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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100607
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20240719BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20240719BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240719BHJP
   H01M 50/233 20210101ALI20240719BHJP
【FI】
H01M50/342 201
H01M50/213
H01M50/271 S
H01M50/233
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004718
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケルデ ハリシュ
(72)【発明者】
【氏名】長良 洋平
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA01
5H012BB01
5H012FF01
5H012JJ10
5H040AA14
5H040AA15
5H040AA37
5H040AS05
5H040AT01
5H040AY05
5H040NN00
5H040NN01
(57)【要約】
【課題】電池パックの安全性および二次電池の保持性の両立を図ること。
【解決手段】電池パック1は、二次電池10と、軸線Aを有する円筒形状であり、二次電池10を収納する収納部30と、を備え、収納部30の内周面30dは軸線方向A1に沿って第1端S1側から第2端S2側に向かうにしたがって内周面30dの直径が大きくなる傾斜を有するテーパ面であり、収納部30は軸線方向A1に沿う溝34を外周面30aに有し、溝34の底面34aは軸線方向A1に沿って第1端S1側から第2端S2側に向かうにしたがって溝34の深さが大きくなる傾斜を有するテーパ面であり、溝34の最深点Pおよび軸線Aを含む第1平面H1で切断した収納部30の断面形状において、内周面30dおよび第1平面H1の第1交線L1と軸線Aとのなす第1角度θ1より、底面34aおよび第1平面H1の第2交線L2と軸線Aとのなす第2角度θ2は大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状を有する二次電池と、
軸線を有する円筒形状であり、前記軸線方向の第1端が閉鎖され且つ前記軸線方向の第2端が開口されている収納部を有し、前記収納部に前記二次電池を収納する第1ケースと、
前記収納部の開口を塞ぎ、前記第1ケースに接合されている第2ケースと、を備え、
前記収納部の内周面は、前記軸線方向に沿って前記第1端側から前記第2端側に向かうにしたがって前記収納部の内周面の直径が大きくなる傾斜を有するテーパ面であり、
前記収納部は、前記軸線方向に沿って延びる溝を外周面に有し、
前記溝の底面は、前記軸線方向に沿って前記第1端側から前記第2端側に向かうにしたがって前記軸線と直交する径方向の前記溝の深さが大きくなる傾斜を有するテーパ面であり、
前記溝の最深点および前記軸線を含む平面で切断したときの前記収納部の断面形状において、前記収納部の内周面および前記平面の第1交線と前記軸線とのなす第1角度より、前記溝の底面および前記平面の第2交線と前記軸線とのなす第2角度は大きい、
電池パック。
【請求項2】
前記平面で切断したときの前記収納部の断面形状において、前記収納部の外周面の直径に対する、前記溝の前記第2端側の端における前記収納部の厚みの比率は、0.017以上0.027以下である、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記平面で切断したときの前記収納部の断面形状において、前記収納部の外周面の直径に対する、前記溝の前記第1端側の端における前記収納部の厚みの比率は、0.041以上0.054以下である、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第1角度に対する前記第2角度の比率は、1.4以上4.25以下である、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記溝の底面は、曲面である、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記溝の底面の曲率半径は、0.1mm以上0.3mm以下である、
請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記溝は、前記収納部の前記径方向の内側から外側に向かうにしたがって幅が大きくなる形状を有する、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項8】
前記収納部の外周面上において前記溝の幅は、前記軸線方向において一定である、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項9】
前記収納部の外周面の直径に対する、前記収納部の外周面上における前記溝の幅の比率は、0.047以上0.062以下である、
請求項8に記載の電池パック。
【請求項10】
前記溝は、前記軸線方向において前記収納部の両端より内側にある、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項11】
