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特開2024-100588情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100588
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/86 20060101AFI20240719BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240719BHJP
   G01N 30/02 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G01N30/86 V
G05B23/02 301P
G05B23/02 301X
G01N30/86 D
G01N30/86 Q
G01N30/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004692
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【弁護士】
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】小谷 雄治
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223AA05
3C223AA18
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB02
3C223FF05
3C223FF13
3C223FF16
3C223FF17
3C223FF26
3C223FF46
3C223FF52
3C223FF53
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH03
3C223HH08
3C223HH22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガスクロマトグラフに関する緊急保守及び定期点検を緻密かつ簡便に行うという点で改善する。
【解決手段】サーバ装置10は、プラントPにおいてガスクロマトグラフィーにより測定対象ガスを分析するガスクロマトグラフ30により取得された第1の情報を取得し、プラントPを構成する機器40を制御する制御システム20により取得された、ガスクロマトグラフに関する情報である第2の情報を取得し、取得した第1の情報と、取得した第2の情報と、を含む画面を表示部に表示させる、制御部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントにおいてガスクロマトグラフィーにより測定対象ガスを分析するガスクロマトグラフにより取得された第1の情報を取得し、
前記プラントを構成する機器を制御する制御システムにより取得された、前記ガスクロマトグラフに関する情報である第2の情報を取得し、
前記取得した第1の情報と、前記取得した第2の情報と、を含む画面を表示部に表示させる、
制御部を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記測定対象ガスの分析結果である分析データと、前記ガスクロマトグラフに対する手動操作の履歴である第1操作履歴と、前記ガスクロマトグラフにおいて発生したアラームの履歴である第1アラームデータと、前記ガスクロマトグラフの測定に用いられる機器の設定情報である機器設定情報と、の少なくともいずれかを、前記第1の情報として取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記プラントの運転に関する操作の履歴である第2操作履歴と、前記プラントにおいて発生したアラームの履歴である第2アラームデータと、の少なくともいずれかを、前記第2の情報として取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
端末装置と通信するための通信部を更に備え、
前記制御部は、前記第1の情報及び前記第2の情報を前記通信部を介して前記端末装置へ送信して、前記第1の情報及び前記第2の情報を含む前記画面を、前記表示部として、前記端末装置が備える表示装置に表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記ガスクロマトグラフの使用環境に関する環境を示す環境情報を取得し、
前記ガスクロマトグラフの使用環境を説明変数、前記ガスクロマトグラフの部品の交換周期を目的変数として予め学習された予測モデルを用いて、前記環境情報に基づき、前記ガスクロマトグラフの前記部品の交換周期を予測し、
前記予測した交換周期を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ガスクロマトグラフの使用環境を説明変数、前記ガスクロマトグラフの部品の交換周期を目的変数として、ユーザにより重みが設定された重み付き重回帰分析により予め学習されたモデルを前記予測モデルとして用いて、前記環境情報に基づき前記交換周期を予測する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ガスクロマトグラフ及び前記制御システムの少なくともいずれかから取得した前記ガスクロマトグラフの使用環境を示す情報を説明変数、前記ガスクロマトグラフの部品の交換周期を目的変数として学習し、前記予測モデルを生成する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置の制御部が、
プラントにおいてガスクロマトグラフィーにより測定対象ガスを分析するガスクロマトグラフにより取得された第1の情報を取得する工程と、
前記プラントを構成する機器を制御する制御システムにより取得された、前記ガスクロマトグラフに関する情報である第2の情報を取得する工程と、
前記取得した第1の情報と、前記取得した第2の情報と、を含む画面を表示部に表示させる工程と、
を含む、情報処理装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
