(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100599
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】空気清浄機及び空気清浄機のフィルタ取付構造
(51)【国際特許分類】
F24F 8/108 20210101AFI20240719BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20240719BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20240719BHJP
B01D 46/10 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
F24F8/108 210
A61L9/014
F24F8/108 310
F24F8/80 200
B01D46/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004708
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】512241070
【氏名又は名称】クリーンエア・スカンジナビア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 賢治郎
【テーマコード(参考)】
4C180
4D058
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180BB11
4C180CC04
4C180EA14X
4C180HH05
4C180JJ01
4C180KK05
4D058JA12
4D058KA01
4D058KB12
4D058KC33
4D058KC62
4D058KC81
4D058QA03
4D058QA21
4D058TA03
(57)【要約】
【課題】フィルタのリサイクルコストを抑える。
【解決手段】本開示は、吸込口11から吸い込んだ空気を浄化する空気清浄機10のフィルタ取付構造であって、吸込口11から吸い込まれる空気の通気路13に配置され、空気を浄化可能なフィルタ15と、一方の面がフィルタ15の外周縁部に対して接着されることなく当接し、他方の面が所定の対象面に対して接着されることなく当接する枠状のガスケット16と、を備える。ガスケット16は、フィルタ15と上記所定の対象面との間からの空気の漏れを防止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口から吸い込んだ空気を浄化する空気清浄機のフィルタ取付構造であって、
前記吸込口から吸い込まれる空気の通気路に配置され、空気を浄化可能なフィルタと、
一方の面が前記フィルタの外周縁部に対して接着されることなく当接し、他方の面が所定の対象面に対して接着されることなく当接する枠状のガスケットと、を備える
ことを特徴とする空気清浄機のフィルタ取付構造。
【請求項2】
前記フィルタは、前記フィルタの前記外周縁部に位置する枠状のフレーム部と、前記フレーム部の内側に位置して空気を浄化可能なフィルタ本体部とを有し、
前記ガスケットの前記一方の面は、前記フィルタの前記フレーム部に対して接着されることなく当接する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機のフィルタ取付構造。
【請求項3】
前記ガスケットは、剛性を有する枠状の基材と、前記基材の両面に設けられるシール層とを有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気清浄機のフィルタ取付構造。
【請求項4】
前記フィルタは、活性炭を担持している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気清浄機のフィルタ取付構造。
【請求項5】
吸込口から排気口へ連続する通気路と、
前記通気路に設けられ、前記吸込口から前記排気口への空気の流れを発生させるファンと、
前記通気路に配置され、空気を浄化可能なフィルタと、
一方の面が前記フィルタの外周縁部に対して接着されることなく当接し、他方の面が所定の対象面に対して接着されることなく当接する枠状のガスケットと、を備える