前記軸線方向において、前記収納部の内側の前記第1端側にある内端面から前記収納部の前記第2端までの前記収納部の長さに対する前記溝の長さの比率は、0.32以上0.42以下である、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項12】
前記軸線方向において、前記収納部の内側の前記第1端側にある内端面から前記収納部の前記第2端までの前記収納部の長さに対する、前記収納部の前記第2端から前記溝の前記第2端側の端までの前記収納部の長さの比率は、0.19以上0.29以下である、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項13】
前記収納部の外周面の直径に対する、前記収納部の内周面の直径と前記二次電池の外周面の直径との差の比率は、0.023以上0.073以下である、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項14】
前記収納部は、前記溝を2つ有し、
2つの前記溝は、前記径方向において互いに反対側にある、
請求項1に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内部に電極体及び電解液が封入されている柱状の電池ケースを備えている密閉型電池が開示されている。電池ケース(ケース)には、ケースの内圧の上昇によって開裂する開裂溝(溝)がある。溝が起点となってケースが開裂することで、ケースの内圧の上昇を抑制するとともに、ケースが意図しない箇所から破裂することを防止し、密閉型電池の安全性が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-59667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、円筒形状の二次電池、および、二次電池を収納する円筒形状のケースを備える電池パックにおいても、特許文献1の密閉型電池と同様に、安全性を確保するためにケースの内圧の上昇によって開裂する溝がケースに配置される。
【0005】
また、このような電池パックにおいては、ケース内において二次電池の振動が抑制された状態で二次電池が保持されること、すなわち二次電池の保持性が確保されることが望まれている。よって、円筒形状の二次電池を収納する円筒形状のケースを有する電池パックにおいては、電池パックの安全性を確保すること、および、二次電池の保持性を確保することが必要とされている。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、円筒形状の二次電池を収納する円筒形状のケースを備える電池パックにおいて、電池パックの安全性および二次電池の保持性の両立を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電池パックは、円筒形状を有する二次電池と、軸線を有する円筒形状であり、前記軸線方向の第1端が閉鎖され且つ前記軸線方向の第2端が開口されている収納部を有し、前記収納部に前記二次電池を収納する第1ケースと、前記収納部の開口を塞ぎ、前記第1ケースに接合されている第2ケースと、を備え、前記収納部の内周面は、前記軸線方向に沿って前記第1端側から前記第2端側に向かうにしたがって前記収納部の内周面の直径が大きくなる傾斜を有するテーパ面であり、前記収納部は、前記軸線方向に沿って延びる溝を外周面に有し、前記溝の底面は、前記軸線方向に沿って前記第1端側から前記第2端側に向かうにしたがって前記軸線と直交する径方向の前記溝の深さが大きくなる傾斜を有するテーパ面であり、前記溝の最深点および前記軸線を含む平面で切断したときの前記収納部の断面形状において、前記収納部の内周面および前記平面の第1交線と前記軸線とのなす第1角度より、前記溝の底面および前記平面の第2交線と前記軸線とのなす第2角度は大きい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、円筒形状の二次電池を収納する円筒形状のケースを備える電池パックにおいて、電池パックの安全性および二次電池の保持性の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態に係る電池パックの斜視図である。
図2図2は、第1ケースの軸線方向に沿った第1ケースの断面図である。
図3図3は、溝を示す第1ケースの拡大斜視図である。
図4図4は、図2の部分拡大断面図であり、溝の詳細を示す。
図5図5は、軸線と直交し且つ収納部の第2端側の溝の端を含む第2平面で切断したときの第1ケースの拡大断面図であり、溝の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本開示が限定されるものではない。各実施の形態は例示であり、異なる実施の形態および変形例で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。
【0011】
図1は、本開示の実施形態に係る電池パック1の斜視図である。電池パック1は、自転車の電動変速ギアなどの外部装置(不図示)に電源として適用可能である。また、電池パック1は、充電器(不図示)に電気的に接続可能である。電池パック1は、二次電池10、第1ケース20a、および、第2ケース20bを備えている。なお、図中に示す軸線Aは、第1ケース20aが有する収納部30(後述する)の中心軸線である。また、軸線Aに沿う方向を軸線方向A1と称する。
【0012】
二次電池10は、例えばリチウムイオン電池である。二次電池10は円筒形状である。電池パック1は、二次電池10を2つ有している。2つの二次電池10は、互いに電気的に直列に接続された状態で配置されている。なお、二次電池10の個数が2つに限定されないことは言うまでもない。