プラントにおいてガスクロマトグラフィーにより測定対象ガスを分析するガスクロマトグラフにより取得された第1の情報を取得する手順と、
前記プラントを構成する機器を制御する制御システムにより取得された、前記ガスクロマトグラフに関する情報である第2の情報を取得する手順と、
前記取得した第1の情報と、前記取得した第2の情報と、を含む画面を表示部に表示させる手順と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラントにおいて、ガスクロマトグラフによりガスタービンを試験するための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-053344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の構成においては、ガスクロマトグラフに関する緊急保守及び定期点検を緻密かつ簡便に行うという点で改善の余地があった。
【0005】
そこで、本開示は、ガスクロマトグラフに関する緊急保守及び定期点検を緻密かつ簡便に行うという点で改善することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る情報処理装置は、
(1)プラントにおいてガスクロマトグラフィーにより測定対象ガスを分析するガスクロマトグラフにより取得された第1の情報を取得し、
前記プラントを構成する機器を制御する制御システムにより取得された、前記ガスクロマトグラフに関する情報である第2の情報を取得し、
前記取得した第1の情報と、前記取得した第2の情報と、を含む画面を表示部に表示させる、
制御部を備える。
【0007】
このように、情報処理装置は、ガスクロマトグラフにより取得された第1の情報だけでなく、制御システムにより取得されたガスクロマトグラフに関する情報である第2の情報を含む画面を表示部に表示させる。したがって、ユーザは、第1の情報及び第2の情報を参照して、ガスクロマトグラフに関する多面的な情報を取得することができ、必要な保守及び点検を的確に実行することができる。
【0008】
一実施形態において、
(2)(1)の情報処理装置において、
前記制御部は、前記測定対象ガスの分析結果である分析データと、前記ガスクロマトグラフに対する手動操作の履歴である第1操作履歴と、前記ガスクロマトグラフにおいて発生したアラームの履歴である第1アラームデータと、前記ガスクロマトグラフの測定に用いられる機器の設定情報である機器設定情報と、の少なくともいずれかを、前記第1の情報として取得してもよい。
【0009】
このように、情報処理装置は、ガスクロマトグラフにより取得された、分析データ、第1操作履歴、第1アラームデータ、及び、機器設定情報の少なくともいずれかを表示部に表示させるため、ユーザは、これらの情報を用いて詳細な点検を行うことができる。
【0010】
一実施形態において、
(3)(1)又は(2)の情報処理装置において、
前記制御部は、前記プラントの運転に関する操作の履歴である第2操作履歴と、前記プラントにおいて発生したアラームの履歴である第2アラームデータと、の少なくともいずれかを、前記第2の情報として取得してもよい。
【0011】
このように、情報処理装置は、制御システムにより取得された、第2操作履歴及び第2アラームデータの少なくともいずれかを表示部に表示させるため、ユーザは、これらの情報を用いて詳細な点検を行うことができる。
【0012】
一実施形態において、
(4)(1)から(3)のいずれかの情報処理装置において、
端末装置と通信するための通信部を更に備え、
前記制御部は、前記第1の情報及び前記第2の情報を前記通信部を介して前記端末装置へ送信して、前記第1の情報及び前記第2の情報を含む前記画面を、前記表示部として、前記端末装置が備える表示装置に表示させてもよい。
【0013】
このように、情報処理装置は、第1の情報及び第2の情報を含む画面を端末装置に表示させるため、ユーザは、端末装置を介して遠隔からクロマトグラフの保守及び点検を行うことが可能である。
【0014】
一実施形態において、
(5)(1)から(4)のいずれかの情報処理装置において、
前記制御部は、
前記ガスクロマトグラフの使用環境に関する環境を示す環境情報を取得し、
前記ガスクロマトグラフの使用環境を説明変数、前記ガスクロマトグラフの部品の交換周期を目的変数として予め学習された予測モデルを用いて、前記環境情報に基づき、前記ガスクロマトグラフの前記部品の交換周期を予測し、
前記予測した交換周期を前記表示部に表示させてもよい。
【0015】
このように、情報処理装置は、予め学習された予測モデルを用いて、ガスクロマトグラフの使用環境に基づき部品の交換周期を予測して表示させるため、ユーザは、煩雑な部品の管理を行うことなく、部品を適切な時期に交換することが可能である。
【0016】
一実施形態において、
(6)(5)の情報処理装置において、
前記制御部は、前記ガスクロマトグラフの使用環境を説明変数、前記ガスクロマトグラフの部品の交換周期を目的変数として、ユーザにより重みが設定された重み付き重回帰分析により予め学習されたモデルを前記予測モデルとして用いて、前記環境情報に基づき前記交換周期を予測してもよい。
【0017】
このように、情報処理装置は、ユーザにより重みが設定された重み付き重回帰分析により予め学習されたモデルを用いて部品の交換周期を予測するため、ユーザの意図を反映した予測モデルを用いて部品の交換周期を予測することが可能である。
【0018】
一実施形態において、
(7)(5)又は(6)の情報処理装置において、
前記制御部は、前記ガスクロマトグラフ及び前記制御システムの少なくともいずれかから取得した前記ガスクロマトグラフの使用環境を示す情報を説明変数、前記ガスクロマトグラフの部品の交換周期を目的変数として学習し、前記予測モデルを生成してもよい。
【0019】
このように、情報処理装置は、ガスクロマトグラフ及び制御システムの少なくともいずれかから取得した情報を用いて予測モデルを生成するため、ガスクロマトグラフ及び制御システムの実際の使用状態を反映して、部品の交換周期を的確に予測することができる。
【0020】
幾つかの実施形態に係る情報処理装置の制御方法は、