ことを特徴とする空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気清浄機及び空気清浄機のフィルタ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空気濾過ユニットを備えた喫煙室が開示されている。この空気濾過ユニットは、内部にフィルタ部を有し、ダクトを介してファン接続されている。フィルタ部は、粒子を除去するための集塵フィルタと、匂い等を発する気体を吸着する脱臭フィルタとを組み合わせて用いている。脱臭フィルタには、通気性を有するように吸着剤(活性炭)が充填されている。空気濾過ユニットの正面パネルには吸気口が設けられており、ファンが生成した負圧により吸気口から吸引された喫煙室内の煙草の煙を含んだ空気は、フィルタ部で清浄化され、ダクトを通りファンから排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の喫煙室に備えられる空気濾過ユニット(空気清浄機)の脱臭フィルタのように、活性炭を担持するフィルタは、使用済みになった後に回収されて、活性炭の再生が行われ、リサイクル(再使用)される場合がある。一般的に、フィルタは、空気を浄化するフィルタ本体部と、フィルタ本体部を支持するフレーム部とを有しており、フレーム部には、空気の漏れを防止するためにガスケットが接着されている。このようなフィルタをリサイクルするためには、フレーム部に接着されたガスケットを剥がす必要があるので、ガスケットの取り外しに手間がかかり、作業時間及び人件費が増大し、リサイクルコストが増大する可能性がある。一方、フィルタ本体部のみをリサイクルし、ガスケットが取り付けられたフレーム部を廃棄することも考えられるが、フレーム部を廃棄するための廃棄費用が掛かるので、いずれにしてもリサイクルコストが増大する可能性がある。
【0005】
また、フィルタにガスケットが接着されているので、フィルタの装着方向は一方向に決まり、フィルタを通過させる空気の流通方向は一方向に限定される。このため、フィルタは、空気の流通方向の上流側の面が主として使用され、下流側の面を効果的に使用することができず、フィルタの使用効率が悪い。フィルタを裏返して使用するためには、フレーム部に接着されたガスケットを剥がす必要があるので、ガスケットの取り外しに手間がかかり、作業時間及び人件費が増大する可能性がある。
【0006】
そこで、本開示は、フィルタのリサイクルコストを抑えることができるとともに、フィルタを裏返してフィルタを効率的に使用することが可能な空気清浄機及び空気清浄機のフィルタ取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、吸込口から吸い込んだ空気を浄化する空気清浄機のフィルタ取付構造であって、前記吸込口から吸い込まれる空気の通気路に配置され、空気を浄化可能なフィルタと、一方の面が前記フィルタの外周縁部に対して接着されることなく当接し、他方の面が所定の対象面に対して接着されることなく当接する枠状のガスケットと、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の空気清浄機のフィルタ取付構造であって、前記フィルタは、前記フィルタの前記外周縁部に位置する枠状のフレーム部と、前記フレーム部の内側に位置して空気を浄化可能なフィルタ本体部とを有し、前記ガスケットの前記一方の面は、前記フィルタの前記フレーム部に対して接着されることなく当接する。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の空気清浄機のフィルタ取付構造であって、前記ガスケットは、剛性を有する枠状の基材と、前記基材の両面に設けられるシール層とを有する。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の空気清浄機のフィルタ取付構造であって、前記フィルタは、活性炭を担持している。
【0011】
本発明の第5の態様の空気清浄機は、吸込口から排気口へ連続する通気路と、前記通気路に設けられ、前記吸込口から前記排気口への空気の流れを発生させるファンと、前記通気路に配置され、空気を浄化可能なフィルタと、一方の面が前記フィルタの外周縁部に対して接着されることなく当接し、他方の面が所定の対象面に対して接着されることなく当接する枠状のガスケットと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、フィルタのリサイクルコストを抑えることができるとともに、フィルタを裏返してフィルタを効率的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る空気清浄機を使用した喫煙ブースの斜視図である。
【
図2】
図1の空気清浄機のII-II矢視断面図である。
【
図3】カバーを取り外した状態を示す空気清浄機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは空気清浄機の吸気口が設けられる正面側を、UPは上方を、INは幅方向の内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、前後方向は、空気清浄機の正面側を前側とし、背面側を後側とする方向を意味する。また、各図において、白抜き矢印は、空気の流通方向を示す。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る空気清浄機を使用した喫煙ブースの斜視図である。