【0013】
図2は、第1ケース20aの軸線方向A1に沿った第1ケース20aの断面図である。第1ケース20aは、二次電池10を収納する収納部30、および、延長部40を有する。収納部30と延長部40とは一体である。
【0014】
収納部30は、軸線Aを有する円筒形状である。収納部30は、軸線Aに沿う方向である軸線方向A1に沿って延びている。軸線方向A1において収納部30の一方側の端を第1端S1とし、収納部30の他方側の端を第2端S2とする。収納部30は、軸線方向A1の第1端S1が閉鎖され、軸線方向A1の第2端S2が開口されている。収納部30の詳細は後述する。
【0015】
延長部40は、軸線Aを中心軸線とする円筒形状であり、収納部30の第1端S1側に収納部30と一体に配置されている。なお、第1ケース20aは、延長部40を備えなくてもよい。
【0016】
図1に示す第2ケース20bは、第1ケース20aの開口(後述する開口部33)を塞ぐ円柱状である。第1ケース20aおよび第2ケース20bの材料は、熱可塑性樹脂である。第1ケース20aおよび第2ケース20bの材料は、例えばポリエチレンテフタレートの単体である。なお、第1ケース20aおよび第2ケース20bの材料は、ポリエチレンテフタレート、ポリプロピレンおよびポリエチレンの少なくとも1つを含有する合成樹脂でもよい。第1ケース20aおよび第2ケース20bは、金型を用いた射出成形によって形成される。
【0017】
第2ケース20bは、第1ケース20aに接合されている。具体的には、第1ケース20aと第2ケース20bとは例えばレーザー溶着や振動溶着によって接合される。具体的には、図1および図2に示すように、第2ケース20bは、収納部30の内側に挿入される挿入部20b1を有し、挿入部20b1と収納部30の後述する内周面30dとが接合される。第1ケース20aと第2ケース20bとの接合部Wは、軸線方向A1において収納部30の内側における収納部30の第2端S2と後述する溝34との間に位置する。第1ケース20aと第2ケース20bとが接合されることで、収納部30は密閉されて気密される。
【0018】
また、電池パック1は、収納部30内で二次電池10の正極と電気的に接続する正極端子(不図示)および二次電池10の負極と電気的に接続する負極端子(不図示)をさらに備えている。正極端子と負極端子との間で、2つの二次電池10は電気的に直列に接続される。
【0019】
また、正極端子および負極端子は収納部30の気密が確保された状態で第2ケース20bを貫通しており、正極端子の一部および負極端子の一部は外部装置および充電器と電気的に接続可能に第2ケース20bから露出している。2つの二次電池10は、正極端子および負極端子を介して充放電される。
【0020】
次に、図2に示す収納部30について詳細に説明する。なお、図2は、軸線Aを含み且つ後述する溝34の底面34aと交差する第1平面H1(後述する図5参照)で切断したときの第1ケース20aの断面形状を示している。
【0021】
収納部30は、周側壁31、収納部30の第1端S1側にある端壁32、および、収納部30の第2端S2側を開口する開口部33を有する。周側壁31と端壁32とは一体である。また、端壁32の第1端S1側の端は収納部30の第1端S1に相当し、周側壁31の第2端S2側の端は収納部30の第2端S2に相当する。
【0022】
軸線方向A1において、収納部30の外周面30aの直径Dd1は一定である。収納部30の外周面30aは、周側壁31の外周面および端壁32の外周面を含む面である。
【0023】
収納部30の内側面30bは、内端面30cおよび内周面30dを有する。内端面30cは、収納部30の内側の第1端S1側にある内端面に相当する。具体的には、内端面30cは、端壁32の第2端S2側の面であり、軸線Aと直交する。
【0024】
収納部30の内周面30dは、周側壁31の内周面に相当する。内周面30dの第1端S1側の周縁は、内端面30cの周縁と接続している。内周面30dは、内端面30cから収納部30の第2端S2まで軸線方向A1に沿って延びている。内周面30dは、軸線方向A1に沿って第1端S1側から第2端S2側に向かうにしたがって内周面30dの直径が大きくなる傾斜を有するテーパ面である。なお、本実施形態において、内周面30dの第1端S1側の端の直径Dd2は、内端面30cの直径に相当する。
【0025】
内周面30dおよび第1平面H1の第1交線L1と軸線Aとのなす第1角度θ1の大きさは、いわゆる金型の抜き勾配の大きさに相当する。
【0026】
そして、内周面30dの第1端S1側の端の直径Dd2は、内周面30dの第2端S2側の端の直径Dd3より小さい。
【0027】
一方、二次電池10の外周面の直径は、二次電池10の軸線方向A1において一定である。よって、内周面30dの直径と二次電池10の外周面の直径との差は、内周面30dの第1端S1側から第2端S2側に向けて大きくなる。また、外周面30aの直径Dd1に対する、内周面30dの直径と二次電池10の外周面の直径との差の比率は、0.023以上0.073以下である。
【0028】
また、収納部30は、軸線方向A1に沿って延びる溝34を外周面30aに有する。溝34は、外周面30aから軸線Aに向けて凹む凹状である。
【0029】
溝34は、軸線方向A1において収納部30の両端より内側にある。すなわち、溝34の第1端S1側の端(以下、第3端S3と称する場合がある)は、収納部30の第1端S1より第2端S2側にあり、溝34の第2端S2側の端(以下、第4端S4と称する場合がある)は、収納部30の第2端S2より第1端S1側にある。
【0030】