(8)情報処理装置の制御部が、
プラントにおいてガスクロマトグラフィーにより測定対象ガスを分析するガスクロマトグラフにより取得された第1の情報を取得する工程と、
前記プラントを構成する機器を制御する制御システムにより取得された、前記ガスクロマトグラフに関する情報である第2の情報を取得する工程と、
前記取得した第1の情報と、前記取得した第2の情報と、を含む画面を表示部に表示させる工程と、
を含む。
【0021】
このように、情報処理装置の制御方法は、ガスクロマトグラフにより取得された第1の情報だけでなく、制御システムにより取得されたガスクロマトグラフに関する情報である第2の情報を含む画面を表示部に表示させる。したがって、ユーザは、第1の情報及び第2の情報を参照して、ガスクロマトグラフに関する多面的な情報を取得することができ、必要な保守及び点検を的確に実行することができる。
【0022】
幾つかの実施形態に係るプログラムは、
(9)コンピュータに、
プラントにおいてガスクロマトグラフィーにより測定対象ガスを分析するガスクロマトグラフにより取得された第1の情報を取得する手順と、
前記プラントを構成する機器を制御する制御システムにより取得された、前記ガスクロマトグラフに関する情報である第2の情報を取得する手順と、
前記取得した第1の情報と、前記取得した第2の情報と、を含む画面を表示部に表示させる手順と、
を実行させる。
【0023】
このように、プログラムを実行するコンピュータは、ガスクロマトグラフにより取得された第1の情報だけでなく、制御システムにより取得されたガスクロマトグラフに関する情報である第2の情報を含む画面を表示部に表示させる。したがって、ユーザは、第1の情報及び第2の情報を参照して、ガスクロマトグラフに関する多面的な情報を取得することができ、必要な保守及び点検を的確に実行することができる。
【発明の効果】
【0024】
本開示の一実施形態によれば、ガスクロマトグラフに関する緊急保守及び定期点検を緻密かつ簡便に行うという点で改善することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
図2図1のサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図3図1の制御システムの構成例を示すブロック図である。
図4図1のガスクロマトグラフの構成例を示すブロック図である。
図5図4の測定部の構成例を示す図である。
図6図1のクライアント装置の構成例を示すブロック図である。
図7図1のサーバ装置の動作例を示すフローチャートである。
図8図1のクライアント装置に表示される画面の構成例を示す図である。
図9図1のクライアント装置40において実際に表示される画面例を示す図である。
図10図1のサーバ装置の動作例を示すフローチャートである。
図11図1のサーバ装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<比較例>
比較例(特許文献1の請求項1)に係るガスタービン性能試験システムは、通信ネットワーク(140)を介してクライアントコンピュータ(145)に通信でつながれたサーバ(200)と、ガスタービン(105)の1つまたは複数の機能パラメータを取得するように構成されたトランスデューサシステム(110)と、トランスデューサシステム(110)に通信でつながれた信号変換器(115)であり、前記取得された1つまたは複数の機能パラメータを前記クライアントコンピュータ(145)に伝播するために前記サーバに提供されるガスタービン運転データに変換するように構成された前記信号変換器(115)と、前記サーバ(200)に通信でつながれた自動ガスクロマトグラフ(135)であり、ガスタービン(105)を動作させるために使用される天然ガスの試験サンプルを自動的に分析するように、および、前記ガスタービン運転データと結合してガスタービン性能試験結果を得るために前記クライアントコンピュータ(145)に伝播するために前記サーバ(200)に前記試験サンプルから得られた分析情報を提供するように構成された、前記自動ガスクロマトグラフ(135)とを備える、ガスタービン性能試験システム(100)である。
【0027】
しかし、ガスクロマトグラフに関する異常の保守及び点検を緻密かつ簡便に行うという点で改善の余地があった。
【0028】
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一の構成又は機能を有する部分には、同一の符号を付している。本実施形態の説明において、同一の部分については、重複する説明を適宜省略又は簡略化する場合がある。
【0029】
(管理システム)
図1は、一実施形態に係る管理システム1の構成例を示す図である。管理システム1は、プラントP内に設けられた各種の機器50及びプロセスライン60に関する、操作履歴、アラームデータ、分析データ、及び、機器設定情報等を含む各種データを管理する。管理システム1は、サーバ装置10、制御システム20、ガスクロマトグラフ30、及び、クライアント装置40を備える。本実施形態において、サーバ装置10、制御システム20、及び、ガスクロマトグラフ30は、プラントPの敷地内に設けられるが、サーバ装置10は、制御システム20、及び、ガスクロマトグラフ30と通信可能な状態で、プラントPの敷地外に設けられてもよい。サーバ装置10は、例えば、イントラネット、及び、インターネット等を含む各種のネットワークNを介してクライアント装置40と通信可能である。
【0030】
プラントPは、ガスクロマトグラフ30が設置される各種設備である。プラントPは、例えば、LNGプラント、製油所、又は、石油化学工場等であるが、これらに限られない。
【0031】
プロセスライン60は、ガスクロマトグラフ30の測定対象であるガスが流れるラインである。プロセスライン60は、例えば、ガスが流れる配管、及び、バルブ等により構成されてもよい。
【0032】
