を示す説明図である。図1において、情報処理装置101は、第1の地点から第2の地点を経由して第3の地点に移動する対象者の第2の地点から第3の地点までの移動にかかる予測移動時間を算出するコンピュータである。
【0012】
対象者は、例えば、車両のドライバーである。車両は、例えば、乗用車、トラック、オートバイなどである。第1~第3の地点は、例えば、道路上の地点である。道路は、例えば、道路の特徴点を表すノードと、ノード間をつなぐリンクとを含む道路ネットワークによって表される。ノードは、例えば、交差点、行き止まり、曲がり角などである。リンクは、道路の区間に相当する。
【0013】
従来、対象者の現在地から目的地までの経路の移動時間を見積もるにあたり、複数人の過去のGPSデータなどから求めた区間ごとの移動時間情報を記録し、記録した区間ごとの移動時間情報をもとに、経路の移動時間を見積もる場合がある。区間は、経路上のある地点と他の地点との間である。
【0014】
しかしながら、各区間の移動時間(通過時間)は、例えば、移動する人の特性や、移動する際の道路状況によって異なる。移動する人の特性は、例えば、乗用車、トラック、オートバイなどの車両の特性や、ドライバーの特性などである。移動する際の道路状況は、例えば、道路の混雑状況や路面状況などである。
【0015】
このため、単純に過去の移動時間情報から経路の移動時間を求めても、対象者が実際にかかる移動時間とは大きく異なる場合がある。例えば、対象者が混雑時に乗用車で移動する場合の移動時間を予測する際に、他の人が混雑時にオートバイで移動したときの移動時間情報や、空いているときに乗用車で移動したときの移動時間情報が含まれると、予測精度が低下する。
【0016】
なお、対象者が移動する時間帯と同一時間帯の移動時間情報を使うことで、道路状況の違いによる移動時間への影響を抑えることが考えられる。しかしながら、同一時間帯の移動時間情報を使用しても、移動する人の特性の違いによる移動時間への影響を考慮することができない。
【0017】
また、対象者と同じ特性の他の人の移動時間情報を使うことで、移動する人の特性の違いによる移動時間への影響を抑えることが考えられる。しかしながら、どういった特性が移動時間に影響を与えるかを恣意的に定義する必要があるが、実際どういった特性が移動時間に影響を与えるかは不明なため、定義することができない。また、たとえ特性を定義しても、その特性を表す情報を各人から取得する手段が必要となる。
【0018】
そこで、本実施の形態では、共通する区間の移動時間が対象者と近い利用者のデータを予測に用いることで、対象者の移動時間の予測精度を向上させる移動時間予測方法について説明する。ここで、情報処理装置101の処理例(下記(1)および(2)の処理に対応)について説明する。
【0019】
図1の例では、対象者102は、第1の地点111から第2の地点112を経由して第3の地点113に移動する者である。第1の地点111は、例えば、出発地である。第2の地点112は、例えば、現在地である。第3の地点113は、例えば、目的地である。また、第3の地点113は、現在地から目的地までの間の中継地であってもよい。情報処理装置101は、対象者102の第2の地点112から第3の地点113までの移動にかかる予測移動時間を算出する。
【0020】
(1)情報処理装置101は、過去に第1の地点111から第2の地点112まで移動した複数の利用者のうち、第1の地点111から第2の地点112までの移動にかかった移動時間についての対象者102との差が所定の範囲内となる利用者を特定する。ここで、所定の範囲は、任意に設定可能であり、第1の地点111から第2の地点112までの移動時間が対象者102と近い利用者を特定するために設定される。
【0021】
移動時間についての対象者102との差が所定の範囲内となる利用者は、例えば、第1の地点111から第2の地点112までの移動にかかった移動時間を比較することによって特定されてもよい。また、移動時間についての対象者102との差が所定の範囲内となる利用者は、例えば、第1の地点111から第2の地点112まで移動した際の平均移動速度を比較することによって特定されてもよい。
【0022】
図1の例では、過去に第1の地点111から第2の地点112まで移動した複数の利用者を「利用者103~105」とする。この場合、情報処理装置101は、例えば、利用者103~105それぞれが第1の地点111から第2の地点112まで移動した際の移動時間と、対象者102が第1の地点111から第2の地点112まで移動した際の移動時間との差を算出する。そして、情報処理装置101は、利用者103~105のうち、算出した差が閾値以下となる利用者を特定してもよい。
【0023】
また、情報処理装置101は、利用者103~105それぞれが第1の地点111から第2の地点112まで移動した際の平均移動速度と、対象者102が第1の地点111から第2の地点112まで移動した際の平均移動速度との差を算出する。そして、情報処理装置101は、利用者103~105のうち、算出した差が閾値以下となる利用者を特定してもよい。
【0024】
ここでは、利用者103~105のうち、利用者103,104が特定された場合を想定する。利用者103,104は、第1の地点111から第2の地点112までの移動時間が対象者102と近い利用者である。
【0025】
(2)情報処理装置101は、特定した利用者103,104の第2の地点112から第3の地点113までの移動にかかった移動時間に基づいて、対象者102の第2の地点112から第3の地点113までの移動にかかる予測移動時間を算出する。
【0026】
ここで、利用者103,104は、共通する区間(第1の地点111から第2の地点112まで)の移動時間が対象者102と近い利用者であり、共通する区間での道路状況や、移動する人の特性が対象者102と近いといえる。
【0027】
また、利用者103,104が第1の地点111から第2の地点112を経由して第3の地点113に移動したとする。この場合、利用者103,104が第2の地点112から第3の地点113に移動した際の道路状況についても、対象者102が第2の地点112から第3の地点113に移動する際の道路状況と近いといえる。
【0028】
このため、対象者102は、第2の地点112から第3の地点113までの区間についても、利用者103,104と同じような移動時間で移動する可能性が高いといえる。情報処理装置101は、利用者103,104の第2の地点112から第3の地点113までの移動時間を用いて、対象者102の第2の地点112から第3の地点113までの予測移動時間を算出する。
【0029】
具体的には、例えば、情報処理装置101は、利用者103,104の第2の地点112から第3の地点113までの平均移動時間を、対象者102の第2の地点112から第3の地点113までの予測移動時間としてもよい。また、情報処理装置101は、利用者103,104の第2の地点112から第3の地点113までの移動時間のうちの最大移動時間(または、最小移動時間)を、対象者102の第2の地点112から第3の地点113までの予測移動時間としてもよい。
【0030】
このように、情報処理装置101によれば、共通する区間(第1の地点111から第2の地点112)を移動した際の移動時間が対象者102と近く、共通する区間での道路状況や移動する人の特性が対象者102と近い利用者103,104を特定することができる。
【0031】