図2は、
図1の空気清浄機のII-II矢視断面図である。
図3は、カバーを取り外した状態を示す空気清浄機の正面図である。
図4は、フィルタの配置の説明図である。
図5は、フィルタの外観斜視図である。
図6は、ガスケットの分解図である。なお、
図4では、フィルタ及びガスケットの位置関係を分かり易くするために、複数のフィルタ及びガスケットを、互いに前後方向に離間させて図示しているが、空気清浄機内では互いに前後に密着している。
【0016】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る空気清浄機及びそのフィルタ取付構造は、例えば、喫煙ブース1の喫煙空間S内の空気を清浄する空気清浄機10に適用される。
図2に白抜き矢印で示すように、空気清浄機10は、吸込口11から筐体内へ吸い込んだ空気を、内部のフィルタ15で浄化した後、排気口12から筐体外へ排出し、喫煙ブース1の喫煙空間S内の空気を清浄する。喫煙ブース1は、例えば遊技場等の屋内に設置することもできるし、屋外に設置することもできる。なお、本実施形態では、
図1に示すように、喫煙ブース1に空気清浄機10を幅方向に2台並べて設置しているが、これに限定されるものではなく、喫煙ブース1に空気清浄機10を、1台配置してもよいし、或いは3台以上配置してもよい。以下の説明では、1台の空気清浄機10について説明する。
【0017】
図1~
図3に示すように、空気清浄機10は、吸込口11から排気口12へ連続する通気路13と、通気路13に設けられるファン14と、通気路13に配置される複数のフィルタ15と、複数のフィルタ15間に配置されるガスケット16とを備える。
【0018】
吸込口11は、喫煙ブース1の喫煙空間Sに向かって開口するように、空気清浄機10に設けられる。吸込口11は、喫煙ブース1の喫煙空間S内の空気を空気清浄機10内に吸い込む際の空気の入口となる。本実施形態の空気清浄機10には、吸込口11を有するカバー17が設けられている。カバー17は、喫煙ブース1内の所定の壁面に露出する状態で配置される。なお、吸込口11の形状は、特に限定されるものではない。また、
図2では、吸込口11を空気清浄機10の正面の上部に設けているが、吸込口11を設ける位置はこれに限定されるものではなく、例えば、空気清浄機10の正面の下部に設けてもよい。
【0019】
排気口12は、喫煙ブース1の外部空間に向かって開口するように、空気清浄機10に設けられる。排気口12は、空気清浄機10で浄化した空気を喫煙ブース1の外部へ排出する際の空気の出口となる。なお、排気口12の形状は、特に限定されるものではない。また、
図2では、排気口12を空気清浄機10の背面の下部に設けているが、排気口12を設ける位置はこれに限定されるものではなく、例えば、空気清浄機10の背面の上部に設けてもよいし、或いは空気清浄機10の上面に設けてもよい。
【0020】
通気路13は、吸込口11から排気口12へ連続する空気の流路であって、例えばダクト18の内側に区画される流路である。通気路13には、複数のフィルタ15を配置するフィルタ配置部26が設けられる。本実施形態のフィルタ配置部26は、吸込口11の近傍に設けられる。なお、通気路13の形状は、特に限定されるものではない。
【0021】
ファン14は、通気路13に配置され、通気路13内に吸込口11から排気口12への空気の流れを発生させる。本実施形態では、ファン14は、通気路13のフィルタ配置部26よりも下流側に配置される。ファン14の種類は特に限定されるものではないが、例えばシロッコファンやプロペラファンが挙げられる。
【0022】
複数のフィルタ15は、通気路13に層状に配置される。本実施形態では、
図2に示すように、複数のフィルタ15は、通気路13のうち吸込口11の後方の近傍のフィルタ配置部26に層状に配置される。また、本実施形態では、
図3に示すように、カバー17を取り外して空気清浄機10を正面から視ると、空気清浄機10の幅方向の一側に1群の複数のフィルタ15が配置され、空気清浄機10の幅方向の他側に1群の複数のフィルタ15が配置される。すなわち、本実施形態では、2群の複数のフィルタ15を空気清浄機10の幅方向の両側に配置している。2群の複数のフィルタ15は、互いに同じ構成であるため、以下では、1群の複数のフィルタ15について説明する。また、以下の説明において、複数のフィルタ15の各方向は、複数のフィルタ15を空気清浄機10に設置した状態における各方向を示す。なお、本実施形態では、2群の複数のフィルタ15を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、1群の複数のフィルタ15を設けてもよいし、或いは3群以上の複数のフィルタ15を設けてもよい。