軸線方向A1において、内端面30cから収納部30の第2端S2までの収納部30の長さDl1に対する、溝34の長さDl2の比率は、0.32以上0.42以下である。
【0031】
また、軸線方向A1において、収納部30の長さDl1に対する、収納部30の第2端S2から溝34の第2端S2側の端(第4端S4)までの収納部30の長さDl3の比率は、0.19以上0.29以下である。上記の長さDl1,Dl2,Dl3の関係により、溝34は、周側壁31に位置する。
【0032】
図3は、溝34を示す第1ケース20aの拡大斜視図である。図4は、図2の部分拡大断面図であり、溝34の詳細を示す。つまり、図4は、第1平面H1(図5参照)で切断したときの収納部30の断面形状の拡大図である。図5は、軸線Aと直交し且つ収納部30の第2端S2側の溝34の端(第4端S4)を含む第2平面H2(図2および図4参照)で切断したときの第1ケース20aの拡大断面図であり、溝34の詳細を示す。
【0033】
図3図4および図5に示すように、溝34は、収納部30の径方向の外側に向けて開放する形状を有する。径方向は、軸線方向A1と直交する方向である。径方向の内側は、軸線Aに向かう側である。径方向の外側は、軸線Aから離れる側である。
【0034】
図5に示すように、溝34は、第1平面H1を対称面とする面対称形状を有する。つまり、溝34と第1平面H1との第2交線L2(図2および図4参照)は、溝34の深さを示す。また、第1平面H1は、底面34aにおいて溝34の深さが最も深い点(後述する最深点P;図2,3,4,5参照)を通る。つまり、図2および図4に示す収納部30の断面形状は、溝34の最深点Pおよび軸線Aを含む第1平面H1で切断したときの断面形状である。
【0035】
また、図5に示すように、溝34は、収納部30の径方向の内側から外側に向かうにしたがって幅が大きくなる形状を有する。溝34の幅は、軸線方向A1および径方向の両方と垂直な方向(図5に矢印Wで示す方向)における溝34の長さである。つまり、径方向の外側の溝34の幅は、径方向の内側の溝34の幅より長い。
【0036】
また、収納部30の外周面30a上における溝34の幅Dwは、軸線方向A1に沿って一定である。換言すれば、径方向の外側の溝34の端における溝34の幅Dwは、軸線方向A1において溝34の全体に亘って一定である。また、外周面30aの直径Dd1に対する、溝34の幅Dwの比率は、0.047以上0.062以下である。
【0037】
また、溝34は、底面34aおよび2つの接続面34bを有する。
【0038】
底面34aは、第1平面H1を対称面とする面対称形状である。また、底面34aは、収納部30の外周面30aから軸線Aに向けて凹む曲面である。軸線Aと直交する平面と溝34の底面34aとの交線は、円弧形状である。例えば、軸線Aと直交する第2平面H2で切断した図5に示す第1ケース20aにおいて第2平面H2と溝34の底面34aとの交線Lcは、円弧形状である。
【0039】
底面34aの曲率半径、すなわち、軸線Aと直交する平面と底面34aとの交線の曲率半径は、軸線方向A1において一定(例えば0.1mm)である。底面34aの曲率半径は、0.1mm以上0.3mm以下の値である。
【0040】
2つの接続面34bは、収納部30の周方向において底面34aの両側それぞれに配置されている。2つの接続面34bと底面34aとは、なめらかに連続している状態で接続されている。2つの接続面34bは、互いに第1平面H1を対称面とする面対称形状であり、平らな面である。
【0041】
また、図4および図5に示すように、径方向における溝34の深さは、第1端S1側から第2端S2側に向かって深くなる。溝34の底面34aは、軸線方向A1に沿って第1端S1側から第2端S2側に向かうにしたがって軸線Aと直交する径方向の溝34の深さが大きくなる傾斜を有するテーパ面である。
【0042】
図2および図4に示すように、上記のように第1端S1側から第2端S2に向かうにしたがって、内周面30dの直径が大きくなり、かつ、径方向における溝34の深さが深くなる。つまり、溝34の深さが最も深い点は、底面34aの第4端S4と第1平面H1とが交差する最深点P(図2および図5参照)である。
【0043】
また、溝34が配置されている収納部30の部位において、第1端S1側から第2端S2側に向かうにしたがって収納部30の厚みが徐々に薄くなる。また、第2端S2での収納部30の厚みT1(図2参照)は、溝34が配置されている収納部30の部位の厚みより大きい。よって、収納部30の厚みは、溝34の第4端S4における収納部30の部位で最も薄くなる。
【0044】
図4に示す溝34の第1端S1側の端(第3端S3)における収納部30の厚みT2について、外周面30aの直径Dd1に対する収納部30の厚みT2の比率は、0.041以上0.054以下である。
【0045】
また、溝34の第2端S2側の端(第4端S4)における収納部30の厚みT3について、外周面30aの直径Dd1に対する収納部30の厚みT3の比率は、0.017以上0.027以下である。なお、端壁32の厚みは、溝34が配置されている収納部30の部位の厚み以上である。つまり、溝34の第4端S4における収納部30の厚みT3は、収納部30において最も小さい厚みに相当する。
【0046】
さらに、内周面30dおよび第1平面H1の第1交線L1と軸線Aとのなす第1角度θ1よりも、溝34の底面34aおよび第1平面H1の第2交線L2と軸線Aとのなす第2角度θ2は大きい。第1角度θ1に対する第2角度θ2の比率は、1.4以上4.25以下である。
【0047】