そして、情報処理装置101によれば、対象者102と特性が近い利用者103,104が第2の地点112から第3の地点113に移動した際の移動時間(実績移動時間)を用いて、対象者102の第2の地点112から第3の地点113までの移動時間(予測移動時間)を算出することができる。これにより、情報処理装置101は、移動する人の特性の違いによる移動時間への影響を抑えて、対象者102の移動時間の予測精度を向上させることができる。また、情報処理装置101は、例えば、移動する人の特性を表す情報を取得するための専用の手段を設けなくても、対象者102と特性が近い利用者103,104の移動時間を使用可能にすることができる。
【0032】
(情報処理システム200のシステム構成例)
つぎに、図1に示した情報処理装置101を含む情報処理システム200のシステム構成例について説明する。ここでは、図1に示した情報処理装置101を、情報処理システム200内の移動時間算出装置201に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0033】
図2は、情報処理システム200のシステム構成例を示す説明図である。図2において、情報処理システム200は、移動時間算出装置201と、端末T1~Tn(n:2以上の自然数)と、を含む。情報処理システム200において、移動時間算出装置201および端末T1~Tnは、有線または無線のネットワーク210を介して接続される。ネットワーク210は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、移動体通信網などである。
【0034】
以下の説明では、端末T1~Tnのうちの任意の端末を「端末Ti」と表記する場合がある(i=1,2,…,n)。また、端末Tiが搭載された車両を「車両Mi」と表記し、車両Miのドライバーを「移動者Ui」と表記する場合がある。
【0035】
移動時間算出装置201は、移動データDB(Database)220を有し、対象者の予測移動時間を算出するコンピュータである。対象者は、移動者U1~Unのうちのいずれかの移動者(ドライバー)である。移動時間算出装置201は、例えば、サーバである。移動データDB220の記憶内容については、図5を用いて説明する。
【0036】
端末Tiは、車両Miに搭載された、通信機能を有するコンピュータ(車載機)である。車両Miは、例えば、乗用車、トラック、オートバイなどである。例えば、端末Tiは、後述の図4に示すGPSユニット405から出力される位置情報を含むGPSデータを移動時間算出装置201などに送信する。
【0037】
(移動時間算出装置201のハードウェア構成例)
つぎに、移動時間算出装置201のハードウェア構成例について説明する。
【0038】
図3は、移動時間算出装置201のハードウェア構成例を示すブロック図である。図3において、移動時間算出装置201は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、ディスクドライブ303と、ディスク304と、通信I/F(Interface)305と、可搬型記録媒体I/F306と、可搬型記録媒体307と、を有する。また、各構成部は、バス300によってそれぞれ接続される。
【0039】
ここで、CPU301は、移動時間算出装置201の全体の制御を司る。CPU301は、複数のコアを有していてもよい。メモリ302は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMがOSのプログラムを記憶し、ROMがアプリケーションプログラムを記憶し、RAMがCPU301のワークエリアとして使用される。メモリ302に記憶されるプログラムは、CPU301にロードされることで、コーディングされている処理をCPU301に実行させる。
【0040】
ディスクドライブ303は、CPU301の制御に従ってディスク304に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク304は、ディスクドライブ303の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク304は、例えば、磁気ディスク、光ディスクなどである。
【0041】
通信I/F305は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して外部のコンピュータ(例えば、図2に示した端末T1~Tn)に接続される。そして、通信I/F305は、ネットワーク210と装置内部とのインターフェースを司り、外部のコンピュータからのデータの入出力を制御する。
【0042】
可搬型記録媒体I/F306は、CPU301の制御に従って可搬型記録媒体307に対するデータのリード/ライトを制御する。可搬型記録媒体307は、可搬型記録媒体I/F306の制御で書き込まれたデータを記憶する。可搬型記録媒体307は、例えば、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリなどである。
【0043】
なお、移動時間算出装置201は、上述した構成部のほかに、例えば、入力装置、ディスプレイなどを有してもよい。また、移動時間算出装置201は、上述した構成部のうち、例えば、可搬型記録媒体I/F306、可搬型記録媒体307を有さなくてもよい。
【0044】
(端末Tiのハードウェア構成例)
つぎに、端末Tiのハードウェア構成例について説明する。
【0045】
図4は、端末Tiのハードウェア構成例を示すブロック図である。図4において、端末Tiは、CPU401と、メモリ402と、ディスプレイ403と、通信I/F404と、GPSユニット405と、各種センサ406と、可搬型記録媒体I/F407と、可搬型記録媒体408と、を有する。また、各構成部はバス400によってそれぞれ接続される。
【0046】
ここで、CPU401は、端末Tiの全体の制御を司る。CPU401は、複数のコアを有していてもよい。メモリ402は、例えば、ROM、RAMおよびフラッシュROMなどを有する記憶部である。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU401のワークエリアとして使用される。メモリ402に記憶されるプログラムは、CPU401にロードされることで、コーディングされている処理をCPU401に実行させる。
【0047】
ディスプレイ403は、カーソル、アイコンあるいはツールボックスをはじめ、文書、画像、機能情報などのデータを表示する表示装置である。ディスプレイ403は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどである。
【0048】
通信I/F404は、通信回線を通じてネットワーク210に接続され、ネットワーク210を介して外部のコンピュータ(例えば、図2に示した移動時間算出装置201)に接続される。そして、通信I/F404は、ネットワーク210と自端末内部とのインターフェースを司り、外部装置からのデータの入出力を制御する。
【0049】
GPSユニット405は、GPS衛星からの電波を受信し、端末Tiの位置情報を出力する。端末Tiの位置情報は、例えば、緯度、経度、高度などの地球上の1点を特定する情報である。また、情報処理装置101は、DGPS(Differential GPS)により、GPSユニット405から出力される位置情報を補正することにしてもよい。また、衛星として、例えば、準天頂衛星システムの衛星を用いることにしてもよい。