【0023】
図4に示すように、本実施形態の複数のフィルタ15は、背面側から順に、メインフィルタ15aと、第1ガスフィルタ15bと、第2ガスフィルタ15cとを含む。複数のフィルタ15は、外形的に互いに略同じ大きさにすることが好ましい。なお、複数のフィルタ15は、メインフィルタ15a、第1ガスフィルタ15b、及び第2ガスフィルタ15c以外に、他のフィルタを含んでもよい。他のフィルタとしては、例えば、プレフィルタ(粗じんフィルタ)や、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ等が挙げられる。
【0024】
メインフィルタ15aは、タバコの煙成分を除去するものであり、JIS B 9927によって規定され、定格風量で粒径がMPPS(最大通過量粒子径 Most Penetration Particle Size)の粒子に対して99.995%以上の粒子捕集率を持つフィルタである。メインフィルタ15aとしては、例えば、HEPAフィルタが挙げられる。HEPAフィルタは、ガラス繊維によるさえぎり、慣性によるガラス繊維への接触、重力による沈降、ブラウン運動及び静電気力によって、煙草の煙を構成する微粒子を除去することができる。本実施形態のメインフィルタ15aは、フィルタ配置部26の最も奥側(後方)に配置される(
図2参照)。フィルタ配置部26に配置された状態のメインフィルタ15aは、後方への移動が規制されている。
【0025】
第1ガスフィルタ15b及び第2ガスフィルタ15cは、煙草の匂い成分を除去するガスフィルタである。第1ガスフィルタ15b及び第2ガスフィルタ15cは、構成が互いに同じであり、配置位置が異なる。本実施形態では、メインフィルタ15aに近い位置に配置されるガスフィルタを第1ガスフィルタ15bと称し、第1ガスフィルタ15bの前面に重なる位置に配置されるガスフィルタを第2ガスフィルタ15cと称している。第1ガスフィルタ15b及び第2ガスフィルタ15cは、煙草の匂い成分を吸着する活性炭を担持している活性炭フィルタであることが好ましい。なお、本実施形態の第1ガスフィルタ15b及び第2ガスフィルタ15cは、構成が互いに同じであるので、「ガスフィルタ15b,15c」と称する場合がある。
【0026】
図5に示すように、ガスフィルタ15b,15cは、ガスフィルタ15b,15cの外周縁部に位置する枠状のフレーム部20と、フレーム部20の内側に位置して空気を浄化可能なフィルタ本体部19とを有する。本実施形態のガスフィルタ15b,15cは、フレーム部20と、フレーム部20とは別体のフィルタ本体部19とを互いに固定して形成される。なお、本実施形態では、フレーム部20と、フレーム部20とは別体のフィルタ本体部19とを互いに固定しているが、これに限定されるものではなく、フレーム部20とフィルタ本体部19とを一体成形していてもよい。
【0027】
フィルタ本体部19は、前後方向(空気の流通方向)の中央に位置する格子状のフィルタ基材(図示省略)と、当該フィルタ基材の両面に配置される前後の多孔質のシート状部材21と、前後のシート状部材21を前後方向の両側からカバーする格子状の前後のカバー部材22とを有する。前後のシート状部材21は、活性炭を担持するとともに、活性炭が外部に出ないような微細な孔を多数有している。前後のシート状部材21は、フィルタ基材及び前後のカバー部材22の少なくとも一方に対して接着又は溶着されることが好ましい。前後のカバー部材22は、板状の部材であって、シート状部材21を外部へ露出させることが可能な複数の開口23を有する格子状に形成される。前後のカバー部材22は、フレーム部20に固定的に設けられ、フィルタ基材及び前後のシート状部材21を挟持する。前後のカバー部材22のうちの一方は、フレーム部20と一体成形されていてもよい。なお、
図5には、前後一方のシート状部材21が図示されており、また、前後一方のカバー部材22が図示されている。また、フィルタ本体部19の構成は、上記に限定されるものではなく、フィルタとしての機能(空気を浄化する機能)を有していればよい。
【0028】
本実施形態のフレーム部20は、フィルタ本体部19を囲む枠状に形成され、フィルタ本体部19を支持する。フレーム部20の表面は、平面状に形成される。フレーム部20は、ステンレス製であることが好ましい。フレーム部20をステンレス製にすることによって、ガスフィルタ15b,15cの強度を確保することができ、フィルタ本体部19のカバー部材22の厚み方向への膨らみ変形を抑えることができる。これにより、フィルタ本体部19のシート状部材21内部での活性炭の下方への移動(落ち込み)を抑えることができるので、活性炭の落ち込みに起因するフィルタ性能の低下を抑えることができる。また、ステンレス製のフレーム部20にすることによって、ガスフィルタ15b,15cを水洗いすることができる。なお、フレーム部20は、複数の部材を組み合わせて一体化したフレーム部20であってもよい。