ガスクロマトグラフ30は、ガスクロマトグラフィーの手法を用いて、プロセスライン60を流れるガスの同定及び定量を含む、ガスの分析を行う装置である。図5を参照して後述するように、ガスクロマトグラフ30は、サンプルバルブ342、カラム343、及び、検出器344等を備える。ガスクロマトグラフ30は、自装置に対する手動操作の履歴を管理したり、ガスクロマトグラフ30において発生した異常を検出したり、あるいは、自装置の機器設定情報を管理したりする。ガスクロマトグラフ30は、ガスの分析データ、操作履歴、アラームデータ、及び、機器設定情報等を含む各種データをサーバ装置10へ送信する。また、ガスクロマトグラフ30は、サーバ装置10の制御に基づき、動作内容及び機器設定の内容等を更新する。ガスクロマトグラフ30の個数は任意である。
【0033】
機器50は、プラントPを構成する各種装置である。例えば、機器50には、プロセスライン60の上流若しくは下流に設けられた、バルブ及びタンク等が含まれてもよい。あるいは、機器50には、ガスクロマトグラフ30自身のバルブ、スイッチ、及び、ヒータ等が含まれてもよい。
【0034】
制御システム20は、機器50の動作を制御したり、機器50に関する物理量を測定したりする装置である。例えば、制御システム20は、プロセスライン60の上流又は下流に設けられた機器50、又は、ガスクロマトグラフ30のバルブ及びヒータ等の、ガスクロマトグラフ30の動作及び保守に関する、ガスクロマトグラフ30それ自身が取得できない情報を測定してもよい。具体的には、制御システム20は、プラント運転に関する操作履歴を管理したり、プラントPで発生した異常を検出したりしてもよい。制御システム20は、プラントPにおける操作履歴、アラームデータ等を含む各種データをサーバ装置10へ送信する。また、制御システム20は、サーバ装置10の制御に基づき、動作内容及び機器設定の内容等を更新する。
【0035】
本実施形態に係る情報処理装置としてのサーバ装置10は、制御システム20及びガスクロマトグラフ30から機器50及びプロセスライン60に関する各種データを受信して管理したり、制御システム20及びガスクロマトグラフ30の動作を制御したりするコンピュータである。サーバ装置10は、ネットワークNを介してクライアント装置40と通信し、機器50及びプロセスライン60に関する各種データをクライアント装置40へ送信したり、制御システム20及びガスクロマトグラフ30に対する指示を受信したりする。サーバ装置10は、例えば、WS(Workstation)又はPC(Personal Computer)等の汎用のコンピュータにより実現されるが、プラント管理のための専用の装置により実現されてもよい。
【0036】
本実施形態に係る端末装置としてのクライアント装置40は、サーバ装置10から受信した機器50及びプロセスライン60に関する各種データをユーザに対して表示したり、ユーザからの操作を受け付けたりするコンピュータである。クライアント装置40は、ユーザからの操作に応じて、制御システム20及びガスクロマトグラフ30に対する指示をサーバ装置10へ送信する。クライアント装置40は、例えば、PC又はタブレット端末等の汎用のコンピュータにより実現されるが、プラント管理のための専用の装置により実現されてもよい。
【0037】
上記のような構成において、サーバ装置10は、ガスクロマトグラフ30の各種データだけでなく、制御システム20の各種データをクライアント装置40へ送信し、これらの情報を併せて表示させる。したがって、クライアント装置40のユーザは、ガスクロマトグラフ30が取得した各種データだけでなく、ガスクロマトグラフ30自身は取得できない各種データも参照して、ガスクロマトグラフ30の異常に関する情報をより詳細に把握して、適切な保守を実施することができる。例えば、ユーザは、ガスクロマトグラフ30の異常、制御システム20の異常、及び、機器50の異常を区別して把握することができる。また、サーバ装置10は、カラム等のガスクロマトグラフ30の部品について、ガスクロマトグラフ30の測定ガス流量、交換時期、及び、交換周期等を学習データとして、部品の交換周期を学習し、部品の交換周期を予測する。サーバ装置10は、予測された交換周期に応じて、部品を交換すべき旨をクライアント装置40に通知し、ユーザに対して表示させる。したがって、ユーザは、適切なタイミングで、部品の交換等の保守を行うことができる。このように、本実施形態に係る構成によれば、ガスクロマトグラフ30に関する異常の保守及び点検をより緻密かつ簡便に行うことが可能となる。
【0038】
(サーバ装置)
図2は、図1のサーバ装置10の構成例を示すブロック図である。サーバ装置10は、1つ又は互いに通信可能な複数のコンピュータ装置である。図2に示すように、サーバ装置10は、制御部11、記憶部12、及び、通信部13を備える。
【0039】
制御部11は、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。制御部11は、サーバ装置10を構成する各構成部と通信可能に接続され、サーバ装置10全体の動作を制御する。
【0040】
記憶部12は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read-Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等の任意の記憶モジュールを含む。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部12は、サーバ装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部12は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び、制御システム20又はガスクロマトグラフ30から受信した各種データ等を記憶してもよい。記憶部12は、サーバ装置10に内蔵されているものに限定されず、外付けのデータベース又は外付け型の記憶モジュールであってもよい。
【0041】
通信部13は、任意の通信技術によってスキャナ等の他の装置と通信接続可能な、任意の通信モジュールを含む。通信部13は、さらに、他の装置との通信を制御するための通信制御モジュール、及び他の装置との通信に必要となる識別情報等の通信用データを記憶する記憶モジュールを含んでもよい。
【0042】