【0050】
各種センサ406は、自車の状態や挙動、周囲の状況などを検出する。各種センサ406は、例えば、車速センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、ミリ波レーダなどである。可搬型記録媒体I/F407は、CPU401の制御に従って可搬型記録媒体408に対するデータのリード/ライトを制御する。可搬型記録媒体408は、可搬型記録媒体I/F407の制御で書き込まれたデータを記憶する。
【0051】
なお、端末Tiは、上述した構成部のほかに、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD、入力装置などを有してもよい。
【0052】
(移動データDB220の記憶内容)
つぎに、図5を用いて、移動時間算出装置201が有する移動データDB220の記憶内容について説明する。移動データDB220は、図3に示したメモリ302、ディスク304などの記憶装置により実現される。
【0053】
図5は、移動データDB220の記憶内容の一例を示す説明図である。図5において、移動データDB220は、移動者ID、リンクIDおよび移動速度のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、移動データ(例えば、移動データ500-1~500-12)をレコードとして記憶する。
【0054】
ここで、移動者IDは、移動者を一意に識別する識別子である。移動者は、各車両M1~Cnのドライバーである。リンクIDは、道路ネットワークに含まれるリンクを一意に識別する識別子である。リンクは、例えば、道路上のある地点(始点)と他の地点(終点)との間の区間に対応する。移動速度は、移動者IDにより識別される移動者が、リンクIDにより識別されるリンクを移動した際の平均移動速度を示す。
【0055】
例えば、移動データ500-1は、移動者ID「U1」により識別される移動者U1が、リンクID「L0」により識別されるリンクL0を移動した際の移動速度「40km/h」を示す。
【0056】
なお、移動データには、リンクIDにより識別されるリンクを移動した際の日時を特定する日時情報が含まれてもよい。また、移動データDB220では、例えば、移動者Uiが連続して移動した区間(リンク)の移動データがまとめて記憶される。移動者Uiが連続して移動した区間(リンク)の移動データは、例えば、不図示の日時情報によって特定されてもよい。例えば、移動データ500-1,500-2は、移動者U1がリンクL0,L1を連続して移動したことを示す。
【0057】
(移動時間算出装置201の機能的構成例)
図6は、移動時間算出装置201の機能的構成例を示すブロック図である。図6において、移動時間算出装置201は、取得部601と、受付部602と、特定部603と、算出部604と、出力部605と、を含む。取得部601~出力部605は制御部600となる機能であり、具体的には、例えば、図3に示したメモリ302、ディスク304、可搬型記録媒体307などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU301に実行させることにより、または、通信I/F305により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置に記憶される。
【0058】
取得部601は、移動者U1~Unの移動データを取得する。ここで、移動データは、道路ネットワークに含まれるリンク(区間)を移動者Uiが移動した際の移動速度を特定する情報である。移動速度は、例えば、リンクを移動した際の平均移動速度である。リンクは、例えば、道路上の交差点間の区間などである。
【0059】
具体的には、例えば、取得部601は、端末TiからGPSデータを取得する。GPSデータは、端末Tiの位置情報を含む。また、GPSデータには、例えば、移動者IDと日時情報とが含まれる。移動者IDは、端末Tiが搭載された車両Miのドライバー(移動者Ui)を識別する。日時情報は、端末Tiの位置情報が測位された日時を示す。
【0060】
なお、端末TiからのGPSデータの取得タイミングは、任意に設定可能である。例えば、取得部601は、一定時間間隔(例えば、数秒)の時点ごとに、その時点の端末Tiの位置情報を含むGPSデータを取得してもよい。また、取得部601は、所定時間(例えば、1分)ごとに、所定時間分の位置情報を含むGPSデータを取得してもよい。
【0061】
つぎに、取得部601は、端末Tiから取得したGPSデータから、道路ネットワークに含まれるリンクを移動した際のGPSデータを特定する。そして、取得部601は、特定したGPSデータから、リンクを移動した際の移動速度を算出することにより、移動データを生成する。
【0062】
移動データには、例えば、移動者ID、リンクIDおよび移動速度が含まれる。移動者IDは、移動者Uiを識別する識別子であり、例えば、GPSデータから特定される。リンクIDは、移動者Uiが移動したリンクを識別する識別子である。また、移動データには、リンクを移動した際の日時を特定する日時情報が含まれてもよい。
【0063】
移動速度は、例えば、特定したGPSデータから特定されるリンク内の2点間の距離と測位時間差をもとに算出することができる。この際、取得部601は、例えば、リンク内の複数の2点間の距離と測位時間差をもとに速度をそれぞれ算出し、算出した速度の平均を、リンクを移動した際の移動速度として算出する。
【0064】
ただし、GPSデータには、車両Miの車速を示す車速情報が含まれていてもよい。この場合、取得部601は、特定したGPSデータに含まれる車速情報が示す車速の平均を求めることにより、リンクを移動した際の移動速度を算出してもよい。
【0065】
これにより、取得部601は、移動者U1~Unの移動データを取得することができる。また、移動データの生成は、端末TiからのGPSデータをもとに、移動時間算出装置201とは異なる他のコンピュータ(例えば、不図示の情報提供サーバ)において行われてもよい。この場合、取得部601は、他のコンピュータから、移動者U1~Unの移動データを取得してもよい。また、移動データの生成は、端末TiにおいてGPSデータをもとに行われてもよい。この場合、取得部601は、端末Tiから、移動者Uiの移動データを取得してもよい。
【0066】
取得された移動データは、例えば、図5に示した移動データDB220に記憶される。
【0067】
受付部602は、対象者の第1の移動データを受け付ける。ここで、対象者は、第1の地点から第2の地点を経由して第3の地点に移動する者である。第1~第3の地点は、例えば、道路ネットワークに含まれるいずれかのノードに対応する。第1の地点は、例えば、出発地である。第2の地点は、例えば、現在地である。第3の地点は、例えば、目的地、または、現在地から目的地までの間の中継地である。
【0068】
第1の移動データは、対象者が第1の地点から第2の地点まで移動した際の移動速度を示す。移動速度は、例えば、平均移動速度である。第1の移動データは、例えば、リンクIDおよび移動速度を含む。リンクIDは、第1の地点から第2の地点までのリンクを識別する識別子である。移動速度は、リンクIDにより識別されるリンクを移動した際の平均移動速度である。なお、第1の移動データには、対象者を識別する移動者IDが含まれていてもよい。また、第1の移動データには、対象者が第1の地点から第2の地点に移動した際の日時を特定する日時情報が含まれてもよい。