このように、第1角度θ1より第2角度θ2を大きくすることで、溝34の第4端S4における収納部30の部位で厚みを薄くしつつ、内周面30dの直径が増大することを抑制することができる。これにより、内周面30dと二次電池10との間の隙間が大きくなることを抑制することができ、収納部30において二次電池10が振動することを抑制することができる。すなわち、第1ケース20aにおける二次電池10の保持性を確保することができる。
【0048】
次に溝34の機能について説明する。
【0049】
例えば二次電池10の異常発熱により二次電池10から噴出するガスなどで収納部30の内圧が上昇した場合、溝34が起点となって収納部30が開裂する。具体的には、第1ケース20aと第2ケース20bとの接合部Wより第1端S1側で、収納部30の内圧は内周面30dに均等に作用する。これにより、収納部30の厚みが最も小さい部位に相当する溝34の第4端S4の近傍における収納部30の部位で、収納部30の内圧の上昇によって生じる応力が集中する。これにより、溝34の底面34aにおける第4端S4の近傍が起点となって収納部30が開裂する。
【0050】
さらに、収納部30は、底面34aにおける第4端S4の近傍から溝34の底面34aに沿って、すなわち、軸線方向A1に沿って第1端S1側に向けて開裂する。これにより、収納部30が開裂することで生じる開口の面積が増大し、収納部30内から外部に噴出する空気の勢いを抑制することができる。
【0051】
また、収納部30の厚みが最も小さい収納部30の厚みT3(図4参照)は、収納部30の内圧が所定内圧以上であるときに収納部30が開裂する厚みに定められている。所定内圧は、予め行われる実験等により定められている。所定内圧は、電池パック1の安全性を確保できる圧力である。また、所定内圧は、第1ケース20aと第2ケース20bとの接合部W(図2参照)が破壊される収納部30の内圧より低い圧力である。つまり、収納部30の内圧が上昇した場合、収納部30は、底面34aにおける第4端S4の近傍から開裂し、第1ケース20aと第2ケース20bとの接合部Wは開裂しない。
【0052】
また、溝34の底面34aおよび収納部30の内周面30dは、上記のように収納部30の厚みにおいて収納部30の厚みT3を最も小さくするテーパ面である。上記のような構成により、収納部30の内圧が上昇した場合、上記のように底面34aにおける第4端S4の近傍で収納部30を開裂させることができる。よって、電池パック1の安全性を確保することができる。
【0053】
次に、表1及び表2を参照して、電池パック1で採り得る溝34の形状の効果について詳細に説明する。
【0054】
表1は、本実施形態の電池パック1及び比較例の電池パックにおける内圧上昇試験の結果を示すテーブルである。
【表1】
【0055】
表1において、底面34aの曲率半径、第2角度θ2、溝34の長さDl2、収納部30の厚みT3は、電池パック1及び比較例の電池パックにおける溝34の形状を表すための指標である。
【0056】
表1における電池パック1は、底面34aの曲率半径が0.30mm、第2角度θ2が0.45°、溝34の長さDl2が51mm、収納部30の厚みT3が0.40となる溝34を有する。
【0057】
一方、表1における比較例の電池パックは、底面34aの曲率半径が0mm、第2角度θ2が0°、溝34の長さDl2が96mm、収納部30の厚みT3が0.35となる溝34を有する。具体的には、比較例の電池パックの溝34は、断面V字形状であり、底部に曲面を有さない。また、比較例の電池パックの溝34の底は、軸線Aに対して傾斜しておらず平行である。
【0058】
上記の電池パック1及び比較例の電池パックについて、現物による内圧上昇試験と、内圧上昇試験のシミュレーションを行い、表1にまとめた。
【0059】
現物による内圧上昇試験の方法について説明する。第1に、電池パック1の端壁32に開口を形成する。第2に、端壁32の開口に油供給装置のノズルを嵌合させるとともに、電池パック1が開裂するまで油を供給して内圧を上昇させる。電池パック1が開裂して内圧が急に低下すると、油供給装置が自動で停止する。油供給装置が停止したときの開裂圧を記録し、試験を終了する。
【0060】
内圧上昇試験のシミュレーションについて説明する。パーソナルコンピュータのソフトウェアを使用して、内圧上昇試験のシミュレーションを行い、電池パック1の形状での開裂圧のシミュレーション結果と、比較例の電池パックの形状での開裂圧のシミュレーション結果を記録した。
【0061】
表1における、開裂圧の欄の値について説明する。
第1に、比較例の電池パックの現物の開裂圧の欄の値は、比較例の電池パックの現物の内圧上昇試験結果(開裂圧の測定値)を100としたときの値である。具体的には、比較例の電池パックの現物の開裂圧の欄の値は、100である。
【0062】
第2に、電池パック1の現物の開裂圧の欄の値は、比較例の電池パックの現物の内圧上昇試験結果(開裂圧の測定値)に対する電池パック1の現物の内圧上昇試験結果(開裂圧の測定値)の比率を示す数値である。具体的には、電池パック1の現物の開裂圧の欄の値は、192である。
【0063】
第3に、比較例の電池パックのシミュレーションの開裂圧の欄の値は、比較例の電池パックの現物の試験結果(開裂圧の測定値)に対する比較例の電池パックの内圧上昇試験のシミュレーション結果の数値の比率を示す数値である。比較例の電池パックのシミュレーションの開裂圧の欄の値は、具体的には97である。
【0064】
最後に、電池パック1のシミュレーションの開裂圧の欄の値は、比較例の電池パックの現物の内圧上昇試験結果(開裂圧の測定値)に対する電池パック1の内圧上昇試験のシミュレーション結果の数値の比率を示す数値である。具体的には、電池パック1のシミュレーションの開裂圧の欄の値は、165である。
【0065】