サーバ装置10の機能は、本実施形態に係るコンピュータプログラム(プログラム)を、制御部11に含まれるプロセッサで実行することにより実現されうる。すなわち、サーバ装置10の機能は、ソフトウェアにより実現されうる。コンピュータプログラムは、サーバ装置10の動作に含まれるステップの処理をコンピュータに実行させることで、各ステップの処理に対応する機能をコンピュータに実現させる。すなわち、コンピュータプログラムは、コンピュータを本実施形態に係るサーバ装置10として機能させるためのプログラムである。コンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0043】
サーバ装置10の一部又は全ての機能が、制御部11に含まれる専用回路により実現されてもよい。すなわち、サーバ装置10の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。また、サーバ装置10は単一のコンピュータにより実現されてもよいし、複数のコンピュータの協働により実現されてもよい。
【0044】
(制御システム)
図3は、図1の制御システム20の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、制御システム20は、制御部21、記憶部22、通信部23、及び、測定部24を備える。
【0045】
制御部21、記憶部22、及び、通信部23のハードウェア的な構成は、サーバ装置10の制御部11、記憶部12、及び、通信部13と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0046】
測定部24は、機器50に関する物理量を測定するセンサである。例えば、測定部24は、被測定対象の温度、圧力、及び、加速度等の任意の物理量を測定してもよい。
【0047】
制御システム20の記憶部22は、第2の情報としての各種データを記憶する。各種データは、例えば、操作履歴及びアラームデータ等である。第2操作履歴としての操作履歴は、制御システム20が取得したプラントPの運転に関する操作の履歴である。例えば、操作履歴は、バルブ操作及びスイッチ操作等の情報を含む。第2アラームデータとしてのアラームデータは、プラントPで発生したアラームの履歴である。例えば、アラームデータは、タンク内温度の異常等の、機器50の異常の情報を含む。なお、記憶部22が記憶する各種データには、例えば、測定部24により測定された物理量等の他の情報が含まれてもよい。
【0048】
サーバ装置10と同様に、制御システム20の一部又は全部の機能は、ソフトウェアにより実現されてもよい。あるいは、制御システム20の一部又は全ての機能が、制御部21に含まれる専用回路により実現されてもよい。すなわち、制御システム20の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。また、制御システム20は単一の装置により実現されてもよいし、複数の装置の協働により実現されてもよい。
【0049】
(ガスクロマトグラフ)
図4は、図1のガスクロマトグラフ30の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、ガスクロマトグラフ30は、制御部31、記憶部32、通信部33、及び、測定部34を備える。
【0050】
制御部31、記憶部32、及び、通信部33のハードウェア的な構成は、サーバ装置10の制御部11、記憶部12、及び、通信部13と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0051】
測定部34は、ガスクロマトグラフィーの手法を用いて、プロセスライン60を流れるガスの物理量を測定する。図5は、図4の測定部34の構成例を示す図である。測定部34は、恒温槽341、サンプルバルブ342、カラム343、及び、検出器344を備える。
【0052】
測定部34は、一定温度に制御された恒温槽341の中で、サンプルバルブ342により、プロセスライン60を流れる一定量の多成分混合のガスをプロセスサンプルとして採取し、キャリアガス(移動相)によりカラム343へ搬送する。キャリアガスは、プロセスサンプルをカラム343へと送り出すガスであり、サンプルバルブ342、カラム343、検出器344の順に定常的に流れる。キャリアガスは、安定なこと、及び、検出器信号のバックグラウンドとして影響の少ないことが求められる。例えば、H2、He、N2、及び、Ar等の無機ガスがキャリアガスとして用いられる。
【0053】
測定対象のガスは、カラム343の中で単一成分毎に分離され、順番に溶出する。キャリアガスによってカラム343に搬送されてきた多成分混合の測定対象のガス中の各成分は、各成分特有の分配係数に応じた一定の割合で、固定相への溶解と固定相からの溶出を繰り返しながらカラム343内を移動する。分配係数とは、注目する成分が平衡状態で移動相と固定相に存在する濃度比であり、移動相に存在する濃度を分母として算出される。移動速度は、分配係数により異なるので、プロセスサンプルは徐々に成分ごとに分離され、移動速度の速い成分の順にカラム343から送り出されることになる。
【0054】
検出器344は、カラム343から溶出した成分を電気信号に変換することでクロマトグラムを取得する。ガスクロマトグラフ30の制御部31は、このクロマトグラムに基づき測定対象のガスの物理量を測定する。例えば、制御部31は、クロマトグラムの各の成分のピーク面積から濃度を算出してもよい。なお、キャリアガスにより搬送された測定対象のガスは、ベントから排出される。
【0055】
ガスクロマトグラフ30の記憶部32は、上記のような構成により取得された分析データを含む、第1の情報としての各種データを記憶する。各種データは、例えば、ガスクロマトグラフ30の分析データ、操作履歴、アラームデータ、及び、機器設定情報等である。分析データは、プロセスライン60を流れる測定対象のガスの分析結果の情報である。第1操作履歴としての操作履歴は、ガスクロマトグラフ30に対する手動操作の履歴である。例えば、操作履歴は、パラメータ変更、及び、キャリブレーション操作等の情報を含む。第1アラームデータとしてのアラームデータは、ガスクロマトグラフ30において発生したアラームの履歴である。例えば、アラームデータは、ヒータ温度の異常等の情報を含む。機器設定情報は、ガスクロマトグラフ30の測定に必要な機器の設定情報である。例えば、機器設定情報は、シーケンス設定、及び、外部信号設定等に関する情報を含む。なお、記憶部32が記憶する各種データには、例えば、過去のクロマトグラムデータ及び分析値等の他の情報が含まれてもよい。