【0069】
以下の説明では、対象者を「対象者Ui」と表記する場合がある。また、対象者Uiの第1の移動データを「通過リンクデータ」と表記する場合がある。
【0070】
通過リンクデータは、例えば、対象者Uiの端末TiにおいてGPSデータをもとに生成されてもよい。具体的には、例えば、受付部602は、対象者Uiの端末Tiから受信することにより、対象者Uiの通過リンクデータを受け付ける。通過リンクデータの具体例については、図7を用いて後述する。
【0071】
なお、通過リンクデータは、対象者Uiの端末TiからのGPSデータをもとに、移動時間算出装置201(または、情報提供サーバ)において生成されてもよい。例えば、移動時間算出装置201は、第1の地点、第2の地点および第3の地点の指定を受け付けたことに応じて、対象者Uiの端末TiからのGPSデータをもとに通過リンクデータを生成してもよい。第1の地点、第2の地点および第3の地点の指定は、例えば、対象者Uiの端末Tiから受け付ける。
【0072】
また、受付部602は、対象経路情報を受け付ける。ここで、対象経路情報は、第2の地点から第3の地点までの経路に含まれる1または複数の区間を表す。区間は、道路ネットワークに含まれるリンクに対応する。第2の地点から第3の地点までの経路は、例えば、対象者Uiの車両Miのナビゲーションシステム(不図示)により探索される。
【0073】
また、第2の地点から第3の地点までの経路は、移動時間算出装置201(または、情報提供サーバ)において探索されてもよい。例えば、移動時間算出装置201は、第1の地点、第2の地点および第3の地点の指定を受け付けたことに応じて、第2の地点から第3の地点までの経路を探索してもよい。
【0074】
第2の地点から第3の地点までの経路が複数存在する場合、対象経路情報は、第2の地点から第3の地点までの経路ごとに、当該経路に含まれる1または複数の区間を表す。具体的には、例えば、受付部602は、対象者Uiの端末Tiから受信することにより、対象者Uiの対象経路情報を受け付ける。対象経路情報の具体例については、図8を用いて後述する。
【0075】
特定部603は、過去に第1の地点から第2の地点まで移動した複数の移動者のうち、第1の地点から第2の地点までの移動にかかった移動時間についての対象者Uiとの差が所定の範囲内となる移動者を特定する。ここで、所定の範囲は、第1の地点から第2の地点までの移動時間が対象者Uiと近い移動者を特定するために設定される。
【0076】
過去に第1の地点から第2の地点まで移動した複数の移動者は、取得された移動データから特定される。具体的には、例えば、特定部603は、移動データDB220を参照して、過去に第1の地点から第2の地点まで移動した複数の移動者を特定する。この際、特定部603は、過去に第1の地点から第2の地点を経由して第3の地点に移動した複数の移動者を特定してもよい。また、特定部603は、対象者Uiを除く複数の移動者を特定してもよい。そして、特定部603は、移動データDB220から、特定した複数の移動者それぞれが第1の地点から第2の地点まで移動した際の移動速度を示す移動データ群を取得する。
【0077】
つぎに、特定部603は、取得した移動データ群を参照して、受け付けた通過リンクデータが示す移動速度と移動データ群それぞれが示す移動速度との差を算出する。そして、特定部603は、複数の移動者のうち、算出した差が閾値α以下となる移動者を特定する。閾値αは、任意に設定可能であり、例えば、5km/h程度に設定される。
【0078】
算出した差が閾値α以下となる移動者は、第1の地点から第2の地点までの移動にかかった移動時間についての対象者Uiとの差が所定の範囲内となる移動者に相当する。これにより、特定部603は、第1の地点から第2の地点までの移動時間が対象者Uiと近い移動者を特定することができる。
【0079】
以下の説明では、特定部603によって特定された移動者を「類似移動者」と表記する場合がある。
【0080】
算出部604は、特定された類似移動者の第2の地点から第3の地点までの移動にかかった移動時間に基づいて、対象者Uiの第2の地点から第3の地点までの移動にかかる予測移動時間を算出する。特定された類似移動者の第2の地点から第3の地点までの移動にかかった移動時間は、例えば、第1の地点から第2の地点を経由して第3の地点に移動した際の移動時間である。
【0081】
具体的には、例えば、算出部604は、対象経路情報が表す経路に含まれる区間ごとの、特定された類似移動者の移動時間に基づいて、対象者Uiの予測移動時間を算出する。対象経路情報が表す経路が複数存在する場合、算出部604は、複数の経路それぞれの経路について、当該経路に含まれる区間ごとの、特定された類似移動者の移動時間に基づいて、対象者Uiの予測移動時間を算出する。
【0082】
より詳細に説明すると、例えば、算出部604は、特定された類似移動者が経路に含まれる区間(リンク)を移動した際の移動速度を示す移動データと、当該区間の距離とに基づいて、経路に含まれる区間ごとの移動時間を算出する。
【0083】
類似移動者が経路に含まれる区間(リンク)を移動した際の移動速度を示す移動データは、例えば、移動データDB220から特定される。経路に含まれる区間の距離は、例えば、後述の図13に示すようなリンク距離テーブル1300から特定される。区間の移動時間は、例えば、区間の距離を、区間を移動した際の移動速度で除算することにより求めることができる。
【0084】
そして、算出部604は、算出した区間ごとの移動時間に基づいて、対象者Uiの予測移動時間を算出する。例えば、算出部604は、経路に含まれる各区間の移動時間を累積することにより、対象者Uiの予測移動時間を算出する。この予測移動時間は、対象経路情報から特定される経路で第2の地点から第3の地点に移動するのにかかる対象者Uiの予測移動時間である。
【0085】
出力部605は、算出された対象者Uiの第2の地点から第3の地点までの移動にかかる予測移動時間を出力する。出力部605の出力形式としては、例えば、メモリ302、ディスク304などの記憶装置への記憶、通信I/F305による他のコンピュータへの送信などがある。
【0086】
具体的には、例えば、出力部605は、対象経路情報から特定される経路と対応付けて、当該経路で第2の地点から第3の地点に移動するのにかかる対象者Uiの予測移動時間を端末Tiに送信してもよい。また、対象経路情報から特定される経路が複数存在する場合、出力部605は、複数の経路それぞれの経路と対応付けて、当該経路で第2の地点から第3の地点に移動するのにかかる対象者Uiの予測移動時間を端末Tiに送信する。
【0087】
この結果、対象者Uiの端末Tiにおいて、例えば、図4に示したディスプレイ403に、対象経路情報から特定される各経路と対応付けて、各経路で第2の地点から第3の地点に移動するのにかかる対象者Uiの予測移動時間が表示される。
【0088】
また、特定部603は、類似移動者を特定する際に、過去に第1の地点から第2の地点に移動した複数の移動者のうち、対象者Uiが第1の地点から第2の地点まで移動した時期と同時期に、第1の地点から第2の地点まで移動した類似移動者を特定してもよい。時期は、例えば、時間帯である。また、時期は、曜日、日付、季節などであってもよい。
【0089】
対象者Uiが第1の地点から第2の地点まで移動した時期は、例えば、通過リンクデータに含まれる日時情報から特定される。また、各移動者が第1の地点から第2の地点まで移動した時期は、例えば、移動データに含まれる日時情報から特定される。