【0029】
図4に示すように、ガスケット16は、空気を漏れることなくフィルタ15に通過させるための部材であって、枠状に形成される。本実施形態の空気清浄機10では、2枚のガスケット16が使用される。一方のガスケット16aは、メインフィルタ15aと第1ガスフィルタ15bとの間に設けられ、他方のガスケット16bは、第1ガスフィルタ15bと第2ガスフィルタ15cとの間に設けられる。なお、ガスケット16を設ける位置及び枚数は、これに限定されるものではない。例えば、メインフィルタ15aの後方への移動を規制するフィルタ支持面(対象面)を、通気路13のフィルタ配置部26の周囲に設ける場合には、メインフィルタ15aと上記フィルタ支持面との間にガスケット16を配置してもよい。
【0030】
図6に示すように、ガスケット16は、剛性を有する枠状のガスケット基材(基材)24と、ガスケット基材24の両面に設けられるシール層25とを有する。ガスケット基材24は、例えば、金属製の板体によってフィルタ15と略同じ大きさの枠状に形成される。シール層25は、弾性を有する部材によって枠状のシート状に形成され、ガスケット基材24の両面に接着されて一体化される。シール層25の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ゴム、ポリウレタン、シリコーン等が挙げられる。なお、
図6には、上下左右に4つに分割されたシート状のシール層25が図示されているが、シール層25は、枠状に一体成形されていてもよい。
【0031】
一方のガスケット16aは、メインフィルタ15a及び第1ガスフィルタ15bの双方に対して接着されることなく当接(面接触)し、メインフィルタ15aと第1ガスフィルタ15bとの間からの空気の漏れを防止する。また、他方のガスケット16bは、第1ガスフィルタ15b及び第2ガスフィルタ15cの双方に対して接着されることなく当接(面接触)し、第1ガスフィルタ15bと第2ガスフィルタ15cとの間からの空気の漏れを防止する。すなわち、ガスケット16は、一方の面(一方のシール層25)がフィルタ15の外周縁部に対して接着されることなく当接し、他方の面(他方のシール層25)が所定の対象面に対して接着されることなく当接する。本実施形態では、一方のガスケット16aが当接する上記所定の対象面は、メインフィルタ15aの前面又は第1ガスフィルタ15bの後面であり、他方のガスケット16bが当接する上記所定の対象面は、第1ガスフィルタ15bの前面又は第2ガスフィルタ15cの後面である。なお、上記所定の対象面は、上記に限定されるものではない。例えば、上述したように、メインフィルタ15aの後方への移動を規制するフィルタ支持面を通気路13のフィルタ配置部26の周囲に設け、当該フィルタ支持面とメインフィルタ15aとの間にガスケット16を配置する場合には、上記フィルタ支持面が上記所定の対象面となってもよい。
【0032】
次に、ガスフィルタ15b,15cの交換について説明する。
【0033】
ガスフィルタ15b,15cを交換する際には、先ず、カバー17を取り外して、
図3に示すように、第2ガスフィルタ15cを前方へ露出させる。次に、前方から、第2ガスフィルタ15c、ガスケット16b、第1ガスフィルタ15bの順に、ガスフィルタ15b,15cを取り外す。以下では、取り外した第1ガスフィルタ15bを、「旧第1ガスフィルタ15b」と称し、取り外した第2ガスフィルタ15cを「旧第2ガスフィルタ15c」と称する。次に、新規のガスフィルタを、第1ガスフィルタの配置位置に、メインフィルタ15aとの間にガスケット16aを介在させた状態で第1ガスフィルタ15bとして取り付ける。次に、元々第1ガスフィルタ15bとして使用していた旧第1ガスフィルタ15bを、前後を裏返してから、第2ガスフィルタの配置位置に、新規の第1ガスフィルタ15bとの間にガスケット16bを介在させた状態で第2ガスフィルタ15cとして取り付ける。このように、ガスフィルタ15b,15cを交換する際には、新規のガスフィルタを第1ガスフィルタ15bとして取り付け、旧第1ガスフィルタ15bを裏返して第2ガスフィルタ15cとして取り付けて再使用し、使用済みになった旧第2ガスフィルタ15cを回収する。回収された旧第2ガスフィルタ15cは、活性炭の再生を行うことによって、リサイクル(再使用)することができる。なお、メインフィルタ15aは、例えば、風速計で確認した圧力損失が所定値以下になった場合に交換する。
【0034】