【0056】
サーバ装置10と同様に、ガスクロマトグラフ30の一部又は全部の機能は、ソフトウェアにより実現されてもよい。あるいは、ガスクロマトグラフ30の一部又は全ての機能が、制御部31に含まれる専用回路により実現されてもよい。すなわち、ガスクロマトグラフ30の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。また、ガスクロマトグラフ30は単一の装置により実現されてもよいし、複数の装置の協働により実現されてもよい。
【0057】
(クライアント装置)
図6は、図1のクライアント装置40の構成例を示すブロック図である。図6に示すように、クライアント装置40は、制御部41、記憶部42、通信部43、入力部44、及び、出力部45を備える。
【0058】
制御部41、記憶部42、及び、通信部43のハードウェア的な構成は、サーバ装置10の制御部11、記憶部12、及び、通信部13と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0059】
入力部44は、ユーザの入力操作を受け付けて、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力インターフェースを含む。例えば、入力部14は、物理キー、静電容量キー、ポインティングディバイス、出力部15のディスプレイ(表示部)と一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等であるが、これらに限定されない。
【0060】
出力部15は、ユーザに対して情報を出力し、ユーザに通知する1つ以上の出力インターフェースを含む。例えば、出力部15は、情報を画像として出力するディスプレイ、又は情報を音声で出力するスピーカ等であるが、これらに限定されない。このようなディスプレイは、例えば、液晶パネルディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等としてもよい。なお、上述の入力部14及び出力部15の少なくとも一方は、クライアント装置40と一体に構成されてもよいし、別体として設けられてもよい。
【0061】
サーバ装置10と同様に、クライアント装置40の一部又は全部の機能は、ソフトウェアにより実現されてもよい。あるいは、クライアント装置40の一部又は全ての機能が、制御部41に含まれる専用回路により実現されてもよい。すなわち、クライアント装置40の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。また、クライアント装置40は単一のコンピュータにより実現されてもよいし、複数のコンピュータの協働により実現されてもよい。
【0062】
(動作例1)
図7は、図1のサーバ装置10の動作例1を示すフローチャートである。図7を参照して説明するサーバ装置10の動作は情報処理装置の制御方法の一つに相当し得る。図7の各ステップの動作は、サーバ装置10の制御部11による制御に基づき実行され得る。
【0063】
ステップS1において、制御部11は、制御システム20から記憶部22に記憶された各種データを受信する。例えば、制御部11は、各種データとして、前述の操作履歴及びアラームデータを受信する。
【0064】
ステップS2において、制御部11は、ガスクロマトグラフ30から記憶部32に記憶された各種データを受信する。例えば、制御部11は、前述のガスクロマトグラフ30の分析データ、操作履歴、アラームデータ、及び、機器設定情報等を受信する。
【0065】
なお、制御部11は、ステップS1の処理とステップS2の処理の順番を入れ替えて実行してもよい。また、制御部11は、ステップS1の処理及びステップS2の処理を複数回実行してもよい。
【0066】
ステップS3において、制御部11は、ステップS1で受信した制御システム20の各種データ、及び、ステップS2で受信したガスクロマトグラフ30の各種データを表示させる。本実施形態において、サーバ装置10は、これらのデータをクライアント装置40へ送信して出力部45の表示部(ディスプレイ)に表示させるが、サーバ装置10が備える表示部等の他の装置に表示させてもよい。
【0067】
図8は、図1のクライアント装置40に表示される画面100の構成例を示す図である。図9は、図1のクライアント装置40において実際に表示される画面例を示す図である。図8及び図9に例示するように、画面100は、制御システム20の各種データ、及び、ガスクロマトグラフ30の各種データを表示するための複数の領域110~180を含む。
【0068】
領域110は、測定ガス名の表示域である。ユーザは、領域110を参照して、測定ガスを確認することができる。
【0069】
領域120は、制御システム20の操作履歴の表示域である。ユーザは、領域120を参照して、プラントPの運転状態を確認し、ガスクロマトグラフ30の異常の原因となる操作があるかを確認することができる。
【0070】
領域130は、制御システム20の警報(アラーム)の一覧の表示域である。ユーザは、領域130を参照して、制御システム20において測定ガスのプロセスライン60に異常がないかを確認することができる。
【0071】
領域140は、制御システム20において測定された各種データのトレンドの表示域である。ユーザは、領域140を参照して、トレンドを確認し、ガスクロマトグラフ30の警報の原因となっている異常がないかを確認することができる。
【0072】
領域150は、ガスクロマトグラフ30の測定データの表示域である。ユーザは、領域150を参照して、測定対象のガスの分析結果を確認することができる。
【0073】
領域160は、ガスクロマトグラフ30の警報の一覧の表示域である。ユーザは、領域160を参照して、ユーザは、領域160を参照して、ガスクロマトグラフ30の異常を確認することができる。
【0074】