【0090】
なお、移動時間算出装置201は、対象経路情報が表す経路に含まれる区間に、特定された類似移動者の移動実績(移動データ)がない区間がある場合、その区間については、類似移動者とは異なる他の移動者の実績移動時間(例えば、平均移動時間)を使用してもよい。
【0091】
(通過リンクデータの具体例)
図7を用いて、通過リンクデータの具体例について説明する。以下の説明では、第1の地点を「出発地」とし、第2の地点を「現在地」とし、第3の地点を「目的地」とする場合がある。
【0092】
図7は、通過リンクデータの具体例を示す説明図である。図7において、通過リンクデータ700は、通過リンク「L0」および移動速度「35km/h」を含む。通過リンク「L0」は、対象者Uiが出発地(第1の地点)から現在地(第2の地点)まで移動したリンク(区間)を示す。移動速度「35km/h」は、対象者UiがリンクL0を通過した際の平均移動速度を示す。
【0093】
(対象経路情報の具体例)
図8を用いて、対象経路情報の具体例について説明する。
【0094】
図8は、対象経路情報の具体例を示す説明図である。図8において、対象経路情報800は、経路IDおよびリンクIDを含む。経路IDは、現在地(第2の地点)から目的地(第3の地点)までの経路を一意に識別する識別子である。リンクIDは、経路に含まれるリンク(区間)を一意に識別する識別子である。
【0095】
経路R1は、リンクL1,L5を含む。経路R2は、リンクL2,L4,L5を含む。経路R3は、リンクL2,L3を含む。各経路R1~R3におけるリンクIDの順序は、現在地(第2の地点)から目的地(第3の地点)までに通過するリンク(区間)の順序に対応する。
【0096】
(移動時間算出装置201の動作例)
つぎに、図9および図10を用いて、移動時間算出装置201の動作例について説明する。
【0097】
図9および図10は、移動時間算出装置201の動作例を示す説明図である。図9において、道路ネットワーク900は、ノードN0~N4およびリンクL0~L5を含み、出発地(ノードN0)から現在地(ノードN1)を経由して目的地(ノードN4)に移動する経路R1~R3を表す。
【0098】
ノードN0は、第1の地点に対応する。ノードN1は、第2の地点に対応する。ノードN4は、第3の地点に対応する。経路R1~R3は、例えば、図8に示した対象経路情報800から特定される。ここでは、対象者Uiが出発地(ノードN0)から現在地(ノードN1)まで移動した場合を想定する。対象者Uiが出発地(ノードN0)から現在地(ノードN1)まで移動した際の移動速度は、例えば、図7に示した通過リンクデータ700から特定される。
【0099】
以下、対象者Uiが現在地(ノードN1)から目的地(ノードN4)まで各経路R1~R3で移動する際にかかる予測移動時間を算出する場合の動作例について説明する。
【0100】
移動時間算出装置201は、過去にリンクL0を移動した複数の移動者のうち、リンクL0の移動時間が対象者Uiと近い移動者(類似移動者)を特定する。リンクL0は、対象者Uiの出発地(ノードN0)から現在地(ノードN1)までの区間である。
【0101】
具体的には、例えば、移動時間算出装置201は、移動データDB220を参照して、過去にリンクL0を移動した複数の移動者を特定する。この際、移動時間算出装置201は、例えば、過去にリンクL0を通過して、目的地(ノードN4)、または、現在地(ノードN1)から目的地(ノードN4)までの間の中継地(例えば、ノードN3)に移動した複数の移動者を特定する。
【0102】
図5に示した移動データ500-1~500-12を例に挙げると、移動時間算出装置201は、過去にリンクL0を移動した移動者U1~U4を特定する。移動者U1は、過去にノードN0から、リンクL0,L1を通過して、ノードN3に移動している。移動者U2は、過去にノードN0から、リンクL0,L2,L4,L5を通過して、ノードN4に移動している。移動者U3は、過去にノードN0から、リンクL0,L2,L3を通過して、ノードN4に移動している。移動者U4は、過去にノードN0から、リンクL0,L1,L5を通過して、ノードN4に移動している。
【0103】
そして、移動時間算出装置201は、移動データDB220から、特定した移動者U1~U4それぞれがL0を通過した際の移動速度を示す移動データ500-1,500-3,500-7,500-10を取得する。
【0104】
つぎに、移動時間算出装置201は、取得した移動データ500-1,500-3,500-7,500-10を参照して、通過リンクデータ700が示す移動速度と移動データ500-1,500-3,500-7,500-10それぞれが示す移動速度との差を算出する。
【0105】
そして、移動時間算出装置201は、移動者U1~U4のうち、算出した差が閾値α以下となる移動者を、類似移動者として特定する。ここでは、閾値αを「α=5km/h」とする。ここで、移動者U1は、通過リンクデータ700が示す移動速度「35km/h」と移動データ500-1が示す移動速度「40km/h」との差が「5km/h」である。
【0106】
移動者U2は、通過リンクデータ700が示す移動速度「35km/h」と移動データ500-3が示す移動速度「35km/h」との差が「0km/h」である。移動者U3は、通過リンクデータ700が示す移動速度「35km/h」と移動データ500-7が示す移動速度「30km/h」との差が「5km/h」である。
【0107】
移動者U4は、通過リンクデータ700が示す移動速度「35km/h」と移動データ500-10が示す移動速度「60km/h」との差が「25km/h」である。このため、移動時間算出装置201は、移動者U1~U4のうち、算出した差が閾値α以下となる移動者U1~U3を、類似移動者として特定する。
【0108】
そして、移動時間算出装置201は、特定した類似移動者U1~U3の現在地(ノードN1)から目的地(ノードN4)までの各区間(例えば、リンクL1~L5)の移動時間に基づいて、対象者Uiの現在地(ノードN1)から目的地(ノードN4)までの予測移動時間を算出する。移動者U4は、対象者Uiとは異なる条件(移動する人の特性、道路状況)でリンクL0移動した者として除外される。
【0109】
まず、移動時間算出装置201は、移動データDB220から、特定した類似移動者U1~U3の移動データ500-1~500-9を抽出する。抽出された移動データ500-1~500-9は、例えば、図11に示すような類似移動者テーブル1100に記憶される。
【0110】
図11は、類似移動者テーブル1100の記憶内容の一例を示す説明図である。図11において、類似移動者テーブル1100は、移動データ1100-1~1100-9を記憶する。移動データ1100-1~1100-9は、図5に示した移動データ500-1~500-9にそれぞれ対応する。
【0111】
つぎに、移動時間算出装置201は、類似移動者テーブル1100を参照して、対象経路情報800が表す経路R1~R3に含まれるリンク(区間)ごとの平均移動速度を算出する。例えば、リンクL1の平均移動速度は、移動データ1100-2から「40km/h」となる。また、リンクL2の平均移動速度は、移動データ1100-4,1100-8から「35km/h(=(40km/h+30km/h)/2」となる。
【0112】
算出されたリンクごとの平均移動速度は、例えば、図12に示すようなリンク移動速度テーブル1200に記憶される。