ここで、現物の開裂圧の欄の値は、比較例の電池パックでは100であるのに対し、電池パック1では192まで上昇している。また、シミュレーションの開裂圧の欄の値は、比較例の電池パックでは97であるのに対し、電池パック1では165まで上昇している。このように、比較例の電池パックと電池パック1とにおいて、現物の開裂圧の欄の値と、シミュレーションの開裂圧の欄の値とは比例関係にある。また、比較例の電池パックにおける、現物の開裂圧の欄の値とシミュレーションの開裂圧の欄の値は近似している。また、電池パック1における現物の開裂圧の欄の値とシミュレーションの開裂圧の値とは、近しい。これらの事から、開裂圧の現物の欄の値とシミュレーションの欄の値とは、相関があるといえる。換言すれば、内圧上昇試験のシミュレーション結果は、現物の内圧上昇試験と近い結果を得ることができると言える。
【0066】
表2は、内圧上昇試験のシミュレーション結果などを示すテーブルである。
【表2】
表2において、「サンプル番号」の「1」から「6」は、本実施形態の電池パック1に対応する。「サンプル番号」の「7」は、表1の比較例の電池パックに対応する。
【0067】
表2の「底面34aの曲率半径」、「第2角度θ2」、「溝34の長さDl2」、および、「収納部30の厚みT3」(収納部30の厚みの最小値)は、「サンプル番号」の「1」から「7」それぞれの電池パックにおける溝34の形状を表すための指標である。
【0068】
サンプル番号7の開裂圧の欄の値は、表1に示す比較例の電池パックの現物の試験結果(開裂圧の測定値)に対する比較例の電池パックの内圧上昇試験のシミュレーション結果の数値の比率を示す数値である。具体的には、サンプル番号7の開裂圧の欄の値は、97である。
【0069】
サンプル番号1から6の開裂圧の欄の値は、それぞれ、サンプル番号7の開裂圧に対するサンプル番号1から6のそれぞれの開裂圧の比率を示す数値である。
【0070】
表2の「接合部Wの破壊強度」について説明する。接合部Wの破壊強度とは、第1ケース20aと第2ケース20bとの接合部W(図2参照))が電池パック1の内圧上昇により壊れるときの内圧を示す値である。表2において、接合部Wの破壊強度の欄の値は、サンプル番号7の開裂圧に対する接合部Wの破壊強度の比率を示す数値である。
【0071】
電池パック1の内部圧力が上昇し溝34が開裂するよりも早く接合部Wが壊れた場合、電池パック1の収容物(二次電池10など)が電池パック1から外部へ飛び出してしまうおそれがある。この場合、電池パック1の安全性に支障をきたす恐れがある。一方、電池パック1の内部圧力が上昇し接合部Wが壊れるよりも早く溝34が開裂する場合には、接合部Wが壊れる前に溝34の開裂部分から電池パック1の外部へガスを放出し、接合部Wの破壊を抑えることができる。そのため、電池パック1では、接合部Wが壊れる前に溝34が開裂することが求められる。換言すれば、表2の接合部Wの破壊強度よりも表2の開裂圧が低いことが求められる。
【0072】
表2を見ると、サンプル番号1から6の開裂圧の欄の値は、いずれも、接合部Wの破壊強度の欄の値よりも大幅に下回っている。すなわち、サンプル番号1から6の電池パック1では、電池パック1の内部圧力が上昇し接合部Wが壊れるよりも早く溝34が開裂する。そのため、電池パック1としての安全性を確保することができる。
【0073】
次に、表3及び表4を参照して、電池パック1で採り得る溝34の形状の別の効果について説明する。
【0074】
電池パック1の落下時に収納部30は破損しないことが望ましく、溝34が開裂しないことが望ましい。以下では、表3及び表4を参照して、電池パック1の落下時に奏する電池パック1の効果について説明する。
【0075】
表3は、本実施形態の電池パック1及び比較例の電池パックにおける落下試験の結果を示すテーブルである。
【表3】
表3における、底面34aの曲率半径、第2角度θ2、溝34の長さDl2、収納部30の厚みT2、幅Dwは、電池パック1及び比較例の電池パックにおける溝34の形状を表すための指標である。
【0076】
表3における電池パック1は、底面34aの曲率半径が0.30mm、第2角度θ2が0.45°、溝34の長さDl2が51mm、収納部30の厚みT2が0.80、幅Dwが1.03mmとなる溝34を有する。
【0077】
一方、表3における比較例の電池パックは、底面34aの曲率半径が0mm、第2角度θ2が0°、溝34の長さDl2が96mm、収納部30の厚みT2が0.53、幅Dwが1.03mmとなる溝34を有する。具体的には、比較例の電池パックの溝34は、断面V字形状であり、底部に曲面を有さない。また、比較例の電池パックの溝34の底は、軸線Aに対して傾斜しておらず平行である。また、比較例の電池パックにおける収納部30の厚みT2は、電池パック1における収納部30の厚みT2よりも薄い。
【0078】
上記の電池パック1及び比較例の電池パックについて、現物による落下試験と、落下試験のシミュレーションを行い、結果を表3にまとめた。
【0079】
現物による落下試験の方法について説明する。落下試験では、軽量用落下試験機DT-205H(吉田精機株式会社製:以降、落下試験機と称する。)を用いた。電池パック1の溝34がコンクリートを敷設した落下面と対向するように電池パック1を落下試験機に取り付け、所定の高さから電池パック1を落下させる。落下後の電池パック1を目視にて、溝34の開裂の有無を確認する。上記の試験を3回繰り返し、溝34の開裂を確認した場合には「開裂あり」と判定(NG判定)とし、溝34の開裂を確認しなかった場合には「開裂なし」と判定(OK判定)した。
【0080】
落下試験のシミュレーションについて説明する。落下試験のシミュレーションでは、床面から鉛直方向に沿って所定の高さの位置から電池パック1を落下させる。所定の高さは、電池パック1が使用されている状態での電池パック1の高さである。