上記のように構成されたフィルタ取付構造及び空気清浄機10では、ガスケット16は、一方の面がフィルタ15の外周縁部に対して接着されることなく当接し、他方の面が上記所定の対象面に対して接着されることなく当接する。このため、使用済みになったフィルタ15(旧第2ガスフィルタ15c)を回収する際に、ガスケット16bとは分離した状態で、使用済みのフィルタ15のみを回収することができる。このように、使用済みのフィルタ15のみを回収することができるので、フィルタにガスケットを接着している場合とは異なり、フィルタ15からガスケット16を剥がす作業を行う必要がなく、使用済みのフィルタ15をリサイクルする際の作業時間及び人件費を削減することができる。
【0035】
また、フィルタ15とガスケット16とが分離しているので、容易にガスケット16を再利用することができ、フィルタ15毎に新規のガスケットを準備する場合とは異なり、コストを削減することができる。また、ガスケットをフィルタ15から剥がす手間のみならず、ガスケットをフィルタ15に接着する手間をなくすことができるので、コストを削減することができる。
【0036】
また、ガスケットが接着されたフレーム部を廃棄してフィルタ本体部のみをリサイクルする場合とは異なり、フレーム部20を含めたフィルタ15全体をリサイクルすることができるので、フレーム部の廃棄費用が掛からず、リサイクルコストを抑えることができる。
【0037】
また、フィルタ15とガスケット16bとが分離しているので、フィルタ15の表裏を裏返して使用することが可能となる。このため、上述したように、フィルタ交換時に取り外した旧第1ガスフィルタ15bを、第2ガスフィルタ15cとして使用する際に、旧第1ガスフィルタ15bを裏返して使用することができる。これにより、第1ガスフィルタ15bとして使用していた際に活性炭があまり利用されていないガスフィルタの後面側を、前面にして第2ガスフィルタ15cとして使用することができるので、活性炭を効率よく利用することができ、第2ガスフィルタ15cの性能(匂い成分吸着性能)を向上させることができる。このように、ガスフィルタの両面の活性炭を効率よく使用した後、回収してリサイクルすることができる。
【0038】
従って、本実施形態によれば、フィルタ15のリサイクルコストを抑えることができるとともに、フィルタ15を裏返してフィルタ15を効率的に使用することができる。
【0039】
また、フィルタ15は、枠状のフレーム部20とフィルタ本体部19とを有し、ガスケット16の一方の面は、フィルタ15のフレーム部20に対して当接する。このように、フィルタ15に枠状のフレーム部20を設け、当該フレーム部20にガスケット16を当接させるので、ガスケット16をフィルタ本体部19に当接させる場合とは異なり、ガスケット16をフレーム部20に密着させることができる。このため、フィルタ15とガスケット16との間のシール性を高めることができる。
【0040】
また、ガスケット16は、剛性を有する枠状のガスケット基材24を有するので、ガスケット基材24によって所望の剛性を確保することができる。このため、ガスケット16を変形し難くすることができるので、フィルタ交換等の作業時に複数のフィルタ15間にガスケット16を容易に配置することができる。
【0041】
また、ガスケット16は、剛性を有する枠状のガスケット基材24と、ガスケット基材24の両面に設けられるシール層25とを有する。このように、ガスケット基材24と両面のシール層25とを有するので、ガスケット基材24でガスケット16の剛性を確保し、シール層25でガスケット16のシール性を確保することができる。このため、ガスケット16の剛性とシール性とを別々に設定することができるので、剛性とシール性との組み合わせの選択自由度を高めることができる。
【0042】
また、ガスフィルタ15b,15cは、活性炭を担持している。このように、活性炭を担持しているガスフィルタ15b,15cのリサイクルコストの抑制に適した空気清浄機10及びそのフィルタ取付構造を提供することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、本発明に係るフィルタ取付構造として、HEPAフィルタ(メインフィルタ15a)及び活性炭フィルタ(ガスフィルタ15b,15c)の取付構造を例示したが、これに限定されるものではなく、本発明に係るフィルタ取付構造は、空気清浄機に使用される様々なフィルタの取付構造に適用することができる。
【0044】
また、本実施形態では、ガスケット16を、ガスケット基材(基材)24とシール層25とによって構成したが、これに限定されるものではない。ガスケットは、フィルタ15及び対象面の双方に対して接着されることなく当接して、フィルタ15と対象面との間からの空気の漏れを防止可能なガスケットであればよい。
【0045】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
10:空気清浄機
11:吸込口
12:排気口
13:通気路
14:ファン
15:フィルタ
16:ガスケット
19:フィルタ本体部
20:フレーム部
24:ガスケット基材(基材)
25:シール層