【0113】
図12は、リンク移動速度テーブル1200の記憶内容の一例を示す説明図である。図12において、リンク移動速度テーブル1200は、リンクIDおよび移動速度のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、リンク移動速度情報1200-1~1200-5をレコードとして記憶する。
【0114】
ここで、リンクIDは、経路R1~R3に含まれるリンクを示す。移動速度は、リンクIDにより識別されるリンクを移動した際の平均移動速度を示す。例えば、リンク移動速度情報1200-1は、リンクL1の移動速度「40km/h」を示す。
【0115】
つぎに、移動時間算出装置201は、図13に示すようなリンク距離テーブル1300を参照して、経路R1~R3に含まれるリンクごとの距離を特定する。
【0116】
図13は、リンク距離テーブル1300の記憶内容の一例を示す説明図である。図13において、リンク距離テーブル1300は、リンクIDおよび距離のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、リンク距離情報1300-1~1300-5をレコードとして記憶する。
【0117】
ここで、リンクIDは、経路R1~R3に含まれるリンクを示す。距離は、リンクIDにより識別されるリンクの距離(区間長)を示す。例えば、リンク距離情報1300-1は、リンクL1の距離「5km」を示す。
【0118】
そして、移動時間算出装置201は、図12に示したリンク移動速度テーブル1200を参照して、特定した経路R1~R3に含まれるリンクL1~L5ごとの距離に基づいて、リンクL1~L5ごとの移動時間を算出する。
【0119】
例えば、リンクL1の移動時間は、リンク移動速度情報1200-1が示す移動速度「40km/h」およびリンクL1の距離「5km」から、「7.5分」となる。また、リンクL2の移動時間は、リンク移動速度情報1200-2が示す移動速度「35km/h」およびリンクL2の距離「5km」から、「8.6分」となる(ただし、小数点第二位を四捨五入)。
【0120】
算出されたリンクL1~L5ごとの移動時間は、例えば、図14に示すようなリンク移動時間テーブル1400に記憶される。
【0121】
図14は、リンク移動時間テーブル1400の記憶内容の一例を示す説明図である。図14において、リンク移動時間テーブル1400は、リンクIDおよび移動時間のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、リンク移動時間情報1400-1~1400-5をレコードとして記憶する。
【0122】
ここで、リンクIDは、経路R1~R3に含まれるリンクを示す。移動時間は、リンクIDにより識別されるリンクの移動にかかった平均移動時間を示す。例えば、リンク移動時間情報1400-1は、リンクL1の移動時間「7.5分」を示す。
【0123】
図10において、t2’は、リンクL2の移動時間「8.6分」を示す。t3’は、リンクL1の移動時間「7.5分」を示す。t4’は、リンクL3の移動時間「8分」を示す。t5’は、リンクL4の移動時間「4.5分」を示す。t6’は、リンクL5の移動時間「4.5分」を示す。なお、t1’は、リンクL0の移動時間を示す。
【0124】
そして、移動時間算出装置201は、リンク移動時間テーブル1400を参照して、経路R1~R3ごとに、経路R1~R3に含まれる各リンクの移動時間を累積することにより、対象者Uiの予測移動時間を算出する。
【0125】
経路R1の予測移動時間は、リンクL1,L5の移動時間を累積することにより、「t3’+t6’=12分」となる。また、経路R2の予測移動時間は、リンクL2,L4,L5の移動時間を累積することにより、「t2’+t5’+t6’=17.6分」となる。また、経路R3の予測移動時間は、リンクL2,L3の移動時間を累積することにより、「t2’+t4=16.6分」となる。
【0126】
算出された経路R1~R3ごとの予測移動時間は、例えば、図15に示すような経路移動時間テーブル1500に記憶される。
【0127】
図15は、経路移動時間テーブル1500の記憶内容の一例を示す説明図である。図15において、経路移動時間テーブル1500は、経路IDおよび予測移動時間のフィールドを有し、各フィールドに情報を設定することで、経路移動時間情報1500-1~1500-3をレコードとして記憶する。
【0128】
ここで、経路IDは、対象者Uiの現在地(ノードN1)から目的地(ノードN4)までの経路を一意に識別する識別子である。予測移動時間は、経路IDにより識別される経路で移動する際の予測移動時間を示す。例えば、経路移動時間情報1500-1は、経路R1の予測移動時間「12分」を示す。
【0129】
これにより、移動時間算出装置201は、経路R1~R3ごとの対象者Uiの予測移動時間を精度よく算出することができる。類似移動者U1~U3は、共通する区間(リンクL0)を移動した際の平均移動速度が対象者Uiと近い移動者であり、共通する区間での道路状況や移動する人の特性が近いといえる。例えば、対象者Uiが、リンクL0を混雑時に乗用車で移動したとする。この場合、類似移動者U1~U3も、リンクL0を混雑時に乗用車で移動した可能性が高い。
【0130】
また、類似移動者U1~U3は、共通する区間での道路状況が対象者Uiと近いということは、共通していない区間(リンクL0の後に移動する区間)の道路状況も対象者Uiと近いと考えられる。例えば、リンクL0が混雑しているということは、リンクL0に続くリンクL1~L5についても混雑している可能性が高い。
【0131】
このため、移動時間算出装置201は、類似移動者U1~U3の移動実績を用いることで、対象者Uiの移動時間を予測する際の精度を向上させることができる。
【0132】
(移動時間算出装置201の移動時間算出処理手順)
つぎに、図16および図17を用いて、移動時間算出装置201の移動時間算出処理手順について説明する。
【0133】
図16および図17は、移動時間算出装置201の移動時間算出処理手順の一例を示すフローチャートである。図16のフローチャートにおいて、まず、移動時間算出装置201は、対象者Uiの通過リンクデータおよび対象経路情報を受け付けたか否かを判断する(ステップS1601)。
【0134】
ここで、移動時間算出装置201は、通過リンクデータおよび対象経路情報を受け付けるのを待つ(ステップS1601:No)。そして、移動時間算出装置201は、通過リンクデータおよび対象経路情報を受け付けた場合(ステップS1601:Yes)、移動データDB220を参照して、過去に対象者Uiの出発地から現在地までの区間を移動した移動者を特定する(ステップS1602)。出発地から現在地までの区間は、通過リンクデータから特定される。
【0135】
つぎに、移動時間算出装置201は、特定した移動者のうち選択されていない未選択の移動者を選択する(ステップS1603)。そして、移動時間算出装置201は、移動データDB220を参照して、通過リンクデータが示す対象者Uiの移動速度と、選択した移動者が出発地から現在地までの区間を移動した際の移動速度との差を算出する(ステップS1604)。
【0136】
つぎに、移動時間算出装置201は、算出した差が閾値α以下か否かを判断する(ステップS1605)。ここで、算出した差が閾値αより大きい場合(ステップS1605:No)、移動時間算出装置201は、ステップS1608に移行する。一方、算出した差が閾値α以下の場合(ステップS1605:Yes)、移動時間算出装置201は、選択した移動者を類似移動者とする(ステップS1606)。