【0081】
表3における現物結果の欄は、現物による落下試験の結果を示す。具体的には、「開裂なし」は溝34が開裂しなかった場合を示す。「開裂あり」は溝34が開裂した場合を示す。即ち、電池パック1は、所定の高さから落下させても溝34が開裂しなかった。一方、比較例の電池パックは、所定の高さから落下させると溝34が開裂した。
【0082】
表3における溝34の最大応力(シミュレーション)の欄の値について説明する。
第1に、比較例の電池パックにおける溝34の最大応力(シミュレーション)の欄の値は、比較例の電池パックの落下試験のシミュレーション結果の値を100としたときの値である。具体的には、比較例の電池パックにおける溝34の最大応力(シミュレーション)の欄の値は、100である。
【0083】
第2に、電池パック1における溝34の最大応力(シミュレーション)の欄の値は、比較例の電池パックの落下試験のシミュレーション結果の値に対する電池パック1の落下試験のシミュレーション結果の値の比率を示す数値である。具体的には、電池パック1における溝34の最大応力(シミュレーション)の欄の値は、41.8である。
【0084】
表3の現物結果の欄、及び、溝34の最大応力(シミュレーション)の欄から、落下試験のシミュレーションでは、溝34の最大応力(シミュレーション)の欄の値が41.8以下である場合には、電池パック1が落下しても溝34が開裂しない結果が得られると言える。
【0085】
続いて、表4について説明する。表4は、落下試験のシミュレーション結果を示すテーブルである。
【表4】
「サンプル番号」の「1」から「4」は、本実施形態の電池パック1に対応する。「サンプル番号」の「5」は、表3の比較例の電池パックに対応する。
【0086】
表4の「底面34aの曲率半径」、「第2角度θ2」、「溝34の長さDl2」、「収納部30の厚みT2」、および「幅」は、「サンプル番号」の「1」から「5」それぞれの電池パックにおける溝34の形状を表すための指標である。
【0087】
サンプル番号5の溝34の最大応力(シミュレーション)の欄の値は、比較例の電池パックの落下試験のシミュレーション結果の値を100としたときの値である。具体的には、サンプル番号5の溝34の最大応力(シミュレーション)の欄の値は、100である。
【0088】
サンプル番号1から4の溝34の最大応力(シミュレーション)の欄の値は、それぞれ、比較例の電池パックの落下試験のシミュレーション結果の値を100としたときにおいて、比較例の電池パックの落下試験のシミュレーション結果の値に対する比率を示す値である。
【0089】
本実施形態の電池パック1(サンプル番号1~4)において「溝34の最大応力(シミュレーション)」は、41.8(表3参照)を下回っている。よって、サンプル番号1~4の電池パック1は、収納部30(溝34)が破損することが抑制されている。
【0090】
上記のように溝34の底面34aは曲面であり、電池パック1の落下時の衝撃によって生じる最大応力を抑制することができる。
【0091】
また、軸線方向A1において、溝34の両端は収納部30の両端より内側にある。さらに、軸線方向A1において第1端S1側から第2端S2側に向かうほど収納部30の厚みが薄くなる。そのため、溝34が第2端S2まで伸びている場合には、収納部30の第2端S2側で収納部30の厚みがさらに薄くなる。そうすると、電池パック1の落下時に、溝34が開裂してしまうおそれがある。
【0092】
そこで、本実施形態の電池パック1では、軸線方向A1において、溝34の両端を収納部30の両端より内側にすることで、収納部30の両端における収納部30の厚みを確保する。これにより、電池パック1の落下時に溝34が開裂することを抑制することができる。
【0093】
なお、上記した実施形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本開示を限定して解釈するためのものではない。本開示は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本開示にはその等価物も含まれる。以下、上記の実施形態に係る電池パック1の変形例について説明する。
【0094】
例えば、上記の比率(例えば、収納部30の外周面30aの直径Dd1に対する収納部30の厚みT2の比率)は、上記の値に限定されないことは言うまでもない。また、溝34の幅および底辺の曲率半径は、軸線方向A1に沿って変化してもよい。さらに、2つの接続面34bは、曲面でもよい。そして、溝34は、第1平面H1を対称面とする面対称形状ではなく、非対称形状であってもよい。なお、第1平面H1は、最深点Pから外れた位置で底面34aと交差してもよい。
【0095】
また、軸線方向A1に沿った第1端S1と第3端S3との間の収納部30において、収納部30の厚みが厚みT2以上である状態で外周面30aの直径を直径Dd1より小さくてもよい。
【0096】
また、収納部30の第2端S2で第1ケース20aと第2ケース20bとが接合されてもよい。さらに、第1ケース20aと第2ケース20bとは接着剤およびネジ等を用いて接合されてもよい。また、電池パック1は、第2ケース20bに配置され、収納部30の気密を保つシール部材(例えばOリング)をさらに備えてもよい。
【0097】
また、内側面30bは、内端面30cの周縁と内周面30dの第1端S1側の周縁とを接続する環状の接続面(不図示)を有してもよい。当該接続面は第1端S1側から第2端S2側に向かうにしたがって直径が大きくなる。
【0098】