領域170は、ガスクロマトグラフ30の操作履歴の表示域である。ユーザは、領域170を参照して、ガスクロマトグラフ30の異常の原因となる操作があるかを確認することができる。
【0075】
領域180は、ガスクロマトグラフ30のパラメータの一覧の表示域である。ユーザは、領域180を参照して、ガスクロマトグラフ30の指示値に異常があるかを確認することができる。異常がある場合、ユーザは、過去の構成パラメータに問題がないか確認することができる。
【0076】
図9の例において、領域160は、「2022/11/15 10:31 C-COEF 校正係数異常」及び「2022/11/15 10:22 CONC OUT 濃度異常」を表示しているため、ユーザは、ガスクロマトグラフ30の校正係数及び濃度に異常が生じていることを認識する。そこで、ユーザは、領域120、130を参照して、これらの異常に関連する情報がないかを確認する。図9の例において、領域120は、「2022/11/15 8:10 分解炉出口弁OPEN」、「2022/11/15 7:10 原料FEED弁OPEN」、及び、「2022/11/15 6:30 原料FEED弁OPEN」を表示している。ユーザは、領域120を参照して、ガスクロマトグラフ30の異常が検出された日時に先立ち領域120に示される操作が行われたことを認識することができる。領域130は、「2022/11/15 10:31 分解炉No.3温度異常」、「2022/11/15 10:22 分解炉出口温度異常」、及び、「2022/11/15 9:10 分解炉酸素濃度異常」を表示している。ユーザは、領域130を参照して、ガスクロマトグラフ30において異常が検出された日時と同一の日時に分解炉の温度及び酸素濃度に異常があったことを認識することができる。領域140は、制御システム20により取得された各種データのトレンドを示すグラフを表示している。ユーザは、領域140を参照して、ガスクロマトグラフ30の警報との関連性があるイベントがなかったかを確認することができる。ユーザは、領域150,170,180の情報も参照して、ガスクロマトグラフ30の異常の原因を詳細に確認することができる。
【0077】
制御部11は、ステップS3の処理を終えると、図7のフローチャートの処理を終了する。
【0078】
以上のように、サーバ装置10は、プラントPにおいてガスクロマトグラフィーにより測定対象ガスを分析するガスクロマトグラフ30により取得された第1の情報を取得する。サーバ装置10は、プラントPを構成する機器50を制御する制御システム20により取得された、ガスクロマトグラフ30に関する情報である第2の情報を取得する。サーバ装置10は、取得した第1の情報と、取得した第2の情報と、を含む画面100を表示部(出力部45)に表示させる。このように、サーバ装置10は、ガスクロマトグラフ30により取得された第1の情報だけでなく、制御システム20により取得されたガスクロマトグラフ30に関する情報である第2の情報を含む画面100を表示させる。したがって、ユーザは、第1の情報及び第2の情報を参照して、ガスクロマトグラフ30に関する異常に関する多面的な情報を取得することができ、必要な保守及び点検を的確に実行することができる。
【0079】
なお、サーバ装置10は、ガスクロマトグラフ30から取得した、分析データと、操作履歴と、アラームデータと、機器設定情報と、の少なくともいずれかを、第1の情報として取得し、表示部に表示させてもよい。したがって、ユーザは、これらの情報を用いて詳細な点検を行うことができる。
【0080】
また、サーバ装置10は、プラントPの運転に関する操作の履歴である第2操作履歴と、プラントPにおいて発生したアラームの履歴である第2アラームデータと、の少なくともいずれかを、第2の情報として取得し、表示部に表示させてもよい。したがって、ユーザは、これらの情報を用いて詳細な点検を行うことができる。
【0081】
また、サーバ装置10は、クライアント装置40と通信するための通信部13を更に備えてもよい。サーバ装置10は、第1の情報及び第2の情報を通信部13を介してクライアント装置40へ送信して、第1の情報及び第2の情報を含む画面100を、クライアント装置40が備える表示装置(出力部45)に表示させてもよい。このように、サーバ装置10は、第1の情報及び第2の情報を含む画面100をクライアント装置40に表示させるため、ユーザは、クライアント装置40を介して遠隔からクロマトグラフの保守及び点検を行うことが可能である。
【0082】
(動作例2)
図10は、図1のサーバ装置10の動作例2を示すフローチャートである。図10を参照して説明するサーバ装置10の動作は情報処理装置の制御方法の一つに相当し得る。図10の各ステップの動作は、サーバ装置10の制御部11による制御に基づき実行され得る。
【0083】
ステップS11において、制御部11は、ガスクロマトグラフ30の使用環境に関する情報を取得する。例えば、制御部11は、対象ガスクロ、対象測定流路、及び、測定ガス温度毎に、測定ガス流量、及び、カラム交換時期を含む情報をガスクロマトグラフ30から受信する。なお、制御部11は、予め記憶部12に記憶されたこれらの情報を、記憶部12から読み出すことで取得してもよい。
【0084】
ステップS12において、制御部11は、ステップS11で取得した情報により示される使用環境において使用された、ガスクロマトグラフ30のカラム343等の部品の交換周期を取得する。
【0085】
ステップS13において、制御部11は、ステップS11において取得した使用環境に関する情報と、ガスクロマトグラフ30の部品の交換周期とに基づいて、ガスクロマトグラフ30の使用環境から部品の交換周期を予測するための予測モデルを作成する。
【0086】
制御部11は、例えば、ガスクロマトグラフ30の部品の交換周期について、ガスクロマトグラフ30の使用環境に関する複数の情報を説明変数、交換周期を目的関数として重回帰分析により予測モデルを作成してもよい。制御部11は、説明変数の重みをユーザにより設定可能にしてもよい。具体的には、制御部11は、対象ガスクロDn、対象測定流路Cn、及び、測定ガス温度Ynについて、数式(1)のように、測定ガス流量a1、カラム交換時期a2、及び、カラム交換周期a3を説明変数として、重み付きの重回帰分析を行い、カラム交換周期を予測するための予測モデルを作成してもよい。ここで、nは、ガスクロマトグラフ30を識別する自然数(n=1,2,3,・・・)である。例えば、管理システム1がk台のガスクロマトグラフ30を備える場合、n=1,2,3,・・・,kである。