【0137】
そして、移動時間算出装置201は、移動データDB220から類似移動者の移動データを抽出する(ステップS1607)。つぎに、移動時間算出装置201は、特定した移動者のうち選択されていない未選択の移動者がいるか否かを判断する(ステップS1608)。
【0138】
ここで、未選択の移動者がいる場合(ステップS1608:Yes)、ステップS1603に戻る。一方、未選択の移動者がいない場合(ステップS1608:No)、移動時間算出装置201は、図17に示すステップS1701に移行する。
【0139】
図17のフローチャートにおいて、まず、移動時間算出装置201は、受け付けた対象経路情報を参照して、対象者Uiの現在地から目的地までの各経路に含まれるリンク(区間)を特定する(ステップS1701)。つぎに、移動時間算出装置201は、抽出した類似移動者の移動データを用いて、特定した各リンクの平均移動速度を算出する(ステップS1702)。
【0140】
そして、移動時間算出装置201は、特定した各リンクのリンク距離情報を読み込む(ステップS1703)。なお、道路ネットワークに含まれる各リンクのリンク距離情報は、例えば、予め取得されてメモリ302、ディスク304などの記憶装置に記憶されている。
【0141】
つぎに、移動時間算出装置201は、算出した各リンクの平均移動速度と、読み込んだ各リンクのリンク距離情報とに基づいて、各リンクの移動時間を算出する(ステップS1704)。そして、移動時間算出装置201は、現在地から目的地までの経路のうち選択されていない未選択の経路を選択する(ステップS1705)。
【0142】
つぎに、移動時間算出装置201は、算出した各リンクの移動時間を参照して、選択した経路に含まれるリンクの移動時間を累積することにより、選択した経路の予測移動時間を算出する(ステップS1706)。そして、移動時間算出装置201は、現在地から目的地までの経路のうち選択されていない未選択の経路があるか否かを判断する(ステップS1707)。
【0143】
ここで、未選択の経路がある場合(ステップS1707:Yes)、移動時間算出装置201は、ステップS1705に戻る。一方、未選択の経路がない場合(ステップS1707:No)、算出した各経路の予測移動時間を出力して(ステップS1708)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0144】
これにより、移動時間算出装置201は、対象者Uiの現在地から目的地までの経路ごとの予測移動時間を精度よく算出することができる。
【0145】
以上説明したように、実施の形態にかかる移動時間算出装置201によれば、第1の地点から第2の地点を経由して第3の地点に移動する対象者Uiの第2の地点から第3の地点までの移動にかかる予測移動時間を算出するにあたり、過去に第1の地点から第2の地点まで移動した複数の移動者のうち、第1の地点から第2の地点までの移動にかかった移動時間についての対象者Uiとの差が所定の範囲内となる類似移動者を特定することができる。複数の移動者は、例えば、過去に第1の地点から第2の地点を経由して第3の地点に移動した者である。
【0146】
これにより、移動時間算出装置201は、共通する区間(第1の地点から第2の地点)を移動した際の移動時間が対象者Uiと近く、共通する区間での道路状況や移動する人(ドライバー)の特性が対象者Uiと近い類似移動者を特定することができる。
【0147】
また、移動時間算出装置201によれば、特定した類似移動者の第2の地点から第3の地点までの移動にかかった移動時間に基づいて、対象者Uiの第2の地点から第3の地点までの移動にかかる予測移動時間を算出することができる。
【0148】
これにより、移動時間算出装置201は、対象者Uiと特性が近い類似移動者が第2の地点から第3の地点に移動した際の実績移動時間を用いて、対象者Uiの第2の地点から第3の地点までの移動時間(予測移動時間)を精度よく予測することができる。
【0149】
また、移動時間算出装置201によれば、類似移動者の第2の地点から第3の地点までの移動にかかった移動時間として、第1の地点から第2の地点を経由して第3の地点に移動した際の移動時間を用いることができる。
【0150】
これにより、移動時間算出装置201は、対象者Uiと道路状況(混雑状況など)が近い類似移動者が第2の地点から第3の地点に移動した際の実績移動時間を用いて、対象者Uiの第2の地点から第3の地点までの移動時間(予測移動時間)を精度よく予測することができる。類似移動者は、共通する区間(第1の地点から第2の地点)での道路状況が対象者Uiと近く、共通していない区間(第2の地点から第3の地点)の道路状況も対象者Uiと近いといえる。
【0151】
また、移動時間算出装置201によれば、対象者Uiが第1の地点から第2の地点まで移動した際の移動速度を示す第1の移動データ(通過リンクデータ)を受け付け、複数の移動者それぞれが第1の地点から第2の地点まで移動した際の移動速度を示す移動データ群を参照して、受け付けた第1の移動データが示す移動速度と移動データ群それぞれが示す移動速度との差を算出し、複数の移動者のうち、算出した差が閾値α以下となる移動者を、類似移動者として特定することができる。
【0152】
これにより、移動時間算出装置201は、第1の地点から第2の地点まで移動した際の移動速度(例えば、平均移動速度)が近い移動者を、共通する区間を移動した際の移動時間が対象者Uiと近い類似移動者として特定することができる。例えば、移動時間算出装置201は、各移動者が第1の地点から第2の地点まで移動するのにかかった実際の移動時間を計測しなくても、類似移動者を特定することができる。
【0153】
また、移動時間算出装置201によれば、第2の地点から第3の地点までの経路に含まれる1または複数の区間(リンク)を表す対象経路情報を受け付け、特定した類似移動者の対象経路情報が表す経路に含まれる区間ごとの移動時間に基づいて、対象者Uiの第2の地点から第3の地点までの予測移動時間を算出することができる。
【0154】
これにより、移動時間算出装置201は、対象経路情報から特定される経路で現在地(第2の地点)から目的地(第3の地点)まで移動する際の移動時間を予測することができる。
【0155】
また、移動時間算出装置201によれば、特定した類似移動者が経路に含まれる区間を移動した際の移動速度を示す移動データと、当該区間の距離とに基づいて、経路に含まれる区間ごとの移動時間を算出することができる。そして、移動時間算出装置201によれば、算出した区間ごとの移動時間に基づいて、対象者Uiの第2の地点から第3の地点までの予測移動時間を算出することができる。
【0156】
これにより、移動時間算出装置201は、類似移動者が経路に含まれる各区間(リンク)を移動した際の移動速度から、各区間の移動時間を予測することができる。
【0157】
また、移動時間算出装置201によれば、算出した対象者Uiの第2の地点から第3の地点までの予測移動時間を出力することができる。
【0158】
これにより、移動時間算出装置201は、対象者Uiが現在地から目的地まで移動するのにかかる移動時間を提示することができる。
【0159】