また、内周面30dは、第2端S2側の周縁部が面取りされていてもよい。この場合、収納部30の内側において当該面取りされている部位より第1端S1側に第1ケース20aと第2ケース20bとの接合部Wが位置しており、収納部30の内圧が上昇した場合においても当該面取りされている部位には収納部30の内圧は作用しない。なお、内周面30dの第2端S2側の周縁部が面取されている場合、当該面取りされている部位の厚みは収納部30の厚みT3(図4参照)より小さくてもよく、収納部30の厚みT1(図2参照)は当該面取りされている部位を除いた収納部30の最も第2端S2側の部位の厚みとする。
【0099】
また、収納部30は、溝34を2つ有してもよい。例えば、2つの溝34は、外周面30aにおいて、収納部30の径方向で互いに反対側になる位置(溝34の開放側が径方向で互いに反対側を向く位置)に配置される。この場合、収納部30の内圧が上昇したときに、2つの溝34の少なくとも一方から収納部30が開裂する。
【0100】
上記の実施形態の変形例に係る電池パック1においても、上記の実施形態と同様に、収納部30において二次電池10が振動することを抑制することができ、収納部30の内圧が上昇した場合に応力が集中する溝34の底面34aにおける第4端S4の近傍でから収納部30が開裂する。また、電池パック1が落下した場合に収納部30が破損することが抑制される。よって、電池パック1の安全性および二次電池10の保持性の両立を図ることができる。
【0101】
<本開示の構成例>
なお、本開示は、以下のような構成の組み合わせであってもよい。
【0102】
(1)
円筒形状を有する二次電池と、
軸線を有する円筒形状であり、前記軸線方向の第1端が閉鎖され且つ前記軸線方向の第2端が開口されている収納部を有し、前記収納部に前記二次電池を収納する第1ケースと、
前記収納部の開口を塞ぎ、前記第1ケースに接合されている第2ケースと、を備え、
前記収納部の内周面は、前記軸線方向に沿って前記第1端側から前記第2端側に向かうにしたがって前記収納部の内周面の直径が大きくなる傾斜を有するテーパ面であり、
前記収納部は、前記軸線方向に沿って延びる溝を外周面に有し、
前記溝の底面は、前記軸線方向に沿って前記第1端側から前記第2端側に向かうにしたがって前記軸線と直交する径方向の前記溝の深さが大きくなる傾斜を有するテーパ面であり、
前記溝の最深点および前記軸線を含む平面で切断したときの前記収納部の断面形状において、前記収納部の内周面および前記平面の第1交線と前記軸線とのなす第1角度より、前記溝の底面および前記平面の第2交線と前記軸線とのなす第2角度は大きい、
電池パック。
【0103】
(2)
前記平面で切断したときの前記収納部の断面形状において、前記収納部の外周面の直径に対する、前記溝の前記第2端側の端における前記収納部の厚みの比率は、0.017以上0.027以下である、
(1)に記載の電池パック。
【0104】
(3)
前記平面で切断したときの前記収納部の断面形状において、前記収納部の外周面の直径に対する、前記溝の前記第1端側の端における前記収納部の厚みの比率は、0.041以上0.054以下である、
(1)または(2)に記載の電池パック。
【0105】
(4)
前記第1角度に対する前記第2角度の比率は、1.4以上4.25以下である、
(1)から(3)の何れか1つに記載の電池パック。
【0106】
(5)
前記溝の底面は、曲面である、
(1)から(4)の何れか1つに記載の電池パック。
【0107】
(6)
前記溝の底面の曲率半径は、0.1mm以上0.3mm以下である、
(5)に記載の電池パック。
【0108】
(7)
前記溝は、前記収納部の前記径方向の内側から外側に向かうにしたがって幅が大きくなる形状を有する、
(1)から(6)の何れか1つに記載の電池パック。
【0109】
(8)
前記収納部の外周面上において前記溝の幅は、前記軸線方向において一定である、
(1)から(7)の何れか1つに記載の電池パック。
【0110】
(9)
前記収納部の外周面の直径に対する、前記収納部の外周面上における前記溝の幅の比率は、0.047以上0.062以下である、
(8)に記載の電池パック。
【0111】
(10)
前記溝は、前記軸線方向において前記収納部の両端より内側にある、
(1)から(9)の何れか1つに記載の電池パック。
【0112】
(11)
前記軸線方向において、前記収納部の内側の前記第1端側にある内端面から前記収納部の前記第2端までの前記収納部の長さに対する前記溝の長さの比率は、0.32以上0.42以下である、
(1)から(10)の何れか1つに記載の電池パック。
【0113】
(12)
前記軸線方向において、前記収納部の内側の前記第1端側にある内端面から前記収納部の前記第2端までの前記収納部の長さに対する、前記収納部の前記第2端から前記溝の前記第2端側の端までの前記収納部の長さの比率は、0.19以上0.29以下である、
(1)から(11)の何れか1つに記載の電池パック。
【0114】
(13)
前記収納部の外周面の直径に対する、前記収納部の内周面の直径と前記二次電池の外周面の直径との差の比率は、0.023以上0.073以下である、
(1)から(12)の何れか1つに記載の電池パック。
【0115】
(14)
前記収納部は、前記溝を2つ有し、
2つの前記溝は、前記径方向において互いに反対側にある、
(1)から(13)の何れか1つに記載の電池パック。
【符号の説明】
【0116】
1 電池パック
10 二次電池
20a 第1ケース
20b 第2ケース
30 収納部
30a 外周面
30c 内端面
30d 内周面
33 開口部
34 溝
34a 底面
A 軸線
A1 軸線方向
H1 第1平面(平面)
L1 第1交線
L2 第2交線
P 最深点
S1 第1端
S2 第2端
θ1 第1角度
θ2 第2角度
図1
図2
図3
図4
図5