【0087】
S(Dn,Cn,Yn)=p11+p22+p33 (1)
【0088】
数式(1)において、Sは、ガスクロマトグラフDnにおける部品の交換周期に関する学習データである。p1,p2,p3は、重回帰分析の重み付けのためのパラメータである。制御部11は、予測モデル作成の際に、ユーザからパラメータp1,p2,p3の設定変更を受け付けてもよい。
【0089】
さらに、制御部11は、Sについて、数式(2)に基づき部品毎の回帰分析を行い、予測モデルを作成してもよい。
【0090】
【0091】
数式(2)において、fは、全ガスクロマトグラフ30に対する部品の交換周期に関する学習データである。Pnは、部品ごとの回帰分析を行うためのパラメータである。制御部11は、予測モデル作成の際に、ユーザからパラメータPnの設定変更を受け付けてもよい。
【0092】
なお、制御部11は、重回帰分析以外の任意の機械学習の手法により部品の交換周期を予測するための予測モデルを作成してもよい。
【0093】
ステップS13の処理を終えると、制御部11は、図10のフローチャートの処理を終了する。
【0094】
(動作例3)
図11は、図1のサーバ装置10の動作例3を示すフローチャートである。図11を参照して説明するサーバ装置10の動作は情報処理装置の制御方法の一つに相当し得る。図10の各ステップの動作は、サーバ装置10の制御部11による制御に基づき実行され得る。
【0095】
ステップS21において、制御部11は、ガスクロマトグラフ30の使用環境に関する情報を取得する。例えば、制御部11は、対象ガスクロマトグラフ、対象測定流路、及び、測定ガス温度毎に、測定ガス流量、及び、カラム交換時期を含む情報を、ガスクロマトグラフ30及び制御システム20の少なくともいずれかから受信する。制御部21は、予め記憶部12に記憶されたこれらの情報を、記憶部12から読み出すことで取得してもよい。
【0096】
ステップS22において、制御部11は、図10のフローに基づき予め学習された予測モデルを利用して、ステップS21で取得した情報に基づきガスクロマトグラフ30のカラム343等の部品の交換周期を予測する。
【0097】
ステップS23において、制御部11は、ステップS22で予測した部品の交換周期をユーザに通知する。例えば、制御部11は、クライアント装置40に部品の交換周期を送信し、クライアント装置40の出力部45の表示部に表示させてもよい。あるいは、制御部11は、サーバ装置10が備える表示部等の他の装置に部品の交換周期を表示させてもよい。ステップS23の処理を終えると、制御部11は、図11のフローチャートの処理を終了する。
【0098】
以上のように、サーバ装置10は、ガスクロマトグラフ30の使用環境に関する環境を示す環境情報を取得してもよい。サーバ装置10は、ガスクロマトグラフ30の使用環境を説明変数、ガスクロマトグラフ30の部品(例えば、カラム343)の交換周期を目的変数として予め学習された予測モデルを用いて、環境情報に基づき、ガスクロマトグラフ30の部品の交換周期を予測してもよい。サーバ装置10は、予測した部品の交換周期を表示部(例えば、クライアント装置40の出力部45の表示装置等)に表示させてもよい。このように、サーバ装置10は、予め学習された予測モデルを用いて、ガスクロマトグラフ30の使用環境に基づき部品の交換周期を予測して表示させるため、ユーザは、煩雑な部品の管理を行うことなく、部品を適切な時期を把握して、適時に交換することが可能である。
【0099】
また、サーバ装置10は、ガスクロマトグラフ30の使用環境を説明変数、ガスクロマトグラフ30の部品の交換周期を目的変数として、ユーザにより重みが設定された重み付き重回帰分析により予め学習されたモデルを予測モデルとして用いて、環境情報に基づき交換周期を予測してもよい。このように、サーバ装置10は、ユーザにより重みが設定された重み付き重回帰分析により予め学習されたモデルを用いて部品の交換周期を予測するため、ユーザの意図を反映した予測モデルを用いて部品の交換周期を予測することが可能である。
【0100】
また、サーバ装置10は、ガスクロマトグラフ30及び制御システム20の少なくともいずれかから取得したガスクロマトグラフ30の使用環境を示す情報を説明変数、ガスクロマトグラフ30の部品の交換周期を目的変数として学習し、予測モデルを生成してもよい。このように、サーバ装置10は、ガスクロマトグラフ30及び制御システム20の少なくともいずれかから取得した情報を用いて予測モデルを生成するため、ガスクロマトグラフ30及び制御システム20の実際の使用状態を反映して、部品の交換周期を的確に予測することができる。
【0101】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は1つのブロックは分割されてもよい。フローチャートに記載の複数のステップは、記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 管理システム
10 サーバ装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
20 制御システム
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 測定部
30 ガスクロマトグラフ
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 測定部
341 恒温槽
342 サンプルバルブ
343 カラム
344 検出器
40 クライアント装置
41 制御部
42 記憶部
43 通信部
44 入力部
45 出力部
50 機器
60 プロセスライン
100 画面
110~180 領域
N ネットワーク
P プラント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11