また、移動時間算出装置201によれば、複数の移動者のうち、対象者Uiが第1の地点から第2の地点まで移動した時期と同時期に、第1の地点から第2の地点まで移動した際の移動時間についての対象者Uiとの差が所定の範囲内となる類似移動者を特定することができる。
【0160】
これにより、移動時間算出装置201は、共通する区間での道路状況が対象者Uiと近い類似移動者を特定する際の精度を高めることができる。
【0161】
これらのことから、実施の形態にかかる移動時間算出方法および移動時間算出プログラムによれば、移動する人の特性の違いや道路状況の違いによる移動時間への影響を抑えて、対象者Uiの移動時間を精度よく予測することができる。
【0162】
例えば、車両Miのナビゲーションシステムにおいて、移動時間算出装置201から出力される対象者Uiの予測移動時間を利用することができる。具体的には、例えば、ある目的地に対象者Uiが向かう場合に、出発地から現在地まで移動したときに、車両Miのナビゲーションシステムにおいて、現在地から目的地までの経路ごとの正確な移動時間を提示して、対象者Uiの運転を支援することができる。
【0163】
また、対象者Uiの行動分析を行う際に、分析者は、移動時間算出装置201から出力される対象者Uiの予測移動時間を利用することができる。例えば、現在地から目的地までの経路R0~R3のうち、経路R0で対象者Uiが移動したとする。この場合に、分析者は、他の経路R1~R3の予測移動時間を、対象者Uiが経路R0をなぜ選んだのかといった行動分析に役立てることができる。
【0164】
なお、本実施の形態で説明した移動時間予測方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本移動時間予測プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本移動時間予測プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0165】
また、本実施の形態で説明した情報処理装置101(移動時間算出装置201)は、スタンダードセルやストラクチャードASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定用途向けICやFPGAなどのPLD(Programmable Logic Device)によっても実現することができる。
【0166】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0167】
(付記1)第1の地点から第2の地点を経由して第3の地点に移動する対象者の前記第2の地点から前記第3の地点までの移動にかかる予測移動時間を算出するにあたり、
過去に前記第1の地点から前記第2の地点まで移動した複数の利用者のうち、前記第1の地点から前記第2の地点までの移動にかかった移動時間についての前記対象者との差が所定の範囲内となる利用者を特定し、
特定した前記利用者の前記第2の地点から前記第3の地点までの移動にかかった移動時間に基づいて、前記予測移動時間を算出する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする移動時間予測方法。
【0168】
(付記2)前記対象者が前記第1の地点から前記第2の地点まで移動した際の移動速度を示す第1の移動データを受け付ける、処理を前記コンピュータが実行し、
前記特定する処理は、
前記複数の利用者それぞれが前記第1の地点から前記第2の地点まで移動した際の移動速度を示す移動データ群を参照して、受け付けた前記第1の移動データが示す移動速度と前記移動データ群それぞれが示す移動速度との差を算出し、
前記複数の利用者のうち、算出した前記差が閾値以下となる利用者を特定する、
ことを特徴とする付記1に記載の移動時間予測方法。
【0169】
(付記3)前記第2の地点から前記第3の地点までの経路に含まれる1または複数の区間を表す対象経路情報を受け付ける、処理を前記コンピュータが実行し、
前記算出する処理は、
特定した前記利用者の前記対象経路情報が表す経路に含まれる区間ごとの移動時間に基づいて、前記予測移動時間を算出する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の移動時間予測方法。
【0170】
(付記4)前記算出する処理は、
特定した前記利用者が前記経路に含まれる区間を移動した際の移動速度を示す移動データと、当該区間の距離とに基づいて、前記経路に含まれる区間ごとの移動時間を算出し、
算出した前記区間ごとの移動時間に基づいて、前記予測移動時間を算出する、
ことを特徴とする付記3に記載の移動時間予測方法。
【0171】
(付記5)算出した前記予測移動時間を出力する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記1~4のいずれか一つに記載の移動時間予測方法。
【0172】
(付記6)前記複数の利用者は、過去に前記第1の地点から前記第2の地点を経由して前記第3の地点に移動した利用者であり、
特定した前記利用者の前記第2の地点から前記第3の地点までの移動にかかった移動時間は、前記第1の地点から前記第2の地点を経由して前記第3の地点に移動した際の移動時間である、
ことを特徴とする付記1~5のいずれか一つに記載の移動時間予測方法。
【0173】
(付記7)前記特定する処理は、
前記複数の利用者のうち、前記対象者が前記第1の地点から前記第2の地点まで移動した時期と同時期に、前記第1の地点から前記第2の地点まで移動した際の移動時間についての前記対象者との差が前記所定の範囲内となる利用者を特定する、ことを特徴とする付記1に記載の移動時間予測方法。
【0174】
(付記8)第1の地点から第2の地点を経由して第3の地点に移動する対象者の前記第2の地点から前記第3の地点までの移動にかかる予測移動時間を算出するにあたり、
過去に前記第1の地点から前記第2の地点まで移動した複数の利用者のうち、前記第1の地点から前記第2の地点までの移動にかかった移動時間についての前記対象者との差が所定の範囲内となる利用者を特定し、
特定した前記利用者の前記第2の地点から前記第3の地点までの移動にかかった移動時間に基づいて、前記予測移動時間を算出する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする移動時間予測プログラム。
【符号の説明】
【0175】
101 情報処理装置
102 対象者
103,104,105 利用者
111 第1の地点
112 第2の地点
113 第3の地点
200 情報処理システム
201 移動時間算出装置
210 ネットワーク
220 移動データDB
300,400 バス
301,401 CPU
302,402 メモリ
303 ディスクドライブ
304 ディスク
305,404 通信I/F
306,407 可搬型記録媒体I/F
307,408 可搬型記録媒体
403 ディスプレイ
405 GPSユニット
600 制御部
601 取得部
602 受付部
603 特定部
604 算出部
605 出力部
700 通過リンクデータ
800 対象経路情報
900 道路ネットワーク
1100 類似移動者テーブル
1200 リンク移動速度テーブル
1300 リンク距離テーブル
1400 リンク移動時間テーブル
1500 経路移動時間テーブル
M1~Mn,Mi 車両
T1~Tn,Ti 端末
U1~Un 移動者
Ui 対象者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17